以下、添付した図面を参照しながら、本発明を適用した印刷装置について説明する。この印刷装置は、パソコン等のホストコンピュータに接続される、いわゆるインクジェットプリンタであり、ホストコンピュータから転送された印刷データに基づいて、インクジェット方式で印刷対象物に印刷を行うものである。
図1は、本実施形態における印刷装置の外観斜視図、図2は、印刷装置の断面図、図3は、内部装置の外観斜視図である。これらの図に示すように、印刷装置1は、開閉蓋4および開閉蓋4を開放するための開放レバー5が設けられた上装置部2と、上装置部2に対向配置された下装置部3と、を備えている。上装置部2には、印刷ヘッド32を有し、印刷対象物Pに印刷を行う印刷機構11と、印刷対象物Pを切断するための切断機構12の主要部と、が収容されている。また、上装置部2には、上装置部2の後方に位置して、印刷機構11(印刷ヘッド32)にインクを供給するインクカートリッジ13が着脱自在に装着されており、開放レバー5を操作して開閉蓋4を開放することにより、インクカートリッジ13を着脱させることができるようになっている。
下装置部3には、印刷対象物Pを送る送り機構14の主要部が収容されていると共に、送り機構14の左側には、印刷ヘッド32に臨んでこれを保守するメンテナンスユニット15が併設されている。また、下装置部3には、印刷機構11による印刷領域に対応して、インク吸収材付きのインク受け16が配設されており、印刷ヘッド32から吐出され、印刷対象物Pから外れたインクをインク受け16で受けることにより、いわゆる縁無し印刷を行い得るように構成されている。
上装置部2および下装置部3の間には、印刷対象物Pを送るための水平な送り経路が形成されている。送り経路は、右端が外部に開放され、印刷幅(印刷領域)よりも幅広な印刷対象物Pを印刷装置1にセット可能となっている。なお、印刷装置1の先方側が印刷対象物Pの給紙口21、手前側が排紙口22となっており、印刷対象物Pは、送り経路の左端に寄せられ、給紙口21から排紙口22に向かって送り経路上を送られる。なお、図示省略したが、印刷装置1には、装置全体を制御する制御手段17が組み込まれている。
図2および図3に示すように、印刷機構11は、上装置部2に固定された上フレーム26に支持されており、印刷ヘッド32(インクジェットヘッド)と、印刷ヘッド32(のノズル面32a)を下向きに支持するキャリッジ31と、キャリッジ31を介し印刷ヘッド32を、送り経路(印刷領域)を横断するように移動させるヘッド移動機構41と、を備えている。図示省略したが、印刷ヘッド32は、インクカートリッジ13からインクの供給を受けるインク導入部と、多数の吐出ノズルを形成したノズルプレートおよびキャビティ(ピエゾ圧電素子)から成り、供給されたインクを吐出させるためのヘッド本体と、で構成されており、キャビティのポンプ作用により吐出ノズルからインク滴を吐出するようになっている。
キャリッジ31は、ヘッド本体を下方に突出させるように印刷ヘッド32を下向きに位置決め保持している。キャリッジの前部には、ガイドプレート44(後述する)がスライド自在に係合し、後部にはガイドロッド43(後述する)がスライド自在に貫通している。また、キャリッジ31の後部は、タイミングベルト42(後述する)の一部に固定されており、キャリッジ31に搭載された印刷ヘッド32は、このタイミングベルト42の正逆走行によって往復動する。
ヘッド移動機構41は、送り経路に直交する主走査方向(X軸方向)に印刷ヘッド32を往復動させるものであり、上フレーム26に回転自在に支持した左側の駆動プーリおよび右側の従動プーリ(いずれも図示省略)と、これらの間に掛け渡したタイミングベルト42と、上フレーム26に両持ちで支持され、X軸方向に架け渡されたガイドロッド43およびガイドプレート44と、ガイドロッド43およびガイドプレート44を案内にして、キャリッジ31を移動させるためのキャリッジモータ45(ステッピングモータ)と、を有している(図2、図3等参照)。駆動プーリは、減速ギア列(図示省略)を介してキャリッジモータ45に接続されており、キャリッジモータ45が正逆回転することにより、タイミングベルト42を介してキャリッジ31(印刷ヘッド32)が主走査方向を往復動する。
なお、キャリッジ31の移動範囲において、印刷領域を外れた左側端部がキャリッジ31(印刷ヘッド32)のホーム位置となっており、上フレーム26には、キャリッジ31の遮光板51を介して、印刷ヘッド32のホーム位置を検出するホーム位置検出センサ52(フォトインタラプタ)が固定されている。そして、印刷装置1の電源ON時には、ホーム位置検出センサ52により、印刷ヘッド32のホーム位置がリセットされるようになっている。
図2に示すように、切断機構12は、印刷対象物Pとしてロール紙が用いられた場合にこれを切断するためのものであり、印刷ヘッド32と後述する排紙ローラ73との間にあって、送り経路に臨むように配設されている。切断機構12は、上フレーム26に支持された可動刃(回転カッタ)61と、下フレーム27に支持された固定刃62と、を有している。なお、キャリッジモータ45は、可動刃61を切り込み動作させるための動力源を兼用している。そして、上記した減速ギア列には、キャリッジ31を移動させるための動力と可動刃61を切り込み動作させるための動力とを切替えるクラッチ機構(図示省略)が組み込まれており、キャリッジモータ45の動力は、減速ギア列を介して選択的に可動刃61に伝達される。
インクカートリッジ13は、上フレーム26に形成されたカートリッジ装着部(図示省略)に、着脱自在に装着されている。本実施形態の印刷装置1はカラープリンタであり、インクカートリッジ13は、4連のインクタンク(図示省略)を有している。インクタンクには、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、およびブラック(BK)の計4色のインクが充填されている。そして、インクカートリッジ13には、各色に対応して4本のインクチューブ68が接続されており、各インクチューブ68を介して印刷ヘッド32にインクを供給する(図3参照)。
送り機構14は、印刷対象物Pを送るための駆動源となり、正逆回転可能な(単一の)送りモータ71(ステッピングモータ)と、印刷ヘッド32を挟んで、印刷対象物Pの送り方向の前後に配設した給紙ローラ72および排紙ローラ73と、印刷ヘッド32および排紙ローラ73の間(排紙ローラ73の下流側)に設けられた中間ローラ74と、送りモータ71の動力を給紙ローラ72および排紙ローラ73に伝達する動力伝達機構(図示省略)と、を備えている。
図4に示すように、給紙ローラ72は、送り経路の延在方向略中心位置に位置して、X軸と平行に配設されている。給紙ローラ72は、送り経路を挟んで配置された駆動給紙ローラ81および従動給紙ローラ82から成るグリップローラで構成されている。駆動給紙ローラ81は、下装置部3に固定した下フレーム27に、両持ちで回転自在に軸支され、その軸端部には、動力伝達機構の出力部が連結されている。従動給紙ローラ82は、上装置部2の上フレーム26に両持ちで回転自在に軸支され、図外の付勢手段により駆動給紙ローラ81側に付勢されている。
排紙ローラ73は、印刷対象物Pを送り経路から確実に排紙させるために、上記した排紙口22の際に沿ってX軸と平行に配設されている(図1および図2参照)。図4に示すように、排紙ローラ73も給紙ローラ72と略同様にグリップローラで構成されており、下フレーム27に回転自在に軸支された駆動排紙ローラ83と、送り経路を挟んで駆動排紙ローラ83に対峙し、上フレーム26に回転自在に軸支された従動排紙ローラ84と、を有している。この場合、給紙ローラ72は、印刷対象物Pを印刷送りするよう制御される。一方、排紙ローラ73は、給紙ローラ72よりも幾分送り速度が速く、スリップ回転することにより、送られてゆく印刷対象物Pに一定の張力を与える。
中間ローラ74は、薄肉の歯車形状に形成された複数の中間ローラ本体85を有し、上フレーム26に回転自在に軸支されている。中間ローラ74は、給紙ローラ72および排紙ローラ73により、印刷対象物Pが適切に送られるよう、印刷対象物Pを軽く押えながら印刷対象物Pの送りに従って自由回転する。
なお、従動排紙ローラ84は、上フレーム26に両持ちで支持された固定支軸84aと、固定支軸84aに回転自在に軸支された薄肉歯車状のローラ本体84bと、で構成されており、固定支軸84a廻りには、副走査方向に送られる印刷対象物Pの先端(または尾端)を検出する先端検出機構(TOFセンサ)91が配設されている。
図5に示すように、先端検出機構91は、フォトインタラプタで構成された先端検出センサ92と、上記固定支軸84aに回動自在に軸支され、印刷対象物Pの先端が当接することで回動して、先端検出センサ92をON/OFFさせる検出端部材93と、検出端部材93を送り経路に臨む検出位置に回動復帰させる復帰ばね94と、で構成されている。
先端検出センサ92は、上フレーム26に下向きに固定され、検出端部材93による光遮断状態がOFF(非検出)、光透過状態がON(検出)となるように設定されている。検出端部材93は、固定支軸84aに軸支された軸支部95と、軸支部95の一方の端部から先端検出センサ92に向かって径方向に延びる遮光片96と、軸支部95の他方の端部から送り経路に突出するように、径方向に延びる検出端片97と、遮光片96および検出端片97の間に介設され、上記の復帰ばね94の一端を掛止するばね掛け片98と、で一体に形成されている。
検出端片97は、側面視略扇状に形成され、その径方向に延びる一辺を構成する面が、印刷対象物Pに直接当接する当接面97aとなっている。当接面97aは、送られてくる印刷対象物Pに対して傾斜しており、印刷対象物Pの先端が当接すると、当接面97aがカム的に作用して、検出端片97は、上方に押し上げられるようにして回動する。検出端片97が上方に回動すると、軸支部95を介して遮光片96が下向きに回動し、遮光片96は先端検出センサ92のスリット間隙から外れる(図5(b)参照)。すなわち、遮光片96がスリット間隙に臨んでいるOFF状態からON状態となり、印刷対象物Pの先端が検出される。詳細は後述するが、本実施形態の先端検出機構91は、その検出端片97が印刷対象物Pの先端に傾斜した状態で当接する構成となっているため、印刷対象物Pの厚みにより、検出位置にばらつきが生じる。
また、印刷装置1には、印刷対象物Pの尾端(または先端)を検出する尾端検出機構(BOFセンサ)101が配設されている。尾端検出機構101は、給紙ローラ72の上流側近傍にあって、送り経路に臨むように配設されており、フォトインタラプタで構成された尾端検出センサ102と、シーソー様に回動して尾端検出センサ102をON/OFFさせる検出端部材103と、検出端部材103を送り経路に臨む検出位置に回動復帰させる復帰ばね104と、で構成されている(図2、図4、および図6参照)。
尾端検出センサ102は、送り経路の下側に位置して、下フレーム27に固定されており、遮光状態がON状態、光透過状態がOFF状態となるように設定されている。検出端部材103は、下フレーム27に軸支された回動軸105と、回動軸105の一方の端部から尾端検出センサ102に向かって径方向に延在する遮光片106と、回動軸105の他端から送り経路に突出するように径方向に延び、印刷対象物Pに当接する検出端片107と、回動軸105および遮光片106の間に配設され、復帰ばね104が掛け止めされる掛止片108と、で一体に形成されている。
印刷対象物Pが当接する検出端片107の当接面107aは、印刷対象物Pの先端に対してカム斜面となっている。印刷対象物Pが送られ、当接面107aに印刷対象物Pが当接すると、検出端部材103は、検出端片107を下方に押し下げるように回動し、遮光片106が上向きに回動する。これにより、尾端検出センサ102のスリット間隙から遮光片が外れ、OFF状態となる。そして、印刷対象物Pが当接面107aを通過すると、復帰ばね104が検出端部材103に作用して、検出端部材103は、検出端片107を送り経路に臨ませるように回動する。検出端部材103が回動すると、遮光片106が尾端検出センサ102のスリット間隙に再度臨み、印刷対象物Pの尾端が検出される。
図3に示すように、メンテナンスユニット15は、印刷ヘッドの保管および吸引を行う吸引ユニット111と、印刷ヘッドの捨て吐出(フラッシング)を受けるフラッシングユニット112と、で構成されている。吸引ユニット111は、印刷ヘッド32のノズル面32aに密着してこれを封止するキャップと、キャップをノズル面に密着させるためにキャップを昇降させるキャップ昇降機構と、ノズル面32aに密着されたキャップを介して、吐出ノズルからインクを吸引する吸引ポンプ121と、を備えており、キャリッジ31に臨んで、印刷ヘッド32の保守を行うようになっている。具体的に説明すると、印刷装置の非稼動時には、ノズル面32aをキャップで封止する(キャッピング)ことにより、印刷ヘッド32の吐出ノズルの乾燥を防止する(保管)。また、印刷ヘッド32の吸引は、印刷装置の稼動開始時やマニュアル操作により行われ、印刷ヘッド32にキャップを密着させて、吸引ポンプ121を駆動することにより、吐出ノズル内で経時的に増粘したインクを強制的に排出して、ノズル詰まりを防止する。
フラッシングユニット112は、吸引ユニットに隣接して設けられ、上部を開放したフラッシングボックスと、フラッシングボックスに敷設したインク吸収材と、で構成されて(いずれも図示省略)いる。印刷動作を休止するときには、キャリッジをフラッシングユニット112に臨ませて、印刷ヘッド32からフラッシングボックスに捨て吐出(フラッシング)を行わせることにより、吐出ノズル内におけるインクの増粘を防止する。なお、吸引ユニット111にフラッシングユニット112の機能を兼用させる構造としても良い。この場合には、印刷ヘッド32に対してキャップを僅かに離間させた状態で、印刷ヘッド32からキャップに対して捨て吐出を行わせる。
インク受け16は、印刷領域を移動する印刷ヘッド32に下方から臨むよう、印刷領域に対応して送り経路上に形成されている。図2および図3に示すように、インク受け16は、X軸方向に延在して、下フレーム27に形成されたインク受け部131と、インク受け部131に敷設されたインク吸収材132と、インク受け部131から立設する複数のガイドリブ133と、を有している。複数のガイドリブ133は、印刷ヘッド32の直下においてインク受け部131上を送られる印刷対象物Pを案内すると共に、適切な印刷が行われるように印刷対象物Pのペーパーギャップを維持するためのものであり、X軸方向に整列配置されている。各ガイドリブ133は、Y軸方向においてインク受け部131を架け渡すように断面視略「W」上に構成されており、印刷対象物Pとの摩擦を軽減すると共に、インク受け部131を通過する印刷対象物Pがインク吸収材132に接触することを防止している。なお、上記のフラッシングボックスに変えて、このインク受け部の端部(または両端部)をフラッシング領域として利用することも可能である。
図示省略したが、ホストコンピュータ201は、装置本体に、キーボードやマウス等の入力装置、FDドライブやCD−ROMドライブ等の各種ドライブ、モニタディスプレイ等の周辺機器を接続したものであり、ケーブルを介して印刷装置1に接続されている。また、ホストコンピュータ201には、プリンタドライバ202がインストールされている。ホストコンピュータ201では、プリンタドライバ202によって提供される設定プログラム203に従って、ユーザは各種印刷条件を入力できるようになっており、入力された条件に基づいて、印刷装置1を制御する印刷制御データを生成する。なお、本実施形態では、ケーブルを介した有線通信によりホストコンピュータ201および印刷装置1を接続しているが、無線通信を利用することも可能である。
次に、図7を参照して、印刷装置1およびホストコンピュータ201の主制御系について説明する。同図に示すように、印刷装置1の制御系は、ホストコンピュータ201からのデータ(印刷データ、印刷制御データ)や各種指令等を入出力するためのデータ入出力部141と、印刷データに基づいて印刷を行う印刷部142と、印刷対象物Pの副走査方向への送りを行う送り部143と、印刷ヘッド32のメンテナンスを行うメンテナンス部145と、各種検出を行う検出部146と、各部を駆動する駆動部147と、各部に電源を供給する電源部148と、これら各部に接続され、印刷装置1全体の制御を行う制御部149(制御手段17)と、を備えている。
データ入出力部141は、プリンタインタフェース150を有し、ホストコンピュータ201との通信を行う。なお、プリンタインタフェース150には、ホストコンピュータ201からの各種データ(印刷データ等)を受信するための受信バッファ(図示省略)が設けられている。印刷部142は、印刷ヘッド32およびキャリッジモータ45を有しており、印刷ヘッド32およびキャリッジモータ45を同期させて駆動することにより、印刷対象物Pに印刷を行う。送り部143は、送りモータ71を有し、送りモータ71を駆動して給紙ローラ72および排紙ローラ73を同期させて回転させることにより、印刷対象物Pを副走査方向に送る。メンテナンス部145は、吸引ポンプ121を有している。検出部146は、ホーム位置検出センサ52、先端検出センサ92、尾端検出センサ102等の各種検出手段を有している。駆動部147は、印刷ヘッド32を駆動するためのヘッドドライバ151、各種モータ(キャリッジモータ45、送りモータ71など)を駆動するためのモータドライバ152、吸引ポンプ121を駆動するためのポンプドライバ153等の各種ドライバを有している。
制御部149は、CPU161、ROM162、キャラクタジェネレータROM(CG−ROM)163、RAM164、入出力制御回路165(IOC)を備えており、これらは互いに内部バス166により接続されている。ROM162は、CPU161で処理する制御プログラムを記憶する制御プログラム領域の他、ホストコンピュータ201から送信される(印刷制御データ等の)制御コマンドに対応する制御データを記憶する制御データ領域を有している。CG−ROM163は、文字等のフォントデータを記憶しており、文字等を特定するコードデータが与えられたときに対応するフォントデータを出力する。
RAM164は、ホストコンピュータ201から送信された印刷データを記憶する印刷データ領域の他、印刷データに基づいて作成した印刷画像データを記憶する印刷画像データ領域、各種バッファ領域、各種フラグ・レジスタ群などを有し、制御処理のための作業領域として使用される。
入出力制御回路(IOC)165は、CPU161の機能を補うと共に、周辺回路とのインタフェース信号を取り扱うための論理回路が、ゲートアレイやカスタムLSIなどにより構成されて組み込まれている。このため、IOC165は、ホストコンピュータ201や印刷装置1各部からの印刷データや各種検出信号などをそのまま、あるいは加工して内部バス166に取り込むと共に、CPU161と連動して、CPU161から内部バス166に出力されたデータや制御信号をホストコンピュータ201や印刷装置1の駆動部147に出力する。CPU161は、ROM162内の制御プログラムに従って、IOC165を介して入力される各種検出信号、各種指令、各種データ等を処理した後、IOC165を介して駆動部147に制御信号・データを出力することにより、印刷装置1の印刷制御を行う。なお、請求項にいうスケール印刷手段は、印刷部142、送り部143、および制御部161により構成されている。
一方、図7に示すように、ホストコンピュータ201は、インタフェース211と、CPU、制御処理のための作業領域として使用されるRAM、および制御プログラムや制御データを記憶するROMを有し、ホストコンピュータ201全体を制御する中央制御部212と、ウィンドウズ(登録商標)等のOS204やプリンタドライバ202を格納するハードディスク213と、を備えている。
ここで、印刷を行うときの制御処理について説明する。ホストコンピュータ201から縁無し印刷の印刷命令が為されると、制御部149により、送りモータ71が正転駆動され、印刷対象物Pが副走査方向に送られてゆく。そして、印刷対象物Pの先端は、上記した尾端検出機構101(尾端検出センサ102)および先端検出機構91(先端検出センサ92)により順次検出される。先端検出機構91により、印刷対象物Pの先端が検出されると、制御部149は、送りモータ71の正転駆動を停止させる。続いて、所定のステップ数分、送りモータ71を逆転駆動させ、印刷対象物Pを印刷領域(印刷ヘッド32)の手前まで逆送りする。なお、送りモータ71の逆転ステップ数は、プリンタドライバ202により、予め設定されている。
送りモータ71の逆転駆動が終了すると、制御部149は、再度送りモータ71を正転駆動する。そして、送りモータ71の駆動と同期させて、キャリッジモータ45および印刷ヘッド32を駆動し、印刷対象物Pに印刷を行ってゆく。具体的には、送りモータ71の正転駆動を開始してから、所定ステップ後に、キャリッジモータ45の駆動を開始させると共に、印刷ヘッド32の吐出駆動を行う(なお、当然のことながら、キャリッジモータの駆動および印刷ヘッド32の吐出駆動は同期して行われている)。そして、印刷対象物Pの印刷送りと印刷ヘッド32による印刷とを交互に繰り返すことにより、印刷対象物Pに印刷を行ってゆく。
すなわち、この印刷装置1では、先端検出機構91による印刷対象物Pの先端検出に基づいて、送られてゆく印刷対象物Pの位置を認識しており、制御部149が印刷対象物Pの先端検出信号を受信してから、所定のステップ数分(所定量)印刷対象物Pを逆送りすることにより、印刷機構11に対して予め位置決めされた所定位置に、印刷対象物Pを位置合わせできるようになっている。そして、所定位置に位置合わせした状態で、送りモータ71、キャリッジモータ45、および印刷ヘッド32の駆動を同期させることにより、縁無し印刷も含め、印刷対象物Pに所望の印刷を行えるようになっている。
なお、尾端検出センサ102が印刷対象物Pの先端を検出してから、印刷対象物Pの先端が先端検出センサ92に検出されるまでの送りモータ71のステップ数は予め定められている。そして、尾端検出センサ102による検出後、所定のステップ数までに印刷対象物Pの先端が先端検出センサ92により検出されない場合には、制御部149は、印刷対象物Pの送り異常(すなわち、印刷対象物Pの送りにジャムが生じた)と判断して、エラー信号をホストコンピュータ201に送信し、モニタディスプレイにエラー表示させるようになっている。また、印刷送りの異常は、同様の方法により、印刷対象物Pの尾端を検出することによっても行われている。
ところで、印刷対象物Pには、ロール紙等の紙をはじめ、CD−ROMやコルクボードなど多種多様なものがあり、本実施形態の印刷装置1は、厚さ0.03mmから2.5mmの印刷対象物Pまで対応できるようになっている。この印刷装置1は、断面形状扇形に形成された検出端片97の当接面97aに印刷対象物Pの先端を突き当てることにより、印刷対象物Pの先端を検出する構成となっているため、印刷対象物Pの厚さが異なると、検出端片97による印刷対象物Pの先端の突き当たり位置(検出位置)が僅かにずれることとなる(図5(c)参照)。
また、上述したように、印刷対象物Pは、先端検出機構91による印刷対象物Pの先端検出に基づいて、送られてゆく印刷対象物Pの位置を認識しており、例えば、印刷対象物Pの逆送り終了直後には、印刷対象物Pが所定位置にあると認識している。しかしながら、印刷対象物Pの厚さが異なると、印刷対象物Pの先端の検出位置がずれてしまうため、印刷対象物Pの先端検出により印刷対象物Pを所定位置に送ることができない。したがって、先端検出により印刷対象物Pを逆送りしても、印刷対象物Pを所定位置に合致させることができず、印刷対象物Pの逆送り後には、制御部149に認識される印刷対象物Pの位置と、実際の印刷対象物Pとの間で位置ずれ誤差を生じる。すなわち、印刷対象物Pの厚さに起因して、印刷対象物Pの先端検出によって認識される印刷対象物Pの検出先端位置と、実際の印刷対象物Pの実先端位置との間に副走査方向における位置ずれ誤差が生じるため、印刷対象物Pに適切な印刷を行うことができない。特に縁無し印刷では、印刷対象物Pの先端から印刷が大きくはみ出したり、印刷対象物Pの先端に塗り残しが生じてしまうため、問題となる。
そこで、本実施形態のプリンタドライバ202には、印刷対象物Pの厚みによって生じる副走査方向の位置ずれ誤差を補正するためのプリンタユーティリティ(設定プログラム203)が組み込まれている。このプリンタユーティリティは、印刷対象物Pに位置ずれ誤差を視認可能なテスト印刷を行わせると共に、テスト印刷のユーザによる視認に基づいて、位置ずれ誤差を補正するものであり、プリンタユーティリティによって起動される設定画面に従って、印刷装置1の印刷条件をユーザが補正を数値で指示することにより、位置ずれ誤差を補償できるようになっている。
プリンタユーティリティに基づいて行われる一連のフローについて説明する。図8に示すように、プリンタドライバ202が起動され(S1)、位置ずれ誤差を補正するためのプリンタユーティリティが選択されると(S2)、テスト印刷を行うか否かを選択するテスト印刷実行選択画面221が表示される(S3)。続いて、ユーザによる選択に基づいて、テスト印刷を実行するか否かの選択が為される(S4)。テスト印刷の実行が選択されない場合には(S4:No)、ここで処理を終了する。テスト印刷の実行が選択されると(S4:Yes)、印刷時に参照するテスト印刷データを作成する(S5)。
ここで、テスト印刷により印刷される印刷画像について説明する。テスト印刷では、印刷対象物Pの先端に図9に示すようなスケール231が印刷される。スケール231は、複数(13本)の円弧状の検出線232と、各検出線232に付された位置ずれ誤差量233と、で構成されている(本実施形態では、検出線232の半径を90mmとした)。複数の検出線232は、0.5mm刻みで同心状に配置されている。そして、送り方向の中間に位置する検出線232が位置ずれ誤差量ゼロの基準線232aとなっており、基準線232aからの距離に基づいて各検出線には位置ずれ誤差量が付されている。具体的には、基準線232aよりも外側の検出線には、位置ずれ誤差量として(−1から−6までの)負の整数が付され、基準線232aよりも内側の検出線には、位置ずれ誤差量として(+1から+6までの)正の整数が付されている。
また、同図に示すように、複数の検出線232は、奇数番目のものと偶数番目のものとで二分されていると共に、二分された検出線の印刷対象物Pの幅方向中間位置で一部が重なり合うように印刷される。このように、検出線232を二分することにより、検出線232同士および位置ずれ誤差量が密に印刷されることを防止し、視認性を向上させている。また、印刷した検出線と印刷対象物Pの先端との接点が重なり部分から外れた場合には、印刷対象物Pが大きく斜行していることが確認される。
テスト印刷で印刷させるスケール231は、上記したものに限るものではない。例えば、位置ずれ誤差が生じているか否かを速やかに確認可能とするために、基準線232aとなる検出線232を他の検出線232よりも若干太く印刷させたり、基準線232aとなる検出線232を他の検出線と異なる色で印刷させても良い。また、奇数番目と偶数番目の検出線の色を違えるといったように、各検出線を隣接する検出線と異なる色で印刷させることも可能であり、これにより検出線同士の判別を容易に行うことができる。なお、検出線232をカラー印刷する場合には、検出線232とこれに付する位置ずれ誤差量233を同色に印刷することが好ましい。
テスト印刷データは、送りモータ71の駆動(ステップ)に対するキャリッジモータ45の駆動タイミングと、キャリッジモータ45の駆動に対する印刷ヘッド32の吐出駆動タイミングと、に関するデータを有しており、テスト印刷データの作成では(S5)、印刷対象物Pの先端が各検出線の接線方向となり、かつスケール231の基準線232aが、印刷対象物Pの先端検出に基づく印刷対象物Pの検出先端位置に合致するように、テスト印刷データが作成される。具体的には、検出先端位置は、印刷対象物Pを逆送りしたときの位置に基づいて認識されるため、テスト印刷データの作成では(S5)、先ず、プリンタドライバ202によって予め設定された送りモータ71の逆転ステップ数を取得し、取得した逆転ステップ数に基づいて、スケール231の基準線232aが印刷対象物Pの検出先端位置に接するように、テスト印刷データを作成する。
なお、プリンタユーティリティには、スケールを印刷するためのテスト印刷データが予め組み込まれており、テスト印刷データの作成では(S5)、取得した逆転ステップ数に基づいて、予め組み込まれたテスト印刷データを変更することにより、テスト印刷データを作成している。
テスト印刷データが作成されると、テスト印刷データに従い、印刷対象物Pにテスト印刷が行われる(S6)。上述したように、テスト印刷で印刷されるスケール231の基準線232aは、印刷対象物Pの検出先端位置に対応しているので、印刷対象物Pの検出先端位置および実先端位置間に位置ずれ誤差が生じていなければ、印刷対象物Pの先端に接するように基準線232aは印刷される。すなわち、印刷対象物Pに印刷されたスケールは、検出先端位置および実先端位置間の位置ずれ誤差を示す指標であり、印刷対象物Pの先端に接する検出線に付された位置ずれ誤差量により、検出先端位置および実先端位置間の相対的な位置ずれ誤差量を認識できるようになっている。なお、印刷対象物Pの検出先端位置に基準線232aが接するようにテスト印刷データが作成されているため、位置ずれ誤差が余程大きくない限り、テスト印刷では、印刷対象物Pからスケール231がはみ出した状態となる。
テスト印刷が正常に終了すると(S7:Yes)、位置ずれ誤差量を入力可能な補正画面241が表示される(S8)。続いて、補正画面241から位置ずれ誤差量233の入力があるか否かが確認され(S9)、入力がない場合には(S9:No)、テスト印刷を再実行するか否かの確認が為される(S21)。そして、テスト印刷を再実行する場合には(S21:Yes)、上記したS5からの処理を再び行い、テスト印刷を再実行しない場合には(S21:No)、一連の処理を終了させる。
一方、位置ずれ誤差量の入力がある場合には(S9:Yes)、入力された位置ずれ誤差量233が正常であるか否かを確認する(S10)。本実施形態では、入力可能な位置ずれ誤差量の範囲が予め設定されており、入力された位置ずれ誤差量が、設定された範囲外であるときには(S10:No)、入力された位置ずれ誤差が不適切である旨のメッセージを表示したメッセージ画面を表示(S31)した後、再度補正画面241の表示を行い、位置ずれ誤差量の再入力を促す。なお、入力された位置ずれ誤差量が設定された範囲の上限値を超えている場合、補正画面241の入力ボックス242(後述する)には、この上限値が表示される。また、設定された範囲の下限値を下回っている場合、入力ボックス242には、この下限値が表示されるようになっている。
入力された位置ずれ誤差量が正常である場合(S10:Yes)、入力された位置ずれ誤差量に基づいて、プリンタドライバ202により予め設定されていた送りモータ71の逆転ステップ数を補正する(S11)。これにより、印刷対象物Pの先端検出後に行われる印刷対象物Pの逆送り量が補正され、所定位置に印刷対象物Pを合致させることができる。なお、補正後の逆転ステップ数は、予め設定されていた逆転ステップ数に補正ステップ数を加算したものであり、補正ステップ数は、検出先端位置と実先端位置との位置ずれ距離と送りモータ71の1逆転ステップにより逆送りされる印刷対象物Pの逆送り量との商である。入力された位置ずれ誤差量は、位置ずれ距離の算出に用いられる。
そして、補正が正常に終了したか否かを確認した後(S12)、一連の処理を終了させる。なお、印刷送りに異常が生じた場合や、停電等により印刷装置が異常停止した場合のように、テスト印刷が正常に終了しなかった場合(S7:No)、およびホストコンピュータ201が異常停止した場合のように、補正が正常に終了しなかった場合(S12:No)には、エラー画面を表示させた後(S41)、一連の処理を終了させる。
なお、本実施形態では、印刷対象物Pの先端検出後に行う逆転ステップ数を補正し、印刷対象物Pを所定位置に位置合わせすることにより、副走査方向の位置ずれ誤差を補正しているが、逆転ステップ数を変えずに、位置ずれ誤差量に基づいて、送りモータ71のステップ数に対するキャリッジモータ45の駆動タイミングを補正することも可能である。
次に、このプリンタユーティリティによる位置ずれ誤差の補正方法について説明する。このプリンタユーティリティを選択すると、図10(a)に示すようなテスト印刷実行選択画面221が表示される。選択位置ずれ誤差の補正を行う場合には、テスト印刷実行選択画面221の指示に従って、「次へ」を選択する。すると、上記したS5から8までの処理が行われ、テスト印刷が開始されると共に、テスト印刷の終了後には、補正画面241が表示される。一方、ここで、「中止」を選択すると、S4:Noからの処理が行われる。なお、テスト印刷実行選択画面221における「現状の値」とは、プリンタドライバ202により予め設定されていた送りモータ71の逆転ステップ数と同義である。
図10(b)に示すように、補正画面241は、位置ずれ誤差量を入力するための入力ボックス242(スクロールボックス)を有している。補正画面241では、テスト印刷の結果確認と共に、結果確認に基づく位置ずれ誤差量の入力が指示されている。そして、印刷されたスケール231を視認して、入力ボックス242に位置ずれ誤差量を入力後、「保存&終了」を選択することにより、上記したS9から12までの処理が行われ、位置ずれ誤差の補正が為されるようになっている。ここで、「保存&終了」ではなく、「再試行」が選択された場合には、S21;Yesからの処理が行われ、テスト印刷が再度行われると共に、「中止」が選択された場合には、S21:Noからの処理が行われる。
上述したように、各検出線232は、円弧状であるため、印刷対象物Pの先端位置に接して印刷される検出線は1本のみであり、印刷されたスケール231を視認することにより、位置ずれ誤差が生じているか否かを容易に判断できると共に、適切な位置ずれ誤差量を得ることができる。
なお、印刷対象物Pの送りは、送りモータ71を駆動源とした給紙ローラ72および排紙ローラ73の回転により行われており、給紙ローラ72および排紙ローラ73の機械的精度に起因して、送り機構14自体に不具合がない場合でも、印刷対象物Pの送りが僅かに蛇行する可能性がある。このような場合、本実施形態のスケール231は円弧状の検出線で構成されているため、印刷対象物Pの先端位置に複数の検出線232が接することがなく、位置ずれ誤差を示す検出線232を的確に目視可能である。
また、送り機構14が正常に動作している場合、印刷対象物Pの先端位置に対するスケール231の検出線232の接触位置は、送り機構14の機械的精度を考慮した上で一定の範囲内に収まるようになっている。したがって、印刷対象物Pの先端に対する検出線232の接点位置に基づいて、送り機構14の動作評価を行うことが可能である。具体的には、送り機構14が正常に動作する場合の検出線232の接触範囲を予め定めておき、定めた接触範囲内で印刷対象物Pの先端に検出線232が接している場合には、送り機構14の動作が正常であると判断し、定めた接触範囲外の位置で、印刷対象物Pの先端と検出線232が接している場合には、送り機構14が動作不良であると判断する。
本実施形態では、検出線232は、二分されていると共に一部が重なるように配置されているが、この重なり部分を、送り機構14が正常に動作する場合の接触範囲とすれば、接触範囲を容易に視認することができ、視認による送り機構14の動作評価を適切に行うことができる。また、検出線232の接触範囲となる部分を、接触範囲外となる部分と異なる色で印刷するようにしても良い。なお、送り機構14に不良があると判断した場合には、このスケールを位置ずれ誤差の補正には用いない。
次に、本実施形態の変形例について説明する。ここで用いるプリンタユーティリティでは、補正された送りモータ71の逆転ステップ数を、テスト印刷に用いる印刷対象物Pの種類に関連付けした補正データとして記憶させることができるようになっている。そして、印刷装置1に印刷を実行させる際に、プリンタドライバ202から印刷に用いる印刷対象物P(の種類)が設定されると、補正データを参照して逆転ステップ数を補正し、印刷に用いる印刷対象物Pに合った印刷対象物Pの逆送りを行うようになっている。
具体的には、副走査方向の位置ずれ誤差を補正するためのプリンタユーティリティを選択すると、上記したテスト印刷実行選択画面221に先立って、テスト印刷に用いる印刷対象物Pの種類を選択設定する用紙選択画面が表示される。用紙選択画面には、印刷装置1にサポートされる印刷対象物Pを(複数)列挙する用紙選択ボックスが設けられており、ユーザがここからテスト印刷に用いる印刷対象物Pを選択することにより、印刷対象物P(の種類)が設定される。
印刷対象物Pの種類が設定されると、テスト印刷実行選択画面221が表示され、上記したS4からの動作が順次行われる。そして、位置ずれ誤差の補正が正常に終了すると(S12:Yes)、補正した逆転ステップ数が設定された印刷対象物Pに対応して記憶され、一連のフローが終了する。
このように、このプリンタユーティリティによれば、位置ずれ誤差の補正に際し、テスト印刷に用いた印刷対象物Pの種類に対応させて補正した逆転ステップ数を記憶させているので、補正を行った(種類の)印刷対象物Pについて、繰り返しテスト印刷を行う必要がなくなる。すなわち、各印刷対象物Pについて、一度、位置ずれ誤差の補正を行っておけば、繰り返しテスト印刷を行う必要がなくなり、ユーザの利便性を向上させることができる。
ところで、本実施形態の印刷装置1において、キャリッジ31(印刷ヘッド32)の移動位置は、ホーム位置検出センサ52によりホーム位置が検出されてからのキャリッジモータ45の駆動ステップ数によって認識されるようになっている。また、主走査方向における印刷対象物Pの位置は、ホーム位置検出センサ52によるキャリッジ31の検出位置が所定位置となることを前提として、キャリッジモータ45の駆動ステップ数に関連付けられて認識されている。
したがって、ヘッド移動機構41の機械的精度や、ホーム位置検出センサ52の取付精度等に起因して、主走査方向におけるキャリッジ31の検出位置がばらつくと、制御部149が特定した、ホーム位置検出から特定される印刷対象物Pの主走査方向における位置と、実際の印刷対象物Pの主走査方向における位置との間に位置ずれ誤差が生じ、印刷品質の低下を招く。
上述した副走査方向の位置ずれ誤差の補正に用いたスケール231は、このような主走査方向における位置ずれ誤差の補正にも用いることができ、プリンタユーティリティには、副走査方向の位置ずれ誤差を補正するための機能の他、主走査方向における位置ずれ誤差を補正するための機能も備えられている。
主走査方向の位置ずれ誤差の補正も、副走査方向の位置ずれ誤差の補正と略同様のフローに従い行われるが、この場合には、ホーム位置検出により特定された印刷対象物Pの特定幅方向端位置(印刷対象物Pの幅方向における端のいずれか一方)に、スケール231の基準線232aとなる検出線232が接するように、テスト印刷データが作成される。したがって、ホーム位置検出により特定される印刷対象物Pの位置と実際の印刷対象物Pとの間に位置ずれ誤差が生じていない場合には、基準線232aとなる検出線232が印刷対象物Pの幅端の一方に接して印刷される(図11参照)。