JP4486405B2 - 電解質膜電極接合体およびその製造方法 - Google Patents

電解質膜電極接合体およびその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、燃料として、純水素、メタノールもしくは化石燃料からの改質水素などの気体燃料、またはメタノール、エタノールもしくはジメチルエーテルなどの液体燃料を直接用い、空気または酸素を酸化剤として用いる燃料電池に関する。特に、本発明は、固体高分子電解質を用いた燃料電池の電極部分に関する。
高分子電解質を用いた燃料電池は、高分子電解質型燃料電池(PEFC)と呼ばれ、ポータブル電源、電気自動車用電源および家庭用コージェネシステムなどとして、すでに一部で使用されている。PEFCは、水素を含有する燃料ガスと空気など酸素を含有する酸化剤ガスとを電気化学的に反応させることで電力と熱とを同時に発生させる。
一般的に、PEFCは次のように構成される。まず、高分子電解質膜の両側に、白金族の金属触媒を担持したカーボン粉末と高分子電解質を含む一対の触媒層を形成する。この高分子電解質膜は、水素イオンを選択的に輸送するもので、パーフルオロカーボンスルホン酸からなる膜が一般的に用いられる。各触媒層の外側には、燃料ガスまたは酸化剤ガスを通気する電子伝導性を有するガス拡散層が形成される。ガス拡散層には、カーボンペーパーまたはカーボンクロスなどに炭素粉末とフッ素樹脂からなるカーボン層を形成したものが用いられる。
ここで、ガス拡散層は、主に三つの機能を持つ。第一の機能は、拡散層のさらに外面に形成されたガス流路から触媒層中の触媒へ均一に燃料ガスまたは酸化剤ガスなどの反応ガスを供給するために反応ガスを拡散する機能である。第二の機能は、触媒層で反応により生成した水を速やかにガス流路に排出する機能であり、第三の機能は、反応に必要なまたは生成される電子を導電する機能である。したがって、高い反応ガス透過性能、水蒸気透過性能および電子導電性が必要となる。従来の一般的な技術として、ガス透過能はガス拡散層を多孔質構造とすることにより、水蒸気透過能はフッ素樹脂で代表される撥水性の高分子などを層中に分散することにより、電子導電性はカーボン繊維や金属繊維、炭素微粉末などの電子導電性材料で拡散層を構成することにより、それぞれ達成しようとされてきた。
ガス透過能、水蒸気透過能および電子導電性を向上させるための種々の取り組みは、それぞれ相反する効果を示す。たとえば、ガス透過能を高めるために炭素繊維の径を小さくすることや充填量を減らすなどして、ガス拡散層の気孔率を高めると、電子導電性が低下する。また、水蒸気透過能を高めるために撥水性高分子を添加すると、ガス透過能や電子導電性が低下する。そこで、ガス拡散層を単一の構成にするのではなく、例えばカーボン繊維により形成された層と炭素粉末と撥水性高分子で形成された層を組み合わせて、上記相反する機能をうまく両立させる取り組みが種々なされている。しかし、上記撥水性高分子がガス拡散層として必要とする種々の特性について詳細に規定した例は少ない。
撥水性高分子を用いる最も一般的な代表例としては、特許文献1などに開示されているように、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)のディスパージョンにカーボンペーパーやカーボンクロスを含浸処理する方法や、特許文献2などに開示されているように、PTFEを添加した炭素微粉末の層(カーボン層)を形成する方法などが知られている。前記触媒層とガス拡散層とで電極が構成され、燃料ガスが供給される側の電極はアノード、酸化剤ガスが供給される側の電極はカソードと呼ばれる。また、PTFEを添加した炭素微粉末の層を形成した後に、その撥水力をより効果的に引き出し、かつディスパージョン中の界面活性剤を除去するため、撥水材の融点以上の温度で界面活性剤の沸点以上の温度で熱処理する方法が一般的に行われている。
また、MEAの製造方法としては、例えば触媒層用ペーストを印刷法やスプレー法により、ガス拡散層上に塗布して乾燥する方法で触媒層を形成し、このガス拡散層をその触媒層を内側にして、ホットプレスなどにより高分子電解質膜と結合させる方法がある。しかし、この方法では、触媒層用ペーストがガス拡散層に染み込むため、触媒層の膜厚制御および均一性確保が困難である。他の製造方法としては、触媒層用ペーストを印刷法やスプレー法により高分子電解質膜上に塗布し、乾燥して触媒層を形成する方法で電解質膜触媒層接合体を形成した後、この触媒層に、ホットプレスなどによりガス拡散層を圧着して一体化し、電解質膜電極接合体を得る方法がある。
さらに他の製造方法においては、まず、触媒層用ペーストをPTFE製、ポリエチレンテレフタレート(PET)製、またはポリプロピレン(PP)製などの基材フィルム上に塗布し、乾燥して触媒層を形成する。次いで、この基材フィルム上の触媒層を高分子電解質膜上に加熱圧着により転写し、基材フィルムを剥離することで電解質膜触媒層接合体を形成する。さらにこの電解質膜触媒層接合体の触媒層側に、ホットプレスなどによりガス拡散層を圧着し、電解質膜電極接合体を得る。
上記のMEAの製造方法のうち、電解質膜触媒層接合体を形成したのち、ガス拡散層をホットプレスなどにより圧着する製造方法では、いずれも、触媒層の膜厚制御および均一性確保が可能である。しかし、ホットプレスなどの圧着工程での高分子電解質膜の熱膨張と収縮により、ガス拡散層と電解質膜触媒層接合体との十分な結合性が得られず、著しい場合にはMEAからガス拡散層が脱離するという問題が発生する。また、これを回避するために圧力や温度を上げてホットプレスを行うと、高分子電解質膜にピンホールなどの損傷が発生し易いという問題がある。
さらに、カーボンペーパーやカーボンクロスの表面は、カーボン繊維による針状のバリがあり、カーボンペーパーやカーボンクロスと触媒層とを直接接触させると、高分子電解質膜にピンホールが生じ、内部短絡が発生する。このため、撥水層であるカーボン層をカーボンペーパーやカーボンクロスと触媒層との間に形成させることが必要である。ここで撥水材の撥水効果を上げるために、撥水剤の融点以上の温度で熱処理をした電極は、接着力が低下して電極の剥がれの問題が生じる。その結果、放電性能の低下や電池組立時の取り扱い性の低下による作業工程の増大を引き起こす。
ガス拡散層の結合強度が不十分な上記のMEAを用いて積層型燃料電池を構成する場合には、組立などの作業時にガス拡散層の脱離による電極の位置ずれなどの問題が発生するとともに作業性が低下する。また、上記のMEAは触媒層とガス拡散層の界面に空隙を生じやすい。このMEAを用いた燃料電池を高電流密度で作動させると、電極反応により発生する多量の水が前記の空隙に停滞し、この水が反応ガスの拡散を阻害する現象、いわゆるフラッディングが発生する。また、この電池を低加湿の反応ガスを用いて運転する場合には、高分子電解質膜が乾燥されやすいので、水素イオン伝導性を確保するための高分子電解質膜中の水分が不足する状態、いわゆるドライアップの状態に陥る。このように、従来のMEAを用いた電池では、水分マネージメントが適切に行われないために、フラッディングやドライアップが発生し、電池性能が低下するという問題がある。
特開平6−203851号公報 特開平7−220734号公報
以上のような従来技術に鑑み、本発明は、ガス拡散層におけるカーボン層の結着剤を最適化することにより、上述のような問題を解決することにあり、製造工程において電解質膜電極接合体の剥がれの問題がなく、かつ高い放電性能を持つ燃料電池を与え得る電解質膜電極接合体を提供することを目的とする。
本発明は、高分子電解質膜と、前記高分子電解質膜の一面に配されたアノード触媒層と、前記高分子電解質膜の他の一面に配されたカソード触媒層と、前記アノード触媒層の一面に配されたアノード側ガス拡散層と、前記カソード触媒層の一面に配されたカソード側ガス拡散層とを備え、
前記アノード側ガス拡散層と前記アノード触媒層との間および/または前記カソード側ガス拡散層と前記カソード触媒層との間に、カーボン粉末と結着剤とを含むカーボン層が配されており、前記結着剤が、テトラフルオロエチレン単位とプロピレン単位とを有するフッ素系弾性共重合体を含むことを特徴とする、高分子電解質型燃料電池用の電解質膜電極接合体に関する。
前記フッ素系弾性共重合体がフッ素ゴムであることが好ましい。
また、前記フッ素系弾性共重合体が、テトラフルオロエチレン単位およびプロピレン単位を有する弾性共重合体A、ならびにフッ化ビニリデン単位およびヘキサフルオロプロピレン単位を有する弾性共重合体Bの少なくとも1種であることが好ましい。
また、前記弾性共重合体Aに含まれるテトラフルオロエチレン単位とプロピレン単位とのモル比が3:7〜7:3であることが好ましい。
前記弾性共重合体Aは、テトラフルオロエチレン単位およびプロピレン単位以外のフッ素原子を含んでもよいオレフィン単位を少なくとも1種含むことができる。
前記オレフィン単位の全部または一部がフッ素原子を含有することが好ましい。
また、前記カーボン層中に含まれる前記結着剤の量が、前記カーボン粉末100重量部あたり、10〜100重量部であることが好ましい。
前記結着剤が、前記フッ素系弾性共重合体に加えてパーフルオロ系フッ素樹脂を5〜50重量部含むことが好ましい。
また、本発明は、高分子電解質膜の表面に配された触媒層にガス拡散層を接合することにより高分子電解質型燃料電池用の電解質膜電極接合体を製造する方法において、
テトラフルオロエチレン単位とプロピレン単位とを有するフッ素系弾性共重合体水系分散媒に分散させてなるエマルジョンまたはディスパージョンと、カーボン粉末と、を含有するペーストを、前記触媒層および前記ガス拡散層の少なくとも一方の表面に塗布または含浸させた後、乾燥することによりカーボン層を形成する工程と、
前記触媒層と前記ガス拡散層とを前記カーボン層を介してプレス接合する工程と、を含むことを特徴とする高分子電解質型燃料電池用電解質膜電極接合体の製造方法に関する。
前記エマルジョンにおける前記結着剤の含有率が、5〜60重量%であることが好ましい。
また、前記工程(c)において、100℃以下の温度でプレスにより前記ガス拡散層および前記触媒層を接合することが好ましい。
本発明によれば、ガス拡散層に接合されるカーボン層の結着性や柔軟性を高めることができ、さらに添加量の低減や製造プロセスの問題も解決できるため、安価で高い放電性能と耐久性を持つ燃料電池用電解質膜電極接合体、およびこれを用いた燃料電池を提供することができる。
本発明に係る燃料電池用電解質膜電極接合体は、ガス拡散層および触媒層が表面に形成された高分子電解質膜との間に形成されたカーボン層を有し、該カーボン層は結着剤とカーボン粉末からなり、前記結着剤がフッ素系弾性共重合体を含むことを特徴とする。
前記フッ素系弾性共重合体がフッ素ゴムであることが好ましい。
また、前記フッ素系弾性共重合体が、テトラフルオロエチレン単位およびプロピレン単位を有する弾性共重合体A、ならびにフッ化ビニリデン単位およびヘキサフルオロプロピレン単位を有する弾性共重合体Bの少なくとも1種であることが好ましい。
上記弾性共重合体の形状は粒子状であればよく、弾性を有するため、層内の導電性に対する影響が小さく、またカーボン層の触媒層に対する接着力が向上するため、電子導電性の向上および水の滞留場所が減少し、フラッディングに強い電解質膜電極接合体が得られる。そのため、この電解質膜電極接合体を用いた燃料電池は放電性能や耐久性が向上し、かつ生産性も向上すると考えられる。
また、エマルジョンの状態でインクを作製すれば、分散性に優れるため、少量でも高い結着力を維持でき、導電性や通気性への悪影響をさらに低減できる。この場合、エマルジョンにおける結着剤の含有量は、10〜60重量%であることが好ましい。
結着剤について詳しく説明する。本発明では、テトラフルオロエチレン単位およびプロピレン単位を含む弾性共重合体Aを正極の結着剤として用いるのが好ましい。前記弾性共重合体Aに含まれるテトラフルオロエチレン単位とプロピレン単位とのモル比は、3:7〜7:3であることが好ましい。
前記弾性共重合体Aは、さらに、テトラフルオロエチレン単位およびプロピレン単位以外のフッ素原子を含んでもよいオレフィン単位を少なくとも一種含むことができる。ただし、前記弾性共重合体Aがフッ素含有オレフィン単位を含む場合その含有率は、15モル%以下であることが好ましい。また、前記弾性共重合体Aがフッ素原子を含まない炭化水素系オレフィン単位を含む場合その含有率は、50モル%以下であることが好ましい。
フッ素含有オレフィンとしては、ヘキサフルオロプロピレン、フッ化ビニリデン、(パーフルオロブチル)エチレン、トリフルオロクロロエチレンなどを用いることができる。また、フッ素含有アクリレート類を用いることもできる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。普通の炭化水素系オレフィンには、エチレン、ブテン等のα−オレフィン、アクリレート類などを用いることができる。
前記弾性共重合体Aのガラス転移温度は、20℃以下であることが好ましい。ガラス転移温度が20℃以下の共重合体を用いることにより、高い柔軟性を有するカーボン層を得ることができ、カーボン基材への塗工時あるいは拡散層と触媒層との接合時にカーボン層がひび割れることを抑制できる。
前記弾性共重合体は、塊状重合、懸濁重合、乳化重合、溶液重合などの従来公知の重合方法により、製造することができる。また、これらの方法を採用すれば、弾性共重合体の分子量の範囲を任意に調整することができる。前記弾性共重合体は、懸濁重合、乳化重合、溶液重合等で製造される際に用いた水や分散媒に分散した状態や、ラテックス(エマルジョン)の状態で用いることができる。
前記弾性共重合体は、また、精製後の固体であってもよい。この場合、固体の共重合体を溶剤などに溶解または分散媒に分散させて用いることができる。その際の溶剤または分散媒の種類や使用量は特に限定されない。溶剤や分散媒は、用途や使用方法にあわせて適宜選択される。
前記溶剤または分散媒には、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、メタノール、エタノール等のアルコール類、ヘキサン、オクタン、トルエン、キシレン、ナフサ等の炭化水素類、水等が好ましく用いられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
結着剤となる前記弾性共重合体としては、上述のテトラフルオロエチレン−プロピレン共重合体などのテトラフルオロエチレン−プロピレン系弾性共重合体Aが好ましい。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
前記共重合体の分子量は任意であるが、2千〜100万の分子量を有する共重合体が、その製造時の取り扱いが容易である点で好ましい。前記共重合体の分子量は、5万〜30万の範囲が最も好ましい。
本発明では、特に、式:−(CF2−CF2)m−(CHCH3−CH2)nで表される共重合体を用いるの好ましい。ここで、m:nは、3:7〜7:3であることが好ましい。結着剤の比重は、一般に1.40〜1.70であり、好ましくは1.50〜1.60前後である。また、前記正極に含まれる結着剤の量は、前記活物質100重量部あたり、10〜100重量部であることが好ましい。
上述の本発明に係る電解質膜電極接合体は、(a)フッ素系弾性共重合体からなる結着剤および水系分散媒を含むエマルジョンに、カーボン粉末を混合してペーストを調製する工程と、(b)前記ペーストを、ガス拡散層および触媒層の少なくとも一方に塗布または含浸して乾燥する工程と、(c)前記ガス拡散層および前記触媒層を接合する工程とによって好適に製造することができる。
すなわち、上記弾性共重合体を接合界面に含有させる方法として、ガス拡散層あるいは触媒層の少なくとも一方に弾性共重合体を含むディスパージョンを含浸または塗布して、乾燥してもよい。また、カーボン粉末および水系分散剤に分散してエマルジョンを形成している弾性共重合体を混合してペーストを調製し、前記ペーストをガス拡散層、触媒層の少なくとも一方の上に塗布してカーボンと弾性共重合体からなる層を形成し、その後触媒層とガス拡散層を接合してもよい。
また、前記エマルジョンにおける前記結着剤の含有率が、5〜60重量%であることが好ましい。
本発明におけるカーボン層(接着剤層)の働きにより、ガス拡散層と触媒層を強固に結合させることができる。さらに、弾性共重合体は室温付近でも十分な接着性を得ることができるため、従来のような圧着工程での電解質膜の劣化などの問題を解決することができる。具体的には、前記工程(c)において、電解質膜のガラス転移点より低い温度でのプレスが好ましく、通常は100℃以下でのプレスにより十分な接着強度が得られる。
また、電極に撥水材を添加した電極を熱処理する際の温度は、撥水材の融点より低い温度が好ましい。本発明によるガス拡散層を用いることによって、高性能な燃料電池用電極を作製することができる。
また、上述のような本発明に係る電解質膜電極接合体の電極の周囲には、高分子電解質膜を挟んでガスシール材やガスケットが配置される。これにより、電極に供給される燃料ガスや酸化剤ガスのリーク、およびこれら二種類の反応ガスの混合が防止される。上記の高分子電解質膜の両側に電極を備えたもの、またはこれとガスシール材やガスケットとを一体化したものが電解質膜電極接合体(MEA)と呼ばれる。MEAの両側には、導電性と気密性を有するセパレータがそれぞれ配置される。これによりMEAが機械的に固定され、さらに隣接する複数のMEAが電気的に直列に接続される。
各セパレータのMEAとの接触部分には、電極面に反応ガスを供給するとともに、生成水や余剰ガスを排出するためのガス流路が形成される。一般的には、セパレータに溝を設けてガス流路が形成されている。このように一対のセパレータでMEAを固定したものが、PEFCの基本単位である単電池となる。この単電池を直列に複数連結し、さらに、反応ガスを供給する配管治具であるマニホールドを配置して、PEFCのスタックが作製される。
本発明により、触媒層とガス拡散層の界面が密に接合した状態のMEAが得られる。従って、ガス拡散層と触媒層の間の接触抵抗が効果的に低減され、フラッディング特性、耐久性、組立時のハンドリング性に優れたMEAが得られ、これを用いて高性能な燃料電池を提供することができる。
ここで、図1および図2に、従来のMEAの構成と本発明の構成の一例を示す。図1は従来のMEAの構成における断面図である。図2はガス拡散層1における撥水性を有するカーボン層2の上に弾性共重合体とカーボンからなるカーボン層5を設けた場合のMEAの構成の断面図である。このように構成部材を配置したものをプレスすることにより、触媒層3がガス拡散層1と強固に接合されるため、単電池を組み立てる場合の位置ずれなどの問題が解消し、さらに、触媒層とガス拡散層の密着性が増すために、出力や耐久性などに優れた電池が得られる。
また、その他の製造方法として、カーボン層を形成する代わりに、触媒層3やガス拡散層1上のカーボン層2に弾性共重合体を含浸させても同様の効果が得られる。含浸させる方法としては触媒層や、カーボン層を含むガス拡散層を、弾性共重合体を含むディスパージョン中に含浸させる方法の他に、カーボン層を形成する時の塗料中に弾性共重合体を含有させておく方法などもある。
それ以外の方法であっても、触媒層とガス拡散層を接合する界面に上記フッ素系弾性共重合体を存在させる方法であれば上記の方法に限定されるものではない。
以下において、実施例を用いて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらのみに限定されるものではない。
まず、電解質膜電極接合体(Membrane Electrode Assembly:MEA)を作製した。
アセチレンブラック(電気化学工業(株)製のデンカブラック)に、結着剤であるポリテトラフルオロエチレン(PTFE)の水性ディスパージョンを乾燥重量として15wt%添加してペースト状の撥水層インクを調製した。このときの混合は、コロイドミルで30分間分散させることにより行った。この撥水層インクをカーボンクロス(日本カーボン社製のカーボロンGF−20−31E)の片面に塗工し、熱風乾燥機により150℃で熱処理し、さらに330℃で1時間焼成してガス拡散層を作製した。塗工量は1cm2あたり5mgとした。
一方、高分子電解質膜(米国デュポン社のNafion112膜)の両面に触媒層を形成した。この触媒層は、導電性炭素微粉末(ライオン(株)のケッチェンブラックEC)に白金触媒を重量比1:1の割合で担持したもの70重量部と前記電解質膜と同じ高分子電解質30重量部との混合物を成形して得た。この高分子電解質膜の触媒層と接するように前記のガス拡散層を重ね、所定の条件でプレスすることにより接合してMEAを作製した。
このMEAを用いて単電池からなる燃料電池を構成し、その特性を評価した。評価条件はアノードに露点が65℃となるように加湿した純水素ガスを、カソードに露点が70℃となるように加湿した空気をそれぞれ供給し、電池温度を70℃、燃料ガス利用率を70%、空気利用率を40%とした。評価項目は、放電電流値を変化させた場合の電圧値変化(I−V特性)と、200mA/cm2の電流密度で連続放電運転した場合の電圧劣化率(耐久特性)とした。単電池はそれぞれ10セルずつ作製し、電池特性はその10セルの平均値で比較した。
まず、弾性共重合体を含むディスパージョンに触媒層またはガス拡散層を含浸させる方法を検討した。弾性共重合体として、テトラフルオロエチレン単位とプロピレン単位とをモル比で55:45の比率で含む共重合体(フッ素ゴム)を用いた。この共重合体の比重は1.55であった。
このフッ素ゴムを固形分比で25%含むディスパージョンに触媒層を1分間含浸させ、乾燥したものを用いて単電池Aを作製し、同様にガス拡散層を1分間含浸させて乾燥したものを用いて単電池Bを作製した。また、比較のために、触媒層およびガス拡散層のいずれにも含浸させずに単電池Cを作製した。
いずれの単電池においても触媒層とガス拡散層を1MPaの圧力で、温度120℃で10分間ホットプレスして一体化を行ったところ、単電池AおよびBにおいては十分一体化して剥がれることはなかったが、単電池Cでは全て剥離が見られた。
単電池Cを一体化するためには120℃で5MPaの圧力が必要であったが、この単電池の放電特性を調べたところ開回路電圧が0.88Vと非常に低く、膜にピンホールが開くなどのダメージがあると考えられた。
図3に1MPa、120℃で一体化した単電池A、BおよびCの水素−空気型燃料電池としての放電特性を示した。単電池Cは一体化していなかったが、そのまま電池試験に供した。電流密度800mA/cm2における電池電圧で示すと、単電池A、BおよびCの電圧はそれぞれ632mV、622mV、506mVであった。図1からわかるとおり、電流密度が高くなればなるほど、放電特性に差が生じている。
電流密度が高くなると、単電池からの生成水はそれに比例して多くなるため、その生成水の排出がうまく行われないとガス拡散などに影響をおよぼし、電池電圧が低下する。本発明の拡散層は触媒層との密着性の違いなどから従来の拡散層と比較して生成水の排出がスムーズに行われるためや接触抵抗が低いため、特性の低下が少ないと考えられる。
次にフッ素ゴムを含むカーボン層を形成する検討を行った。テトラフルオロエチレン単位とプロピレン単位とをモル比で55:45の比率で含む弾性共重体を固形分でカーボン100重量部に対して20重量部になるようにカーボン粉末とフッ素ゴムを含むディスパージョンを混合し、さらに界面活性剤、水を加えて所定の粘度の塗料を作製した。この塗料を1cm2あたり1.5mgの割合で触媒層上あるいはガス拡散層の撥水カーボン層を形成した側に塗布し、乾燥した。
さらにこれらを80℃の温水中で洗浄して界面活性剤を除去したものを試験に供した。触媒層に塗布したものを使用した単電池を単電池D、ガス拡散層に塗布したものを使用した単電池を単電池E、比較例としてフッ素ゴムを含むカーボン層を塗布していない単電池を実施例1と同様に単電池Cとした。
図4に単電池C、DおよびEの水素−空気型燃料電池としての放電特性の平均値を示した。電流密度800mA/cm2における電池電圧で示すと、単電池C、DおよびEの電圧は、それぞれ順に、506mV、632mVおよび634mVであった。
次に触媒層とガス拡散層を接合するときの条件の検討を行った。実施例1で示したガス拡散層にフッ素ゴムを含浸させたものと含浸させていないものを用いて、触媒層とガス拡散層を重ね合わせ、0.5あるいは1MPaの圧力で種々の温度でプレスしたときの接着状態を表1に示す。表中の○印は完全に一体化されたことを表しており、△は接着しているが一部剥離した部分があり、×印は完全に剥がれた状態であることを表している。
Figure 0004486405
フッ素ゴムを含浸したガス拡散層を用いた本発明の実施例の場合には100℃以下の低温においても接着強度が得られることがわかった。
さらに、各温度で接着したMEAの電池耐久性を調べた。図5に1MPaの圧力下において各温度で一体化したMEAの耐久評価の結果を示す。また、比較のために実施例1で示した比較例である単電池Cの結果も同時に示す。これにより、100℃以下で一体化を行った単電池の耐久性が優れることがわかった。電解質膜のガラス転移点以下の温度で一体化しているために一体化時の電解質膜への影響が少なく、耐久性が向上したものと考えられる。
弾性共重合体の組成の検討を行った。実施例1の弾性共重合体に対しフッ化ビニリデン3重量部または5重量部をモノマーとして含む弾性共重合体を用い、ガス拡散層に実施例1と同様の方法で含浸した。フッ化ビニリデンを含まないものを実施例1と同じ単電池A、3重量部含むものを単電池F、5重量部含むものを単電池Gとした。
測定の結果、フッ化ビニリデンを添加しても電池特性に対してはほとんど影響が見られなかった。電流密度800mA/cm2放電での電圧は単電池A、FおよびGにおいてそれぞれ632、628および626mVであった。したがって、フッ化ビニリデンの添加は燃料電池に対して影響がなく、フッ素ゴムは安定に存在しているものと考えられる。
まず、膜電極接合体(Membrane Electrode Assembly : MEA)を作製した。アセチレンブラック(電気化学工業(株)製のデンカブラック)に、結着剤の水性ディスパージョンを乾燥重量として所定量混合してペースト状の撥水層インクを調製した。このときの混合は、コロイドミルで30分間分散させることにより行った。
この撥水層インクをカーボンクロス(日本カーボン社製のカーボロンGF−20−31E)の片面に塗布し、熱風乾燥機により150℃で熱処理してガス拡散層を作製した。塗工量は1cm2あたり2.5mgとした。
一方、高分子電解質膜(米国デュポン社のNafion112膜)の両面に触媒層を形成した。この触媒層は、導電性炭素微粉末(ライオン(株)のケッチェンブラックEC)に白金触媒を重量比1:1の割合で担持したもの70重量部と前記電解質膜と同じ高分子電解質30重量部との混合物を成形して得た。この高分子電解質膜の触媒層と接するように前記のガス拡散層を重ね、130℃で熱溶着により接合してMEAを作製した。このMEAを用いて単セルの燃料電池を構成し、その特性を評価した。
評価条件はアノードに露点が70℃となるように加湿した純水素ガスを、カソードに露点が50℃となるように加湿した空気をそれぞれ供給し、電池温度を75℃、燃料ガス利用率を70%、空気利用率を40%とした。評価項目は、放電電流値を変化させた場合の電圧値変化(I−V特性)と、200mA/cm2の電流密度で連続放電運転した場合の電圧劣化率(耐久特性)とした。単電池はそれぞれ10セルずつ作製し、電池特性はその10セルの平均値で比較した。
前記結着剤としては、テトラフルオロエチレン単位とプロピレン単位とをモル比で55:45の比率で含む弾性共重体を用いた。この共重合体の比重は1.55であった。この結着剤を固形分でカーボン100重量部に対して20重量部加えた。このMEAを用いて水素−空気型の燃料電池の単電池Hを作製した。
次に、比較例1として撥水層インクの作製に際して、本発明の水性ディスパージョンの代わりにテトラフルオロエチレン重合体の水性ディスパージョン(ダイキン工業(株)製D−1)を用いたほかは実施例1と同様にしてガス拡散層を作製した。このガス拡散層を用いて実施例1と同様にしてMEAを作製した。このMEAを用いて実施例1と同様の単電池Iを組み立てた。
図6に単電池HおよびIの水素−空気型燃料電池としての放電特性を示した。電流密度800mA/cm2における電池電圧で示すと、単電池HおよびIの電圧は、それぞれ632mV、457mVであった。図6からわかるとおり、電流密度が高くなればなるほど、放電特性に差が生じている。また、図7に、運転時間と電池電圧の関係を示した。
電流密度が高くなると、電池からの生成水はそれに比例して多くなるため、その生成水の排出がうまく行われないとガス拡散などに影響を及ぼし、電池電圧が低下する。本発明の拡散層は触媒層との密着性やバインダの形状の違いなどから従来の拡散層と比較して生成水の排出がスムーズに行われるため、特性の低下が少ないと考えられる。
単電池HおよびIの電流密度200mA/cm2における電圧値バラツキは、標準偏差で単電池Hが1.67であったのに対し、単電池Iは2.52と本発明の単電池ではバラツキが小さかった。このバラツキ抑制の要因も、電解質膜電極接合体の接着性が上がったためである。
本発明の単電池HおよびIの製造工程でのインクの安定性を比較するため、得られたカーボンインクの粘弾性を、レオメータ(日本シイベルヘグナー社製)を用いて測定した。一般的にカーボン層はダイコーターなどを用いて連続的にカーボン基材に塗工するプロセスを用いる。したがって、インクの粘弾性が変化しやすい場合は均質な製品が得られにくい。
まず、単電池Hに用いたインクを、せん断速度10(1/sec)で60分間、ペーストの粘弾性を測定した。その結果、粘度の変化は全く見られなかった。このことから、実施例1の粘弾性は、その製造過程で、長時間、高いせん断力が加えられても経時的に変化しないと考えられ、優れた安定性を有すると言える。
単電池Iに用いたインクも同様に、せん断速度10(1/sec)で60分間、ペーストの粘弾性を測定した。その結果、時間とともにペーストの粘度が著しく増加し、20分程度で測定限界を超えてしまった。これは、PTFEが高いせん断力を受けて、徐々に繊維状になり、これとカーボン粉末が塊状化したためと考えられる。このことから、比較例1のインクのレオロジーは、その製造過程で経時的に変化しやすく、不安定であるといえる。よって、本発明のカーボン層は大量製造プロセスにおいても安定した特性を維持すると考えられる。
次に結着剤の添加量の検討を行った。カーボン100重量部に対して実施例5と同じ結着剤を5重量部加えたものを単電池J、10重量部加えたものを単電池K、30重量部加えたものを単電池L、50重量部加えたものを単電池M、75重量部加えたものを単電池Nとした。単電池J、KおよびLが本発明の実施例であり、単電池MおよびNが比較例である。
図8に単電池J〜Nの水素−空気型燃料電池としての放電特性の平均値を示した。電流密度800mA/cm2における電池電圧で示すと、単電池J〜Nの電圧は、それぞれ順に、570mV、625mV、633mV、636mVおよび610mVであった。結着剤の量が少ないほど低電流密度での電圧は高い傾向にある。これは結着剤の量が少ないほどカーボン層の導電性が良いためである。一方、高電流密度での電圧低下率は結着剤が多い方が良い傾向にある。これは高電流密度では反応による水の生成量が多いため、カーボン層に水がたまりやすく、ガスの拡散が阻害されることに対して、結着剤の多いものは撥水性が高く、水がたまりにくいためであると考えられる。
図9には耐久性の結果を示した。結着剤の量が少ない方が劣化が大きい傾向が見られた。これは結着剤の量が少ないため、カーボン層の結着性が弱く、カーボン層がひび割れたり、触媒層との剥がれが生じたりしたものと考えられる。
図8および9の結果より、最適な結着剤の量はカーボン100重量部に対して10〜50重量部であると考えられる。
次にフッ素樹脂を追加添加した場合の結果を示す。実施例5に示したカーボン層にさらに本発明の結着剤量に対して50重量部のPTFEを加えて単電池O、50重量部のテトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)を加えて単電池Pを作製した。PTFEおよびFEPとしては、それぞれ市販のディスパージョン(ダイキン工業(株)製D−1およびND−1)を用いた。
単電池OおよびPのI−V特性の結果を、単電池HおよびLの結果と比較した。800mA/cm2で放電した場合の電圧は単電池H、L、OおよびPそれぞれ632mV、633mV、625mVおよび625mVとなり、フッ素樹脂を加えない方が高い値となった。
次に単電池の試験条件をより高加湿にした場合、すなわちアノード側ガスの露点を70℃、カソード側ガスの露点を70℃、電池温度を70℃にしたときのI−V特性を調べた。高加湿条件下での800mA/cm2放電時の電圧は、単電池H、L、OおよびPそれぞれ611mV、642mV、646mVおよび650mVとなり、フルオロカーボン樹脂を添加したものがより高い電圧を示した。
これは、フッ素樹脂を添加したカーボン層が、結着剤量として同量の本発明結着剤を含む単電池Eと比較して、結着性で劣るが、撥水性ではフッ素樹脂を加えた方が優れるため、高加湿条件での特性が向上したものと考えられる。
フルオロカーボン樹脂の量は、本発明の結着剤に対して5重量部以下ではほとんど効果がなく、50重量部以上では、結着性やカーボン層の柔軟性が大きく劣化し、耐久性が低下すると共に、PTFEを添加した場合はインクのせん断に対する安定性が低下した。
次に、カーボン基材をクロスからカーボンペーパー(東レ(株)のTGPH060H)に変えたこと以外、実施例5と同様にして、単電池QおよびRをそれぞれ作製した。
単電池Qには、カーボンペーパーに本発明の実施例5と同じカーボン層を形成したガス拡散層を用いた。また、単電池Rには、カーボンペーパーに単電池Iと同じカーボン層を形成したガス拡散層を用いた。図10および11に電池特性を示した。実施例5と同様に、基材がカーボンクロスからカーボンペーパーに変わっても、本発明のカーボン層は比較例と比べて優れた放電特性、耐久性を示すことがわかる。
なお、上記の実施例において、燃料の一例として、水素を用いたが、水素は改質水素として炭酸ガスや窒素、一酸化炭素などの不純物を含む燃料においても同様の結果が得られ、メタノールやエタノール、ジメチルエーテルなどの液体燃料およびその混合物を用いても同様の結果が得られることはいうまでもない。また、液体燃料はあらかじめ蒸発させて供給してもよい。また、ガス拡散層の構成は、実施例に示したカーボン粉末(アセチレンブラック)やカーボン基材(カーボンクロス、ペーパー)に限定されるものではなく、他のカーボン粉末やカーボン不織布などの基材を用いた場合にも効果がある。
本発明に係る電解質膜電極接合体を用いれば、酸素、オゾンおよび水素などのガス発生機やガス精製機、あるいは酸素センサおよびアルコールセンサなどの各種ガスセンサへの応用も可能である。
従来のMEAの断面を示す図である。 本発明に係るMEAの一例の断面を示す図である。 本発明の実施例および比較例の電解質膜電極接合体を用いた各単電池の電圧−電流曲線を示す図である。 本発明の実施例および比較例の電解質膜電極接合体を用いた各単電池の電圧−電流曲線を示す図である。 本発明の実施例および比較例の電解質膜電極接合体を用いた各単電池の耐久性を示す図である。 水素−空気型燃料電池の電流−電圧特性の比較を示す図である。 水素−空気型燃料電池の耐久特性の比較を示す図である。 水素−空気型燃料電池の電流−電圧特性の比較を示す図である。 水素−空気型燃料電池の耐久特性の比較を示す図である。 水素−空気型燃料電池の電流−電圧特性の比較を示す図である。 水素−空気型燃料電池の耐久特性の比較を示す図である。
符号の説明
1 ガス拡散層
2 カーボン層
3 触媒層
4 高分子電解質膜
5 カーボン層

Claims (9)

  1. 高分子電解質膜と、前記高分子電解質膜の一面に配されたアノード触媒層と、前記高分子電解質膜の他の一面に配されたカソード触媒層と、前記アノード触媒層の一面に配されたアノード側ガス拡散層と、前記カソード触媒層の一面に配されたカソード側ガス拡散層とを備え、
    前記アノード側ガス拡散層と前記アノード触媒層との間および/または前記カソード側ガス拡散層と前記カソード触媒層との間に、カーボン粉末と結着剤とを含むカーボン層が配されており、
    前記結着剤が、テトラフルオロエチレン単位とプロピレン単位とを有するフッ素系弾性共重合体を含むことを特徴とする高分子電解質型燃料電池用の電解質膜電極接合体。
  2. 前記フッ素系弾性共重合体に含まれるテトラフルオロエチレン単位とプロピレン単位とのモル比が3:7〜7:3である請求項1に記載の電解質膜電極接合体。
  3. 前記フッ素系弾性共重合体がフッ素ゴムである請求項1または2に記載の電解質膜電極接合体。
  4. 前記カーボン層中に含まれる前記結着剤の量が、前記カーボン粉末100重量部あたり10〜100重量部である請求項1〜のいずれか1項に記載の電解質膜電極接合体。
  5. 高分子電解質膜の表面に配された触媒層にガス拡散層を接合することにより高分子電解質型燃料電池用の電解質膜電極接合体を製造する方法において、
    テトラフルオロエチレン単位とプロピレン単位とを有するフッ素系弾性共重合体水系分散媒に分散させてなるエマルジョンまたはディスパージョンと、カーボン粉末と、を含有するペーストを、前記触媒層および前記ガス拡散層の少なくとも一方の表面に塗布または含浸させた後、乾燥することによりカーボン層を形成する工程と、
    前記触媒層と前記ガス拡散層とを前記カーボン層を介してプレス接合する工程と、を含むことを特徴とする高分子電解質型燃料電池用電解質膜電極接合体の製造方法。
  6. 前記フッ素系弾性共重合体に含まれるテトラフルオロエチレン単位とプロピレン単位とのモル比が3:7〜7:3である請求項5に記載の電解質膜電極接合体の製造方法。
  7. 前記フッ素系弾性共重合体がフッ素ゴムである請求項5または6に記載の電解質膜電極接合体の製造方法。
  8. 前記エマルジョンまたはディスパージョンにおける前記結着剤の含有率が、5〜60重量%である請求項のいずれか1項に記載の電解質膜電極接合体の製造方法。
  9. 前記プレス接合する工程、100℃以下の温度でプレスすることにより前記ガス拡散層前記触媒層を接合する請求項のいずれか1項に記載の電解質膜電極接合体の製造方法。
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