以下添付図面を参照して本発明の一実施の形態について説明する。
[ベビーカーの説明]
まず、図1乃至図12により、本発明による折り畳みロック操作装置が組み込まれる折り畳み式のベビーカーの一実施の形態について説明する。
このうち図1はベビーカーの展開した状態を示す正面図であり、図2はベビーカーの展開した状態を示す側面図であり、図3はベビーカーの展開した状態を示す斜視図であり、図4はベビーカーの折り畳んだ状態を示す側面図であり、図5はベビーカーの折り畳んだ状態を示す正面図であり、図6はベビーカーの前脚の下端部分を示す正面図である。
図1乃至図5に示すように、ベビーカー10は、手押し杆11と、後端を手押し杆11に回動自在に連結された左右一対のアームレスト40と、各アームレスト40に回動自在に連結された左右一対の前脚21と、各アームレスト40に回動自在に連結された左右一対の後脚31と、各前脚21の下端に前車輪キャスターホルダー26を介して設けられた前車輪23と、各後脚31の下端に後車輪キャスターホルダー36を介して設けられた後車輪33とを備えている。
まず手押し杆11について説明する。手押し杆11は一対の管部11aと各管部11a同士を連結する水平杆部11bとを有する略逆U字状からなっている。図2乃至図4に示すように、手押し杆11の各管部11aの下端はブラケット13の一端部近傍と回動自在に連結されている。一方、各ブラケット13の他端部近傍は一対の後脚31の中間部と回動自在に連結されている。
図3に示すように、この各ブラケット13は各手押し杆11の管部11aおよび後脚31を挟む一対の略V字状の部材13a,13bからなっている。各略V字状部材13a,13bは、手押し杆11および後脚31への2本の連結軸によって互いに対して固定された状態で、手押し杆11および後脚31に対して回動する。外側の略V字状部材13aの一端には係合溝13cが設けられており(図2および図3)、内側の略V字状部材13bの他端には突出部13dが設けられている(図3)。
また、特に図3に示すように、手押し杆11のブラケット13との連結箇所より上方には、延長杆15が取り付けられている。延長杆15は手押し杆11への取り付け部15aと、取り付け部15aから延びる延長部15bとからなる。延長部15bは、ブラケット13の内側の略V字状部材13bよりもベビーカーの幅方向内側に配置され、手押し杆11の管部11aと平行な方向を下方に向けて延びている。延長杆15の取り付け部15aは、ベビーカー10を展開した状態においてブラケット13の上方に隣接して配置され、延長杆15はブラケット13の係合溝13cと係合するロック部材15cをさらに有している(図2および図3)。
ロック部材15cは手押し杆11内に設けられた圧縮バネ105により下方に向けて付勢されており、ベビーカー10を展開した状態においては、ロック部材15cはブラケット13の係合溝13c内に配置される(図2)。また、ベビーカー10を展開した状態において、手押し杆11の管部11a下端が後脚31に当接している(図3)。これらにより、ベビーカー10を展開した状態における、手押し杆11とブラケット13および後脚31との位置関係が固定される。
ロック部材15cは手押し杆11内に延在するワイヤ101の一端101aと連結されている。なお、ワイヤ101の他端101bは手押し杆11の水平杆部11b中央に設けられたロック操作装置100に連結されている(図2)。ロック操作装置100を操作すると、ロック部材15cは圧縮バネ105の力に抗して延長杆15の取り付け部15a内に引き込まれ、ブラケット13の手押し杆11に対する回動が可能となる。
また、手押し杆11の各管部11a下端には左右一対のフレーム17の一端が回動自在に連結されている。本実施の形態において、フレーム17は延長杆15の内側に配置され、フレーム17の手押し杆11に対する回動軸は、ブラケット13の手押し杆11に対する回動軸と同一軸上となっている。なお、この各フレーム17の他端は前脚21の中間部に回動自在に連結されている。
図14はロック操作装置100の内部を示す平面図である。図14に示すように、手押し杆11はその水平杆部11b中央にヒンジ106(図14)を有している。すなわち、水平杆部11bは、このヒンジ106と、管部11aと一体に形成されたパイプとからなっている。これにより、手押し杆11の一対の管部11aはこのヒンジ106を中心として互いに接近するように揺動することができる。なお、このヒンジ106については、本発明によるロック操作装置100とともに後に詳しく説明する。
次に図8乃至図11を参照してアームレスト40について説明する。このうち図8はアームレスト40の斜視図であり、図9はアームレスト40の先端部分の分解斜視図であり、図10はアームレスト40の先端部分の下面図であり、図11はアームレスト40の先端部分の断面斜視図である。なお、一対のアームレスト40は左右対称な構造となっており、図8乃至図11に図示したアームレスト40はベビーカー10を正面から見た場合に右側に配置されるアームレストである。
図8乃至図11に示すように、アームレスト40は、後端を手押し杆11に連結されたアームレスト本体41と、アームレスト本体41の先端に支持されガードアーム56を取り外し自在に係止するアームレスト接合部46とを有している。
図10および図11に示すように、アームレスト本体41は先端部を除き下方に開口しており、その先端面42は曲面状となっている。また、図9に示すように、アームレスト本体41はその先端面42の略中央に設けられた横長の貫通孔43と、貫通孔43の上方に設けられた開口からなるバネホルダ44とを有している。
一方、アームレスト接合部46は、アームレスト本体41の貫通孔43に挿入される軸部47と、アームレスト本体41の先端面42に係合しガードアーム56の端面に当接するつば部49と、ガードアーム56に挿入されガードアーム56を係止する係合部51とからなる(特に図9参照)。
このうち、軸部47は一端側が半球状となった円筒状からなり、その中間部に上下に延びる孔47aを有している。つば部49の後面49aはアームレスト本体41の先端面42に対応した曲面状となっている。この後面49aの上方幅方向内側にはバネ当てリブ49bが設けられており、このバネ当てリブ49bはアームレスト本体41のバネホルダ44内に配置される(図11)。アームレスト接合部46の係合部51は円筒状からなり、その先端近傍に一対の係合突起51aが設けられている。この係合突起51aは係合部51内に設けられた図示しないバネによって両側方に向けて付勢され、係合部51の側面から突出している。一方、この係合突起51aは、図示しないバネの弾発力に抗して押し込まれることにより、係合部51内に収納され得る。
また、アーレスト本体41の貫通孔43内にアームレスト接合部46の軸部47が挿入され、この状態で軸部47の孔47aにピン53が挿入されている(図10(a)(b))。ピン53は孔47aを貫通し、アームレスト本体41の内側に設けられた図示しない溝に係合して位置決めされるとともに、割ピン54によってアームレスト本体41に固定される(図10(a)(b))。上述の措置により、アームレスト接合部46はピン53を中心として、アームレスト本体41に対しベビーカー10の幅方向に揺動することができる。
また、アームレスト本体41の内側には一対の規制ピン45a,45bが突設されている。図10(a)(b)において右側の規制ピン45aは、アームレスト接合部46の幅方向内側への揺動を規制するものであり、図10(a)(b)において左側の規制ピン45bは、アームレスト接合部46の幅方向外側への揺動を規制するものである。
図10(a)はベビーカー10を展開した場合におけるアームレスト接合部46の状態を示す図であり、アームレスト接合部46はアームレスト本体41の略正面に配置されている。アームレスト接合部46がこのような展開位置にある場合、アームレスト本体41の規制ピン45aはアームレスト接合部46の軸部47に当接し、アームレスト接合部46のさらなる幅方向内側への揺動は規制されている。すなわち、アームレスト接合部46の展開位置は、揺動範囲の中で最も幅方向内側となっている。
一方、図10(b)はベビーカー10を折り畳んだ場合におけるアームレスト接合部46の状態を示す図であり、アームレスト接合部46はアームレスト本体41に対してベビーカー10の幅方向外側に配置されている(図5)。アームレスト接合部46がこのような折り畳み位置にある場合、アームレスト本体41の規制ピン45bはアームレスト接合部46の軸部47に当接し、アームレスト接合部46のさらなる幅方向外側への揺動は規制されている。すなわち、アームレスト接合部46の折り畳み位置は、揺動範囲の中で最も幅方向外側となっている。
さらに、アームレスト本体41のバネホルダ44には圧縮された圧縮コイルバネ45が設けられている。図11に示すように、圧縮コイルバネ45はバネホルダ44内でベビーカー10の幅方向に延び、圧縮コイルバネ45の幅方向内側端部にはアームレスト接合部46のバネ当てリブ49bが当接している。これにより、アームレスト接合部46は圧縮コイルバネ45により展開位置に向けて付勢されている。なお、図11(a)はアームレスト接合部46が展開位置にある状態を示す図であり、図11(b)はアームレスト接合部46が折り畳み位置にある状態を示す図である。図11(a)および図11(b)に示すように、アームレスト接合部46は展開位置から折り畳み位置へ揺動するにしたがって、圧縮コイルバネ45を圧縮していくようになっている。
次に、ガードアーム56について説明する。図3および図5に示すように、ガードアーム56はアームレスト40へ接合される一対のガードアーム接合部58と、一対のガードアーム接合部58間に設けられたガードアーム本体57とを有している。
図12はアームレスト40への取り付け構造を示すガードアーム56の部分断面図である。図12に示すように、ガードアーム接合部58はそのアームレスト側の端面にアームレスト接合部46の係合部51を受ける開口59を有し、またガードアーム接合部58は開口59の設けられた部分よりアームレスト40から離れた位置においてベビーカー10の幅方向内側に向けて曲がっている。開口59は、開口端に設けられ外方に向けて開口径が広がる案内部59aを有し、また開口59の底面近傍において段差59bを介して径が大きくなっている。この段差59bと係合部51の係合突起51aが係合し、ガードアーム56はアームレスト40に係止される。ガードアーム接合部58には解除ボタン59cが設けられており、解除ボタン59cは、係合突起51aが段差59bに係合した状態において、係合突起51aの先端に対面する。この解除ボタン59cはガードアーム接合部58内をガードアーム接合部58に対して横方向に摺動することができ、解除ボタン59cをガードアーム接合部58内に押し込むことにより、ロック部材51aが図示しないバネの力に抗して係合部51内に収納される。
ガードアーム本体57は心となる骨材57bと骨材57bを覆うガード材57aとからなる。骨材57bは略中央部に設けられた2つの関節57e,57eを介し、互いに揺動自在に連結された3つの部材57c,57d,57cからなる(図5)。このうち両側の部材57c,57cは一対のガードアーム接合部58とそれぞれ一体に成形されている。ガード材57aはゴム等の可撓性材料からなり、ベビーカー10を展開した場合(例えば図3)に撓みが生じていない状態となっている。したがって、力を加えることにより、ガード材57aを変形させるとともに、骨材57bの3つの部材57c,57d,57cを互いに対して揺動させ、ガードアーム本体57を曲げることができる(図5)。
次に図1により、前脚21について詳述する。前脚21は、特に図1に示すように、下方に向けて脚間がベビーカー10の幅方向に広がるように傾斜している。図1および図6に示すように、前脚21の下端に設けられた前車輪キャスターホルダー26は、前脚21を受ける脚受け部27と、前車輪23を下方部において保持する保持部29と、脚受け部27と保持部29とを連結する連結部28とからなっている。このうち保持部29は接地面に対して略垂直に配置され、また連結部28は保持部29が前脚21の軸線L1上に配置された脚受け部27よりベビーカー10の幅方向内側に配置されるよう折れ曲がっている。これにより、保持部29は前脚21の軸線L1よりベビーカー10の幅方向内側で前車輪23を保持することができ、ベビーカー10の車体幅を削減することができる。
次に図7(a)(b)により、前車輪キャスターホルダー26ついてさらに説明する。ここで図7(a)はベビーカー10を展開した状態における前車輪キャスターホルダー26を示す断面図であり、図7(b)はベビーカー10を折り畳んだ状態における前車輪キャスターホルダー26を示す断面図である。
図7(a)に示すように、前車輪23は双輪構造となっており、各輪23a,23aは車輪軸23bにより連結され、車輪軸23bの中央部には略球状の軸支持体23cが固着されている。前車輪キャスターホルダー26の保持部29には、この軸支持体23cに係合する凹部29aと、凹部29aの両側に配置されたスリット29bが設けられている。また、軸支持体23cは凹部29aに収納されるとともに、保持部29内の軸支持体23c上方に配置されたバネ30により凹部29aに向けて押圧されている。このような構成により、前車輪23は前車輪キャスターホルダー26に回転自在に支持されるとともに、前車輪23の車輪軸23bは常に接地面に対して平行に配置される。これにより、前脚21が接地面に対してなす傾斜角度が変化したとしても、常に走行をスムースに行うことができる(図7(b))。
また、図1に示すように前脚21とフレーム17との回動軸線上には、一対のボス61がフレーム17の内側に設けられている。ボス22はフレーム17と前脚21との回動軸と同一軸上で、前脚21およびフレーム17に対して回動自在となっている。また、このボス61間にこれらを連結する前脚ステー62が設けられており、前脚ステー62は中央部62aと、中央部62aの両側に配置された一対の両側部62b,62bとからなる。中央部62aと両側部62bとの連結箇所および両側部62bとボス61との連結箇所は、中央部62aが前方上方にせり出すことができる方向に屈曲自在となっているが、逆方向には屈曲することができない(図4および図5)。
図1に示すように、各前脚21の下端部近傍には一対のボス64が設けられ、このボス64間にこれらを連結するフットレスト65が設けられている。フットレスト65はフットレスト部65aと、フットレスト部65aの両側に配置された一対の両側部65b,65bとからなっている。フットレスト部65aと両側部65bとの連結箇所および両側部65bとボス64との連結箇所は、フットレスト部65aが前脚21と平行な方向に沿って上方にせり出すことができる上方向に屈曲自在となっているが、下方向には屈曲することができない(図4および図5)。
また、図3に示すように、フレーム17とフットレスト65の側部65bとの間に、これらを連結する連結杆66が設けられている。連結杆66の上方端は、フレーム17と前脚21との連結箇所より後方側のフレーム17上に回動自在に取り付けられている。一方、連結杆66の下方端は、フットレスト65の側部65bとボス64との連結箇所より幅方向外側の側部65b上に連結されている。これにより、フレーム17が後方側を下げるように前脚21に対して回動した場合、フットレスト65はフットレスト部65aが上方にせり出すように連結杆66により付勢される。
次に後脚31について、特に図1および図3を参照してさらに詳述する。後脚31は、前脚21と同様に下方に向けて脚間がベビーカー10の幅方向に広がるように傾斜している。また、後車輪キャスターホルダー36も前車輪キャスターホルダー26の保持部29と同様の構成を有しており、双輪構造の後車輪33の各輪33a,33aを連結する車輪軸33bも常に接地面に対して平行に配置されるようになっている。
各後脚31の下端部近傍には一対のボス67が設けられ、このボス67間にこれらを連結する後脚ステー68が設けられている。後脚ステー68は中央部68aと、中央部68aの両側に配置された一対の両側部68b,68bとからなる。中央部68aと両側部68bとの連結箇所および両側部68bとボス67との連結箇所は、中央部68aが前方上方にせり出すことができる方向に屈曲自在となっているが、逆方向には屈曲することができない(図4および図5)。
また、図3に示すように、ブラケット13の内側の略V字状部材13bと後脚ステー68の側部68bとの間に連結杆69が設けられている。連結杆69の上方端は、ブラケット13の内側の略V字状部材13bの突出部13dに回動自在に取り付けられており、一方、連結杆69の下方端は、後脚ステー68の側部68bとボス67との連結箇所より幅方向内側の側部68b上に連結されている。このような構成により、ブラケット13が後脚31に対して回動して突出部13dが上方に移動すると、後脚ステー68は中央部68aが上方に持ち上げられるように連結杆69により付勢される。
ところで、特に図3に示すように、左右の前脚21と手押し杆11の下方に取り付けられた延長杆15との間に、ベビーカー10の展開状態時に後方下方にわずかに傾斜したX字状リンク71が設けられている。このX字状リンク71は、ほぼ中央部が互いに対して回動自在に連結された2本のリンク71a,71bにより構成されている。
各リンク71a,71bの後端部は、ボス72を介して延長杆15の延長部15b下端と連結されている。なお、このボス72はベビーカー10の略幅方向に伸びる軸を中心として延長杆15に対し回動自在であり、また、各リンク71a,71bはこのボス72に対して揺動自在となっている。一方、各リンク71a,71bの前端部は前脚ステー62の側部62bとボス61との連結箇所より幅方向内側の側部62b上に、側部62bに対して揺動自在に連結されている。これにより、X字状リンク71の各リンク71a,71bが前後方向に向くよう閉方向に回動した場合、前脚ステー62は中央部62aが上方前方にせり出すようにX字状リンク71により付勢される。
次にこのような構成からなる本実施の形態の作用について説明する。
まず、ベビーカー10を展開した状態から折り畳む方法について説明する。
この場合、まずブラケット13が後脚31との連結軸を中心として、後脚31に対し図2において時計回り方向に回動するように、ロック操作装置100を操作してロック部材15cを引き上げながら手押し杆11をいったん手前方向に引き上げた後、押し下げる。このとき、ブラケット13の後脚31に対する回動に伴い、手押し杆11が下方位置に移動されながら後脚31に対して略平行に配置されるようになる。
また、手押し杆11に枢着されたアームレスト40及びフレーム17は手押し杆11に対して図2おいて時計回り方向に回動し、後方が下方に配置されるように傾斜する。これによって前脚21と手押し杆11が略平行状態を保ちながら接近するように移動され、図4に示すようにベビーカー10の前後方向の寸法が縮小される。
一方、図2および図4に示すように、上記フレーム17の手押し杆11に対する回動に伴い、X字状リンク71のベビーカー10の側方から見た長さは長くなる。このとき、X字状リンク71の各リンク71a,71bはそれぞれベビーカー10の前後方向に延びるように互いに対して回動する。このようなX字状リンク71の閉方向の回動に伴い、延長杆15を介してX字状リンク71に連結された手押し杆11は、下端における間隔を狭めるよう水平杆部11bに設けられたヒンジ106を中心として揺動する。
また、アームレスト40を介して手押し杆11に連結された前脚21および後脚31も、手押し杆11の水平杆部11bに設けられたヒンジ106を中心として揺動するようにして間隔を狭める。これによって、図5に示すようにベビーカー10の幅方向の寸法が縮小される。
このとき、X字状リンク71の閉方向の回動により、前脚ステー62は中央部62aが上方前方にせり出すよう付勢される。また、フレーム17の回動に伴い連結杆66が押し下げられることにより、フットレスト65のフットレスト部65aは上方にせり出すよう付勢される。さらに、ブラケット13の回動に伴い連結杆69が引き上げられることにより、後脚ステー68は中央部68aが上方前方にせり出すよう付勢される。一対の前脚21間および一対の後脚31間を連結する前脚ステー62、後脚ステー68およびフットレスト65がこのように動作することにより、前脚21および後脚31はスムースに接近することができる。
また、前脚21および後脚31は展開した状態において下方に向けて脚間が広がるよう傾斜して配置されている。したがって、前脚21および後脚31が手押し杆11のヒンジ106を中心として揺動するようにして間隔を狭めても、図5に示すように、一対の前脚21同士または一対の後脚31同士が接触してしまうことを防止することができ、あるいは前脚21または後脚31が脚間に配置される部材等に接触してしまうことを防止することができる。
さらに、手押し杆11の水平杆部11bに設けられたヒンジ106を中心とし、アームレスト40が揺動して間隔を狭める際、ガードアーム本体57をコンパクトに小さく曲げる必要がある。本実施の形態によれば、ガードアーム56を係止するアームレスト接合部46がアームレスト本体41に対して、展開位置から折り畳み位置へ揺動することができる。したがって、ベビーカー10を折り畳む際には、ガードアーム本体57の曲げ抵抗により、アームレスト接合部46が折り畳み位置へ、すなわちアームレスト本体41に対してベビーカー10の幅方向外側へ押圧される。これにより、ベビーカー10を折り畳むことによって曲げられるガードアーム本体57の曲がりを緩くすることができ、ベビーカー10の折り畳み抵抗を軽減することができる。
また、ガードアーム本体57を小さくきつく曲げる必要がないため、ガードアーム本体57の骨材57bの関節数を減ずることができ、また可撓性材料57aとして剛性の高いものを使用することもできる。これにより、ガードアーム56の剛性を高めることができるので、幼児をより安全に防護することができる。
また、ベビーカー10を折り畳むことにより前脚21および後脚31の傾斜角度が変化するが、車輪23,33の車輪軸23b,33bは常に接地面に対して平行に配置されるようになっている。したがって、ベビーカー10の折り畳み時および展開時のいずれの場合においても、車輪23,33による走行を常にスムースに行うことができる。また、本実施の形態においては、各車輪23,33を製造上の制度が要求される双輪構造としているが、各キャスターホルダー26,36を上述したように構成することにより、常に車輪軸23b,33bが接地面に対して平行に配置されるため、製造上の誤差を補正することができ、ひいては品質の向上を図ることができる。
一方、折り畳まれたベビーカー10を展開する場合には、手押し杆11を引き上げ、ブラケット13を後脚31との連結軸を中心として、後脚31に対し図4において反時計回り方向に回動させる。これにより、折り畳む場合と逆の手順でベビーカー10が展開され、図2に示す状態となる。この場合、手押し杆11の管部11a下端が後脚に当接するとともに手押し杆11のロック部材15cがブラケット13の係合溝13cに係合する。これにより手押し杆11と、後脚31およびブラケット13の位置関係が固定される。
このように、手押し杆11を引き上げおよび押し下げることにより、ベビーカー10を容易に折り畳むことができるとともに、容易に展開することができる。
またこのとき、圧縮コイルバネ45によるバネ当てリブ49bの押圧およびガードアーム本体57の復元力により、アームレスト接合部46は展開位置に戻される。
次にベビーカー10を使用する場合について説明する。ベビーカー10に幼児を乗せる場合には、ガードアーム56を一度アームレスト40から取り外す。この場合、まずガードアーム接合部58の解除ボタン59cを押す。これにより、アームレスト接合部46の係合突起51aが係合部51内に入り込むので、ガードアーム56をアームレスト40から容易に引き抜くことができる。
幼児をベビーカーに乗せた後、ガードアーム56を再度アームレスト40に取り付ける。この場合、アームレスト接合部46は圧縮コイルバネ45に付勢されて、常に展開位置、すなわちアームレスト本体41の略正面に配置されている。このため、保護者がアームレスト接合部46の位置を調整する必要はなく、あるいはガードアーム本体57を変形させることなく、ガードアーム56をアームレスト40に容易に取り付けることができる。
また、ガードアーム接合部58の開口59は、外方に向けて開口径が広がる案内部59aを有しているので、案内部59aの傾斜面に沿って、係合部51の係合突起51aは係合部51内に入り込むことができ、係合突起51aは係合部51の開口59への挿入を妨げることはない。一方、係合突起51aは開口59の底面近傍における径が大きくなっている部分において、図示しないバネの付勢力により側方に突出して段差59bに係合する。これにより、ガードアーム接合部58はアームレスト接合部46に係止される。このように、本実施の形態によれば、ガードアーム接合部58の開口59内にアームレスト接合部46の係合部51を押し入れるだけで容易にガードアーム56をアームレスト40に取り付けることができる。
また、ベビーカー10を展開した状態においては、前脚21及び後脚31はともに下方に向けて脚間が幅方向に広がるように傾斜しているので、ベビーカー10を使用する場合には脚間が開く方向のみに力が作用する。これにより、一対の前脚21間および一対の後脚31間を連結する前脚ステー62、後脚ステー68、フットレスト65およびX字状リンク71に加わる荷重は引っ張り方向のみに限定され、車体を高剛性とすることができ、安定した走行を行うことができる。
さらにまた、前車輪23は前車輪キャスターホルダー26により、前脚21の軸線L1上よりベビーカー10の幅方向内側で保持されているので、前脚21を下方に向けて脚間が広がるように傾斜させたとしても、ベビーカー10の車幅を狭めることができる。
また、左右一対の前脚21および後脚31を連結する前脚ステー62、後脚ステー68、フットレスト65およびX字状リンク71は車体の補強材としても機能し、車体の強度を増加させることもできる。
以上のように図1乃至図12に示すベビーカーによれば、ベビーカー10を展開した状態において、前脚21及び後脚31はともに下方に向けて脚間がベビーカー10の幅方向に広がるように傾斜しているので、ベビーカー10を使用する場合には脚間が開く方向のみに力が作用する。これにより、前脚ステー62、後脚ステー68、フットレスト65およびX字状リンク71に加わる荷重は引っ張り方向のみに限定され、ベビーカー10を高剛性とすることができ、安定した走行を行うことができる。
また、下方に向けて脚間が広がるように大きく傾斜した前脚21の下端には、前車輪キャスターホルダー26を介して前車輪23が保持されている。この前車輪キャスターホルダー26はベビーカー10の幅方向外側から幅方向内側に折れ曲がり、前脚21の軸線L1よりベビーカー10の幅方向内側で前車輪23を保持することができるので、ベビーカー10の車体幅を削減することができる。
さらにまた、このようなキャスターホルダー26を用いるとともに前脚21および後脚31を下方に向けて脚間が広がるように大きく傾斜させていることから、脚間にリンク等を配置するスペースを充分確保することができる。また、幅方向に縮小されるようにベビーカー10を折り畳んだとしても、前脚21または後脚31が脚間に配置されるリンク等に接触してしまうことを防止することができる。
また、ベビーカー10を折り畳む際には、ガードアーム本体57の曲げ抵抗により、アームレスト接合部46が折り畳み位置へ、すなわちアームレスト本体41に対してベビーカー10の幅方向外側へ押圧される。これにより、ベビーカー10を折り畳むことによって曲げられるガードアーム本体57の曲がりを緩くすることができ、ベビーカー10の折り畳み抵抗を軽減することができる。
さらに、ガードアーム本体57を小さくきつく曲げる必要がないため、ガードアーム本体57の骨材57bの関節数を減ずることができ、また可撓性材料57aとして剛性の高いものを使用することもできる。これにより、ガードアーム56の剛性を高めることができるので、幼児をより安全に防護することができる。
さらにまた、ベビーカー10を展開した状態でガードアーム56をアームレスト40に取り付ける場合、アームレスト接合部46は圧縮コイルバネ45に付勢されて、常に展開位置、すなわちアームレスト本体41の略正面に配置されている。このため、保護者がアームレスト接合部46の位置を調整する必要はなく、あるいはガードアーム本体57を変形させることなく、ガードアーム56をアームレスト40に容易に取り付けることができる。
なお、本実施の形態においては、前脚21と後脚31の両方が下方に向けて脚間が広がるように傾斜した例を示したが、これに限らず、前脚21または後脚31のいずれかのみを傾斜させてもよい。
また、本実施の形態においては、前車輪キャスターホルダー26のみを脚軸線L1上よりベビーカー10の幅方向内側に折り曲げる例を示したが、これに限らず、前車輪キャスターホルダー26および後車輪キャスターホルダー36の両方を対応する脚軸線上よりベビーカー10の幅方向内側に折り曲げてもよいし、あるいは後車輪キャスターホルダー36のみを脚軸線上よりベビーカー10の幅方向内側に折り曲げてもよい。
さらに、本実施の形態においては、アームレスト接合部46はアームレスト本体41に対してベビーカー10の幅方向に揺動する例を示したが、これに限らず、所謂三つ折りタイプのベビーカー等に用いる場合には、アームレスト接合部46がアームレスト本体41に対して上下方向に揺動するようにしてもよい。
さらにまた、アームレスト接合部46がアームレスト本体41に対して揺動する例を示したが、これに限らず、ガードアーム接合部58がガードアーム本体57に対して揺動するようにしてもよいし、アームレスト接合部46がアームレスト本体41に対して揺動するとともにガードアーム接合部58がガードアーム本体57に対して揺動するようにしてもよい。
[ロック操作装置]
第1の実施の形態
次に、図2および図13乃至図15により、本発明による折り畳み式ベビーカーの折り畳みロック操作装置100の第1の実施の形態について説明する。
図13はロック操作装置100の斜視図であり、図14はロック操作装置100の内部を示す平面図であり、図15は操作レバー116を揺動させた状態におけるロック操作装置100の内部を示す平面図である。
図13乃至図15に示すように、ロック操作装置100は、手押し杆11に設けられた操作装置ケース110と、操作装置ケース110に揺動自在に連結された操作レバー116と、操作レバー116の揺動軸113と異なる軸114を中心として操作装置ケース110に揺動自在に連結されるとともに、ワイヤ101の他端101bに連結された作動体120とを備えている。
このような、ロック操作装置100は、操作レバー116を揺動させることにより、作動体120を揺動させ、ワイヤ101を介してロック部材15cを引き上げることができる。
図13に示すように、手押し杆11に設けられた操作装置ケース110はケース本体110aと、ケース本体110aに装着されるケース蓋体110bと、ケース蓋体110b上に設けられ操作レバー116を覆うレバーケース110cとからなる。このうちレバーケース110cは操作レバー116に連結され、操作レバー116の操作装置ケース110に対する揺動に伴いケース蓋体110bに対して揺動することができるようになっている。
図14および図15に示すように、操作レバー116は細長い平板状からなり、操作レバーの長手軸線L2を挟んで対称な形状となっている。操作レバー116の外方端116aが操作装置ケース110から突出するとともに内方端116bが操作装置ケース110内に配置されている。操作装置ケース110の中央に、ケース本体110aとケース蓋体110bとによって支持された揺動軸113が設けられており、この揺動軸113は操作レバー116の外方端116aと内方端116bとの中間部116cを貫通している。操作レバー116はこの揺動軸113を中心として操作装置ケース110に対し揺動自在となっている。
図14および図15に示すように、作動体120は、各々が同一形状を有する、一対の細長い平板状の作動体部材(第1作動体部材121および第2作動体部材122)からなっている。各作動体部材121,122はそれぞれ一端121a,122a近傍を操作レバー116の揺動軸の上方に設けられた同一の軸114によって揺動自在に貫通されている。なお、作動体120を貫通する軸114は、操作レバー116の揺動軸113と同様にケース本体110aとケース蓋体110bとによって支持されている。
各作動体部材121,122の他端121b,122bは、各々が異なるロック部材15c,15cに連結された一対のワイヤ101,101の他端101b,101bに、それぞれ連結されている。本実施の形態においては、第1作動体部材121の他端121bは、ワイヤ101を介してベビーカー正面視右側に配置されるロック部材15cに連結され、第2作動体部材122の他端122bは、ワイヤ101を介してベビーカー正面視左側に配置されるロック部材15cに連結されている。
図14および図15に示すように、この一対の作動体部材121,122は、操作レバー116の内方端116bと操作レバー116の揺動軸113を挟むよう略V字状に配置されている。したがって、一対の作動体部材121,122は、図14に示す位置から外側(操作レバー116の揺動軸113から離間する方向)にのみ揺動することができる。
操作レバー116と作動体120とをこのように配置することにより、操作レバー116を図14に示す中間位置から一側(図14における時計回り方向)に揺動させた場合(図15(a))、第1作動体部材121は、揺動軸113より外方端116a側の操作レバー116の中間部116cに当接され、外側に揺動させられる。このとき、第2作動体部材122は、操作レバー116の内方端116bに当接され、外側に揺動させられる。
他方、操作レバー116を図14に示す中間位置から他側(図14における時計回り方向)に揺動させた場合(図15(b))、第1作動体部材121は、操作レバー116の内方端116bに当接され、外側に揺動させられる。このとき、第2作動体部材122は操作レバー116の中間部116cに当接され、外側に揺動させられる。
なお、一対の作動体部材121,122に当接する操作レバー116の中間部116cには調整部材117が設けられている。調整部材117は操作レバー116の長手軸線L2を挟んで対称な形状からなり、操作レバー116の内方端116b側から外方端116a側に向かうにしたがって幅広となっている。この調整部材117の形状は、操作レバー116を揺動させた場合における、第1作動体部材121の揺動角度と第2作動体部材122の揺動角度とが同一となるように決定されている。
さらに、ロック操作装置100は略U字状からなり、一対の作動体部材121,122を挟むように配置された操作ロック部材125を備えている。操作ロック部材125は、作動体120の揺動軸と平行な方向(図14における紙面の奥行き方向)に沿って、固定位置と解除位置との間を操作装置ケース110に対して摺動自在となっている。操作ロック部材125が固定位置にある場合、操作ロック部材125は一対の作動体部材121,122に外側から当接して、各作動体部材121,122が図14に示す位置から外側に揺動することを規制する。一方、操作ロック部材125が解除位置にある場合、操作ロック部材125は一対の作動体部材121,122よりケース本体110aの底面側(図14における紙面の奥行き方向における奥側)に配置され、各作動体部材121,122は操作ロック部材125に規制されることなく揺動することができる。
次に、作動体120に連結されるワイヤ101について更に詳しく説明する。ワイヤ101はワイヤホース103内を摺動自在に貫通し、ロック部材15c,15cと作動体部材121,122との間を連結している。ワイヤホース103の一端103aは手押し杆11の管部11a下方に固定されており、ワイヤ101に貫通された圧縮バネ105がワイヤホース103の一端103aとロック部材15cとの間で圧縮されている(図2および図14)。一方、ワイヤホース103の他端103bは図14に示すように操作装置ケース110内に固定されるとともに、ワイヤ101はワイヤホース103他端と各作動体部材121,122との間で張った状態となっている。
したがって、操作レバー116を操作していない場合には、圧縮バネ105によりワイヤ101は他端側(ロック操作装置100側)から一端側(ロック部材15c側)に向けて引っ張られ、これにより、各作動体部材121,122は互いに接近する方向に付勢され、図14に示すような、一対の作動体部材121,122が操作レバー116を挟み込んだ状態となる。
次に操作装置ケース内に配置されたヒンジ106について更に詳しく説明する。ヒンジ106は、上述したようにベビーカー10の手押し杆11の一部であり、一対のヒンジ部材107,108からなっている。各ヒンジ部材107,108は、貫通孔107c,108cを有し操作装置ケース110外に配置される略筒状の筒状部107b,108bと、操作装置ケース110内に配置される略平板状の平板状部107c,108cとからなる。各筒状部107b,108bは、手押し杆11のヒンジ106以外の部分を構成するパイプに嵌め込まれている。ワイヤ101およびワイヤホース103はパイプ内部から筒状部107b,108bの貫通孔107a,108aを経て操作装置ケース110内に入っている。
平板状部107c,108cは操作装置ケース110内において、操作レバー116、作動体120および操作ロック部材125よりもケース本体110aの底面側に配置されている。また各平板状部107c,108cは操作レバー116の揺動軸113により揺動自在に貫通されており、これにより、手押し杆11の各管部11a,11aは揺動軸113を中心として互いに接近するよう揺動することができる。
次にこのような構成からなる本実施の形態の作用について説明する。
まず、ベビーカー10に幼児を乗せて使用している間、操作ロック部材125は固定位置に配置される。この場合、操作ロック部材125によって作動体120の外側への揺動が規制される。これにより、操作レバー116は、図14に示すように一対の作動体部材121,122に挟まれて揺動が規制される。したがって、誤操作を防止することができるとともに、意図しない力が操作レバー116に加えられた場合においてもベビーカー10を展開した状態に保つことができる。
次にベビーカー10を折り畳む場合には、まず操作ロック部材125を固定位置から解除位置に移動し、その後操作レバー116を揺動させる。これにより、各作動体部材121,122が外側に揺動し、ワイヤ101を介してロック部材15cが引き上げられ、ベビーカー10を折り畳むことができる状態となる。この場合、操作レバー116の揺動方向は一側および他側のどちらでもよいので、右利きおよび左利きのいずれの保護者もロック操作装置100の操作を容易に行うことができる。
操作レバー116を揺動させた場合、操作レバー116の内方端116bと中間部116cとがそれぞれ異なる作動体部材121,122に当接する。操作レバー116の中間部116cには調整部材117が設けられており、操作レバー116を揺動させた場合の、第1作動体部材121の揺動角度と第2作動体部材122の揺動角度とが同一となり、一対のロック部材15c,15cを同じタイミングで上方に引き上げることができる。また、操作レバーと調整部材は操作レバーの長手軸線を挟んで対称な形状となっているので、揺動レバーを一側に一定角度揺動させた場合と、他側に一定角度揺動させた場合とのワイヤの引き上げ量も同一となる。このため、ベビーカー10の折り畳みをスムースに開始することができる。
また、一対の作動体部材121,122は、ワイヤ101を介し圧縮バネ105によって、互いに接近する方向に付勢されている。このため、保護者が操作レバー116から手を離すと、操作レバー116は、一対の作動体部材121,122が操作レバー116を挟み込んだ元の位置(図14)に自動的に戻るので、保護者が操作レバーを元の位置に戻す手間を省くことができる。
以上のように本実施の形態によれば、操作レバー116を一側および他側のいずれかに揺動させることにより、作動体120が揺動してワイヤ101を介しロック部材15cを引き上げることができる。また、一側および他側への操作レバーの揺動角度が同一であれば、ワイヤの引き上げ量も同一となる。このため、右利きおよび左利きのいずれの保護者もロック操作装置100の操作を容易に行うことができる。
また、操作レバー116を揺動させた場合、操作レバー116の内方端116bと中間部116cとがそれぞれ異なる作動体部材121,122に当接する。操作レバー116の中間部116cには調整部材117が設けられており、操作レバー116を揺動させた場合の、第1作動体部材121の揺動角度と第2作動体部材122の揺動角度とが同一となる。これにより、一対のロック部材15c,15cは同じタイミングで上方に引き上げられ、ベビーカー10の折り畳みをスムースに開始することができる。
第2の実施の形態
次に、図16乃至図21により、本発明による折り畳み式ベビーカーの折り畳みロック操作装置130の第2の実施の形態について説明する。図16乃至図21において、図1乃至図15に示す第1の実施の形態と同一な部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
図16はロック操作装置130の斜視図であり、図17はロック操作装置130の内部を正面側から示す斜視図であり、図18はロック操作装置130の内部を裏面側から示す斜視図であり、図19は図16の線19−19に沿ったロック操作装置130の断面図であり、図20はロック操作装置130の内部を示す平面図であり、図21は本実施の形態の変形例であるロック操作装置130の内部を示す平面図である。
図16乃至図20に示すように、ロック操作装置130は、ケース案内溝134a,134bを有するとともに手押し杆11に設けられた操作装置ケース131と、操作装置ケース131に揺動自在に連結された操作レバー140であって、操作レバー140の長手軸線L3を挟んで対称に延びるとともに中心から両端に向かうに従って操作レバー140の揺動軸136からの距離が変化する操作レバー案内孔148,153を有する操作レバー140と、操作装置ケース131のケース案内溝134a,134bに沿って移動自在となっており、かつ操作レバー案内孔148,153に係合するガイドピン137と、操作装置ケース131に揺動自在に連結され、ガイドピン137と係合するとともにワイヤ101の他端101bに連結された作動体140とを備えている。
このような、ロック操作装置131は、操作レバー140を揺動させてガイドピン137をケース案内溝134a,134bに沿って移動させ、ガイドピン137の移動により作動体144を揺動させ、ワイヤ101を介してロック部材15cを引き上げることができる。
図16に示すように、操作装置ケース131はケース本体132と、ケース本体132に装着されるケース蓋体133とからなる。ケース本体132の略中心とケース蓋体1333の略中心には、操作レバー140の揺動軸136を支持するための円形溝132a,133aがそれぞれ設けられている(図19)。また、図20に示すように、操作装置ケース131のケース本体132とケース蓋体133には、操作レバー140の揺動軸136上を通過する操作レバー140上の直線L4に沿ってケース案内溝134が設けられている。本実施の形態によれば、ケース案内溝134は揺動軸136の図20における下方に設けられ、上下方向に延びている。
円柱状からなるガイドピン137はケース案内溝134a,134b間に配置され、ケース案内溝134a,134bの幅はガイドピン137の外径と略同一となっている。このため、ガイドピン137はケース案内溝134a,134bの長手方向(図20において上下方向)にのみ移動することができる。
次に図16乃至図20により、操作レバー140について説明する。図16および図20に示すように、操作レバー140の外方端140aが操作装置ケース131から突出するとともに内方端140bが操作装置ケース131内に配置されている。操作レバー140の内方端140b近傍を揺動軸136が貫通し、操作レバー140は操作装置ケース131に対して揺動自在となっている。
操作レバー140の内方端140b側は幅広となっており、この部分に操作レバー案内孔141が設けられている。上述したように、操作レバー案内孔141は操作レバー140の長手軸線L3を挟んで対称に延びており、本実施の形態によれば、操作レバー案内孔141は、長手軸線L3上の中心から両端に向かうに従って揺動軸136からの距離が次第に長くなっている。このケース案内孔141の幅はガイドピン137の外径と略同一であり、図17に示すように、ガイドピン137はケース案内孔141を貫通して配置されている。したがって、ガイドピン137はケース案内溝134a,134bと操作レバー案内孔141との交点に配置される。
次に図17乃至図20により、作動体144について説明する。図17、図18および図20に示すように、作動体144は略扇形形状である平板状の一対の作動体部材(第1作動体部材145および第2作動体部材150)からなっている。第1作動体部材145と第2作動体部材とは同一形状を有し、裏返して対称に配置されている。各作動体部材145,150は扇形の略中心となる部分を操作レバー140の揺動軸136に貫通されており、この揺動軸136を中心として図20(b)に示す位置と、図20(a)または図20(c)に示す位置との間を揺動することができるようになっている。
各作動体部材145,150の円弧状の縁部の一端にワイヤ保持部147,152が設けられている。このワイヤ保持部147,152に、各々異なるロック部材15c,15cに連結された一対のワイヤ101,101の他端101b,101bが、それぞれ連結されている。本実施の形態においては、第1作動体部材145のワイヤ保持部147は、ワイヤ101を介してベビーカー正面視左側に配置されるロック部材15cに連結され、第2作動体部材150のワイヤ保持部152は、ワイヤ101を介してベビーカー正面視右側に配置されるロック部材15cに連結されている。
また、図17および図18に示すように、各作動体部材145,150の円弧状の側面には、ワイヤ101を収納するワイヤ収納溝146,151が設けられている。
さらに、各作動体部材145,150は操作レバー140の揺動軸136からの距離が変化する作動体案内孔148,153を有している。本実施の形態によれば、作動体案内孔148,153の形状および揺動軸136からの配置距離は、操作レバー案内孔141の片側(中心からどちらか一方の端部まで)と同一となっている。図20(b)において、操作レバー案内孔141の右側半分は第1作動体部材145の作動体案内孔148と重なっており、操作レバー案内孔141の左側半分は第2作動体部材150の作動体案内孔153と重なっている。この各作動体部材145,150の作動体案内孔148,153内をガイドピン137は貫通している。
さらに図17および図18に示すように、ロック操作装置130は、揺動軸136に貫通され、揺動軸136を中心として揺動自在な操作ロック部材155を備えている。操作ロック部材155は操作装置ケース131から露出する操作部156を有している(図16)。この操作部156を操作することにより、操作ロック部材155は、図17に示す固定位置と、図17に示す位置から揺動軸136を中心として反時計回り方向に揺動した解除位置との間を揺動することができる。さらに、操作ロック部材155は固定位置において、ケース案内溝134a,134bの上方に配置されたガイドピン137に係合し、ガイドピン137の下方への移動を規制する規制溝157を有している。この規制溝157は揺動軸136を中心とした円弧に沿って配置され、円弧に沿った方向に向けて開口している(図17)。したがって、ガイドピン137がケース案内溝134a,134b内の上方に配置されている場合に操作ロック部材155が解除位置から固定位置に揺動すると、ガイドピン137は規制溝157内にスムースに収納される。
図17および図18に示すように、ロック操作装置130は、操作ロック部材155とケース本体132との間を連結する引っ張りバネ159をさらに備えており、この引っ張りバネ159によって操作ロック部材155は解除位置から固定位置に向けて付勢されている。また、操作ロック部材155の操作部156内側面に係止溝156aが設けられており(図17)、ケース本体132には、この係止溝156aに係合する係止突起132bが設けられている(図20)。操作ロック部材155が解除位置にある場合、この係止溝156aと係止突起132bとが係合して、引っ張りバネ159の弾発力に抗して操作ロック部材155を解除位置に係止することができる。
さらに、操作ロック部材155は操作部156の下方に曲面状の板からなる復帰板158を有している。図19に示すように、操作ロック部材155は第1作動体部材145よりケース蓋体133側に配置されているが、この復帰板158はケース本体132の底面132c側に突出しており、第1作動体部材147が揺動した場合における第1作動体部材145のワイヤ保持部147の軌道上に配置されるようになっている。したがって、操作ロック部材155が解除位置に係止されるとともに第1作動体部材が図20(b)に示す位置から図20(a)または(c)に示す位置に揺動した場合、第1作動体部材145のワイヤ保持部147は復帰板158に当接する。これにより、操作ロック部材155は解除位置から固定位置側に向けて押圧され、ケース本体132の係止突起132bが操作ロック部材155の係止溝156aから外れる。
次にベビーカー10の手押し杆11の一部であるヒンジ160について更に詳しく説明する。第1の実施形態と同様に本実施の形態においても、ヒンジ160は操作装置ケース131内に一部配置された一対のヒンジ部材161,166からなっている。各ヒンジ部材161,166は、操作装置ケース131内に配置される略U字状のU字状部162,167と、貫通孔164a,169aを有し操作装置ケース131外に配置される略筒状の筒状部164,169とからなる。
図19に示すように、U字状部162,167はそれぞれ一対の平板163,168を有しており、第1ヒンジ部材161と第2ヒンジ部材166とはこの平板163,168を互いに重ね合わせるようにして配置されている。また、U字状部162,167は平板163,168の略中心を揺動軸136により揺動自在に貫通されており、これにより、手押し杆11の各管部11a,11aは揺動軸136を中心として互いに接近するよう揺動することができる。
また第1の実施の形態と同様に、各筒状部164,169は手押し杆11のヒンジ以外の部分を構成するパイプに嵌め込まれている。
本実施の形態において、ワイヤホース103の他端103bは図19に示すようにヒンジ160に固定されている。また第1の実施の形態と同様に、ワイヤ101はワイヤホース103他端と各作動体部材145,150との間で張った状態となっている。したがって、圧縮バネ105によりワイヤ101は他端101b側(ロック操作装置130側)から一端101a側(ロック部材15c側)に向けて引っ張られる(図2および図19)。これにより、第1作動体部材145は図20において反時計回り方向に揺動するように付勢されるとともに、第2作動体部材150は図20において時計回り方向に揺動するように付勢される。また、ロック操作装置130を操作してない場合においては、図20(b)に示すように、操作レバー140が第1作動体部材145と第2作動体部材150との中間に配置され、ガイドピン137がケース案内溝134a,134b内の最上部に配置された状態となる。
なお、図19に示すように、上述した各部材は操作装置ケース131内においてケース蓋体133側からケース本体132の底面132c側に向けて、操作レバー140、操作ロック部材155、ヒンジ160の順で配置されている。また各ヒンジ部材161,166のU字状部162,167に挟まれた各作動体部材145,150は、ケース蓋体133側に第1作動体部材145が配置されている。
次にこのような構成からなる本実施の形態の作用について説明する。
次にベビーカー10を折り畳む場合には、まず引っ張りバネ159の弾発力に抗して操作ロック部材155を固定位置から解除位置に揺動し、その後、操作レバー116を揺動する。この場合、ケース本体132の係止突起132bが操作ロック部材155の係止溝156aに嵌め込まれて、操作ロック部材155は解除位置に係止される。このため、操作レバー140を操作する際、保護者は引っ張りバネ159の弾発力に抗して操作ロック部材155を解除位置に保持し続けておく必要はない。
操作レバー140が図20(b)に示す位置から揺動させられると、ケース案内溝134a,134bおよび操作レバー案内孔141の交点と、揺動軸136との距離は長くなっていく。このため、ケース案内溝134a,134bと操作レバー案内孔141との交点に配置されるガイドピン137は、ケース案内溝内134a,134bにおいて揺動軸136から離間する方向、すなわち図20において下方向に移動する(図20(a),(b))。この場合、操作レバー案内孔141は操作レバー140の長手軸線L3を挟んで対称な形状となっているため、操作レバー140を一側(図20における時計回り方向)および他側(図20における反時計回り方向)のいずれに揺動させた場合においても、操作レバー140の揺動角度が同一であれば、ガイドピン137の移動量は同一となる。
ガイドピン137は各作動体部材145,150の作動体案内孔148,153を貫通しており、この作動体案内孔148,153は揺動軸136からの距離が変化している。ガイドピン137が揺動軸136から離間することにより、ケース案内溝134a,134bおよび作動体案内孔148,153の交点と、揺動軸136との距離が長くなっていくように各作動体部材140,150は揺動する。本実施の形態において、各作動体部材145,150の作動体案内孔148,153は操作レバー案内孔141の片側半分と同一形状になっている。したがって、図20(a)に示すように、操作レバー140が一側に揺動させられた場合、第1作動体部材145の作動体案内孔148と、操作レバー案内孔141の片側(この場合右側)とが重なり合い続けるように第1作動体部材145は揺動する。
また、第1作動体部材145と第2作動体部材150との形状は、作動体案内孔148,153の配置位置および形状を含めて同一で有り、第1作動体部材145と第2作動体部材150とは裏返して対称に配置されている(図20(a))。したがって、第1作動体部材145が操作レバー140に伴って揺動すると、第2作動体部材150は第1作動体部材145と同一揺動角度だけ揺動する。
その逆として、操作レバー140が他側に揺動させられた場合には、第2作動体部材150の作動体案内孔153と、操作レバー案内孔141の片側(この場合左側)とが重なり合い続けるように第2作動体部材150は揺動する。このとき、第1作動体部材145は第2作動体部材150と同一揺動角度だけ揺動する。
このようにして、各作動体部材145,150が揺動することにより、各作動体部材140,150のワイヤ保持部147,152に他端101b,101bを連結されたワイヤ101,101は各作動体部材145,150のワイヤ収納溝146,151に巻き取られる(図20(a),(c))。これにより、ワイヤ101,101を介してロック部材15c,15cが引き上げられ、ベビーカー10を折り畳むことができる状態となる。このように、操作レバー140の揺動方向は一側および他側のどちらでもよく、また、一側および他側への操作レバー140の揺動角度が同一であればガイドピン137の移動量が同一となり、その結果、一側へ一定角度揺動させた場合と他側に一定角度揺動させた場合とにおいて、ワイヤ101の引き上げ量が同一となる。このため、右利きおよび左利きのいずれの保護者もロック操作装置130の操作を容易に行うことができる。
また、操作レバー140を揺動させた場合、第1作動体部材145は操作レバー140と同一角度だけ図20において時計回り方向に揺動し、第2作動体部材150は操作レバー140と同一角度だけ図20おいて反時計回り方向に揺動する。したがって、一対のロック部材15c,15cは同じタイミングで上方に引き上げられので、ベビーカー10の折り畳みをスムースに開始することができる。
さらに、操作ロック部材155の復帰板158は、第1作動体部材145が揺動した場合における第1作動体部材145のワイヤ保持部147の軌道上に配置されている。また、操作レバー140を揺動させることによって第1作動体部材145が揺動させられる方向は、操作ロック部材155の解除位置から固定位置に向けた揺動方向と同一である。このため、操作レバー140を操作して第1作動体部材145を揺動させると、第1作動体部材145のワイヤ保持部147が復帰板158に当接して、操作ロック部材155は解除位置から固定位置側に向けて押圧されるとともに、ケース本体132の係止突起132bが操作ロック部材155の係止溝156aから外れる。したがって、ロック操作装置130の操作終了後、保護者が操作レバー140から手を離すと、操作ロック部材155は引っ張りバネ159の弾発力により自動的に固定位置に戻る。したがって、保護者による操作ロック部材155の操作作業を省くことできるとともに、操作ロック部材155を操作し忘れたことを原因とする危険を回避することができる。
なお、保護者が操作レバー140から手を離した場合、ワイヤ101を介して圧縮バネ105により、各作動体部材145,150は図18および図20(b)に示すような状態に配置されるとともにガイドピン137は上方に移動される。したがって、操作ロック部材155が揺動した際に、ガイドピン137をスムースに規制溝157に収納することができる。
このようにして操作ロック部材155が固定位置にある場合には、規制溝157によってガイドピン137の移動が規制され、操作レバー140は各作動体部材145,150の中間に固定される(図20(b))。これにより、誤操作を防止することができるとともに、意図しない力が操作レバー140に加えられて操作レバー140が揺動してしまうことを防止することができる。
以上のように本実施の形態によれば、操作レバー140を一側および他側のいずれかに揺動させることにより、ガイドピンがケース案内溝134a,134bに沿って揺動軸から離間し、これにより、各作動体部材145,150が揺動し、ワイヤ101を介してロック部材15cを引き上げることができる。また、一側および他側への操作レバー140の揺動角度が同一であれば、ワイヤ101の引き上げ量も同一となる。このため、右利きおよび左利きのいずれの保護者もロック操作装置130の操作を容易に行うことができる。
また、操作レバー140を一側または他側に一定角度揺動させた場合、第1作動体部材145は操作レバー140と同一角度だけ揺動し、第2作動体部材150は操作レバー140と同一角度だけ第1作動体部材145と逆方向に揺動する。したがって、一対のロック部材15c,15cは同じタイミングで上方に引き上げられるので、ベビーカー10の折り畳みをスムースに開始することができる。
さらに、第1作動体部材145の揺動軌道上に配置された復帰板158を操作ロック部材155に設けているので、ロック操作装置130を操作して各作動体部材145,150を揺動させた後に操作レバー140から手を離すと、操作ロック部材155は引っ張りバネ159により自動的に固定位置に戻される。これにより、保護者が操作ロック部材155を解除位置から固定位置に操作する手間を省くことができるとともに、ベビーカー10を安全に扱うことができる。
なお、本実施の形態において、操作レバー案内孔141を中心から両端に向かうにしたがって揺動軸136からの距離が長くなるようにした例を示したが、これに限られない。図21(a),(b)に示すように、操作レバー案内孔141aを中心から両端に向かうにしたがって揺動軸136からの距離が短くなるようにしてもよい。この場合、操作レバー140を図21(a)に示すような位置から揺動させると、ガイドピン137はケース案内溝134a,134b内を揺動軸136に接近する方向、すなわち、図21における上方向に移動する。
また、本実施の形態において、作動体144に揺動軸136からの距離が変化する作動体案内孔148,153を設け、この作動体案内孔148,153とガイドピン137とを係合させることにより、ガイドピン137のケース案内溝134a,134bに沿った移動を作動体144に伝達し、作動体144を揺動させる例を示したが、これに限られない。図21(a),(b)に示すように、ケース案内溝134a,134bに対して傾斜して配置された各作動体部材145,150の直線状側面149,154とガイドピン137とを係合させ、ガイドピン137のケース案内溝134a,134bに沿った移動により各作動体部材145,150を揺動させてもよい。
第3の実施の形態
次に、図22および図23により、本発明による折り畳み式ベビーカーの折り畳みロック操作装置180の第3の実施の形態について説明する。図22および図23において、図1乃至図21に示す第1の実施の形態および第2の実施の形態と同一な部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
図22はロック操作装置180の内部を示す平面図であり、図23は操作レバーの変形例を示す平面図である。
図22に示すように、ロック操作装置180は、ケース案内溝185,186を有するとともに手押し杆11に設けられた操作装置ケース181と、操作装置ケース181に揺動自在に連結されるとともに、把持部191と中央部192とを有する操作レバー190であって、中央部192に操作レバー190の揺動軸184上を通過する操作レバー190上の第1直線L7を挟んで対称に延びるとともに中心から両端に向かうにしたがって操作レバー190の揺動軸184からの距離が変化する操作レバー案内孔193,194を設けた操作レバー190と、操作レバー案内孔193,194に係合するとともにワイヤ101の他端101bに連結された先端部材195,196とを備えている。
操作装置ケース181は、上述した第2の実施の形態と同様にケース本体182とケース蓋体(図示せず)とからなっている。ケース案内溝185,186は、揺動軸184を通過する操作装置ケース181上の第2直線L5に沿うとともに、揺動軸184を挟んで対称な位置に配置された第1ケース案内溝185と第2ケース案内溝186との一対からなっている。
操作レバー190は、上述したように把持部191と中央部192とを有しており、把持部191は操作装置ケース181から露出し、中央部192は円板状からなり操作装置ケース181内に配置されている。また、円板状の中央部192の中心を揺動軸184が貫通しており、この揺動軸184を中心として操作レバー190は揺動自在となっている。
図22に示すように、本実施の形態においては、操作レバー案内孔193,194は、揺動軸184を挟んで対称な位置に配置された第1操作レバー案内孔193と第2操作レバー案内孔194との一対からなっている。各操作レバー案内孔193,194は、揺動軸184上を通過し把持部191の長手軸線L6と直交する第1直線L7を挟んで対称に延びる略C字状の形状となっている。また、第1操作レバー案内孔193の形状と、第2操作レバー案内孔194の形状とは同一になっており、第1操作レバー案内孔193と第2操作レバー案内孔194とは揺動軸184を挟んで対称に配置されている。このような各操作レバー案内孔193,194は、第1直線L7上に配置された中心から両端に向かうにしたがい、揺動軸184からの距離が短くなっていく。
先端部材は第1先端部材195と第2先端部材196の一対からなっている。ケース本体182の第1ケース案内溝185が第1先端部材195を受け、第1先端部材195は第1ケース案内溝185に沿って揺動軸184から離間する方向および揺動軸184に接近する方向に移動することができる。一方、ケース本体182の第2ケース案内溝186が第2先端部材196を受け、第2先端部材196は第2ケース案内溝186に沿って揺動軸184から離間する方向および揺動軸184に接近する方向に移動することができる。
また各先端部材195,196は、操作レバー190の中央部192側(図22における紙面奥行き方向の手前側)に向けて突設され、操作レバー案内孔193,194に係合する円柱状の円柱部195a,196aを有している。第1先端部材195の円柱部195aは第1操作レバー案内孔内に配置され、第2先端部材196の円柱部196aは第2操作レバー案内孔194内に配置されている。すなわち、第1先端部材195はケース本体182の第1ケース案内溝185と操作レバー190の第1操作レバー案内孔193との交点に配置され、第2先端部材196はケース本体182の第2ケース案内溝186と操作レバー190の第2操作レバー案内孔194との交点に配置される。
本実施の形態において、第1先端部材195は、ベビーカー正面視左側に配置されるロック部材15cに連結されたワイヤ101の他端101bと連結されている。一方、第2先端部材196は、ベビーカー正面視右側に配置されるロック部材15cに連結されたワイヤ101の他端101bと連結されている。
ワイヤホース103の他端103bは、ケース本体182の縁部であって各ケース案内溝185,186端部に固定されている。各ワイヤホース103,103の他端103b,103bと各先端部材195,196との間においてワイヤ101は張った状態となっており、これにより、各先端部材195,196は、ワイヤ101を介して圧縮バネ105により外側(揺動軸184から離間する方向)に付勢されている。
なお、第1の実施の形態および第2の実施の形態と同様に本実施の形態においても、ベビーカー10の手押し杆11の一部であるヒンジが操作装置ケース181内に配置されるが、図22中には図示していない。本実施の形態において、第1の実施の形態または第2の実施の形態で説明したヒンジ106,160を用いることができる。
次にこのような構成からなる本実施の形態の作用について説明する。
ベビーカー10を折り畳む場合には、ロック操作装置180の操作レバー190を一側(図22における時計回り方向)または他側(図22おける反時計回り方向)のどちらかに揺動させる。各操作レバー190の操作レバー案内孔193,194は中心から両端に向かうにしたがって揺動軸184からの距離が短くなっていく。したがって、操作レバー案内孔193,194の中心がケース案内溝185,186と交わる図22(a)の状態から操作レバー190を揺動させるにしたがって、操作レバー案内孔193,194とケース案内溝185,186との交点は揺動軸184に近づいていく。このため、各先端部材195,196はケース案内溝185,186に沿って揺動軸184に接近するよう移動し、これにより、ロック部材15cが引き上げられ、ベビーカー10を折り畳むことができる状態となる。この場合、操作レバー190の揺動方向は一側および他側のどちらでもよいので、右利きおよび左利きのいずれの保護者もロック操作装置180の操作を容易に行うことができる。
また、ケース本体182のケース案内溝185,186は揺動軸184上を通過する第2直線L5上に配置されるとともに、操作レバー190の各操作レバー案内孔193,194は揺動軸184上を通過する第1直線L7を挟んで対称な形状からなるとともに、第1操作レバー案内孔193の形状と第2操作レバー案内孔194の形状とは同一である。このため、揺動レバー190を揺動させた場合における第1先端部材195によるワイヤの引き上げ量と第2先端部材196によるワイヤの引き上げ量とが同一となり、一対のロック部材15c,15cを同じタイミングで上方に引き上げることができる。また、揺動レバー190を一側に一定角度揺動させた場合と、他側に一定角度揺動させた場合とのワイヤ101の引き上げ量も同一となる。これらにより、ベビーカー10の折り畳みをスムースに開始することができる。
以上のように本実施の形態によれば、操作レバー190を一側および他側のいずれかに揺動させることにより、各先端部材195,196がケース本体182のケース案内溝185,186内を移動してワイヤ101を介しロック部材15cを引き上げることができる。また、一側および他側への操作レバー190の揺動角度が同一であれば、ワイヤ101の引き上げ量も同一となる。このため、右利きおよび左利きのいずれの保護者もロック操作装置180の操作を容易に行うことができる。
また、揺動レバー190を揺動させた場合における第1先端部材195によるワイヤ101の引き上げ量と第2先端部材196によるワイヤ101の引き上げ量とが同一となる。したがって、一対のロック部材15c,15cは同じタイミングで上方に引き上げられるので、ベビーカー10の折り畳みをスムースに開始することができる。
なお、本実施の形態において、操作レバー190の操作レバー案内孔193,194の形状を略C字状とした例を示したが、これに限られず、例えば図23に示すように略V字状としてもよい。このような操作レバー案内孔193a,194aを有する操作レバー190aを用いた場合、図22に示す操作レバー190を用いた場合と比べて、操作レバー190aの揺動初期における先端部材195,196の移動量を大きくすることができる。
第4の実施の形態
次に、図24により、本発明による折り畳み式ベビーカーの折り畳みロック操作装置200の第4の実施の形態について説明する。図24において、図1乃至図23に示す第1の実施の形態、第2の実施の形態および第3の実施の形態と同一な部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
図24はロック操作装置200の内部を示す平面図である。図24に示すように、手押し杆11に設けられた操作装置ケース201と、操作装置ケース201に回動自在に連結されるとともにワイヤ101の他端101bを連結された作動体205と、操作装置ケース201に移動自在に設けられた操作レバー209と、作動体205と操作レバー209との間を連結する連結ワイヤ213と、操作装置ケース201に取り付けられ、作動体205と操作レバー209との間において連結ワイヤ213を案内する一対の案内輪211,211とを備えている。
操作装置ケース201は、ケース本体202とケース蓋体(図示せず)からなっている。ケース本体202は円形状の底面202aと、略円筒状の側面202bとを有している。ケース本体202の側面202bの一部には円弧状溝203が設けられており、円弧状溝203の円弧の中心はケース本体202の底面202aの中心と一致している。
作動体205は円板状からなり、作動体205の中心とケース本体202の底面202aの中心が一致するように作動体205はケース本体202内に配置されている。作動体205は中心を回動軸207に貫通され、操作装置ケース201に対して回動自在となっている。
操作レバー209は、ケース本体202の円弧状溝203に沿って移動することができるようにケース本体202に連結されている。これにより、操作レバー209は作動体205の回動軸207を中心とした円弧上を移動することができる。
各案内輪211は円柱状からなり、ケース本体202とケース蓋体との間で回転自在に支持されている。各案内輪211は、ケース本体202の円弧状溝203の中央と回動軸207との間に、側面211a,211a同士が接するように配置されている。連結ワイヤ213はこの一対の案内輪211,211間を通過している。
ベビーカー10の一対のロック部材15c,15cにそれぞれ連結された一対のワイヤ101,101の他端101b,101bは、回動軸207を挟んだ対称な位置において作動体205に連結されている。また、一対のワイヤホース103,103の他端103b,103bは回動軸207を挟んだ対称な位置においてケース本体202に固定されている。本実施の形態においては、一対の案内輪間211,211の中心と回動軸207とを結ぶ直線L8と、ワイヤホース103,103の他端間103b,103bを結ぶ直線L9とが直交するようになっている。
ワイヤ101の他端101bと作動体205との間においてワイヤ101は張った状態になっており、また、ワイヤ101は圧縮バネ105により他端101b側(作動体205側)から一端101a側(ロック部材15c側)に付勢されている。このため、操作レバー209を操作していない状態において、ワイヤ101がワイヤホース103内に引き込まれるように作動体205は回動し、操作レバー209は一対の案内輪211,211との距離が最も短くなるような位置に配置される(図24(a))。
なお、第1の実施の形態および第2の実施の形態と同様に本実施の形態においても、ベビーカー10の手押し杆11の一部であるヒンジが操作装置ケース201内に配置されるが、図24中には図示していない。本実施の形態において、第1の実施の形態または第2の実施の形態で説明したヒンジ106,160を用いることができる。
次にこのような構成からなる本実施の形態の作用について説明する。
ベビーカー10を折り畳む場合には、ロック操作装置200の操作レバー209を一側(図24における時計回り方向)または他側(図24おける反時計回り方向)のどちらかに移動させる。なお、図24(b)は操作レバーを他側に移動させた状態を示している。操作レバー209が図24(a)に示す案内輪211との距離が最も短い位置から円弧上に移動すると、連結ワイヤ213が一対の案内輪211,211の外側(ケース本体の縁部側)に引き出され、作動体205が図22おける時計回り方向に回動する。作動体205が回動すると、ワイヤ101を介してロック部材15cが引き上げられ、ベビーカー10を折り畳むことができる状態となる。この場合、操作レバー209の移動方向は一側および他側のどちらでもよい。また、操作レバー209を一側に一定量移動させた後の操作レバー209と一対の案内輪間211,211との距離と、操作レバー209を他側に一定量移動させた後の操作レバー209と一対の案内輪211,211間との距離とは同一となるので、操作レバー209の移動量が一側と他側とで同一であればワイヤ101の引き上げ量も同一となる。このため、右利きおよび左利きのいずれの保護者もロック操作装置200の操作を容易に行うことができる。
また、操作レバー209を移動させた場合、一対のワイヤ101,101は同じ長さだけ引き上げられる。このため、一対のロック部材15c,15cは同じタイミングで上方に引き上げられ、ベビーカー10の折り畳みをスムースに開始することができる。
以上のように本実施の形態によれば、操作レバー209を一側および他側のいずれかに移動させることにより、操作レバー209が連結ワイヤ213を介し作動体205を回動し、これにより、ワイヤ101を介しロック部材15cを引き上げることができる。また、操作レバー209の一側および他側への移動量が同一であれば、ワイヤ101の引き上げ量も同一となる。このため、右利きおよび左利きのいずれの保護者もロック操作装置100の操作を容易に行うことができる。
また、操作レバー209を移動させた場合、一対のワイヤ101,101は同じ長さだけ引き上げられる。このため、一対のロック部材15c,15cは同じタイミングで上方に引き上げられ、ベビーカー10の折り畳みをスムースに開始することができる。
なお、本実施の形態において、ワイヤホース103の他端103bをケース本体202に固定する例を示したが、これに限られず、ワイヤホース103の他端103bをケース本体202に回動自在に連結してもよい。このようにした場合、ワイヤホース103の他端103bは、作動体205が回動した際に、作動体205とワイヤ101の他端101bとの連結箇所の移動に追従して回動する。これにより、よりスムースにワイヤを引き上げることができる。
また、第2の実施の形態と同様に、作動体205の側面にワイヤ収納溝(図示せず)を設け、このワイヤ収納溝内にワイヤ101を巻き取ってもよい。
さらに、本実施の形態において、操作装置ケース201に円弧状溝203を設けることにより、操作レバー209が回動軸207を中心とした円弧に沿って移動することができるようにした例を示したが、これに限られない。第1乃至第3の実施の形態に示すように、回動軸207が操作レバー209を貫通し、これにより、操作レバー209が回動軸207を中心とした円弧に沿って移動することができるようにしてもよい。