JP4487496B2 - 印刷装置、印刷システム、及び、インク滴の吐出方法 - Google Patents

印刷装置、印刷システム、及び、インク滴の吐出方法 Download PDF

Info

Publication number
JP4487496B2
JP4487496B2 JP2003142533A JP2003142533A JP4487496B2 JP 4487496 B2 JP4487496 B2 JP 4487496B2 JP 2003142533 A JP2003142533 A JP 2003142533A JP 2003142533 A JP2003142533 A JP 2003142533A JP 4487496 B2 JP4487496 B2 JP 4487496B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
ejection
discharge
unit row
transport direction
ejection unit
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2003142533A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2004345138A (ja
Inventor
豊彦 蜜澤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Seiko Epson Corp
Original Assignee
Seiko Epson Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Seiko Epson Corp filed Critical Seiko Epson Corp
Priority to JP2003142533A priority Critical patent/JP4487496B2/ja
Publication of JP2004345138A publication Critical patent/JP2004345138A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4487496B2 publication Critical patent/JP4487496B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Ink Jet (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、媒体の搬送方向に沿って配置された複数の吐出部列を有する吐出ヘッドが所定方向に移動しつつインク滴を吐出する印刷装置、印刷システム、及び、インク滴の吐出方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、複数のノズル列を印刷用紙の搬送方向に沿って配置した大型ヘッドを用いて印刷する印刷装置が考えられている。このような印刷装置では、大型ヘッドが複数のノズル列を組み付けて構成されている。このため、各ノズル列においてはインク吐出特性や部品精度のばらつきが小さい場合であっても、各ノズル列間のインク吐出特性が相違したり、各ノズル列の組付位置に僅かな誤差を有する場合がある。このような大型ヘッドを用いて印刷した場合には、特に、異なるノズル列によりそれぞれ印刷された領域の境界部分の画質が悪化する畏れがある。このため、搬送方向に沿って配置される異なるノズル列を、各ノズル列の一部のノズルが互いにヘッドの移動方向に並ぶように配置させ、移動方向に並べられた異なるノズル列のノズルから択一的にインクを吐出させて印刷することにより、画質の低下を抑えるためのいくつかのインクの吐出方法が考えられている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開2001−1510号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、大型のヘッドが3つ以上のノズル列を有する場合には、異なるノズル列にて印刷される領域の境界部分が複数存在することになる。そして、これらノズル列の特性の違いや、隣接するノズル列間の取付位置の誤差は、組み合わされるノズル列によって相違する。このため、隣接するノズル列により印刷される各領域の境界部分は、必ずしも同一のインクの吐出方法にて印刷することにより画質の低下が抑えられるとは限らない。すなわち、例えば第1のノズル列と第2のノズル列とにより印刷される領域の境界部分は、第1のインク吐出方法にて画質の低下が抑えられるが、第2のノズル列と第3のノズル列により印刷される領域の境界部分は、第1のインク吐出方法では画質の低下が抑えられない場合がある。このため、印刷される画像全体として画質の低下を抑えることができないという課題があった。
【0005】
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、複数の吐出部列にて印刷される複数の領域間における複数の境界部分の画質の低下を抑えることが可能な印刷装置、印刷システム、及び、インク滴の吐出方法を実現することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
主たる本発明は、インク滴を吐出することにより、搬送方向に搬送された媒体にドットを形成可能な複数の吐出部が、前記搬送方向に沿って配置された少なくとも3つの吐出部列を有し、前記搬送方向と交差する移動方向に移動する吐出ヘッドを備え、前記少なくとも3つの吐出部列は、前記搬送方向に沿うとともに、互いに隣接する2つの吐出部列のうち、一方の吐出部列の前記搬送方向の下流側に位置する吐出部と、他方の吐出部列の上流側に位置する吐出部とが、前記移動方向に並ぶ複数の吐出部並設部分を有するように配置されており、前記吐出ヘッドが前記移動方向に移動する際に、前記吐出部並設部分は、前記移動方向に並ぶ吐出部のうち実際にインク滴を吐出する吐出部を適宜変更する複数の吐出方法にて、インク滴を吐出可能である印刷装置において、前記吐出部並設部分毎に、前記複数の吐出方法のうち一の吐出方法を設定可能であることを特徴とする印刷装置である。
本発明の他の特徴については、本明細書及び添付図面の記載により明らかにする。
【0007】
【発明の実施の形態】
本明細書及び添付図面の記載により少なくとも次のことが明らかにされる。 インク滴を吐出することにより、搬送方向に搬送された媒体にドットを形成可能な複数の吐出部が、前記搬送方向に沿って配置された少なくとも3つの吐出部列を有し、前記搬送方向と交差する移動方向に移動する吐出ヘッドを備え、前記少なくとも3つの吐出部列は、前記搬送方向に沿うとともに、互いに隣接する2つの吐出部列のうち、一方の吐出部列の前記搬送方向の下流側に位置する吐出部と、他方の吐出部列の上流側に位置する吐出部とが、前記移動方向に並ぶ複数の吐出部並設部分を有するように配置されており、前記吐出ヘッドが前記移動方向に移動する際に、前記吐出部並設部分は、前記移動方向に並ぶ吐出部のうち実際にインク滴を吐出する吐出部を適宜変更する複数の吐出方法にて、インク滴を吐出可能である印刷装置において、前記吐出部並設部分毎に、前記複数の吐出方法のうち一の吐出方法を設定可能であることを特徴とする印刷装置である。
【0008】
このような印刷装置によれば、互いに隣接する吐出部列毎にそれぞれ印刷される印刷領域の境界部分に、複数の吐出方法にて隣接する吐出部列の吐出部からそれぞれインク滴を吐出させてドットを形成する印刷領域が形成される。すなわち前記境界部部には、隣接する吐出部列の一方の吐出部列の吐出部と、他方の吐出部列の吐出部とから吐出されたインク滴により形成されたドットを、複数の吐出方法のうちいずれかの吐出方法により混在させることが可能である。このため各印刷領域の境界部分に、各吐出部列のインク滴の吐出特性やインク滴の吐出精度誤差等による白スジ、黒スジや、ドットによるざらつきが発生しにくく画質の低下を抑えることが可能である。特に、隣接する吐出部列間にそれぞれ存在する複数の吐出部並設部分毎に、複数の吐出方法のうち一の吐出方法を設定可能なので、各吐出部並設部分毎に適切な吐出方法を設定することが可能であり、各吐出部並設部分に同一の吐出方法を設定する場合より、画質を向上させることが可能である。
【0009】
かかる印刷装置において、前記一の吐出方法は、前記複数の吐出方法にて所定のパターンを印刷した結果に基づいて設定可能であることが望ましい。
このような印刷装置によれば、各吐出部並設部分により各吐出方法にて実際に印刷したパターンに基づいて、各吐出部並設部分の吐出方法を設定可能なので、複数の吐出方法にて印刷したパターンに基づいて最も適した吐出方法を各吐出部並設部分の吐出方法として設定することが可能である。このため、より良好な画像を印刷することが可能である。
【0010】
かかる印刷装置において、前記所定のパターンは、中間調の領域を含む画像であることが望ましい。
画像の中間調の領域は、単位面積あたりに形成されるドットの量、所謂ドット密度が低いため、形成されたドットの位置がずれるとドットの形状が目立ちやすく画質が低下する畏れがある。特に、隣接する吐出部列が異なる吐出特性を有している場合には、各々の吐出部列により形成されたドットの相対位置がずれるため画質が低下しやすいが、このような印刷装置によれば、中間調の領域を含む画像を印刷した結果に基づいて各吐出部並設部分の吐出方法を設定することが可能なので、画像にドット形状が目立つような画質の低下を抑えることが可能である。
【0011】
かかる印刷装置において、前記所定のパターンは、ドット密度が高い領域を含む画像であることが望ましい。
画像のドット密度が高い領域は、隣接する吐出部列のインク滴の吐出位置が理想的な吐出位置より近い場合又は遠い場合に、黒スジや白スジとして発生しやすいが、このような印刷装置によれば、ドット密度が高い領域を含む画像を印刷した結果に基づいて各吐出部並設部分の吐出方法を設定することが可能なので、黒スジや白スジなどによる画質の低下を抑えることが可能である。
【0012】
また、インク滴を吐出することにより、搬送方向に搬送された媒体にドットを形成可能な複数の吐出部が、前記搬送方向に沿って配置された少なくとも3つの吐出部列を有し、前記搬送方向と交差する移動方向に移動する吐出ヘッドを備え、前記少なくとも3つの吐出部列は、前記搬送方向に沿うとともに、互いに隣接する2つの吐出部列のうち、一方の吐出部列の前記搬送方向の下流側に位置する吐出部と、他方の吐出部列の上流側に位置する吐出部とが、前記移動方向に並ぶ複数の吐出部並設部分を有するように配置されており、前記吐出ヘッドが前記移動方向に移動する際に、前記吐出部並設部分は、前記移動方向に並ぶ吐出部のうち実際にインク滴を吐出する吐出部を適宜変更する複数の吐出方法にて、インク滴を吐出可能である印刷装置において、前記複数の吐出方法にて、中間調の領域を含む画像またはドット密度が高い領域を含む画像を印刷した結果に基づいて、前記吐出部並設部分毎に、前記複数の吐出方法のうち一の吐出方法が設定可能であることを特徴とする印刷装置である。
【0013】
このような印刷装置によれば、各吐出部並設部分の吐出方法を実際に印刷したパターンに基づいて設定可能なので、各吐出部並設部分に最も適した吐出方法を各吐出部並設部分の吐出方法として設定することが可能であり、各吐出部並設部分に同一の吐出方法を設定する場合より、画質を向上させることが可能である。
【0014】
特に中間調の領域を含む画像を印刷した結果に基づいて吐出方法を設定することにより、画像にドットの形状が目立つような画質の低下を抑え、ドット密度が高い領域を含む画像を印刷した結果に基づいて吐出方法を設定することにより、黒スジや白スジなどによる画質の低下を抑えて、より良好な画像を印刷することが可能である。
【0015】
また、コンピュータ本体と、このコンピュータ本体に接続され、インク滴を吐出することにより、搬送方向に搬送された媒体にドットを形成可能な複数の吐出部が、前記搬送方向に沿って配置された少なくとも3つの吐出部列を有し、前記搬送方向と交差する移動方向に移動する吐出ヘッドを備え、前記少なくとも3つの吐出部列は、前記搬送方向に沿うとともに、互いに隣接する2つの吐出部列のうち、一方の吐出部列の前記搬送方向の下流側に位置する吐出部と、他方の吐出部列の上流側に位置する吐出部とが、前記移動方向に並ぶ複数の吐出部並設部分を有するように配置されており、前記吐出ヘッドが前記移動方向に移動する際に、前記吐出部並設部分は、前記移動方向に並ぶ吐出部のうち実際にインク滴を吐出する吐出部を適宜変更する複数の吐出方法にて、インク滴を吐出可能である印刷装置と、を有する印刷システムにおいて、前記吐出部並設部分毎に、前記複数の吐出方法のうち一の吐出方法を設定可能であることを特徴とする印刷システムも実現可能である。
【0016】
また、インク滴を吐出することにより、搬送方向に搬送された媒体にドットを形成可能な複数の吐出部が、前記搬送方向に沿って配置された少なくとも3つの吐出部列を有し、前記搬送方向と交差する移動方向に移動する吐出ヘッドを備え、前記少なくとも3つの吐出部列は、前記搬送方向に沿うとともに、互いに隣接する2つの吐出部列のうち、一方の吐出部列の前記搬送方向の下流側に位置する吐出部と、他方の吐出部列の上流側に位置する吐出部とが、前記移動方向に並ぶ複数の吐出部並設部分を有するように配置されており、前記吐出ヘッドが前記移動方向に移動する際に、前記吐出部並設部分は、前記移動方向に並ぶ吐出部のうち実際にインク滴を吐出する吐出部を適宜変更する複数の吐出方法にて、インク滴を吐出可能である印刷装置におけるインク滴の吐出方法において、前記吐出部並設部分毎に、前記複数の吐出方法のうち一の吐出方法が設定可能であることを特徴とするインク滴の吐出方法も実現可能である。
【0017】
また、インク滴を吐出することにより、搬送方向に搬送された媒体にドットを形成可能な複数の吐出部が前記搬送方向に沿って配置された少なくとも3つの吐出部列を有する吐出ヘッドを備え、前記少なくとも3つの吐出部列は、前記搬送方向に互いに間隔を隔てて配置されており、前記吐出ヘッドが前記搬送方向と交差する移動方向に移動する第1の移動と、第2の移動との間に、前記媒体が搬送されることにより、前記第1の移動と、前記第2の移動とにてそれぞれ異なる吐出部からインク滴を吐出させることにより、前記移動の方向に沿ってドット列を形成可能である複数の異吐出部ドット形成領域に対し、前記吐出ヘッドが前記移動方向に移動する際に、前記異なる吐出部のうち実際にインク滴を吐出する吐出部を適宜変更する複数の吐出方法にて、インク滴を吐出可能である印刷装置において、前記異吐出部ドット形成領域毎に、前記複数の吐出方法のうち一の吐出方法を設定可能であることを特徴とする印刷装置である。
【0018】
このような印刷装置によれば、吐出ヘッドの2回の移動の間に媒体が搬送されることにより異なる吐出部によりドットが形成される異吐出部ドット形成領域を、複数の吐出方法にて異なる吐出部からそれぞれインク滴を吐出させてドットを形成することが可能である。すなわち異吐出部ドット形成領域には、異なる吐出部とから吐出されたインク滴により形成されたドットを複数の吐出方法により混在させることが可能である。このため各異吐出部ドット形成領域に、各吐出部列のインク滴の吐出特性やインク滴の吐出精度誤差等による白スジ、黒スジや、ドットによるざらつきが発生しにくく画質の低下を抑えることが可能である。特に、複数の異吐出部ドット形成領域毎に、複数の吐出方法のうち一の吐出方法を設定可能なので、各異吐出部ドット形成領域毎に適切な吐出方法にてインク滴を吐出するように設定することが可能であり、各異吐出部ドット形成領域に同一の吐出方法にてインク滴を吐出する場合より、画質を向上させることが可能である。
【0019】
===印刷装置の概略例===
図1を参照してカラープリンタ10の内部構成について説明する。図1は本実施例に係るカラープリンタ10の内部構成を示した図である。
カラープリンタ10は、図示するように、キャリッジ3に搭載された吐出ヘッドとしての印刷ヘッド9を駆動してインクの吐出及びドット形成を行う機構と、このキャリッジ3をキャリッジモータ4によって媒体としての印刷用紙の搬送方向と直交する方向に往復移動させる機構と、紙送りモータ(以下、PFモータともいう)1によって図示しない給紙トレー等から供給される印刷用紙32を搬送する機構と、制御回路28とを有している。
【0020】
インクの吐出及びドット形成を行う機構は、インクを吐出するためインク吐出部としての複数のノズルNzを備えた印刷ヘッド9と、印刷ヘッド9を駆動するためのヘッドドライバ16とを備え、印刷指令信号に基づいて所定のノズルNzからインクを吐出させる。印刷ヘッド9は、印刷用紙32の搬送方向に沿って、複数のノズルNzが列状に配置された吐出部列としての複数のノズル列モジュール51a,52a,53a,54a(図3)が、搬送方向に沿って配置されてノズル列モジュールユニット51,52,53,54(図3)を構成し、このノズル列モジュールユニット51,52,53,54がインク色の数だけキャリッジ3の移動方向に配置されている。印刷ヘッド9におけるノズル、ノズル列モジュール及びノズル列モジュールユニットの配置は後で詳述する。
【0021】
キャリッジ3を往復移動させる機構は、キャリッジ3を駆動するキャリッジモータ(以下、CRモータともいう)4と、キャリッジモータ4を駆動するCRモータドライバ5と、主走査方向に設けられ、キャリッジ3を摺動可能に保持する摺動軸44と、キャリッジ3に固定されたリニア式エンコーダ17と、所定の間隔にスリットが形成されたリニア式エンコーダ用符号板19と、キャリッジモータの回転軸に取付けられたプーリ30と、プーリ30によって駆動されるタイミングベルト31から構成されている。
キャリッジ3には、印刷ヘッド9に一体に設けられたカートリッジ装着部が固定され、このカートリッジ装着部には、黒(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロ(Y)等のインクが収容されたインクカートリッジが装着される。
【0022】
給紙トレー等から供給される印刷用紙32を搬送する機構は、前記印刷ヘッド9と対向して配置され、印刷用紙32と印刷ヘッド9とが適切な距離となるように印刷用紙32を案内する案内部材としてのプラテン25と、このプラテン25に対し印刷用紙32の搬送方向の上流側に設けられ、供給された印刷用紙32をプラテン25に所定の角度にて接触するように搬送する搬送ローラ7と、プラテン25に対し印刷用紙32の搬送方向の下流側に設けられ、搬送ローラ7から外れた印刷用紙32を搬送して排紙するための排紙ローラ(不図示)と、搬送ローラ7及び排紙ローラを駆動するためのPFモータ1と、PFモータ1を駆動するための紙送りモータドライバ2と、印刷用紙32の搬送量を検出するためのロータリ式エンコーダ15と、印刷用紙32の有無及び印刷用紙32の先端・後端を検出するための用紙検出センサ20とを有している。
【0023】
PFモータ1は、紙送りモータドライバ2により搬送指令値に基づいて駆動され、必要に応じて補正データテーブルにより与えられる補正値を用いて回転量が補正されることにより印刷用紙32の搬送量が補正される。
用紙検知センサ20は、搬送ローラ7より搬送方向の上流側に設けられ、搬送された印刷用紙の先端が所定の位置に到達したことと、後端が所定の位置を通過したことが検出される。
【0024】
また、キャリッジ3の移動方向におけるキャリッジ3の位置は、リニアエンコーダ17にて検知し、印刷用紙32の位置はロータリ式エンコーダ15にて検知することが可能である。すなわちこのプリンタ10は、これらのエンコーダ15,17の出力信号に基づいて、キャリッジ3と印刷用紙32との相対位置を正確に認識可能な構成とされている。
【0025】
===制御回路28の内部構造===
制御回路28は、ホストコンピュータ18から供給された信号を受信するバッファメモリ21と、印刷データを格納するイメージバッファ22と、カラープリンタ10全体の動作を制御するコントローラ26と、RAM、ROM、EEPROM等のメモリ27とを備えている。転送された印刷データは、一旦、バッファメモリ21に蓄えられる。カラープリンタ10の操作パネルや接続されたホストコンピュータ18から印刷指令信号が入力されると、カラープリンタ10内では、印刷指令信号と共に送信された印刷データが、一旦、バッファメモリ21に蓄えられ、コントローラ26が、バッファメモリ21の印刷データの中から必要な情報を読み取り、これに基づいて、CRモータドライバ5、PFモータドライバ2、ヘッドドライバ16に対して制御信号を送る。イメージバッファ22には、バッファメモリ21で受信された複数の色成分の印刷データが格納される。ヘッドドライバ16は、コントローラ26からの制御信号に従って、イメージバッファ22から各色成分の印刷データを読出し、これに応じて印刷ヘッド9に設けられた各色のノズルNzを駆動する。
【0026】
以上のようなハードウェア構成を有するカラープリンタ10は、キャリッジモータ4を駆動することによって、各色のノズル列モジュールユニット51〜54を印刷用紙32に対して主走査方向に移動させ、また紙送りモータ1を駆動することによって、印刷用紙32を副走査方向に移動させる。制御回路28の制御の下、キャリッジ3の主走査および副走査を繰り返しながら、適切なタイミングでノズルを駆動してインク滴を吐出することによって、カラープリンタ10は印刷用紙上にカラー画像を印刷している。
【0027】
===印刷ヘッドのノズル配置例===
図2Aはノズル列モジュールユニットを構成するノズル列モジュールの内部構造を説明するための説明図である。各色のノズル列モジュールユニット51〜54を構成する各ノズル列モジュールには320個のノズルNzが設けられていて、各ノズルには、インク通路50とその通路上にピエゾ素子PEが設けられている。ピエゾ素子PEは、周知のように、電圧の印加により結晶構造が歪み、極めて高速に電気−機械エネルギの変換を行う素子である。本実施例では、ピエゾ素子PEの両端に設けられた電極間に所定時間幅の電圧を印加することにより、図2Bに示すように、ピエゾ素子PEが電圧の印加時間だけ伸張し、インク通路50の一側壁を変形させる。この結果、インク通路50の体積はピエゾ素子PEの伸張に応じて伸縮し、この収縮分に相当するインクが、粒子IpとなってノズルNzから高速で吐出される。このインク滴Ipがプラテン25に沿って搬送された印刷用紙32に染み込むことにより、印刷用紙32の上にドットが形成される。尚、ピエゾ素子PEに印加する電圧波形を制御することによって、吐出するインク滴の大きさを制御することも可能である。吐出するインク滴の大きさを制御すれば、印刷用紙に形成されるインクドットの大きさを制御することが可能である。
【0028】
図3は、複数のノズル列モジュールにて各色のノズル列モジュールユニットを構成している様子を示す説明図である。図示するように、吐出するインクの色に対応させて設けられた4つのノズル列モジュールユニット51〜54はキャリッジ3の搬送方向に並べて配置され、各色のノズル列モジュールユニット51〜54はそれぞれノズル列モジュール51a,52a,53a,54aを4つずつ有している。
【0029】
各ノズル列モジュール51a,52a,53a,54aには、320個のノズルが160個ずつ2列に分けて互いに間隔を隔てて配置され、副走査方向において一方の列のノズルが他方の列のノズル間の中央に位置している。このように構成された各色ノズル列モジュールユニット51,52,53,54は、あたかも全体が1つの大きなヘッドのように機能して、印刷用紙上にドットを形成する。尚、それぞれのノズルは必ずしも一方の列のノズルが他方の列のノズル間の中央に位置するように配列する必要はないが、このように配列すれば、ノズルピッチkの値を小さくすることができる利点がある。
【0030】
各ノズル列モジュール51a,52a,53a,54aは端部にある所定数のノズルが、隣接する他のノズル列モジュール51a,52a,53a,54aの端部のノズルとキャリッジの移動方向に並ぶように配列されている。ブラックインクを吐出するためのノズル列モジュールユニット51にて詳述すると、例えば隣接する2つのノズル列モジュール51a1,51a2のうち、一方のノズル列モジュール51a1の前記搬送方向の下流側に位置する4つのノズルと、他方のノズル列モジュール51a2の上流側に位置する4つのノズルとが、キャリッジ3の移動方向に2つずつ並べて配置されている。このように、異なるノズル列モジュールのノズルがキャリッジ3の移動方向に並べて配置されている部位を、以下ノズル並設部分(吐出部並設部分)という。
【0031】
カラープリンタ10の制御回路28は、キャリッジ3を搬送しながら、これらノズル位置の違いを考慮し適切なタイミングでそれぞれのPE素子を駆動してインク滴を吐出している。
【0032】
===画像処理の概要===
カラープリンタ10は、画像データFNLの供給を受けてカラー画像を印刷する機能を有するが、カラープリンタ10に供給する画像データFNLは、プリンタ10に接続されたホストコンピュータ18にてカラー画像に所定の画像処理が施されて生成される。なお、カラープリンタ10とホストコンピュータ18とを含む印刷システムは、広義の「印刷装置」と呼ぶこともできる。
【0033】
図4は、ホストコンピュータ18がカラープリンタ10に画像データFNL を出力して、画像を印刷する処理の概要を示したフローチャートである。かかる処理は、ホストコンピュータ18のプリンタドライバ内で、CPUの各機能を用いて実現される。以下、同図に従って、画像処理の概要を説明する。
【0034】
図4に示すように、画像処理が開始されると、CPUは初めに画像データを入力する(ステップS100)。この画像データは例えばアプリケーションプログラムから供給されるデータであり、画像を構成する各画素毎にR・G・Bそれぞれの色について、0〜255の値の256階調を有するデータである。
【0035】
CPUは、画像データを受け取ると、解像度変換、色変換、多値化処理等の所定の画像処理を行って、カラープリンタ10が印刷可能な画像データFNL に変換する(ステップS102 )。すなわち、入力画像の解像度をカラープリンタ10の印刷解像度に変換し(解像度変換)、R・G・Bを用いた加法混色による表現をC・M・Y・Kを用いた減法混色による表現に変換し(色変換)、256階調を有する画像データをドットの有無による表現形式に変換する(多値化処理)。
こうして画像処理を終了すると、CPUは最後にラスタ分類処理を開始する(ステップS104)。画像処理後の画像データはドットの有無による表現に変換されていて、各ドットはノズル列モジュールユニットを主走査させながらラスタ単位で形成される。
【0036】
ラスタ分類処理は、画像データを構成するラスタのそれぞれについて、何回目の主走査中にどのノズル列モジュールで形成するかを、ラスタ単位で分類していく処理である。本実施例のカラープリンタ10では、ラスタ分類処理によってノズル列モジュールのノズル並設部分で形成するラスタを選別し、選別されたラスタはノズル並設部分にて主走査方向に重複するノズル列モジュールにて形成されたドットが混在するようにドットの形成を制御している。このため、たとえ、主走査方向に隣り合い重複するノズル列モジュールのインク吐出特性が異なっていたとしても、画像を印刷したときにノズル列モジュールの繋ぎ目部分が目立つことなく、印刷画質の悪化を防ぐことができる。ノズル列モジュールの繋ぎ目部分におけるドット形成については、後ほど詳述する。
こうして、ラスタ分類処理が終了すると、画像データはプリンタが印刷可能な画像データFNLとして、カラープリンタ10のそれぞれのヘッドに出力される(ステップS106)。この画像データFNLに従って、カラープリンタ10がドットを形成することで印刷用紙上に画像が印刷される。
【0037】
===ノズル列モジュールの繋ぎ目部分におけるドット形成===
図5Aはノズル列モジュールユニットを模式的に表した説明図である。ノズル列モジュールユニットは4つのノズル列モジュールA〜Dから構成されていて、各ノズル列モジュールには320個のノズルが設けられている。隣り合うノズル列モジュールは、端部にある10ノズル分が互いに主走査方向に並ぶように重複して配列されている。このようなノズル列モジュールユニットを主走査させながらインク滴を吐出する際には、ノズル列モジュールAの320個のノズルのうち重複しているノズル10個を除く、ノズル列モジュールA単独部分の310個のノズルにて310本のラスタが形成される。ノズル列モジュールAとノズル列モジュールBとのノズル並設部分ABでは、ノズル並設部分においてキャリッジ3の移動方向に並べて配置されたノズルのうち、実際にインク滴を吐出するノズルを適宜変更するインク滴の吐出方法にて10本分のラスタが形成される。ノズル列モジュールBについては、両端でユニットAとCとに重複しているから、ノズル列モジュールB単独部分では300本分のラスタが形成される。同様に、ノズル列モジュールC単独部分では300本分のラスタが、ノズル列モジュールD単独部分では310本分のラスタが形成され、それぞれのノズル並設部分BC,CDでは各々10本分のラスタが形成される。
【0038】
図5Aは、ノズル列モジュールユニットを主走査したときに、4つのノズル列モジュールA〜Dで形成されるラスタの本数と互いの位置関係を模式的に示している。図中の数字は、対応する部分にて形成されるラスタの本数を示したものである。各々320個のノズルを有する4つのノズル列モジュールを上述したように配列されているので、ノズル列モジュールユニットは1250個のノズルを備えた大型ヘッドとして機能する。
【0039】
図5Bは、印刷用紙を搬送させながらラスタを形成していく様子を概念的に表した説明図である。図5Bの左側には印刷用紙を搬送する前と後でのノズル列モジュールユニットの位置を示し、それぞれのノズル列モジュールユニットの右側には、主走査時に形成されるラスタ群を斜線のハッチングを施して模式的に表示している。
【0040】
ノズル列モジュールユニットを主走査する度に、ノズル列モジュールA〜Dがそれぞれ単独でラスタを形成する領域と、それら領域の間に2つのノズル列モジュールが重複してラスタを形成する領域とが現れる。図中で「a1」と表示した領域は1回目の主走査でノズル列モジュールAの単独部分によりラスタが形成される領域であり、「b1」と表示した領域は1回目の主走査でノズル列モジュールBの単独部分によりラスタが形成される領域である。また、「ab1」と表示した領域は1回目の主走査で2つのノズル列モジュールAとノズル列モジュールBとのノズル並設部分ABを用いてラスタが形成される領域であることを示している。
【0041】
また、1回目の主走査時にノズル列モジュールDで形成された領域と、2回目の走査時にノズル列モジュールAで形成される領域との繋ぎ目部分が目立ち、印刷画質を悪化させることのないよう、この部分でもノズル列モジュールDとノズル列モジュールAとを用いてラスタを形成する。つまり、図5Aで示したように、ノズル列モジュールユニットは1250個のノズルを備えた大型ヘッドとして機能するが、1回目の主走査時におけるノズル列モジュールDの上流側の10個のノズルと、2回目の主走査時におけるノズル列モジュールAの下流側の10個のノズルとが重複するように、1回あたりの印刷用紙の搬送量をラスタ1240本分としている。図中で「da2」と表示している領域は、1回目の主走査時のノズル列モジュールDと2回目の主走査時のノズル列モジュールAとの2つのノズル列モジュールを用いてラスタが形成される領域であることを示している。
【0042】
本実施例のカラープリンタ10は、ノズル列モジュールユニットを、このようにしてラスタ1240本分ずつ印刷用紙を搬送しながらラスタを形成していく。その結果、図5Bに示すようにノズル列モジュールA,B,C,Dがそれぞれ単独部分にてラスタを形成する領域と、それら領域の間で2つのノズル列モジュールのノズル並設部分を用いてラスタを形成する領域とが、ちょうどラスタ1240本分を周期として繰り返して形成されることになる。従って画像を印刷するためには、図4の画像処理(ステップS102)でドットの有無による表現に変換された画像データを、ノズル列モジュールユニットの主走査方向の位置に合わせながら、適切なタイミングで各々のノズル列モジュールに供給しなければならない。そこで、図4のラスタ分類処理(ステップS104)では、画像処理後の画像データを構成する各ラスタについて、どのノズル列モジュールに何回目の主走査のタイミングで供給すればよいかを次のようにして判断している。
【0043】
===ラスタ分類処理===
図6は、ラスタ分類処理の流れを示すフローチャートであり、図7にはノズル列モジュールユニットが走査しながら印刷用紙上に画像を形成していく様子を概念的に表している。図7の破線で囲った領域がノズル列モジュールユニットによってラスタが形成されていく領域である。上述したようにノズル列モジュールユニットは4つのノズル列モジュールから構成されていて、1回主走査をする毎に1240本のラスタを形成していく。以下、本実施例のカラープリンタ10で行うラスタ分類処理について、図6および図7を参照しながら説明する。
【0044】
ラスタ分類処理を開始すると、初めに判断の対象とするラスタ(着目ラスタ)のラスタ番号LNを取得する(ステップS200)。ラスタ番号LNとは、印刷範囲の中でのラスタの位置を示す番号であり、図7に示すように印刷領域の上端からそのラスタが何番目にあるかを示す値である。
【0045】
次いで、着目ラスタを何回目の主走査で形成するか、すなわち着目ラスタの主走査時期MN を算出する(ステップS202)。図7に示すように、印刷ヘッドは1回の主走査毎に1240本のラスタを形成するから、着目ラスタの主走査時期MNは次式によって求めることができる。
MN =int(LN/1240)+1 ・・・(1)
ここで、int(A)とはAの整数部分を出力する演算子である。例えば、着目ラスタのラスタ番号LN=310とすると、(1)式は、
MN =int(310/1240)+1=0+1=1
となるから、ラスタ番号310のラスタは1回目の主走査で形成されるラスタであることが分かる。
【0046】
こうして主走査時期MNを算出すると、次は着目ラスタを形成するノズル列モジュールを判断する。そのための準備としてヘッドオフセットHOFを算出する(ステップS204)。ヘッドオフセットHOFは次式を用いて算出する。
HOF=LN−1240×(MN−1) ・・・(2)
ヘッドオフセットHOFとは、上式から分かるように、着目ラスタをノズル列モジュールユニットの最上部から何番目のラスタとして形成するかを示す値である。図7に示す例では、着目ラスタは4回目の主走査で形成されているから、(2)式から、(LN−1240×3)番目のラスタとして形成されることになる。
【0047】
ヘッドオフセットHOFが求まると、これを基に着目ラスタを形成するノズル列モジュール番号NZUを算出する(ステップS206)。図7に示すように、ノズル列モジュールユニットを構成する4つのノズル列モジュールには、順番に1〜4の番号がつけられており、この番号がノズル列モジュール番号である。ノズル列モジュール番号NZUは、次式を用いて算出する。
NZU=int{(HOF−1)/310}+1・・・(3)
つまりノズル列モジュールユニットはノズル列モジュール番号1〜4の4つのノズル列モジュールで構成されているから、ノズル列モジュールユニットが1回の主走査で形成する1240本分のラスタを4等分して、各領域の310本分のラスタをそれぞれのノズル列モジュールが形成すると考えることができる。もちろん、ノズル列モジュールのノズル並設部分では2つのノズル列モジュールを用いてラスタを形成しているので、ヘッドオフセットHOFのみからノズル列モジュールを選択することはできないが、これについては後から修正すればよい。
【0048】
以上の処理を行うことによって、着目ラスタについての主走査時期MNとノズル列モジュール番号NZUが決定されたら、それを着目ラスタの主走査時期MNおよびノズル列モジュール番号NZUとして一旦記憶し(ステップS208)、ノズル列モジュールのノズル並設部分に対応するラスタについては、次のようにして修正する。ノズル並設部分の修正を行う準備として、先ず、着目ラスタについてのモジュールオフセットMOFを算出する(ステップS210)。モジュールオフセットMOFとは次のような値である。前述したように、1回の主走査で形成される1240本のラスタは310本ずつ、4つのノズル列モジュールで形成されると考えることができるが、図5に示すように各ノズル列モジュールの上部から10ラスタは他のノズル列モジュールと混在して形成されている。そこで、着目ラスタが各ノズル列モジュールの上部から何番目に相当するかを知る必要がある。各ノズル列モジュールの上部から何番目に相当するかを示す値を、モジュールオフセットMOFと呼ぶ。
【0049】
MOFは次式によって求めることができる。
MOF=HOF−int(HOF/310)×310・・・(4)
(4)式によりモジュールオフセットMOFを求めたら、この値が10以下か否かを判断する(ステップS212)。つまり、MOFの値が11以上となるラスタは単独のノズル列モジュールでラスタを形成しているので、選択したノズル列モジュールを修正する必要はない。しかし、MOFが10以下のラスタは複数のノズル列モジュールを用いてラスタを形成しているので、先に選択したノズル列モジュールを再度修正する必要がある。そこで、ステップS212では、MOFの値が10以下か否かを判断している。
【0050】
モジュールオフセットMOFの値が10以下と判断された場合は、選択したノズル列モジュールの修正を行うが、その前に、ノズル列モジュール番号NZUが1番であるか否かを判断しておく(ステップS214)。これは次の理由による。図7に示すように、NZUが1番のノズル列モジュールは前回の主走査のNZU4番のノズル列モジュールと混在してラスタを形成している。従ってNZUが1番の場合は、選択したノズル列モジュールだけでなく主走査時期も修正しなければならないので、初めにNZUが1番であるか否かを判断しておくのである。また、ステップS212において、モジュールオフセットMOFの値が10より大きいと判断された場合は、ステップS208で求められた主走査時期MNおよびノズル列モジュール番号NZUを採用する。
【0051】
選択したノズル列モジュールの修正は、着目ラスタを構成する偶数番目のドットのみ修正する。こうすることで、奇数番目のドットは先に選択していたノズル列モジュールで形成され、偶数番目のドットは修正したノズル列モジュールで形成されることになり、2つのノズル列モジュールで交互にドットが形成される。
【0052】
ステップS214でノズル番号NZUが1番と判断されていた場合、着目ラスタを構成する全ドットについて、偶数番目のドットか否かを判断し(ステップS216)、偶数番目のドットについては主走査時期を1つ前の主走査時期に、ノズル列モジュール番号は1番から4番に修正する(ステップS218)。奇数番目のドットについては修正せず、ステップS208で記憶した値を採用する。 ステップS214でノズル番号NZUが1番ではない場合についてもほぼ同様に、着目ラスタを構成する全ドットについて、偶数番目のドットか否かを判断し(ステップS220)、偶数番目のドットについてはノズル列モジュール番号NZUを1つ前の番号に修正する(ステップS222)。奇数番目のドットについては修正せず、ステップS208で記憶した値を採用する。
【0053】
以上のようにして、ノズル列モジュールのノズル並設部分での修正も終了すると、全てのラスタについて処理を終了したかどうかを判断し(ステップS226)、未処理のラスタが残っている場合は、ステップS200に戻って続く一連の処理を行う。こうして全てのラスタについて、主走査時期とノズル列モジュールを決定したら、ラスタ分類処理を終了して、図4の印刷処理ルーチンに戻り、ラスタ分類処理で決定したタイミングで各ノズル列モジュールに画像データを出力する。
【0054】
===ノズル並設部分によるインク吐出方法===
カラープリンタ10を用いて、所謂バンド送り方式にて印刷する際のインク吐出方法について説明する。本実施例のカラープリンタ10では、ノズル列モジュールユニットは4つのノズル列モジュールで構成され、各ノズル列モジュールには320個のノズルが設けられているが、紙面に表現する都合からノズル列モジュールユニットは2つのノズル列モジュールで構成されているものとし、ノズル列モジュールあたりのノズル数やノズル列モジュールのノズル並設部分の長さも実際より短いものとして表現している。
【0055】
<<<インク滴の第1吐出方法>>>
図8は、第1吐出方法にて印刷される画像を説明するための図である。
第1吐出方法は、ノズル列モジュールのノズル並設部分にて、並設された異なるノズル列モジュールのノズルのうち、いずれかのノズル列モジュールのノズルのみを用いて印刷する例を示している。図8の場合では、ノズル列モジュールAとノズル列モジュールBとにてそれぞれ印刷される領域の境界部分は、ノズル並設部分に設けられたノズル列モジュールAのノズルからインク滴を吐出している。このインク吐出方法にて印刷された画像では、各ノズル列モジュールにて印刷された領域の境界を明確に分かれている。このため、複数のノズル列モジュールにて構成されたノズル列モジュールユニットでは、インク吐出特性がノズル列モジュール間で若干異なっていると繋ぎ目部分で画質が悪化する場合がある。ところが、いずれかのノズル列モジュールのノズル並設部分に、特異なインク吐出特性を有するノズルや、インク滴の軌道が他のノズルと相違するノズルが含まれていた場合には、他のノズル列モジュールのノズルを用いて境界部分を印刷した方が良好な画像が得られる場合がある。
【0056】
<<<インク滴の第2吐出方法>>>
図9は、第2吐出方法にて印刷される画像を説明するための図である。
第2吐出方法では、ノズル列モジュールのノズル並設部分にて印刷されるラスタを、並設された異なるノズル列モジュールのノズルのうち、いずれか一方を択一的に選択し、交互にインク滴を吐出してドットを形成する。このとき、ノズル並設部分にて印刷される複数のラスタにおいて用紙の搬送方向に沿って並ぶドットは、同一のノズル列モジュールに設けられたノズルからインク滴を吐出して印刷する。すなわち、ノズル並設部分にて印刷された部分に注目すると、異なるノズル列モジュールのノズルにて形成され搬送方向に沿ったドット列が交互に配置されることになる。第2吐出方法にて印刷すると、第1吐出方法にて印刷された画像に対し、印刷された領域間の境界が目立ちにくくなっている。従って、隣接するノズル列モジュールのインク吐出特性が若干異なっていても、ノズル列モジュールの繋ぎ目部分が目立つことがないので、画質の悪化を抑えることが可能である。しかしながら、ノズル列モジュールのノズル並設部分で、同じノズル列モジュールで形成されるドットが縦に並んでいるため、この部分に画像の濃淡などの特徴的な周期が認識されて、画質が低下する場合もある。
【0057】
<<<インク滴の第3吐出方法>>>
図10は、第3吐出方法にて印刷される画像を説明するための図である。
第2インク吐出方法では、ノズル並設部分にて印刷される複数のラスターの用紙の搬送方向に沿って並ぶドットを、同一のノズル列モジュールのノズルとしたが、第3インク吐出方法は、隣接するラスタにて搬送方向に並ぶドットを異なるノズル列モジュールのノズルからインク滴を吐出して印刷する。すなわち、ノズル並設部分にて印刷された部分を見ると、用紙の搬送方向においても、キャリッジの移動方向においても隣接するドットが、異なるノズル列モジュールのノズルにて形成されることになる。この場合には、ラスタ分散処理の概要は次のようなものになる。すなわち、図6に示したフローチャートでは、着目ラスタを構成している偶数番目のドットを修正しているが、着目ラスタのユニットオフセットMOFが奇数の場合は偶数番目のドットを修正し、MOFが偶数の場合は奇数番目のドットを修正すれば、ほぼ図6と同様の処理を行うことによって実現することができる。
【0058】
<<<インク滴の第4吐出方法>>>
図11は、第4吐出方法にて印刷される画像を説明するための図である。
第3インク吐出方法では、用紙搬送方向に同じノズル列モジュールのドットが並ぶことはないが、2種類のドットが一定のパターンで形成されることになる。すなわち、ノズル並設部分に、インク吐出特性が異なるノズルや、インク滴の軌道が他のノズルと相違するノズルが含まれている場合には、そのノズルの影響が周期的に現れる可能性がある。このため、第4インク吐出方法では、所定のノズルによる画像への影響を抑えるために、ノズル列モジュールのノズル並設部分のドットを修正する処理において、乱数を発生させ、乱数の値が所定の閾値より大きくなるか否か等によって、修正するドットをランダムに選択している。第4吐出方法によればドットが一定のパターンで形成されることがなくなることにより、所定のノズルによる画像への影響により生じる画質の悪化を抑えることが可能である。
【0059】
<<<インク滴の第5吐出方法>>>
図12は、第5吐出方法にて印刷される画像を説明するための図である。
第5吐出方法では、ノズル列モジュールのノズル並設部分にて、2つのノズル列モジュールにて形成されるドットを均一に発生させるのではなく、形成される割合を滑らかに変化させている。
【0060】
図12に示した例では、ノズル列モジュールAとノズル列モジュールBとが重複している部分はラスタ4本分である。このため、全ドットがノズル列モジュールAで形成されている領域から全ドットがノズル列モジュールBで形成されている領域に、各ノズル列モジュールにて形成されるドットの割合が4つの段階を経て移り変わるようにする。すなわち、ノズル列モジュールのノズル並設部分部分にて印刷されるラスタの中で、ノズル列モジュールBの端部にあるラスタについては、20%のドットをノズル列モジュールAのドットで置き換える。ノズル列モジュールBの端部から2番目のラスタについては、40%のドットをノズル列モジュールAのドットで置き換える。同端部から3番目のラスタについては60%のドットを、更に同端部から4番目のラスタ、すなわちノズル列モジュールAの端部にあるラスタについては80%のドットを、ノズル列モジュールAのドットで置き換えていく。こうして端部から5番目のラスタでちょうど全てのドットがノズル列モジュールAで形成されるように、ノズル並設部分のドットの形成割合をなめらかに変化させていくのである。このように、ノズル列モジュールのノズル並設部分において、端部までの距離が大きくなるほど、そのノズル列モジュールのドットの形成割合を大きくしていけば、ノズル並設部分でのノズル列モジュールの繋ぎ目を、更に目立たなくすることができる。図6に示すフローチャートでは着目ラスタの偶数番目のドットを修正しているが、モジュールオフセットMOFの値に応じて、修正するドットを徐々に増加させるようにすれば良い。
【0061】
以上、各種の実施例について説明してきたが、本発明は上記すべての実施例に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様で実施することができる。例えば、上述の機能を実現するソフトウェアプログラム(アプリケーションプログラム)を、通信回線を介してコンピュータシステムのメインメモリまたは外部記憶装置に供給し実行するものであってもよい。
【0062】
===各ノズル並設部分における吐出方法の設定===
ノズル並設部分におけるインクの吐出方法の例として、5つのインク吐出方法について説明したが、ノズル並設部分に形成されているすべてのノズルが理想的に形成されて配置され、理想的にインク滴が吐出された場合には、上記第5吐出方法にて印刷するとより良好な画像を印刷することが可能である。しかしながら、個々のノズルによるインク滴の吐出特性や精度誤差により、各々のノズル列モジュールから理想的にインク滴が吐出されるとは限らない。また、複数のノズル列モジュールを用いる場合には、各ノズル列モジュールの取り付け位置の精度誤差によっても、吐出されたインク滴により形成されるドットの位置が目標位置から外れる場合がある。このため、より良好な画像を印刷するために、各ノズル並設部分においていずれの吐出方法にて印刷すべきかは、実際に印刷した画像を用いないと正確な判断はできない。このため、各ノズル並設部分にて実際に画像を印刷し、各々のノズル並設部分にて良好な画像が印刷された吐出方法を選択し、その吐出方法を当該ノズル並設部分にて印刷するインク滴の吐出方法として設定しておく。
【0063】
このとき印刷する画像としては、画質を低下させる原因となる現象が発生しやすいパターンが配置された画像とすることが望ましい。例えば、いずれかのノズルから吐出したインク滴にて形成されたドットが印刷用紙の搬送方向にずれて形成された場合に発生する白スジ又は黒スジを確認するためのパターンとしては、黒色のグラデーションにて印刷された帯状の画像が搬送方向に配置される画像である。また、ドットの形成される位置がずれることにより、画像を形成するドットによる画像のざらつき、すなわち画像上にてドットの外形形状が目立つ所謂粒状性を確認するためのパターンとしては、特にライトシアン、ライトマゼンタ等の淡い色のインクを用いて小径のドットにて印刷されるハイライトな中間調の画像である。
【0064】
これらの画像を、各ノズル並設部分にて印刷される領域と、ノズル並設部分を構成する2つのノズル列モジュールの単独部分とにて各々印刷される領域とが繋がるように、各ノズル並設部分毎に吐出方法を違えて印刷する。例えば、図5に示したノズル列モジュールAにて印刷した領域、ノズル列モジュールA及びノズル列モジュールBのノズル並設部分ABにて印刷した領域、ノズル列モジュールBにて印刷した領域、が印刷用紙の搬送方向に繋がって配置されるように、各インク吐出方法にて印刷する。また、ノズル列モジュールBとノズル列モジュールC、ノズル列モジュールCとノズル列モジュールDについても同様である。
【0065】
そして、印刷した画像に基づいて、各ノズル並設部分にて最も良好な画質にて印刷された画像を選択し、その画像を印刷したインク吐出方法を当該ノズル並設部分の吐出方法として設定しておく。例えば、ノズル列モジュールAとノズル列モジュールBとのノズル並設部分ABは第5インク吐出方法にて印刷するように設定し、ノズル列モジュールBとノズル列モジュールCとのノズル並設部分BCは第1インク吐出方法にて印刷するように設定し、ノズル列モジュールCとノズル列モジュールDとのノズル並設部分CDは第4インク吐出方法にて印刷するように設定する。
【0066】
このように、各ノズル並設部分にて最も良好な画質にて印刷されるようにインク吐出方法を設定することにより、各ノズル列モジュールにて印刷された領域の境界部分が目立たなく、画像全体を良好な画質して印刷することが可能となる。
【0067】
===第2実施例===
第1実施例ではノズル列モジュールユニットに設けられた複数のノズル列モジュールのうち、隣接するノズル列モジュールがノズル並設部分を有する例を示したが、第2実施例では、ノズル並設部分を有しない例について説明する。
以下、上記第1実施例と同一構成部分に同一符号を付して重複する説明を省略して述べる。
【0068】
<<<第2実施例におけるドット形成>>>
図13Aは第2実施例に適したノズル列モジュールユニットを模式的に表した説明図である。第2実施例のノズル列モジュールユニットは第1実施例と同様に4つのノズル列モジュールA〜Dから構成されており、各ノズル列モジュールには320個のノズルが設けられている。4つのノズル列モジュールは、各ノズル列が印刷用紙の搬送方向に沿って直線状に配置され、隣接するノズル列モジュールは、互いに間隔を隔てて設けられている。隣接する2つのノズル列モジュールの間隔は、両ノズル列モジュールの間に300個のノズルが、各ノズル列モジュールと同一のピッチにて配置できる距離だけ隔てられている。
【0069】
図13Bには、ノズル列モジュールユニットを移動させつつインクを吐出させる動作を2回実行する間に、印刷用紙を1回搬送したときに、4つのノズル列モジュールA〜Dで形成されるラスタの本数と互いの位置関係を模式的に示している。同図の左側には印刷用紙を搬送する前と後でのノズル列モジュールユニットの位置を示し、それぞれのノズル列モジュールユニットの右側には、主走査時に形成されるラスタ群を斜線のハッチングを施して模式的に表示している。また、同図中右側の数字は、対応する部分で形成されるラスタの本数を示したものである。
【0070】
図示するように、ノズル列モジュールユニットの1回目の移動及びインクの吐出動作にて、ノズル列モジュールAにより図中「a1」及び「aa」の領域、ノズル列モジュールBにより「b1」及び「bb」の領域、ノズル列モジュールCにより「c1」及び「cc」の領域、ノズル列モジュールDにより「d1」及び「dd」の領域にそれぞれラスタを形成することが可能である。そして、印刷用紙を310ラスタ分に相当する距離だけ搬送し、2回目の移動及びインクの吐出動作を実行すると、ノズル列モジュールAにより図中「aa」、「a2」及び「ab」の領域、ノズル列モジュールBにより「bb」、「b2」及び「bc」の領域、ノズル列モジュールCにより「cc」、「c2」及び「cd」の領域、ノズル列モジュールDにより「dd」及び「d2」の領域にそれぞれラスタを形成することが可能である。このため、「aa」の領域、「ab」の領域、「bb」の領域、「bc」の領域、「cc」の領域、「cd」の領域、「dd」の領域は、1回目の移動及びインクの吐出動作と、2回目の移動及びインク滴の吐出動作とのいずれでもラスタを形成可能な領域(異吐出部ドット形成領域)である。
【0071】
すなわち、例えば「aa」の領域は、ノズル列モジュールユニットの1回目の移動及びインク滴の吐出動作において、ノズル列モジュールAの印刷用紙の搬送方向上流側に配置された10個のノズルと、2回目の移動及びインク滴の吐出動作において、ノズル列モジュールAの印刷用紙の搬送方向下流側に配置された10個のノズルとから択一的にインクを吐出させてラスタを形成する領域である。また、例えば「ab」の領域は、ノズル列モジュールユニットの1回目の移動及びインクの吐出動作において、ノズル列モジュールBの印刷用紙の搬送方向下流側に配置された10個のノズルと、2回目の移動及びインクの吐出動作において、ノズル列モジュールAの印刷用紙の搬送方向上流側に配置された10個のノズルとから択一的にインクを吐出させてラスタを形成する領域である。このように「aa」の領域、「bb」の領域、「cc」の領域、「dd」の領域は、同一のノズル列モジュールにより、「ab」の領域、「bc」の領域、「cd」の領域は、隣接する2つのノズル列モジュールにより、1回目の移動及びインクの吐出動作と、2回目の移動及びインクの吐出動作とにて異なる2つのノズルのうち実際にインク滴を吐出するノズルを変更させてラスタを形成する。つまり、第1実施例にて説明したノズル並設部分と同様のインク吐出方法にて印刷することが可能である。よって、これら「aa」の領域、「ab」の領域、「bb」の領域、「bc」の領域、「cc」の領域、「cd」の領域、「dd」の領域は、第1実施例のノズル並設部分と同様に、各領域を印刷するためのノズルにて実際に画像を印刷し、良好な画像が印刷されるインク滴の吐出方法を選択し、選択した吐出方法を設定しておく。
【0072】
第2実施例のカラープリンタ10は、印刷用紙をラスタ310本分搬送させてラスタを形成した後に、ラスタ2170本分搬送させて印刷していく。その結果、図13Bに示すようにノズル列モジュールA,B,C,Dがそれぞれ単独でラスタを形成する領域と、それら領域の間で2つのノズルを用いてラスタを形成する領域とを含む領域が、ラスタ2480本分を周期として繰り返して形成されることになる。従って画像を印刷するためには、画像処理でドットの有無による表現に変換された画像データを、ノズル列モジュールユニットの移動及びインクの吐出動作に合わせながら、適切なタイミングで各々のノズル列モジュールに供給する。
【0073】
<<<第2実施例におけるラスタ分類処理>>>
図14は、第2実施例のカラープリンタ10で行われるラスタ分類処理の流れを示すフローチャートである。第2実施例におけるラスタ分類処理の考え方は第1実施例とほぼ同様である。
上述したようにノズル列モジュールユニットは4つのノズル列モジュールから構成されていて、ノズル列モジュールユニットの2回の移動及びインク滴の吐出動作を実行する毎に2480本のラスタを形成していく。ここでは、ノズル列モジュールユニットの2回の移動及びインク滴の吐出動作を1つの工程とする。すなわち、1回目の移動及びインクの吐出動作の後、310本のラスタ分印刷用紙を搬送し、その後2回目の移動及びインクの吐出動作を実行して1工程とする。
【0074】
ラスタ分類処理を開始すると、初めに判断の対象とする着目ラスタのラスタ番号LNを取得する(ステップS300)。
次いで、着目ラスタを何回目の工程にて形成するか、すなわち着目ラスタの工程時期SN を算出する(ステップS302)。印刷ヘッドは1回の工程毎に2480本のラスタを形成するから、着目ラスタの工程時期SNは次式によって求めることができる。
SN =int(LN/2480)+1 ・・・(1)
工程時期SNを算出すると、次は着目ラスタを形成するノズル列モジュールを判断する。そのための準備としてヘッドオフセットHOFを算出する(ステップS304)。ヘッドオフセットHOFは次式を用いて算出する。
HOF=LN−2480×(SN−1) ・・・(2)
ヘッドオフセットHOFが求まると、これを基に着目ラスタを形成するノズル列モジュール番号NZUを算出する(ステップS306)。
ノズル列モジュール番号NZUは、次式を用いて算出する。
NZU=int{(HOF−1)/620}+1 ・・・(3)
ここでも、図13B に示した「aa」の領域、「ab」の領域、「bb」の領域、「bc」の領域、「cc」の領域、「cd」の領域、「dd」の領域を形成するためのノズル列モジュールは、ヘッドオフセットHOFのみから選択することはできないが、これについては後から修正すればよい。
【0075】
以上の処理を行うことによって、着目ラスタについての主走査時期MNとノズル列モジュール番号NZUが決定されたら、それを着目ラスタの工程時期SNおよびノズル列モジュール番号NZUとして一旦記憶し(ステップS308)、ノズル列モジュールのノズル並設部分に対応するラスタについては、次のようにして修正する。ノズル並設部分の修正を行う準備として、先ず、着目ラスタについてのモジュールオフセットMOFを算出する(ステップS310)。
【0076】
モジュールオフセットMOFとは次のような値である。ノズル列モジュールユニットの1回の移動及びインク吐出動作にて、各ノズル列モジュールにて形成されるラスタは310本ずつと考えることができ、ノズル列モジュールにて下流側に位置する10個のノズルにより形成される10ラスタは他のノズル列モジュールにて形成されるドットと混在している。このため、MOFは次式によって求めることができる。
MOF=HOF−int(HOF/310)×310 ・・・(4)
(4)式によりモジュールオフセットMOFを求めたら、この値が10以下か否かを判断する(ステップS312)。つまり、MOFの値が11以上となるラスタは単独のノズル列モジュールでラスタを形成しているので、選択したノズル列モジュールを修正する必要はない。しかし、MOFが10以下のラスタは複数のノズル列モジュールを用いてラスタを形成しているので、先に選択したノズル列モジュールを再度修正する必要がある。
モジュールオフセットMOFの値が10以下と判断された場合は、選択したノズル列モジュールの修正を行うが、その前に、ノズル列モジュール番号NZUが1番であるか否かを判断しておく(ステップS314)。
このようにラスタ分類処理を終了し、以下第1実施例と同様に印刷処理ルーチンに戻り、ラスタ分類処理で決定したタイミングで各ノズル列モジュールに画像データを出力する。
【0077】
===その他の実施の形態===
以上、実施例に基づき本発明に係る印刷装置等を説明してきたが、上記した発明の実施例は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることはもちろんである。
また、媒体としてロール紙等の印刷用紙を例にとって説明したが、媒体として、フィルム、布、金属薄板等を用いてもよい。
また、上記実施の形態においては、印刷装置の一例としてカラーインクジェットプリンタについて説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、モノクロインクジェットプリンタについても適用可能である。
【0078】
【発明の効果】
本発明によれば、複数の吐出部列にて印刷される複数の領域間における複数の境界部分の画質の低下を抑えることが可能な印刷装置、印刷システム、及び、インク滴の吐出方法を実現することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本実施例に係るカラープリンタの内部構成を示した図である。
【図2】 図2Aはノズル列モジュールユニットを構成するノズル列モジュールの内部構造を説明するための説明図、図2Bはピエゾ素子PEの動作を説明するための図である。
【図3】 複数のノズル列モジュールにて各色のノズル列モジュールユニットを構成している様子を示す説明図である。
【図4】 ホストコンピュータがカラープリンタに画像データを出力して、画像を印刷する処理の概要を示したフローチャートである。
【図5】 図5Aはノズル列モジュールユニットを模式的に表した説明図、図5Bは印刷用紙を搬送させながらラスタを形成していく様子を概念的に表した説明図である。
【図6】 ラスタ分類処理の流れを示すフローチャートである。
【図7】 ノズル列モジュールユニットが走査しながら印刷用紙上に画像を形成していく様子を概念的に表している。
【図8】 第1吐出方法にて印刷される画像を説明するための図である。
【図9】 第2吐出方法にて印刷される画像を説明するための図である。
【図10】 第3吐出方法にて印刷される画像を説明するための図である。
【図11】 第4吐出方法にて印刷される画像を説明するための図である。
【図12】 第5吐出方法にて印刷される画像を説明するための図である。
【図13】 図13Aは第2実施例に適したノズル列モジュールユニットを模式的に表した説明図、図13Bは印刷用紙を搬送させながらラスタを形成していく第2実施例の動作を概念的に表した説明図である。
【図14】 第2実施例のカラープリンタ10で行われるラスタ分類処理の流れを示すフローチャートである。
【符号の説明】
1 紙送りモータ(PFモータ) 2 紙送りモータドライバ
3 キャリッジ 4 キャリッジモータ(CRモータ)
5 CRモータドライバ 7 搬送ローラ
9 印刷ヘッド(吐出ヘッド) 10 カラープリンタ
15 ロータリ式エンコーダ 16 ヘッドドライバ
17 リニア式エンコーダ 18 ホストコンピュータ
19 リニア式エンコーダ用符号板 20 用紙検出センサ
21 バッファメモリ 22 イメージバッファ
25 プラテン 26 コントローラ
27 メモリ 28 制御回路
30 プーリ 31 駆動ベルト
32 印刷用紙(媒体) 44 摺動軸
50 インク通路
51〜54 ノズル列モジュールユニット
51a〜54a ノズル列モジュール
A,B,C,D ノズル列モジュール
AB,BC,CD ノズル並設部分(吐出部並設部分)
Ip インク滴
Nz ノズル
PE ピエゾ素子

Claims (8)

  1. 搬送方向に媒体を搬送する搬送手段と、
    前記搬送方向と交差する移動方向に移動しつつ、前記媒体に対してインク滴を吐出することにより、前記媒体にドットを形成する吐出ヘッドと、
    を備え、
    前記吐出ヘッドには、第1吐出部列と第2吐出部列と第3吐出部列とが前記搬送方向に沿って配置され、
    前記第1吐出部列と前記第2吐出部列とは、前記第1吐出部列の前記搬送方向の下流側に位置する吐出部と、前記第2吐出部列の前記搬送方向の上流側に位置する吐出部とが、第1吐出部並設部分を有するように配置され、
    前記第2吐出部列と前記第3吐出部列とは、前記第2吐出部列の前記搬送方向の下流側に位置する吐出部と、前記第3吐出部列の前記搬送方向の上流側に位置する吐出部とが、第2吐出部並設部分を有するように配置され、
    前記第1吐出部並設部分において前記移動方向に並ぶ吐出部は、複数の吐出方法のうち一の吐出方法に設定可能であり、
    前記第2吐出部並設部分において前記移動方向に並ぶ吐出部は、前記複数の吐出方法のうち前記一の吐出方法と異なる吐出方法に設定可能である、印刷装置。
  2. 請求項1に記載の印刷装置において、
    前記一の吐出方法と、前記一の吐出方法と異なる吐出方法とは、前記複数の吐出方法にて所定のパターンを印刷した結果に基づいて設定可能であることを特徴とする印刷装置。
  3. 請求項2に記載の印刷装置において、
    前記所定のパターンは、中間調の領域を含む画像であることを特徴とする印刷装置。
  4. 請求項2または3に記載の印刷装置において、
    前記所定のパターンは、ドット密度が高い領域を含む画像であることを特徴とする印刷装置。
  5. 搬送方向に媒体を搬送する搬送手段と、
    前記搬送方向と交差する移動方向に移動しつつ、前記媒体に対してインク滴を吐出することにより、前記媒体にドットを形成する吐出ヘッドと、
    を備え、
    前記吐出ヘッドには、第1吐出部列と第2吐出部列と第3吐出部列とが前記搬送方向に沿って配置され、
    前記第1吐出部列と前記第2吐出部列とは、前記第1吐出部列の前記搬送方向の下流側に位置する吐出部と、前記第2吐出部列の前記搬送方向の上流側に位置する吐出部とが、第1吐出部並設部分を有するように配置され、
    前記第2吐出部列と前記第3吐出部列とは、前記第2吐出部列の前記搬送方向の下流側に位置する吐出部と、前記第3吐出部列の前記搬送方向の上流側に位置する吐出部とが、第2吐出部並設部分を有するように配置され、
    前記複数の吐出方法にて、中間調の領域を含む画像またはドット密度が高い領域を含む画像を印刷した結果に基づいて、前記第1吐出部並設部分において前記移動方向に並ぶ吐出部が複数の吐出方法のうち一の吐出方法に設定可能であり、前記第2吐出部並設部分において前記移動方向に並ぶ吐出部が複数の吐出方法のうち前記一の吐出方法とは異なる吐出方法に設定可能である、印刷装置。
  6. (A)コンピュータ本体と、
    (B)前記コンピュータ本体に接続される印刷装置であって、
    搬送方向に媒体を搬送する搬送手段と、
    前記搬送方向と交差する移動方向に移動しつつ、前記媒体に対してインク滴を吐出することにより、前記媒体にドットを形成する吐出ヘッドと、
    を備え、
    前記吐出ヘッドには、第1吐出部列と第2吐出部列と第3吐出部列とが前記搬送方向に沿って配置され、
    前記第1吐出部列と前記第2吐出部列とは、前記第1吐出部列の前記搬送方向の下流側に位置する吐出部と、前記第2吐出部列の前記搬送方向の上流側に位置する吐出部とが、第1吐出部並設部分を有するように配置され、
    前記第2吐出部列と前記第3吐出部列とは、前記第2吐出部列の前記搬送方向の下流側に位置する吐出部と、前記第3吐出部列の前記搬送方向の上流側に位置する吐出部とが、第2吐出部並設部分を有するように配置される印刷装置と、
    を有する印刷システムにおいて、
    前記第1吐出部並設部分において前記移動方向に並ぶ吐出部は、複数の吐出方法のうち一の吐出方法に設定可能であり、
    前記第2吐出部並設部分において前記移動方向に並ぶ吐出部は、前記複数の吐出方法のうち前記一の吐出方法とは異なる吐出方法に設定可能である、印刷システム。
  7. 搬送方向に媒体を搬送する搬送手段と、
    前記搬送方向と交差する移動方向に移動しつつ、前記媒体に対してインク滴を吐出することにより、前記媒体にドットを形成する吐出ヘッドと、
    を備え、
    前記吐出ヘッドには、第1吐出部列と第2吐出部列と第3吐出部列とが前記搬送方向に沿って配置され、
    前記第1吐出部列と前記第2吐出部列とは、前記第1吐出部列の前記搬送方向の下流側に位置する吐出部と、前記第2吐出部列の前記搬送方向の上流側に位置する吐出部とが、第1吐出部並設部分を有するように配置され、
    前記第2吐出部列と前記第3吐出部列とは、前記第2吐出部列の前記搬送方向の下流側に位置する吐出部と、前記第3吐出部列の前記搬送方向の上流側に位置する吐出部とが、第2吐出部並設部分を有するように配置される印刷装置におけるインク滴の吐出方法において、
    前記第1吐出部並設部分において前記移動方向に並ぶ吐出部を複数の吐出方法のうち一の吐出方法に設定され、前記第2吐出部並設部分において前記移動方向に並ぶ吐出部は、前記複数の吐出方法のうち前記一の吐出方法とは異なる吐出方法に設定される、インク滴の吐出方法。
  8. 搬送方向に媒体を搬送する搬送手段と、
    前記搬送方向と交差する移動方向に移動しつつ、前記媒体に対してインク滴を吐出することにより、前記媒体にドットを形成する吐出ヘッドと、
    を備え、
    前記吐出ヘッドには、第1吐出部列と第2吐出部列とが前記搬送方向に間隔を隔てて配置され、
    前記吐出ヘッドが前記搬送方向と交差する移動方向に移動する第1の移動と、第2の移動との間に、前記媒体が搬送されることにより、
    前記第1吐出部列の前記搬送方向の下流側に位置する吐出部と、前記第2吐出部列の前記搬送方向の上流側に位置する吐出部とが、前記搬送方向について重なる第1異吐出部ドット形成領域を有し、前記第2吐出部列の前記搬送方向の下流側に位置する吐出部と、前記第3吐出部列の前記搬送方向の上流側に位置する吐出部とが、前記搬送方向について重なる第2異吐出部ドット形成領域を有し、
    前記第1異吐出部ドット形成領域において複数の吐出方法のうち一の吐出方法に設定可能であり、
    前記第2異吐出部ドット形成領域において前記複数の吐出方法のうち前記一の吐出方法とは異なる吐出方法に設定可能である、印刷装置。
JP2003142533A 2003-05-20 2003-05-20 印刷装置、印刷システム、及び、インク滴の吐出方法 Expired - Fee Related JP4487496B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003142533A JP4487496B2 (ja) 2003-05-20 2003-05-20 印刷装置、印刷システム、及び、インク滴の吐出方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003142533A JP4487496B2 (ja) 2003-05-20 2003-05-20 印刷装置、印刷システム、及び、インク滴の吐出方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2004345138A JP2004345138A (ja) 2004-12-09
JP4487496B2 true JP4487496B2 (ja) 2010-06-23

Family

ID=33530593

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2003142533A Expired - Fee Related JP4487496B2 (ja) 2003-05-20 2003-05-20 印刷装置、印刷システム、及び、インク滴の吐出方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4487496B2 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2014012374A (ja) * 2012-07-05 2014-01-23 Seiko Epson Corp 印刷方法および印刷装置
JP7319585B2 (ja) * 2019-03-09 2023-08-02 ブラザー工業株式会社 画像処理装置、および、コンピュータプログラム

Family Cites Families (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH08244253A (ja) * 1995-03-08 1996-09-24 Canon Inc 記録装置および方法と、情報処理システム
JP3245361B2 (ja) * 1996-07-30 2002-01-15 キヤノン株式会社 画像記録装置および画像記録システム
JP2000108386A (ja) * 1998-10-03 2000-04-18 Copyer Co Ltd インクジェット記録方法および装置
JP2000168109A (ja) * 1998-12-11 2000-06-20 Olympus Optical Co Ltd 画像補正装置
JP3702711B2 (ja) * 1999-06-18 2005-10-05 セイコーエプソン株式会社 印刷装置および印刷方法
JP2001212991A (ja) * 2000-02-03 2001-08-07 Canon Inc インクジェット記録装置およびインクジェット記録方法
TW523465B (en) * 2001-02-06 2003-03-11 Olympus Optical Co Image forming apparatus

Also Published As

Publication number Publication date
JP2004345138A (ja) 2004-12-09

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3702711B2 (ja) 印刷装置および印刷方法
JP5063323B2 (ja) インクジェット記録装置およびインクジェット記録方法
US7954923B2 (en) Liquid ejecting apparatus and liquid ejecting method
JP5105777B2 (ja) 画像処理方法およびインクジェット記録装置
JP5020555B2 (ja) インクジェット記録装置及びそのドットパターン記録方法
US8091977B2 (en) Inkjet printing apparatus and inkjet printing method
JP2009234170A (ja) 印刷装置
WO2006017800A2 (en) Means for higher speed inkjet printing
EP2463106B1 (en) Image forming apparatus, method of processing image, and computer program
JPH10337864A (ja) ドット記録方法およびドット記録装置、並びに、そのためのプログラムを記録した記録媒体
JP3804598B2 (ja) 画像形成装置
JPH11207945A (ja) 印刷装置および印刷方法並びに記録媒体
JP2002103584A (ja) プラテンを汚すことなく印刷用紙の端部まで行う印刷
JPH11208029A (ja) 印刷装置および印刷方法並びに記録媒体
JPH11291506A (ja) 印刷装置および印刷方法並びに記録媒体
JPH10278247A (ja) ドット記録方法およびドット記録装置
JPH10337863A (ja) ドット記録方法およびドット記録装置、並びに、そのためのプログラムを記録した記録媒体
JP5343469B2 (ja) 画像形成装置及び画像形成方法
JP2009262342A (ja) 液体吐出装置、液体吐出方法
JP4487496B2 (ja) 印刷装置、印刷システム、及び、インク滴の吐出方法
US7252364B2 (en) Ink jet printing apparatus and printing position setting method of the apparatus
JP4539182B2 (ja) 印刷装置、コンピュータプログラム、印刷システム、及び、印刷方法
JP2013010318A (ja) 印刷装置、および、コンピュータプログラム
JP2011056705A (ja) 画像形成装置
JP2005088467A (ja) 画像形成装置及び液滴吐出ヘッド

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20060406

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20090402

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20090512

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20090706

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20100309

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20100322

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130409

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4487496

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130409

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140409

Year of fee payment: 4

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees