JP4488510B2 - 降温用噴霧システム - Google Patents
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Description
そこで、既存の構造物に噴霧ノズルを装備することにより、システムの費用を低減することができるが、既存の構造物の高さがいろいろあるので、対象の空間を適切に冷却することが難しいという問題がある。例えば、通常の電柱のように高さが10mを越える構造物に装備された噴霧ノズルからミストを噴霧すると、冷却効果を充分に発揮することができない。また、通常の街路灯のような高さ10m未満の構造物に装備された噴霧ノズルからミストを噴霧すると、大きな水滴が下を通行している人を濡らしてしまうという問題がある。
また、常に噴霧されるミストの直径を小さくしようとして、高圧空気を用いて2流体噴流とした場合、ミストの大きさが10μm以下にすることができ、噴霧ノズルを高さの低い構造物に装備することができるが、高圧空気を供給するために非常に大量のエネルギーを消費しなければならず、冷却エネルギー効率が悪いという問題がある。
また、水をミストとして噴霧する噴霧ノズルから噴霧されるミストのザウター平均粒径が15μmを越え、27μm以下およびミストの90%累積体積粒径を80μm以上で100μm未満に調整したとき、上記噴霧ノズルの設置高さは6m以上、10m以下に、上記ミストの噴霧量は3cm 3 /m 2 ・min以上、40cm 3 /m 2 ・min以下に設定される。
また、水をミストとして噴霧する噴霧ノズルから噴霧されるミストのザウター平均粒径が20μmを越え、30μm以下およびミストの90%累積体積粒径を100μm以上で120μm未満のとき、上記噴霧ノズルの設置高さは10m以上、16m未満に、上記ミストの噴霧量は6cm 3 /m 2 ・min以上、80cm 3 /m 2 ・min以下に設定される。
図1は、この発明の実施の形態1に係わる降温用噴霧システムの構成図である。図2は、実施の形態1に係わる噴霧ヘッドの平面図である。図3は、実施の形態1に係わる噴霧ヘッドの断面図である。図4は、実施の形態1に係わる噴霧ノズルの中心軸に沿った断面図である。図5は、噴霧ノズルから噴霧されたミストの粒度分布図である。図6は、噴霧ノズルからミストが噴霧される様子を表す図である。図7は、加圧水供給装置の構成図である。図8は、ミスト制御盤の機能ブロック図である。図8は、ミストの噴霧のタイミングチャートである。
なお、図2は、噴霧ヘッドを図3のBB断面から下方に見た一部断面図である。また、図3は、噴霧ヘッドを図2のAA断面から水平方向に見た断面図である。
また、噴霧ヘッド3は、地上から縦立されている柱の先端に設けられたことを記載したが、天井から吊り下げられていてもよい。
ここで、6個の噴霧ノズル10を噴霧ヘッド3に設けることを記載したが、これに限定されず、噴霧ノズル10は1個からN個であればよい。
その延長配管12の他方の端部には、直管18が取り付けられ、そこに噴霧ノズル10が嵌合されている。なお、1つの直管18から分岐して圧力変換器(株式会社共和電業製、型式PVD−100ka、測定レンジ0〜10MPa)14が取り付けられて、噴霧ノズル10の加圧水受け空洞21に掛かる水圧を計測し、それを噴霧水圧としている。通常は、この噴霧水圧と高圧ポンプの出力水圧との関係を予め求めておいて、高圧ポンプの出力水圧を管理することにより、噴霧水圧を管理する。なお、水圧の測定には、ブルドン管圧力計などを用いてもよい。また、直管18は、ステンレスからできている。
このように接続された噴霧ノズル10の中心軸は、噴霧ヘッダ11の下側の端面を含む水平面から角度θ22.5°下方に傾いている。
感圧逆止弁22は、空洞21の下流側の開口21aに当接したとき、加圧水の流れを遮断する遮断球30、一端が遮断球30に当接し、他端がリブ23に固定され、遮断球30に所定のバネ圧が掛けられるように撓んでいるバネ31から構成されている。
そして、空洞21の水圧が所定のバネ圧を越えたとき、遮断球30と空洞21の開口21aとが離反して、その隙間から弁収納空洞24に水が流れ込む。
そして、バネ圧が大きくなるに従い、径の大きなミストが少なくなり、図5に示すように、バネ圧が0.6MPaの噴霧ノズル10から噴霧されるミストは、90%累積体積粒径D(90)が160μm以下になり、大きな径の液滴が落下して通行人を濡らすことがなくなる。
さらに、バネ圧が1.0MPaの噴霧ノズル10から噴霧されるミストは、90%累積体積粒径D(90)が60μm以下となり、ミストが通行人に当たることもなくなる。
また、所定のバネ圧が噴霧水圧に近い1.8MPaの噴霧ノズル10では、遮断球30が開口21aから充分に離反できないので、噴霧量に制約を受けてしまい、バネ圧が1.5MPaの噴霧ノズル10では、噴霧量の制約は見られない。このような理由から所定のバネ圧は、0.6MPa以上、1.5MPa以下が好ましい。
加圧水受け空洞20に加圧水が注水され、水圧が所定の値に達すると、遮断球30を押して加圧水が弁収納空洞24内に流れ込む。
そして、リブ23の中央に形成された孔23aから加圧水が駒25の一方の端面を押して駒25が噴霧ノズル10の中心軸に沿って漏斗状の空洞27の方向に移動され、駒25の側面の溝32を通って加圧水が旋回されながら通過し、溝32の端部から噴流される。
この噴流が漏斗状の空洞27の内側面に衝突して、衝突噴流になりミストとしてオリフィス29から噴霧される。
実施の形態1で使用した噴霧ノズル10から噴霧水圧6MPaのときザウター平均粒径が20μmであった。なお、噴霧水圧が2MPa未満であるとミストのザウター平均粒径が大きくなるとともに噴霧量が少なくなり、冷却効果が小さくなってしまう。また、噴霧水圧が高いとミストの平均粒径が小さくなるとともに噴霧流量が多くなるが、噴霧水圧が10MPaを越えると配管などに大きな水撃が加わり、安全上好ましくない。これらの理由から噴霧水圧は、2MPa以上で10MPa以下が好ましい。なお、ミストの平均粒径として、レーザ回折粒径測定器を用いて測定しているが、他にドプラー位相粒径測定器などを用いて測定してもよい。このとき、測定器の種類により、平均粒径が異なるので、同一条件で噴霧したミストを測定して対比することが必要である。
この噴霧領域34は、オリフィス29の形状を調整することにより噴角35を調整することができる。噴角35を小さくすると、ミストを遠くまで飛ばすことができるし、噴角35を大きくすると、ミストが噴霧ノズル10の近くに漂うことになる。通常、噴角35を45度くらいにすることが好ましいが、45度に限るものではない。
このように噴角35を調整することにより、噴霧領域34がオリフィス29を横切る水平面の下方に位置することができる。
一方、地面に水平の風が吹いているとき、ミストは下降しながら風の方向に流されていく。しかし、噴霧ヘッダ11の下側の端面を含む水平面より下方に噴霧外縁36が位置するので、ミストが水平に流されても、噴霧ヘッダ11に当たることがない。
また、噴霧領域34が柱2や子配水管4からみてオリフィス29の先端から離れており、そのオリフィス29の先端が延長配管12により柱2や子配水管4から離れているので、ミストが水平方向に流されても、延長配管12の長さだけ移動する間に拡散や蒸散してしまうので、ミストが柱2や子配水管4に当たることがない。
また、延長配管12が下向きに彎曲しているので、上向きの風が吹かないとミストが延長配管12に当たることが防げる。
また、加圧水中に含まれる塵埃を取り除くために、高圧ポンプ40の出口に図示しない20μm角開口のフィルタが介在されている。
また、主配水管42、子配水管4、噴霧ヘッド3にスケールが沈積しないように、金属イオンの少ない加圧水を供給するために、高圧ポンプ40に図示しない軟水器から軟水化された水道水が供給されている。
ミスト制御盤45の噴霧シーケンス制御手段52は、まず元弁41を開放する。同時に排水弁43を開放する。
次に、噴霧シーケンス制御手段52は、高圧ポンプ40の作動を開始して、加圧水をブレードホース47から主配水管42に送水する。そうすると、主配水管42内に残っている空気が排水弁43から水と一緒に押し出されて、主配水管42内が均一な水圧が掛かるようになる。
次に、噴霧シーケンス制御手段52は、排水弁43を閉じる。それにより、主配水管42内の水圧が所望の水圧、例えば、6MPaに達する。
次に、噴霧シーケンス制御手段52は、噴霧を行う噴霧ヘッド3に連なる選択弁44を開放して、加圧水が子配水管4を経由して上昇圧力波として伝搬し、噴霧ヘッド3に水が供給される。このときの加圧水受け空洞20に注水されて加わる水圧は4秒の間にほぼ0MPaから6MPaに達する。このように水圧が1MPa以上になると、噴霧ノズル10の感圧逆止弁22が開放されてミストの噴霧が開始される。
そして、排水弁43が開放されてから約3秒経過後高圧ポンプ40の作動を停止し、選択弁44を閉じる。その後、元弁41と排水弁43とを閉じる。
また、図11に示すように、排水弁43を開放すると主配水管42内の水圧が急激に低下し、感圧逆止弁22が急激に閉められ、水圧の低い状態で噴霧される時間が短くすることができるので、水圧が低い状態で噴霧されたときにみられる大きな粒径のミストが殆ど噴霧されることがない。
なお、前提として噴霧されたミストは少なくとも1分間で蒸散される。延長配管12の長さを15cmとし、噴霧ノズル10から噴霧されたミストは、1m3内に存在しているとして、噴霧量を定める。
噴霧判断手段50は、温湿度計6から入力される乾球温度DT(℃)および湿球温度WT(℃)から湿り空気線図に基づき相対湿度RH(%)を算出する。例えば、図12に示すように、乾球温度DTが30℃、湿球温度WTが20℃であった場合、湿り空気線図の横軸に表されている湿球温度WTの20℃から縦軸方向に延ばして相対湿度100%の線と交わる露点DPを求める。その露点DPから横軸方向に延ばして絶対湿度AH(kg/kg’)を求める。図12に示される例では、絶対湿度AHが0.015kg/kg’である。さらに、露点DPから横軸方向に延ばされた線と湿り空気線図の横軸に表されている乾球温度DTが30℃から縦軸方向に延ばされた線との交点Bを求める。そして、交点Bが交わる相対湿度RH(%)を求める。図12の場合、相対湿度RHは65%である。
そこで、ミストのザウター平均粒径、噴霧ノズル10の設置高さ、噴霧量を変化させたとき、人が濡れるか否か、および冷却効果について実験を行った。
図14は、ザウター平均粒径を10μm以上で22μm以下、ミストの90%累積体積粒径D90を80μm未満に調整したときの冷却効果および人の濡れに関する実験結果である。この実験では、噴霧量を2、3、10、20、22cm3/m2・minと変化させた。また、噴霧ヘッド10の設置高さを3、3.5、6、6.5mと変化させた。
冷却効果に関する実験結果を示す図14(a)から分かるように、噴霧量が2cm3/m2・minでは設置高さに係わらず冷却効果がNGであった。また、噴霧量が3cm3/m2・minで設置高さが6.5mでも冷却効果がNGであった。
また、人の濡れに関する実験結果を示す図14(b)から分かるように、設置高さが3mで噴霧量が10、20、22cm3/m2・minでは人が濡れ、設置高さが3.5mで噴霧量が22cm3/m2・minのときも人が濡れる。このようにザウター平均粒径が10μm以上で22μm以下、ミストの90%累積体積粒径D90が80μm未満の場合、噴霧量は3cm3/m2・min以上で20cm3/m2・min以下が好ましいことが分かる。また、設置高さは3.5m以上で6m以下が好ましい。
冷却効果に関する実験結果を示す図15(a)から分かるように、噴霧量が2cm3/m2・minでは設置高さに係わらず冷却効果がNGであった。また、噴霧量が3cm3/m2・minで設置高さが11mでも冷却効果がNGであった。
また、人の濡れに関する実験結果を示す図15(b)から分かるように、設置高さが5mで噴霧量が20、40、44cm3/m2・minでは人が濡れ、設置高さが6mで噴霧量が44cm3/m2・minのとき人が濡れる。このようにザウター平均粒径が15μmを越え、27μm以下、ミストの90%累積体積粒径D90が80μm以上で100μm未満の場合、噴霧量は3cm3/m2・min以上で40cm3/m2・min以下が好ましいことが分かる。また、設置高さは、6m以上で10m以下が好ましい。
冷却効果に関する実験結果を示す図16(a)から分かるように、噴霧量が4cm3/m2・minでは設置高さに係わらず冷却効果がNGであった。また、噴霧量が6cm3/m2・minで設置高さが16mでも冷却効果がNGであった。
また、人の濡れに関する実験結果を示す図16(b)から分かるように、設置高さが9mで噴霧量が40、80、86cm3/m2・minでは人が濡れ、設置高さが10mで噴霧量が86cm3/m2・minのときも人が濡れる。
このようにザウター平均粒径が20μmを越え、30μm以下、ミストの90%累積体積粒径D90が100μm以上で120μm未満の場合、噴霧量は6cm3/m2・min以上で80cm3/m2・min以下が好ましいことが分かる。また、設置高さは、10m以上で16m未満が好ましい。
また、噴霧ヘッダ11に予め延長配管12および噴霧ノズル10を工場で取り付けておき、現地で噴霧ヘッド3を子配水管4に接続すれば良いので、現場での作業を簡略化することができる。
Claims (3)
- 水をミストとして噴霧して対象の空間の温度を低下する降温用噴霧システムにおいて、
水をミストとして噴霧する噴霧ノズルから噴霧されるミストのザウター平均粒径が10μm以上で22μm以下およびミストの90%累積体積粒径を80μm未満に調整したとき、上記噴霧ノズルの設置高さは3.5m以上、6m以下に、上記ミストの噴霧量は3cm 3 /m 2 ・min以上、20cm 3 /m 2 ・min以下に設定されることを特徴とする降温用噴霧システム。 - 水をミストとして噴霧して対象の空間の温度を低下する降温用噴霧システムにおいて、
水をミストとして噴霧する噴霧ノズルから噴霧されるミストのザウター平均粒径が15μmを越え、27μm以下およびミストの90%累積体積粒径を80μm以上で100μm未満に調整したとき、上記噴霧ノズルの設置高さは6m以上、10m以下に、上記ミストの噴霧量は3cm3/m2・min以上、40cm3/m2・min以下に設定されることを特徴とする降温用噴霧システム。 - 水をミストとして噴霧して対象の空間の温度を低下する降温用噴霧システムにおいて、
水をミストとして噴霧する噴霧ノズルから噴霧されるミストのザウター平均粒径が20μmを越え、30μm以下およびミストの90%累積体積粒径を100μm以上で120μm未満のとき、上記噴霧ノズルの設置高さは10m以上、16m未満に、上記ミストの噴霧量は6cm3/m2・min以上、80cm3/m2・min以下に設定されることを特徴とする降温用噴霧システム。
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