JP4489328B2 - 光学部材 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、光学フィルムの一方の面に保護フィルムおよび/または他の面に粘着層を介して離型シートが付設されている光学部材に関する。前記光学部材を構成する光学フィルムとしては、偏光フィルム、位相差フィルム、光学補償フィルム、輝度向上フィルム、防眩シートまたはこれらが複数積層されているものがあげられ、光学フィルムは液晶表示装置等に用いられる。
【0002】
【従来の技術】
液晶ディスプレイは、その画像形成方式から液晶パネルの最表面を形成するガラス基板の両側に偏光素子を配置することが必要不可欠であり、一般的には偏光フィルムが液晶パネルの最表面に貼着されている。かかる偏光フィルムは、機械的強度、耐久性を向上するために、その片側または両側に透明保護層が設けられている。また液晶パネルの最表面には偏光フィルムの他に、ディスプレイの表示品位を向上させるために様々な光学素子が用いられるようになってきている。例えば、着色防止としての位相差フィルム、液晶ディスプレイの視野角を改善するための視野角拡大フィルム、さらにはディスプレイのコントラストを高めるための輝度向上フィルム等が用いられる。これらのフィルムは総称して光学フィルムと呼ばれる。
【0003】
前記光学フィルムを液晶パネルの最表面に貼着する際には、通常、粘着剤が使用される。また、光学フィルムを液晶パネルの最表面に瞬時に固定できること、光学フィルムを固着させるのに乾燥工程を必要としないこと等のメリットを有することから、粘着剤は、光学フィルムの片面に予め粘着層として設けられている。かかる粘着型光学フィルムの粘着層には、偏光フィルムを貼着するまで、その保護のために離型シートが付設されている。一方、光学フィルム表面には、光学フィルム表面を保護するために保護フィルムが貼り付けられている。
【0004】
近年、液晶ディスプレイの大型化、モバイル化に伴い、液晶表示装置の薄型軽量化が求められ、その要求に応えるために光学フィルムの厚みを極力薄くすることが要求される。特に偏光フィルムの偏光子、保護層、粘着層等の薄型化が望まれている。
【0005】
しかし、薄型化した光学フィルムは、従来の厚さの光学フィルムと比較して、光学フィルム自体の機械的強度が低下していまい、光学フィルムの製造工程、ユーザーでのパネル貼合せ工程における様々な外的要因(押さえつる、曲げる、当たる等)に対して変形、押し跡、ひずみ等が発生し、生産性、品質が著しく低下してしまう問題があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、薄型化した光学フィルムの一方の面に保護フィルムおよび/または他の面に粘着層を介して離型シートが付設されている光学部材であって、当該光学フィルムの製造工程、パネル貼合せ工程等における様々な外的要因に対して変形、押し跡、ひずみ等が発生せず作業性、取り扱い性に優れた光学部材を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは前記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、以下に示す光学部材により上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明は、光学フィルムの少なくとも一方の面に粘着剤付き保護フィルムが付設されている光学部材であって、光学フィルムの厚さが150μm以下であり、粘着剤付き保護フィルムの基材フィルムの厚さが40μm以上であることを特徴とする光学部材、に関する。
【0009】
また本発明は、光学フィルムの一方の面に粘着層を有する粘着型偏光フィルムの当該粘着層に離型シートが付設されている光学部材であって、光学フィルムの厚さが150μm以下であり、離型シートの厚さが40μm以上であることを特徴とする光学部材、に関する。また、前記光学部材における、粘着層の付設されていない光学フィルムのもう一方の面に、粘着剤付き保護フィルムが付設されている光学部材であって、粘着剤付き保護フィルムの基材フィルムの厚さが40μm以上であることを特徴とする光学部材、に関する。
【0010】
上記本発明の光学部材は、厚さが150μm以下の薄型光学フィルムに対して、粘着剤付き保護フィルムの基材フィルムおよび/または離型シートとしてそれらの厚さが40μm以上のものを用いることにより、光学フィルムの製造工程、パネル貼合せ工程等における様々な外的要因に対して変形、押し跡、ひずみ等を抑え、作業性、取り扱い性を向上させている。上記本発明の光学部材は、光学フィルムの厚さが、特に130μm以下の場合に有効である。一方、粘着剤付き保護フィルムの基材フィルムおよび/または離型シートの厚さは、40μm以上、さらには50μm以上であるのが好ましい。なお、これら基材フィルムおよび/または離型シートの厚さがあまり厚すぎると製品から保護フィルムまたは離型シートを剥離する際の作業性が悪くなるため、これらの厚さは200μm以下とするのが好ましい。
【0011】
前記光学部材において、光学フィルムは、偏光子とその片側または両側に保護層を有する偏光フィルムを少なくとも有するものが好ましく、偏光子の厚さ(μm)をA、保護層の厚さ(μm)をBとするときに数式:B÷A≦2が成立するように保護層を薄層化して薄型化することができる。保護層を偏光子の両側に有する場合には、各保護層が、前記関係を有するものが好ましい。偏光子の厚さAは、0.1〜50μm、さらには1〜40μmであるのが好ましく、保護層Bの厚さは0.1〜100μm、さらには1〜60μmであるのが好ましい。
【0012】
前記光学部材において、保護層の材質がアセテート系樹脂であることが好ましい。前記光学部材において、粘着型偏光フィルムの粘着層が、アクリル系ポリマーをベースポリマーとして含有する粘着剤により形成されていることが好ましい。前記光学部材において、粘着剤付き保護フィルムの基材フィルムおよび/または離型シートの材質がポリエステル系樹脂であることが好ましい。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の光学部材を図面を参照しながら説明する。本発明の光学部材は、たとえば、図1〜図3に示される。図1〜図3では、光学フィルムとして、偏光子1aの両側に保護層1bを設けた偏光フィルム1を用いた場合を例示している。図1は偏光フィルム1に粘着剤付き保護フィルム2が付設されている光学部材の側面図であり、図2は偏光フィルム1とその粘着層4からなる粘着型偏光フィルムの粘着層4に離型シート3が付設されている光学部材の側面図であり、図3は図2の光学部材にさらに粘着剤付き保護フィルム2が付設されている光学部材の側面図である。粘着剤付き保護フィルム2は、基材フィルム2aに粘着層2bが設けられている。
【0014】
前記本発明の光学部材を構成する材料は以下の通りである。
【0015】
(光学フィルム)
光学フィルムとしては液晶表示装置等の形成に用いられるものが使用され、その種類は特に制限されない。たとえば、光学フィルムとしては図1に示す偏光フィルム1が好ましく用いられる。
【0016】
偏光フィルム1を構成する偏光子1aとしては、特に制限されず、各種のものを使用できる。偏光子1aとしては、たとえば、ポリビニルアルコール系フィルムや部分ホルマール化ポリビニルアルコール系フィルム、エチレン・酢酸ビニル共重合体系部分ケン化フィルムの如き親水性高分子フィルムにヨウ素や二色性染料等の二色性物質を吸着させて延伸したもの、ポリビニルアルコールの脱水処理物やポリ塩化ビニルの脱塩酸処理物の如きポリエン系配向フィルム等があげられる。
【0017】
前記偏光子1aの片側または両側に設ける保護層1bは、ポリマーによる塗布層として、またはフィルムのラミネート層等として設ることができる。保護層を形成する、透明ポリマーまたはフィルム材料としては、適宜な透明材料を用いうるが、透明性や機械的強度、熱安定性や水分遮断性などに優れるものが好ましく用いられる。また、保護層1bは、スティッキング防止、光拡散、アンチグレア等を目的としてその表面を微細凹凸構造にしてもよい。
【0018】
前記保護層1bを形成する材料としては、例えばポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレート等のポリエステル系ポリマー、ジアセチルセルロースやトリアセチルセルロース等のアセテート系ポリマー、ポリメチルメタクリレート等のアクリル系ポリマー、ポリスチレンやアクリロニトリル・スチレン共重合体(AS樹脂)等のスチレン系ポリマー、ポリカーボネート系ポリマーなどがあげられる。また、ポリエチレン、ポリプロピレン、シクロ系ないしはノルボルネン構造を有するポリオレフィン、エチレン・プロピレン共重合体の如きポリオレフィン系ポリマー、塩化ビニル系ポリマー、ナイロンや芳香族ポリアミド等のアミド系ポリマー、イミド系ポリマー、スルホン系ポリマー、ポリエーテルスルホン系ポリマー、ポリエーテルエーテルケトン系ポリマー、ポリフェニレンスルフィド系ポリマー、ビニルアルコール系ポリマー、塩化ビニリデン系ポリマー、ビニルブチラール系ポリマー、アリレート系ポリマー、ポリオキシメチレン系ポリマー、エポキシ系ポリマー、あるいは前記ポリマーのブレンド物なども前記透明保護層を形成するポリマーの例としてあげられる。また、アクリル系、ウレタン系、エポキシ系及びシリコーン系等の熱硬化樹脂又は紫外線硬化樹脂等があげられる。これらのなかでも、アセテート系ポリマーが、透明性、光弾性、外観等の点で好ましい。
【0019】
本発明の光学フィルムは、前記偏光フィルムを、目的に応じて、反射型偏光フィルム、半透過層型偏光フィルム、偏光分離偏光フィルム等とすることができ、位相差フィルム、光学補償フィルム、輝度向上フィルム、防眩シート等を適宜にに積層したものを用いることができる。なお、偏光フィルムに他のフィルム等を積層する場合にも、本発明の光学フィルムの全厚みは150μm以下に薄型化したものを用いる。
【0020】
(粘着剤付き保護フィルム)
粘着剤付き保護フィルム2は、基材フィルム2aに粘着層2bを形成したものが一般的に用いられる。粘着層2bが光学フィルム(図1〜3では偏光フィルム1)の表面に貼着される。基材フィルム2aとしては、たとえば、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリエチレンなどの2軸延伸フィルムを好ましく用いることができる。特に、ポリエステルが耐熱性、寸法安定性、透明性、外観等の点から好ましい。
【0021】
基材フィルム2aの片面に形成される粘着層2bを構成する粘着剤としては、アクリル系、合成ゴム系、ゴム系のいずれの粘着剤を使用することもできるが、組成により粘着力をコントロールし易いアクリル系粘着剤が望ましい。前記粘着剤は、架橋剤としては、ポリイソシアネート化合物、ポリアミン化合物、メラミン樹脂、尿素樹脂、エポキシ樹脂等の架橋剤を含有することができる。さらに、前記粘着剤には、必要に応じて、粘着付与剤、可塑剤、充填剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、シランカップリング剤を等を適宜に使用することもできる。粘着層2bの厚さ(乾燥膜厚)は、特に制限されないが、通常5〜50μm程度、好ましくは5〜30μmである。
【0022】
(離型シート)
離型シート3の構成材料としては、紙、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル等の合成樹脂フィルム等があげられる。これらのなかでも、ポリエステルが耐熱性、寸法安定性、透明性、外観等の点から好ましい。離型シート3の表面には、粘着層4からの剥離性を高めるため、必要に応じてシリコーン処理、長鎖アルキル処理、フッ素処理な剥離処理が施されていても良い。
【0023】
(粘着層)
粘着層4を形成する粘着剤としては、アクリル系ポリマー、シリコーン系ポリマー、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアミド、ポリエーテル、フッ素系、ゴム系等のべ−スポリマーとする各種のものを例示できるが、透明性、濡れ性、凝集性、耐熱性、耐湿性等に優れるもアクリル系ポリマーをベースポリマーとするアクリル系粘着剤が好ましい。また、前記粘着剤には、ポリイソシアネート化合物、ポリアミン化合物、メラミン樹脂、尿素樹脂、エポキシ樹脂等の架橋剤を含有することができる。さらに、前記粘着剤には、必要に応じて、粘着付与剤、可塑剤、充填剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、シランカップリング剤を等を本発明の目的を逸脱しない範囲で各適宜に使用することもできる。
【0024】
粘着層4の形成方法としては、特に制限されず、光学フィルム1に粘着剤(溶液)を塗布し乾燥する方法、粘着層4を設けた離型シート3を光学フィルム1に転写する方法等があげられる。粘着層4(乾燥膜厚)の厚さは特に限定されないが、10〜40μm程度とするのが好ましい。
【0025】
【実施例】
以下に、実施例および比較例をあげて本発明を説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0026】
実施例1
厚さ75μmのポリビニルアルコールをヨウ素とヨウ化カリルムを配合した染色浴(30℃)に浸漬し、染色処理と3倍の延伸処理を施した後、ホウ酸とヨウ化カリウムを添加した酸性浴(60℃)中でトータル5倍となる延伸、架橋処理を施し、50℃で5分間乾燥させて厚さ30μmの偏光子を得た。得られた偏光子の両側に厚さ50μmのトリアセチルセルロースフィルムを接着剤で接着、乾燥処理をし偏光フィルム(厚さ130μm)を得た。
【0027】
前記偏光フィルムの片側にアクリル系粘着剤を塗布、乾燥して、厚さ25μmの粘着層を設け、さらに当該粘着層に離型処理をした厚さ50μmのポリエステルフィルム(離型シート)を貼り合せた。前記偏光フィルムのもう一方の側には厚さ50μmのポリエステルフィルムにアクリル系粘着剤により厚さ25μmの粘着層を形成した粘着剤付き保護フィルムを貼り合せて、光学部材を得た。
【0028】
実施例2
実施例1において、トリアセチルセルロースフィルムとして、厚さ40μmのものを用いたこと以外は実施例1と同様な方法で光学部材を得た。
【0029】
比較例1
実施例1において、離型シートおよび保護フィルムに用いたポリエステルフィルムとして、厚さ38μmのものを用いたこと以外は実施例1と同様な方法で光学部材を得た。
【0030】
比較例2
実施例1において、トリアセチルセルロースフィルムとして、厚さ40μmのものを用い、離型シートおよび保護フィルムに用いたポリエステルフィルムとして、厚さ38μmのものを用いたこと以外は実施例1と同様な方法で光学部材を得た。
【0031】
<評価試験>
実施例及び比較例で作製した光学部材を各50枚、15cm×15cmに切断加工し、加工終了後に変形、押し跡等の欠陥が数を目視で確認した。結果を表1に示す。
【0032】
【表1】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の光学部材の一例の側面図である。
【図2】本発明の光学部材の一例の側面図である。
【図3】本発明の光学部材の一例の側面図である。
【符号の説明】
1 偏光フィルム
2 保護フィルム
3 離型シート
4 粘着層
Claims (4)
- 光学フィルムの一方の面に粘着層を有する粘着型光学フィルムの当該粘着層に離型シートが付設されており、粘着層の付設されていない光学フィルムのもう一方の面に粘着剤付き保護フィルムが付設されている光学部材であって、
光学フィルムは、偏光子の両側に保護層を有し、かつ偏光子の厚さAと各保護層の厚さBとの関係が数式:B÷A≦2を満たす偏光フィルムであり、
偏光フィルムの厚さが150μm以下であり、
離型シートの厚さが50μm以上であり、
粘着剤付き保護フィルムの基材フィルムの厚さが50μm以上であることを特徴とする光学部材。 - 保護層の材質がアセテート系樹脂であることを特徴とする請求項1記載の光学部材。
- 粘着型光学フィルムの粘着層が、アクリル系ポリマーをベースポリマーとして含有する粘着剤により形成されていることを特徴とする請求項1又は2記載の光学部材。
- 粘着剤付き保護フィルムの基材フィルムおよび/または離型シートの材質がポリエステル系樹脂であること特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の光学部材。
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