以下、図面を参照しながら本発明における定期券付きクレジットカード発行システムの実施の形態について詳細に説明する。なお、以下の説明では、実際の運用状態を表現するために、定期券付きクレジットカードを『ビュースイカ定期券(登録商標)』と云うことにする。但し、以降は(登録商標)という記載は省略する。また、鉄道用ICカードのことをスイカ定期券と云うことにする。
図1は、本発明においてビュースイカ定期券を運用するための定期券付きクレジットカード発行システムの構成図である。図1において、定期券付きクレジットカードであるビュースイカ定期券の運用システムの構成は、ビュースイカ定期券の窓口取り扱いを行う駅務機器・端末1と、ビュースイカ定期券のカード発行情報を付与したりスイカ(ICカード)としての情報管理を行うID管理システム2と、ビュースイカ定期券の会員管理をしたりビュースイカ定期券のカード発行を行うビューカードシステム3とを備えた構成となっている。その他、定期券情報のコンバートによるデポジット返却を行う駅収入管理システムやデータ管理を行うデータ管理PCなどがあるが、この図面では省略されている。
駅務機器・端末1は、駅窓口でビュースイカ定期券の発行などを行うカードベンダ11、定期券発売機12、金銭管理を行うPOS端末13、カード発売機やALTTE(登録商標)などのようにビュースイカ定期券への入金処理が可能なチャージ可能機器14、ALTTEなどのように払い戻しが可能な払戻し可能機器15、ビュースイカ定期券の窓口取り扱いを行う端末であるマルス端末(登録商標)16、及び窓口清算機17などを備えた構成となっている。ID管理システム2は、ビュースイカ定期券の取り扱い駅に備えられたID管理駅サーバ21と、各ID管理駅サーバ21を集中的に管理するID管理センタサーバ22とを備えた構成となっている。ビューカードシステム3は、ビュースイカ定期券の処理に関する全体的な管理を行うホスト装置31と、ホスト装置31へ情報を入力するための端末であるVCC業務端末32とを備えた構成となっている。
次に、フロー図を用いながら、図1に示す運用システムがビュースイカ定期券を新規発行するときの処理の流れを説明する。図2は、図1のシステム構成において、ビュースイカ定期券を新規発行するときの処理の流れを示すフロー図であり、図3は図2の続きのフロー図である。つまり、図2及び図3は、利用者がビュースイカ定期券を申し込んでから、ビュースイカ定期券が発行されて利用者に郵送されるまでの処理の流れを示している。
図2において、まず、利用者は、必要な定期券情報を記載したビュースイカ定期券の申込書を、郵送、FAX、またはインターネットなどによってビューカードシステム3へ送付する。なお、ビュースイカ定期券を申し込むときにスイカ定期券ホルダが必要な場合は、利用者はスイカ定期券のID番号を申込書に記入して送付する(ステップS1a)。すると、駅職員は、ビューカードシステム3のVCC業務端末32より申込書の内容にしたがって定期券情報データの入力を行い、これらの定期券情報データをビューカードシステム3のホスト装置31へ送信する(ステップS2a)。これによって、ビューカードシステム3のホスト装置31は、ID番号よりビュースイカ定期券の定期券情報データを取得し、ビュースイカ定期券の申込書の情報(仮名氏名、生年月日、性別など)との照合チェックを行ってリストを出力する。このとき、エラー発生のときのその旨の情報を出力するようにしてもよい。なお、定期券情報データを設定する箇所は駅務機器・端末1のカードベンダ11とする。
また、定期券情報データは、ビューカードシステム3のホスト装置31からID管理システム2のID管理駅サーバ21へ送信され(ステップS3a)、定期券情報データを受け取った旨の応答がID管理駅サーバ21からビューカードシステム3のホスト装置31へ返送される(ステップS4a)。なお、ID管理システム2の内部においては、ID管理駅サーバ21からID管理センタサーバ22へこれらの定期券情報データが送信され(ステップS5a)、ID管理センタサーバ22は定期券情報データを受け取って管理している旨の確認応答をID管理駅サーバ21へ返信する(ステップS6a)。
次に、ビューカードシステム3のホスト装置31は、ビュースイカ定期券のID番号や個人情報(氏名、性別、生年月日、電話番号など)などのようなビュースイカ定期券の発行情報をMOに作成し、その発行情報MOを駅務機器・端末1のカードベンダ11へ送信する。これによって、駅務機器・端末1のカードベンダ11は、ビュースイカ定期券のID番号に基づいて発行情報MOより定期券情報データを取得する(ステップS7a)。
ここで、駅務機器・端末1のカードベンダ11は、定期券情報データの取得時に定期券の有効期限が例えば1ヶ月以上とか2週間以上の場合及びID番号が未記入の場合は、定期券情報の部分にダミーデータを書き込んでID管理システム2のID管理駅サーバへ送信する(ステップS8a)。すると、ID管理システム2のID管理駅サーバ21は、定期券情報の部分にダミーデータが書き込まれた情報を受け取った旨の確認応答を駅務機器・端末1のカードベンダ11へ返信する(ステップS9a)。さらに、ID管理駅サーバ21は、定期券情報の部分にダミーデータが書き込まれた情報をID管理センタサーバ22へ送信する(ステップS10a)。なお、ダミーデータや定期券情報データの有無や有効期限のチェックは図示しないデータ管理PCにて行う。
これによって、駅務機器・端末1のカードベンダ11は、クレジット情報やスイカ定期券情報をエンコードし、定期券情報の部分にダミーデータを書き込んだカードを活性化してビュースイカ定期券として発行する。このとき、駅務機器・端末1のカードベンダ11は、発行したビュースイカ定期券の明細情報と定期券購入情報をID管理システム2のID管理センタサーバ22へ送信する(ステップS11a)。ここで、駅務機器・端末1のカードベンダ11は、定期券情報がない場合は、売上セロ、定期券額ゼロ、及び定期券情報ダミーとしてID管理システム2のID管理センタサーバ22へ送信する。
次に、図3において、駅務機器・端末1のカードベンダ11は、会員(利用者)ごとに非活性状態または活性状態のビュースイカ定期券を郵送する(ステップS12a)。また、会員ごとに郵送された非活性状態または活性状態のビュースイカ定期券に関する情報は、駅務機器・端末1のカードベンダ11から紐付けMOによってビューカードシステム3へのホスト装置31へ送信される(ステップS13a)。
ここで、ステップS12aにおいて、非活性状態のビュースイカ定期券は、郵送された時点では定期券情報が入力されていないので定期券として使えないが、ID番号が記入されていて、定期券情報のチェックを行い、定期券情報をカードに移行して活性化すれば定期券として使用できる会員(利用者)に対して郵送される。つまり、ダミーデータが書き込まれていて非活性状態のビュースイカ定期券(非活性カード)は、クレジットカードとして使用することはできるが定期券として使用することができないので、定期券として使用するためには、非活性カードに定期券情報を取り込んで活性化する処理を行う必要である。なお、定期券情報をカードに取り込まなくてもSF(ストアドフェア、つまりスイカカードに残された残高)の利用は可能である。また、非活性状態のビュースイカ定期券(非活性カード)は、定期券として使用しないでクレジットカードのみで使用する利用者に対しても郵送される。
一方、活性状態のビュースイカ定期券(活性カード)は、ビュースイカ定期券を定期券として利用できるように申し込んだ会員に対して送付されるものであって、あらかじめ定期券情報データが入力されていて、クレジットカードとしても定期券としても使用することができるカードである。そのため、活性状態のビュースイカ定期券(活性カード)が利用者の手元に届いた時点では、利用者の手持ちのスイカ定期券やビュースイカ定期券における定期券機能の有効期限が切れることが確実な会員に対して郵送される。
次に、非活性化状態のビュースイカ定期券に定期券情報を入力して活性化するための処理の流れを説明する。図4は、非活性化状態のビュースイカ定期券に定期券情報を入力して活性化するための処理の流れを示すフロー図である。まず、利用者は非活性化状態のビュースイカ定期券を駅務機器・端末1の定期券発売機12へ投入する(ステップS1b)。さらに、利用者は、定期券情報を定期券発売機12へ入力するか、または手持ちの磁気定期券を定期券発売機12へ投入する。このとき、駅務機器・端末1の定期券発売機12は、磁気定期券が投入された場合は、磁気定期券のみについてはビュースイカ定期券への発行替えを行うために性別や年齢などの個人情報のチェックは行わないが、投入されたビュースイカ定期券についてはクレジットの有効期限の判定を行う。そして、クレジットの有効期限を越えたビュースイカ定期券に対しては定期券の発行は行わないようにする(ステップS2b)。
なお、通学定期券などのように発行するのに証明書が必要な定期券は、窓口で発行した磁気定期券から発行替えを行う。さらに、定期券発売機12でビュースイカ定期券に新規発行できる定期券の種類は現行の運用状態に合わせる。また、現行のSF(ストアドフェア)の使用が不可能な定期券は、データをコンバートするときに1ビットを使ってビュースイカ定期券にSF使用不可のフラグを立てる。
次に、現金決済を行う場合は、利用者は、ステップS1bでビュースイカ定期券を定期券発売機12へ投入したときに決済に必要な現金を投入する(ステップS3b)。また、ビュースイカ定期券でカード決済を行う場合は、利用者が駅務機器・端末1の定期券発売機12で暗証番号を入力し、ビューカードシステム3のホスト装置31に対して与信を行う(ステップS4b)。すると、ビューカードシステム3のホスト装置31は与信に対しての結果応答を駅務機器・端末1の定期券発売機12へ送信する。このとき、ビューカードシステム3のホスト装置31は与信OKであれば売上計上を行う(ステップS5b)。なお、このとき決済に使用できるカードはビュースイカ定期券のみである。
次に、駅務機器・端末1の定期券発売機12は、ビューカードシステム3のホスト装置31から与信OKの応答を受け取ると、ビュースイカ定期券に対して定期券情報をエンコードし、そのビュースイカ定期券の明細情報と定期券購入情報をID管理システム2のID管理駅サーバ21へ送信する(ステップS6b)。さらに、ID管理駅サーバ21は、受信したビュースイカ定期券の明細情報と定期券購入情報をID管理システム2内のID管理センタサーバ22へ送信する(ステップS7b)。これによって、駅務機器・端末1の定期券発売機12は、定期券情報のエンコードされたビュースイカ定期券(つまり、活性化されたビュースイカ定期券)を利用者へ返却する。このとき、発行替えされた磁気定期券の原券は、利用者には返却せずに駅務機器・端末1の定期券発売機12で回収される(ステップS8b)。
なお、次世代定期券発売機においては、スイカ定期券及びビュースイカ定期券からのコンバート及び再発行ができるようにする。このとき、定期券の発行替えを行う場合は、性別、生年月日などの個人情報が一致した場合のみコンバート及び再発行の処理ができるようにする。また、スイカ定期券とビュースイカ定期券の双方のカードにSF(ストアドフェア)残高や定期券情報がある場合は発行替えを行わないようにする。さらに、カードの有効期限後は発行替えを行わないようにする。また、通学定期券などのように発行するのに証明書が必要な定期券は駅窓口で発行するようにする。その場合、定期券がスイカ定期券であっても駅窓口で発行替えを行うようにする。
次に、ビュースイカ定期券を継続発行するときの処理の流れを説明する。図5は、ビュースイカ定期券を継続発行するときの処理の流れを示すフロー図である。まず、利用者はビュースイカ定期券を駅務機器・端末1の定期券発売機12へ投入する(ステップS1c)。さらに、利用者は、定期券情報を定期券発売機12へ入力する。これによって、駅務機器・端末1の定期券発売機12はクレジットの有効期限の判定を行う。このとき、定期券発売機12は、クレジットの有効期限を越えたビュースイカ定期券に対しては継続発行を行わないようにする(ステップS2c)。
さらに、現金決済を行う場合は、利用者は、ステップS1bでビュースイカ定期券を定期券発売機12へ投入した直後に現金を投入する(ステップS3c)。但し、決済は現金でもビューカードでも行うことができるので、ビューカードで決済を行う場合は現金を投入する必要はない。なお、決済に使用できるビューカードは自分のビュースイカ定期券のみである。
ビュースイカ定期券でカード決済を行う場合は、利用者が駅務機器・端末1の定期券発売機12で暗証番号を入力し、ビューカードシステム3のホスト装置31に対して与信を行う(ステップS4c)。すると、ビューカードシステム3のホスト装置31は与信に対しての確認応答を駅務機器・端末1の定期券発売機12へ送信する。このとき、ビューカードシステム3のホスト装置は与信OKであれば売上計上を行う(ステップS5c)。なお、決済に使用できるカードは自分のビュースイカ定期券のみである。
ステップS5cで、駅務機器・端末1の定期券発売機12は、ビューカードシステム3のホスト装置31から与信OKの確認応答を受け取ると、ビュースイカ定期券に対して定期券情報をエンコードし、該当するビュースイカ定期券の明細情報と定期券購入情報をID管理システム2のID管理駅サーバ21へ送信する(ステップS6c)。さらに、ID管理駅サーバ21は、受信したビュースイカ定期券の明細情報と定期券購入情報をID管理システム2内のID管理センタサーバ22へ送信する(ステップS7c)。これによって、これによって、駅務機器・端末1の定期券発売機12は、継続更新済みのビュースイカ定期券を利用者へ返却する(ステップS8c)。
次に、手持ちのスイカ定期券から非活性状態のビュースイカ定期券へ定期券情報をコンバートしてビュースイカ定期券を活性化するときの処理の流れを説明する。図6は、既存のスイカ定期券から非活性状態のビュースイカ定期券へ定期券情報を移し替えて活性化処理を行うときの流れを示すフロー図である。つまり、この図は、ビュースイカ定期券を申し込むときに手持ちのスイカ定期券のホルダが必要な場合に行われる処理の流れを示している。まず、利用者は、スイカ定期券と非活性状態のビュースイカ定期券との2枚の定期券を持って駅窓口へ行き、駅務機器・端末1のPOS端末13へ投入する(ステップS1d)。すると、駅務機器・端末1のPOS端末13は2枚の定期券情報をID管理システム2のID管理駅サーバ21に照会し(ステップS2d)、さらに、2枚の定期券情報はID管理駅サーバからID管理センタサーバに照会されて確認される(ステップS3d)。
そして、駅係員が、駅務機器・端末1のPOS端末13のモニタ画面によって2枚の定期券情報を比較確認し、2枚の定期券情報が正常であれば、POS端末13はビュースイカ定期券の活性化処理を行う(ステップS4d)。さらに、ビュースイカ定期券の活性化処理が終わると、駅務機器・端末1のPOS端末13はスイカ定期券の無効化処理を行う。このとき、スイカ定期券にチャージされていたSF(ストアドフェア)及びデポジットは手数料なしで利用者に払い戻される。なお、無効化されたスイカ定期券は通常は回収されるが、顧客が必要である意思を述べれば顧客に渡される(ステップS5d)。
このようにして、あらかじめ記入されたID番号に基づいて定期券情報のチェックが行われ、定期券情報データが書き込まれた会員のビュースイカ定期券については、そのビュースイカ定期券に書き込まれている明細書情報及び定期券購入情報が駅務機器・端末1のPOS端末13からID管理システム2のID管理センタサーバ22へ送信される。このとき、定期券情報がある場合は売上金額、定期券金額、定期券情報などがID管理センタサーバ22へ送信される(ステップS6d)。また、活性化されて定期券情報が入力されたビュースイカ定期券は、駅務機器・端末1のPOS端末13から利用者へ渡される(ステップS7d)。これによって、利用者は活性化されたビュースイカ定期券をクレジット機能と定期券機能として利用することができる。
次に、ビュースイカ定期券に入金(チャージ)を行うときの処理の流れを説明する。図7は、ビュースイカ定期券に入金(チャージ)を行うときの処理の流れを示すフロー図である。まず、利用者は駅務機器・端末1のチャージ可能機器14、例えば駅構内に設置されているカード発売機、定期券発売機、ALTTEなどへビュースイカ定期券を投入する。すると、カード発売機などのチャージ可能機器14はビュースイカ定期券に記録されているクレジット有効期限の判定を行う(ステップS1e)。
ここで、カード発売機などのチャージ可能機器14は、クレジット有効期限の過ぎたビュースイカ定期券に対してはクレジットでのチャージ処理を行わない。但し、現金を投入した場合は、クレジットの有効期限切れ後は定期券の有効期限まではチャージ処理を行う。定期券の有効期限が切れた後は、そのビュースイカ定期券に対してはSF(ストアドフェア)の利用のみができるようにする。また、ビュースイカ定期券については、クレジットの有効期限まではクレジット、現金共にチャージの取り扱いができるようにする。クレジットの有効期限が切れた後は、そのカードに残っているSF(ストアドフェア)のみの利用ができるようにする。
次に、ステップS1eでビュースイカ定期券をチャージ可能機器14に投入した後に現金決済を行う場合は、チャージ希望金額を選択してから所望の現金をチャージ可能機器14に投入する(ステップS2e)。但し、決済はビュースイカカード、現金共にできるようになっている。また、使用できるカードはビュースイカ定期券のみとする。また、ALTTEで決済を行う場合はクレジット決済のみを可能とする。
ここで、ビュースイカ定期券で決済を行う場合は、利用者は駅務機器・端末1のチャージ可能機器14に暗証番号を入力して与信を行う。すると、その与信情報はビューカードシステム3のホスト装置31へ送信される(ステップS3e)。これによって、ビューカードシステム3のホスト装置31は、与信に対しての確認応答を駅務機器・端末1のチャージ可能機器14へ返信する。ここで、ホスト装置31は与信OKのときのみ売上計上を行う(ステップS4e)。次に、駅務機器・端末1のチャージ可能機器14は、ホスト装置31からの与信OKの確認果応答に基づいて、ビュースイカ定期券に対してチャージのエンコードを行う(ステップS5e)。さらに、駅務機器・端末1のチャージ可能機器14は、ビュースイカ定期券の明細情報をID管理システム2のID管理駅サーバ21へ送信する(ステップS6e)。また、ID管理システム2のID管理駅サーバ21は受信したビュースイカ定期券の明細情報をID管理センタサーバ22へ送信する(ステップS7e)。一方、駅務機器・端末1のチャージ可能機器14はチャージ処理の終了したビュースイカ定期券を利用者に返却する(ステップS8e)。
次に、ビュースイカ定期券がクレジット有効期限切れになってカード更新を行うときの処理の流れを説明する。図8は、ビュースイカ定期券がクレジット有効期限切れになってカード更新を行うときの処理の流れを示すフロー図である。クレジットの有効期限はビューカードシステム3で常時監視されており、クレジットの有効期限が切れる約1ヶ月前に新しいカードが利用者に送付される。もちろん、有効期限の1ヶ月前でなくても、最低限、カードが郵送されて利用者の手元に届くまでの期間(例えば2週間)が有効期限内にあることを見込んで送付してもよい。カードを送付した以降の処理については、図2,図3のビュースイカ定期券を新規発行するときの処理のステップS7a以降の処理と同じである。
すなわち、ビューカードシステム3のホスト装置31は、ビュースイカ定期券のID番号や個人情報(氏名、性別、生年月日、電話番号など)のビュースイカ定期券の発行情報をMOに作成し、その発行情報MOを駅務機器・端末1のカードベンダ11へ送付する。すると、駅務機器・端末1のカードベンダ11は、ビュースイカ定期券のID番号に基づいて、受け取った発行情報MOより定期券情報データを取得する(ステップS1f)。
ここで、駅務機器・端末1のカードベンダは、定期券情報データの取得時に定期券の有効期限が1ヶ月以内の場合はダミーデータを書き込んで、ID管理システム2のID管理駅サーバ21へ送信する(ステップS2f)。すると、ID管理システム2のID管理駅サーバ21は、定期券情報の部分にダミーデータが書き込まれた情報を受け取った旨の確認応答を駅務機器・端末1のカードベンダ11へ返信する(ステップS3f)。さらに、ID管理駅サーバ21は、定期券情報の部分にダミーデータが書き込まれた情報をID管理システム2内のID管理センタサーバ22へ送信する(ステップS4f)。
これによって、駅務機器・端末1のカードベンダ11は、クレジット情報やスイカ定期券情報をエンコードし、定期券情報の部分にダミーデータを書き込んだカードを活性化して(つまり活性カードとして)ビュースイカ定期券を発行する(ステップS5f)。さらに、駅務機器・端末1のカードベンダ11は、発行したビュースイカ定期券の明細情報と定期券購入情報をID管理システム2のID管理センタサーバ22へ送信する(ステップS6f)。ここで、駅務機器・端末1のカードベンダ11は、定期券情報がある場合は、『売上??』、『定期券額??』としてID管理センタサーバ22へ送信し、定期券情報がない場合は、『売上ゼロ』、『定期券額ゼロ』としてID管理センタサーバ22へ送信する。
次に、駅務機器・端末1のカードベンダ11は、会員ごとに非活性状態または活性状態のビュースイカ定期券を郵送する(ステップS7f)。非活性状態のビュースイカ定期券は、定期券情報のチェックを行い、定期券情報を取得できる会員(利用者)に対して郵送される。もちろん、このカードには定期券情報は含まれていない。また、活性状態のビュースイカ定期券は、定期券情報のチェックでエラーになった会員(利用者)や定期券の不要な会員に対して郵送される。なお、定期券情報をカードに取り込まなくてもSF(ストアドフェア、つまりスイカカードに残された残高)の利用は可能である。この場合は、定期券情報はないので定期券とは無関係にカードを利用することができる。さらに、会員ごとに郵送された非活性状態または活性状態のビュースイカ定期券の情報は、駅務機器・端末1のカードベンダ11から紐付けMOを介してビューカードシステム3へのホスト装置31へ送信される(ステップS8f)。
次に、ビュースイカ定期券を紛失したときの処理の流れを説明する。ここで、ビュースイカ定期券を紛失した場合、再発行登録の手続きに基づいて一旦スイカ定期券を発行してから新しいビュースイカ定期券を発行する方法と、再発行登録の手続きに基づいて新しいビュースイカ定期券を直接発行する方法の二通りの方法があるが、まず、前者のスイカ定期券の発行を経由して新しいビュースイカ定期券を発行する方法について説明する。
図9は、ビュースイカ定期券を紛失したときに一旦スイカ定期券を発行してから新しいビュースイカ定期券が再発行されるまでの処理の流れを示すフロー図であり、図10は図9の続きのフロー図である。つまり、図9は、ビュースイカ定期券を紛失して再発行登録を行ってからスイカ定期券が発行されるまでの処理の流れを示し、図10は、図9で再発行されたスイカ定期券に基づいてビュースイカ定期券が発行されるまでの処理の流れを示している。
図9において、まず、利用者はビュースイカ定期券を紛失した旨をビューカードシステム3へ電話連絡する。このとき、ビューカードシステム3は、カードの再発行をスイカ定期券で行うのかビュースイカ定期券で行うのかを利用者に確認する。ここで、スイカ定期券で再発行を行う場合は、ビューカードシステム3のVCC業務端末32が紛失情報を受け付ける(ステップS1g)。そして、VCC業務端末32はホスト装置31に対してビュースイカ定期券の紛失登録を行う(ステップS2g)。ビューカードシステム3のホスト装置31は、昼間における通信の輻輳を回避するために、ID管理システム2のID管理センタサーバ22に対して夜間バッチ処理で再発行情報の確定を行う(ステップS3g)。さらに、ビューカードシステム3のホスト装置31は、VCC業務端末32に対してスイカ定期券の再発行登録を電文で送信する(ステップS4g)。
再発行登録の電文を受け取ったVCC業務端末32の担当者は、整理番号(例えば、旧カードのID番号17桁)を口頭で利用者に伝える(ステップS5g)。なお、整理番号を口頭で伝えるのではなく、電子メールやFAXやATTLなどで利用者に伝えることも可能である。次に、利用者が紛失したカードの整理番号を駅窓口の職員に伝えると、その整理番号の情報は駅務機器・端末1のマルス端末16へ入力される(ステップS6g)。
なお、スイカ定期券の再発行ができるのは、現行のスイカ定期券の再発行と同様に、再発行登録した日の翌日以降とする。また、現行ではビュースイカ定期券は翌日の再発行が出来ないために、ビュースイカ定期券の再発行が完了するまでは暫定的にスイカ定期券を利用者に使用してもらって利用者の便宜を図っている。
次に、ステップS6gで、整理番号の情報が駅務機器・端末1のマルス端末16へ入力されると、マルス端末16は、ID管理システム2のID管理センタサーバ22に対してスイカ定期券情報及びSF(ストアドフェア)残高情報の要求を行う(ステップS7g)。すると、ID管理センタサーバ22は、紛失したビュースイカ定期券に関するスイカ定期券情報及びSF(ストアドフェア)の残高情報を駅務機器・端末1のマルス端末16へ送信する(ステップS8g)。これによって、駅務機器・端末1のマルス端末16は、ビュースイカ定期券の明細情報と定期券購入情報を表示すると共に、これらの情報をID管理システム2のID管理センタサーバ22へ返信する(ステップS9e)。例えば、マルス端末16は、紛失したビュースイカ定期券のデポジット料500円、再発行手数料1,000円、ビュースイカ定期券の再発行手数料は500円などという情報をモニタ画面に表示し、これらの情報をD管理センタサーバ22へ返信する。
また、駅務機器・端末1のマルス端末16は、利用者に対してスイカ定期券を発行する(ステップS10g)。なお、マルス端末16がスイカ定期券にエンコードするデータは、ID管理センタサーバ22で保持している定期券購入情報に基づいて作成されたデータである。このとき、例えば、マルチアプリ(0)、SF用途(1)、クレジット情報(0)というようにマルス端末16で変換される。
次に、図10を用いて、図9で再発行されたスイカ定期券に基づいてビュースイカ定期券を再発行する処理の流れを説明する。まず、図9のステップS11gにおいて、ビューカードシステム3のVCC業務端末32がビュースイカ定期券の再発行登録を行うと、図10において、ビューカードシステム3のホスト装置31が、ビュースイカ定期券の発行情報MOを作成して駅務機器・端末1のカードベンダ11へ送信する(ステップS12g)。すると、駅務機器・端末1のカードベンダ11は、定期券情報データの取得時に定期券の有効期限が1ヶ月以上(仮)の場合はダミーデータを書き込んでID管理システム2のID管理駅サーバ21へ送信する。また、ID番号が未記入の場合も同様にダミーデータを書き込んでID管理駅サーバへ送信する。(ステップS13g)。なお、定期券情報データはID管理駅サーバ21で管理されている最新のデータが設定される。
ID管理システム2のID管理駅サーバ21は、定期券情報データにダミーデータが書き込まれた情報を受け取ると、受け取った内容の確認応答を駅務機器・端末1のカードベンダ11へ返信する(ステップS14g)。さらに、ID管理駅サーバ21は、定期券情報データにダミーデータが書き込まれたデータをID管理センタサーバ22へ送信する(ステップS15g)。これによって、駅務機器・端末1のカードベンダ11は、クレジット情報やスイカ定期券情報をエンコードし、定期券情報データにダミーデータを書き込んだカードを非活性状態のビュースイカ定期券として発行する。このとき、駅務機器・端末1のカードベンダは、発行したビュースイカ定期券の明細情報と定期券購入情報をID管理システム2のID管理センタサーバ22へ送信する(ステップS16g)。ここで、駅務機器・端末1のカードベンダ11は、定期券情報がある場合は、『売上??』、『定期券額??』としてID管理センタサーバ22へ送信する。
次に、駅務機器・端末1のカードベンダ11は、ステップS16gで発行された非活性状態のビュースイカ定期券を利用者へ郵送する(ステップS17g)。このとき、利用者にとっては、郵送されてきたビュースイカ定期券は非活性状態にあるので活性化処理をしないとスイカ定期券として利用できないため、今回受け取った非活性状態のビュースイカ定期券と先に受け取っているスイカ定期券の2枚のカードを駅窓口に持っていって活性化処理を行う。これによって、利用者は、ビュースイカ定期券を紛失前の活性化状態で使用することができる。さらに、郵送されたビュースイカ定期券の情報は、駅務機器・端末1のカードベンダ11から紐付けMOを介してビューカードシステム3へのホスト装置31へ送信される(ステップS18g)。
次に、ビュースイカ定期券を紛失したときに、直接新しいビュースイカ定期券を発行する方法について説明する。図11は、ビュースイカ定期券を紛失したときに直接新しいビュースイカ定期券が再発行されるまでの処理の流れを示すフロー図であり、図12は図11の続きのフロー図である。
図11において、まず、利用者はビュースイカ定期券を紛失した旨をビューカードシステム3へ電話連絡する。このとき、ビューカードシステム3は、再発行をスイカ定期券で行うのかビュースイカ定期券で行うのかを利用者に確認する。ここで、ビュースイカ定期券で再発行を行う場合は、ビューカードシステム3のVCC業務端末32が紛失情報を受け付け(ステップS1h)、VCC業務端末32からホスト装置31に対してビュースイカ定期券の紛失登録を行う(ステップS2h)。ビューカードシステム3のホスト装置31は、昼間における通信の輻輳を回避するために、ID管理システム2ID管理センタサーバ22に対して夜間バッチ処理で再発行情報の確定を行う(ステップS3h)。さらに、ビューカードシステム3のホスト装置31は、VCC業務端末32に対してスイカ定期券の再発行登録を電文で送信する(ステップS4h)。
次に、図11のステップS5hにおいて、ビューカードシステム3のVCC業務端末がビュースイカ定期券の再発行登録を行うと、図12に移行して、ビューカードシステム3のホスト装置31がビュースイカ定期券の発行情報MOを作成して駅務機器・端末1のカードベンダ11へ送信する(ステップS6h)。すると、駅務機器・端末1のカードベンダ11は、クレジット情報及びスイカ情報をエンコードしてビュースイカ定期券を発行し、そのビュースイカ定期券に関する情報をID管理システム2のID管理駅サーバ21へ送信する(ステップS7h)。このとき、駅務機器・端末1のカードベンダ11は、定期券情報及びSF残高情報をID管理システム2のID管理駅サーバ21より取得しておく(ステップS8h)。また、ID管理駅サーバ21は、駅務機器・端末1のカードベンダ11から受け取ったビュースイカ定期券に関する情報をID管理センタサーバ22へ送信する(ステップS9h)。
次に、駅務機器・端末1のカードベンダ11は、発行したビュースイカ定期券の明細情報と定期券購入情報をID管理システム2のID管理センタサーバ22へ送信する(ステップS10h)。さらに、駅務機器・端末1のカードベンダ11は、活性状態のビュースイカ定期券を発行して利用者に郵送する(ステップS11h)。これによって、利用者は、ビュースイカ定期券を紛失前の状態で使用することができる。さらに、利用者に郵送されたビュースイカ定期券の情報は、駅務機器・端末1のカードベンダ11から紐付けMOを介してビューカードシステム3へのホスト装置31へ送信される(ステップS12h)。
次に、ビュースイカ定期券の定期券払い戻しを行うときの処理の流れを説明する。図13は、ビュースイカ定期券の定期券払い戻しを行うときの処理の流れを示すフロー図である。まず、利用者が駅窓口で払い戻しの申し出をすると、駅務機器・端末1のPOS端末13によって払い戻しに関するデータが入力される(ステップS1i)。なお、ビュースイカ定期券の払い戻しを行う場合は、定期券のみの払い戻しと、定期券及びSF(ストアドフェア)の払い戻しの何れについても行うことができる。また、定期券及びSF(ストアドフェア)の払い戻しは、解約を前提とした処理を行うためにビュースイカ定期券のカードは非活性化される。なお、SF(ストアドフェア)のみの払い戻しは行わないものとする。
次に、定期券のみの払い戻しを行う場合は、ビュースイカ定期券に対してダミーデータの定期情報がエンコードされ、その情報はID管理システム2のID管理駅サーバ21へ送信され(ステップS2i)、さらに、ID管理駅サーバ21からID管理センタサーバ22へ送信される(ステップS3i)。このとき、定期券のみの払い戻しは、ビュースイカ定期券に定期券情報を入力すれば再び利用することが可能である。また、ビュースイカ定期券で定期券及びSF(ストアドフェア)の払い戻しを行う場合は、払戻しが前提であるのでスイカ定期券としての再利用はできないようになっている。なお、この場合でも非活性のカードとしてクレジットカードでの利用は可能である。
また、駅務機器・端末1のPOS端末13は、発行したビュースイカ定期券の明細情報と定期券払い戻し情報をID管理システム2のID管理センタサーバ22へ送信する(ステップS4i)。これによって、駅務機器・端末1は券面消去機器(図示せず)を用いてビュースイカ定期券の定期券情報の消去を行う。次に、駅務機器・端末1のマルス端末16は、定期券の購入がクレジット購入である場合はCS払い戻しを行い、SFの払い戻しを行う場合は現金で払い戻しを行う。そして、このような払い戻し情報はマルス端末16からビューカードシステム3のホスト装置31へ送信される(ステップS5i)。また、マルス端末16は定期券面消去済みのビュースイカ定期券を利用者に返却する(ステップS6i)。
なお、定期券の区間変更を行う場合は、マルス端末16にて新券を磁気定期券で発売する。また、マルス端末16でスイカ定期券を発売することも可能である。磁気定期券で発売する場合は、EPIまたは新型の定期券発売機でビュースイカ定期券にコンバートする。
次に、ビュースイカ定期券のSF(ストアドフェア)の払い戻しを行うときの処理の流れを説明する。図14は、ビュースイカ定期券のSFの払い戻しを行うときの処理の流れを示すフロー図である。まず、利用者が駅務機器・端末1の払い戻し可能機器15、例えばALTTEにビュースイカ定期券を投入すると(ステップS1j)、払い戻し可能機器(ALTTE)15はビューカードシステム3のホスト装置31に照会してビュースイカ定期券の判定を行う。このとき、定期券情報が払い戻し済みまたは有効期限の過ぎた定期券情報の場合に払い戻しを行うような判定を行う。(ステップS2j)。すると、ホスト装置31はビュースイカ定期券の判定結果を駅務機器・端末1の払い戻し可能機器(ALTTE)に通知する(ステップS3j)。
ここで、ビュースイカ定期券は払戻し可能と判定された場合は、利用者は駅務機器・端末1の払い戻し可能機器(ALTTE)15に暗証番号を入力して与信を行う。すると、払い戻し可能機器(ALTTE)15はビュースイカ定期券に対して非活性化処理を行い、カード券面を消去する(ステップS4j)。そして、駅務機器・端末1の払い戻し可能機器(ALTTE)15は、ビュースイカ定期券の明細情報をID管理システム2のID管理駅サーバ21へ送信する(ステップS5j)。さらに、ID管理駅サーバ21はその明細情報をID管理センタサーバ22へ送信する(ステップS6j)。そして、駅務機器・端末1の払い戻し可能機器(ALTTE)15から利用者に対してビュースイカ定期券及びSF残高が現金化されて払い戻される(ステップS7j)。なお、SFが利用者に払い戻された後は、ビューカードシステム3のVCC業務端末へ連絡して解約の手続きを行い、そのカードをVCC業務端末へ返却する。
次に、ビュースイカ定期券に障害が発生したときに新しいビュースイカ定期券を再発行するまでの処理の流れを説明する。ビュースイカ定期券に障害が発生した場合は、代用証の発行、スイカ定期券の発行、及び新しいビュースイカ定期券の発行という手順で処理が行われる。図15は、ビュースイカ定期券に障害が発生してから代用証を発行するまでの処理の流れを示すフロー図である。また、図16は、図15に続くフロー図であり、発行された代用証に基づいてスイカ定期券を発行する処理の流れを示すフロー図である。さらに、図17は、図16に続くフロー図であり、新しいビュースイカ定期券を発行する処理の流れを示すフロー図である。
まず、図15を用いて、ビュースイカ定期券に障害が発生したときに代用証を発行する処理の流れを説明する。利用者はビュースイカ定期券の障害情報をビューカードシステム3へ電話などで通知する。このとき、利用者はカードの再発行をスイカ定期券で行うかビュースイカ定期券で行うかを選択することができる。ここで、再発行をスイカ定期券で行う場合はその情報がビューカードシステム3のVCC業務端末32へ入力される(ステップS1k)。すると、ビューカードシステム3のVCC業務端末32からホスト装置31に対して障害登録が行われる(ステップS2k)。なお、ビュースイカ定期券の障害には磁気の障害、ICの障害、磁気及びICの障害があるが、何れの場合も同一障害として取り扱う。また、クレジットカードは同一番号を発行するため、ステップS2kで障害登録を行うときにはクレジットの停止は行わない。
さらに、ビューカードシステム3のホスト装置31は、昼間の通信の輻輳を回避するために、ID管理センタサーバに対して夜間バッチ処理で再発行情報の確定を行う(ステップS3k)。さらに、ビューカードシステム3のホスト装置31は、VCC業務端末32に対してスイカ定期券の再発行登録を電文で送信する(ステップS4k)。再発行登録の電文を受け取ったVCC業務端末32の担当者は、整理番号(すなわち、旧カードのID番号17桁)を口頭で利用者に伝える(ステップS5k)。なお、口頭で伝えるのではなく、ビューカードシステム3のVCC業務端末32から電子メールやFAXなどで利用者に伝えることも可能である。
次に、利用者が整理番号を駅窓口の職員へ伝えると、駅務機器・端末1の窓口清算機17は、ID管理システム2のID管理センタサーバ22に対して、VCC業務端末32でのスイカ定期券の再発行登録受け付け済みを確認し、ビュースイカ定期券の券面消去を行って代用証(紙)を発行する。さらに、窓口清算機17はID管理センタサーバ22へ代用証の発行済み登録を行う(ステップS6k)。なお、代用証(紙)の発行はビューカードシステム3への障害連絡後になるため、ビューカードシステム3での受け付け有無の照会を窓口清算機17で行うことができるようにすることも可能である。
次に、駅務機器・端末1の窓口清算機17は、利用者に対して代用証を発行する(ステップS7k)。ここで、代用証が複数枚発行されることを防止する機能を追加することもできる。なお、代用証の発行時に券面消去などの処理を行える場合は代用証の複数枚発行は起こらないので、代用証の複数枚発行防止機能を設ける必要はない。
次に、図16を用いて、図15で発行された代用証に基づいてスイカ定期券を発行し、さらに、新しいビュースイカ定期券の発行手続きの途中までの処理の流れを説明する。駅務機器・端末1のマルス端末16は、図15のステップS7kで利用者に対して代用証を発行した後、障害のあったビュースイカ定期券のデポジット料、スイカ定期券の再発行手数料、ビュースイカ定期券の再発行手数料などをID管理システム2のID管理駅サーバ21へ問い合わせ(ステップS8k)、ID管理駅サーバ21からその確認応答を取得してモニタ画面に表示させる(ステップS9k)。例えば、マルス端末16は、障害のあったビュースイカ定期券のデポジット料500円、再発行手数料0円、新しいビュースイカ定期券の再発行手数料0円などという情報をモニタ画面に表示する。
次に、駅務機器・端末1のマルス端末16は、利用者から代用証を回収した後、スイカ定期券情報やSF残高情報などをID管理システム2のID管理駅サーバ21に要求し、ID管理駅サーバ21から取得したスイカ定期券情報やSF残高情報の記載されたスイカ定期券を発行して利用者に渡す(ステップS10k)。なお、利用者に対しては、障害連絡日の翌日以降にスイカ定期券の発行を行う。つまり、スイカ定期券の再発行ができるのは、現行のスイカ定期券の再発行と同様に、再発行登録した日の翌日以降とする。また、現行ではビュースイカ定期券は翌日の再発行が出来ないために、ビュースイカ定期券の再発行が完了するまでは暫定的にスイカ定期券を利用者に使用してもらう。なお、マルス端末16がスイカ定期券にエンコードするデータは、ID管理センタサーバ22で保持している定期券購入情報に基づいて作成されたものである。このとき、マルチアプリ(0)、SF用途(1)、クレジット情報(0)というようにマルス端末16で変換される。
一方、ビューカードシステム3のVCC業務端末32からホスト端末31に対してビュースイカ定期券の再発行登録を行うと(ステップS11k)、ホスト端末31はビュースイカ定期券の発行情報MOを作成して駅務機器・端末1のカードベンダ11へ送信する(ステップS12k)。すると、駅務機器・端末1のカードベンダ11は、定期券情報、クレジット情報、スイカ情報をエンコードし、新しいビュースイカ定期券の発行処理を行う。なお、このとき設定される定期券情報はID管理システム2で管理されている最新の定期券情報である。また、このときカードベンダで発行されたビュースイカ定期券は非活性状態である。
駅務機器・端末1のカードベンダ11で非活性状態のビュースイカ定期券が発行されると(ステップS13k)、図17のフローに移り、駅務機器・端末1のカードベンダ11は、非活性状態のビュースイカ定期券を利用者に郵送する(ステップS14k)。このとき、利用者にとっては、郵送されてきたビュースイカ定期券は活性化処理を行わないとスイカ定期券として利用できないので、今回受け取った非活性状態のビュースイカ定期券と先に受け取っているスイカ定期券の2枚のカードを駅窓口に持って行き、ビュースイカ定期券の活性化処理を行う。これによって、利用者は、ビュースイカ定期券を紛失前の状態で使用することができる。もちろん、スイカ定期券の方は回収されるか、または使用不可能な状態で利用者に戻される。さらに、郵送されたビュースイカ定期券の情報は、駅務機器・端末1のカードベンダ11から紐付けMOを介してビューカードシステム3へのホスト装置31へ送信される(ステップS15k)。
以上説明したように、本発明の定期券付きクレジットカード発行システムは、ビュースイカ定期券と称される定期券付き鉄道用ICカードに定期券機能とクレジット機能を持たせて定期券付きクレジットカード(ビュースイカ定期券)を発行するシステムである。このとき、定期券とクレジットカードとで有効期限が異なる場合、定期券付きクレジットカードの新規発行時や更新時に定期券が二重に存在することを防止するために、定期券の有効期限に応じて、クレジット機能だけを持たせた非活性カードを発行したり、クレジット機能に定期券機能を付加した活性カードを発行したりしている。
つまり、クレジットカードの申し込みによって所定の事務的な処理を経ればクレジットカードは発行されるが、このクレジットカードに定期券情報がない場合や、所定期間より既存の定期券の有効期間が長い場合は、クレジットカードの発行時に定期券情報を載せないで、定期券情報の部分はダミーデータを書き込んで非活性状態(クレジットとしては使えるが定期券としては使えない状態)の非活性カードとして利用者に郵送する。一方、既存の定期券の有効期限が所定期間以内の場合(例えば、最小限郵送に必要な期間とか、余裕を持って2週間程度の短い期間の場合)には、クレジットカードの発行時に定期券情報を書き込んで活性状態(クレジットカードと共に定期券を有効に使える状態)の活性カードを発行して利用者に郵送する。これによって、定期券とクレジットの有効期限が異なっていても、定期券付きクレジットカードの新規発行時や更新時に定期券が二重に存在することを防止することができる。
通常のクレジットカードでは、有効期限の約1月前に新カードが送られてきた場合、その1月間は有効なクレジットカードが重複して存在することになっても問題は発生しない。しかし、クレジットカードに定期券機能を持つ場合(つまり、定期券付きクレジットカードの場合)は、定期券付きクレジットカードにおける定期券機能の重複期間を避けねばならないので、定期券機能の有効期限に応じて活性カードと非活性カードとに分ける必要がある。この場合、活性・非活性の弁別は、定期券付きクレジットカードのICチップで1ビットを使ってフラグを立てればよい。また、定期券付きクレジットカード自体に活性・非活性を意味するフラグを設けてもよいし、ホスト装置側の当該シリアルナンバーのカードのところに活性・非活性を意味するフラグを設けてもよい。
また、非活性カードに定期券情報を入力して活性化カードにする処理は、手持ちの磁気定期券を使って定期券情報のデータを非活性カードへ転送したり、駅務機器のキー操作によって定期券情報を非活性カードに入力することによって実現することができる。さらに、代金の決済はクレジットカードによっても現金によっても行うことができる。また、定期券付きクレジットカードにおいて定期券機能の更新を行う場合は、定期券情報の入ったカード(既存の定期券とか使用中の定期券付きクレジットカード)を駅構内の定期券発売機などに投入して新たな定期券情報の入力及び決済を経れば、新たな定期券情報が更新後の定期券付きクレジットカードに書き込まれて返却される。この場合、既存の定期券や使用中の定期券付きクレジットカードは定期券発売機などによって回収されるか、定期券情報が消去されて利用者に返却される。
さらに、非活性カードの活性化処理は、郵送された非活性カードと手持ちの定期券との2枚のカードを駅構内の定期券発売機などに投入すれば、既存の定期券のデータが非活性化カードに書き込まれる。このとき、既存の定期券を無効化して非活性カードに定期券機能が付加されて活性化される。なお、既存の定期券がスイカ定期券の場合は、その発行に際してデボジット(補償金)を鉄道会社側が預かっているのでそのデポジットは返却される。また、SF(ストアドフェアつまりスイカに残されたブリペイド残高)は、現金で返却するか、あるいは、相当する金額を定期券付きクレジットカードに転送してチャージすることができる。なお、スイカ定期は定期券発売機などに取り込まれ、定期券付きクレジットカードは顧客に返却される。
また、入金(チャージ)処理は、定期券付きクレジットカードにブリペイド乗車券の金額を書き込む処理によって行われる。この場合の処理は現金でもよいしブリペイド金額をカード決済してもよい。なお、定期券付きクレジットカードの更新は、新規申し込みの場合の申し込みがなくても、新たな更新カードが定期券情報の残存期間に応じて活性状態または非活性状態で送られる。さらに、定期券付きクレジットカードを紛失した場合は、定期券付き定期券付きクレジットカードの再発行に時間がかかるので、定期券だけの機能を有したスイカ定期券が暫定的に発行される。このとき、その後に定期券付きクレジットカードが再発行された場合は、その定期券付きクレジットカードは先に発行したスイカ定期券との重複を避けるために非活性カードとなる。したがって、スイカ定期券のデータをこの非活性カードに転送して初めて活性化された定期券付きクレジットカードとなる。
さらに、定期券付きクレジットカードの払い戻しは、定期券であってもSF(プリペイド)であっても、クレジット決済に関わる部分はクレジット決済(つまり、カード上の払い戻し処理)とし、現金決済に関わる部分は現金決済(現金払い戻し)とする。また、定期券付きクレジットカードの障害に際しては代用証を発行してユーザの利便性を図ることができる。
次に、この定期券付きクレジットカード発行システムに適用される定期券付きクレジットカードの構造について説明する。図18は、本発明の定期券付きクレジットカード発行システムに適用されるビュースイカ定期券の外観図であり、(a)は裏面図、(b)は表面図、(c)は裏面の透視図である。
図18において、ビュースイカ定期券の表面(b)には、カード会社のロゴマークやカード所有者のID番号などが印刷されていると共に、定期券情報とクレジット情報を格納し、図示しない読書装置へ接触して定期券情報及びクレジット情報を送信する接触ICチップ41が搭載されている。また、裏面(a)には、定期券情報が文字情報で印刷されている。さらに、裏面の透視部分(c)には、帯状の磁気ストライプ42、アンテナ43、及び定期券情報とクレジット情報を格納し、アンテナ43を介して図示しない読書装置へ非接触で定期券情報及びクレジット情報を送信する非接触ICチップ44が搭載されている。このようなビュースイカ定期券によれば、読書装置へ非接触でかざしても接触させても定期券情報及びクレジット情報を読書装置へ送信することができる。
また、磁気ストライプ42は図のようなレイアウトで帯状に配置され、不正製造を防止するためにその位置が変更できないようになっている。さらに、表面側の接触ICチップ41と裏面側の非接触ICチップ44は位置がずれているので、ビュースイカ定期券の表面及び裏面を平滑にすることができるので文字の印字などをきれいに仕上げることができる。また、磁気ストライプ42の配置の固定化、及び接触ICチップ41の裏面と非接触ICチップ44の表面との平滑性を確保して定期券情報の印刷仕上がりを良好にするために、図18(a)のように、カード裏面の左側に定期券情報の印刷を施している。
つまり、接触ICチップ41、磁気ストライプ42、アンテナ43、非接触ICチップ44、及び金属面に繰り返し印字できるタイプの印字部分などのレイアウトを図18のように行うことによって、不正防止、カードの仕上がり向上、カード表面の滑らかさなどを配慮した商品価値の高いビュースイカ定期券を実現することができる。
なお、ビュースイカ定期券の新規発行方法及び再発行方法は上記の実施の形態に限定されるものではない。以下、ビュースイカ定期券の新規発行方法及び再発行方法の変形例について説明する。図19は、図1に示すシステム構成において、利用者がスイカ定期券を所持しているときにビュースイカ定期券を新規発行する処理の流れを示すフローチャートである。つまり、図19は、スイカ定期券を所持している会員(スイカ定期券ホルダ向け)のビュースイカ定期券の新規発行の流れを示すフローチャートである。
まず、図19を用いて、ビュースイカ定期券の新規発行の流れを説明する。まず、利用者は、手持ちのスイカ定期券に基づいて必要な定期券情報を記載したビュースイカ定期券の申込書を、郵送、FAX、またはインターネットなどによってカード事業部へ送付する。このとき、ビュースイカ定期券を申し込むときにスイカ定期券ホルダが必要な場合は、利用者は所持しているスイカ定期券のID番号を申込書に記入して送付する(ステップS1m)。すると、カード事業部の担当者は、ID管理センタサーバ22に対して申込書に記入されているID番号などのスイカ情報の照会を行う。つまり、カード事業部の担当者は、ID管理センタサーバ22へID番号や定期券の内容を照会し、本人のスイカ定期券に間違いないか否かの確認を行う(ステップS2m)。
そして、カード事業部は、ID管理センタサーバ22から利用者の所持するスイカ定期券情報を取得し、本人のスイカ定期券に間違いないことが確認されたら、そのスイカ定期券の情報を新規のカードにセットする。このとき、利用者が所持しているスイカ定期券の定期券部分の払戻しはできないようにする(ステップS3m)。
次に、このようにして発行された新規のカードが宅配便などによって利用者に配達されると、利用者はこのカードをビュースイカ定期券として使用を開始することができる。但し、このときのSF(プリペイド)は0円であるので定期券としての使用のみに限定される。プリペイドカードとして使用する場合は、取得したビュースイカ定期券に所定の金額をチャージする必要がある。なお、このとき取得したビュースイカ定期券は、定期券部分の払戻しを不可とする情報をID管理センタサーバ22に登録しておく(ステップS4m)。
また、カード事業部は、利用者へのカード配達完了のデータに基づいて、カードが配達された日の数日後に利用者が所持しているスイカ定期券を使用不可とするデータをID管理センタサーバ22へ送信する。但し、利用者が所持しているスイカ定期券のSF(プリペイド)やデポジットの払戻しはできるようにしておく。なお、ビュースイカ定期券の発行後に、駅窓口の端末画面でスイカ定期券の定期券部分の払い戻しを行う「ビュースイカ定期券発行替え中」という処理を付加することも可能である。
次に、利用者は駅窓口において手持ちのスイカ定期券のSF残高とデポジットの払戻しを行う。このとき、利用者は新たに発行されたビュースイカ定期券を駅窓口に提示すれば、POS端末でスイカ定期券のSF残高とデポジットを手数料なしで払戻しを受けることができる(ステップS5m)。
つまり、スイカ定期券を所持している会員の場合は、カード事業部がそのスイカ定期券のカード番号(ID番号)に基づいてスイカ定期券の定期情報を取得し、その定期券情報をセットして印字を行った新しいビュースイカ定期券を利用者に発送する。これによって、利用者はビュースイカ定期券の到着後は定期券として使用することができる。しかし、そのビュースイカ定期券のチャージ残額やデポジットは0円であるので、その時点では定期券としての使用に限定される。
次に、利用者はビュースイカ定期券を受け取った後に、駅窓口へ行ってビュースイカ定期券とスイカ定期券を提示し、スイカ定期券のチャージ残額及びデポジットの払戻しを行う。このとき、スイカ定期券は駅窓口で回収される。もちろん、スイカ定期券の定期券部分はビュースイカ定期券の発行後は自動的に払戻不可となる。また、一定期間が経過した後にスイカ定期券のチャージ及びデポジットの払戻しが行われないようにする場合は、自動的にスイカ定期券を使用できないようにする。
次に、ビュースイカ定期券の再発行方法の変形例について説明する。図20は、図1に示すシステム構成において、ビュースイカ定期券を再発行するときの一変形例のフローチャートである。図20において、利用者がビュースイカ定期券を紛失した場合は、まず、カード事業部に対して紛失再発行の申し出を行う(ステップS1n)。すると、カード事業部は、ID管理センタサーバ22に対して、該当するビュースイカ定期券のクレジット及びスイカ定期券の使用停止の依頼を行うと共に、ビュースイカ定期券の再発行登録を行う。さらに、カード事業部は、利用者に対して、整理番号などの情報を伝達すると共に駅窓口でビュースイカ定期券の代用証の交付を受けるように案内する(ステップS2n)。
次に、利用者はカード事業部から整理番号を受け取り(ステップS3n)、駅窓口にその整理番号を伝えて代用証の発行を申し出る(ステップS4n)。すると、駅窓口は、利用者が記入した申込書の内容にしたがって本人確認を行い、整理番号または申込書の個人情報を窓口清算機またはマルス端末へ入力して「再発行準備中」の状態を確認する。なお、利用者の整理番号または申込書の個人情報の確認は、カード事業部に対して行ってもよい。このような入力操作を行うことによって、駅窓口は窓口清算機またはマルス端末の画面で確認しながら非磁気カード(例えば、紙)による代用証を発行し、代用証発行済みの情報を窓口清算機またはマルス端末に登録する。なお、整理番号や申込書の個人情報の確認、及び代用証発行済みの通知はカード事業部に電話連絡してもよい。このようにして発行された代用証は利用者に交付される(ステップS5n)。
一方、ステップS2nで利用者が再発行登録を申し込んだビュースイカ定期券に関しては、1週間から10日程度で紛失カードの定期券情報とSF残高がセットされて新カードが再発行され、紛失した利用者のもとへ宅配便などで配達される(ステップS6n)。これによって、利用者は再発行されたビュースイカ定期券を受け取り、これを新しいビュースイカ定期券として使用開始することができる。なお、このとき、代用証の回収は行わない(ステップS7n)。
なお、ステップS2nにおける整理番号の伝達方法や定期券情報の確認方法については、利用者への口頭伝達では誤伝達のおそれがあるので個人情報による確認を行うことが必要である。また、ステップS5nにおける代用証発行の登録については、マルスやEXWによる登録などを行うことができる。
以上のように、ビュースイカ定期券の紛失時においては、新しいビュースイカ定期券が再発行されるまではその補償を紙による代用証の発行によって行う。しかし、この代用証では定期券部分の補償は行わない。このようにして再発行されたビュースイカ定期券は、定期券情報を印字してSF残高情報を引き継いで新カードとして発行され、利用者に渡される。また、代用証の補償機能は抹消される。