JP4486727B2 - 循環型クリーンルーム - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は循環型クリーンルームに関し、特に施工性に優れるとともに形成される清浄空間の有効活用に好適な循環型クリーンルームに関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体製品の製造等に利用されるクリーンルームでは、空気中の汚染物質による半導体製品の汚染を防止するために、半導体製品の製造装置の設置空間や半導体製品の搬送空間等を、より清浄度の高い清浄空間にする必要がある。清浄空間の形成は、一過性のクリーンエアの送風によるクリーンルームよりも、清浄空間へクリーンエアを供給するとともに清浄空間からの還気を再び浄化して清浄空間へ供給する循環型クリーンルームの方が、より高い清浄度の清浄空間にする上で好適である。また、清浄空間の形成は、半導体製品の製造ラインの変更等に対して柔軟に対応できることが望まれている。このため、容易に構築することができるとともに高い清浄度の清浄空間を形成することができる循環型クリーンルームが従来より提案されている。
【0003】
前述した循環型クリーンルームとしては、例えば特開平11−253732号公報に記載されているように、清浄空間の天井部に設けられたフィルタ装置と、清浄空間の通気床の下部に形成された下部チャンバと、清浄空間の天井部に形成され下部チャンバと連通する上部チャンバとを備え、前記フィルタ装置は、天井フレーム上にシール部を形成することなく載置された複数のフィルタ部材と、これら複数のフィルタ部材を所定数毎に覆う複数のフード部材とで構成され、各フード部材は、フィルタ装置とは離間して上部チャンバ内に設置されたファンにダクトを介して連絡することによって構成される循環型クリーンルームが知られている。
【0004】
また前述した循環型クリーンルームとしては、例えば特公平4−54140号公報に記載されているように、清浄空間に向けて開口する二種類のユニット、すなわち清浄空間の空気を吸い込む空気吸込口ユニットと、フィルタ部材及びファンを備えるファンフィルタユニットとによって清浄空間の天井面を形成するとともに、清浄空間の外側に設けられる空気調和器と、この空気調和器及びファンフィルタユニットを接続する給気ダクト手段と、空気吸込口ユニット及びファンフィルタユニットを接続する還気ダクト手段とを備える循環型クリーンルームが知られている。また、この公報には、クリーンエアの供給口の縁部から清浄空間に向けて延出する垂れ壁を設けると清浄空間の清浄度をより高めることができる、との記載がなされている。
【0005】
特開平11−253732号公報に記載されている循環型クリーンルームは、前記フード部材を設けることによって、各々のフィルタ部材を通過してなるクリーンエアの供給量を一定にし、乱流式に比べて清浄度の高い垂直層流の清浄空間を容易に形成しようとするものである。
【0006】
また特公平4−54140号公報に記載されている循環型クリーンルームは、ファンフィルタユニット、空気吸込口ユニット等によって構成され、クリーンエアを生成するとともに清浄空間の空気を還気するための空気の循環経路を清浄空間の外部(主に天井裏)に形成することで、清浄空間となるべき場所に配置されている既存の製造装置等を移動させることなく、所期の清浄度の清浄空間を容易に形成しようとするものである。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
特開平11−253732号公報に記載されている循環型クリーンルームは、垂直層流式のクリーンルームであることから高清浄度の清浄空間の形成により好適だが、前記下部チャンバを要するとともに、前記上部チャンバと前記下部チャンバとを連通する通気路を要することから、少なくとも以下に示す問題点が指摘される。
【0008】
この循環型クリーンルームには、作業空間となる清浄空間の床下に下部チャンバを設ける必要がある。しかし、既存の製造現場等の床下には、ユーティリティ用の配管やダクト等が一般に設置されている。従って、この循環型クリーンルームを既存の製造現場等に構築する場合には、下部チャンバを設置できない、あるいは十分な大きさの下部チャンバを設置できない等の問題がある。
【0009】
またこの循環型クリーンルームには、下部チャンバと上部チャンバとを連通する通気路(リターンチャンバ)を設ける必要がある。一方、通気路は、壁裏を利用できない等の施工上の理由から作業空間内を縦断するように設けられる場合がある。また、既存の製造現場等では、床用の骨組み構造(床モジュール)と、天井用の骨組み構造(天井モジュール)とが、大きさや位置等において一致しない場合や、製造現場内に既存の製造装置等のためのユーティリティ用の配管やダクト等が配置されている場合がある。従って、この循環型クリーンルームを既存の製造現場等に構築する場合には、水平方向における清浄空間の有効面積が前記通気路の形成によって減少する、あるいは上部チャンバ及び下部チャンバを十分に接続できない、あるいは前記通気路を形成するのに十分な空間を確保できない等の問題がある。
【0010】
また、特公平4−54140号公報に記載されている循環型クリーンルームは、クリーンエアを生成するとともに清浄空間の空気を還気するための空気の循環経路を清浄空間の天井裏等に備えることから清浄空間の有効活用により好適であり、前記垂れ壁を設けることによって清浄空間の清浄度をさらに高めるのに好適である。しかし、前述した製造現場等では、最も清浄度の高い空間で製造作業等が行われるように、ファンフィルタユニットの直下に作業域や製造装置等が配置される。従って、この循環型クリーンルームを既存の製造現場等に構築する場合には、既存の製造装置等のためのユーティリティ用の配管やダクトの配置によっては、前記垂れ壁を設置するのに十分な空間が確保できず、所期の清浄度を達成できない等の問題がある。
【0011】
以上の説明からわかるように、前述したこれら従来の循環型クリーンルームには、その構築の施工性や、清浄空間における所期の清浄度の達成等、に改良の余地が残されている。本発明は前記事項に鑑みなされたもので、様々な態様に対して柔軟に対応することができるとともに、有効活用容積の損失がより低減され、かつ高い清浄度の清浄空間をより容易に形成することを課題とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明は循環型クリーンルームであり、前記課題を解決するための手段として、以下に示す構成とされている。
すなわち本発明の循環型クリーンルームは、空気中の汚染物質が除去されたクリーンエアを清浄空間へ供給するクリーンエア供給部と、前記清浄空間の空気が吸い込まれるとともに前記クリーンエア供給部と接続されて清浄空間の空気をクリーンエア供給部に還気する還気部と、前記クリーンエア供給部及び前記還気部の少なくともいずれかに設けられて空気中の汚染物質を除去する空気浄化手段と、前記クリーンエア供給部から前記清浄空間を通り前記還気部を経てクリーンエア供給部へ空気を循環させる送風手段とを備える循環型クリーンルームにおいて、
前記クリーンエア供給部は、前記清浄空間に向けて開口してクリーンエアを清浄空間へ供給するクリーンエア供給ユニットによって構成され、前記還気部は、前記清浄空間の空気が吸い込まれるように清浄空間に向けて開口する空気吸込口を備えるリターンチャンバユニットによって構成され、前記クリーンエア供給ユニットと前記リターンチャンバユニットとが前記清浄空間を仕切る面の一面を形成するように配置されているとともに、清浄空間に向けて延出する還気案内部が前記空気吸込口の周囲に設けられていることを特徴とする。
【0013】
前記構成によれば、クリーンエアを生成するとともに清浄空間の空気を還気するための空気の循環経路がユニットの接続によって構成されるため、本発明の循環型クリーンルームを容易に構築することが可能となるとともに、様々な態様を要求される清浄空間の形成に対して柔軟に対応することが可能となる。
【0014】
また前記構成によれば、クリーンエアを生成するとともに清浄空間の空気を還気するための空気の循環経路が、清浄空間を仕切る面の一面側で構成されるため、清浄空間に空気の循環経路(例えば清浄空間を貫く前記通気路等)を構成する必要がなく、清浄空間における有効活用容積の損失をより低減することが可能となる。
【0015】
また前記構成によれば、還気案内部の延出先から清浄空間の空気が還気されることから、クリーンエア供給ユニットから還気案内部の延出先までの清浄空間において、クリーンエアの気流形状が層流に整えられる。従って、高い清浄度の清浄空間を形成することが可能となる。
【0016】
また本発明の循環型クリーンルームは、前記クリーンエア供給ユニットと前記リターンチャンバユニットとが前記清浄空間の天井面を形成するように配置されていることを特徴とする。この構成によれば、クリーンエア供給ユニットから還気案内部の延出先までの清浄空間において、クリーンエアの気流形状が垂直層流に整えられる。従って、より一層高い清浄度の清浄空間を形成することが可能となる。
【0017】
また本発明の循環型クリーンルームは、前記還気案内部が前記清浄空間への延出長さを調整自在に構成されていることを特徴とする。この構成によれば、還気案内部の延出長さの調整によって、清浄空間におけるクリーンエアの層流域の増減を自在に調整できる。すなわち、還気案内部をより長く延出させるとクリーンエアの層流域が増し、より高い清浄度の清浄空間を形成することが可能となる。また還気案内部の延出長さを適宜調整することによって、所期の清浄度の清浄空間を形成することが可能となる。また還気案内部の延出長さが調整自在であると、設置される機器の高さや、作業、保守への利便性、等に対応させた融通性のある清浄空間を形成することが可能となる。
【0018】
また本発明の循環型クリーンルームは、前記リターンチャンバユニットに接続されるとともに複数の前記クリーンエア供給ユニットに接続される分配チャンバを備えることを特徴とする。この構成によれば、クリーンエア供給ユニットへ空気がほぼ均等に分配されることから、清浄空間へクリーンエアを一様に供給するのに好ましく、清浄空間の清浄度を高める上でより効果的である。
【0019】
また本発明の循環型クリーンルームは、前記クリーンエア供給ユニットが、前記空気浄化手段と、前記クリーンエアを前記清浄空間へ送風する送風機とを備えることを特徴とする。この構成によれば、空気浄化手段が清浄空間の直前に位置し、清浄空間への汚染物質の混入の機会を少なくできる。またこの構成によれば、清浄空間へクリーンエアを供給するにあたり、クリーンエアの供給を一様に行うのに好ましいとともに、清浄空間へのクリーンエアの供給量を調整自在とするのに好ましく、清浄空間内に設置される製造装置等の運転状況や作業状況に応じた清浄度を清浄空間に提供でき、清浄空間の形成の省力化が図られる。また、既存のファンフィルタユニットを利用することによってクリーンエア供給ユニットを形成することが可能となり、本発明の循環型クリーンルームをより容易に、かつより安価に構築することが可能となる。
【0020】
また本発明の循環型クリーンルームは、前記リターンチャンバユニットが、前記清浄空間からの還気の温度を制御する温度制御手段を備えることを特徴とする。この構成によれば、清浄空間で発熱、あるいは吸熱が発生した場合に、清浄空間からの還気の温度が一定に制御されることから、清浄空間に供給されるクリーンエアを温度を一定にすることが可能となる。また、清浄空間と清浄空間に供給されるクリーンエアとの温度差が大きくなる(特に供給されるクリーンエアの温度が清浄空間の温度を上回る)と、清浄空間におけるクリーンエアの気流形状を乱す要因になるので、清浄空間の清浄度を高める上でもより効果的である。また温度制御手段は、小型で所期の性能を発揮するものであると、温度制御手段の設置空間を小さくすることができるとともに、温度制御手段の設置の施工が容易となるので好ましい。
【0021】
また本発明の循環型クリーンルームは、前記空気浄化手段へ外気を導入する外気導入手段を備えることを特徴とする。この構成によれば、清浄空間へ十分量のクリーンエアを供給することが可能となり、作業者の作業環境の維持のほか、清浄空間を外部に対して正圧に保つことが可能となる。清浄空間が外部に対して正圧であると、外部から清浄空間への空気の流入が防止される。従って、気密シールを施すことなく本発明の循環型クリーンルームを構築することが可能となり、清浄空間をより容易に形成するのに好ましい。
【0022】
また本発明の循環型クリーンルームは、前記清浄空間の空気を外部へ排気する排気手段を備えることを特徴とする。この構成によれば、清浄空間の余剰空気を排気することが可能となり、生産等の作業に悪影響のあるガス等の汚染物質を換気によって外部へ排除できるほかに、清浄空間の圧力や清浄度等の条件を一定に保つのに好ましい。
【0023】
前記清浄空間は、空気中の汚染物質が除去されたクリーンエアによって占められる空間である。従って清浄空間は、室内であっても良いし、パーテーション等の仕切り用部材によって仕切られて形成される空間であっても良いし、半導体製品製造機器の作業空間を覆う筐体内の空間等であっても良い。
【0024】
前記クリーンエア供給部は、クリーンエアを清浄空間へ供給するための構成であり、前記クリーンエア供給ユニットは、クリーンエア供給部を容易かつ自在に形成するための構成である。クリーンエア供給ユニットは、クリーンエアを清浄空間へ供給するための開口部を備えていれば良いが、清浄空間の清浄度や気流形状等を調整する場合等では、一部の前記開口部を閉じる構成としても良い。
【0025】
前記還気部は、清浄空間の空気をクリーンエア供給部へ還気するための構成であり、前記リターンチャンバユニットは、還気部を容易かつ自在に形成するための構成である。リターンチャンバユニットは、清浄空間の空気が吸い込まれる空気吸込口を備え、かつクリーンエア供給ユニットへの還気が十分に行われるように、クリーンエア供給ユニットの設置数等に応じて所定の割合で配置されていれば良い。すなわち、一体のリターンチャンバユニットが所定数のクリーンエア供給ユニットへ空気を還気するように設置されていれば良く、クリーンエア供給ユニットに対するリターンチャンバユニットの配置割合及びその配置等は、クリーンエアの循環風量、供給速度及び供給量等によって決めると良い。
【0026】
またクリーンエア供給ユニットやリターンチャンバユニットは、例えば清浄空間を仕切る面の一面に形成されるモジュール(縦横に延びるフレームによって囲まれる一区画)に合致する形状であると、これらのユニットの設置がより容易になるとともに、様々な態様が要求される清浄空間を形成するのに好ましい。
【0027】
前記分配チャンバは、それぞれのクリーンエア供給ユニットからのクリーンエアの供給をほぼ一様にするための構成である。分配チャンバは、均等な空気の分配に好適な所定数のクリーンエア供給ユニットと接続される構成であると良い。このような分配チャンバとしては、例えば、一側面に設けられた入口でリターンチャンバユニットと接続され、他側面に所定数(例えば2ないし3)設けられた出口で個々のクリーンエア供給ユニットと接続されるボックス状のチャンバ等を例示することができる。
【0028】
また分配チャンバは、その立体的な形状によって、複数のクリーンエア供給ユニットへほぼ均等に空気を分配できる構成であっても良い。このような分配チャンバとしては、例えば、上面または下面のいずれか一方の中央に設けられた入口でリターンチャンバユニットと接続され、互いに等間隔となるように周面に複数設けられた出口で個々のクリーンエア供給ユニットと接続される円筒形状のチャンバ等を例示することができる。
【0029】
クリーンエア供給ユニット、リターンチャンバユニット、及び分配チャンバは、空気またはクリーンエアが送風されるように接続されていれば良い。これらのユニット等は、フレキシブルダクトによって接続されると、より容易に接続できるとともに様々な組合せの接続が可能になるので好ましい。また、これらのユニット等は、それぞれに連絡ダクトを設け、隣り合うユニットまたはチャンバの連絡ダクトの端部同士を一体的に挟持することによって接続しても良い。
【0030】
前記送風手段は、クリーンエアや空気を循環させるための構成である。送風手段は、個々のクリーンエア供給ユニットに備えられる前記送風機であっても良く、また個々のクリーンエア供給ユニットへ一括して空気を供給する位置に備えられるものであっても良い。また送風手段は、送風手段の運転を自在に制御するインバータ機能を有することが、清浄空間へのクリーンエア供給を制御し、省電力化を図りながら清浄空間を所期の清浄度にする上で好ましい。
【0031】
前記還気案内部は、清浄空間の所定位置、すなわち還気案内部の延出先、からリターンチャンバユニットへ空気を案内することにより、清浄空間において前記空気吸込口に向かう気流を隔離し、還気案内部を除く清浄空間におけるクリーンエアの気流形状を整えるための構成である。従って還気案内部は、空気吸込口の周囲から清浄空間へ延出する面が形成されれば良いことから、清浄空間における空気吸込口の位置によっては、清浄空間の壁面や床面、天井面等を還気案内部の一部とするように構成されていても良い。
【0032】
還気案内部としては、互いに摺動自在かつその摺動方向において固定自在な二重構造のダクトであって、一方のダクトが空気吸込口に清浄空間側から接続されている二重ダクトや、空気吸込口の開口形状に合わさる断面形状に形成された伸縮自在な蛇腹構造のダクト等を例示することができる。また、空気吸込口が清浄空間の天井面で開口する場合の還気案内部としては、前述した例に加えて、空気吸込口の周囲に垂設される比較的剛性のある布あるいは合成樹脂シートや、空気吸込口の周囲に設けられるブラインドカーテン等を例示することができる。
【0033】
前記温度制御手段は、清浄空間で発熱あるいは吸熱等が発生する場合に、清浄空間の温度を一定にすべく、還気の温度を一定温度に制御するための構成である。温度制御手段としては、加熱コイルや冷却コイル等を例示することができる。温度制御手段は、清浄空間における発熱または吸熱のどちらか一方に対応する手段であっても良いし、あるいは清浄空間における発熱と吸熱の両方に対応する手段であっても良い。
【0034】
前記汚染物質は、空気中に含まれ、清浄空間において所期の清浄度を達成するのに障害となる物質であり、粒子状汚染物質やガス状汚染物質を含む概念である。粒子状汚染物質としては、空気中の塵埃、微生物等を例示することができる。またガス状汚染物質としては、酸性ガス、アルカリ性ガス、有機性ガス、イオン性ガス等を例示することができる。
【0035】
前記空気浄化手段は、先に例示されたような汚染物質を空気中から除去するための構成である。空気浄化手段は、除去しようとする汚染物質の種類によって使い分けられると良く、また複数種類の空気浄化手段を併用することによって構成されても良い。また空気浄化手段は、清浄空間に供給される空気がクリーンエアとなっていれば良いことから、清浄空間を除く空気の循環経路中に配置されていれば良い。
【0036】
空気浄化手段としては、空気中の粒子状汚染物質を捕集するHEPAフィルタ(High Efficiency Particulate Air-filter)やULPAフィルタ(Ultra Low Penetration Air-filter)、空気中のガス状汚染物質を吸着する、あるいはガス状汚染物質を粒子状汚染物質に変質させるケミカルフィルタ、水噴霧によって空気中の粒子状汚染物質及び水溶性のガス状汚染物質を捕集するエアワッシャ装置、等を例示することができる。なおエアワッシャ装置は、清浄空間の加湿手段として用いても良い。
【0037】
前記外気導入手段は、清浄空間を外部に対して正圧に保つために十分量のクリーンエアが清浄空間へ供給されるように、清浄空間を除く空気の循環経路へ外気を導入するための構成である。導入される外気は、温度、湿度、清浄度等の諸条件に合わせて予め調整されていることが好ましい。また外気導入手段は、導入される外気が前記空気浄化手段を通過するように設けられていれば良く、複数の外気導入手段が適所に設けられても良い。
【0038】
前記排気手段は、清浄空間の空気を外部へ排気するための構成である。排気手段としては、清浄空間から外部へ清浄空間の空気を送風する送風装置等を備えた強制排気手段や、清浄空間の圧力に応じて清浄空間と外部とを連通、遮断する圧力調整ダンパ(差圧ダンパ)等を備えた自然排気手段、等を例示することができる。
【0039】
強制排気手段は、清浄空間で多量の汚染物質が発生した場合に、清浄空間を所期の清浄度へ速やかに回復するのに好適である。自然排気手段は、清浄空間を外部に対して正圧に保ち、外部から清浄空間への空気の流入を防止するのに好適である。強制排気手段及び自然排気手段は、どちらか一方を用いても良く、また両者を併用しても良い。
【0040】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の循環型クリーンルームにおける実施の形態について、添付した図面に基づき説明する。
【0041】
<第1の実施の形態>
本実施の形態における循環型クリーンルームは、半導体製品を製造するための既設のクリーンルームに構築されている。まず既設のクリーンルームの構成を図1に基づき説明する。
【0042】
既設のクリーンルーム100は、既設のクリーンルーム100の天井裏であるとともに既設のクリーンルーム100へ供給される空気の通気路であるサプライプレナムチャンバ101と、既設のクリーンルーム100の床下であるとともに既設のクリーンルーム100から排出される空気の通気路であるリターンプレナムチャンバ102とを備えている。既設のクリーンルーム100の天井部には、既設のクリーンルーム100の水平方向に沿って縦横に天井フレーム50が組まれている。
【0043】
天井フレーム50によって区切られる矩形の一区画(以下、「天井モジュール」という)には、天井モジュールの区画に合わせた大きさの天井パネル103と、ファン及びHEPAフィルタを備えるファンフィルタユニット(図示せず)とが載置されている。また、既設のクリーンルーム100の床面は、通気床であるグレイチング床104で形成されている。また、サプライプレナムチャンバ101とリターンプレナムチャンバ102はリターンダクト(図示せず)によって接続されている。すなわち、既設のクリーンルーム100は、垂直層流式の循環型クリーンルームとして形成されている。
【0044】
次に、本実施の形態における循環型クリーンルームの構成を、図1〜図3に基づいて説明する。
本実施の形態における循環型クリーンルームは、清浄空間1に向けて開口して空気中の汚染物質が除去されたクリーンエアを清浄空間1へ供給する複数のクリーンエア供給ユニット2と、清浄空間1の空気が吸い込まれるように清浄空間1に向けて開口する空気吸込口6を備えるとともにクリーンエア供給ユニット2と接続されて清浄空間1の空気をクリーンエア供給ユニット2に還気するリターンチャンバユニット3とを備え、これらのユニットによって清浄空間1の天井面が形成されている。
【0045】
なお、本発明におけるクリーンエア供給部は、クリーンエア供給ユニット2によって構成され、本発明における還気部は、リターンチャンバユニット3によって構成されている。またリターンチャンバユニット3は、クリーンエア供給ユニット2の設置数及びクリーンエアの循環風量に応じて、所定の割合になるように設置される。
【0046】
より詳しくは、前記循環風量は、清浄空間1の容積や圧力、クリーンエア供給ユニット2の開口面積やクリーンエアの供給速度、及び前記空気浄化手段や前記温度制御手段の処理能力等によって決定され、決定された循環風量を達成するように、クリーンエア供給ユニット2とリターンチャンバユニット3とが所定の割合で設置される。一例を上げて説明すると、約0.3m/sのクリーンエアの供給速度で約100m3/minのクリーンエアの循環風量を達成しようとする場合では、例えば八体のクリーンエア供給ユニット2に対して一体のリターンチャンバユニット3が設置される。
【0047】
クリーンエア供給ユニット2の上方には、リターンチャンバユニット3に接続されるとともに複数のクリーンエア供給ユニット2に接続される分配チャンバ4が設けられている。すなわち、リターンチャンバユニット3とクリーンエア供給ユニット2は、分配チャンバ4を介して接続されている。空気吸込口6の周囲には、清浄空間1へ向けて延出する還気案内部5が設けられている。
【0048】
清浄空間1は、通気性のないレイズドフロア51によって床面が形成されている。また清浄空間1は、天井フレーム50からレイズドフロア51までを仕切るパーテーション52によって壁面が形成されている。リターンチャンバユニット3側のパーテーション52の下部には、清浄空間1の圧力が既設のクリーンルーム100の圧力に対して所定値以上の正圧である場合に、清浄空間1の空気を既設のクリーンルーム100へ排気する排気手段である差圧ダンパ7が設けられている。なお、清浄空間1の床面がグレイチング床等の通気床である場合には、通気性のないシートやパネルを敷くことによって、清浄空間1の床面を形成することができる。
【0049】
また差圧ダンパ7としては、例えば、パーテーション52に設けられた開口部に周設される枠に、負荷を調整自在な錘を備える羽根を蝶着し、前記枠には清浄空間1側への前記羽根の移動を規制するストッパを備える公知の差圧ダンパを採用できる。本実施の形態では、前述した構成の差圧ダンパ7を採用するものとして説明するが、前記差圧ダンパ7は、例えば清浄空間1内に設置される圧力計と、この圧力計と連動する自動弁とを備える圧力調整ダンパ等、その他の構成の圧力調整ダンパや排気手段であっても良い。
【0050】
クリーンエア供給ユニット2は、空気中の汚染物質を除去する空気浄化手段と、クリーンエアを清浄空間1へ送風する送風機(送風手段)とを備えた構成とされている。すなわちクリーンエア供給ユニット2は、分配チャンバ4から供給される空気中のガス状汚染物質を吸着するケミカルフィルタ8と、ケーシングに送風機(図示せず)が内蔵されてなるファンユニット10を備えるとともにファンユニット10から送風された空気中の塵埃等を捕集するULPAフィルタ9を備えるファンフィルタユニットFと、ケミカルフィルタ8及びファンユニット10を接続する連絡ダクト11とを備えている。ファンフィルタユニットFは、天井モジュールに合致する形状及び大きさに形成されて、天井フレーム50上に載置されている(図2)。なお前記送風機は、送風機の運転を自在に制御するインバータ機能を備えている。
【0051】
リターンチャンバユニット3は、空気吸込口6から吸い込まれた清浄空間1の空気を所定の温度に制御する温度制御手段である冷却コイル12と、リターンチャンバユニット3に外気を導入する外気導入手段である外気導入ファン13とを備えている。リターンチャンバユニット3は、天井モジュールに合致する形状及び大きさに形成されて、清浄空間1の隅にあたる天井フレーム50上に載置されている(図2)。なお、外気導入ファン13には、外気の温度、湿度、清浄度等を調整する外気調整装置(図示せず)から外気が導入されても良いし、既設のクリーンルーム100やサプライプレナムチャンバ101等を経由して外気が導入されても良い。
【0052】
分配チャンバ4は、リターンチャンバユニット3とフレキシブルダクト14によって接続されるとともに、クリーンエア供給ユニット2への空気の分配がほぼ均等になるように所定数(例えば2ないし3)のクリーンエア供給ユニット2のケミカルフィルタ8と接続されている(図2)。
【0053】
還気案内部5は、隣り合う二つのパーテーション52と、天井フレーム50から垂設される断面L字型の垂れ壁5aとによって形成されている。すなわち、清浄空間1の隣り合う二つの壁面と垂れ壁5aとが、空気吸込口6の周囲から清浄空間1に向けて延出する面を形成することによって還気案内部5を構成している(図3)。なお、垂れ壁5aの延出長さは、クリーンエアの供給速度、清浄空間1の温度、天井モジュールの寸法等に応じて適当な長さに調整されている。このような垂れ壁5aには、例えばビニールカーテンを例示できるが、ビニールカーテンは清浄空間1の気流によって動かされるため、清浄空間1の気流によって動かされない垂れ壁を採用することが好ましい。この好ましい垂れ壁としては、例えばアクリル製のパネルや鉄板焼付塗装を施したサンドイッチパネル等を例示でき、これら例示される垂れ壁は、市場で容易に入手することが可能である。
【0054】
なお清浄空間1には半導体製品製造装置や半導体製品処理装置等の半導体製品製造機器53がクリーンエア供給ユニット2の直下に設置されている。また半導体製品製造機器53に面するパーテーション52には、半導体の半製品や未処理品等を半導体製品製造機器53に搬送するための搬送用窓(図示せず)が形成されている。半導体製品製造機器53は、リターンチャンバユニット3側のパーテーション52に背面を向けて設置されており、リターンチャンバユニット3直下を含む半導体製品製造機器53の背面の空間は、半導体製品製造機器53のメンテナンス用空間とされている。
【0055】
次に本実施の形態における循環型クリーンルームの作動状態について説明する。なお、本実施の形態における循環型クリーンルームの空気の流れは、図1における実線の矢印によって示されている。
まず、外気導入ファン13からリターンチャンバユニット3へ外気が導入される。導入された外気は、フレキシブルダクト14を通って分配チャンバ4へ供給される。分配チャンバ4に供給された外気は、分配チャンバ4に接続されている個々のクリーンエア供給ユニット2へほぼ均等に分配される。
【0056】
分配チャンバ4からの外気は、ケミカルフィルタ8を通る。このとき外気中に含まれるガス状汚染物質がケミカルフィルタ8によって吸着、除去される。ガス状汚染物質が除去された外気は、連絡ダクト11、ファンユニット10、及びULPAフィルタ9を通って清浄空間1へ供給される。外気は、清浄空間1に供給される前にULPAフィルタ9を通る。このとき外気中に含まれる塵埃等の粒子状汚染物質が捕集、除去される。従って、清浄空間1には汚染物質が除去されたクリーンエアが供給される。
【0057】
清浄空間1におけるクリーンエアは、クリーンエアの清浄空間1への供給方向に沿って、清浄空間1における垂れ壁5aの延出先よりもやや下方の位置まで垂直下方に向けて流れる。垂れ壁5aの延出先よりも下方まで流れたクリーンエアは、垂れ壁5a及びパーテーション52によって構成される還気案内部5に向けて流れ、空気吸込口6へと案内され、空気吸込口6からリターンチャンバユニット3に吸い込まれる。
【0058】
清浄空間1に気流を発生させる要因は、主にクリーンエア供給ユニット2からのクリーンエアの供給と、空気吸込口6への還気とである。還気による気流は、垂れ壁5aによってクリーンエア供給ユニット2下方の清浄空間1とは隔離される。このため、クリーンエア供給ユニット2下方の清浄空間1では、クリーンエア供給ユニット2のクリーンエアの供給に支配されてクリーンエアの気流形状が形成される。従って、天井面から還気案内部5の延出先までのクリーンエア供給ユニット2下方における清浄空間1の気流形状は、垂直層流となる。
【0059】
清浄空間1におけるクリーンエアは、例えば半導体製品製造機器53の運転による発熱によって昇温する場合があるが、空気吸込口6から吸い込まれた還気であるクリーンエアは、冷却コイル12を通ることによって所定の温度に制御される。所定の温度に制御された還気は、リターンチャンバユニット3内で外気導入ファン13によって導入される外気と合わさって、再び分配チャンバ4へ供給される。
【0060】
クリーンエアは、例えば半導体製品製造機器53の作業内容等によって過剰に清浄空間1へ供給される場合がある。このような場合において清浄空間1の圧力が所定値以上になると、差圧ダンパ7は自動的に開き、清浄空間1の空気の一部を余剰空気として既設のクリーンルーム100へ排気する。清浄空間1の圧力が所定値を下回ると、差圧ダンパ7は自動的に閉じ、既設のクリーンルーム100に対する清浄空間1の正圧状態が保たれる。
【0061】
以上の説明からわかるように、本実施の形態における循環型クリーンルームは、クリーンエアを生成するとともに清浄空間1の空気を還気するための空気の循環経路が、クリーンエア供給ユニット2、リターンチャンバユニット3、及び分配チャンバ4からなるユニット等によって構成されていることから、清浄空間1を容易に形成することができる。
【0062】
また本実施の形態における循環型クリーンルームは、クリーンエア供給ユニット2及びリターンチャンバユニット3によって清浄空間1の天井面が形成されることから、天井面から垂直下方に向けて一様にクリーンエアが供給される清浄度の高い清浄空間1(垂直層流)を形成することができるとともに、清浄空間1を貫くリターンダクト等の通気路を備える循環型クリーンルームに比べて、清浄空間1における有効活用容積を大きくすることができる。また、これらのユニットが天井モジュールに合致する大きさに形成されていることから、前記ユニットの配置によって清浄空間1の拡張や縮小、あるいは変形等を容易に行うことができ、半導体製品の製造ラインの変更等に対して柔軟に対応することができる。
【0063】
また本実施の形態における循環型クリーンルームは、外気導入ファン13、インバータ機能を備える前記送風機、及び差圧ダンパ7を備えることから、清浄空間1等を外部に対して正圧に保つことができ、既設のクリーンルーム100やサプライプレナムチャンバ101等からの空気の流入を防止することができる。従って、本実施の形態における循環型クリーンルームは、各ユニット等の設置にあたり気密シールを施す必要がないため、より容易に構築することができる。
【0064】
また本実施の形態における循環型クリーンルームは、リターンチャンバユニット3と分配チャンバ4とがフレキシブルダクト14によって接続されることから、これらのユニット及びチャンバを容易に接続することができるとともに接続の融通性が向上し、半導体製品の製造ラインの変更等に伴うユニット等の配置変更にも柔軟に、かつより容易に対応することができる。
【0065】
また本実施の形態における循環型クリーンルームは、隣り合う二つのパーテーション52及び垂れ壁5aによって形成される還気案内部5を備えることから、クリーンエア供給ユニット2によって占められる清浄空間1の天井面から垂れ壁5aの延出先までの清浄空間1におけるクリーンエアの気流形状を垂直層流に整えることができ、より高い清浄度の清浄空間1を形成することができる。
【0066】
また本実施の形態における循環型クリーンルームは、還気案内部5が空気吸込口6の周囲に設けられることによって、気流形状の調整による清浄空間1の清浄度の向上が達成されることから、最も高い清浄度が期待されるクリーンエア供給ユニット2下方の清浄空間1に、半導体製品製造機器53を設置する際の立体的な障害がないため、清浄空間1をより有効に活用することができる。
【0067】
また本実施の形態における循環型クリーンルームは、清浄空間の容積が同一であるとして、既設のクリーンルーム100のように清浄空間の床下にリターンプレナムチャンバを備える循環型のクリーンルームと比べた場合に、清浄空間と連通するチャンバ等の空間を床下に設けない分だけ、清浄空間1の圧力損失をより少なくすることができる。従って、ファンユニット10の送風機の動力をより低減することができるとともに、ケミカルフィルタ8やULPAフィルタ9の寿命をより延ばすことができるので、ランニングコストをより小さくすることができる。
【0068】
また本実施の形態における循環型クリーンルームは、既設のクリーンルーム100のようなリターンプレナムチャンバ102等、床下にチャンバ等を設ける必要がないことから、清浄空間1となるべき空間の床下の状況に関わらず構築することができるとともに、既設のクリーンルームの改造やクリーンルームの新設等、施工の形態に関わらず容易に構築することができる。
【0069】
<第2の実施の形態>
本実施の形態における循環型クリーンルームは、分配チャンバを備えない点と、リターンチャンバユニットの構成と、清浄空間への還気案内部の延出長さが調整自在である点とが、前述した第1の実施の形態の構成と異なる。なお、その他の構成については、前述した第1の実施の形態と同様とし、同様の構成等についてはその説明を省略する。
【0070】
本実施の形態における循環型クリーンルームを図4に示す。クリーンエア供給ユニット2は、連絡ダクト21を備える筺体20と、ファンフィルタユニットFとを備え、ファンフィルタユニットFのファンユニット10と筺体20とが接続されることによって構成されている。またリターンチャンバユニット3は、外気導入ファン13の下流側に設けられるケミカルフィルタ18と、ケミカルフィルタ18の下流側に設けられる連絡ダクト21とによって構成とされている。また還気案内部5は、清浄空間1への延出長さを調整自在な垂れ壁15aと、隣り合う二つのパーテーション52とによって構成されている。
【0071】
クリーンエア供給ユニット2とリターンチャンバユニット3、及びクリーンエア供給ユニット2同士は、連絡ダクト21によって接続されている。隣り合う連絡ダクト21は、図5に示されるように、互いの端部によってパッキン22を挟み、先端が閉じる方向に付勢されている断面U字型のクリップ23によって、端部同士が複数箇所で一体的に挟持されて接続されている。なおクリップ23は、接続箇所からの空気の漏出を少なくするために、互いの間隔が連絡ダクト21の周面に沿って所定の間隔以下(例えば500mm以下)となるように配置されている。
【0072】
垂れ壁15aは、図4の実線で示される位置から、図4の破線で示される位置まで延出長さを調整自在に構成されている。また、垂れ壁15aの延出が実線で示される位置であるときの清浄空間1の気流形状を実線の矢印で示し、垂れ壁15aの延出が破線で示される位置であるときの清浄空間1の気流形状を破線の矢印で示す。
【0073】
清浄空間1の気流形状は、垂れ壁15aを例えば破線で示される位置まで延出させると、クリーンエア供給ユニット2のクリーンエアの供給に支配されるクリーンエアの垂直層流域が、清浄空間1の垂直方向に沿って下方に広がる。このように、クリーンエアの垂直層流域の増減は、垂れ壁15aの延出長さの長短によって決定されている。
【0074】
以上の説明からわかるように、本実施の形態における循環型クリーンルームは、清浄空間1への延出長さを調整自在な垂れ壁15aによって還気案内部5が構成されることから、垂れ壁15aの延出長さを長くすることによって清浄空間1の清浄度をより高めることができるとともに、垂れ壁15aの延出長さを調整することによって所期の清浄度の清浄空間を形成することができる。
【0075】
<第3の実施の形態>
本実施の形態における循環型クリーンルームは、クリーンエア供給ユニットの構成と、リターンチャンバユニットの構成とが、前述した第1の実施の形態の構成と異なる。なお、その他の構成については、前述した第1の実施の形態と同様とし、同様の構成についてはその説明を省略する。
【0076】
本実施の形態における循環型クリーンルームを図6に示す。クリーンエア供給ユニット2は、清浄空間1に向けて開口するフード30と、フード30の開口部に設けられるパンチング板31と、フード30及び分配チャンバ4を接続する連絡ダクト11とによって構成されている。またリターンチャンバユニット3は、冷却コイル12の下流側に設けられる送風手段である送風ファン32と、送風ファン32の下流側に設けられる外気導入ファン13と、外気導入ファン13の下流側に設けられるケミカルフィルタ18と、ケミカルフィルタ18の下流側に設けられるULPAフィルタ39とによって構成されている。
【0077】
外気導入ファン13から導入された外気は、送風ファン32によって送風され、ケミカルフィルタ18、ULPAフィルタ39、及びフレキシブルダクト14を通って、クリーンエアとなって分配チャンバ4へ供給される。分配チャンバ4に供給されたクリーンエアは、クリーンエア供給ユニット2にほぼ均等に分配され、連絡ダクト11、フード30、及びパンチング板31を通って清浄空間1へ供給される。
【0078】
本実施の形態における循環型クリーンルームは、クリーンエア供給ユニット2が、フード30、パンチング板31、及び連絡ダクト11によって構成されることから、クリーンエア供給ユニット2の構成を簡略化することができ、より安価にクリーンエア供給ユニット2を構成することができる。また、各クリーンエア供給ユニット2へのクリーンエアの供給が送風ファン32によって一括して行われること、及びリターンチャンバユニット3から各クリーンエア供給ユニット2へクリーンエアが供給されるようにケミカルフィルタ18及びULPAフィルタ39がリターンチャンバユニット3に設けられていることから、送風ファン(送風機)32の設置台数、及び各フィルタの設置枚数をより少なくすることができる。従って、本実施の形態における循環型クリーンルームは、イニシャルコストをより低減することができる。
【0079】
また本実施の形態における循環型クリーンルームは、クリーンエアを生成するための手段がリターンチャンバユニット3に集中していることから、フィルタ等の点検や交換を一箇所で行うことができ、より容易に保守を行うことができる。
【0080】
【発明の効果】
本発明の循環型クリーンルームは、清浄空間を仕切る面の一面を形成するクリーンエア供給部及び還気部をユニットによって構成するとともに、清浄空間に向けて延出する還気案内部を空気吸込口の周囲に設けたことから、清浄空間における有効活用容積の損失をより低減することができ、様々な態様が望まれる清浄空間の形成に対して柔軟に対応することができるとともに、高い清浄度の清浄空間を容易に形成することができる。
【0081】
また本発明の循環型クリーンルームは、クリーンエア供給部及び還気部が清浄空間の天井面を形成したり、還気案内部の延出長さを調整自在に構成すると、より高い清浄度の清浄空間を形成するのにより効果的である。
【0082】
また本発明の循環型クリーンルームは、クリーンエア供給ユニット及びリターンチャンバユニットを接続する分配チャンバを備える構成としたり、クリーンエア供給ユニットに空気浄化手段と送風機とを備える構成とすると、清浄空間へのクリーンエアの一様な供給を達成することができ、より高い清浄度の清浄空間を形成するのにより効果的である。
【0083】
また本発明の循環型クリーンルームは、清浄空間からの還気の温度を一定に制御する温度制御手段や、空気浄化手段へ外気を導入する外気導入手段や、清浄空間の空気を外部に排気する排気手段等を備える構成とすると、清浄空間における圧力や温度等の変動に伴う清浄度の低下を防止することができ、より高い清浄度の清浄空間を形成するのにより効果的である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の循環型クリーンルームにおける第1の実施の形態を示す図である。
【図2】図1に示す循環型クリーンルームを上から見た図である。
【図3】図1に示す循環型クリーンルームの天井面を清浄空間側から見た図である。
【図4】本発明の循環型クリーンルームにおける第2の実施の形態を示す図である。
【図5】図4の循環型クリーンルームにおける連絡ダクト21の接続状態を示す要部拡大断面図である。
【図6】本発明の循環型クリーンルームにおける第3の実施の形態を示す図である。
【符号の説明】
1 清浄空間
2 クリーンエア供給ユニット
3 リターンチャンバユニット
4 分配チャンバ
5 還気案内部
5a、15a 垂れ壁
6 空気吸込口
7 差圧ダンパ
8、18 ケミカルフィルタ
9、39 ULPAフィルタ
10 ファンユニット
11、21 連絡ダクト
12 冷却コイル
13 外気導入ファン
14 フレキシブルダクト
20 筺体
22 パッキン
23 クリップ
30 フード
31 パンチング板
32 送風ファン
50 天井フレーム
51 レイズドフロア
52 パーテーション
53 半導体製品製造機器
100 既設のクリーンルーム
101 サプライプレナムチャンバ
102 リターンプレナムチャンバ
103 天井パネル
104 グレイチング床
F ファンフィルタユニット

Claims (4)

  1. 清浄空間の天井フレーム上に載置されて空気中の汚染物質が除去されたクリーンエアを清浄空間へ供給するクリーンエア供給部と、
    前記清浄空間の隅にあたる天井フレーム上に載置されて該清浄空間の空気が吸い込まれるとともに前記クリーンエア供給部と接続されて清浄空間の空気をクリーンエア供給部に還気する還気部と、
    前記還気部に設けられて空気中の汚染物質を除去する空気浄化手段と、
    前記クリーンエア供給部から前記清浄空間を通り前記還気部を経てクリーンエア供給部へ空気を循環させる、前記還気部に設けられる送風手段と、を備える循環型クリーンルームにおいて、
    前記クリーンエア供給部は、前記清浄空間に向けて開口してクリーンエアを清浄空間へ供給するクリーンエア供給ユニットによって構成され、
    前記還気部は、前記清浄空間の空気が吸い込まれるように清浄空間に向けて開口する空気吸込口を備えるリターンチャンバユニットによって構成され、
    前記クリーンエア供給ユニットは、隣接して前記天井面に複数設けられ、
    前記クリーンエア供給ユニットと前記リターンチャンバユニットとが前記清浄空間の天井に合致する大きさに形成され、且つ、前記清浄空間の天井面を形成するように配置されているとともに、清浄空間に向けて延出する還気案内部が前記空気吸込口の周囲に設けられ、
    前記リターンチャンバユニットに接続される分配チャンバを更に備え、
    前記クリーンエア供給ユニットは、前記清浄空間に向けて開口するフードと、前記フードの開口部に設けられるパンチング板と、前記フード及び前記分配チャンバを接続する連絡ダクトと、によって構成されることを特徴とする循環型クリーンルーム。
  2. 前記還気案内部が前記清浄空間への延出長さを調整自在に構成されていることを特徴とする請求項1に記載の循環型クリーンルーム。
  3. 前記リターンチャンバユニットが、前記清浄空間からの還気の温度を制御する温度制御手段を備えることを特徴とする請求項1または2に記載の循環型クリーンルーム。
  4. 前記清浄空間の床面は、通気性がなく、
    前記清浄空間の外部に設けられ、前記空気浄化手段へ外気を導入する外気導入手段と、
    前記リターンチャンバユニットが形成する前記清浄空間の天井面と対向する床面近くに設けられ、前記清浄空間の空気を外部へ排気する排気手段と、を更に備えることを特徴とする請求項1から3の何れか一項に記載の循環型クリーンルーム。
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