JP4488374B2 - エンジン制御装置 - Google Patents
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Description
また、変化判定の設定値が小さい場合には、エンジン回転速度の変動に伴うデューティ率の変化を、電気負荷が投入または解除されたと誤判定してしまい、無用な吸気量の補正を施してしまうという問題がある。
また、フィルタリングの目的は制御トランジスタの駆動遅れや電源電圧の不安定によるデューティ率のオン継続時間の変動を除去することであり、定常発電状態におけるエンジン回転速度の変化に伴うデューティ率の変動は除去されず、結果として算出される車両用発電機の負荷トルクが変動してアイドル安定化制御と干渉することで、エンジン回転速度の変動を悪化させてしまうという問題がある。
この発明の実施の形態に係るエンジン19は、4気筒4サイクルエンジンであり、4つの気筒18には、ピストン20が嵌挿され、ピストン20の上方に燃焼室21が形成されている。
ピストン20は、コンロッド22を介してクランクシャフト23に連結されている。
また、各気筒18の燃焼室21に対して吸気ポート5および排気ポート11が開口し、吸気ポート5と排気ポート11にそれぞれ吸気弁6と排気弁9が装備されている。吸気弁6および排気弁9は、図示しないカムシャフト等からなる動弁機構により駆動される。そして、各気筒18が所定の位相差をもって燃焼サイクルを行うように、各気筒18の吸気弁6および排気弁9の開閉タイミングが設定されている。
吸気ポート5には燃料噴射弁7が設けられている。
スロットル弁2の上流には、スロットル弁2が開閉することにより吸気ポート5を介してエンジン19に吸入される空気量を検出するエアフローメータ3が配設されている。
排気通路25は、排気中の酸素濃度を検出する酸素濃度センサ12が配設されており、排気中の有害ガス浄化装置として三元触媒13を有している。
また、クランクシャフト23の回転角度を検出するために、クランク角センサ16が配設されており、クランク角信号を出力するように取り付けられている。
カムシャフト28に対し、その特定回転位置を検出することで気筒識別信号を与えることのできるカム角センサ27が設けられている。
クランクシャフト23によって車両用発電機29やエアコンコンプレッサ31、またステアリング用オイルポンプ30の補機がベルト32を介して回転駆動されており、各補機からのセンサ情報はECU(エンジンコントロールユニット)17へ入力される。
車両用発電機29は、エンジン19により回転駆動されて発電するものである。そして、車両用発電機29は、図2に示すように、交流電圧を発生するステータコイル29a、ステータコイル29aで発生した電圧を整流する整流器29b、界磁するフィールドコイル29d、フィールドコイル29dに通電する界磁電流をデューティ制御する界磁電流制御手段としての制御トランジスタTrを内蔵したICレギュレータ29cを備える。
車両用発電機29の端子Bは、バッテリ35とバッテリ35に並列接続される直列接続するスイッチ33および電気負荷34とに接続されている。なお、図2ではスイッチ33を1つしか図示していないが、実際には電気負荷の個数に応じて複数個存在する。
車両用発電機29の端子FRからのデューティ信号がECU17に取り込まれる。
ECU17に内蔵されるこの発明の実施の形態に係るエンジン制御装置は、デューティ信号からデューティ率(DUTY率)を算出するデューティ率算出手段17a、センサ情報およびスイッチ情報から運転状態を検出する運転状態検出手段17h、発電状態を判定する発電状態判定手段17i、運転状態検出手段17hの検出結果と発電状態判定手段17iの判定結果に基づいてフィルタゲインを切替えるフィルタゲイン調整手段17c、および算出されたデューティ率をフィルタリング処理するフィルタ手段17bを有する。
ステップS101において、各種センサからのデューティ信号、エンジン回転数(NE)、エンジン水温などの情報を読み込む。
ステップS102において、ステップS101において読み込んだデューティ信号に基づいてデューティ率(DTr)を算出する。
ステップS104において、発電状態判定手段17iにより現在の発電状態を判定しステップS105に進む。
ステップS201において、電気負荷スイッチ33からの情報に基づいて車両の電気負荷がオンまたはオフされたか否か判断し、電気負荷がオンまたはオフされたと判断したときステップS202へ進み、それ以外のときステップS203へ進む。
ステップS202において、カウンタの初期値をセットした後、ステップS204へ進む。
ステップS203において、前回の発電状態判定手順にて過渡発電状態と判定されたか否かを判断し、前回の発電状態判定手順にて過渡発電状態と判定されたと判断したときステップS204へ進み、そうでないときステップS208に進む。
ΔPELFn(i)=PELFn(i)−PELFn(i−1)・・・(2)
PELF’n(i)=(1−L)×PELFn(i)+L×PELF’n(i−1)・・・(3)
ステップS207において、過渡発電状態であると判定しステップS209に進む。
ステップS208において、定常発電状態であると判定し発電状態判定手順を終了する。
ステップS209において、カウンタCMIN、CMAXをカウントダウンし発電状態判定手順を終了する。なお、カウンタCMIN、CMAXをカウントダウンしたとき0未満になったときにはカウンタCMIN、CMAXを零とする。
まず、負荷変化判定用のパラメータPELとして図10(c)に示すようなデューティ率DTrを読み込み、判定に適した形へ加工する。具体的には、デューティ率DTrをフィルタリングして、図10(c)に示すような値DTFを算出する。
そして、算出した値DTFの時間差分を演算し、図10(d)に示すような時間差分値ΔDTFを算出する。
算出した時間差分値ΔDTFを更にフィルタリングして、図10(d)に示すような値DTF’を算出する。算出した値DTF’の絶対値を求め、図10(d)に示すような絶対値|DTF’|を算出する。
電気負荷スイッチは、図10(a)に示すように、5秒の時点でオフからオンに切り換えられ、35秒の時点でオンからオフに切り換えられる。
そして、カウンタCMAX、CMINは、図10(b)に示すように、電気負荷スイッチがオフからオンに切り換えられた5秒の時点とオンからオフに切り換えられた35秒の時点でセットされる。セットされる値は、電気負荷スイッチがオフからオンに切り換えられるときとオンからオフに切り換えられるときでは異なっているが、同じであっても良い。
絶対値|ΔDTF’|が閾値Sよりも大きいまたはカウンタCMINが0を超え、且つカウンタCMAXが0でない場合には過渡発電状態と判定し図10(e)のように発電状態判定フラグに1をセットし、それ以外の場合は定常発電状態と判定し発電状態判定フラグに0をセットする。
ステップS106において、フィルタゲインKをフィルタゲイン定数K1と設定しステップS109に進む。
ステップS107において、フィルタゲインKをフィルタゲイン定数K2と設定しステップS109に進む。
ステップS108において、フィルタゲインKをフィルタゲイン定数K3と設定しステップS111に進む。
過渡発電状態において電気負荷の変化状態を応答性良く検出するために、トランジスタTrの動作遅れ、電源の不安定に起因して生じるデューティ信号オン継続時間の変動、またはエンジン回転速度の高周波変動に基づいて生じるサンプリング周期Tの変動を除去できる程度の小さな値をフィルタゲイン定数K1として設定する。ここでは具体的にK1=0.5とする。
このようにフィルタゲイン定数を設定することで、過渡発電状態における負荷トルクの補正を遅れなく実施することができるためエンジン回転速度の落込みを抑制することができ、定常発電状態におけるエンジン回転速度の安定性を向上することができる。
ステップS110において、デューティ率フィルタ値DTFと目標エンジン回転速度NETに基づいて図5の特性マップを用いて車両用発電機29の負荷トルクTALTを算出しステップS113に進む。
ステップS111において、デューティ率DTrのフィルタリングを行い、デューティ率フィルタ値DTFを算出しステップS112に進む。
ステップS112において、デューティ率フィルタ値DTFと実エンジン回転速度NEに基づいて図5の特性マップを用いて車両用発電機29の負荷トルクTALTを算出しステップS113に進む。
現在の運転ポイントをデューティ率60[%]、エンジン回転速度650[r/min]だとする。電気負荷が投入されると車両用発電機29は電気負荷分を発電するためにデューティ率を増加させ、車両用発電機29が発電することによりエンジン回転が落ち込むため、実エンジン回転速度を負荷トルクマップ演算に用いた際には、図11の一点鎖線矢印で示すような軌跡となる。
一方、目標エンジン回転速度を負荷トルクマップ演算に用いた際には、エンジン回転速度の落ち込みの影響を受けないため、図11の二点鎖線矢印で示すような軌跡となる。この結果、図11に示すように、電気負荷投入後にエンジン回転速度が落ち込んでいる際の負荷トルクの補正量が大きくなり、エンジン回転速度の落ち込みを抑制できる。
また、アイドル運転状態における車両用発電機29の負荷トルク算出の際に目標エンジン回転速度を用いることで、電気負荷投入時以外においてもエンジン回転速度の変動の影響を除去することができ、エンジン回転速度の安定性が向上する。
ステップS114において、ここまでに算出された車両用発電機29の負荷トルクTALT、ドライバ要求トルクTDRV、車両用発電機29以外の補機負荷トルクTAUX等に基づいてエンジンの目標トルクTENGを算出する。
ステップS115において、目標トルクTENGを実現すべく、スロットルアクチュエータ1や燃料噴射弁7、点火コイル8に駆動信号を出力する。
また、車両用発電機29の過渡発電状態と定常発電状態を正確に把握することができるため、フィルタゲインの切替えを適切なタイミングで行うことができ、エンジン回転速度の制御精度を向上することができる。
また、定常発電状態での負荷トルク算出値の変動を抑制することができるため、エンジン回転速度の安定性を向上することができる。
また、エンジン回転速度の変動が発生し難いアイドル運転以外の運転状態において、過度にフィルタゲインを大きく設定することがないため、発電機負荷トルクの算出制度、応答性を損なうことがない。
また、車両用発電機29の負荷トルク算出の際にエンジン回転速度変動の影響を除外できるため、エンジン回転速度の変動を抑制できる。また、目標エンジン回転速度相当の負荷トルクを算出することで、目標エンジン回転速度への収束性を向上することができる。
Claims (7)
- エンジンにより回転駆動されて発電する発電機と、
上記発電機の界磁巻線に通電する電流をデューティ制御する界磁電流制御手段と、
上記エンジンの運転状態を検出する運転状態検出手段と、
上記界磁巻線に通電する電流を制御するデューティ信号に基づいてデューティ率を算出するデューティ率算出手段と、
上記検出されたデューティ率をフィルタ処理するフィルタ手段と、
上記フィルタ処理されたデューティ率と上記エンジンの回転速度とを用いて予め定められた負荷トルクマップから負荷トルクを算出する発電機負荷トルク算出手段と、
少なくとも上記算出された負荷トルクを用いて上記エンジンが出力すべき目標トルクを算出する目標トルク算出手段と、
上記目標トルクを達成するように上記エンジンの各種アクチュエータを制御するトルク発生手段と、
を備えるエンジン制御装置において、
上記発電機の発電状態が過渡発電状態または定常発電状態のいずれであるかを判定する発電状態判定手段と、
上記発電状態判定手段の判定結果に基づいて、上記フィルタ手段に用いるフィルタゲインとして予め定めた複数のフィルタゲイン定数のいずれかに調整するフィルタゲイン調整手段と、
を備えることを特徴とするエンジン制御装置。 - 上記発電状態判定手段は、電気負荷の投入信号または解除信号に基づいて上記発電機の発電状態が過渡発電状態に突入したことを検出し、過渡発電状態に突入後、上記デューティ率の偏差が所定値以下となると、上記発電機の発電状態が定常発電状態であると判定することを特徴とする請求項1に記載のエンジン制御装置。
- 上記発電状態判定手段は、電気負荷の投入信号または解除信号に基づいて上記発電機の発電状態が過渡発電状態に突入したことを検出し、過渡発電状態に突入後、所定時間に亘って上記発電機の発電状態が過渡状態であると判定し、所定時間経過後は発電状態が定常発電状態であると判定することを特徴とする請求項1に記載のエンジン制御装置。
- 上記フィルタゲイン調整手段は、上記発電機が定常発電状態であると判定されているときには、上記エンジンの回転速度の低周波変動に起因するデューティ率の変動が除去できる程度の大きな値のフィルタゲイン定数にフィルタゲインを設定することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のエンジン制御装置。
- 上記フィルタゲイン調整手段は、上記発電機が過渡発電状態であると判定されているときには、上記デューティ率を制御するトランジスタの動作遅れ等に起因するデューティ率の変動のみを除去できる程度の小さな値のフィルタゲイン定数にフィルタゲインを設定することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載のエンジン制御装置。
- 上記フィルタゲイン調整手段は、上記エンジンがアイドル運転中であると判定されたときのみフィルタゲインを調整することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載のエンジン制御装置。
- 上記エンジンがアイドル運転中であると判定されているときには、上記エンジンの目標エンジン回転速度を設定する目標エンジン回転速度設定手段を備え、
上記発電機負荷トルク算出手段は、上記エンジンがアイドル運転中であると判定されているときには、上記目標エンジン回転速度を用いて上記負荷トルクマップから負荷トルクを算出することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載のエンジン制御装置。
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