JP4488949B2 - 楽音情報発信器、楽音情報受信器、楽音情報処理装置 - Google Patents
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Description
集音部103はマイクロホン103aと波形成形器103bとで構成され、マイクロホン103aでとらえた楽音信号を波形成形器103bで矩形波に波形成形し、周波数測定部105へ出力する。周波数測定部105では、楽音信号の例えばゼロクロス点を検出し、そのゼロクロス点の時間間隔を計測して楽音信号中の基本波の周波数を計測する。
このように、集音部103が音波をとらえて電気信号を発生する構造とした場合、近傍で他の楽器が音を出したとすると、その他の楽器の音が混入し、本来調律しようとしている楽器の音の計測を狂わせてしまう不都合が生じる。
このため、集音部103に電波発信器を実装し、集音部103で発信した電波を調律器本体に設けた受信器に受信させてワイヤレス方式で楽音を調律器本体に伝送する方法も考えられる。然し乍ら、この方法を採った場合、集音部103aから出力される電気信号は音の波形情報そのものであるため広い帯域成分を含むアナログ信号であるため、情報量が大きい。このため楽器に装着する発信器の電力消費量が大きくなり、電池の消耗が激しい不都合が生じる。電池の寿命を長く維持するためには大型の電池を用いればよいが大型の電池を用いることにより、楽器に装着する発信器の形状が大きくなり、また重量が重くなる不都合が生じる。特にピッコロ、或はフルートのように形状が小さい楽器では、楽器自体の形状が小さいことからその楽器に装着する異物は形状が小さく、然も重量が軽いことが必須条件となる。
この発明の目的は集音部の形状を小型化し、然も重量も軽量化して調律器のような楽音処理装置に楽音情報を伝送することができる楽音情報発信器及びこの楽音情報発信器が発信した伝搬媒体を受信する楽音情報受信器と、この受信器が受信した楽音情報を取り込んで音名の判定、ピッチ誤差の計測等の処理を実行する楽音情報処理装置を提供しようとするものである。
この発明による楽音情報受信器は、楽音のゼロクロス点を表わすタイミング情報を含む伝搬媒体を受信し、楽音のゼロクロス点で立上り及び立下りを持つ矩形波を出力する復調器を備えることを特徴とする。
この発明による楽音情報処理装置は、周波数測定部が測定した楽音信号の周波数と、この周波数で対応付けされる音名の標準周波数とのピッチ誤差を求めるピッチ計測部を備え、このピッチ計測部が計測したピッチ誤差を表示器に表示させる構成としたことを特徴とする。
更に、この発明による楽音情報処理装置は楽音情報受信器が出力する矩形波から、楽音の基本波を抽出するから、この基本波の周波数から各種の物理量を求めることができる。その一つには基本波の周波数で対応付けされる音名と、この音名に割当てられている標準周波数とのピッチ誤差量を求め、このピッチ誤差量を表示器に表示することができる。
また、他の物理量としては基本波の周波数からこの周波数で対応付けされる音名と、この音名に割当てられている標準周波数を持つ標準音信号を生成することができる。この標準音信号をスピーカで放音させ、音として表示することにより、自己の楽器で発した音と、標準音信号による音とを比較して聞くことができ、周波数の違い(楽器の音のズレ)を音として表示することができる。
集音部11は主に楽音情報発信器10を収納するケースに伝わる楽音振動を電気信号に変換する振動ピックアップを用いることができる。但し、楽音情報発信器10は調律しようとする楽器に直接取り付けて実用することを原則とするが、楽器に直接取り付けないまでも、楽器に接近させ、楽器音により楽音情報発信器10を収納したケースを楽音で励振しても楽音振動を検出させることができる。要は1メートル程度離れた楽器からの音に応動しないように音波に対する感度を設定すればよい。
この発明の特徴とするところは、ゼロクロス点検出手段12で検出したゼロクロス点のタイミングを2値のデジタルデータとして電波或は赤外光のような伝搬媒体に乗せて発信させる構成とした点である。
FSK変調手段13Bはここでは可変容量ダイオードDと、この可変容量ダイオードDに電圧を印加し、その容量値を小さくする方向に制御し、また電圧の印加を除去してその容量値を大きくする方向に制御するスイッチ素子Qとによって構成した場合を示す。可変容量ダイオードDは高周波発振器13Aの発振周波数を定める同調回路に直流阻止コンデンサCを通じて接続する。スイッチ素子Qが矩形波P(図2B)の論理値に応じてオン、オフ動作することにより、可変容量ダイオードDの容量値はスイッチ素子Qがオンのとき、つまり矩形波Pが「1」論理のとき小となり、矩形波Pの論理が「0」のとき、大となるように制御される。この結果、高周波発振器13Aの発振周波数は矩形波Pが「1」論理のとき発振周波数が高い周波数に変移し、矩形波Pの論理が「0」のとき低い周波数に変移する(図2C)。このようにして楽音の基本周波数のゼロクロス点のタイミングは高周波発振器13Aが発振する2値周波数変調波FSKで伝送される。13Cはアンテナ、14は電源スイッチ、15は電源となる電池を示す。
図3に楽音情報発信器10の外観構造の一例を示す。図3に示す16は平板状のケースを示す。このケース16に図1に示した集音部11、ゼロクロス点検出手段12、伝搬媒体発振器13、電源スイッチ14、電池15を収納する。電池15は楽音情報発信器10の電力消費量が少ないことから、ボタン型の電池で充分動作させることができる。従ってケース16の大きさとしては厚みが3〜5mm程度で平面形状が30〜40mm角程度の大きさにすることができる。ケース16の一方の平面にクリップ17を装着する。このクリップ17でケース16を楽器に装着する。クリップ17に円爪部17Aを設けておくことにより、例えばピッコロ、フルートのような管楽器に簡単に装着することができる。
楽音情報受信器20はアンテナ21に誘起された2値周波数変調波FSKを高周波受信器22で受信し、受信した2値周波数変調波を復調器23で復調する。復調器23の出力側には2値周波数変調波の変調周波数に応じて受信信号の周波数が高い方の周波数に変移した場合は「1」論理、低い方の周波数に変移した場合は「0」論理となる矩形波(図2と同じ)が得られる。復調器23から出力される矩形波は楽音情報処理装置30へ入力される。尚、楽音情報受信器20の内部構成を特に説明しないが、この受信器は自動車用のドアロック及び解除装置の受信器をそのまま用いることができる。
周波数測定部31は復調器23から出力される矩形波のゼロクロス点の相互間の時間を計測し、この計測結果により矩形波の周波数を算出する。周波数測定部31で周波数が算出されることにより、その算出された周波数に最も近い周波数を標準周波数とする音名に対応付けし、音名を特定する。音名を特定することにより、ピッチ誤差計算部33はその特定した音名の標準周波数を基に、送られて来た楽音情報のピッチ誤差を算出する。表示部34では音名判定部32で判定した音名と、ピッチ誤差計算部33で求めたピッチ誤差を表示する。
また、楽音情報発信器10と、楽音情報処理装置30とは電波で結ばれ、ワイヤレスで楽音情報を伝達することができる、楽器に楽音情報発信器10を装着したとしても、楽音情報処理装置30の位置に係わらず自由に移動することができる。
図5はその実施例を示す。この実施例に示す調律器は先に説明した特許文献1に開示された調律器である。
楽音情報受信器20は図4に示した実施例と同じである。図5に示す楽音情報処理装置30は図4に示したピッチ誤差計算部33の代わりに、標準楽音信号発生部35と、音響表示部36とを設けた構成とした実施例を示す。標準楽音信号発生部35は音名判定部32で判定した音名の標準周波数を持つ信号を発生する。この標準周波数を持つ信号は音響表示部36に備えた増幅器で所望のレベルに増幅し、スピーカ36Bで放音し、楽音情報を音として表示する。
尚、図5に示した実施例2では音響表示部36で表示した音は楽器から発した楽音情報を電波に乗せ、その楽音情報を受信器で受信し、標準音の周波数に整合させた標準音であることから、調律以外にも利用することが考えられる。
11 集音部 21 アンテナ
12 ゼロクロス点検出手段 22 高周波受信器
13 伝搬媒体発振器 23 復調器
13A 高周波発振器 24 赤外光受光器
13B FSK変調手段 30 楽音情報処理装置
13C アンテナ 31 周波数測定部
14 電源スイッチ 32 音名判定部
15 電池 33 ピッチ誤差計算部
S 楽音信号 34 表示部
P 矩形波 35 標準楽音信号発生部
FSK 2値周波数変調波 36 音響表示部
LD 赤外光発光器
Claims (5)
- 楽音振動を電気信号に変換する集音部と、
この集音部から出力される電気信号のゼロクロス点を検出するゼロクロス点検出手段と、
このゼロクロス点検出手段が検出したゼロクロス点を表わすタイミング情報を伝搬媒体に乗せて発信する発信器と、
を備えることを特徴とする楽音情報発信器。 - 楽音のゼロクロス点を表わすタイミング情報を含む伝搬媒体を受信し、上記楽音のゼロクロス点で立上り及び立下りを持つ矩形波を出力する復調器を備えた楽音情報受信器。
- 請求項2記載の楽音情報受信器が出力する矩形波を入力とし、矩形波の立上り及び立下りの時間を計測し、楽音の周波数を測定する周波数測定部と、この周波数測定部が測定した楽音信号の周波数に関連する物理量を表示する表示器と、
を備えることを特徴とする楽音情報処理装置。 - 請求項3記載の楽音情報処理装置において、上記周波数測定部が測定した楽音信号の周波数と、この周波数で対応付けされる音名の標準周波数とのピッチ誤差を求めるピッチ計測部を備え、このピッチ計測部が計測したピッチ誤差を上記表示器に表示させる構成としたことを特徴とする楽音情報処理装置。
- 請求項3記載の楽音情報処理装置において、上記周波数測定部が測定した周波数で対応付けされる音名の標準周波数を持つ標準音信号を発生する標準音信号発生器を備え、この標準音信号発生器が出力する標準音信号を上記表示器により音として表示させる構成としたことを特徴とする楽音情報処理装置。
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