JP4488680B2 - 電荷輸送性高分子化合物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電荷輸送機能を活用する、電子写真感光体、有機エレクトロルミネッセンス素子、フォトリフラクティブ素子、エレクトロクロミック素子、光センサー、太陽電池などの有機電子デバイスへの応用が可能な、新規な電荷輸送性高分子材料に関する。
【0002】
【従来の技術】
電荷輸送性材料は、電荷を注入すると電荷濃度勾配、電場勾配などによる拡散、移動によって電荷を輸送する能力を有する材料である。電荷として電子を輸送する機能を持つ電子輸送性材料、及び電荷として正孔を輸送する機能を持つ正孔輸送材料の総称として、電荷輸送性材料と呼ぶ。この電荷輸送性材料は、電子写真感光体、有機エレクトロルミネッセンス素子、フォトリフラクティブ素子、エレクトロクロミック素子、光センサー、太陽電池などの有機電子デバイスを作製するために欠かすことのできない材料として広く研究が行なわれている。
【0003】
電荷輸送性材料に求められる基本的な性質としては、中性状態において電子または正孔のいずれか、あるいは両方について電荷受容性であること、電荷輸送能力が高いこと、成膜しやすいこと、及び膜質がアモルファス状態で安定であること等がある。
【0004】
電荷輸送性材料は均一な薄膜として用いられることが多いため、成膜しやすいことは重要である。電荷輸送性材料が低分子化合物であってその膜厚が1μm以下の薄膜である場合には成膜方法として真空蒸着を用いることが一般的であるが、コーティングと比較すると大掛かりな蒸着装置が必要でコストが高い上、基板の大面積化が困難である。更に、低分子化合物を単独で用いた場合には機械的強度や熱的安定性などが劣る。このため、高分子をバインダーとして用いて低分子化合物を分散させた上で、コーティングによって成膜する手段もとられている。
【0005】
一方、多くの電荷輸送性材料は正孔輸送性材料であって、トリアリールアミンのような三級アミン誘導体が広く用いられている。電子輸送性材料は、有機溶媒への溶解性が高くないためにコーティングによる成膜に適さないこと、電子の移動度が高くないことなどの理由から、正孔輸送性材料と比較するとその種類が少ない。
【0006】
電荷輸送性材料の中には、正孔輸送機能と電子輸送機能を併せ持つバイポーラーな性質を有する電荷輸送性材料がある。この例としてCBP(4,4’−Bis(Carbazol−9‐yl)−biphenyl)が挙げられる(特許文献1)。このCBPはバイポーラーであるという性質に加えて、高い透明性、有機エレクトロルミネッセンス素子に用いた場合の発光ドーパントとの高い適合性などの優れた性質を持つ。このため、燐光ドーパントを用いた有機エレクトロルミネッセンス素子ではCBPが好んで用いられている(非特許文献1)。
【0007】
しかしながら、CBPのような電荷輸送性材料においては、その成膜方法は依然として主に真空蒸着が用いられている。また、CBPの分子が平面的な構造をとりやすいことに起因して、経時または加熱によってアモルファス膜の結晶化が発生しやすい。このために、特に有機エレクトロルミネッセンス素子のようなジュール熱による発熱を伴う電子デバイスに適用する場合には、多量(5〜10%程度)のドーピングを行う必要がある、又は、バインダーとの混合を行なうことによって結晶化を防ぐ必要がある、という欠点がある。このため、CBP単独でのコーティングによる成膜は困難という問題がある。
【0008】
【特許文献1】
特開平10−168443号公報
【非特許文献1】
M.A.Baldo et.al, “Nature”,(2000), vol.403, p.750
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、かかる事情を考慮して成し遂げられたものであり、その目的は、電荷輸送性に優れ、結晶化しにくく、コーティングによる成膜が可能であり、電子デバイスへの適用性の高い、新規な電荷輸送性材料を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、下記式(1)
【0011】
【化1】
【0012】
(式中、Arは共役結合に関する炭素原子数が6個以上60個以下からなる未置換もしくは置換のアリーレン基、または共役結合に関する炭素原子数が4個以上60個以下からなる未置換もしくは置換の複素環化合物基を示す。Rは、それぞれ独立に水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数1〜20のアルキルチオ基、炭素数1〜60のアルキルシリル基、炭素数1〜40のアルキルアミノ基、炭素数6〜60のアリール基、炭素数6〜60のアリールオキシ基、炭素数7〜60のアリールアルキル基、炭素数7〜60のアリールアルコキシ基、炭素数8〜60のアリールアルケニル基、炭素数6〜60のアリールアミノ基、炭素数4〜60の複素環化合物基、シアノ基、ニトロ基、ハロゲン原子からなる群から選ばれる基を示す。)
で表される繰り返し単位を含む電荷輸送性高分子化合物であって、下記式(3)で表される繰り返し単位を必須成分として含む、電荷輸送性高分子化合物(但し、分子内に上記式(1)とは異なる正孔輸送の機能を有する分子を含む単位及び/又は電子輸送の機能を有する分子を含む単位を有する化合物を除く。)
が、上記課題を解決することを見出した。
【0013】
【化2】
また、前記化合物中に含まれる前記式(1)で表される繰り返し単位の合計数が5〜100000であることは、電荷輸送性の確保、成膜性の確保の点から好ましい。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
【0015】
まず、下記式(1)について説明する。
【0016】
【化3】
【0017】
式(1)におけるArは、共役結合に関する炭素原子数が6個以上60個以下からなるアリーレン基、または共役結合に関する炭素原子数が4個以上60個以下からなる複素環化合物基である。具体的には、Arとしては下記式(a)〜(j)の芳香族化合物基もしくはその誘導体基が例示される。
【0018】
【化4】
【0019】
【化5】
【0020】
これらの中で、1,4−フェニレン基、4,4’−ビフェニレン基、4,4’’−ターフェニレン基もしくはそれらの誘導体基が好ましい。
【0021】
Arの例示式中のR、および、一般式(1)におけるRは水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数1〜20のアルキルチオ基、炭素数1〜60のアルキルシリル基、炭素数1〜40のアルキルアミノ基、炭素数6〜60のアリール基、炭素数6〜60のアリールオキシ基、炭素数7〜60のアリールアルキル基、炭素数7〜60のアリールアルコキシ基、炭素数8〜60のアリールアルケニル基、炭素数6〜60のアリールアミノ基、炭素数4〜60の複素環化合物基、シアノ基、ニトロ基、ハロゲン原子からなる群から選ばれる基であり、互いに同一であっても異なっていても良い。
【0022】
ここで、炭素数1〜20のアルキル基としてはメチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、ノニル基、デシル基、ラウリル基などが挙げられ、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基が好ましい。
【0023】
炭素数1〜20のアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基、オクチルオキシ基、ノニルオキシ基、デシルオキシ基、ラウリルオキシ基などが挙げられ、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基、デシルオキシ基が好ましい。
【0024】
炭素数1〜20のアルキルチオ基としては、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、ブチルチオ基、ペンチルチオ基、ヘキシルチオ基、ヘプチルチオ基、オクチルチオ基、ノニルチオ基、デシルチオ基、ラウリルチオ基などが挙げられ、ペンチルチオ基、ヘキシルチオ基、オクチルチオ基、デシルチオ基が好ましい。
【0025】
炭素数1〜60のアルキルシリル基としては、メチルシリル基、エチルシリル基、プロピルシリル基、ブチルシリル基、ペンチルシリル基、ヘキシルシリル基、ヘプチルシリル基、オクチルシリル基、ノニルシリル基、デシルシリル基、ラウリルシリル基、トリメチルシリル基、エチルジメチルシリル基、プロピルジメチルシリル基、ブチルジメチルシリル基、ペンチルジメチルシリル基、ヘキシルジメチルシリル基、ヘプチルジメチルシリル基、オクチルジメチルシリル基、ノニルジメチルシリル基、デシルジメチルシリル基、ラウリルジメチルシリル基などが挙げられ、ペンチルシリル基、ヘキシルシリル基、オクチルシリル基、デシルシリル基、ペンチルジメチルシリル基、ヘキシルジメチルシリル基、オクチルジメチルシリル基、デシルジメチルシリル基が好ましい。
【0026】
炭素数1〜40のアルキルアミノ基としては、メチルアミノ基、エチルアミノ基、プロピルアミノ基、ブチルアミノ基、ペンチルアミノ基、ヘキシルアミノ基、ヘプチルアミノ基、オクチルアミノ基、ノニルアミノ基、デシルアミノ基、ラウリルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基などが挙げられ、ペンチルアミノ基、ヘキシルアミノ基、オクチルアミノ基、デシルアミノ基が好ましい。
【0027】
炭素数6〜60のアリール基としては、フェニル基、C1〜C12アルコキシフェニル基(C1〜C12は、炭素数1〜12であることを示す。以下も同様である。)、C1〜C12アルキルフェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基などが例示され、C1〜C12アルコキシフェニル基、C1〜C12アルキルフェニル基が好ましい。
【0028】
炭素数6〜60のアリールオキシ基としては、フェノキシ基、C1〜C12アルコキシフェノキシ基、C1〜C12アルキルフェノキシ基、1−ナフチルオキシ基、2−ナフチルオキシ基などが挙げられ、C1〜C12アルコキシフェノキシ基、C1〜C12アルキルフェノキシ基が好ましい。
【0029】
炭素数7〜60のアリールアルキル基としては、フェニル−C1〜C12アルキル基、C1〜C12アルコキシフェニル−C1〜C12アルキル基、C1〜C12アルキルフェニル−C1〜C12アルキル基、1−ナフチル−C1〜C12アルキル基、2−ナフチル−C1〜C12アルキル基などが挙げられ、C1〜C12アルコキシフェニル−C1〜C12アルキル基、C1〜C12アルキルフェニル−C1〜C12アルキル基が好ましい。
【0030】
炭素数7〜60のアリールアルコキシ基としては、フェニルC1〜C12アルコキシ基、C1〜C12アルコキシフェニル−C1〜C12アルコキシ基、C1〜C12アルキルフェニル−C1〜C12アルコキシ基、1−ナフチル−C1〜C12アルコキシ基、2−ナフチル−C1〜C12アルコキシ基などが挙げられ、C1〜C12アルキルフェニル−C1〜C12アルコキシ基が好ましい。
【0031】
炭素数8〜60のアリールアルケニル基としては、フェニルC1〜C12アルケニル基、C1〜C12アルコキシフェニル−C1〜C12アルケニル基、C1〜C12アルキルフェニル−C1〜C12アルケニル基、1−ナフチル−C1〜C12アルケニル基、2−ナフチル−C1〜C12アルケニル基などが挙げられ、C1〜C12アルコキシフェニル−C1〜C12アルケニル基、C1〜C12アルキルフェニル−C1〜C12アルケニル基が好ましい。
【0032】
炭素数6〜60のアリールアミノ基としては、フェニルアミノ基、ジフェニルアミノ基、C1〜C12アルコキシフェニルアミノ基、ジ(C1〜C12アルコキシフェニル)アミノ基、ジ(C1〜C12アルキルフェニル)アミノ基、1−ナフチルアミノ基、2−ナフチルアミノ基などが挙げられ、C1〜C12アルキルフェニルアミノ基、ジ(C1〜C12アルキルフェニル)アミノ基が好ましい。
【0033】
炭素数4〜60の複素環化合物基としては、チエニル基、C1〜C12アルキルチエニル基、ピロリル基、フリル基、ピリジル基、C1〜C12アルキルピリジル基などが挙げられ、C1〜C12アルキルチエニル基、C1〜C12アルキルピリジル基が好ましい。
【0034】
ハロゲン原子としてはフッ素、塩素、臭素、ヨウ素原子などが挙げられる。
【0035】
Rの例のうち、アルキル基を含む置換基においては、それらは直鎖、分岐または環状のいずれかまたはそれらの組合せであってもよく、直鎖でない場合、例えばイソアミル基、2−エチルヘキシル基、3,7−ジメチルオクチル基、シクロヘキシル基、4−C1〜C12アルキルシクロヘキシル基などが例示される。
【0036】
さらに、Arの例示式中のR、および、一般式(1)におけるRのうち少なくともひとつが互いに結合して、飽和あるいは不飽和の五員環、六員環を形成しても、あるいは形成していなくてもよい。
【0037】
一般式(1)の具体的な例としては、次式(2)〜(9)などが挙げられる。
【0038】
【化6】
【0039】
【化7】
【0040】
【化8】
【0041】
ここで、正孔輸送性材料として一般的なポリビニルカルバゾールにおいて、隣り合うカルバゾール基が重なり合うことでエキシマーが形成されやすいという問題が知られている。エキシマーが形成されると、エキシマーが電荷のトラップとなることで電荷の輸送が妨げられる、発光性材料とともに用いる場合に消光中心として働くことで発光が妨げられる、などの問題がある。本発明の電荷輸送性高分子化合物においては、Rとして上記の置換基群を導入することで一般式(1)で表される複数の繰り返し部分の重なり合いを防ぐことにより、エキシマー形成を避けることが望ましい。
【0042】
一般式(1)の繰り返し単位の合計数は好ましくは5〜100000、さらに好ましくは10〜10000、特に好ましくは20〜5000である。
【0043】
本発明の化合物は,一般式(1)の繰り返し単位を含むものであり、一般式(1)の繰り返し単位からなるホモポリマーであっても良いし、他の単量体との共重合体であっても良い(但し、分子内に上記式(1)とは異なる正孔輸送の機能を有する分子を含む単位及び/又は電子輸送の機能を有する分子を含む単位を有する化合物を除く。)。共重合体の場合にはランダム、ブロック、またはグラフト共重合体であっても良いし、それらの中間的な構造を有する高分子、例えば、ブロック性を帯びたランダム共重合体であっても良い。
【0044】
一般式(1)の繰り返し単位と共重合する他の単量体としては、特に限定されないが、有機溶媒に対する溶解性を低下させることのない構造を有するもの、また、電荷輸送性を低下させることのない構造を有するものが望ましい。
【0045】
一般式(1)で表される繰り返し単位の割合は、繰り返し単位の構造にもよるが、単量体成分の総量を100モル%とした時に、50モル%以上100モル%以下であることが望ましく、70モル%以上100モル%以下であることがさらに好ましい。
【0046】
本発明の化合物の重合度は、その繰り返し構造や割合によっても変化するので一律ではないが、分子量がポリスチレン換算で103〜108であることが好ましく、溶解性および成膜性の観点からは104〜106が更に好ましい。ここで、分子量はクロロホルムを溶媒として、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により求めたポリスチレン換算の数平均分子量である。
【0051】
本発明の化合物の重合法は問わないが、例えばラジカル重合法、イオン重合法などが挙げられ、好ましくはラジカル重合法である。ラジカル重合法の開始剤としては、例えばアゾ化合物、過酸化物などが挙げられ、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスイソブチル酸ジエステル誘導体、過酸化ベンゾイルが好ましい。
【0052】
重合溶媒は特に問わないが、例えば芳香族炭化水素系(例えばベンゼン、トルエンなど)、ハロゲン化炭化水素(例えばジクロロエタン、クロロホルムなど)、エーテル系(例えばテトラヒドロフラン、ジオキサンなど)、アミド系(例えばジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなど)、エステル系(例えば酢酸エチルなど)、アルコール系(例えばメタノールなど)、ケトン系(例えばアセトン、シクロヘキサノンなど)が挙げられる。溶媒の選択により、均一系で重合する溶液重合、生成した高分子が沈殿する沈殿重合を行うこともできる。
【0053】
また、これらの重合体を有機電子デバイスの電荷輸送性材料として使用する場合には、その純度が電荷輸送特性、膜のアモルファス状態の安定性に影響を与えるため、合成後に再沈殿による精製やクロマトグラフィーによる分別などの純化処理を行なうことが望ましい。
【0054】
本発明の電荷輸送性高分子化合物は、溶剤に溶解させて成膜することができる。該電荷輸送性高分子化合物に対する良溶媒としては、クロロホルム、塩化メチレン、ジクロロエタン、テトラヒドロフラン、トルエン、キシレンなどが例示される。電荷輸送性高分子化合物の構造や分子量にもよるが、通常はこれらの溶媒に0.1wt%以上溶解させることができる。電子デバイス作製の際には、これらの有機溶媒可溶性の電荷輸送性高分子化合物の溶液を塗布後、乾燥により溶媒を除去するだけで成膜されるので、製造上非常に有利である。
【0055】
塗布方法としては、これら材料の溶融液、溶液、分散液、または混合液を使用するスピンコート法、キャストコート法、ディップコート法、ダイコート法、ビードコート法、バーコート法、ロールコート法、スプレーコート法、グラビアコート法、フレキソ印刷法、スクリーン印刷法、オフセット印刷法などが好ましい。
【0056】
なお、塗布方法により成膜した場合には、溶媒を除去するために、好ましくは減圧下または不活性雰囲気下で、30〜300℃、好ましくは60〜200℃の温度で加熱乾燥することが望ましい。
【0057】
【実施例】
次に本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定されるものではない。
【0058】
(実施例1)
<電荷輸送性高分子化合物の合成>
N,N−ジメチルホルムアミド50mLにオキシ塩化リン0.80gを加えて室温で撹拌することで溶解させ、ここにCBP2.42gを乾燥クロロホルム15mLに溶解したものを加えて室温で撹拌することで、CBPのホルミル体(4−(Carbazol−9‐yl)−4'−(3−formylcarbazol−9‐yl)−biphenyl)を得た。別に、トリフェニルホスフィン1.83gをベンゼン50mLに溶解させ、臭化メタン0.67gを加えて室温で撹拌することでホスホニウム塩を生成した。このホスホニウム塩を乾燥窒素気流下で乾燥ジエチルエーテル50mLに溶解させ、ブチルリチウムのヘキサン溶液(1.6M)4.4mLを加えて室温で撹拌することでリンイリドを生成し、ここに乾燥ジエチルエーテル20mLに溶解させたCBPのホルミル体2.18gを加えてWittig反応させることでCBPのビニル体(4−(Carbazol−9‐yl)−4'−(3−vinylcarbazol−9‐yl)−biphenyl)を生成した。
【0059】
CBPのビニル体1.8gを乾燥窒素気流下で乾燥テトラヒドロフラン50mLに溶解させ、アゾビスイソブチロニトリル3mgを加え室温で12時間撹拌することで重合した。これをメタノール100mLに注ぎ、固形分を希薄塩酸で洗浄した後、アセトンを溶媒としてソックスレー還流器で溶解成分を除去して不溶部を分離した。これをクロロホルムに溶解させ、メタノールで再沈殿を行なうことにより、目的とする重合体(式(12))を得た。得られた重合体を、以下、電荷輸送性高分子化合物1という。
【0060】
【化9】
【0061】
(式中、nは1以上の整数である。)
電荷輸送性高分子化合物1はトルエン、キシレンなどの芳香族系溶媒、クロロホルム、1,2−ジクロロエタンなどのハロゲン化炭化水素系溶媒、テトラヒドロフランなどのエーテル系溶媒に可溶であった。電荷輸送性高分子化合物1のポリスチレン換算の数平均分子量は、クロロホルムを溶媒としてゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で求め、その値は1.0×104であった。電荷輸送性高分子化合物1の構造については、1H−NMR、IRスペクトルで相当するスペクトルを得た。
【0062】
(評価)
<成膜性の評価>
電荷輸送性高分子化合物1はクロロホルムに容易に溶解させることができた。電荷輸送性高分子化合物1のクロロホルム2重量%溶液を、石英基板上にスピンコートして、電荷輸送性高分子化合物1の薄膜(200nm)を成膜した。電荷輸送性高分子化合物1はドーピング、バインダー混入を施すことなくスピンコートにより成膜することが可能であった。
【0063】
<エネルギー準位測定>
上記で得られた電荷輸送性高分子化合物1の薄膜について、仕事関数および電子親和力を測定した。仕事関数は理研計器製の大気中紫外線光電子分析装置AC−1を用いて求め、その値は5.53eVであった。電子親和力は上記の方法を用いて求めた仕事関数値と、島津製作所製の紫外可視吸収スペクトル測定装置MPC−3100を用いて測定した吸収スペクトルの長波長側最末端値から算出したバンドギャップ値から算出して、その値は2.21eVであった。これらはそれぞれCBPの仕事関数値(5.52eV)、CBPの電子親和力値(1.89eV)と同等であった。
このことから、電荷輸送性高分子化合物1はCBPと同等に使用でき、かつ塗布成膜可能であることがわかった。
【0064】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の電荷輸送性高分子化合物は、電荷輸送性材料として極めて有用な材料となる。
【0065】
また、合成が容易で、ドーピングやバインダー混入を施すことなくコーティングによる成膜によって薄膜化することも可能であるため、電荷輸送性材料として従来のCBPを用いる場合に比して、安定性に富み、しかも安価に電子デバイスを作製することが可能である。
【0066】
さらに、本発明に係る電荷輸送性高分子化合物は、式(1)の構成単位の濃度を変えることにより、目的に応じて電荷輸送性を変えることができ、式(1)の構成単位の種類を変えるか、又は、互いに異なる式(1)の構成単位を2種以上組み合わせることにより、電荷輸送性を変えることができ、適当な共重合モノマーを導入することにより塗布適性を向上させたり、層の形態及び電気的性質を最適化することができる、というメリットを有する。
Claims (4)
- 下記式(1)
で表される繰り返し単位を含む電荷輸送性高分子化合物であって、下記式(3)で表される繰り返し単位を必須成分として含む、電荷輸送性高分子化合物(但し、分子内に上記式(1)とは異なる正孔輸送の機能を有する分子を含む単位及び/又は電子輸送の機能を有する分子を含む単位を有する化合物を除く。)。
- 前記化合物中に含まれる前記式(1)で表される繰り返し単位の合計数が5〜100000である、請求項1に記載の電荷輸送性高分子化合物。
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