JP4485306B2 - 旋回式建設機械 - Google Patents

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本発明は、例えば油圧ショベル、油圧クレーン、アースドリル、杭打ち機等として好適に用いられる旋回式建設機械に関する。
一般に、旋回式建設機械として、例えば油圧ショベル、油圧クレーン、竪穴掘削機、杭打ち機等が知られている(例えば、特許文献1,2,3参照)。
特開2002−302971号公報 実開平7−38256号公報 実開平6−56165号公報
この種の従来技術による旋回式建設機械は、自走可能な下部走行体と、該下部走行体上に旋回装置を介して旋回可能に搭載された上部旋回体と、該上部旋回体に設けられた作業装置とにより大略構成されている。また、旋回装置は、例えば転がり軸受等からなり、下部走行体に固定された内輪と、該内輪の外周側に配置され上部旋回体に固定された外輪と、前記内輪と外輪とを旋回可能に連結する転動体とによって構成されている。
そして、建設機械の運転時には、車両に搭載された旋回モータ等を作動させると、上部旋回体が旋回装置を介して下部走行体上で旋回する。これにより、車両のオペレータは、作業装置を一緒に旋回させて所望の位置に移動し、例えば土砂等の掘削作業を行ったり、吊荷、立坑掘り、杭打ち等の作業を行うことができる。
また、これらの作業時には、作業装置から上部旋回体に反力が加わることが多く、特にアースドリル、杭打ち機等の建設機械では、上部旋回体が大きな反力や衝撃等を頻繁に受けることによって旋回方向に位置ずれすることがある。
このため、従来技術の建設機械は、下部走行体に対して上部旋回体に制動を与えるブレーキ装置を搭載している。この場合、例えば特許文献1に記載された従来技術のブレーキ装置では、上部旋回体に被制動板と呼ばれる環状の金属板が設けられ、この被制動板は、旋回装置の外輪と一緒に上部旋回体のフレームに共締めされている。また、下部走行体には、被制動板を周方向の1箇所で両面側から挟持する挟持装置が設けられている。
そして、建設機械の運転時には、上部旋回体を所望の位置に旋回した状態でブレーキ装置を作動させると、挟持装置が被制動板を強く挟持した状態に保持される。これにより、ブレーキ装置は、所謂ディスクブレーキとほぼ同様の動作によって被制動板に制動力を付加し、上部旋回体の旋回動作を規制する構成となっている。
また、特許文献2に記載された従来技術では、被制動板と同様の機能をもつ円筒体を下部走行体に立設し、上部旋回体には、この円筒体を周方向の1箇所で内周側と外周側から挟持する挟持装置を設ける構成としている。さらに、特許文献3に記載された従来技術では、特許文献1の場合と逆に、下部走行体に被制動板を設け、上部旋回体に挟持装置を設ける構成としている。
ところで、上述した特許文献1の従来技術では、例えば被制動板の一部に厚さ方向の僅かな歪み、傾き等が存在するだけでも、この位置でブレーキ装置が作動したときに、挟持装置の一部が被制動板から浮いた状態(片効き状態)となる虞れがあり、制動力が低下し易いという問題がある。
また、例えばブレーキ操作が旋回方向の特定位置で頻繁に行われる場合には、被制動板に局部的な表面の荒れ、摩耗等が生じ、制動力が不安定となる虞れがある。また、被制動板は、外輪と一緒にフレームに共締めされており、これらの部品間には接触面が多いため、例えば接触面の滑りや変形が原因でボルトの緩み等が生じ易くなる。さらに、例えば車両の組立後にブレーキ装置を搭載したり、被制動板の交換等を行う場合には、上部旋回体と下部走行体とを分離した状態で作業を行う必要があり、作業性が悪い。
一方、特許文献2の従来技術でも、ブレーキ装置が円筒体の歪み等によって片効き状態となる虞れがあり、またブレーキ装置を特定の位置で頻繁に使用すると、円筒体が局部的に摩耗し易いため、特許文献1の場合とほぼ同様の問題がある。しかも、円筒体の内側には土砂、水分等が溜り易く、その清掃に手間がかかる。さらに、特許文献3の従来技術でも、環状の被制動板を用いているため、特許文献1の場合とほぼ同様の問題が生じる。
本発明は、上述した従来技術の問題に鑑みなされたもので、本発明の目的は、ブレーキ装置の作動時に上部旋回体の旋回動作を常に安定的に規制でき、組立時の作業性やメンテナンス性を向上できるようにした旋回式建設機械を提供することにある。
上述した課題を解決するために本発明は、自走可能な下部走行体と、該下部走行体上に旋回装置を介して旋回可能に搭載され作業装置が設けられた上部旋回体と、前記下部走行体に対して前記上部旋回体に制動を与えるブレーキ装置とを備え、前記ブレーキ装置は、前記旋回装置の外周側に巻装される2本のバンドからなるブレーキバンドと、該2本のブレーキバンドを前記旋回装置の外周側に締付けて前記上部旋回体に制動を与えるアクチュエータとからなるバンドブレーキ装置により構成し、前記下部走行体には、前記2本のブレーキバンドの長さ方向の一端側を取付端として取付けるバンド取付部を設け、前記2本のバンドの長さ方向の他端側を作用端として当該作用端に前記アクチュエータを取付ける構成としてなる旋回式建設機械に適用される。
そして、請求項1の発明が採用する構成の特徴は、前記バンド取付部は、前記2本のブレーキバンドの長さ方向の一端側を回動可能に連結するアンカピンを用いて構成し、前記アクチュエータは、前記2本のブレーキバンドを前記アンカピンを中心として互いに引張る方向に回動させることにより制動力を与える2本の油圧シリンダにより構成し、これらの2本の油圧シリンダは、前記2本のブレーキバンドの作用端と前記旋回装置の中心とを通る径方向の直線(R)と直交する線(T)に対して角度(θ)だけ傾けてそれぞれ配置する構成としている。
また、請求項の発明によると、前記ブレーキバンドの取付端には、前記バンド取付部に対して前記旋回装置の径方向には変位可能で、周方向には変位が規制される長穴を設ける構成としている。
さらに、請求項の発明によると、前記旋回装置は、前記下部走行体に固定された内輪と、該内輪の外周側に配置され前記上部旋回体に固定された外輪と、前記内輪と外輪とを旋回可能に連結する転動体とによって構成し、前記ブレーキバンドは前記外輪の外周面に巻装し、前記ブレーキバンドの取付端は前記下部走行体に取付け、前記ブレーキバンドの作用端は前記下部走行体に設けた前記アクチュエータに連結する構成としている。
請求項1の発明によれば、バンドブレーキ装置の作動時には、2本の油圧シリンダからなるアクチュエータによりブレーキバンドを引張って旋回装置を締付けることができる。これにより、上部旋回体に制動力を付加でき、その旋回動作を確実に規制することができる。この場合、ブレーキ装置は、旋回装置の外周側に巻装され、ある程度の可撓性をもつ2本のバンドからなるブレーキバンドを用いているので、従来技術の被制動板、円筒体等のように高い精度の部品が必要なくなり、部品精度の誤差等によって制動力が変動するのを防止することができる。また、バンドのほぼ全長を用いて制動力を発生できるので、例えばブレーキ操作が旋回方向の特定位置で頻繁に行われる場合でも、部品の一部が局部的に劣化するのを防止でき、任意の位置で高い制動力を保持し続けることができる。
従って、ブレーキ装置としては、旋回装置の外周側に巻装された2本のバンドからなるブレーキバンドを用いることにより、長期間にわたって安定した制動力を発生でき、耐久性や信頼性を高めることができる。そして、既存の部品である旋回装置をブレーキドラムとして利用できるので、被制動板、円筒体等を廃止して装置全体の構造を簡略化でき、小型・軽量化やコストダウンを図ることができる。さらに、被制動板を旋回装置と共締めする構造等が不要となるので、ボルトの緩み等を未然に防止でき、また円筒体のように土砂、水分等が溜ることもないので、取扱いを容易にすることができる。
一方、例えば車両の組立後にバンドブレーキ装置を搭載したり、古くなったバンドの交換等を行う場合には、下部走行体と上部旋回体とを連結した状態でも、旋回装置の外周側にバンドを巻装でき、その取付け、取外しを容易に行うことができる。これにより、従来技術と比較して装置の分解、組立作業を簡単に実行でき、組立時の作業性や製造後のメンテナンス性を高めることができる。また、既存の建設機械に対しても、大きな設計変更等を行うことなく、バンドブレーキ装置を追加することができる。
また、2本の油圧シリンダからなるアクチュエータは、例えばバンド取付部のアンカピンを支点として2本のバンドの作用端を互いに逆方向に引張ることにより、双方向の旋回動作に対して旋回装置を確実に締付けることができ、両効き型のバンドブレーキ装置を構成することができる。この場合、一般にバンドブレーキでは、ブレーキドラム(即ち、旋回装置)がバンドの引張方向と同じ方向に回転しようとするときに、高い制動効果が得られる。
従って、上部旋回体が一方向または逆方向に旋回するときには、各バンドのうち旋回方向に対応する何れか一方のバンドによって旋回装置に大きな制動力を付加でき、何れの旋回方向に対しても制動時のがたつき等を無くすことができる。
一方、ブレーキバンド全体を2本に分割しているので、例えば旋回装置に対してバンドの取付け、取外しを行うときには、2本のバンドの取付端をアンカピンによって連結でき、これらを一体化した状態でサブアッセンブリ部品として容易に扱うことができる。そして、例えばアンカピンを中心として両側のバンドを拡開することにより、これらを旋回装置の外周に径方向外側から挿通したり、旋回装置の外周から径方向に引抜くことができるので、下部走行体と上部旋回体とを連結した状態でも、ブレーキバンドの着脱作業を容易に行うことができる。
しかも、バンドブレーキ装置のアクチュエータを構成する2本の油圧シリンダは、ブレーキバンドの作用端と旋回装置の中心とを通る径方向の直線(R)と直交する線(T)に対して角度(θ)だけ傾けてそれぞれ配置する構成としている。このため、油圧シリンダは、バンドの作用端を、当該作用端における接線方向の線(T)に対して斜めに引張ることができ、油圧シリンダの駆動力の分力である接線方向の成分と、径方向の成分とをバランスよく発生させることができる。
この場合、駆動力の接線方向の成分は、ブレーキバンドを引張って制動力を直接的に発生させる成分となり、駆動力の径方向の成分は、バンドを旋回装置に巻付ける巻付力を発生してバンドの制動力を増大させる成分となる。従って、これらの成分をバランスよく発生させることにより、例えば小型の油圧シリンダ等を用いた場合でも、十分に大きな制動力を旋回装置に付加することができ、アクチュエータを小型化できると共に、狭いスペースでもアクチュエータを容易に配置することができる。
また、請求項の発明によれば、ブレーキバンドの取付端は、2本のブレーキバンドの長さ方向の一端側を回動可能に連結したアンカピンからなるバンド取付部に対して旋回装置の径方向(長穴の長さ方向)に変位することができる。このため、例えばバンド取付部とアクチュエータとの位置関係にずれが生じていたとしても、これらの間にブレーキバンドを取付けるときには、両者の位置ずれをバンドの長穴によって吸収することができ、取付作業を容易に行うことができる。
従って、例えばブレーキ装置に関連した取付部位やブラケット等の寸法精度、配置をある程度ラフに設定できるので、例えば正規の工場以外の場所等でも、高い精度を必要としない簡単な作業によって既存の車両にバンドブレーキ装置を搭載することができる。また、長穴は、ブレーキバンドが旋回装置の周方向に変位するのを規制できるので、バンドに周方向のがたつき、緩み等が生じて制動力が低下するのを防止することができる。
さらに、請求項の発明によれば、上部旋回体に固定した外輪の外周面にブレーキバンドを巻装でき、このバンドを、下部走行体側に取付けた状態でアクチュエータによって締付けることができる。これにより、バンドと外輪との間の摩擦抵抗によって制動力を発生でき、上部旋回体の旋回動作を規制することができる。
以下、本発明の実施の形態による旋回式建設機械について、添付図面を参照して詳細に説明する。
ここで、図1ないし図11は本発明の実施の形態を示し、本実施の形態では、旋回式建設機械としてアースドリルを例に挙げて述べる。
図中、1は例えば立坑等の掘削作業を行うアースドリルで、該アースドリル1は、自走可能な下部走行体2と、後述の上部旋回体7、作業装置13、旋回装置15、バンドブレーキ装置21とによって大略構成されている。
ここで、下部走行体2は、図2ないし図4に示す如く、上方からみて略X字状に形成されたセンタフレーム3と、該センタフレーム3の上面中央に立設され、上部旋回体7の旋回中心O(軸線O−O)を中心位置として円筒状に形成された丸胴4と、センタフレーム3の左,右両側に前,後方向に延びて設けられ、遊動輪5A及び駆動輪5Bが取付けられた左,右のサイドフレーム5と、該各サイドフレーム5の遊動輪5Aと駆動輪5Bとにそれぞれ巻装された履帯6とにより大略構成されている。
また、センタフレーム3の上部側には、後述するバンドブレーキ装置21のアンカブラケット24を取付ける後側の取付座部3Aと、左,右のシリンダブラケット29,29を取付ける前側の取付座部3B,3Bとが溶接等の手段によって設けられている。この場合、センタフレーム3は、例えばバンドブレーキ装置21を搭載しないタイプの車両と共通の部品として形成され、各取付座部3A,3Bは、例えばアースドリル1の車両を組立てた後に、センタフレーム3の所定部位に鋼板等を溶接することによって形成されている。
7は後述の旋回装置15を介して下部走行体2上に旋回可能に搭載された上部旋回体で、該上部旋回体7は、図1に示す如く、その下部側に位置する支持構造体として形成された旋回フレーム8と、該旋回フレーム8の前部左側に設けられたキャブ9と、旋回フレーム8の後端に取付けられたカウンタウェイト10と、キャブ9とカウンタウェイト10との間に設けられた建屋カバー11と、該建屋カバー11内に位置して旋回フレーム8に搭載された後述のエンジン35、ポンプ36,40等の機器とにより大略構成されている。
ここで、旋回フレーム8は、図5、図7に示す如く、その下面側を構成する底板8Aを有している。そして、底板8Aには、上部旋回体7を下部走行体2上で軸線O−Oを中心として旋回させる旋回モータ12(図1、図3参照)が設けられ、その出力側にはピニオン12Aが取付けられている。
13は上部旋回体7の前部側に設けられた作業装置で、該作業装置13は、例えば立坑等の掘削作業を行うものであり、図1に示す如く、旋回フレーム8に取付けられて上,下方向に延びたリーダ13Aと、該リーダ13Aによって上,下方向に移動可能に支持されたケリーバ13Bと、該ケリーバ13Bの下端側に取付けられた掘削バケット13Cとにより大略構成されている。ここで、アースドリル1には、例えばリーダ13A及びカウンタウェイト10の左,右両側にアウトリガ14がそれぞれ設けられ、これらのアウトリガ14は、立坑等を掘削するときに接地して車両を安定させるものである。
15は下部走行体2と上部旋回体7との間に設けられた旋回装置で、該旋回装置15は、図4、図7に示す如く、例えば転がり軸受等によって構成され、下部走行体2と上部旋回体7とを旋回可能に連結している。
ここで、旋回装置15は、上部旋回体7の旋回中心O(軸線O−O)を中心位置として配置された内輪16と、該内輪16の外周側に同軸に配置された外輪17と、内輪16と外輪17とを旋回可能に連結する鋼球等からなる複数個の転動体18(1個のみ図示)とによって構成されている。
そして、内輪16は、複数本のボルト16Bを用いて下部走行体2の丸胴4の上端面に固定され、その内周側には、旋回モータ12に取付けられたピニオン12Aと噛合する内歯歯車16Aが設けられている。また、外輪17は、滑らかな円筒状の外周面17Aを有する環状体として形成され、複数本のボルト17Bを用いて上部旋回体7の旋回フレーム8の底板8Aに固定されている。
さらに、外輪17の外周面17A側には、図8に示す如く、内輪16と外輪17との間に給脂するための給脂ニップル19が設けられ、この給脂ニップル19は、後述の左ブレーキバンド22と右ブレーキバンド23との間(隙間Sの位置)に配置されている。
そして、アースドリル1の運転時には、オペレータの運転操作に応じて上部旋回体7側の旋回モータ12が作動すると、その回転がピニオン12Aから内輪16の内歯歯車16Aに伝達され、ピニオン12Aが内輪16に沿って上部旋回体7と一緒に回転する。これにより、オペレータは、上部旋回体7を図4中の矢示A方向または矢示B方向に向けて所望の位置まで旋回させることにより、この位置で作業装置13を用いて立坑掘り等の作業を行うことができる。
21は下部走行体2と上部旋回体7との間に設けられたバンドブレーキ装置を示し、該バンドブレーキ装置21は、オペレータが上部旋回体7を任意の位置に旋回させた状態で後述のロックペダル43を操作することにより、上部旋回体7の旋回動作を規制するものである。
ここで、バンドブレーキ装置21は、図4、図11に示す如く、後述のブレーキバンド22,23、アンカピン25、シリンダ30,31、切換弁42、ロックペダル43等によって構成されている。そして、バンドブレーキ装置21は、旋回装置15の外輪17をブレーキドラムとして用いることにより、左,右のバンド22,23を引張って外輪17を締付け、これによって上部旋回体7に制動力を付加する。
22は例えば外輪17の外周面17Aのほぼ左半分に沿って巻装された左ブレーキバンドを示し、該左ブレーキバンド22は、バンドブレーキ装置21が作動したときに、左シリンダ30によって図4中の矢示A方向に引張られ、外輪17を径方向外側から強く締付けると共に、このときの摩擦抵抗によって外輪17が矢示A方向に旋回するのを規制するものである。
ここで、一般にバンドブレーキでは、ブレーキドラムがバンドの引張方向と同じ方向に回転しようとするときに、高い制動効果が得られる。このため、左ブレーキバンド22は、矢示A方向に回転しようとする外輪17に大きな制動力を付加することができる。
また、左ブレーキバンド22は、例えば2層の帯状材料を接合することにより、ある程度の可撓性をもって略半円弧状に延びる帯状体として一体に形成され、その幅寸法は外輪17とほぼ同程度か、またはこれよりも若干小さくなっている。
さらに、左ブレーキバンド22は、外輪17の外周面17Aに摺接する半円弧状のライニング部22Aと、該ライニング部22Aの裏面側に沿って接合された裏金部22Bと、該裏金部22Bの長さ方向の一端側に径方向外向きに突出して設けられた取付端としての平板状のアンカ取付部22Cと、裏金部22Bの長さ方向の他端側に径方向外向きに突出して設けられ、左シリンダ30の駆動力が作用する例えば2個の作用端としてのシリンダ取付部22D(図9参照)とによって構成されている。
この場合、ライニング部22Aは、例えば外輪17との間の摩擦係数が大きく、耐摩耗性に優れた材料等を用いて形成されている。また、裏金部22Bは、例えば高い引張強度を有する金属材料等によって形成され、ライニング部22Aを補強している。
また、アンカ取付部22Cには、図6、図7に示す如く、外輪17の径方向に延びる長穴22Eが設けられている。この長穴22E内には、後述の角筒体26を介してアンカピン25が挿嵌されている。そして、アンカ取付部22Cは、長穴22Eと角筒体26とによって外輪17の周方向への位置ずれ、がたつき等を規制された状態で、アンカピン25に取付けられている。
これにより、長穴22Eと角筒体26とは、アンカ取付部22Cとアンカピン25とを外輪17の周方向に対して確実に位置決めでき、左ブレーキバンド22に周方向のがたつき、緩み等が生じて制動力が低下するのを防止することができる。
一方、各シリンダ取付部22Dは平板状に形成されて互いに対向し、これらの間には、図8に示す如く、左シリンダ30のロッド30Bが回動可能に取付けられている。ここで、左ブレーキバンド22をアンカピン25と左シリンダ30との間に取付けるときには、これらの間に介在する部品(例えばセンタフレーム3の取付座部3A,3B、後述のブラケット24,29等)の寸法誤差、取付誤差等が原因となって、アンカピン25と左シリンダ30との位置関係にずれが生じることがある。
しかし、左ブレーキバンド22の長穴22Eは、例えば図6中に示す寸法Lの範囲内でアンカピン25(角筒体26)に対して外輪17の径方向に変位することができる。このため、バンドの取付時には、各部品の寸法誤差、取付誤差等を長穴22Eによって吸収しつつ、取付作業を容易に行うことができる。
23は例えば外輪17の外周面17Aのほぼ右半分に沿って巻装された右ブレーキバンドを示し、該右ブレーキバンド23は、図4に示す如く、左ブレーキバンド22とほぼ同様の構造をもつ略半円弧状の部品として形成され、これらのバンド22,23は、外輪17を挟んで直径方向の両側に配置されている。
そして、右ブレーキバンド23は、バンドブレーキ装置21の作動時に右シリンダ31によって矢示B方向に引張られ、外輪17を径方向外側から強く締付けることにより、外輪17が矢示B方向に旋回するのを規制するものである。
また、右ブレーキバンド23は、左ブレーキバンド22とほぼ同様に、ライニング部23A、裏金部23B、アンカ取付部23C、シリンダ取付部23D、長穴23E等によって構成されている。しかし、アンカ取付部23Cは、図7に示す如く、互いに対向して2個設けられ、これらのアンカ取付部23Cの間には、左ブレーキバンド22のアンカ取付部22Cが配置されている。
また、左,右のブレーキバンド22,23は、図8に示す如く、例えば完全な半円弧よりも若干短尺に形成され、これらのシリンダ取付部22D,23Dの間には、旋回装置15の給脂ニップル19を露出させる隙間Sが設けられている。このため、旋回装置15に給脂するときには、バンド22,23が邪魔にならないので、給脂作業を効率よく行うことができる。
24は下部走行体2のセンタフレーム3の取付座部3Aに立設されたアンカブラケットで、該アンカブラケット24は、図4、図5に示す如く、各ブレーキバンド22,23のアンカ取付部22C,23Cの下側に配設され、複数のボルト24A等を用いて取付座部3Aに着脱可能に取付けられている。
25はアンカブラケット24の上部側に固着されたバンド取付部としてのアンカピンで、該アンカピン25は、ブレーキバンド22,23のアンカ取付部22C,23Cを外輪17の周方向に対して位置決めし、各バンドのシリンダ取付部22D,23Dが引張られたときに支点となって制動力を発生するものである。また、アンカピン25は、後述の図10に示す如く、バンドブレーキ装置21の分解、組立等を行うときに、ブレーキバンド22,23を連結してサブアッセンブリ部品45を構成する。
ここで、アンカピン25は、図6、図7に示す如く、例えば円柱状の金属ピン等からなり、外輪17の径方向外側でアンカブラケット24から上向きに突出している。また、アンカピン25の外周側には、例えば四角形の外形状を有し内周側に円形穴が形成された3個の角筒体26,27,27(図9参照)が回動可能に嵌合されている。
この場合、角筒体26は、左ブレーキバンド22の長穴22Eとほぼ等しい幅寸法を有し、この長穴22E内に長さ方向に摺動可能に挿嵌されている。また、他の2個の角筒体27は、右ブレーキバンド23の各長穴23Eとほぼ等しい幅寸法を有し、これらの長穴23E内に長さ方向に摺動可能に挿嵌されている。
そして、アンカピン25は、長さ方向の中間部位が角筒体26を介して左ブレーキバンド22の長穴22E内に挿嵌され、長さ方向の両側が他の角筒体27を介して右ブレーキバンド23の各長穴23E内に挿嵌されている。また、アンカピン25の上部側には、アンカ取付部22C,23Cと角筒体26,27とを抜止め状態に保持する抜止ピン28が設けられている。
このように、各バンド22,23のアンカ取付部22C,23Cは、角筒体26,27を介してアンカピン25の外周側に回動可能に取付けられている。このため、シリンダ30,31のロッド取付ピン30D,31Dを取外した状態では、図10に示す如く、左,右のブレーキバンド22,23を角筒体26,27と一緒にアンカピン25を中心として回動させることにより、これらのバンドを外輪17から左,右両側に離れるように拡開させることができる。従って、この状態で各バンド22,23を外輪17の外周に径方向外側から挿通したり、これらを外輪17の外周から径方向に引抜くことができる。
29は下部走行体2のセンタフレーム3の各取付座部3Bに立設された左,右のシリンダブラケットで、該各シリンダブラケット29は、図4、図5に示す如く、各バンド22,23のシリンダ取付部22D,23Dの近傍に配置されている。
30は左ブレーキバンド22を引張る第1のアクチュエータとしての左シリンダで、該左シリンダ30は、図8に示す如く、例えば汎用的な油圧シリンダ等からなり、チューブ30Aとロッド30Bとによって構成されている。また、チューブ30Aの基端側は、チューブ取付ピン30Cを用いて左側のシリンダブラケット29に回動可能に取付けられ、ロッド30Bの先端側は、ロッド取付ピン30Dを用いて左ブレーキバンド22のシリンダ取付部22Dに回動可能に取付けられている。
そして、バンドブレーキ装置21が非作動状態のときには、ロッド30Bがチューブ30A内に縮小した状態となり、左ブレーキバンド22は、外輪17の外周面17Aに軽く接触している。このため、上部旋回体7は、外輪17と共に旋回することができる。
一方、オペレータが後述のロックペダル43を踏込み操作したときには、ロッド30Bがチューブ30Aから伸長する。これにより、左シリンダ30は、左ブレーキバンド22のシリンダ取付部22Dを旋回方向のうちの一方向(図8中の矢示A方向)に引張り、外輪17を締付けて制動力を付加する。
また、例えばシリンダ取付部22D(正確には、ロッド取付ピン30Dの中心位置)と、旋回装置15の中心Oとを通る径方向の直線をRとしたときに、左シリンダ30の軸線Mは、この直線Rと直交する直線Tに対して、例えば5〜40°程度、好ましくは15〜30°程度の角度θだけ傾けて配置されている。この場合、直線Tは、ロッド取付ピン30Dに対応する位置で外輪17の外周面17Aに接する接線と平行に延びるものである。
ここで、左シリンダ30の角度θと制動力との関係について述べると、まずロッド30Bが伸長するときの駆動力Fは、左ブレーキバンド22のシリンダ取付部22Dを外輪17の接線方向に引張る成分F(以下、引張力Fという)と、この引張力Fと直交する方向に作用し、シリンダ取付部22Dを外輪17に対して径方向に押付ける成分F(以下、押付力Fという)とに分けて考えることができる。
そして、ブレーキ作動時には、まず引張力Fの大きさに応じた制動力が左ブレーキバンド22から外輪17に付加され、これによって外輪17の回転が規制される。この状態で、外輪17が矢示A方向に回転しようとすると、左ブレーキバンド22には、外輪17の回転力と左シリンダ30の押付力Fとに応じて当該バンドを外輪17に巻付けるように作用する巻付力が発生し、この巻付力によって制動力が増大する。
この場合、本実施の形態では、左シリンダ30を前述した角度θ分だけ傾けることにより、引張力Fと押付力Fとをバランスよく発生させることができる。即ち、適度な大きさの引張力Fによって制動力を十分に発生しつつ、押付力Fも大きくして制動力を効率よく増大させることができ、例えば左シリンダ30として小型の油圧シリンダ等を用いた場合でも、ブレーキ動作を確実に行うことができる。
31は右ブレーキバンド23を引張る第2のアクチュエータとしての右シリンダで、該右シリンダ31は、左シリンダ30とほぼ同様に、チューブ31Aとロッド31Bとによって構成され、外輪17を中心として左シリンダ30と左,右対称な位置にこれとほぼ同様の角度をもって配置されている。
また、チューブ31Aの基端側は、チューブ取付ピン31Cを用いて右側のシリンダブラケット29に回動可能に取付けられ、ロッド31Bの先端側は、ロッド取付ピン31Dを用いて右ブレーキバンド23のシリンダ取付部23Dに回動可能に取付けられている。
そして、右シリンダ31は、バンドブレーキ装置21の作動時にロッド31Bがチューブ31Aから伸長することにより、右ブレーキバンド23のシリンダ取付部23Dを左シリンダ30と逆方向(図8中の矢示B方向)に引張り、外輪17を締付けて制動力を付加するものである。
一方、32は左,右のブレーキバンド22,23の外周側に周方向に間隔をもって設けられた複数個の上側リテーナで、該各上側リテーナ32は、図5、図9に示す如く、例えばL字状の金属板等を用いて形成され、各バンド22,23から径方向外向きに突出している。また、33は例えば丸胴4の外周面に径方向外向きに突出して設けられた複数個の下側リテーナで、該各下側リテーナ33は、例えばL字状の金属片等を用いて形成され、個々の上側リテーナ32に下側から摺接すると共に、上側リテーナ32を支持している。
そして、リテーナ32,33は、各バンド22,23の途中部位を外輪17に沿った位置に保持し、バンドが自重によって下側に位置ずれするのを防止している。また、例えばバンドブレーキ装置21の作動時や各バンド22,23の着脱作業時等には、上側リテーナ32が下側リテーナ33上で自由に摺動したり、下側リテーナ33から離れることができるので、各バンド22,23の動きを邪魔しない構成となっている。
34は上部旋回体7の下面側に設けられたバンド保護筒で、該バンド保護筒34は、図2、図3に示す如く、例えば上部旋回体7の旋回中心Oを中心位置とする円筒状に形成され、旋回装置15、左,右のブレーキバンド22,23等を径方向外側から全周にわたって取囲むと共に、上部旋回体7から下向きに突出している。
これにより、例えば上部旋回体7に付着した雨水等の水分や、車両の整備中にこぼれた油分等が上部旋回体7の外面側を伝わって流れる場合には、図2に示す如く、これらの水分や油分を矢示aの如くバンド保護筒34の外周面に沿って各バンド22,23から離れた位置に滴下させることができる。このように、バンド保護筒34は、外部の水分、油分等が外輪17と各バンド22,23との摺接部位に浸入するのを防止でき、これらの摺接部位を異物の浸入から保護することができる。
次に、図11を参照しつつ、バンドブレーキ装置21の駆動系統について、一例を挙げて説明する。まず、35は車両の動力源となるエンジン、36は該エンジン35によって駆動されるメインポンプで、該メインポンプ36は、タンク37内の作動油を吸込み、後述のコントロールバルブ38に向けて圧油を吐出する。
38は例えば複数個の方向制御弁(図示せず)等により構成されたコントロールバルブで、該コントロールバルブ38の各方向制御弁は、例えば車両の走行モータ、作業装置13のシリンダ、モータ(何れも図示せず)や、旋回モータ12等からなる各種の車載アクチュエータ39にそれぞれ接続されている。
また、各方向制御弁には、これらをパイロット制御する油圧パイロット弁38A(1個のみ図示)がそれぞれ接続され、各油圧パイロット弁38Aは、キャブ9内の操作レバー、ペダル等に連結されている。そして、コントロールバルブ38は、オペレータの運転操作に応じて各車載アクチュエータ39に圧油をそれぞれ個別に給排するものである。
40はエンジン35によってメインポンプ36と共に駆動されるパイロットポンプを示し、該パイロットポンプ40は、コントロールバルブ38の油圧パイロット弁38Aにパイロット圧を供給するもので、その吐出側には、パイロット圧を一定に保持するレギュレータ弁41が設けられている。
また、パイロットポンプ40は、バンドブレーキ装置21用の油圧源としても用いられ、後述の切換弁42を経由してシリンダ30,31に圧油を給排することにより、これらのシリンダ30,31を圧油の方向に応じて伸長または縮小させるものである。
42はバンドブレーキ装置21を構成する切換弁で、該切換弁42は、例えば4ポート2位置切換弁等からなり、パイロットポンプ40とシリンダ30,31との間に接続されると共に、キャブ9内に配置されたロックペダル43に連結されている。
そして、オペレータがロックペダル43を操作していないときには、切換弁42が非作動位置(a)となり、シリンダ30,31は縮小した状態に保持されている。また、ロックペダル43を踏込み操作したときには、切換弁42が作動位置(b)に切換えられ、シリンダ30,31が伸長することにより、バンドブレーキ装置21が作動し、上部旋回体7の旋回動作が規制される。なお、44は下部走行体2と上部旋回体7との間に設けられたセンタジョイントである。
本実施の形態によるアースドリル1は上述の如き構成を有するもので、次に、例えばブレーキ装置を搭載していない既存のアースドリル1に対して、車両の組立後にバンドブレーキ装置21を搭載する作業について述べる。
この搭載作業では、まずセンタフレーム3の3箇所に鋼板等を溶接して取付座部3A,3Bを形成する。そして、前側の各取付座部3Bにはシリンダブラケット29をそれぞれ設け、これらのシリンダブラケット29には、シリンダ30,31のチューブ30A,31Aを取付ける。
また、各バンド22,23のアンカ取付部22C,23Cをアンカピン25に取付けることにより、図10に示す如く、ブレーキバンド22,23、アンカブラケット24、アンカピン25、角筒体26,27等を一体化し、これによってサブアッセンブリ部品45を構成する。そして、このサブアッセンブリ部品45を、各バンド22,23を拡開した状態で外輪17の外周に径方向外側から挿通し、アンカブラケット24をボルト24Aによって後側の取付座部3Aに締着する。
次に、左,右のブレーキバンド22,23をアンカピン25を中心として互いに閉じる方向に回動させることにより、これらのバンドを外輪17に摺接する位置まで移動し、そのシリンダ取付部22D,23Dをシリンダ30,31のロッド30B,31Bに取付ける。これにより、下部走行体2と上部旋回体7とが連結された状態であっても、アースドリル1にバンドブレーキ装置21を容易に搭載することができる。
ここで、例えば取付座部3A,3Bやブラケット24,29等の寸法精度が余り高くない場合には、サブアッセンブリ部品45側のアンカブラケット24をセンタフレーム3の取付座部3Aに取付けると、各バンド22,23のシリンダ取付部22D,23Dとシリンダ30,31のロッド30B,31Bとの間に位置ずれが生じ易い。
しかし、この場合には、各バンド22,23のアンカ取付部22C,23Cを長穴22E,23Eの寸法L(図6参照)の範囲内でアンカピン25に対して変位させることができるので、取付作業を効率よく行うことができる。
次に、アースドリル1を用いて行う立坑の掘削作業等について述べる。まず、バンドブレーキ装置21が作動していないときには、左,右のブレーキバンド22,23が外輪17の外周面17Aに緩く摺接した状態となっている。このため、オペレータは、旋回モータ12を作動させることにより、上部旋回体7を作業装置13と一緒に旋回させることができる。そして、上部旋回体7を所望の位置まで旋回した後に、バンドブレーキ装置21を作動させ、各アウトリガ14を接地させると、車両が安定した状態となるので、この位置で作業装置13を用いて立坑等を掘削することができる。
この状態では、例えば作業装置13からの反力、衝撃等によって上部旋回体7に旋回方向の外力が加わったとしても、図4中の矢示A方向に対して制動力を発生する左ブレーキバンド22と、矢示B方向に対して制動力を発生する右ブレーキバンド23とによって上部旋回体7の旋回動作を確実に規制でき、何れの方向に加わる外力に対しても上部旋回体7の位置を安定的に保持することができる。
かくして、本実施の形態によれば、下部走行体2と上部旋回体7との間には、バンドブレーキ装置21を設ける構成としたので、その作動時には、左,右のシリンダ30,31によりアンカピン25を支点としてブレーキバンド22,23を互いに逆方向に引張ることができる。これにより、バンドブレーキ装置21を両効き型のバンドブレーキとして構成でき、上部旋回体7の旋回動作を双方向に対して確実に規制できると共に、ブレーキ動作時のがたつき等を無くすことができる。
この場合、ある程度の可撓性をもつバンド22,23を用いることができるので、従来技術の被制動板、円筒体等のように高い精度の部品が必要なくなり、部品精度の誤差等によって制動力が変動するのを防止することができる。また、バンド22,23のほぼ全長を用いて制動力を発生できるので、例えばブレーキ操作を旋回方向の特定位置で頻繁に行う場合でも、部品の一部が局部的に劣化するのを防止でき、任意の位置で高い制動力を保持し続けることができる。
従って、長期間にわたって安定した制動力を発生でき、耐久性や信頼性を高めることができる。そして、既存の部品である旋回装置15の外輪17をブレーキドラムとして利用できるので、被制動板、円筒体等を廃止して装置全体の構造を簡略化でき、小型・軽量化やコストダウンを図ることができる。さらに、被制動板を共締めする構造等が不要となるので、ボルトの緩み等を未然に防止でき、また円筒体のように土砂、水分等が溜ることもないので、取扱いを容易にすることができる。
一方、例えばアースドリル1の車両を組立てた後にバンドブレーキ装置21を搭載したり、古くなったバンド22,23の交換等を行う場合には、下部走行体2と上部旋回体7とを連結した状態でも、外輪17の外周側に対して各バンド22,23の取付け、取外しを容易に行うことができる。
この場合、ブレーキバンド全体を2本のバンド22,23に分割して配置し、これらのバンド22,23をアンカピン25によって連結しているので、バンドブレーキ装置21の組立作業や車両への取付け、取外し作業を容易に行うことができる。即ち、これらの作業では、2本のバンド22,23をアンカピン25により連結してサブアッセンブリ部品45を構成できるので、複数の部品を一体化して容易に扱うことができる。
そして、左,右のブレーキバンド22,23をアンカピン25を中心として回動させることができるので、両側のバンド22,23を拡開する方向に回動した状態で、これらを外輪17の外周に径方向外側から挿通したり、各バンド22,23を外輪17の外周から径方向に引抜くことができる。従って、下部走行体2と上部旋回体7とが連結された状態でも、バンド22,23の着脱作業を容易に行うことができる。
これにより、従来技術と比較してバンドブレーキ装置21の分解、組立作業を簡単に実行でき、組立時の作業性や製造後のメンテナンス性を高めることができる。また、例えば既存のアースドリル1にバンドブレーキ装置21を追加する場合でも、センタフレーム3に取付座部3A,3Bとなる鋼板を溶接した後に、シリンダ30,31、サブアッセンブリ部品45等を取付けるだけでよいから、大きな設計変更等を行うことなく、後付けの搭載作業を簡単に行うことができる。
また、ブレーキバンド22,23には長穴22E,23Eを設けているので、例えばアンカピン25、シリンダ30,31等の位置ずれを長穴22E,23Eによって吸収でき、例えばセンタフレーム3の取付座部3A,3B、ブラケット24,29等の寸法精度、配置をある程度ラフに設定することができる。このため、例えば正規の工場以外の場所等でも、高い精度を必要としない簡単な作業によって既存の車両にバンドブレーキ装置21を搭載することができる。
さらに、左,右のシリンダ30,31は、ロッド連結ピン30D,31Dの位置における外輪17の接線方向の直線Tに対して、例えば5〜40°程度、好ましくは15〜30°程度の角度θをもって配置している。これにより、シリンダ30,31は、引張力Fと押付力Fとを適度なバランスで発生させることができ、これらのバランスに応じて制動力を十分に大きくすることができる。
この場合、シリンダ30,31の駆動力をブレーキバンド22,23に安定的に加えるためには、各バンドの幅方向中間位置(即ち、バンドとほぼ等しい幅寸法をもつ外輪17の幅方向中間位置)にシリンダ30,31を配置するのが好ましい。従って、シリンダ30,31としては、外輪17から上,下方向に食み出して旋回フレーム8の底板8A等と干渉しないように、外輪17の幅寸法よりも小さな外径のシリンダを用いる必要がある。
しかし、本実施の形態では、小型のシリンダ30,31を用いたとしても、これらを角度θだけ傾けることによって十分な制動力を発生できるので、ロック動作を確実に行うことができ、狭いスペースでもシリンダ30,31を容易に配置することができる。
次に、図12は本発明の参考例を示し、この参考例の特徴は、左,右のアクチュエータを一体化する構成としたことにある。なお、この参考例では、前記実施の形態と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。
51はバンドブレーキ装置21′を構成するアクチュエータとしての油圧シリンダを示し、該油圧シリンダ51は、例えばデュアルピストン型のシリンダ等からなり、下部走行体2のセンタフレーム3にブラケット等を用いて取付けられたチューブ51Aと、該チューブ51Aの両端側に設けられ、該チューブ51Aに対して伸長または縮小する2本のロッド51B,51Cとによって構成されている。
そして、各ロッド51B,51Cのうち左側のロッド51Bは、左ブレーキバンド22のシリンダ取付部22Dに回動可能に取付けられ、右側のロッド51Cは、右ブレーキバンド23のシリンダ取付部23Dに回動可能に取付けられている。
かくして、このように構成される参考例でも、前記実施の形態とほぼ同様の作用効果を得ることができる。そして、特に参考例では、デュアルピストン型の油圧シリンダ51を用いたので、左,右のアクチュエータを油圧シリンダ51として一体化することができる。これにより、バンドブレーキ装置21′を小型化できると共に、その部品点数を削減して組立作業を効率よく行うことができる。
なお、前記実施の形態では、左ブレーキバンド22をライニング部22Aと裏金部22Bとによって2層構造とし、右ブレーキバンド23も同様の2層構造とした。しかし、本発明はこれに限らず、例えば単一の金属板等からなる1層構造のブレーキバンドを用いる構成としてもよく、また3層以上の材料からなる多層構造のブレーキバンドを用いる構成としてもよい。
また、実施の形態では、左,右のブレーキバンド22,23のアンカ取付部22C,23Cを同一のアンカピン25に取付ける構成とした。しかし、本発明はこれに限らず、例えばセンタフレーム3に2本のアンカピンを立設し、左,右のブレーキバンドをそれぞれ異なるアンカピンに取付ける構成としてもよい。
さらに、本発明のアンカ取付部としては、実施の形態に記載したアンカピン25に限らず、ブレーキバンドを旋回装置の周方向に対して位置決めする任意の位置決め構造を用いることができる。
一方、実施の形態では、下部走行体2側に設けたブレーキバンド22,23を、上部旋回体7側に固定された外輪17に摺接させる構成とした。しかし、本発明はこれに限らず、例えばブレーキバンド、アクチュエータ、バンド取付部等を上部旋回体7側に設け、この状態でブレーキバンドを、下部走行体2側に固定された内輪16の外周面に摺接させる構成としてもよい。
また、実施の形態では、アースドリル1に適用した場合を例に挙げて述べたが、本発明はこれに限らず、例えば油圧ショベル、油圧クレーン、杭打ち機等を含めて他の旋回式建設機械にも広く適用できるものである。
本発明の実施の形態によるアースドリルを示す正面図である。 旋回装置の近傍を拡大して示す拡大正面図である。 旋回装置、下部走行体等を図2中の矢示III−III方向からみた横断面図である。 図3中の旋回装置、バンドブレーキ装置等を示す拡大断面図である。 旋回装置、バンドブレーキ装置等を図3中の矢示V−V方向からみた拡大断面図である。 アンカピンの近傍等を拡大して示す図4中の要部拡大断面図である。 図6中の矢示VII−VII方向からみた要部拡大断面図である。 シリンダの近傍等を拡大して示す図4中の要部拡大断面図である。 左,右のブレーキバンド、アンカピン等を分解した状態で示す分解斜視図である。 左,右のブレーキバンド、アンカピン等からなるサブアッセンブリ部品を車体側に対して取外け、取外しする状態を示す横断面図である。 バンドブレーキ装置の油圧回路を示す回路図である。 本発明の参考例によるアースドリルを図4と同様位置からみた拡大断面図である。
符号の説明
1 アースドリル(旋回式建設機械)
2 下部走行体
3 センタフレーム
3A,3B 取付座部
4 丸胴
7 上部旋回体
8 旋回フレーム
8A 底板
12 旋回モータ
15 旋回装置
16 内輪
16A 内歯歯車
17 外輪
17A 外周面
18 転動体
19 給脂ニップル
21,21′ バンドブレーキ装置
22,23 ブレーキバンド
22A,23A ライニング部
22B,23B 裏金部
22C,23C アンカ取付部(取付端)
22D,23D シリンダ取付部(作用端)
22E,23E 長穴
24,29 ブラケット
25 アンカピン(バンド取付部)
26,27 角筒体
30,31,51 シリンダ(アクチュエータ)
32,33 リテーナ
34 バンド保護筒
45 サブアッセンブリ部品

Claims (3)

  1. 自走可能な下部走行体と、該下部走行体上に旋回装置を介して旋回可能に搭載され作業装置が設けられた上部旋回体と、前記下部走行体に対して前記上部旋回体に制動を与えるブレーキ装置とを備え
    前記ブレーキ装置は、前記旋回装置の外周側に巻装される2本のバンドからなるブレーキバンドと、該2本のブレーキバンドを前記旋回装置の外周側に締付けて前記上部旋回体に制動を与えるアクチュエータとからなるバンドブレーキ装置により構成し、
    前記下部走行体には、前記2本のブレーキバンドの長さ方向の一端側を取付端として取付けるバンド取付部を設け、前記2本のバンドの長さ方向の他端側を作用端として当該作用端に前記アクチュエータを取付ける構成としてなる旋回式建設機械において、
    前記バンド取付部は、前記2本のブレーキバンドの長さ方向の一端側を回動可能に連結するアンカピンを用いて構成し、
    前記アクチュエータは、前記2本のブレーキバンドを前記アンカピンを中心として互いに引張る方向に回動させることにより制動力を与える2本の油圧シリンダにより構成し、
    これらの2本の油圧シリンダは、前記2本のブレーキバンドの作用端と前記旋回装置の中心とを通る径方向の直線(R)と直交する線(T)に対して角度(θ)だけ傾けてそれぞれ配置する構成としたことを特徴とする旋回式建設機械。
  2. 前記ブレーキバンドの取付端には、前記バンド取付部に対して前記旋回装置の径方向には変位可能で、周方向には変位が規制される長穴を設けてなる請求項に記載の旋回式建設機械。
  3. 前記旋回装置は、前記下部走行体に固定された内輪と、該内輪の外周側に配置され前記上部旋回体に固定された外輪と、前記内輪と外輪とを旋回可能に連結する転動体とによって構成し、前記ブレーキバンドは前記外輪の外周面に巻装し、前記ブレーキバンドの取付端は前記下部走行体に取付け、前記ブレーキバンドの作用端は前記下部走行体に設けた前記アクチュエータに連結する構成としてなる請求項1または2に記載の旋回式建設機械。
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