JP4494614B2 - 振幅制限回路及びフィルタ回路 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は振幅制限回路及びフィルタ回路に関し、例えば、集積回路化に好適なものに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、トランスコンダクタンスアンプを用いたフィルタ回路としては、特開平11−004139号公報の図1に開示されるものがある。
【0003】
このフィルタ回路は、抵抗両終端LC梯子型フィルタ回路におけるインダクタ及び抵抗部分を、トランスコンダクタンスアンプ(なお、上記公報では電圧制御電流源と呼んでいる)に置き換えることにより、トランスコンダクタンスアンプと容量とのみの構成とし、集積回路化における素子値のバラツキや温度による変動に対して、各トランスコンダクタンスアンプの相互コンダクタンス(gm)を調節することでフィルタ回路としての特性を維持させるというものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した従来のフィルタ回路は、入力端子の直後にトランスコンダクタンスアンプが接続されており、フィルタ回路への入力信号がこのトランスコンダクタンスアンプの入力ダイナミックレンジを超える電圧振幅であった場合には、このフィルタ回路内の動作が保証されず、不安定になるという課題があった。
【0005】
そのため、入力信号の電圧振幅が大きい場合であっても、安定動作を保証し得るトランスコンダクタンスアンプを用いたフィルタ回路が求められており、そのようなフィルタ回路に適用して好適な振幅制限回路が求められている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
かかる課題を解決するため、第1の本発明の振幅制限回路は、(a)制御端、第1端及び第2端を有する第1〜第6の第1導電型トランジスタと、制御端、第1端及び第2端を有する第1〜第4の第2導電型トランジスタと、第1〜第3の電流源とを有し、(b)第1及び第2の第1導電型トランジスタは、互いの第1端同士が接続されて差動対を形成しており、これら第1及び第2の第1導電型トランジスタの制御端はそれぞれ第1及び第2の入力端子に接続され、これらの共通第1端は第1の電流源を介して第2の電源端子に接続され、(c)第1の第2導電型トランジスタは、第2端が第2の出力端子及び第1の第1導電型トランジスタの第2端に接続され、第1端が第1の電源端子に接続され、制御端が第4の第2導電型トランジスタの第2端に接続され、(d)第2の第2導電型トランジスタは、第2端が第1の出力端子及び第2の第1導電型トランジスタの第2端に接続され、第1端が第1の電源端子に接続され、制御端が第4の第2導電型トランジスタの第2端に接続され、(e)第3及び第4の第1導電型トランジスタは、互いの第1端同士が接続されて差動対を形成しており、これらの共通第1端は第2の電流源を介して第2の電源端子に接続され、第3の第1導電型トランジスタの制御端は第1の第1導電型トランジスタの第2端に接続され、第4の第1導電型トランジスタの制御端に基準電圧入力端子に接続され、(f)第5及び第6の第1導電型トランジスタは、互いの第1端同士が接続されて差動対を形成しており、これらの共通第1端は第3の電流源を介して第2の電源端子に接続され、第5の第1導電型トランジスタの制御端は第2の第1導電型トランジスタの第2端に接続され、第6の第1導電型トランジスタの制御端は基準電圧入力端子に接続され、(g)第3の第2導電型トランジスタは、制御端及び第2端が相互に接続されており、これら制御端及び第2端が、第3の第1導電型トランジスタの第2端、第5の第1導電型トランジスタの第2端及び第4の第2導電型トランジスタの制御端に接続され、第1端が第1の電源端子に接続され、(h)第4の第2導電型トランジスタは、制御端が、第3の第2導電型トランジスタの制御端及び第2端に接続され、第2端が、第4の第1導電型トランジスタの第2端及び第6の第1導電型トランジスタの第2端に接続され、第1端が第1の電源端子に接続されていることを特徴とする。
【0007】
また、第2の本発明の振幅制限回路は、(a)制御端、第1端及び第2端を有する第1〜第6の第1導電型トランジスタと、制御端、第1端及び第2端を有する第1〜第4の第2導電型トランジスタと、第1〜第3の電流源とを有し、(b)第1及び第2の第1導電型トランジスタは、互いの第1端同士が接続されて差動対を形成しており、これら第1及び第2の第1導電型トランジスタの制御端はそれぞれ第1及び第2の入力端子に接続され、これらの共通第1端は第1の電流源を介して第2の電源端子に接続され、(c)第1の第2導電型トランジスタは、第2端が第2の出力端子及び第1の第1導電型トランジスタの第2端に接続され、第1端が第1の電源端子に接続され、制御端が第4の第2導電型トランジスタの第2端に接続され、(d)第2の第2導電型トランジスタは、第2端が第1の出力端子及び第2の第1導電型トランジスタの第2端に接続され、第1端が第1の電源端子に接続され、制御端が第4の第2導電型トランジスタの第2端に接続され、(e)第3及び第4の第1導電型トランジスタは、互いの第1端同士が接続されて差動対を形成しており、これらの共通第1端は第2の電流源を介して第2の電源端子に接続され、第3の第1導電型トランジスタの制御端は第1の第1導電型トランジスタの第2端に接続され、第4の第1導電型トランジスタの制御端に基準電圧入力端子に接続され、(f)第5及び第6の第1導電型トランジスタは、互いの第1端同士が接続されて差動対を形成しており、これらの共通第1端は第3の電流源を介して第2の電源端子に接続され、第5の第1導電型トランジスタの制御端は第2の第1導電型トランジスタの第2端に接続され、第6の第1導電型トランジスタの制御端は基準電圧入力端子に接続され、(g)第3の第2導電型トランジスタは、制御端及び第2端が相互に接続されており、これら制御端及び第2端が、第3の第1導電型トランジスタの第2端及び第5の第1導電型トランジスタの第2端に接続され、第1端が第1の電源端子に接続され、(h)第4の第2導電型トランジスタは、制御端及び第2端が相互に接続されており、これら制御端及び第2端が、第4の第1導電型トランジスタの第2端及び第6の第1導電型トランジスタの第2端に接続され、第1端が第1の電源端子に接続されていることを特徴とする。
【0008】
第3の本発明のフィルタ回路は、少なくとも入力段にトランスコンダクタンスアンプを有するフィルタ回路本体と、入力信号の振幅を上記フィルタ回路本体の入力ダイナミックレンジ以内に制限して上記フィルタ回路本体に入力する振幅制限回路とを有し、上記振幅制限回路として、第1又は第2の本発明のものを適用したことを特徴とする。
【0009】
【発明の実施の形態】
(A)第1の実施形態
以下、本発明によるフィルタ回路の第1の実施形態を図面を参照しながら、説明する。なお、第1の実施形態は、本発明によるフィルタ回路の基本的構成をほぼそのまま示したものである。
【0010】
図1は、第1の実施形態のフィルタ回路10の構成を示すブロック図である。図1において、第1の実施形態のフィルタ回路10は、入力端子Vin、振幅制限回路11、フィルタ回路本体12及び出力端子Voutがこの順に設けられて構成されている。
【0011】
振幅制限回路11は、入力端子Vinからの入力信号の電圧振幅がフィルタ回路本体12内の入力段のトランスコンダクタンスアンプの入力ダイナミッグレンジを超えている場合には、その電圧振幅を入力ダイナミッグレンジ以下まで制限した出力信号を形成して、フィルタ回路本体12に与えるものである。振幅制限回路11は、例えばゲインが1のものであり、すなわち、増幅機能は有しないものである。
【0012】
フィルタ回路本体12は、詳細の図示は省略するが、トランスコンダクタンスアンプを利用しているものであり、少なくともその入力段にトランスコンダクタンスアンプが設けられているものである。なお、上述した条件を満たすならば、従来の技術の項で言及したフィルタ回路構成のものに限定されるものではない。
【0013】
なお、この第1の実施形態の場合(以下の実施形態も同様)、入力端子Vinからの入力信号として、電圧方向に意味を持たない信号(例えば、周波数変調や位相変調された信号)を意図している。
【0014】
次に、第1の実施形態のフィルタ回路10の動作を説明する。
【0015】
入力端子Vinからの入力信号の電圧振幅が、フィルタ回路本体12内の入力段のトランスコンダクタンスアンプの入力ダイナミッグレンジを超えていない場合には、振幅制限回路11は入力信号をそのまま通過させてフィルタ回路本体12に出力し、フィルタ回路本体12はその入力信号に対するフィルタリングを行って出力端子Voutから出力させる。
【0016】
これに対して、入力端子Vinからの入力信号の電圧振幅が、フィルタ回路本体12内の入力段のトランスコンダクタンスアンプの入力ダイナミッグレンジを超えている場合には、振幅制限回路11は入力信号をトランスコンダクタンスアンプの入力ダイナミッグレンジ以内の電圧振幅に制限してフィルタ回路本体12に出力し、フィルタ回路本体12は振幅制限後の入力信号に対するフィルタリングを行って出力端子Voutから出力させる。
【0017】
第1の実施形態によれば、フィルタ回路本体には入力ダイナミッグレンジを超えない信号が常に入力され、フィルタ回路としての動作が保証される。また、外部からフィルタ回路に与える入力信号の電圧振幅を意識してフィルタ回路に入力する必要がなくなる。
【0018】
(B)第2の実施形態
以下、本発明による振幅制限回路及びフィルタ回路の第2の実施形態を図面を参照しながら説明する。なお、第2の実施形態のフィルタ回路は正負の相補入力、正負の相補出力のものである。
【0019】
(B−1)第2の実施形態のフィルタ回路の全体構成及び動作
図2は、第2の実施形態のフィルタ回路20の構成を示すブロック図である。図2において、第2の実施形態のフィルタ回路20は、正負入力端子Vinp及びVinn、振幅制限回路21(第2の実施形態の振幅制限回路となっている)、フィルタ回路本体22、並びに、正負出力端子Voutp及びVoutnがこの順に設けられて構成されている
振幅制限回路21は、入力信号に振幅制限をかける振幅制限用トランスコンダクタンスアンプ201(図3及び図4参照)と、電流電圧変換用のトランスコンダクタンスアンプ202とを有する。ここで、振幅制限用トランスコンダクタンスアンプ201と電流電圧変換用トランスコンダクタンスアンプ202とは同じgm値(相互コンダクタンス値)を有するものである。
【0020】
振幅制限用トランスコンダクタンスアンプ201は、その正負入力端子がフィルタ回路20への正負入力端子Vinp及びVinnに接続されており、正負入力端子Vinp及びVinnから入力された入力信号にフィルタ回路本体22での入力ダイナミックを考慮した振幅制限をかけるものである。
【0021】
振幅制限用トランスコンダクタンスアンプ201の正出力端子は、電流電圧変換用トランスコンダクタンスアンプ202の正入力端子、負出力端子及びフィルタ回路本体22の正入力端子に接続されている。振幅制限用トランスコンダクタンスアンプ201の負出力端子は、電流電圧変換用トランスコンダクタンスアンプ202の負入力端子、正出力端子及びフィルタ回路本体22の負入力端子に接続されている。
【0022】
電流電圧変換用トランスコンダクタンスアンプ202は、振幅制限用トランスコンダクタンスアンプ201による振幅制限後の電気信号が電流信号であるため、それを電圧信号に変換してフィルタ回路本体22に入力させるためのものである。
【0023】
上述した第1の実施形態の場合、振幅制限回路11の内部構成はいかなるものであっても良いが、この第2の実施形態の場合、フィルタ回路本体22と共に、同一の集積回路上に振幅制限回路21を構成することを考慮し、振幅制限回路21を、振幅制限用トランスコンダクタンスアンプ201と、電流電圧変換用トランスコンダクタンスアンプ202とで構成した。
【0024】
フィルタ回路本体22は、例えば電流電圧変換用トランスコンダクタンスアンプ202と同じトランスコンダクタンスアンプで構成されているものであり、電流電圧変換用トランスコンダクタンスアンプ202によって電圧信号に変換された振幅制限後の入力信号に対して、フィルタリングを行うものである。なお、フィルタ回路本体22の正出力端子は当該フィルタ回路20の正出力端子Voutpに接続され、フィルタ回路本体22の負出力端子は当該フィルタ回路20の負出力端子Voutnに接続されている。
【0025】
第2の実施形態のフィルタ回路20は、以下のように動作する。
【0026】
正負入力端子Vinp及びVinnから入力信号(電圧信号)は、振幅制限用トランスコンダクタンスアンプ201によって、フィルタ回路本体22の入力ダイナミックレンジが考慮された振幅制限がかけられ、その振幅制限信号(電流信号)が電流電圧変換用トランスコンダクタンスアンプ202によって電圧信号に変換されてフィルタ回路本体22に入力され、フィルタ回路本体22によってフィルタリングされて正負出力端子Voutp及び負出力端子Voutnから出力される。
【0027】
(B−2)振幅制限用トランスコンダクタンスアンプ201の第1構成例及び動作
次に、振幅制限用トランスコンダクタンスアンプ201の第1構成例を、図3を参照しながら説明する。
【0028】
図3は、振幅制限用トランスコンダクタンスアンプ201の第1構成例を示す回路図である。
【0029】
図3において、2個のNMOSトランジスタN31及びN32は、互いのソース同士が接続されて差動対を形成しているものであり、NMOSトランジスタN31及びN32のゲートはそれぞれ一方の入力端子IN+、IN−に接続され、これらの共通ソースは電流源I31に接続されている。
【0030】
PMOSトランジスタP31は、ドレインが負出力端子OUT−及びNMOSトランジスタN31のドレインに接続され、ソースが電源端子VDDに接続されているものである。PMOSトランジスタP32は、ドレインが正出力端子OUT+及びNMOSトランジスタN32のドレインに接続され、ソースが電源端子VDDに接続されているものである。これらPMOSトランジスタP31及びP32は、NMOSトランジスタN31及びN32のドレイン電圧(言い換えると入力電位)に対応した電流を流そうとするものである。
【0031】
また、2個のNMOSトランジスタN33及びN34は、互いのソース同士が接続されて差動対を形成しているものであり、これらの共通ソースは電流源I32に接続されている。一方のNMOSトランジスタN33のゲートはNMOSトランジスタN31のドレインに接続され、他方のNMOSトランジスタN34のゲートに基準電圧入力端子VREFに接続されている。
【0032】
これらNMOSトランジスタN33及びN34の差動対は、出力端子OUT−の直流レベルを制御するためのものである。
【0033】
さらに、2個のNMOSトランジスタN35及びN36は、互いのソース同士が接続されて差動対を形成しているものであり、これらの共通ソースは電流源I33に接続されている。一方のNMOSトランジスタN35のゲートはNMOSトランジスタN32のドレインに接続され、他方のNMOSトランジスタN36のゲートに基準電圧入力端子VREFに接続されている。
【0034】
これらNMOSトランジスタN35及びN36の差動対は、出力端子OUT+の直流レベルを制御するためのものである。
【0035】
PMOSトランジスタP33は、ゲート及びドレインが相互に接続されており、これらゲート及びドレインが、NMOSトランジスタN33のドレイン及びNMOSトランジスタN35のドレインに接続され、ソースが電源端子VDDに接続されている。PMOSトランジスタP33は、NMOSトランジスタN33及びN35の負荷機能をも担っている。
【0036】
また、PMOSトランジスタP34は、ゲート及びドレインが相互に接続されており、これらゲート及びドレインが、NMOSトランジスタN34のドレイン及びNMOSトランジスタN36のドレインに接続され、ソースが電源端子VDDに接続されている。PMOSトランジスタP34は、NMOSトランジスタN34及びN36の負荷機能をも担っている。
【0037】
上述したPMOSトランジスタP31及びP32のゲートは、このPMOSトランジスタP34のドレインに接続されている。
【0038】
各電流源I31、I32、I33は、共通ソース側でない端子は接地されているものである。また、各電流源I31、I32、I33は可変定電流源であって、その制御端子は、電流量調整端子BIASに接続されている。なお、各電流源I31、I32、I33による定電流は等しいことを意図しているが、異なっていても良い。
【0039】
次に、振幅制限用トランスコンダクタンスアンプ201の第1構成例の動作を説明する。
【0040】
例えば、正負入力端子IN+及びIN−に同じ電位の信号(但し、このトランスコンダクタンスアンプ201が正常に動作する直流レベルとする)が入力されれば、PMOSトランジスタP31及びP43が流す電流はそれぞれ全てNMOSトランジスタN31及びN32に流れる。
【0041】
これに対し、差動信号(相補信号)、例えば正入力端子IN+にHレベル、負入力端子IN−にLレベルの信号が入力されると、NMOSトランジスタN31はPMOSトランジスタP31が流す電流よりも多くの電流を流そうとし、足りない分の電流をこのトランスコンダクタンスアンプ201の外部から出力端子OUT−を通して引き込む。また、NMOSトランジスタN32はPMOSトランジスタP32が流す電流よりも少ない電流を流そうとし、余った電流はこのトランスコンダクタンスアンプ201の外部へ出力端子OUT+を通して流れ出る。この正負入力端子IN+及びIN−に入力される差動信号の電圧振幅(Vin)と、正負出力端子OUT+及びOUT−から外部へ流れ出るあるいは引き込む電流値(Iout)の比(Iout/Vin)がgm値である。
【0042】
正負出力端子OUT+及びOUT−から流れ出るあるいは引き込む電流値は、電流源I31が流す電流値と、PMOSトランジスタP31及びP32が流す電流値、すなわちPMOSトランジスタP31及びP32のトランジスタサイズとにより決まり制限される。これにより、振幅制限が行われたことになる。
【0043】
正負出力端子OUT+及びOUT−の直流レベルを決めるのが右側のフィードバック回路である。基準電圧入力端子VREFにこのトランスコンダクタンスアンプ201が正常に動作する直流レべルを与えると、正負出力端子OUT+及びOUT−は基準電圧VREFと同じ直流レベルになる。
【0044】
例えば、正負出力端子OUT+及びOUT−の直流レベルが基準電圧VREFよりも低いと、NMOSトランジスタN33、N35は電流を流さないように働き、PMOSトランジスタP33が流す電流が減少する。NMOSトランジスタN33、N35に電流が流れにくくなった分、NMOSトランジスタN34、N36は電流を流そうとし、PMOSトランジスタP34が流す電流が増加する。PMOSトランジスタP34はダイオード接続されているため電流が増加するとドレイン−ソース間電圧が増し、PMOSトランジスタP31及びP32のゲートへの印加電位VCMFが下がるため、PMOSトランジスタP31及びP32が流す電流が増加し、正負出力端子OUT+及びOUT−の直流レベルが上がる。
【0045】
逆に、正負出力端子OUT+及びOUT−の直流レベルが基準電圧VREFよりも高い場合には、PMOSトランジスタP31及びP32のゲートへの印加電位VCMFが上がって、PMOSトランジスタP31及びP32が流す電流が減少し、正負出力端子OUT+及びOUT−の直流レベルが下がる。
【0046】
このフィードバック回路は正負出力端子OUT+及びOUT−の電圧振幅の大きさの影響を受けず直流レベルのみを調節する。
【0047】
(B−3)振幅制限用トランスコンダクタンスアンプ201の第2構成例及び動作
次に、振幅制限用トランスコンダクタンスアンプ201の第2構成例を、図4を参照しながら説明する。
【0048】
図4は、振幅制限用トランスコンダクタンスアンプ201の第2構成例を示す回路図であり、上述した図3との同一、対応部分には同一符号を付して示している。
【0049】
図4に示す振幅制限用トランスコンダクタンスアンプ201の第2構成例は、図3に示した振幅制限用トランスコンダクタンスアンプ201の第1構成例と比較した場合、PMOSトランジスタP33及びP34の接続関係だけが異なっている。
【0050】
PMOSトランジスタP33は、ゲート及びドレインが互いに接続され、これらゲート及びドレインがPMOSトランジスタP34のゲートに接続されている。これらPMOSトランジスタP33及びP34の他の接続関係は、第1構成例と同様である。
【0051】
すなわち、この第2構成例では、これらPMOSトランジスタP33及びP34はカレントミラー回路を構成している。
【0052】
以下、振幅制限用トランスコンダクタンスアンプ201の第2構成例の動作を、第1構成例の動作との相違点を中心に説明する。
【0053】
この入力信号に制限をかける構成としたトランスコンダクタンスアンプ201の動作について詳しく説明する。
【0054】
上述した第1構成例の場合、PMOSトランジスタP34がダイオード接続になっているため、PMOSトランジスタP31及びP32のゲートに印加される、PMOSトランジスタP34のドレイン電位VCMFが電源電圧VDDからスレッショルド電圧Vth分だけ下がった電位までしか上がらず、正負出力端子OUT+及びOUT−の直流レベルを調整できる範囲が狭い。
【0055】
そこで、この第2構成例では、上述したように、第1構成例でのフィードバック回路内のダイオード接続の部分を、カレントミラー回路で構成した。
【0056】
以下、第2構成例でのフィードバック回路の動作についてのみ説明する。
【0057】
基準電圧入力端子VREFに、このトランスコンダクタンスアンプ201が正常に動作する直流レベルを与える。例えば、正負出力端子OUT+及びOUT−の直流レベルがVREFよりも低いとすると、NMOSトランジスタN33及びN35は電流を流さないように働き、PMOSトランジスタP33が流す電流が減少する。PMOSトランジスタP33及びP34はカレントミラー回路になっているため、PMOSトランジスタP34が流す電流も減少する。すると、電位VCMFが下がるため、PMOSトランジスタP31及びP32が流す電流が増加し、正負出力端子OUT+及びOUT−の直流レベルが上がる。逆に、正負出力端子OUT+及びOUT−の直流レベルが基準電圧VREFよりも高い場合には、電位VCMFが上がってPMOSトランジスタP31及びP32が流す電流が減少し、正負出力端子OUT+及びOUT−の直流レベルが下がる。
【0058】
このフィードバック回路は正負出力端子OUT+及びOUT−の電圧振幅の大きさの影響を受けず、直流レベルのみを調節する。
【0059】
(B−3)第2の実施形態の効果
以上のように、第2の実施形態によっても、第1の実施形態と同様な効果をそうすることができる。すなわち、フィルタ回路本体21に入力ダイナミッグレンジを超えない信号が常に入力されるため、フィルタ回路20としての動作が保証され、また、外部から与える入力信号の電圧振幅を意識してフィルタ回路20に入力する必要がない。
【0060】
さらに、第2の実施形態によれば、図3又は図4に示す振幅制限用トランスコンダクタンスアンプ201を適用しているので、フィルタ回路本体22への入力信号の直流レベルを調整することができる(特に図4に示すもの)。
【0061】
(C)他の実施形態
上記第2の実施形態では、MOSトランジスタで構成したトランスコンダクタンスアンプ201について説明したが、他種類のユニポーラトランジスタやバイポーラトランジスタで構成しても同様な効果が得られる。また、導電型(N型、P型)を、図3や図4に示したものと相互に入れ替えて、トランスコンダクタンスアンプ201を構成しても良い。
【0062】
また、第2の実施形態では、差動信号による構成としたが、片方の入力及び出力を接地するなどして、シングルエンドにしても良く、このようにしても、同様な効果を得ることができる。
【0063】
さらに、第2の実施形態では、図2に示すようにトランスコンダクタンスアンプ201のみを入力信号の制限をかける構成のトランスコンダクタンスアンプとしたが、トランスコンダクタンスアンプ202やフィルタ回路22内のトランスコンダクタンスアンプもトランスコンダクタンスアンプ201と同じ構成にしても良い。
【0064】
【発明の効果】
本発明によれば、入力信号の電圧振幅が大きい場合であっても、安定動作を保証し得るトランスコンダクタンスアンプを用いたフィルタ回路に適用して好適な振幅制限回路を提供できる。
【0065】
また、本発明によれば、入力信号の電圧振幅が大きい場合であっても、安定動作を保証し得るトランスコンダクタンスアンプを用いたフィルタ回路を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施形態のフィルタ回路の構成を示すブロック図である。
【図2】第2の実施形態のフィルタ回路の全体構成を示すブロック図である。
【図3】第2の実施形態の振幅制限用トランスコンダクタンスアンプ201の第1構成例を示す回路図である。
【図4】第2の実施形態の振幅制限用トランスコンダクタンスアンプ201の第2構成例を示す回路図である。
【符号の説明】
10、20…フィルタ回路、11、21…振幅制限回路、12、22…フィルタ回路本体、201…振幅制限用トランスコンダクタンスアンプ、202…電流電圧変換用トランスコンダクタンスアンプ、N31〜N36…NMOSトランジスタ、P31〜P34…PMOSトランジスタ、I1〜I3…電流源。
Claims (4)
- 制御端、第1端及び第2端を有する第1〜第6の第1導電型トランジスタと、制御端、第1端及び第2端を有する第1〜第4の第2導電型トランジスタと、第1〜第3の電流源とを有し、
第1及び第2の第1導電型トランジスタは、互いの第1端同士が接続されて差動対を形成しており、これら第1及び第2の第1導電型トランジスタの制御端はそれぞれ第1及び第2の入力端子に接続され、これらの共通第1端は第1の電流源を介して第2の電源端子に接続され、
第1の第2導電型トランジスタは、第2端が第2の出力端子及び第1の第1導電型トランジスタの第2端に接続され、第1端が第1の電源端子に接続され、制御端が第4の第2導電型トランジスタの第2端に接続され、
第2の第2導電型トランジスタは、第2端が第1の出力端子及び第2の第1導電型トランジスタの第2端に接続され、第1端が第1の電源端子に接続され、制御端が第4の第2導電型トランジスタの第2端に接続され、
第3及び第4の第1導電型トランジスタは、互いの第1端同士が接続されて差動対を形成しており、これらの共通第1端は第2の電流源を介して第2の電源端子に接続され、第3の第1導電型トランジスタの制御端は第1の第1導電型トランジスタの第2端に接続され、第4の第1導電型トランジスタの制御端に基準電圧入力端子に接続され、
第5及び第6の第1導電型トランジスタは、互いの第1端同士が接続されて差動対を形成しており、これらの共通第1端は第3の電流源を介して第2の電源端子に接続され、第5の第1導電型トランジスタの制御端は第2の第1導電型トランジスタの第2端に接続され、第6の第1導電型トランジスタの制御端は基準電圧入力端子に接続され、
第3の第2導電型トランジスタは、制御端及び第2端が相互に接続されており、これら制御端及び第2端が、第3の第1導電型トランジスタの第2端、第5の第1導電型トランジスタの第2端及び第4の第2導電型トランジスタの制御端に接続され、第1端が第1の電源端子に接続され、
第4の第2導電型トランジスタは、制御端が、第3の第2導電型トランジスタの制御端及び第2端に接続され、第2端が、第4の第1導電型トランジスタの第2端及び第6の第1導電型トランジスタの第2端に接続され、第1端が第1の電源端子に接続されている
ことを特徴とする振幅制限回路。 - 制御端、第1端及び第2端を有する第1〜第6の第1導電型トランジスタと、制御端、第1端及び第2端を有する第1〜第4の第2導電型トランジスタと、第1〜第3の電流源とを有し、
第1及び第2の第1導電型トランジスタは、互いの第1端同士が接続されて差動対を形成しており、これら第1及び第2の第1導電型トランジスタの制御端はそれぞれ第1及び第2の入力端子に接続され、これらの共通第1端は第1の電流源を介して第2の電源端子に接続され、
第1の第2導電型トランジスタは、第2端が第2の出力端子及び第1の第1導電型トランジスタの第2端に接続され、第1端が第1の電源端子に接続され、制御端が第4の第2導電型トランジスタの第2端に接続され、
第2の第2導電型トランジスタは、第2端が第1の出力端子及び第2の第1導電型トランジスタの第2端に接続され、第1端が第1の電源端子に接続され、制御端が第4の第2導電型トランジスタの第2端に接続され、
第3及び第4の第1導電型トランジスタは、互いの第1端同士が接続されて差動対を形成しており、これらの共通第1端は第2の電流源を介して第2の電源端子に接続され、第3の第1導電型トランジスタの制御端は第1の第1導電型トランジスタの第2端に接続され、第4の第1導電型トランジスタの制御端に基準電圧入力端子に接続され、
第5及び第6の第1導電型トランジスタは、互いの第1端同士が接続されて差動対を形成しており、これらの共通第1端は第3の電流源を介して第2の電源端子に接続され、第5の第1導電型トランジスタの制御端は第2の第1導電型トランジスタの第2端に接続され、第6の第1導電型トランジスタの制御端は基準電圧入力端子に接続され、
第3の第2導電型トランジスタは、制御端及び第2端が相互に接続されており、これら制御端及び第2端が、第3の第1導電型トランジスタの第2端及び第5の第1導電型トランジスタの第2端に接続され、第1端が第1の電源端子に接続され、
第4の第2導電型トランジスタは、制御端及び第2端が相互に接続されており、これら制御端及び第2端が、第4の第1導電型トランジスタの第2端及び第6の第1導電型トランジスタの第2端に接続され、第1端が第1の電源端子に接続されている
ことを特徴とする振幅制限回路。 - 上記第1及び第2の出力端子に接続されている電流電圧変換部をさらに有することを特徴とする請求項1又は2に記載の振幅制限回路。
- 少なくとも入力段にトランスコンダクタンスアンプを有するフィルタ回路本体と、
入力信号の振幅を上記フィルタ回路本体の入力ダイナミックレンジ以内に制限して上記フィルタ回路本体に入力する振幅制限回路とを有し、
上記振幅制限回路として、請求項1〜3のいずれかに記載のものを適用したことを特徴とするフィルタ回路。
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