JP4492050B2 - 画像表示媒体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は画像表示媒体に係り、特に、対向配置された一対の基板の間隙が、隔壁により基板の表面に沿って複数のセルに区画され、表示濃度を変更可能な表示物質が個々のセル内に封入された画像表示媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】
薄型化・軽量化が容易な画像表示媒体として、一対の基板間に所定の表示物質を封入した構造の画像表示媒体が知られており、上記の表示物質として着色粒子を使用した反射型の画像表示媒体も提案されている(例えば特許文献1〜特許文献3を参照)。また、この種の画像表示装置において、一対の基板の間隙を複数のセルに区画する隔壁を設け、この隔壁により一対の基板の間隙を一定に保持すると同時に、基板間に封入した物質の分布の均一化・各セル内の環境の安定化を実現することで、表示画像のむらを防止する技術も知られている。
【0003】
なお、上記の隔壁は、一対の基板の間隙を格子状に区画するように設けることが一般的である(この場合、個々のセルは矩形状となる)が、上記に関連して特許文献1には、磁性粒子を分散した液体をセル内に封入した構造の磁気表示パネルにおいて、セルの形状をハニカム状とすることが記載されており、段落「0045」にはセルの他の形状として方形状、波形、ダイヤ形状が列記されている。
【0004】
また、特許文献4にも、磁性粒子を分散した液体をセル内に封入した構造の磁気表示パネルにおいて、セルの形状をハニカム状とすることが記載されており、微細表示や磁気泳動を考慮したときのセル面積の好ましい数値範囲も段落「0051」に記載されている。
【0005】
また、特許文献5には、プラズマディスプレイに適用する電磁波遮蔽用前面パネルにおいて、フィルタの導線を曲線又は折れ線から成る格子状としたり、複数の環状の導線を隣接配置したり、格子状の導線の格子間隔又は環の径をランダムにすることでモアレを防止する技術が開示されている。
【0006】
更に、特許文献6には、射出成形により製造される磁気パネル用シートにおいて、該シートの多セル構造におけるセルの形状をハニカム状又は四角形状とすることが段落「0013」に記載されており、セルの形状を菱型状とすること(段落「0018」)や、三角形状とすること(段落「0019」)も記載されている。
【0007】
【特許文献1】
特開2000−47604号公報
【特許文献2】
特開2001−33833号公報
【特許文献3】
特開2002−169191号公報
【特許文献4】
特開2000−221913号公報
【特許文献5】
特開2000−114773号公報
【特許文献6】
特開2001−272933号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
一対の基板間に所定の表示物質を封入した構造の画像表示媒体において、一対の基板の間隙を隔壁によって複数のセルに区画した場合、基板の表面に沿う方向の隔壁の厚みを完全にゼロとすることは不可能であるので、隔壁を設けることで表示開口率(表示領域の面積に占める画像表示に寄与する部分(隔壁以外の部分)の面積の比率)が低下し、表示画像のコントラストが低下するという問題がある。表示開口率の低下は個々のセルを大面積化することで改善できる。
【0009】
しかしながら、個々のセルを大面積化した場合、基板間に設けた隔壁が連続するライン状のノイズパターンとして視認され易くなる、という別の問題が生ずることが、本願発明者等が実施した実験(後述)によって明らかとなった。特に、縦横比の異なるセル構成では、縦横いずれか一方の隔壁の連続したライン状パターンが目立って、表示品質を著しく低下させるという問題があった。また、隔壁がノイズパターンとして視認され易くなるという現象は、着色粒子を基板間に封入した画像表示媒体のように、外部からの光を反射することで画像を視認可能に表示する反射型の画像表示媒体で特に顕著に生ずる。
【0010】
前述のように、特許文献1及び特許文献4〜6にはセルの形状として様々な形状が提案されているものの、隔壁がライン状のノイズパターンとして視認されることを阻止することに関しては何ら考慮されていない。
【0011】
本発明は上記事実を考慮して成されたもので、隔壁がライン状のノイズパターンとして視認されることを抑制できる画像表示媒体を得ることが目的である。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本願発明者等は、対向配置された透明な表示基板と背面基板の間隙に、該間隙を複数のセルに区画する隔壁が設けられ、個々のセル内に表示物質が封入された構成の画像表示媒体として、セルの縦横の長さが互いに異なる複数の反射型の画像表示媒体を各々試作し、試作した画像表示媒体に各々画像を表示させて、表示画像の画質及び隔壁がライン状のノイズパターンとして視認される程度を評価する実験を行った。本願発明者等が試作した複数の画像表示媒体の各々におけるセルの形状及び配置を図1(A)〜(C)に示す。
【0013】
なお、表示基板の表面に交差する方向から見たセルの形状は、図1(A)に示す画像表示媒体では縦1mm、横1mmの正方形、図1(B)に示す画像表示媒体では縦1mm、横5mmの矩形、図1(C)に示す画像表示媒体では縦5mm、横1mmの矩形とした。また、個々の画像表示媒体の隔壁は、高さ(表示基板と背面基板の間隙)が200μm、幅が100μmとし、色を半透明のグレーとした。また、表示物質としては、正に帯電した直径約10μmの黒色の粒子と負に帯電した直径約10μmの白色の粒子を用い、表示基板の対向面側に形成された透明電極と、背面基板の対向面側に形成された電極との間に±200Vの電圧を印加することで、画像(全面が白の画像及び全面が黒の画像)を表示させた。
【0014】
この実験の結果、図1(B)に示す画像表示媒体は、図1(A)に示す画像表示媒体と比較してセルの面積が大きく、これに伴って表示開口率が高くなっているために、全面が白の画像における白さ及び表示のコントラストが改善されるものの、縦方向に沿って延びる各セルの短辺を形成する隔壁の並びが縦ライン状のノイズパターンとして顕著に視認されることで、表示品質が大きく損なわれることが確認された。
【0015】
また図1(C)に示す画像表示媒体も、図1(A)に示す画像表示媒体と比較してセルの面積が大きいために、全面が白の画像における白さ及び表示のコントラストは改善されるものの、今度は横方向に沿って延びる各セルの短辺を形成する隔壁の並びが水平ライン状のノイズパターンとして顕著に視認されることで、表示品質が大きく損なわれることが確認された。
【0016】
このように、セルを扁平な形状とすると、長さの短い辺、すなわち画像表示媒体上でのピッチが大きい方の辺に対応する隔壁の並びがノイズパターンとして視認され易いことが上記実験によって明らかとなった。しかし、特に表示物質として着色粒子を基板間に封入した構成の画像表示媒体では、画像表示媒体を立てて使用し、画像の書き込みを繰り返しを行った場合に、着色粒子が重力により徐々に基板間を落下する(着色粒子を液体中に分散させたものでは、重力によって着色粒子が徐々に沈降する)ことで表示画像の画質が低下することを抑制するために、重力が作用する方向に沿ったセルの大きさを小さくする必要がある。このため、表示開口率の向上を目的としてセルの面積を拡大するには、水平方向に沿ったセルの大きさを大きくせざるを得ず、結果としてセルは縦横の長さが異なる扁平な形状となり、セルの面積に比して縦方向に延びる隔壁のピッチが大きくなるので、縦方向に延びる隔壁がノイズパターンとして視認され易くなることが避けられない。
【0017】
上記に基づき本願発明者等は、図1(A)〜(C)に示すセルの配置では、個々のセルを形成する隔壁のうちライン状のノイズパターンとして視認され易い隔壁(図1(A)〜(C)の例では個々のセルの短辺を形成している隔壁)が、該隔壁の延びる方向に連続していることに着目し、ライン状のノイズパターンとして視認され易い隔壁が、該隔壁の延びる方向に連続しないように各セルを配置すれば、隔壁がノイズパターンとして視認されることを抑制できることに想到し、本発明を成すに至った。
【0018】
上記に基づき請求項1記載の発明に係る画像表示媒体は、間隙を隔てて対向配置された一対の基板と、前記一対の基板の間隙を前記基板の表面に沿って複数のセルに区画する隔壁と、個々のセル内に封入され表示濃度を変更可能な表示物質と、を備えた画像表示媒体であって、前記基板の表面に交差する方向から見て、前記個々のセルが、対向する一対の長辺と対向する一対の短辺で囲まれた四角形であり、該個々のセルの4個の角部の少なくとも1つが、該角部に接する短辺の延びる方向に存在しかつ該個々のセルと隣り合うセルの辺の中間部で、前記隣り合うセルと接するようにランダムな配置となるよう前記隔壁が構成されていることを特徴としている。
【0019】
請求項1記載の発明では、個々のセルを、基板の表面に交差する方向から見て、対向する一対の長辺と対向する一対の短辺で囲まれた四角形(矩形、平行四辺形、台形の何れでもよい)としている。このように、個々のセルを四角形とすることにより、表示物質として、例えば着色粒子等のように重力により基板間を落下、或いは沈降する性質を有する物質を用いた場合にも、個々のセルの向きを、長さの短い方向が重力の作用する方向に一致する向きとすることで、表示物質の落下或いは沈降を抑制できる。
【0020】
また請求項1記載の発明では、個々のセルの4個の角部の少なくとも1つが、該角部に接する短辺の延びる方向に存在しかつ該個々のセルと隣り合うセルの辺の中間部(両端部の間の部分)で、隣り合うセルと接する配置となるように隔壁が構成されている。これにより、個々のセルのうちの少なくとも最も長さの短い辺を形成している隔壁(前記辺に沿って延びる隔壁)が、最も長さの短い辺の延びる方向に存在しかつ該個々のセルと隣り合うセルとの交差位置で途切れる(前記辺の延びる方向に沿って前記交差位置より先には連続しない)ことになる。そして、基板の表面に交差する方向から見て、個々のセルの短辺が、該短辺に交差する方向に沿ってランダムに位置するように隔壁が構成されている。
【0021】
このように、請求項1記載の発明によれば、一対の長辺と短辺で囲まれた四角形である個々のセルの4個の角部の少なくとも1つが、該角部に接する短辺の延びる方向に存在しかつ該個々のセルと隣り合うセルの辺の中間部で、前記隣り合うセルと接するようにランダムな配置となるよう隔壁が構成される。これによって、ライン状のノイズパターンとして視認され易い複数の隔壁が同一線上に位置する可能性が低減されるので、隔壁がライン状のノイズパターンとして視認されることを抑制することができ、画像表示媒体の表示品質を向上させることができる。
【0024】
また、請求項1記載の発明において、隔壁は、例えば請求項2に記載したように、基板の表面に交差する方向から見た個々のセルの形状が、角部が面取り又は円弧状とされた形状となるように構成されていてもよい。
【0026】
更に、請求項1記載の発明において、例えば請求項3に記載したように、基板の表面に交差する方向から見た個々のセルの長辺と短辺の比が不定となるように隔壁を構成してもよい。この場合も、ライン状のノイズパターンとして視認され易い複数の隔壁が同一線上に位置する可能性を低減することができるので、隔壁がノイズパターンとして視認されることを更に抑制することができる。
【0027】
また、請求項1乃至請求項3の何れかに記載の発明に係る画像表示媒体としては、種々の構成の表示媒体を適用可能であるが、特に請求項4に記載した、外部からの光を反射することで表示画像を視認可能とし、かつ表示すべき画像に応じて外部から供与されたエネルギーにより前記一対の基板間を移動する1種類以上の着色粒子群とした表示媒体は、隔壁がノイズパターンとして視認され易くなるという現象が顕著に生ずるので、特に好適である。
【0028】
また、請求項4に記載したように、表示物質として、表示すべき画像に応じて外部から供与されたエネルギーにより一対の基板間を移動する1種類以上の着色粒子群を用いた構成の表示媒体では、重力の作用によりセル内で表示物質(すなわち着色粒子群)の落下又は沈降が生ずるが、請求項1乃至請求項3の何れかに記載の発明は、この落下又は沈降を抑制するために個々のセルの形状を四角形とした場合に、隔壁がノイズパターンとして視認されることを抑制できるので、上記構成の画像表示媒体に特に好適である。
【0029】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施形態の一例を詳細に説明する。図2には本実施形態に係る画像表示媒体10が示されている。画像表示媒体10は反射型の表示媒体であり、透光性を有する表示側基板12と、該表示側基板12と間隙を隔てて対向配置された背面側基板14を備えている。表示側基板12と背面側基板14の間隙には、表示側基板12と背面側基板14の間隙を一定に保持すると共に、前記間隙を表示側基板12及び背面側基板14の表面に沿って複数のセルに区画する隔壁16が設けられている。なお、隔壁16は、例えばフォトリソグラフィー法又は印刷法等によって形成することができる。また、隔壁16の色は例えば半透明のグレーとすることができるが、他の色でもよい。
【0030】
図3に示すように、隔壁16によって形成される個々のセルは、対向する一対の長辺と対向する一対の短辺で囲まれた長方形を基本形状とし、短辺の長さも一定とされているものの、長辺の長さ(縦横比)が不定で、長辺の延びる方向も不定(縦方向又は横方向)されている。そして個々のセルは、一対の短辺の少なくとも一方の両端に位置している一対の角部の少なくとも一方が、該角部と接する短辺の延びる方向に存在しかつ個々のセルと隣り合うセルの辺の中間部で、前記隣り合うセルと接するようにランダムに配置されている。
【0031】
例えば図3に示すセル18Aに着目すると、セル18Aの一対の短辺のうち、図3における左側に位置している短辺については、該短辺の両端に位置している一対の角部のうち、図3における上側に位置している角部が、前記短辺の延びる方向に存在しかつセル18Aと隣り合うセル18Bの辺の中間部でセル18Bと接しており(図3の破線Aで囲んだ部分を参照)、図3における右側に位置している短辺については、該短辺の両端に位置している一対の角部のうち、図3における下側に位置している角部が、前記短辺の延びる方向に存在しかつセル18Aと隣り合うセル18Cの辺の中間部でセル18Cと接している(図3の破線Bで囲んだ部分を参照)。
【0032】
なお、図3に示すセルの形状及び配置は、請求項1、請求項3記載の発明に対応している。
【0033】
また、図2に示すように、表示側基板12には背面側電極22との対向面に近い位置に透明な表示側電極20が埋設されており、同様に背面側基板14には表示側基板12との対向面に近い位置に背面側電極22が埋設されている。また、個々のセル内には、本発明に係る表示物質として、互いに異なる極性に帯電している黒粒子24及び白粒子26が各々所定量封入されている。なお、黒粒子24及び白粒子26としては、例えば直径が約10μmの粒子を用いることができ、黒粒子24として正に帯電した粒子を、白粒子26として負に帯電した粒子を用いることができる。画像表示媒体10は、表示側電極20及び背面側電極22を介して印加する電圧を制御することで、黒粒子24及び白粒子26の移動、すなわち表示濃度を制御することができ、これにより任意の画像を表示することが可能とされている。
【0034】
なお、本実施形態に係る画像表示媒体10では、個々のセル内が空気等の気体で満たされているが、これに代えて、透明な絶縁性液体中に帯電した白粒子及び黒粒子を分散させたものをセル内に充填してもよい。また、上記の絶縁性液体を例えば白色にし、この絶縁性液体中に帯電した黒粒子を分散させたものを用いてもよい。更に、帯電された粒子に代えて磁性粒子を用い、例えば白色液体或いは白色粉体中に黒色の磁性粒子を混合したものを用いてもよい。但しこの場合、黒色磁性粒子を移動させる(画像表示媒体に画像を表示させる)ことは磁気ヘッドで行なうことになる。
【0035】
本実施形態では、個々のセルを、一対の短辺の少なくとも一方の両端に位置している一対の角部の少なくとも一方が、該角部と接する短辺の延びる方向に存在しかつ個々のセルと隣り合うセルの辺の中間部で、前記隣り合うセルと接するようにランダムに配置しているので、一定以上の長さに亘って連続している隔壁16が、比較的大きなピッチで周期的に現れることを阻止することができる。これにより、隔壁16がライン状のノイズパターンとして視認されることを抑制することができ、画像表示媒体10の表示品質を向上させることができる。
【0036】
以下、セルの形状及び配置の他の態様について説明する。本発明に係る表示物質として、上述した黒粒子24や白粒子26等の着色粒子をセル内に封入した構成では、画像表示媒体10を立てて使用し、画像の書き込みを繰り返しを行った場合に、着色粒子が重力により徐々にセル内を落下する(着色粒子を液体中に分散させたものでは、重力によって着色粒子が徐々に沈降する)ことになり、この着色粒子の落下又は沈降が表示画像の画質に影響を与える可能性がある。
【0037】
このため、図4に示す態様では黒粒子24や白粒子26がセル内を落下又は沈降することで表示画像の画質が低下することを抑制するために、個々のセルを、対向する一対の長辺と対向する一対の短辺で囲まれた長方形を基本形状とし、長辺の延びる方向が水平方向(図4の左右方向)に一致する(短辺の延びる方向が鉛直方向(図4の上下方向)に一致する)ように配置すると共に、短辺の長さを、黒粒子24や白粒子26がセル内を落下又は沈降しても表示画像の画質に影響を与えない程度の所定長さとしている(但し、個々のセルの長辺の長さ(縦横比)は不定)。そして個々のセルは、一対の短辺の両端に各々位置している計4個の角部が、個々の角部と接する短辺の延びる方向に存在しかつ個々のセルと隣り合うセルの辺の中間部で、前記隣り合うセルと接するようにランダムに配置されている。
【0039】
図4に示す態様では、個々のセルを短辺の延びる方向が鉛直方向に一致するように配置すると共に、短辺の長さを制限しているので、セル内での黒粒子24や白粒子26の落下又は沈降が表示画像の画質に影響を与えることを防止することができる。また、個々のセルを、一対の短辺の両端に各々位置している計4個の角部が、個々の角部と接する短辺の延びる方向に存在しかつ個々のセルと隣り合うセルの辺の中間部で、前記隣り合うセルと接するようにランダムに配置しているので、或るセルの短辺の形成している隔壁が、前記短辺の延びる方向に存在しかつ前記或るセルと隣り合うセルの短辺を形成している隔壁と連続することを防止できる。従って隔壁16がライン状のノイズパターンとして視認されることを抑制することができ、画像表示媒体10の表示品質を向上させることができる。
【0040】
次に図5に示す態様を説明する。図5に示す態様では、個々のセルを、対向する一対の長辺と対向する一対の短辺で囲まれた長方形の同一形状・サイズとし、長辺の延びる方向が水平方向(図5の左右方向)に一致する(短辺の延びる方向が鉛直方向(図5の上下方向)に一致する)ように配置している(短辺の長さは黒粒子24や白粒子26がセル内を落下又は沈降しても表示画像の画質に影響を与えない程度の所定長さ)。そして個々のセルを、一対の短辺の両端に各々位置している計4個の角部が、個々の角部と接する短辺の延びる方向に存在しかつ個々のセルと隣り合うセルの辺の中央部で前記隣り合うセルと接するように、煉瓦状に配置している。
【0042】
図5に示す態様でも、個々のセルを短辺の延びる方向が鉛直方向に一致するように配置し、かつ短辺の長さを制限しているので、セル内での黒粒子24や白粒子26の落下又は沈降が表示画像の画質に影響を与えることを防止できる。また、個々のセルを、一対の短辺の両端に各々位置している計4個の角部が、個々の角部と接する短辺の延びる方向に存在しかつ個々のセルと隣り合うセルの辺の中間部で前記隣り合うセルと接するように配置しているので、或るセルの短辺の形成している隔壁が、前記短辺の延びる方向に存在しかつ前記或るセルと隣り合うセルの短辺を形成している隔壁と連続することはなく、隔壁16がライン状のノイズパターンとして視認されることを抑制することができ、画像表示媒体10の表示品質を向上させることができる。
【0043】
なお、図5に示す態様では、個々のセルが一定の形状及びサイズで、個々のセルを煉瓦状に配置しているので、個々のセルの短辺の水平方向に沿った位置が、鉛直方向に沿って1つおきのセル毎に揃っているが、人間の視覚特性を考慮し、個々のセルの短辺を形成する隔壁16のピッチ(個々のセルの長辺の長さ)を、人間がノイズパターンとして視認し難いように図4の態様よりも小さくしているので、個々のセルの短辺を形成する隔壁16がライン状のノイズパターンとして視認されることを効果的に抑制できる。一方、図5に示す態様は、図3及び図4に示す態様と比較して製造が容易になるという利点を有している。
【0044】
次に図6に示す態様を説明する。図6に示す態様では、個々のセルを長方形の同一形状・サイズとし、長辺の延びる方向が水平方向(図6の左右方向)に一致する(短辺の延びる方向が鉛直方向(図6の上下方向)に一致する)ように配置している。そして、個々のセルの短辺の水平方向に沿った位置を、鉛直方向に沿って一定量ずつずらすことで、個々のセルを、一対の短辺の両端に各々位置している計4個の角部が、個々の角部と接する短辺の延びる方向に存在しかつ個々のセルと隣り合うセルの辺の中間部で前記隣り合うセルと接するように配置している。
【0046】
図6に示す態様でも、セル内での黒粒子24や白粒子26の落下又は沈降が表示画像の画質に影響を与えることを防止できると共に、隔壁16がライン状のノイズパターンとして視認されることを抑制することができ、画像表示媒体10の表示品質を向上させることができる。但し、図6に示す態様では、個々のセルの短辺の水平方向に沿った位置を、鉛直方向に沿って一定量ずつずらしているものの、そのずらし量が比較的小さく、鉛直方向に隣り合うセルの短辺の水平方向に沿った位置が比較的近いので、個々のセルの短辺を形成する隔壁16及び該隔壁を繋いでいる隔壁16が規則的なノイズパターンとして視認されることがあり、ずらし量をより大きくするか、又はずらし量をランダムとすることが望ましい。
【0047】
なお、セルの形状を長方形とした場合のセルの配置は図3〜図6に示す態様に限られるものではなく、例えば図7に示すように、長辺の長さが異なるセルを混在させてもよい。また、例として図8に示すように、一部の特定セルについてのみ、特定セルの短辺の両端に位置している一対の角部の少なくとも一方が、前記短辺の延びる方向に存在しかつ前記特定セルと隣り合うセルの辺の中間部で、前記隣り合うセルと接する配置となるようにしても、隔壁16がライン状のノイズパターンとして視認されることを或る程度抑制することができる。
【0048】
また、上記ではセルの形状を長方形とした例を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、セルの形状を長方形以外の形状とした場合にも、本発明を適用することで、隔壁がノイズパターンとして視認されることを抑制することができる。セルの形状は、例えば図9に示すように角部が円弧状とされた形状であってもよいし、図10や図11に示す平行四辺形、図12に示す台形、図13に示すように角部が面取りされた多角形等、任意の形状を採用できる。また、図14に示すようにセルの辺は曲線であってもよいし、図15に示すように三角形であってもよい。セルの形状として何れの形状を採用した場合にも、本発明を適用することで隔壁がライン状のノイズパターンとして視認されることを抑制することができ、画像表示媒体の表示品質を向上させることができる。
【0049】
また、上記では本発明に係る画像表示媒体として、帯電された着色粒子が表示物質として封入されている構成を例に説明したが、これに限定されるものではなく、画像表示物質としてPDPやEL等の発光系材料層が基板上に形成されて成る構成を採用してもよいし、液晶等の光シャッター機能を有する材料層を透明な背面基板上に形成し、背面基板の背後にバックライトを配置した透過型の画像表示媒体に本発明を適用してもよい。また、背面基板に形成した高反射率層の上に液晶等の光シャッター機能を有する材料層を形成した反射型の画像表示媒体に本発明を適用することも可能であり、上記の材料層を形成する表示物質として、外部エネルギーで材料自体が変色する特性を有する材料を用いてもよい。
【0050】
【発明の効果】
以上説明したように本発明は、基板の表面に交差する方向から見て、個々のセルが長さの異なる辺を含む3本以上の辺から成る扁平な形状で、少なくとも一部の特定セルのうち少なくとも最も長さの短い辺の両端に位置している一対の角部の少なくとも一方が、最も長さの短い辺の延びる方向に存在しかつ特定セルと隣り合うセルの辺の中間部で、前記隣り合うセルと接する配置となるように隔壁が構成されているので、隔壁がライン状のノイズパターンとして視認されることを抑制できる、という優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本願発明者等が実施した実験で試作した画像表示媒体におけるセルの形状及び配置を示す概略図である。
【図2】 本実施形態に係る画像表示媒体の概略構成を示す断面図である。
【図3】 画像表示媒体におけるセルの形状及び配置の一例を示す平面図である。
【図4】 セルの形状及び配置の他の例を示す平面図である。
【図5】 セルの形状及び配置の他の例を示す平面図である。
【図6】 セルの形状及び配置の他の例を示す平面図である。
【図7】 セルの形状及び配置の他の例を示す平面図である。
【図8】 セルの形状及び配置の他の例を示す平面図である。
【図9】 セルの形状及び配置の他の例を示す平面図である。
【図10】 セルの形状及び配置の他の例を示す平面図である。
【図11】 セルの形状及び配置の他の例を示す平面図である。
【図12】 セルの形状及び配置の他の例を示す平面図である。
【図13】 セルの形状及び配置の他の例を示す平面図である。
【図14】 セルの形状及び配置の他の例を示す平面図である。
【図15】 セルの形状及び配置の他の例を示す平面図である。
【符号の説明】
10 画像表示媒体
12 表示側基板
16 隔壁
24 黒粒子
26 白粒子
Claims (4)
- 間隙を隔てて対向配置された一対の基板と、前記一対の基板の間隙を前記基板の表面に沿って複数のセルに区画する隔壁と、個々のセル内に封入され表示濃度を変更可能な表示物質と、を備えた画像表示媒体であって、
前記基板の表面に交差する方向から見て、前記個々のセルが、対向する一対の長辺と対向する一対の短辺で囲まれた四角形であり、該個々のセルの4個の角部の少なくとも1つが、該角部に接する短辺の延びる方向に存在しかつ該個々のセルと隣り合うセルの辺の中間部で、前記隣り合うセルと接するようにランダムな配置となるよう前記隔壁が構成されていることを特徴とする画像表示媒体。 - 前記基板の表面に交差する方向から見た個々のセルの形状が、角部が面取り又は円弧状とされた形状となるように前記隔壁が構成されていることを特徴とする請求項1記載の画像表示媒体。
- 前記基板の表面に交差する方向から見た個々のセルの長辺と短辺の比が不定となるように前記隔壁が構成されていることを特徴とする請求項1記載の画像表示媒体。
- 前記表示媒体は、外部からの光を反射することで表示画像を視認可能とし、かつ表示すべき画像に応じて外部から供与されたエネルギーにより前記一対の基板間を移動する1種類以上の着色粒子群であることを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか1項記載の画像表示媒体。
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