JP4490385B2 - 成分濃度測定装置 - Google Patents

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本発明は、人間又は動物の被検体の非侵襲な成分濃度測定装置に関する。
高齢化が進み、成人病に対する対応が大きな課題になりつつある。血糖値などの検査においては血液の採取が必要なために患者にとって大きな負担となるので、血液を採取しない非侵襲な成分濃度測定装置が注目されている。現在までに開発された非侵襲な成分濃度測定装置としては、皮膚内に電磁波を照射し、測定対象とする血液成分、例えば、血糖値の場合はグルコース分子に吸収され、局所的に加熱して熱膨張を起こして生体内から発生する超音波を観測する光音響分光法(以下、「光音響分光法」を「PAS」と略記する。)が注目されている。
図14は光パルスを電磁波として用いたPASによる従来の血液の成分濃度測定装置の構成例を示す図である(例えば、非特許文献1参照。)。本例では血液成分として血糖、すなわちグルコースを測定対象としている。図14において、駆動回路604はパルス状の励起電流をパルス光源616に供給し、パルス光源616はサブマイクロ秒の持続時間を有する光パルスを発生し、発生した光パルスは被検体610に照射される。被検体610の内部の各成分はそれぞれ光音響効果を生ずる固有の光の波長を有しており、照射した光パルスの光の波長で光音響効果を生ずる被検体610の内部の成分の濃度に応じた強度の超音波が発生する。図14の血液の成分濃度測定装置はグルコースの濃度を測定するため、パルス光源616はグルコースが光音響効果を発生させる光の波長の光パルスを照射する。発生した超音波は被検体610の表面に伝達して音響波検出器613で検出される。音響波検出器613は検出した超音波を強度に比例した振幅の電気信号に変換する。
前記電気信号の波形は波形観測器620で観測される。波形観測器620は上記励起電流に同期した信号でトリガされ、前記電気信号は画面上の一定位置に表示し、前記電気信号を積算・平均して測定することができる。このようにして得られた電気信号の振幅を解析して、被検体610の内部のグルコースの濃度が測定される。
オウル大学(University of Oulu、Finland)学位論文「Pulse photoacoustic techniqus and glucose determination in human blood and tissue」(IBS 951−42−6690−0、http://herkules.oulu.fi/isbn9514266900/、2002年)
被検体で発生した光音響信号である超音波を音響波検出器で効率よく検出するため、超音波の波面を球面波ではなく平面波にする必要がある。そのため、光の照射面積が大きいほど検出距離を遠くしなければならず、音響波検出器と超音波の発生源との距離や照射面積に制約が生じる。例えば、生体の指先を被検体とした場合には、検出距離も短いため、照射面積を小さくする必要がある。
一方、生体の皮膚上に照射可能なレーザ出力の限界値がJIS規格で定められており、JISC6802によると、皮膚に対して非可視赤外光(波長が0.8μm以上)を連続照射する場合、1mm当たり1mWが最大許容量となる。そのため、照射点で生じさせることができる光音響信号の大きさにも限界があり、生体の光の被照射部位によっては、発生させた光音響信号が微弱となり、雑音の影響を受け易くなる。
被検体と音響波検出器とを密着させて前記超音波を検出することで、前記雑音の影響を少なくすることができるが、被検体の表面形状によっては密着が困難な場合もある。例えば、指の腹、口唇、指の関節又はひじの関節のような部位は被検体の表面が外側に膨らんでおり、あご、手のひら又は耳のような部位は被検体の表面が窪んでいるため、被検体の表面と音響波検出器との接触性は悪い。従って、従来のPASを利用した成分濃度測定装置は被検体の表面形状によって正確な成分濃度測定を行うことができないという課題もあった。
本発明は上記課題を解決するためになされたもので、被検体の表面と音響波検出器との接触性を改善し、精度よく被検体の血液成分濃度の測定ができるPASを利用した成分濃度測定装置を提供することを目的とする。
前記目的を達成するために、本発明に係る成分濃度測定装置は、音響波検出器の被検体との接触面の形状を被検体の表面形状に適合する形状とすることとした。
具体的には、本発明は、レーザ光を一定周波数の信号により電気的に強度変調した変調レーザ光を被検体に向けて照射する光照射手段と、照射された前記変調レーザ光により発生する前記被検体からの超音波を検出する振動検出手段と、を備える成分濃度測定装置であって、前記振動検出手段は、一端にある振動計測面の振動から超音波を検出する音響波検出器と、前記音響波検出器の前記振動計測面上に配置され、前記被検体と前記音響波検出器との音響インピーダンスを整合して前記被検体からの前記超音波を前記音響波検出器の前記振動計測面に伝達し、且つ凹面形状の前記被検体との接触面を持つ音響整合層と、を有することを特徴とする成分濃度測定装置である。
前記音響整合層の被検体との接触面の形状は凹面形状のため、外側に膨らんでいる形状の被検体の表面と適合する。すなわち、前記音響整合層の前記接触面と被検体の表面とは広く一様に接触するため、光音響効果による被検体内部からの超音波は被検体の表面から前記音響整合層の前記接触面へ円滑に伝搬することができる。さらに、前記音響整合層は前記被検体と前記音響波検出器との音響インピーダンスを整合するため、前記超音波を被検体の表面から前記音響波検出器へ反射や減衰を抑え効率よく伝搬することができる。
従って、本発明は、被検体の表面と音響波検出器との接触性を改善し、精度よく被検体の血液成分濃度の測定ができる成分濃度測定装置を提供することができる。
本発明に係る成分濃度測定装置の前記音響波検出器は、前記振動計測面が凹面形状であり、前記音響整合層は、前記超音波の伝達方向の厚みが一定であってもよい。
前記音響波検出器の前記振動計測面の形状を凹面形状且つ前記音響整合層の前記超音波伝搬方向の厚みを一定とすることで、前記音響整合層の被検体との接触面の形状は凹面形状になる。ゆえに、前記音響整合層の前記接触面は外側に膨らんでいる形状の被検体の表面と適合するため、前記接触面の形状が凹面形状の成分濃度測定装置で説明した効果と同様の効果を得ることができる。さらに、前記音響整合層の厚みが一定であり、前記超音波による被検体の表面の振動は前記音響波検出器の前記振動計測面に一様に伝搬するため、前記音響波検出器は効率よく前記超音波を検出できる。
従って、本発明は、被検体の表面と音響波検出器との接触性を改善し、精度よく被検体の血液成分濃度の測定ができる成分濃度測定装置を提供することができる。
具体的には、本発明は、レーザ光を一定周波数の信号により電気的に強度変調した変調レーザ光を被検体に向けて照射する光照射手段と、照射された前記変調レーザ光により発生する前記被検体からの超音波を検出する振動検出手段と、を備える成分濃度測定装置であって、前記振動検出手段は、一端にある振動計測面の振動から超音波を検出する音響波検出器と、前記音響波検出器の前記振動計測面上に配置され、前記被検体と前記音響波検出器との音響インピーダンスを整合して前記被検体からの前記超音波を前記音響波検出器の前記振動計測面に伝達し、且つ凸面形状の前記被検体との接触面を持つ音響整合層と、を有することを特徴とする成分濃度測定装置である。
前記音響整合層の被検体との接触面の形状は凸面形状のため、窪んだ形状の被検体の表面と適合する。ゆえに、前記成分濃度測定装置は、前記接触面の形状が凹面形状の成分濃度測定装置で説明した効果と同様の効果を得ることができる。
従って、本発明は、被検体の表面と音響波検出器との接触性を改善し、精度よく被検体の血液成分濃度の測定ができる成分濃度測定装置を提供することができる。
本発明に係る成分濃度測定装置の前記音響波検出器は、前記振動計測面が凸面形状であり、前記音響整合層は、前記超音波の伝達方向の厚みが一定であってもよい。
前記音響波検出器の前記振動計測面の形状を凸面形状且つ前記音響整合層の前記超音波伝搬方向の厚みを一定とすることで、前記音響整合層の被検体との接触面の形状は凸面形状になるため、窪んだ形状の被検体の表面と適合する。ゆえに、前記成分濃度測定装置は、前記音響波検出器の前記振動計測面の形状を凹面形状且つ前記音響整合層の前記超音波伝搬方向の厚みを一定とした成分濃度測定装置で説明した効果と同様の効果を得ることができる。
従って、本発明は、被検体の表面と音響波検出器との接触性を改善し、精度よく被検体の血液成分濃度の測定ができる成分濃度測定装置を提供することができる。
本発明に係る成分濃度測定装置の前記音響整合層は、前記被検体からの前記超音波が伝達する方向と垂直な面における音響インピーダンス分布が外周部から中央部に向かって低くなっていてもよい。
前記音響整合層において前記超音波は音響インピーダンスが低い前記音響整合層の中央部を通過しようとするため、前記音響整合層は前記超音波の発散を防止でき、前記音響波検出器は効率よく前記超音波を検出できる。
従って、本発明は、被検体の表面と音響波検出器との接触性を改善し、精度よく被検体の血液成分濃度の測定ができる成分濃度測定装置を提供することができる。
前記音響整合層の被検体との接触面が凹面形状である本発明に係る成分濃度測定装置において、前記音響整合層は、前記被検体からの前記超音波が伝達する方向の音響インピーダンス分布が前記音響波検出器の前記振動計測面に向かって低くなっていてもよい。
前記音響整合層の被検体との接触面は凹面形状であるため、前記接触面の縁部より底部の音響インピーダンスが低くなる。ゆえに、前記音響整合層において前記超音波は前記接触面の底部である前記音響整合層の中央部を通過しようとするため、前記音響整合層は前記超音波の発散を防止でき、前記音響波検出器は効率よく前記超音波を検出できる。
従って、本発明は、被検体の表面と音響波検出器との接触性を改善し、精度よく被検体の血液成分濃度の測定ができる成分濃度測定装置を提供することができる。
前記音響整合層の厚みが一定である本発明に係る成分濃度測定装置において、前記音響波検出器は、凸起する方向を揃えて2枚の同一形状の電極板を相対させる圧電素子であって、前記電極の一つが前記音響波検出器の前記振動計測面であってもよい。
電極板の凸起する方向を揃えて相対させた圧電素子を前記音響波検出器として利用することができる。電極板の凸起する方向を前記音響整合層の前記接触面側と反対方向とすることで前記振動計測面が凹面形状となり、前記圧電素子を利用する前記成分濃度測定装置は、前記接触面の形状が凹面形状の成分濃度測定装置で説明した効果と同様の効果を得ることができる。逆に、電極板の凸起する方向を前記音響整合層の前記接触面側の方向とすることで前記振動計測面が凸面形状となり、前記圧電素子を利用する前記成分濃度測定装置は、前記接触面の形状が凸面形状の成分濃度測定装置で説明した効果と同様の効果を得ることができる。さらに、前記圧電素子の電極板間にあるいずれの箇所でも前記超音波の伝搬方向における前記電極板間の距離が等しくなり、前記圧電素子は前記超音波で容易に共振する。
従って、本発明は、被検体の表面と音響波検出器との接触性を改善し、精度よく被検体の血液成分濃度の測定ができる成分濃度測定装置を提供することができる。
本発明に係る成分濃度測定装置において、前記音響波検出器は、外側に凸起する2枚の電極板の圧電素子であって、前記電極の一つが前記音響波検出器の前記振動計測面であってもよい。
前記電極板はそれぞれ外側に凸起する形状である。すなわち、前記圧電素子内部側からは前記電極板は凹面形状となるため、前記圧電素子内に生ずる共振波は前記電極板で収束するように反射する。そのため、共振波は発散せず圧電素子内に閉じ込められ、前記圧電素子の超音波から電気信号への変換効率が向上する。
従って、本発明は、被検体の表面と音響波検出器との接触性を改善し、精度よく被検体の血液成分濃度の測定ができる成分濃度測定装置を提供することができる。
本発明は、被検体の表面と音響波検出器との接触性を改善し、精度よく被検体の血液成分濃度の測定ができる成分濃度測定装置を提供することができる。
添付の図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。以下に説明する実施の形態は本発明の構成の例であり、本発明は、以下の実施の形態に制限されるものではない。
(実施の形態1)
本実施形態は、レーザ光を一定周波数の信号により電気的に強度変調した変調レーザ光を被検体に向けて照射する光照射手段と、照射された前記変調レーザ光により発生する前記被検体からの超音波を検出する振動検出手段と、を備える成分濃度測定装置であって、 前記振動検出手段は、一端にある振動計測面の振動から超音波を検出する音響波検出器と、 前記音響波検出器の前記振動計測面上に配置され、前記被検体と前記音響波検出器との音響インピーダンスを整合して前記被検体からの前記超音波を前記音響波検出器の前記振動計測面に伝達し、且つ凹面形状の前記被検体との接触面を持つ音響整合層と、を有することを特徴とする成分濃度測定装置である。
本実施形態に係る成分濃度測定装置201の概略図を図1に示す。図1の成分濃度測定装置201は光照射手段11及び振動検出手段12を備える。また、図2に振動検出手段12の斜視図を示す。図1の振動検出手段12は図2の平面Hにおける断面である。なお、全ての図面において電源や配線など通常の技術で実現できる部分は省略して記載している。
光照射手段11は光源13及び発振器18を含む。
発振器18は一定の周波数の変調信号E1を出力する。例えば、前記周波数は100kHz以上10MHz以下が例示できる。
光源13はレーザ光源と駆動回路を内蔵している。前記駆動回路は変調信号E1を基に前記レーザ光源を駆動して、前記レーザ光源から変調信号E1に基づいて強度変調した変調レーザ光L1を出力させる。前記レーザ光源は半導体レーザであることが例示できる。また、前記レーザ光源から出力されるレーザ光は、被検体900の測定対象成分が吸収しやすい波長であることが望ましい。前記レーザ光源として半導体レーザを使用した場合、半導体レーザをヒーター又はペルチェ素子により加熱又は冷却することで発生する光の波長を変化させることができる。例えば、測定対象とする成分がグルコースの場合、前記レーザ光の波長は1608nmであることが例示される。
従って、光照射手段11は、被検体900から離れた位置から発振器18の変調信号E1に基づく光源13からの変調レーザ光L1を被検体900の表面の変調レーザ照射点Aに向けて照射することができる。
振動検出手段12は、図1及び図2のように音響波検出器14及び音響整合層17を含む。
音響波検出器14は、一端にある振動計測面の振動から超音波を検出する。例えば、音響波検出器14として圧電効果を有するチタン酸ジルコン酸鉛の圧電素子(以下、「チタン酸ジルコン酸鉛の圧電素子」を「PZT」と略記する。)が例示できる。PZTは変調信号E1の周波数の振動で共振するように設計される。図1の音響波検出器14はPZTであり、誘電体21の両端に電極板19及び電極板20を持つ。音響波検出器14は電極板19を前記振動計測面としている。
音響整合層17は、前記音響波検出器の前記振動計測面上に配置され、前記被検体と前記音響波検出器との音響インピーダンスを整合して前記被検体からの前記超音波を前記音響波検出器の前記振動計測面に伝達し、且つ凹面形状の前記被検体との接触面を持つ。
音響整合層17は被検体900と音響波検出器14との音響インピーダンスを整合することができる。被検体900の表面の振動は音響波検出器14へ減衰せずに伝導する。音響整合層17の前記接触面の一般的な凹面形状としては円筒の側面の一部が例示できるが、接触する被検体の表面に応じた凹面形状とすることで被検体の表面との接触性が向上する。例えば、前記接触面の曲率半径は4mm以上50mm以下であることが例示できる。
また、前記接触面内で曲率半径を一律とする必要は無く、被検体の表面形状に適合するように前記接触面の位置に応じて曲率半径を変えても良い。例えば、人体の指を被検体とする場合、人体のひじを被検体とする場合及び人体のひざを被検体とする場合の前記接触面の曲率半径はそれぞれ4mm以上20mm以下、20mm以上40mm以下及び30mm以上50mm以下であることが例示できる。
また、前記接触面の凹面形状は被検体900内部で光音響効果で生じた超音波の被検体900の表面における波面と等しい形状としてもよい。前記接触面の形状を前記超音波の波面の形状と等しくすることで、前記超音波は被検体900から前記音響整合層17へ均一に伝導することができる。
図2のように音響整合層17の前記接触面の反対側と音響波検出器14の前記振動計測面、すなわち電極板19とが隣接する。
従って、音響整合層17の前記接触面は被検体900の表面に密着でき、音響整合層17は被検体900の表面の振動を反射や減衰を抑えて音響波検出器14の振動計測面に伝搬できるため、振動検出手段12は被検体900の表面の振動を効率よく検出することができる。
成分濃度測定装置201は以下のようにして被検体900内の測定対象成分の濃度を測定する。振動検出手段12の音響整合層17の前記接触面を被検体900の表面の所定の箇所に接触させる。前記接触面は被検体900の表面に適合する形状であるため、音響整合層17と被検体900の表面は密着することができる。
光照射手段11は被検体900の変調レーザ照射点Aに向けて変調レーザ光L1を照射する。変調レーザ光L1は被検体900の内部まで到達するため、測定対象成分の光音響効果で被検体900の内部が発振器18から出力される電気信号の周波数で振動して超音波が発生する。測定対象成分の濃度が高いほど光音響効果が大きいため、被検体900の測定対象成分の濃度が高い場合、発生する超音波の強度が強くなる。逆に、被検体900の測定対象成分の濃度が低い場合、発生する超音波の強度は弱くなる。前記超音波は伝達して被検体900の表面を振動させる。
なお、図1において変調レーザ照射点Aを指の側面として記載しているが、変調レーザ照射点Aは図1に示す位置に限定されるものではなく、振動検出手段12が受ける被検体900からの振動が最も大きくなる位置に照射することが望ましい。例えば、指の先端部、指の上面部(指の手の甲側)又は爪の表面を変調レーザ照射点Aとしてもよい。
被検体900の表面の振動は円滑に音響整合層17に伝搬するため、前記超音波は音響整合層17を通過して音響波検出器14の前記振動計測面に伝搬する。そのため、振動検出手段12は前記超音波を検出でき、前記超音波の強度を測定することができる。予め、測定対象成分の濃度と振動検出手段12で検出した超音波の強度との関係のデータを取得しておくことで、成分濃度測定装置201は振動検出手段12で検出した前記超音波の強度から被検体900の測定対象成分の濃度を算出することができる。
従って、成分濃度測定装置201は被検体900の表面と音響波検出器14との接触性を改善でき、精度よく被検体900の血液の成分濃度を測定することができる。
また、音響整合層17の音響インピーダンスは一様ではなく、図9に示すように前記被検体からの前記超音波が伝達する方向と垂直な面における音響インピーダンス分布が外周部から中央部に向かって低くなっている、又は図10に示すように前記被検体からの前記超音波が伝達する方向の音響インピーダンス分布が前記音響波検出器の前記振動計測面に向かって低くなっていてもよい。図9及び図10において図1で使用した符号と同じ符号は同一手段、部品又は信号を示す。音響整合層17の音響インピーダンスを前述のような分布とすることで、前記接触面からの超音波は図9や図10に示す超音波経路D1のように音響インピーダンスの低い中央部を通過しようとする。そのため、音響整合層17は前記超音波の発散を防止でき、音響波検出器14は効率よく前記振動を検出できる。
光源13は2波長の変調レーザ光L1を出力できる構造としてもよい。具体的には、光源13は、変調信号E1を2分岐して第一信号及び第二信号とする分岐回路と、前記分岐回路で分岐された前記第二信号を受信して位相を180°変換する移相回路と、互いに異なる波長のレーザ光を出力する二つのレーザ光源と、前記分岐回路からの前記第一信号及び前記移相回路からの前記第二信号に基づき前記レーザ光源をそれぞれ駆動する二つの駆動回路と、前記二つのレーザ光源からの強度変調されたレーザ光を合波して変調レーザ光L1を外部に出力する合波部と、を備える。
光源13は異なる2波長の光をそれぞれ同一周波数で逆位相の電気信号で強度変調して合成するため、2波長の光が交互に現れる変調レーザ光L1を出力することができる。2波長の光が交互に現れる変調レーザ光L1で成分濃度を測定する基本原理を以下に説明する。
異なる2波長の光の中の、第一の光の波長を、例えば被検体の測定対象の成分による吸光度が被検体の大部分を占める水による吸光度と顕著に異なる波長に設定し、第二の光の波長を水が第一の光の波長におけるのと合い等しい吸光度を示す波長に設定する。上記の波長の設定方法を、血液中のグルコースの濃度を測定する場合を例として図15により説明する。
常温における水とグルコース水溶液の吸光度特性を図15に示す。図15において、縦軸は吸光度を示し、横軸は光の波長を示している。また、図15において、実線は水の吸光度特性を示し、破線はグルコース水溶液の吸光度特性を示している。図15に示す波長λはグルコースによる吸光度が水による吸光度と顕著に異なる波長であり、波長λは、水がλにおける吸光度と相等しい吸光度を示す波長である。従って、例えば、第一の光の波長をλと設定し、第二の光の波長をλと設定することができる。
以下の説明においては、一例として、第一の光の波長を測定対象の成分による吸光度が水による吸光度と顕著に異なる波長λに設定し、第二の光の波長を水が第一の光の波長λにおけるのと合い等しい吸光度を示す波長λに設定した場合を説明する。
上記のように設定した異なる2波長の光の各々を、同一周波数で逆位相の信号により強度変調してパルス状の光として出射し、出射された異なる2波長の光が被検体の成分に吸収されて発生する超音波を検出して、検出した超音波の大きさから、被検体の測定対象の成分の濃度を測定する。上記のように強度変調された異なる2波長の光を出射した場合、第一の光を測定対象の成分と水の両方が吸収して被検体から発生する第一の超音波と、第二の光を被検体の大部分を占める水が吸収して被検体から発生する第二の超音波とは、周波数が等しくかつ逆位相である。従って、第一の超音波と第二の超音波は被検体内で重畳し、超音波の差として、第一の超音波の中の測定対象の成分が吸収して被検体から発生する超音波のみが残留する。すなわち、残留した超音波により、第一の光を測定対象の成分が吸収して被検体から発生する超音波のみを検出することができる。上記の測定においては、測定対象の成分と水の両方が吸収して発生する超音波と水が吸収して発生する超音波を個別に測定して差を演算するよりも、測定対象の成分が吸収して被検体から発生する超音波を正確に検出することができる。
さらに、成分濃度測定の誤差の要因を除いて、高精度に測定する方法を以下に説明する。波長λの光及び波長λの光の各々に対する、被検体の大部分を占める水の吸収係数をα (w)及びα (w)として、被検体の測定対象の成分のモル吸収係数をα (g)及びα (g)とすれば、波長λの光及び波長λの光の各々により被検体から発生する超音波の大きさs及びsを含む連立方程式は数式(1)で表される。
Figure 0004490385
上記の、数式(1)を解いて、被検体の測定対象の成分濃度Mを求めることができる。ここで、Cは制御あるいは予想困難な係数、すなわち、光照射手段、被検体及び振動検出手段の位置関係、振動検出手段の感度、被検体において光により超音波が発生される位置と振動検出手段との間の距離、被検体の比熱及び熱膨張係数、被検体の内部の超音波の速度、波長λの光及び波長λの光の変調周波数、水の吸収係数及び被検体の成分のモル吸収係数、などに依存する未知定数である。さらに数式(1)でCを消去すると次の数式(2)が得られる。
Figure 0004490385
ここで、波長λの光及び波長λの光の各々に対する、被検体の大部分を占める水の吸収係数α (w)及びα (w)が等しくなるように選択されているので、α (w)=α (w)が成立し、さらに、s≒sであることを用いれば、成分濃度Mは数式(3)で表される。
Figure 0004490385
上記の数式(3)に、既知の係数として、α (w)、α (g)及びα (g)を代入し、さらに、波長λの光及び波長λの光の各々により被検体から発生する超音波の大きさs及びsを測定して代入することにより、被検体の成分濃度Mを算出することができる。上記の数式(3)においては、2つの超音波の大きさs及びsを個別に検出するよりも、それらの差s−sを検出して、別に検出した超音波の大きさsで除する方が、被検体の成分濃度Mを高精度に測定することができる。
すなわち、まず、波長λの光及び波長λの光を、互いに逆位相の変調信号により強度変調して、1の光束に合波して出射することにより、被検体から発生する超音波の大きさs及び超音波の大きさsが相互に重畳して生じる超音波の差(s−s)を検出する。次に、波長λの光を出射して、被検体から発生する超音波の大きさsを検出する。上記のように検出した(s−s)とsにより、(s−s)÷sを演算することにより、数式(3)により、被検体の測定対象の成分濃度を高精度に測定することができる。
例えば、測定対象とする成分がグルコースの場合には、波長λをグルコースの特徴的な吸収を示す波長である1608nmに設定する。波長が1608nmの光を照射した場合、グルコースだけでなく水も光を吸収している。そこで、波長λを波長λ時に水が吸収する光量と等しい光量を吸収する波長である1381nmに設定する。
従って、変調レーザ光L1を2波長とすることで被検体900の測定対象成分の濃度を高精度に測定することができる。
図1の成分濃度測定装置201において、音響波検出器14は発振器18からの変調信号E2を利用して被検体900からの振動を同期検波してもよい。
被検体900からの振動と発振器18の変調信号E2とは周波数が等しいため、遅延回路を利用して変調信号E2を遅延させることで、音響波検出器14は被検体900からの振動を変調信号E2で同期検波することができる。振動検出手段12は被検体900からの振動を同期検波することで、SN比が向上するため、被検体900からの振動の大きさを精度良く測定できる。
従って、成分濃度測定装置201は発振器18からの変調信号E2を利用して被検体900からの振動を同期検波することで、被検体900の測定対象成分の濃度を高精度に測定することができる。
(実施の形態2)
本実施形態は、前記音響波検出器の前記振動計測面が凹面形状であり、前記音響整合層の前記超音波の伝達方向の厚みが一定であってもよい。
本実施形態に係る成分濃度測定装置203の概略図を図3に示す。図3の成分濃度測定装置203は光照射手段11及び振動検出手段32を備える。また、図4に振動検出手段32の斜視図を示す。図3の振動検出手段32は図4の平面Hにおける断面である。なお、図3及び図4において図1及び図2で使用した符号と同じ符号は同一手段、部品、信号又は光を示す。成分濃度測定装置203と図1の成分濃度測定装置201との違いは図1の振動検出手段12の代替として振動検出手段32が備えられていることである。なお、図3に示す振動検出手段32は発振器18からの変調信号E2を利用して同期検波をしている。
振動検出手段32は、図4のように音響波検出器34及び音響整合層37を含む。
音響波検出器34は誘電体41の両端に電極板19及び電極板20を持つPZTであり、図1及び図2の音響波検出器14と同様の機能及び動作である。音響波検出器34は前記振動計測面、すなわち電極板19が誘電体41側に窪んだ凹面形状となっている。
音響整合層37は、図1及び図2の音響整合層17と同様の機能及び動作であるが、前記超音波の伝達方向の厚みが一定であることを特徴とする。
図4のように音響波検出器34の前記振動計測面、すなわち電極板19と音響整合層37の厚み方向の一の面とが密着して隣接する。また、音響波検出器34の前記振動計測面上に音響整合層37が密着することで、音響整合層37の厚み方向の他の面は凹面形状となり、被検体900の表面と接触する接触面となる。前記接触面の一般的な凹面形状としては円筒の側面の一部が例示できるが、以下に説明する形状とすることで被検体の表面との接触性が向上する。
音響整合層37の前記接触面の凹面の曲率半径が4mm以上50mm以下となるように前記振動計測面の凹面の曲率半径を設計することが望ましい。図1の成分濃度測定装置201で説明したように曲率半径を前記振動計測面内で一律とする必要は無く、被検体の表面形状に適合するように曲率半径を変えても良い。例えば、人体の指を被検体とする場合、人体のひじを被検体とする場合及び人体のひざを被検体とする場合、前記接触面の曲率半径がそれぞれ4mm以上20mm以下、20mm以上40mm以下及び30mm以上50mm以下となるように前記振動計測面の曲率半径を設計することが例示できる。
また、前記接触面の凹面形状が被検体900内部の光音響効果で生じた超音波の被検体900の表面における波面と等しい形状となるように前記振動計測面の形状を設計することが望ましい。前記接触面の形状を前記超音波の波面の形状と等しくすることで、前記超音波は被検体900から前記音響整合層37へ均一に伝導することができる。
従って、音響整合層37の前記接触面は被検体900の表面に密着でき、音響整合層37は被検体900の表面の振動を反射や減衰を抑えて音響波検出器34の振動計測面に伝達できるため、振動検出手段32は被検体900の表面の振動を効率よく検出することができる。
成分濃度測定装置203は図1の成分濃度測定装置201で説明したように被検体900内の測定対象成分の濃度を測定することができる。さらに、音響整合層37の厚みが一定であり、前記超音波による被検体900の表面の振動は音響波検出器34の前記振動計測面に一様に伝達するため、音響波検出器34は効率よく前記超音波を検出できる。
従って、成分濃度測定装置203は被検体900の表面と音響波検出器34との接触性を改善でき、精度よく被検体900の血液の成分濃度を測定することができる。
また、成分濃度測定装置203は図1の成分濃度測定装置201で説明したように変調レーザ光L1に2波長の光を利用してもよい。
なお、成分濃度測定装置203における振動検出手段32の音響波検出器34は、凸起する方向を揃えて2枚の同一形状の電極板を相対させる圧電素子であって、前記電極の一つが前記音響波検出器の前記振動計測面であってもよい。図11に他の形態の振動検出手段32を示す。図11は図4の平面Hにおける断面である。図11の音響波検出器34aは電極板19と電極板20との形状が等しく、凸起する方向を揃えて相対させている。音響波検出器34a内部のいずれの箇所でも電極間距離が等しくなるため、前記超音波が微弱であってもPZTは容易に共振する。
従って、音響波検出器34aを有する振動検出手段32を備える成分濃度測定装置203はさらに精度よく被検体900の血液の成分濃度を測定することができる。
(実施の形態3)
本実施形態は、レーザ光を一定周波数の信号により電気的に強度変調した変調レーザ光を被検体に向けて照射する光照射手段と、照射された前記変調レーザ光により発生する前記被検体からの超音波を検出する振動検出手段と、を備える成分濃度測定装置であって、 前記振動検出手段は、一端にある振動計測面の振動から超音波を検出する音響波検出器と、 前記音響波検出器の前記振動計測面上に配置され、前記被検体と前記音響波検出器との音響インピーダンスを整合して前記被検体からの前記超音波を前記音響波検出器の前記振動計測面に伝達し、且つ凸面形状の前記被検体との接触面を持つ音響整合層と、を有することを特徴とする成分濃度測定装置である。
本実施形態に係る成分濃度測定装置205の概略図を図5に示す。図5の成分濃度測定装置205は光照射手段11及び振動検出手段52を備える。また、図6に振動検出手段52の斜視図を示す。図5の振動検出手段12は図6の平面Hにおける断面である。なお、図5及び図6において図1及び図2で使用した符号と同じ符号は同一手段、部品、信号又は光を示す。成分濃度測定装置205と図1の成分濃度測定装置201との違いは図1の振動検出手段12の代替として振動検出手段52が備えられていることである。なお、図5に示す振動検出手段52は発振器18からの変調信号E2を利用して同期検波をしている。
振動検出手段52は、図6のように音響波検出器14及び音響整合層57を含む。
音響整合層57は、図1及び図2の音響整合層17と同様の機能及び動作である。音響整合層57の前記接触面の一般的な凸面形状としては円筒の側面の一部が例示できるが、接触する被検体の表面に応じた凸面形状とすることで被検体の表面との接触性が向上する。例えば、前記接触面の曲率半径は5mm以上300mm以下であることが例示できる。
また、前記接触面内で曲率半径を一律とする必要は無く、被検体の表面形状に適合するように前記接触面の位置に応じて曲率半径を変えても良い。例えば、人体の手のひらを被検体とする場合、人体のあごを被検体とする場合及び人体の耳を被検体とする場合の前記接触面の曲率半径はそれぞれ100mm以上300mm以下、5mm以上20mm以下及び10mm以上30mm以下であることが例示できる。
また、前記接触面の凸面形状は被検体950内部で光音響効果で生じた超音波の被検体950の表面における波面と等しい形状としてもよい。前記接触面の形状を前記超音波の波面の形状と等しくすることで、前記超音波は被検体950から前記音響整合層57へ均一に伝導することができる。
図6のように音響整合層57の前記接触面の反対側と音響波検出器14の前記振動計測面、すなわち電極板19とが隣接する。
従って、音響整合層57の前記接触面は被検体950の表面に密着でき、音響整合層57は被検体950の表面の振動を反射や減衰を抑えて音響波検出器14の振動計測面に伝達できるため、振動検出手段52は被検体950の表面の振動を効率よく検出することができる。
成分濃度測定装置205は振動検出手段52を備えたことで人体の手のひら、人体のあご及び人体の耳のような表面が窪んだ形状の被検体950と密着でき、図1の成分濃度測定装置201で説明したように被検体950内の測定対象成分の濃度を測定することができる。
なお、図5において変調レーザ照射点Aを指の付け根として記載しているが、変調レーザ照射点Aは図5に示す位置に限定されるものではなく、例えば、手の甲を変調レーザ照射点Aとしてもよい。
従って、成分濃度測定装置205は被検体950の表面と音響波検出器14との接触性を改善でき、精度よく被検体950の血液の成分濃度を測定することができる。
また、成分濃度測定装置205は、図1の成分濃度測定装置201で説明したように変調レーザ光L1に2波長の光を利用してもよい。
(実施の形態4)
本実施形態は、前記音響波検出器の前記振動計測面が凸面形状であり、前記音響整合層の前記超音波の伝達方向の厚みが一定であってもよい。
本実施形態に係る成分濃度測定装置207の概略図を図7に示す。図7の成分濃度測定装置207は光照射手段11及び振動検出手段72を備える。また、図8に振動検出手段72の斜視図を示す。図7の振動検出手段72は図8の平面Hにおける断面である。なお、図7及び図8において図1及び図2で使用した符号と同じ符号は同一手段、部品、信号又は光を示す。成分濃度測定装置207と図1の成分濃度測定装置201との違いは図1の振動検出手段12の代替として振動検出手段72が備えられていることである。なお、図7に示す振動検出手段72は発振器18からの変調信号E2を利用して同期検波をしている。
振動検出手段72は、図8のように音響波検出器74及び音響整合層77を含む。
音響波検出器74は誘電体81の両端に電極板19及び電極板20を持つPZTであり、図1及び図2の音響波検出器14と同様の機能及び動作である。音響波検出器74は前記振動計測面、すなわち電極板19が外側に凸起した凸面形状となっている。
音響整合層77は、図1及び図2の音響整合層17と同様の機能及び動作であるが、前記超音波の伝達方向の厚みが一定であることを特徴とする。
図8のように音響波検出器74の前記振動計測面、すなわち電極板19と音響整合層77の厚み方向の一の面とが密着して隣接する。また、音響波検出器74の前記振動計測面上に音響整合層77が密着することで、音響整合層77の厚み方向の他の面は凸面形状となり、被検体950の窪んだ形状の表面と接触する接触面となる。前記接触面の一般的な凸面形状としては円筒の側面の一部が例示できるが、以下に説明する形状とすることで被検体の表面との接触性が向上する。
音響整合層77の前記接触面の凸面の曲率半径が5mm以上300mm以下となるように前記振動計測面の凹面の曲率半径を設計することが望ましい。図5の成分濃度測定装置205で説明したように曲率半径を前記振動計測面内で一律とする必要は無く、被検体の表面形状に適合するように曲率半径を変えても良い。例えば、人体の手のひらを被検体とする場合、人体のあごを被検体とする場合及び人体の耳を被検体とする場合、前記接触面の曲率半径がそれぞれ100mm以上300mm以下、5mm以上20mm以下及び10mm以上30mm以下となるように前記振動計測面の曲率半径を設計することが例示できる。
また、前記接触面の凸面形状が被検体950内部の光音響効果で生じた超音波の被検体950の表面における波面と等しい形状となるように前記振動計測面の形状を設計することが望ましい。前記接触面の形状を前記超音波の波面の形状と等しくすることで、前記超音波は被検体950から前記音響整合層77へ均一に伝導することができる。
従って、音響整合層77の前記接触面は被検体950の表面に密着でき、音響整合層77は被検体950の表面の振動を反射や減衰を抑えて音響波検出器74の振動計測面に伝達できるため、振動検出手段72は被検体950の表面の振動を効率よく検出することができる。
成分濃度測定装置207は図1の成分濃度測定装置201で説明したように被検体950内の測定対象成分の濃度を測定することができる。さらに、音響整合層77の厚みが一定であり、前記超音波による被検体950の表面の振動は音響波検出器74の前記振動計測面に一様に伝達するため、音響波検出器74は効率よく前記超音波を検出できる。
従って、成分濃度測定装置207は被検体950の表面と音響波検出器74との接触性を改善でき、精度よく被検体950の血液の成分濃度を測定することができる。
また、成分濃度測定装置207は図1の成分濃度測定装置201で説明したように変調レーザ光L1に2波長の光を利用してもよい。
なお、成分濃度測定装置207における振動検出手段72の前記音響波検出器は、凸起する方向を揃えて2枚の同一形状の電極板を相対させる圧電素子であって、前記電極の一つが前記音響波検出器の前記振動計測面であってもよい。図12に他の形態の振動検出手段72を示す。図12は図8の平面Hにおける断面である。図12の音響波検出器74aと図11の音響波検出器34aとは電極板19及び電極板20の凸起する方向が異なる以外は同様の構成のため、音響波検出器74aは図11の音響波検出器34aで説明した効果と同様の効果を得ることができる。
従って、音響波検出器74aを有する振動検出手段を備える成分濃度測定装置207はさらに精度よく被検体900の血液の成分濃度を測定することができる。
成分濃度測定装置201、203、205、207における振動検出手段の前記音響波検出器は、外側に凸起する2枚の電極板の圧電素子であって、前記電極の一つが前記音響波検出器の前記振動計測面であってもよい。図13に他の形態の音響波検出器134aを示す。音響波検出器134aの電極板19及び電極板20は外側に凸起しており、電極板19及び電極板20の共振波の反射面は凹面形状となる。共振波は電極板19及び電極板20で収束する方向に反射するため、共振波は発散せずPZT内に閉じ込められ、前記PZTの超音波から電気信号への変換効率が向上する。
従って、音響波検出器134aを有する振動検出手段を備える成分濃度測定装置201、205、207はさらに精度よく被検体900の血液の成分濃度を測定することができる。
本発明の成分濃度測定装置は、日常の健康管理や美容上のチェックに利用することができる。また、人間ばかりでなく、動物についても健康管理に利用することができる。さらに、本発明の成分濃度測定装置は、液体中の成分濃度を測定することができるため、例えば果実の糖度測定にも適用することができる。
本発明の一の実施形態に係る成分濃度測定装置201の概略図である。 本発明の一の実施形態に係る成分濃度測定装置201の振動検出手段12の斜視図である。なお、音響整合層17の前記接触面に記載する曲線は前記接触面が窪んでいることを表現した等高線であり、前記接触面に現実に存在するものではない。 本発明の他の実施形態に係る成分濃度測定装置203の概略図である。 本発明の他の実施形態に係る成分濃度測定装置203の振動検出手段32の斜視図である。なお、音響整合層37の前記接触面に記載する曲線は前記接触面が窪んでいることを表現した等高線であり、前記接触面に現実に存在するものではない。 本発明の他の実施形態に係る成分濃度測定装置205の概略図である。 本発明の他の実施形態に係る成分濃度測定装置205の振動検出手段52の斜視図である。なお、音響整合層57の前記接触面に記載する曲線は前記接触面が凸起していることを表現した等高線であり、前記接触面に現実に存在するものではない。 本発明の他の実施形態に係る成分濃度測定装置207の概略図である。 本発明の他の実施形態に係る成分濃度測定装置207の振動検出手段72の斜視図である。なお、音響整合層77の前記接触面に記載する曲線は前記接触面が凸起していることを表現した等高線であり、前記接触面に現実に存在するものではない。 傾向のある音響インピーダンス分布の音響整合層17を有する振動検出手段12の断面図である。なお、音響整合層17に記載する縦縞は音響インピーダンス分布を概念的に示したもので、現実に存在するものではない。本図において音響整合層17の中央部より両端が縦縞の密度が高くなっており、音響整合層17の中央部より両端の音響インピーダンスが高いことを意味している。 傾向のある音響インピーダンス分布の音響整合層17を有する振動検出手段12の断面図である。なお、音響整合層17に記載する横縞は音響インピーダンス分布を概念的に示したもので、現実に存在するものではない。本図において音響波検出器14から離れるに従い音響整合層17の横縞の密度が高くなっており、音響波検出器14から離れるに従い音響整合層17の音響インピーダンスが高くなることを意味している。 凸起する方向を揃えて2枚の同一形状の電極板を相対させるPZTを有する振動検出手段32の断面図である。 凸起する方向を揃えて2枚の同一形状の電極板を相対させるPZTを有する振動検出手段72の断面図である。 外側に凸起する2枚の電極板のPZTの断面図である。 従来の成分濃度測定装置の構成例を示す図である。 常温における水とグルコース水溶液の吸光度特性を示した図である。
符号の説明
201、203、205、207 成分濃度測定装置
11 光照射手段
12、32、52、72 振動検出手段
13 光源
14、34、34a、74、74a、134a 音響波検出器
17、37、57、77 音響整合層
18 発振器
19、20 電極板
21、41、81、111、121、131 誘電体
A 変調レーザ照射点
L1 変調レーザ光
E1、E2 変調信号
D1 超音波経路
H 平面
J 平面Hと振動検出手段の表面との交線
900、950 被検体
604 駆動回路
610 被検体
613 超音波検出器
616 パルス光源
620 波形観測器



Claims (8)

  1. レーザ光を一定周波数の信号により電気的に強度変調した変調レーザ光を被検体に向けて照射する光照射手段と、
    照射された前記変調レーザ光により発生する前記被検体からの超音波を検出する振動検出手段と、
    を備える成分濃度測定装置であって、
    前記振動検出手段は、一端にある振動計測面の振動から超音波を検出する音響波検出器と、
    前記音響波検出器の前記振動計測面上に配置され、前記被検体と前記音響波検出器との音響インピーダンスを整合して前記被検体からの前記超音波を前記音響波検出器の前記振動計測面に伝達し、且つ凹面形状の前記被検体との接触面を持つ音響整合層と、
    を有することを特徴とする成分濃度測定装置。
  2. 前記音響波検出器は、前記振動計測面が凹面形状であり、前記音響整合層は、前記超音波の伝達方向の厚みが一定であることを特徴とする請求項1に記載の成分濃度測定装置。
  3. レーザ光を一定周波数の信号により電気的に強度変調した変調レーザ光を被検体に向けて照射する光照射手段と、
    照射された前記変調レーザ光により発生する前記被検体からの超音波を検出する振動検出手段と、
    を備える成分濃度測定装置であって、
    前記振動検出手段は、一端にある振動計測面の振動から超音波を検出する音響波検出器と、
    前記音響波検出器の前記振動計測面上に配置され、前記被検体と前記音響波検出器との音響インピーダンスを整合して前記被検体からの前記超音波を前記音響波検出器の前記振動計測面に伝達し、且つ凸面形状の前記被検体との接触面を持つ音響整合層と、
    を有することを特徴とする成分濃度測定装置。
  4. 前記音響波検出器は、前記振動計測面が凸面形状であり、前記音響整合層は、前記超音波の伝達方向の厚みが一定であることを特徴とする請求項3に記載の成分濃度測定装置。
  5. 前記音響整合層は、前記被検体からの前記超音波が伝達する方向と垂直な面における音響インピーダンス分布が外周部から中央部に向かって低くなっていることを特徴とする請求項1から4に記載のいずれかの成分濃度測定装置。
  6. 前記音響整合層は、前記被検体からの前記超音波が伝達する方向の音響インピーダンス分布が前記音響波検出器の前記振動計測面に向かって低くなっていることを特徴とする請求項1又は2に記載の成分濃度測定装置。
  7. 前記音響波検出器は、凸起する方向を揃えて2枚の同一形状の電極板を相対させる圧電素子であって、前記電極の一つが前記音響波検出器の前記振動計測面であることを特徴とする請求項2又は4に記載の成分濃度測定装置。
  8. 前記音響波検出器は、外側に凸起する2枚の電極板の圧電素子であって、前記電極の一つが前記音響波検出器の前記振動計測面であることを特徴とする請求項1、3又は4に記載の成分濃度測定装置。

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