[第1実施形態]
(無線通信システム)
図1に示すように、無線通信システム100は、送信側無線局10と、受信側無線局20とを備える。送信側無線局10は、受信側無線局20に送信データ15を含む希望信号1を送信する。受信側無線局20は、送信側無線局10から送信された希望信号1と、他の無線局30からの干渉信号2を受信する。
無線通信システム100では、送信側無線局10と受信側無線局20との間で無線通信が行われる。例えば、基地局間、アクセスポイント間、基地局とアクセスポイントとの間、移動局と基地局との間、無線端末とアクセスポイントとの間、アドホックネットワークにおける無線局間、マルチホップネットワークにおける無線局間等で無線通信が行われる。よって、送信側基地局10や受信側基地局20として、例えば、基地局、アクセスポイント、移動局、無線端末、アドホックネットワークにおける無線局、マルチホップネットワークにおける無線局等を用いることができる。
以下の説明においては、説明を簡単にするために、送信側無線局10については、送信系の構成を、受信側無線局20については、受信系の構成を説明するが、送信側無線局10は、受信側無線局20が備える受信系の構成を備え、受信側無線局20は、送信側無線局10が備える送信系の構成を備えることができる。
受信側無線局20は、発振器21と、干渉周数検出部22と、送信制御部22aと、アンテナ23aと、送受分離器23と、同期検波器24と、干渉キャンセラ25と、周波数誤差推定部26と、情報信号生成部27とを備えている。
アンテナ23aは、信号を送受信する。アンテナ23aは、例えば、送信信号として情報信号を送信し、受信信号として希望信号1及び無線局30からの干渉信号2の混ざり合った信号を受信する。情報信号は、受信側無線局20が送信側無線局10に提供する制御に関する情報を含む信号である。受信側無線局20は、情報信号として、受信側無線局20が推定した搬送波周波数誤差を含む誤差情報信号3を送信する。搬送波周波数誤差は、干渉信号2の搬送波周波数と希望信号1の搬送波周波数との差分である。
送受分離器23は、アンテナ23aに出力する送信信号と、アンテナ23aから入力される受信信号の入出力を切り替える。送受分離器23は、情報信号生成部27から送信信号として誤差情報信号3を取得する。送受分離器23は、受信信号を、干渉周波数検出部22、送信制御部22a、同期検波器24、周波数誤差推定部26に入力する。
干渉周波数検出部22は、干渉信号2の搬送波周波数fc+Δfを検出する。干渉周波数検出部22は、干渉信号2が予め定めた所定電力以上の場合に、干渉信号2の搬送波周波数を検出する。所定電力は、干渉信号2の搬送波周波数の検出の要否を判断するための値が適宜設定される。例えば、所定電力は、干渉信号2が小さく、受信信号がほぼ希望信号1と等しいとみなせる程度の値を設定できる。干渉周波数検出部22は、干渉信号2が所定電力以上の場合にだけ、干渉信号2の搬送波周波数を検出することにより、搬送波周波数誤差の影響が大きくない場合には、誤差情報信号3の送信側無線局10への送信、送信側無線局10における周波数誤差の補償を省略して、送信側無線局10及び受信側無線局20の制御負荷を低減できる。
具体的には、送信制御部22aが、干渉信号2の電力を検出し、送信側無線局10に希望信号1の送信の停止、開始を指示し、干渉周波数検出部22に干渉信号2の搬送波周波数の検出を指示する。送信制御部22aは、送受分離器23から取得した受信信号に含まれる干渉信号2の電力を検出する。送信制御部22aは、干渉信号2が所定電力以上の場合、送信側無線局10に希望信号1の送信の停止を指示する。送信側無線局10が希望信号1の送信を停止している間は、アンテナ23aは、干渉信号2のみを受信する。そのため、干渉周波数検出部22は、受信信号として干渉信号2のみを送受分離器23から取得できる。よって、送信制御部22aは、送信側無線局10へ停止を指示した後、干渉周波数検出部22に、干渉信号2の搬送波周波数の検出を指示する。その後、送信制御部22aは、送信側無線局10に希望信号1の送信の再開を指示する。送信電力制御部22aは、停止の指示、再開の指示を、送受分離器23及びアンテナ23aを介して送信側無線局10に送信することにより、指示を行う。
干渉周波数検出部22は、送受分離器23から取得した受信信号の搬送波周波数を検出する。干渉周波数検出部22は、送信制御部22aから検出の指示を取得したときは、受信信号の搬送波周波数を、干渉信号2の搬送波周波数として検出する。干渉周波数検出部22は、送信制御部22aから、干渉信号2が所定電力以上の場合にだけ検出の指示を取得する。しかも、送信制御部22aから検出の指示を取得するときは、希望信号1の送信が停止されており、干渉周波数検出部22は、受信信号として干渉信号2のみを送受分離器23から取得できる。そのため、干渉周波数検出部22は、送信制御部22aから検出の指示を受けたときにだけ、受信信号の搬送波周波数を検出することにより、干渉信号2が所定電力以上の場合にだけ、干渉信号2の搬送波周波数を検出できる。そして、干渉周波数検出部22は、検出した干渉信号2の搬送波周波数を、周波数誤差推定部26及び発振器21へ入力する。
干渉周波数検出部22は、送信制御部22aから検出の指示を取得しない間は、受信信号の搬送波周波数を、希望信号1の搬送波周波数として検出する。干渉周波数検出部22は、送信制御部22aから、干渉信号2が所定未満の間は検出の指示を取得しない。そのため、干渉周波数検出部22は、指示を取得しない間は、干渉信号2の電力が所定電力未満であり、受信信号はほぼ希望信号1と等しいとみなせる。干渉周波数検出部22は、検出した希望信号1の搬送波周波数を発振器21に入力する。
発振器21は、基準周波数を発振し、同期検波器24に入力する。発振器21は、干渉信号2の搬送波周波数を検出する前は、受信した希望信号1の搬送波周波数を干渉周波数検出部22から取得して基準周波数として発振する。発振器21は、干渉信号2の搬送波周波数を検出した後は、発振する基準周波数を、干渉周波数検出部22から取得した干渉信号2の搬送波周波数に変更する。本実施形態では、発振器21は、干渉信号2の搬送波周波数を検出し、誤差情報信号3を送信する前は希望信号1の搬送波周波数を、誤差情報信号3を送信した後は干渉信号2の搬送波周波数を基準周波数に用いる。尚、発振器21が、干渉信号2の搬送波周波数を検出し、発振する基準周波数を干渉周波数検出部22から取得した干渉信号2の搬送波周波数に変更した後に、干渉周波数検出部22は、送信側無線局10に希望信号1の送信の再開を指示するようにしてもよい。
同期検波器24は、送受分離器23から入力された受信信号について、発振器21から入力される基準周波数を基準として同期検波する。同期検波器24は、干渉周波数検出部22が干渉信号2の搬送波周波数を検出した後に、希望信号1の送信が再開された後の受信信号、即ち、希望信号1と干渉信号2が混在する受信信号の同期検波を行う。同期検波器24は、検波した受信信号を、干渉キャンセラ25に入力する。
周波数誤差推定部26は、受信した干渉信号2の搬送波周波数fc+Δfと希望信号1の搬送波周波数fcとの差分である搬送波周波数誤差Δfを推定する。周波数誤差推定部26は、干渉周波数検出部22から干渉信号2の搬送波周波数を取得する。又、周波数誤差推定部26は、送受分離器23から受信信号を取得する。ここで、送信側無線局10は、他の無線局30からの干渉信号2が発生していないときに、希望信号1の送信開始を受信側無線局20に通知して希望信号1を送信する。この送信開始時に受信側無線局20が受信する受信信号はほぼ希望信号1のみとなる。そのため、周波数誤差推定部26は、送信側無線局10からの通知があったときの受信信号を取得した際に、その受信信号を希望信号1とみなしてその搬送波周波数を検出し、記憶しておく。周波数誤差推定部26は、取得した干渉信号2の搬送波周波数と、記憶している希望信号1の搬送波周波数との差分を求めることにより、搬送波周波数誤差を推定する。周波数誤差推定部26は、推定した搬送波周波数誤差を情報信号生成部27へ入力する。
情報信号生成部27は、受信側無線局20が送信側無線局10に提供する制御に関する情報を含む情報信号を生成する。情報信号生成部27は、情報信号として、搬送波周波数誤差Δfに基づく誤差情報信号3を生成する。誤差情報信号は、搬送波周波数誤差そのものを含んでもよく、搬送波周波数誤差から決定される情報を含んでもよい。本実施形態では、誤差情報信号3は、搬送波周波数誤差を含む。情報信号生成部27は、周波数誤差推定部26から取得した搬送波周波数誤差を含む情報を、変調することにより信号に変換し、誤差情報信号3を生成する。情報信号生成部27は、生成した誤差情報信号3を送受分離器23に入力する。このようにして、情報信号生成部27は、送受分離器23及びアンテナ23aを介して、送信側無線局10に誤差情報信号3を送信する。
干渉キャンセラ25は、受信信号のレプリカを生成して受信信号から干渉信号2を除去する。干渉キャンセラ25は、伝搬路推定部25aと、判定部25bと、希望信号レプリカ生成部25cと、干渉信号レプリカ生成部25dと、二乗回路25eと、減算器25fと、加算器25gとを備える。
まず、伝搬路推定部25aが、受信信号1と干渉信号2の伝搬路を推定し、それぞれの伝搬路推定値を求める。伝搬路推定部25aは、減算器25fから、実際の受信信号8aと複数の受信信号のレプリカ8bとの差を取得し、その差を用いて伝搬路を推定する。伝搬路推定部25aは、求めた希望信号1の伝搬路推定値を希望信号レプリカ生成部25cに入力する。伝搬路推定部25aは、求めた干渉信号2の伝搬路推定値を干渉信号レプリカ生成部25dに入力する。
又、判定部25bが、複数の希望信号シンボル系列候補と干渉信号シンボル系列候補を生成する。判定部25bは、生成した複数の希望信号シンボル系列候補を希望信号レプリカ生成部25cに入力する。判定部25bは、生成した複数の干渉信号シンボル系列候補を干渉信号レプリカ生成部25dに入力する。
希望信号レプリカ生成部25cは、判定部25bから取得した複数の希望信号シンボル系列候補を変調した信号点に対し、伝搬路推定部25aから取得した希望信号1の伝搬路推定値を乗算し、複数の希望信号レプリカを生成する。干渉信号レプリカ生成部25dは、判定部25bから取得した複数の干渉信号シンボル系列候補を変調した信号点に対し、伝搬路推定部25aから取得した干渉信号2の伝搬路推定値を乗算し、複数の干渉信号レプリカを生成する。希望信号レプリカ生成部25c、干渉信号レプリカ生成部25dは、生成した複数の希望信号レプリカ及び干渉信号レプリカを加算器25gに入力する。
加算器25gは、希望信号レプリカ生成部25c、干渉信号レプリカ生成部25dから取得した複数の希望信号レプリカと干渉信号レプリカを加算して両者の和を求め、複数の受信信号のレプリカ8bを生成する。このように、希望信号レプリカ生成部25c、干渉信号レプリカ生成部25d及び加算器25gは、伝搬路推定値に基づいて受信信号のレプリカ8bを生成する。加算器25gは、生成した複数の受信信号のレプリカ8bを減算器25fに入力する。
減算器25fは、実際の受信信号8aを同期検波器24から、複数の受信信号のレプリカ8bを加算器25gから取得する。減算器25fは、実際の受信信号8aと複数の受信信号のレプリカ8bとの差を求め、伝搬路推定部25aと、二乗回路25eに入力する。二乗回路25eは、受信信号8aと複数の受信信号のレプリカ8bとの差を二乗して、判定部25bに入力する。
判定部25bは、実際の受信信号8aと複数の受信信号のレプリカ8bとの差を二乗した値が最小となる希望信号シンボル系列候補及び干渉信号シンボル系列候補を判定し、その希望信号成分を、受信した希望信号1として出力する。判定部25bは、このように受信信号8aと複数の受信信号のレプリカ8bとの差を二乗した値を用いて判定することにより、実際の受信信号8aと複数の受信信号のレプリカ8bとの差の絶対値が最小となる希望信号シンボル系列候補及び干渉信号シンボル系列候補を判定できる。このようにして、判定部25bは、受信信号のレプリカ8bと実際の受信信号8aとを比較し、実際の受信信号8aに近い受信信号のレプリカ8bの希望信号成分を希望信号1と判定する。このようにして、干渉キャンセラ25は、同期検波器24から取得した受信信号8aから、干渉信号2を除去し、希望信号1を得る。そして、判定部25bは、希望信号1を復調し、送信側無線局10から送信され、受信した受信データ15aとして出力する。
送受分離器23、干渉周波数検出部22、送信制御部22a、発振器21、同期検波器24、周波数誤差推定部26、干渉キャンセラ25,情報信号生成部27は、例えば、上記機能を果たす回路を用いることができる。
送信側無線局10は、アンテナ11aと、送受分離器11と、信号分離器12と、周波数制御部13と、送信信号生成部14と、送信制御部14aを備えている。アンテナ11aは、信号を送受信する。アンテナ11aは、例えば、送信信号として希望信号1を送信し、受信信号として誤差情報信号3のような情報信号を受信する。送受分離器11は、アンテナ11aに出力する送信信号と、アンテナ11aから入力される受信信号の入出力を切り替える。送受分離器11は、送信信号生成部14から送信信号として希望信号を取得する。送受分離器11は、受信信号を信号分離器12に入力する。
信号分離器12は、受信信号の中から誤差情報信号3を分離し、周波数制御部13に入力する。信号分離器12は、受信信号の中から希望信号1の送信の停止及び再開の指示を分離し、送信制御部14aに入力する。周波数制御部13は、搬送波周波数誤差Δfに基づいて、送信する希望信号1の搬送波周波数を干渉信号2の搬送波周波数に一致させる。周波数制御部13は、誤差情報信号3から搬送波周波数誤差を取得する。周波数制御部13は、搬送波周波数誤差に基づいた希望信号の搬送波周波数を制御する搬送波周波数制御信号4aを送信信号生成部14に入力することにより、搬送波周波数を制御する。
送信制御部14aは、アンテナ11a及び送受分離器11を介して受信側無線局20から、希望信号1の送信の停止及び再開の指示を受信する。送信制御部14aは、受信した指示に従って、送信信号生成部14に、希望信号1の停止、再開を指示する。
送信信号生成部14は、送信データ15から、送信データ15を含む希望信号を送信信号として生成し、送受分離器11に入力する。送信信号生成部14は、搬送波周波数制御信号4aに従った搬送波周波数fc+Δfの希望信号1を生成する。これにより、送信信号生成部14は、搬送波周波数を干渉信号2の搬送波周波数に一致させた希望信号1を生成できる。送信信号生成部14は、送受分離器11及びアンテナ11aを介して、希望信号1を受信側無線局20に送信する。
送信信号生成部14は、送信制御部14aの指示に従って、希望信号1の送信を停止、再開する。送信信号生成部14は、送信制御部14aから停止の指示を受けた場合には、希望信号1を送受分離器11に入力せずに、希望信号1の送信を停止する。その後、送信信号生成部14は、送信制御部14aから再開の指示を受けると、希望信号1を送受分離器11に入力し、希望信号1の送信を再開する。送受分離器11、信号分離器12、周波数制御部13、送信信号生成部14、送信制御部14aは、例えば、上記機能を果たす回路を用いることができる。
(無線通信方法)
図2を用いて、図1に示した通信システム100を用いた無線通信方法の手順を説明する。送信側無線局10は、希望信号1を送信する(S101)。受信側無線局20は、受信信号に含まれる干渉信号2の電力を検出する(S102)。受信側無線局20は、干渉信号2が所定電力以上の場合、送信側無線局10に希望信号1の送信の停止を指示する(S103)。送信側無線局10は、停止の指示に従って希望信号の送信を停止する(S104)。受信側無線局20は、送信側無線局10が希望信号1の送信を停止している間に、干渉信号2の搬送波周波数を検出する(S105)。受信側無線局20は、干渉信号2の搬送波周波数の検出後、送信側無線局10に希望信号1の送信の再開を指示する(S106)。送信側無線局10は、受信側無線局20からの指示に従い、送信を再開して希望信号1を送信する(S107)。
希望信号1の送信の再開後、受信側無線局20は、記憶している希望信号1の搬送波周波数と、検出した干渉信号2の搬送波周波数に基づいて、搬送波周波数誤差Δfを推定する(S108)。受信側無線局20は、推定した搬送波周波数誤差Δfを含む誤差情報信号3を送信側無線局10に送信する(S109)。
誤差情報信号3送信後は、受信側無線局20では、干渉信号2の搬送波周波数を基準周波数として同期検波する(S110)。そして、受信側無線局20では、同期検波した受信信号から干渉信号1を除去して復調し、受信データ15aを得る。送信側無線局10は、誤差情報信号3に含まれる搬送波周波数誤差Δfに基づいて、送信する希望信号1の搬送波周波数を干渉信号2の搬送波周波数fc+Δfに一致させて、希望信号1の搬送波周波数を制御する(S111)。そして、送信側無線局10は、搬送波周波数を制御した希望信号1を受信側無線局20に送信する。
(効果)
このような無線通信システム100、送信側無線局10、受信側無線局20及び無線通信方法によれば、受信側無線局20が、搬送波周波数誤差を推定できる。受信側無線局20は、推定した搬送波周波数誤差を含む誤差情報信号3を生成できる。そのため、受信側無線局20は、送信側無線局10に搬送波周波数誤差を通知できる。そして、送信側無線局10が、受信側無線局20によって推定され、通知された搬送波周波数誤差に基づいて、送信する希望信号1の搬送波周波数を干渉信号2の搬送波周波数に一致させることができる。よって、受信側無線局20と送信側無線局10との間で確立された各無線リンクにおいて、独自に搬送波周波数誤差を補償できる。そのため、受信側無線局20の干渉キャンセラ25は、伝搬路推定を追従させて干渉信号2を除去できる。よって、無線通信システム100は、干渉キャンセラ25の適用効果を高め、周波数利用効率を向上できる。特に、搬送波周波数誤差が大きくなってしまう高周波無線システムにおいても、搬送波周波数誤差を補償できる。
しかも、干渉周波数検出部22は、送信側無線局10に希望信号1の送信の停止を指示して干渉信号2のみを受信するようにすることにより、干渉信号2の搬送波周波数を検出する。これにより、干渉周波数検出部22は、精度良く、干渉信号2の搬送波周波数を容易に検出できる。
[第2実施形態]
(無線通信システム)
図3に示すように、無線通信システム100aは、送信側無線局10aと受信側無線局20を備える。送信側無線局10aは、アンテナ11aと、送受分離器11と、信号分離器12と、送信制御部14aと、電力増幅器161と、周波数変換器162と、発振器163と、移相量算出部164と、ベースバンド変調器165と、乗算器166とを備える。即ち、図3に示した送信側無線局10aは、図1に示した送信側無線局10の周波数制御部13に代えて、移相量算出部164と乗算器166を備え、送信信号生成部14に代えて、電力増幅器161と、周波数変換器162と、発振器163と、ベースバンド変調器165とを備える。図3では、図1に示した無線通信システム100とほぼ同様の構成については同一の符号を付して説明の一部を省略する。
ベースバンド変調器165は、希望信号に含まれることなる送信データ15をベースバンド信号5aに変調する。ベースバンド変調器165は、ベースバンド信号5aを乗算器166に入力する。
信号分離器12は、受信信号から分離した誤差情報信号3を移相量算出部164に入力する。移相量算出部164は、取得した誤差情報信号3に含まれる搬送波周波数誤差Δfから、搬送波周波数誤差に応じた角速度2πΔfを算出する。このように、角速度2πΔfは、搬送波周波数誤差Δfに比例する。移相算出部164は、算出した角速度2πΔfから位相回転量「ej2πΔft」を算出する。このように位相回転量は、複素指数関数で表される。そして、移相量算出部164は、搬送波周波数誤差に比例する角速度2πΔfを用いた位相回転量4b「ej2πΔft」を乗算器166に入力する。
乗算器166は、移相量算出部164から入力された位相回転量4b「ej2πΔft」をベースバンド信号5aに乗算することにより、ベースバンド信号5aの位相を搬送波周波数誤差に応じた角速度2πΔfで回転させて、変化させる。乗算器166は、回転させて、変化させることにより得られた移相後のベースバンド信号5bを、周波数変換器162に入力する。
このように、移相量算出部164が、搬送波周波数誤差に応じた位相回転量4b「ej2πΔft」を乗算器166に入力し、乗算器166が、入力された位相回転量4b「ej2πΔft」に従って、ベースバンド信号5aの位相を搬送波周波数誤差に応じた角速度2πΔfで回転させ、変化させることにより、希望信号1の搬送波周波数を干渉信号2の搬送周波数に一致させる。即ち、移相量算出部164及び乗算器166は、搬送波周波数誤差に基づいて希望信号1の搬送波周波数を干渉信号の搬送波周波数に一致させる周波数制御部として機能する。
周波数変換器162は、移相後のベースバンド信号5bの中心周波数を変換して希望信号1とする。発振器163は、周波数変換器162の基準周波数を発振し、周波数変換器162に入力する。周波数変換器162は、発振器163から取得した基準周波数を用いて、移相後のベースバンド信号5bの中心周波数を変換する。
周波数変換器162が変換して得られる希望信号1は、以下の(1)式のように、希望信号1の搬送波周波数が、見かけ上で干渉信号2の搬送波周波数fc+Δfと一致する。
周波数変換器162は、変換して得られた希望信号1を電力増幅器161に入力する。送信制御部14aは、電力増幅器161に、希望信号1の停止、再開を指示する。
電力増幅器161は、周波数変換器162から取得した希望信号1の電力を増幅する。電力増幅器161は、増幅後の希望信号1を送受分離器11に入力し、送受分離器11及びアンテナ11aを介して、受信側無線局20に送信する。電力増幅器161は、送信制御部14aの指示に従って、希望信号1の送信を停止、再開する。電力増幅器161は、送信制御部14aから停止の指示を受けた場合には、希望信号1を送受分離器11に入力せずに、希望信号1の送信を停止する。その後、電力増幅器161は、送信制御部14aから再開の指示を受けると、希望信号1を送受分離器11に入力し、希望信号1の送信を再開する。
このようにして、ベースバンド変調器165、発振器163、周波数変換器162、電力増幅器161は、送信データ15から希望信号1を生成する送信信号生成部として機能する。
(効果)
このような送信側無線局10aによれば、ベースバンド信号5aの位相を、受信側無線局10から通知された搬送波周波数誤差Δfに応じた角速度2πΔfで回転させ、変化させることにより、希望信号1の搬送波周波数を、見かけ上で、干渉信号2の搬送波周波数と一致させることができる。よって、送信側無線局10aは、容易に搬送波周波数誤差を補償できる。
[第3実施形態]
(無線通信システム)
図4に示すように、無線通信システム100bは、送信側無線局10bと受信側無線局20を備える。送信側無線局10bは、アンテナ11aと、送受分離器11と、信号分離器12と、送信制御部14aと、電力増幅器161と、周波数変換器162と、発振器163と、発振器制御部167とを備える。即ち、図4に示した送信側無線局10bは、図1に示した送信側無線局10の周波数制御部13に代えて、発振器制御部167を備え、送信信号生成部14に代えて、電力増幅器161と、周波数変換器162と、発振器163と、ベースバンド変調器165とを備える。図4では、図1、3に示した無線通信システム100、100aとほぼ同様の構成については同一の符号を付して説明の一部を省略する。
信号分離器12は、受信信号から分離した誤差情報信号3を発振器制御部167に入力する。ベースバンド変調器165は、送信データ15を変調したベースバンド信号5aを周波数変換器162に入力する。
発振器制御部167は、搬送波周波数誤差に基づいて、周波数変換器162がベースバンド信号5aの中心周波数の変換に用いる基準周波数を制御することにより、送信する希望信号1の搬送波周波数を干渉信号2の搬送波周波数に一致させる。発振器制御部167は、取得した誤差情報信号3に含まれる搬送波周波数誤差Δfに基づいて、希望信号1の搬送波周波数が干渉信号2の搬送波周波数に一致するように、変換に用いる基準周波数を決定する。発振器制御部167は、決定した基準周波数を指示する基準周波数制御信号4cを発振器163に入力する。
発振器163は、発振器制御部167から取得した基準周波数制御信号4cに含まれる基準周波数を発振し、周波数変換器162に入力する。周波数変換器162は、ベースバンド信号5aの中心周波数を、発振器163から取得した基準周波数を用いて変換し、希望信号1とする。このように、発振器制御部167は、発振器163に、決定した基準周波数を発振するように指示することにより、周波数変換器162が用いる基準周波数を制御する。そして、発振器制御部167は、搬送波周波数誤差に基づいて希望信号1の搬送波周波数を干渉信号の搬送波周波数に一致させる周波数制御部として機能する。発振器制御部167は、上記機能を果たす回路を用いることができる。
(効果)
このような送信側無線局10bによれば、ベースバンド信号5aの中心周波数の変換に用いる基準周波数を、搬送波周波数誤差に基づいて制御することにより、希望信号1の搬送波周波数をより高精度に干渉信号2の搬送波周波数と一致させることができる。よって、送信側無線局10bは、より高精度に搬送波周波数誤差を補償できる。そのため、搬送波周波数誤差補償後の残留した搬送波周波数誤差も小さくできる。
[第4実施形態]
(無線通信システム)
図5に示すように、無線通信システム100cは、送信側無線局10と受信側無線局20cを備える。受信側無線局20cは、発振器21と、干渉周波数検出部22と、送信制御部22aと、アンテナ23aと、送受分離器23と、同期検波器24と、干渉キャンセラ25と、周波数誤差推定部26cと、回転速度測定部28と、情報信号生成部27とを備える。図5では、図1に示した無線通信システム100とほぼ同様の構成については同一の符号を付して説明の一部を省略する。
発振器21は、干渉信号2の搬送波周波数fc+Δfを、干渉周波数検出部22から取得し、同期検波器24の基準周波数として発振する。同期検波器24は、希望信号1と干渉信号2が混在する受信信号を、発振器21から入力される基準周波数、即ち、干渉信号2の搬送波周波数を基準周波数として用いて同期検波し、同期検波された受信信号としてベースバンド信号5aを得る。ベースバンド信号5aの信号点5cの信号点配置図を図6(a)に示す。信号点配置図は、縦軸をQ成分(quadrature成分:直交成分)、横軸をI成分(in-phase成分:位相成分)とする座標上に信号点を配置した図である。ベースバンド信号5aの信号点5cは、干渉信号2の信号点2aの周囲を、搬送波周波数誤差Δfに比例する角速度2πΔfで回転するように観測される。尚、干渉信号2の信号点2aは、実際には不可視である。同期検波器24は、受信信号を同期検波して得たベースバンド信号5aを、干渉キャンセラ25に入力する。
干渉キャンセラ25は、ベースバンド信号5aから干渉信号2を除去し、残留信号6を得る。残留信号6は、希望信号1だけでなく雑音を含む。残留信号6の信号点6aの信号点配置図を、図6(b)に示す。残留信号6の信号点6aは、ベースバンド信号5aの信号点5cから干渉信号2の信号点2aを差し引いたもので、搬送波周波数誤差Δfに比例する角速度2πΔfで回転するように観測される。即ち、残留信号6の位相は、角速度2πΔfで回転する。このように希望信号1の位相が角速度2πΔfで回転するため、希望信号1に雑音が残留した状態の残留信号6の位相も平均的に角速度2πΔfで回転する。干渉キャンセラ25は、残留信号6を回転速度測定部28に入力する。
回転速度測定部28は、同期検波された受信信号に含まれる希望信号1の回転速度2πΔfを測定する。回転速度は、信号の位相回転の角速度をいう。回転速度測定部28は、干渉キャンセラ25から取得する干渉信号2を除去した残留信号6の回転速度を測定する。このように、回転速度測定部28は、希望信号1の回転速度として、希望信号1の回転速度そのものを測定してもよく、希望信号1に雑音が残留した状態の残留信号6の回転速度を測定してもよい。
更に、回転速度測定部28は、同期検波された受信信号に含まれる希望信号1の回転速度2πΔfを、干渉キャンセラ25の伝搬路推定部25aが推定した伝搬路推定値に基づいて推定することにより、測定してもよい。この場合、干渉キャンセラ25は、残留信号6を回転速度測定部28に入力するのではなく、伝搬路推定部25aが、伝搬路推定値を回転速度測定部28に入力する。特に、搬送波周波数誤差が十分に小さくなった後は、回転速度測定部28は、伝搬路推定値から高精度に回転速度を測定できる。回転速度測定部28は、回転速度の測定値を周波数誤差推定部26cに入力する。
周波数誤差推定部26cは、受信信号に含まれる希望信号1の回転速度に基づいて搬送波周波数誤差を推定する。周波数誤差推定部26cは、回転速度測定部28から取得した回転速度2πΔfに基づいて、計算により搬送波周波数誤差Δfを推定できる。周波数誤差推定部26cは、推定した搬送波周波数誤差を情報信号生成部27に入力する。周波数誤差推定部26cは、希望信号1そのものの回転速度に基づいて推定してもよく、希望信号1に雑音が残留した状態の残留信号6の回転速度に基づいて推定してもよい。周波数誤差推定部26c、回転速度測定部28は、例えば、上記機能を果たす回路を用いることができる。
尚、送信制御部22aは、送信側無線局10に希望信号1の送信の再開を指示する際に、十分に小さい送信電力で単一のシンボルからなら希望信号1を送信するように指示することが好ましい。これにより、送信側無線局10の送信信号生成部14は、受信側無線局20cからの指示に従う送信制御部14aの指示に基づいて、十分に小さい送信電力で単一のシンボルからなる希望信号1の送信を再開する。これによれば、希望信号1が十分に小さい送信電力で送信されるため、干渉キャンセラ25は、干渉信号シンボル系列候補を容易に生成し、干渉信号レプリカを容易に生成できる。そのため、干渉キャンセラ25は、容易に干渉信号2を除去できる。
更に、搬送波周波数の制御が進み、搬送波周波数誤差が減少してきた場合には、送信制御部22aは、希望信号1の送信電力を徐々に上げるよう送信側無線局10に指示することが好ましい。これにより、送信側無線局10の送信信号生成部14は、送信電力を徐々に上げながら希望信号1を送信する。これによれば、希望信号の受信品質が高くなり、周波数誤差推定部26cの推定精度が向上する。
又、周波数誤差推定部26cは、希望信号1のシンボル系列を予め記憶しておき、その既知のシンボル系列を用いて搬送波周波数誤差を推定してもよい。これによれば、周波数誤差推定部26cは、搬送波周波数誤差を精度良く推定できる。更に、この場合には、送信制御部22aは、希望信号1の送信電力を小さくするよう指示する必要はない。又、回転速度測定部28は、伝搬路推定値に基づいて希望信号1の回転速度2πΔfを測定する場合には、希望信号1の送信電力が大きくても精度よく回転速度を測定できる。よって、この場合にも、送信制御部22aは、希望信号1の送信電力を小さくするよう指示する必要はない。
(無線通信方法)
図7を用いて、図5に示した通信システム100cを用いた無線通信方法の手順を説明する。送信側無線局10と受信側無線局20cは、ステップ(S201)〜(S205)を行う。ステップ(S201)〜(S205)は、図2に示したステップ(S101)〜(S105)と同様である。受信側無線局20cは、同期検波に用いる基準周波数を、ステップ(S205)において検出した干渉信号2の搬送波周波数fc+Δfに変更する(S206)。変更後、受信側無線局20cは、送信側無線局10に希望信号1の送信の再開を指示する(S207)。送信側無線局10は、受信側無線局20cからの指示に従い、送信を再開して希望信号1を送信する(S208)。
希望信号1の送信の再開後、受信側無線局20cは、希望信号1と干渉信号2を含む受信信号を、干渉信号2の搬送波周波数を基準周波数として用いて同期検波し、ベースバンド信号5aを得る。そして、受信側無線局20cは、ベースバンド信号5aから干渉信号2を除去し、残留信号6を得る(S209)。受信側無線局20cは、希望信号1の回転速度として残留信号6の回転速度2πΔfを測定する。そして、受信側無線局20cは、回転速度の測定値2πΔfに基づいて、搬送波周波数誤差Δfを推定する(S210)。受信側無線局20cは、推定した搬送波周波数誤差Δfを含む誤差情報信号3を送信側無線局10に送信する(S211)。送信側無線局10は、誤差情報信号3に含まれる搬送波周波数誤差Δfに基づいて、送信する希望信号1の搬送波周波数を干渉信号2の搬送波周波数fc+Δfに一致させて、希望信号1の搬送波周波数を制御する(S212)。そして、送信側無線局10は、搬送波周波数を制御した希望信号1を受信側無線局20cに送信する。
(効果)
このような受信側無線局20cによれば、受信信号に含まれる希望信号1そのものの回転速度又は希望信号1に雑音が残留した状態の残留信号6の回転速度を測定することにより、搬送波周波数誤差を推定できる。よって、受信側無線局20cと送信側無線局10との間で確立された各無線リンクにおいて、独自に搬送波周波数誤差を補償できる。
[第5実施形態]
(無線通信システム)
図8に示すように、無線通信システム100dは、送信側無線局10と受信側無線局20dを備える。受信側無線局20dは、発振器21と、干渉周波数検出部22と、送信制御部22aと、アンテナ23aと、送受分離器23と、同期検波器24と、干渉キャンセラ25と、周波数誤差推定部26と、情報信号生成部27cと、品質測定部29とを備える。図8では、図1に示した無線通信システム100とほぼ同様の構成については同一の符号を付して説明の一部を省略する。
送受分離器23は、受信信号を品質測定部29にも入力する。品質測定部29は、受信信号の受信品質を測定する。品質測定部29は、受信品質として、受信信号のCIR(Carrier to Interference power Ratio)、SIR(Signal to Interference power Ratio)、SNR(Signal to Noise power Ratio)、CNR(Carrier to Noise power Ratio)等を測定する。品質測定部29は、その他にも、受信品質として、受信信号や希望信号1と、干渉信号2や雑音との電力比等、受信信号の品質を表すものを測定できる。品質測定部29は、特に、CNRを測定することが好ましい。品質測定部29は、同期検波器24から取得した受信信号の受信品質を測定する。品質測定部29は、受信品質の測定値を情報信号生成部27cに入力する。
情報信号生成部27cは、受信品質の測定値に基づいて搬送波周波数の制御を行うか否かを判断する。情報信号生成部27cは、受信品質の測定値と、制御を行うか否かを判断するための受信品質の閾値とを比較し、搬送波周波数の制御を行うか否かを判断する。そして、情報信号生成部27cは、その判断結果に基づいて誤差情報信号3の生成の可否を決定する。即ち、情報信号生成部27cは、誤差情報信号3を生成して、送信側無線局10に送信するか否かを決定する。或いは、情報信号生成部27cは、その判断結果に基づいて、誤差情報信号3に含める情報を決定する。誤差情報信号3に含める情報には、搬送波周波数誤差、受信品質の測定値と閾値との比較結果、搬送波周波数の制御を行うか否かの判断結果などがある。情報信号生成部27cは、CNRの測定値及び閾値を用いて判断することが好ましい。
情報信号生成部27cは、予め受信品質の閾値を設定し、記憶しておき、記憶している閾値と測定値とを比較する。搬送波周波数誤差の推定精度は、受信信号の受信品質が高いほど向上する。例えば、雑音電力が大きくCNRが低い場合には、雑音電力により搬送波周波数誤差の推定精度が劣化するおそれがある。そのため、受信品質の閾値には、その値以上であれば、受信品質が高く搬送波周波数誤差を高精度に推定でき、搬送波周波数誤差に基づく希望信号1の搬送波周波数の制御を高精度に行うことができると判断される受信品質の値を設定できる。
情報信号生成部27cは、受信品質の測定値が閾値以上の場合には、搬送波周波数の制御を行うと判断する。そして、情報信号生成部27cは、その判断結果に基づいて、誤差情報信号3を生成し、送信側無線局10に送信することを決定する。この場合、情報信号生成部27cは、周波数誤差推定部26から取得した搬送波周波数誤差を含む情報を、変調することにより信号に変換し、誤差情報信号3を生成する。情報信号生成部27cは、生成した誤差情報信号3を、送受分離部23及びアンテナ23aを介して送信側無線局10に送信する。
一方、情報信号生成部27cは、受信品質の測定値が閾値未満の場合には、搬送波周波数の制御を行わないと判断する。そして、情報信号生成部27cは、その判断結果に基づいて、誤差情報信号3を生成せずに、送信側無線局10に送信しないことを決定する。この場合、情報信号生成部27cは、周波数誤差推定部26から取得した搬送波周波数誤差を破棄し、誤差情報信号3を生成しない。
送信側無線局10では、誤差情報信号3を受信した場合には、誤差情報信号3に含まれる搬送波周波数誤差に基づいて希望信号1の搬送波周波数を制御する。送信側無線局10では、誤差情報信号3を受信しない場合には、搬送波周波数誤差に基づく希望信号1の搬送波周波数は行わない。
あるいは、情報信号生成部27cは、受信品質の測定値が閾値以上であり、搬送波周波数の制御を行うと判断した場合には、誤差情報信号3に含める情報を、周波数誤差推定部26から取得した推定した搬送波周波数誤差に決定する。一方、情報信号生成部27cは、受信品質の測定値が閾値未満の場合であり、搬送波周波数の制御を行わないと判断した場合には、誤差情報信号3に含める情報を、周波数誤差推定部26が推定した搬送波周波数誤差に関わらず、搬送波周波数誤差が「0」であることに決定する。そして、情報信号生成部27cは、決定した搬送波周波数誤差を含む情報を、変調することにより信号に変換し、誤差情報信号3を生成する。情報信号生成部27cは、生成した誤差情報信号3を、送受分離部23及びアンテナ23aを介して送信側無線局10に送信する。
情報信号生成部27cは、搬送波周波数誤差だけでなく、受信品質の測定値と閾値との比較結果や、搬送波周波数の制御を行うか否かの判断結果を含む誤差情報信号3を生成できる。例えば、比較結果として、受信品質の測定値が閾値未満であることを示す情報と、推定した搬送波周波数誤差を含む誤差情報信号3を生成できる。
送信側無線局10は、推定した搬送波周波数誤差を含む誤差情報信号3を受信した場合には、誤差情報信号3に含まれる推定した搬送波周波数誤差に基づいて希望信号1の搬送波周波数を制御する。送信側無線局10の周波数制御部13は、搬送波周波数誤差が「0」である誤差情報信号3を受信した場合にも、搬送波周波数誤差が「0」として搬希望信号1の送波周波数を制御する。その結果、補償すべき搬送波周波数誤差が存在しないため、搬送波周波数誤差の実効的な補償は行われない。
(無線通信方法)
図9(a)を用いて、図8に示した通信システム100dを用いた無線通信方法における誤差情報信号の送信手順を説明する。受信側無線局20dは、受信信号の受信品質を測定する(S301)。受信側無線局20dは、受信品質の測定値と、受信品質の閾値とを比較し、搬送波周波数の制御を行うか否かを判断する(S302)。ステップ(S302)において、受信品質の測定値が閾値以上の場合には、受信側無線局20dは、搬送波周波数の制御を行うと判断し、誤差情報信号3を生成して、送信側無線局10に送信する(S303)。そして、受信側無線局20dは、ステップ(S301)に戻り、処理を繰り返す。一方、ステップ(S302)において、受信品質の測定値が閾値未満の場合には、受信側無線局20dは、搬送波周波数の制御を行わないと判断し、誤差情報信号3を生成しない。そして、受信側無線局20dは、ステップ(S301)に戻り、処理を繰り返す。
図9(b)を用いて、図8に示した通信システム100dを用いた無線通信方法における誤差情報信号の他の送信手順を説明する。受信側無線局20dは、受信信号の受信品質を測定する(S401)。受信側無線局20dは、受信品質の測定値と、受信品質の閾値とを比較し、搬送波周波数の制御を行うか否かを判断する(S402)。ステップ(S402)において、受信品質の測定値が閾値以上の場合には、受信側無線局20dは、搬送波周波数の制御を行うと判断し、周波数誤差推定部26が推定した搬送波周波数誤差を含む誤差情報信号3を生成して、送信側無線局10に送信する(S403)。そして、受信側無線局20dは、ステップ(S401)に戻り、処理を繰り返す。一方、ステップ(S402)において、受信品質の測定値が閾値未満の場合には、受信側無線局20dは、搬送波周波数の制御を行わないと判断し、搬送波周波数誤差が「0」である誤差情報信号3を生成して、送信側無線局10に送信する(S404)。そして、受信側無線局20dは、ステップ(S401)に戻り、処理を繰り返す。
(効果)
このような無線通信システム100d、受信側無線局20d及び無線通信方法によれば、受信信号の受信品質が高く、搬送波周波数誤差を高精度に推定できる場合にだけ、推定した搬送波周波数誤差を含む誤差情報信号3を送信側無線局10に送信できる。そのため、送信側無線局10は、搬送波周波数誤差の精度が高い場合にだけ、その搬送波周波数誤差に基づいて、希望信号1の搬送波周波数の制御を行うことができる。即ち、無線通信システム100dは、受信品質が低い場合には、誤差情報信号3を送信しないようにしたり、搬送波周波数誤差が「0」である誤差情報信号3を送信したりし、受信品質が高い場合にだけ、誤差情報信号3を送信したり、推定した搬送波周波数誤差を送信したりすることにより、受信品質が低い場合には搬送波周波数誤差の実効的な補償を行わないように、受信品質が高い場合にだけ搬送波周波数誤差の実効的な補償を行うように制御できる。その結果、例えば、雑音電力が大きくCNRが低く、雑音電力により搬送波周波数誤差の推定精度が劣化した状況で搬送波周波数誤差の補償を行うことを回避できる。よって、無線通信システム100dでは、高精度に搬送波周波数誤差を補償できる。
[第6実施形態]
(無線通信システム)
図10に示すように、無線通信システム100eは、送信側無線局10と受信側無線局20eを備える。受信側無線局20eは、発振器21と、干渉周波数検出部22と、送信制御部22aと、アンテナ23aと、送受分離器23と、同期検波器24と、干渉キャンセラ25と、周波数誤差推定部26と、情報信号生成部27cと、品質測定部29と、閾値決定部29eを備える。図10では、図1に示した無線通信システム100とほぼ同様の構成については同一の符号を付して説明の一部を省略する。
送受分離器23は、閾値決定部29eにも入力する。閾値決定部29eは、希望信号1の搬送波周波数の制御を行うか否かの判断のための受信品質の閾値を決定する。閾値決定部29eは、送受分離器23から取得した受信信号の変調方式に基づいて、受信品質の閾値を決定することが好ましい。
希望信号1や干渉信号2の変調方式の多値数が大きい場合には、希望信号1や干渉信号2の信号点が重なり易く、希望信号1の判定を誤り易く、搬送波周波数誤差の推定精度が劣化し易い。そのため、受信品質が低い場合には搬送波周波数誤差を高精度に推定することが困難となる。よって、閾値決定部29eは、受信信号に含まれる希望信号1や干渉信号2の変調方式の多値数が大きい場合には、受信品質の閾値を高い値に決定し、受信品質がある程度高い場合にだけ、搬送波周波数誤差を補償するようにする。
一方、希望信号1や干渉信号2の変調方式の多値数が小さい場合には、希望信号1や干渉信号2の信号点が重なり合わず、受信信号を誤りなく判定でき、搬送波周波数誤差の推定精度が向上する。そのため、受信品質が低くても、搬送波周波数誤差を高精度に推定できる。よって、閾値決定部29eは、受信信号に含まれる希望信号1や干渉信号2の変調方式の多値数が小さい場合には、受信品質の閾値を低い値に決定し、受信品質がある程度低くても、搬送波周波数誤差を補償するようにする。
例えば、図11に、希望信号1及び干渉信号2の変調方式がQPSK(Quadrature Phase Shift Keying)であって多値数が4値の場合の受信信号の信号点配置図7a〜7cと、希望信号1又は干渉信号2のいずれか一方の変調方式がQPSKであり、他方の変調方式が16QAM(Quadrature Amplitude Modulation)であって多値数が16値の場合の受信信号の信号点配置図7d〜7fを示す。信号点配置図7aから信号点配置図7cに向かうほど、信号点配置図7dから信号点配置図7fに向かうほど、受信品質が高く、搬送波周波数誤差の推定精度が高くなる。
例えば、雑音電力が小さく、受信品質が高い場合の信号点配置図7c,7fほど、受信信号の信号点が重なりあわず、受信信号を誤りなく判定でき、搬送波周波数誤差の推定精度が高い。又、変調方式の多値数が大きい場合の信号点配置図7d〜7fの方が、多値数が小さい場合の信号点配置図7a〜7cよりも、受信信号の信号点が重なり易く、搬送波周波数誤差の推定精度が劣化し易い。
そのため、閾値決定部29eは、受信信号に多値数が4値の変調方式が含まれる場合、信号点が重なりにくい信号点配置図7b,7cが得られるときには、搬送波周波数誤差の補償を行うと決定する。そして、閾値決定部29eは、受信品質(例えば、CNR)の閾値を、信号点配置図7b,7cが得られる受信品質の最低値「X」又は最低値「X」を超える値に決定する。又、閾値決定部29eは、受信信号に多値数が16値の変調方式が含まれる場合、信号点が重なりにくい信号点配置図7fが得られるときには、搬送波周波数誤差の補償を行うと決定する。そして、閾値決定部29eは、受信品質の閾値を、信号点配置図7fが得られる受信品質の最低値「Y」又は最低値「Y」を超える値に決定する。
又、受信側無線局20eが、希望信号1のシンボル系列を予め知っている場合にも、既知のシンボル系列を用いることにより、搬送波周波数誤差を精度良く推定できる。そのため、受信品質の閾値をより低く設定しても、十分に高い精度で搬送波周波数誤差を推定できる。よって、閾値決定部29eは、受信側無線局20eがシンボル系列を知らない希望信号1を受信する場合の受信品質の閾値(以下「通常閾値」という)と、受信側無線局20eがシンボル系列を既知の希望信号1を受信する場合の受信品質の閾値(以下「既知信号閾値」という)を決定してもよい。閾値決定部29eは、通常閾値よりも低い既知信号閾値を決定できる。
例えば、閾値決定部29eは、パイロット信号のシンボル系列を保持しておき、送受分離器23から取得した受信信号に含まれるパイロット信号のシンボル系列が、保持しているパイロット信号のシンボル系列と一致する場合には、受信信号は受信側無線局20eにおいて既知であると判断し、一致しない場合には既知でないと判断する。そして、閾値決定部29eは、受信信号の変調方式を検出し、検出結果と既知のシンボル系列の受信信号であるか否かの判断結果に基づいて、受信品質の閾値を決定する。
閾値決定部29eは、決定した受信品質の閾値を、情報信号生成部27cに入力する。情報信号生成部27cは、品質測定部29から取得した受信品質の測定値と、閾値決定部29eから取得した受信品質の閾値とを比較し、その比較結果に基づいて搬送波周波数誤差の制御を行うか否かを判断する。
(効果)
このような受信側無線局20eによれば、受信信号に含まれる希望信号1や干渉信号の変調方式の多値数が大きく、受信品質が低いと高精度な搬送波周波数誤差の推定が困難なときは、受信品質の閾値を高い値に決定し、受信品質がある程度高い場合にだけ、搬送波周波数誤差を補償するようにできる。一方、受信側無線局20eは、変調方式の多値数が小さく、受信品質が低くても高精度な搬送波周波数誤差の推定が可能なときは、受信品質の閾値を低い値に決定し、受信品質がある程度低くても、搬送波周波数誤差を補償するようにできる。又、受信側無線局20eは、受信信号のシンボル系列が既知であるか否かによって、通常閾値や既知信号閾値を決定できる。よって、無線通信システム100dでは、通信状況に応じて、高精度に搬送波周波数誤差を補償できる。更に、搬送波周波数誤差補償後の残留した搬送波周波数誤差も小さくできる。
[第7実施形態]
(無線通信システム)
図12に示すように、無線通信システム200は、送信側無線局210と受信側無線局220を備える。受信側無線局220は、発振器21と、アンテナ23aと、送受分離器23と、同期検波器24と、干渉キャンセラ25と、情報信号生成部227と、干渉品質測定部291と、位相差測定部292とを備える。図1に示した受信側無線局20とほぼ同様の構成については同一の符号を付して説明の一部を省略する。
同期検波器24は、送受分離器23から取得した受信信号を、発振器21から入力される基準周波数を基準として同期検波する。同期検波器24は、検波した受信信号を、干渉キャンセラ25、干渉品質測定部291、位相差測定部292に入力する。
位相差測定部292は、希望信号1と干渉信号2との位相差を測定する。位相差測定部292は、同期検波器24から取得した受信信号に含まれる希望信号1と干渉信号2との位相差を測定する。例えば、位相差測定部292は、パイロットシンボルを用いることにより、位相差を測定できる。位相差測定部292は、位相差の測定値を情報信号生成部227に入力する。
干渉品質測定部291は、受信信号における干渉信号の影響を示す干渉受信品質を測定する。干渉受信品質は、受信信号における干渉信号の影響を示すものであればどのようなものでも用いることができる。干渉受信品質としては、受信信号のCIR、SIR、干渉信号電力、希望信号1又は受信信号と、干渉信号2及び雑音との電力比、受信信号と干渉信号2との電力比等を用いることができる。尚、干渉品質測定部291は、干渉受信品質としてCIRを測定することが好ましい。干渉品質測定部291は、同期検波器24から取得した受信信号の干渉受信品質を測定する。干渉品質測定部291は、干渉受信品質の測定値を情報信号生成部227に入力する。
情報信号生成部227は、情報信号として、希望信号1と干渉信号2との位相差の測定値及び受信信号の干渉受信品質の測定値を含む測定情報信号203を生成する。情報信号生成部227は、位相差測定部292から取得した位相差の測定値及び干渉品質測定部291から取得した干渉受信品質の測定値を含む情報を、変調することにより信号に変換し、測定情報信号203を生成する。情報信号生成部227は、生成した測定情報信号203を送受分離器23に入力する。このようにして、情報信号生成部227は、送受分離器23及びアンテナ23aを介して、送信側無線局210に測定情報信号203を送信する。
送信側無線局210は、アンテナ11aと、送受分離器11と、信号分離器12と、位相制御部171と、変調器172と、可変移相器174とを備える。図1に示した送信側無線局10とほぼ同様の構成については同一の符号を付して説明の一部を省略する。
アンテナ11aは、測定情報信号203を受信する。信号分離器12は、送受分離器11から入力される受信信号の中から測定情報信号203を分離し、位相制御部171に入力する。位相制御部171は、送信側無線局210が送信する希望信号1の位相を制御する。位相制御部171は、測定情報信号203に含まれる位相差の測定値及び干渉受信品質の測定値に基づいて、希望信号1の位相を制御する。
ここで、希望信号1と干渉信号2との位相差と、受信信号の干渉受信品質と、受信信号の信号点を信号点配置図に表したときの受信信号の信号点間の最小距離(以下「最小信号点間距離」という)との間には、一定の関係が成り立つ。例えば、受信信号の2つの信号点の単位ベクトルを(2)式のように、その2つの信号点間の最小信号点間距離を「D
E」、位相差を「θ」、干渉受信品質を「C」と表した場合には、以下の(2)式が成立する。尚、(2)式では、干渉受信品質「C」として「CIR(dB)」を用いている。
そのため、位相差と、干渉受信品質と、最小信号点間距離との関係が算出できる。位相制御部171は、希望信号1と干渉信号2との位相差、受信信号の干渉受信品質及び受信信号の最小信号点間距離の関係と、位相差の測定値及び干渉受信品質の測定値に基づいて、送信する希望信号の位相を制御する。以下、目標とする最小信号点間距離を「目標最小信号点間距離」という。位相制御部171は、干渉受信品質の測定値に基づいて、その干渉受信品質において目標最小信号点間距離を得るために必要な位相差になるように、希望信号1の位相を制御する。目標最小信号点間距離は、その干渉受信品質において実現可能な最大値を設定してもよく、その干渉受信品質において実現可能な大きな値を設定してもよい。尚、信号点間距離は、希望信号1及び干渉信号2を変調して得られる単位ベクトルを、Q成分とI成分の座標上に表した信号点間の距離を用いる。
位相制御部171は、干渉受信品質の測定値に基づいて、受信信号の最小信号点間距離を目標最小信号点間距離とするために必要な位相差(以下「目標位相差」という)を算出する。例えば、位相制御部171は、上記(2)式を用いて目標位相差を算出してもよく、干渉受信品質の測定値において、希望信号1の位相を回転させ、最小信号点間距離と位相差との関係を求め、最小信号点間距離が目標最小信号点間距離となる位相差を、目標位相差として算出してもよい。目標位相差は、目標最小信号点間距離とするために最低限必要な位相差でもよく、目標最小信号点間距離よりも大きくするために必要な位相差でもよく、受信信号の最小信号点間距離を目標最小信号点間距離とできる位相差であればよい。
位相制御部171は、位相差の測定値と算出した目標位相差から、受信側無線局220における希望信号1と干渉信号2との位相差を目標位相差とするために必要な希望信号1の移相量を決定する。位相制御部171は、希望信号1の位相を制御する位相制御信号4dを可変移相器174に入力することにより、送信する希望信号1の位相を制御する。位相制御部171は、決定した移相量だけ希望信号1の位相を回転させる指示を含む位相制御信号4dを生成して、可変移相器174に入力する。そして、位相制御部171は、可変移相器174に希望信号1の位相を回転させる。位相制御部171は、目標最小信号点間距離として、その干渉受信品質において実現可能な最大値を用い、最小信号点間距離が最大となるように、希望信号1の位相を制御することが好ましい。このようにして、位相制御部171は、位相差の測定値及び干渉受信品質の測定値に基づいて、送信する希望信号1の位相又は送信電力の少なくとも1つを制御する制御部として機能する。
変調器172は、送信データ15を変調して希望信号1とし、可変移相器174に入力する。可変移相器174は、変調器172から取得した希望信号1の位相を位相制御部171から取得した位相制御信号4dに基づいて制御する。可変移相器174は、位相制御信号4dに含まれる移相量だけ、変調器172から取得した希望信号1の位相を回転させる。そして、可変移相器174は、位相を制御した希望信号1を送受分離器11に入力し、送受分離器11、アンテナ11aを介して受信側無線局220に送信する。
(効果)
このような無線通信システム200、送信側無線局210及び受信側無線局220によれば、送信側無線局210が、受信側無線局220における受信信号の位相差の測定値及び干渉受信品質の測定値に基づいて、送信する希望信号1の位相を制御できる。具体的には、位相制御部171が、希望信号1と干渉信号2との位相差、受信信号の干渉受信品質及び受信信号の最小信号点間距離の関係と、位相差の測定値及び干渉受信品質の測定値に基づいて、送信する希望信号1の位相を制御できる。そのため、無線通信システム200では、受信信号の信号点を配置した際に、その信号点を分散させることができる。よって、受信側無線局220の干渉キャンセラ25は、受信信号の信号点が近接することによる判定誤りを低減して適切な希望信号1を出力でき、効率よく干渉信号2を除去できる。その結果、無線通信システム200は、干渉キャンセラ25の適用効果を高め、周波数利用効率を向上できる。
特に、位相制御部171は、最小信号点間距離が最大となるように、希望信号1の位相を制御することにより、信号空間において受信信号の信号点を広い範囲に分散させることができる。よって、送信側無線局210は、より確実に判定誤りを回避して適切な希望信号1を出力でき、干渉キャンセラ25の適用効果を高めることができる。
[第8実施形態]
図12に示す無線通信システム200において、送信側無線局210に代えて図13に示す送信側無線局210aを用いることもできる。送信側無線局210aは、アンテナ11aと、送受分離器11と、信号分離器12と、位相制御部171と、変調器172と、可変移相器174と、情報取得部176とを備える。図12に示した送信側無線局210とほぼ同様の構成については同一の符号を付して説明の一部を省略する。又、図14に、移相量の決定方法を示す。
信号分離器12は、測定情報信号203を位相制御部171と情報取得部176に入力する。情報取得部176は、干渉受信品質の測定値から目標位相差を取得する。情報取得部176は、図14に示すように、受信信号の干渉受信品質と目標位相差との関係を示す対応表176aを保持し、予め干渉受信品質と目標位相差との関係を記憶する。対応表176aは、一定間隔の干渉受信品質毎の目標位相差θtgを示す。対応表176aは、例えば、上記(2)式を用いて求めた干渉受信品質と目標位相差との関係を求めて作成してもよく、干渉受信品質の様々な値において、希望信号1の位相を回転させ、最小信号点間距離と位相差との関係を求め、最小信号点間距離が目標最小信号点間距離となる位相差を、目標位相差として求め、作成してもよい。
本実施形態では、干渉受信品質としてCIRを用いる。情報取得部176は、例えば、測定情報信号203から干渉受信品質の測定値CIR=1.8(dB)を取得する。情報取得部176は、対応表176aに示される干渉受信品質(CIR)と取得した干渉受信品質の測定値を照合し、対応表176aから干渉受信品質の測定値CIR=1.8(dB)と最も近い干渉受信品質に対応付けられている目標位相差θtg=θ3を取得する。情報取得部176は、取得した目標位相差θtg=θ3を位相制御部171に入力する。
位相制御部171は、信号分離器12から測定情報信号203を取得する。位相制御部171は、情報取得部176から目標位相差θtg=θ3を取得する。位相制御部171は、測定情報信号203から位相差の測定値θaを取得する。位相制御部171は、測定情報信号203から取得した位相差の測定値と、情報取得部176から取得した目標位相差から、受信側無線局220における希望信号1と干渉信号2との位相差を目標位相差とするために必要な希望信号1の移相量を決定する。位相制御部171は、目標位相差θtg=θ3から位相差の測定値θaを減算することにより移相量を決定する。このように位相制御部171は、目標位相差を自ら算出せずに、情報取得部176から取得する。
(効果)
このような送信側無線局210aによれば、位相制御部171は、情報取得部176が目標位相差を取得してくれるため、制御負荷が軽減する。更に、情報取得部176は、受信信号の干渉受信品質と目標位相差との関係を示す対応表176aを保持し、目標位相差を干渉受信品質の測定値に基づいて対応表176aから取得できる。よって、情報取得部176は、迅速に適正な目標位相差を取得できる。
[第9実施形態]
(無線通信システム)
図15に示すように、無線通信システム300は、送信側無線局310と受信側無線局220を備える。送信側無線局310は、アンテナ11aと、送受分離器11と、信号分離器12と、送信電力制御部173と、変調器172と、可変増幅器175とを備える。無線通信システム300において、図12に示した無線通信システム200とほぼ同様の構成については同一の符号を付して説明の一部を省略する。
アンテナ11aは、測定情報信号203を受信する。信号分離器12は、送受分離器11から入力される受信信号の中から測定情報信号203を分離し、送信電力制御部173に入力する。送信電力制御部173は、送信側無線局310が送信する希望信号1の送信電力を制御する。送信電力制御部173は、測定情報信号203に含まれる位相差の測定値及び干渉受信品質の測定値に基づいて、希望信号1の送信電力を制御する。
送信電力制御部173は、希望信号1と干渉信号2との位相差、受信信号の干渉受信品質及び受信信号の最小信号点間距離の関係と、位相差の測定値及び干渉受信品質の測定値に基づいて、送信する希望信号1の送信電力を制御する。送信電力制御部173は、位相差の測定値に基づいて、その位相差において目標最小信号点間距離を得るために必要な干渉受信品質になるように、希望信号1の送信電力を制御する。目標最小信号点間距離は、その位相差において実現可能な最大値を設定してもよく、その位相差において実現可能な大きな値を設定してもよい。
送信電力制御部173は、位相差の測定値に基づいて、受信信号の最小信号点間距離を目標最小信号点間距離とするために必要な干渉受信品質(以下「目標干渉受信品質」という)を算出する。例えば、送信電力制御部173は、上記(2)式を用いて目標干渉受信品質を算出してもよく、位相差の測定値に対して希望信号1の送信電力を変化させ、最小信号点間距離と送信電力との関係を求め、最小信号点間距離が目標最小信号点間距離となる干渉受信品質を、目標干渉受信品質として算出してもよい。目標干渉受信品質は、目標最小信号点間距離とするために最低限必要な干渉受信品質でもよく、目標最小信号点間距離よりも大きくするために必要な干渉受信品質でもよく、受信信号の最小信号点間距離を目標最小信号点間距離とできる干渉受信品質であればよい。
送信電力制御部173は、干渉受信品質の測定値と算出した目標干渉受信品質から、受信側無線局220における受信信号の干渉受信品質を目標干渉受信品質とするために必要な希望信号1の送信電力を決定する。送信電力制御部173は、希望信号1の送信電力を制御する電力制御信号4eを可変増幅器175に入力することにより、送信する希望信号1の送信電力を制御する。送信電力制御部173は、決定した送信電力で希望信号1を送信する指示を含む電力制御信号4eを生成して、可変増幅器175に入力する。そして、送信電力制御部173は、可変増幅器175に決定した送信電力で希望信号1を送信させる。送信電力制御部173は、目標最小信号点間距離として、その位相差において実現可能な最大値を用い、最小信号点間距離が最大となるように、希望信号1の送信電力を制御することが好ましい。このようにして、送信電力制御部173は、位相差の測定値及び干渉受信品質の測定値に基づいて、送信する希望信号1の位相又は送信電力の少なくとも1つを制御する制御部として機能する。
変調器172は、送信データ15を変調して希望信号1とし、可変増幅器175に入力する。可変増幅器175は、変調器172から取得した希望信号1の送信電力を送信電力制御部173から取得した電力制御信号4eに基づいて制御する。可変増幅器175は、電力制御信号4eに含まれる送信電力まで、変調器172から取得した希望信号1の送信電力を増幅させる。そして、可変増幅器175は、送信電力を制御した希望信号1を送受分離器11に入力し、送受分離器11、アンテナ11aを介して受信側無線局220に送信する。
(効果)
このような無線通信システム300、送信側無線局310及び受信側無線局220によれば、送信側無線局310が、受信側無線局220における受信信号の位相差の測定値及び干渉受信品質の測定値に基づいて、送信する希望信号1の送信電力を制御できる。具体的には、送信電力制御部173が、希望信号1と干渉信号2との位相差、受信信号の干渉受信品質及び受信信号の最小信号点間距離の関係と、位相差の測定値及び干渉受信品質の測定値に基づいて、送信する希望信号1の送信電力を制御できる。そのため、無線通信システム300では、受信信号の信号点を配置した際に、その信号点を分散させることができる。よって、受信側無線局220の干渉キャンセラ25は、受信信号の信号点が近接することによる判定誤りを低減して適切な希望信号1を出力でき、効率よく干渉信号2を除去できる。その結果、無線通信システム300は、干渉キャンセラ25の適用効果を高め、周波数利用効率を向上できる。
特に、送信電力制御部173は、最小信号点間距離が最大となるように、希望信号1の送信電力を制御することにより、信号空間において受信信号の信号点を広い範囲に分散させることができる。よって、送信側無線局310は、より確実に判定誤りを回避して適切な希望信号1を出力でき、干渉キャンセラ25の適用効果を高めることができる。
[第10実施形態]
(無線通信システム)
図15に示す無線通信システム300において、送信側無線局310に代えて図16に示す送信側無線局310aを用いることもできる。送信側無線局310aは、アンテナ11aと、送受分離器11と、信号分離器12と、送信電力制御部173と、変調器172と、可変増幅器175と、情報取得部376とを備える。図15に示した送信側無線局310とほぼ同様の構成については同一の符号を付して説明の一部を省略する。又、図17に、送信電力の決定方法を示す。
信号分離器12は、測定情報信号203を送信電力制御部173と情報取得部376に入力する。情報取得部376は、位相差の測定値から目標干渉受信品質を取得する。情報取得部376は、図17に示すように、受信信号の位相差と目標干渉受信品質との関係を示す対応表376aを保持し、予め位相差と目標干渉受信品質との関係を記憶する。対応表376aは、一定間隔の位相差毎の目標干渉受信品質Ctgを示す。本実施形態では、干渉受信品質としてCIRを用いる。対応表376aは、例えば、上記(2)式を用いて求めた位相差と目標干渉受信品質との関係を求めて作成してもよく、位相差の様々な値において、希望信号1の送信電力変化させ、最小信号点間距離と送信電力との関係を求め、最小信号点間距離が目標最小信号点間距離となる送信電力を、目標送信電力として求め、作成してもよい。
情報取得部376は、例えば、測定情報信号203から位相差の測定値θ=0.1°を取得する。情報取得部376は、対応表376aに示される位相差と取得した位相差の測定値を照合し、対応表376aから位相差の測定値θ=0.1°と最も近い位相差に対応付けられている目標干渉受信品質Ctg=f(0.1)を取得する。f(θ)は、位相差θを用いた干渉受信品質を示す関数である。情報取得部376は、取得した目標干渉受信品質Ctg=f(0.1)を送信電力制御部173に入力する。
送信電力制御部173は、信号分離器12から測定情報信号203を取得する。送信電力制御部173は、情報取得部376から目標干渉受信品質Ctg=f(0.1)を取得する。送信電力制御部173は、測定情報信号203から干渉受信品質の測定値Caを取得する。送信電力制御部173は、測定情報信号203から取得した干渉受信品質の測定値と、情報取得部376から取得した目標干渉受信品質から、受信側無線局220における干渉受信品質を目標干渉受信品質とするために必要な希望信号1の送信電力を決定する。送信電力制御部173は、目標干渉受信品質Ctg=f(0.1)と干渉受信品質の測定値Caとの差分がなくなるように送信電力を決定する。このように送信電力制御部173は、目標干渉受信品質を自ら算出せずに、情報取得部376から取得する。
(効果)
このような送信側無線局310aによれば、送信電力制御部173は、情報取得部376が目標送信電力を取得してくれるため、制御負荷が軽減する。更に、情報取得部376は、位相差と目標干渉受信品質との関係を示す対応表376aを保持し、目標干渉受信品質を位相差の測定値に基づいて対応表376aから取得できる。よって、情報取得部376は、迅速に適正な目標干渉受信品質を取得できる。
[第11実施形態]
(無線通信システム)
図18に示すように、無線通信システム400は、送信側無線局410と受信側無線局220を備える。送信側無線局410は、アンテナ11aと、送受分離器11と、信号分離器12と、位相制御部171と、送信電力制御部173と、変調器172と、可変移相器174と、可変増幅器175と、情報取得部476とを備える。無線通信システム400において、図12に示した無線通信システム200とほぼ同様の構成については同一の符号を付して説明の一部を省略する。又、図19に、目標位相差及び目標干渉受信品質の決定方法を示す。
信号分離器12は、測定情報信号203を位相制御部171、送信電力制御部173、情報取得部476に入力する。情報取得部476は、目標位相差及び目標干渉受信品質を取得する。
例えば、情報取得部476は、まず、測定情報信号203に含まれる干渉受信品質の測定値に基づいて、目標位相差を算出して取得する。情報取得部476は、上記(2)式を用いて目標位相差を算出してもよく、干渉受信品質の測定値において希望信号1の位相を回転させ、最小信号点間距離と位相差との関係を求め、最小信号点間距離が目標最小信号点間距離となる位相差を、目標位相差として算出してもよい。次に、情報取得部476は、算出した目標位相差に基づいて、目標干渉受信品質を算出して取得する。情報取得部476は、上記(2)式を用いて目標干渉受信品質を算出してもよく、目標位相差において、希望信号1の送信電力を変化させ、最小信号点間距離と送信電力との関係を求め、最小信号点間距離が目標最小信号点間距離となる干渉受信品質を、目標干渉受信品質として算出してもよい。
あるいは、情報取得部476は、まず、測定情報信号203に含まれる位相差の測定値に基づいて、目標干渉受信品質を算出して取得する。情報取得部476は、上記(2)式を用いて目標干渉受信品質を算出してもよく、位相差の測定値において希望信号1の送信電力を変化させ、最小信号点間距離と送信電力との関係を求め、最小信号点間距離が目標最小信号点間距離となる干渉受信品質を、目標干渉受信品質として算出してもよい。次に、情報取得部476は、算出した目標干渉受信品質基づいて、目標位相差を算出して取得する。情報取得部476は、上記(2)式を用いて目標位相差を算出してもよく、目標干渉受信品質において、希望信号1の位相を回転させ、最小信号点間距離と位相差との関係を求め、最小信号点間距離が目標最小信号点間距離となる位相差を、目標位相差として算出してもよい。
更に、情報取得部476は、図19(a)に示すように、干渉受信品質の様々な値において、希望信号1の位相を回転させ、最小信号点間距離と位相差との関係を求め、保持しておき、この関係を用いて目標位相差及び目標干渉受信品質を取得してもよい。この場合、位相差の測定値に基づいて目標干渉受信品質を判定し、目標干渉受信品質において最小信号点間距離が最大となる位相差を目標位相差と判定する。図19(a)では、干渉受信品質としてCIRを用いる。図19(a)では、縦軸が最小信号点間距離DEであり、横軸が位相差θである。情報取得部476は、点線で表されるCIR=X(dB)における位相差と最小信号点間距離との関係と、実線で表されるCIR=Y(dB)における位相差と最小信号点間距離との関係を保持する。
情報取得部476は、例えば、位相差の測定値がθbの場合、位相差θbにおいて最大の最小信号点間距離を与える干渉受信品質CIR=X(dB)を、目標干渉受信品質と判定する。次に、情報取得部476は、干渉受信品質CIR=X(dB)において、最小信号点間距離が最大となる位相差を目標位相差θtg1、その目標位相差における最小信号点間距離を目標最小信号点間距離DE1と判定する。又、情報取得部476は、例えば、位相差の測定値がθcの場合、位相差θcにおいて最大の最小信号点間距離を与える干渉受信品質CIR=Y(dB)を、目標干渉受信品質と判定する。次に、情報取得部476は、目標干渉受信品質CIR=Y(dB)において、最小信号点間距離が最大となる位相差を目標位相差θtg2、その目標位相差における最小信号点間距離を目標最小信号点間距離DE2と判定する。
情報取得部476は、位相差の様々な値において、希望信号1の送信電力を変化させ、最小信号点間距離と送信電力との関係を求め、保持しておき、この関係を用いて目標位相差及び目標干渉受信品質を取得してもよい。この場合、干渉受信品質の測定値に基づいて目標位相差を判定し、目標位相差において最小信号点間距離が最大となる干渉受信品質を目標干渉受信品質と判定する。
又、情報取得部476は、所定幅の位相差の区間の中から、最小信号点間距離の平均値が最大となる最大区間を求め、その最大区間における位相差の中間値を目標位相差として取得してもよい。この場合も、情報取得部476は、干渉受信品質の様々な値において、希望信号1の位相を回転させ、最小信号点間距離と位相差との関係を求め、保持しておく。情報取得部476は、位相差の測定値において最大の最小信号点間距離を与える干渉受信品質がCIR=Cr(dB)であると判定した場合について説明する。図19(b)に、CIR=Cr(dB)における位相差と最小信号点間距離との関係を示す。図19(b)は、縦軸が最小信号点間距離DE(θ、Cr)であり、横軸が位相差θである。
まず、情報取得部476は、位相差の測定値において最大の最小信号点間距離を与える干渉受信品質と判定したCIR=Cr(dB)を、目標干渉受信品質と判定する。次に、情報取得部476は、CIR=Cr(dB)における位相差と最小信号点間距離との関係を、所定幅の位相差の区間で区切り、その区間の中から、最小信号点間距離DEの平均値が最大となる最大区間を検索する。次に、情報取得部476は、最大区間における位相差の中間値θmを算出し、目標位相差とする。位相差の区間の所定幅は任意に設定できるが、位相や送信電力を制御する制御間隔に基づいて設定することが好ましい。
尚、最小信号点間距離D
Eの平均値が最大となる位相差の最大区間における位相差の中間値θ
mは、以下に示す(3)式を用いて算出してもよい。
(3式)において、θ0は媒介変数であり、最大区間における位相差の中間値θmに等しい。情報取得部476は、求めた媒介変数θ0を目標位相差に決定する。情報取得部476は、取得した目標位相差を位相制御部171に、目標干渉受信品質を送信電力制御部173に入力する。尚、情報取得部476は、目標干渉品質を得るための送信電力として、所定幅の位相差の区間において最小信号点間距離が最大となるような希望信号1の送信電力を計算してもよい。
位相制御部171は、信号分離器12から測定情報信号203を取得する。位相制御部171は、情報取得部476から目標位相差を取得する。位相制御部171は、測定情報信号203から位相差の測定値を取得する。位相制御部171は、測定情報信号203から取得した位相差の測定値と、情報取得部476から取得した目標位相差から、受信側無線局220における希望信号1と干渉信号2との位相差を目標位相差とするために必要な希望信号1の移相量を決定する。位相制御部171は、決定した移相量だけ希望信号1の位相を回転させる指示を含む位相制御信号4dを生成して、可変移相器174に入力する。
可変移相器174は、変調器172から取得した希望信号1の位相を位相制御部171から取得した位相制御信号4dに基づいて制御する。可変移相器174は、位相制御信号4dに含まれる移相量だけ、変調器172から取得した希望信号1の位相を回転させる。そして、可変移相器174は、位相を制御した希望信号1を可変増幅器175に入力する。
送信電力制御部173は、信号分離器12から測定情報信号203を取得する。送信電力制御部173は、情報取得部476から目標干渉受信品質を取得する。送信電力制御部173は、測定情報信号203から干渉受信品質の測定値を取得する。送信電力制御部173は、測定情報信号203から取得した干渉受信品質の測定値と、情報取得部476から取得した目標干渉受信品質から、受信側無線局220における干渉受信品質を目標干渉受信品質とするために必要な希望信号1の送信電力を決定する。送信電力制御部173は、決定した送信電力で希望信号1を送信する指示を含む電力制御信号4eを生成して、可変増幅器175に入力する。尚、送信電力制御部173は、情報取得部476から、目標干渉品質を得るための送信電力として、所定幅の位相差の区間において最小信号点間距離が最大となるような希望信号1の送信電力を取得し、電力制御信号4eを生成してもよい。
可変増幅器175は、可変移相器174から取得した希望信号1の送信電力を送信電力制御部173から取得した電力制御信号4eに基づいて制御する。可変増幅器175は、電力制御信号4eに含まれる送信電力まで、可変移相器174から取得した希望信号1の送信電力を増幅させる。そして、可変増幅器175は、送信電力を制御した希望信号1を送受分離器11に入力し、送受分離器11、アンテナ11aを介して受信側無線局220に送信する。
(効果)
このような無線通信システム400、送信側無線局410及び受信側無線局220によれば、送信側無線局410が、受信側無線局220における受信信号の位相差の測定値及び干渉受信品質の測定値に基づいて、送信する希望信号1の位相差及び送信電力の両方を制御できる。例えば、目標位相差を干渉受信品質の測定値に基づいて決定した場合や、目標干渉受信品質を位相差の測定値に基づいて決定した場合に、目標位相差や目標干渉受信品質の決定の基礎となった干渉受信品質や位相差も制御できる。そのため、無線通信システム400では、受信信号の信号点を分散させる効果をより向上できる。よって、受信側無線局220の干渉キャンセラ25は、受信信号の信号点が近接することによる判定誤りをより低減できる。
特に、位相制御部171が、最小信号点間距離の平均値が最大となる位相差の区間における位相差の中間値を目標位相差として用い、その中間値となるように希望信号1の位相を制御することにより、伝搬路等の伝搬環境の変化等によって希望信号1と干渉信号2との位相差が変動する環境においても、信号点間距離を大きく保つことができ、判定誤りを低減できる。又、送信電力制御部173が、
所定幅の位相差の区間において最小信号点間距離が最大となるように、送信する希望信号1の送信電力を制御することによっても、同様の効果を得ることができる。
[第12実施形態]
(無線通信システム)
図18に示す送信側無線局410において、情報取得部476に代えて、図20に示す情報取得部476aを用いてもよい。情報取得部476aは、図20に示すように、受信信号の干渉受信品質と目標位相差との関係を示す対応表176aを保持し、予め干渉受信品質と目標位相差との関係を記憶する。対応表176aは、一定間隔の干渉受信品質毎の目標位相差θtgを示す。本実施形態では、干渉受信品質としてCIRを用いる。
まず、情報取得部476aは、干渉受信品質の測定値から目標位相差を取得する。情報取得部476aは、測定情報信号203から干渉受信品質の測定値CIR=1.8(dB)を取得する。情報取情報取得部476aは、対応表176aに示される干渉受信品質(CIR)と取得した干渉受信品質の測定値を照合し、対応表176aから干渉受信品質の測定値CIR=1.8(dB)と最も近い干渉受信品質CIR=2.0(dB)に対応付けられている目標位相差θtg=θ3を取得する。情報取得部476aは、取得した目標位相差θtg=θ3を位相制御部171に入力する。
次に、情報取得部476aは、干渉受信品質の測定値CIR=1.8(dB)と最も近く、取得した目標位相差θtg=θ3と対応する干渉受信品質CIR=2.0(dB)を目標干渉受信品質Ctgとして、対応表176aから取得する。情報取得部476は、取得した目標干渉受信品質Ctg=2.0(dB)を送信電力制御部173に入力する。
位相制御部171は、信号分離器12から測定情報信号203を取得する。位相制御部171は、情報取得部476aから目標位相差θtg=θ2を取得する。位相制御部171は、測定情報信号203から位相差の測定値θaを取得する。位相制御部171は、測定情報信号203から取得した位相差の測定値と、情報取得部476aから取得した目標位相差から、受信側無線局220における希望信号1と干渉信号2との位相差を目標位相差とするために必要な希望信号1の移相量を決定する。位相制御部171は、目標位相差θtg=θ3から位相差の測定値θaを減算することにより移相量を決定する。
送信電力制御部173は、信号分離器12から測定情報信号203を取得する。送信電力制御部173は、情報取得部476aから目標干渉受信品質Ctg=2.0(dB)を取得する。送信電力制御部173は、測定情報信号203から干渉受信品質の測定値CIR=1.8(dB)を取得する。送信電力制御部173は、測定情報信号203から取得した干渉受信品質の測定値と、情報取得部476aから取得した目標干渉受信品質から、受信側無線局220における干渉受信品質を目標干渉受信品質とするために必要な希望信号1の送信電力を決定する。送信電力制御部173は、目標干渉受信品質Ctg=2.0(dB)から干渉受信品質の測定値1.8(dB)を減算した干渉受信品質の差分0.2(dB)だけ干渉受信品質を向上させるために必要な電力量を上げた送信電力を決定する。
尚、情報取得部476aは、受信信号の干渉受信品質と目標位相差との関係を示す図17に示した対応表376aを保持し、予め干渉受信品質と目標位相差との関係を記憶してもよい。この場合、情報取得部476aは、先に目標干渉受信品質を取得し、位相差の測定値と最も近く、取得した目標干渉受信品質と対応する位相差を目標位相差として、対応表376aから取得する。
(効果)
このような情報取得部476aを用いた送信側無線局410によれば、干渉受信品質と目標位相差との関係や、位相差と目標干渉受信品質との関係を細かく保持しておかなくても、目標位相差や目標干渉受信品質の決定の基礎となった干渉受信品質や位相差も制御して、位相差及び干渉受信品質を容易に適切に制御できる。
[第13実施形態]
(無線通信システム)
図21に示すように、無線通信システム400bは、送信側無線局410bと受信側無線局420を備える。受信側無線局420は、発振器21と、アンテナ23aと、送受分離器23と、同期検波器24と、干渉キャンセラ25と、情報信号生成部427と、CIR測定部291aと、CNR測定部291bと、位相差測定部292とを備える。図12に示した受信側無線局220とほぼ同様の構成については同一の符号を付して説明の一部を省略する。
同期検波器24は、送受分離器23から取得した受信信号を、発振器21から入力される基準周波数を基準として同期検波する。同期検波器24は、検波した受信信号を、干渉キャンセラ25、CIR測定部291a、CNR測定部291b、位相差測定部292に入力する。
CIR測定部291aは、同期検波器24から取得した受信信号のCIRを測定し、干渉品質測定部として機能する。CIR測定部291aは、CIRの測定値を情報信号生成部427に入力する。CNR測定部291bは、同期検波器24から取得した受信信号のCNRを測定する。CNR測定部291bは、受信信号における雑音の影響を示す雑音受信品質を測定する雑音品質測定部である。CNR測定部291bは、CNRの測定値を情報信号生成部427に入力する。尚、雑音品質測定部として、CNRを測定するCNR測定部291b以外に、他の雑音受信品質を測定するものを用いてもよい。他の雑音受信品質としては、例えば、SNR等を用いることができる。
情報信号生成部427は、位相差測定部292から取得した位相差の測定値、CIR測定部291aから取得したCIRの測定値、CNR測定部291bから取得したCNRの測定値を含む情報を、変調することにより信号に変換し、測定情報信号203を生成する。情報信号生成部427は、生成した測定情報信号203を送受分離器23に入力する。このようにして、情報信号生成部427は、送受分離器23及びアンテナ23aを介して、送信側無線局410bに測定情報信号203を送信する。
送信側無線局410は、アンテナ11aと、送受分離器11と、信号分離器12と、位相制御部171と、送信電力制御部173と、変調器172と、可変移相器174と、可変増幅器175と、情報取得部476bを備える。図18に示した送信側無線局410とほぼ同様の構成については同一の符号を付して説明の一部を省略する。
情報取得部476bは、図22に示すように、受信信号の干渉受信品質と目標位相差の関係を示す対応表176aを保持し、予め干渉受信品質と目標位相差の関係を記憶する。対応表176aは、一定間隔の干渉受信品質毎の目標位相差θtgを示す。本実施形態では、CIRと目標位相差の関係を示す対応表176aを用いる。又、情報取得部476bは、雑音受信品質の所要値を保持する。雑音受信品質の所要値は、雑音受信品質が極端に低下し、受信信号の判定誤りが増加することを避けるために必要な値を設定する。本実施形態では、雑音受信品質であるCNRの所要値は30.0(dB)に設定されている。
情報取得部476bは、測定情報信号203からCIR、CNRの測定値、CIR=1.4(dB)、CNR=30.1(dB)を取得する。情報取得部476bは、CIRの測定値とCNRの測定値から目標位相差、目標干渉受信品質を取得する。情報取得部476aは、送信電力を制御したときに受信側無線局420における雑音受信品質(CNR)が雑音受信品質(CNR)の所要値を満たす、干渉受信品質(CIR)の測定値に最も近い干渉受信品質(CIR)を対応表176aから、目標干渉受信品質として取得する。
例えば、対応表176aにおいて、CIRの測定値1.4(dB)に最も近いCIRは1.0(dB)、次に近いCIRは2.0(dB)である。情報取得部476bは、CIRが1.0(dB)となるように送信電力を制御した場合に、CNRの所要値を満たすことができるか否か、即ち、CNRが30.0(dB)以上となるか否かを、CNRの測定値に基づいて判断する。情報取得部476bは、CIRが1.0(dB)ではCNRの所要値を満たせないと判断した場合には、次にCIRの測定値に近い2.0(dB)となるようにに送信電力を制御した場合に、CNR=30.0(dB)を満たすことができるか否かを判断する。
そして、情報取得部476bは、CIRが2.0(dB)であれば、CNRの所要値を満たすと判断した場合には、CIR=2.0(dB)が、送信電力を制御したときにCNRの所要値を満たすCIRの測定値に最も近いCIRであると判断できるため、対応表176aから目標干渉受信品質Ctgとして取得する。更に、情報取得部476bは、目標干渉受信品質Ctgに決定したCIR=2.0(dB)に対応付けられている目標位相差θtg=θ3を取得する。情報取得部476bは、取得した目標干渉受信品質Ctg=2.0(dB)を送信電力制御部173に、取得した目標位相差θtg=θ3を位相制御部171に入力する。
位相制御部171は、目標位相差θtg=θ3から位相差の測定値θaを減算することにより移相量を決定する。送信電力制御部173は、目標干渉受信品質Ctg=2.0(dB)から干渉受信品質の測定値1.4(dB)を減算した干渉受信品質の差分0.6(dB)だけ干渉受信品質を向上させるために必要な電力量を上げた送信電力を決定する。
(効果)
このような無線通信システム400、送信側無線局410b、受信側無線局420によれば、送信側無線局410が、受信側無線局420における受信信号の位相差の測定値、干渉受信品質の測定値、雑音受信品質の測定値に基づいて、送信する希望信号1の位相と送信電力を制御できる。そのため、無線通信システム400では、受信信号の信号点を分散させるために送信電力を制御することにより、雑音受信品質が極端に低下することを抑制できる。よって、受信信号の判定誤りがより少ない信号点の配置が実現できる。
[第14実施形態]
(無線通信システム)
図23に示すように、無線通信システム500は、送信側無線局510と、受信側無線局520とを備える。受信側無線局520は、発振器21と、干渉周波数検出部22と、送信制御部22aと、アンテナ23aと、送受分離器23と、同期検波器24と、干渉キャンセラ25と、周波数誤差推定部26と、情報信号生成部527と、品質位相差測定部293とを備える。図23では、図1に示した受信側無線局20とほぼ同様の構成については同一の符号を付して説明の一部を省略する。
無線通信システム500では、まず、搬送波周波数誤差の補償を行い、その後、希望信号1の位相を制御する。送信制御部22aは、送信側無線局10から、搬送波周波数誤差の補償の終了の通知を、アンテナ23a、送受分離器23を介して受信する。送信制御部22aは、終了の通知を受信するまでは、干渉信号2の電力を検出し、干渉周波数検出部22に対して干渉信号2の搬送波周波数の検出を指示する。送信制御部22aは、終了の通知を受信すると、干渉周波数検出部22に対する検出の指示を停止する。又、送信制御部22aは、送信側無線局510に対し、希望信号1の送信の開始を指示する。更に、送信制御部22aは、品質位相差測定部293に、測定の開始を指示する。
干渉周波数検出部22は、送信制御部22aからの検出の指示がない間は、干渉信号2の搬送波周波数の周波数誤差推定部26への入力を行わない。そして、周波数誤差推定部26は、干渉周波数検出部22から干渉信号2の搬送波周波数を取得する間だけ搬送波周波数誤差を推定する。
同期検波器24は、送受分離器23から取得した受信信号を、発振器21から入力される基準周波数を基準として同期検波する。同期検波器24は、検波した受信信号を、品質位相差測定部293、周波数誤差推定部26に入力する。
品質位相差測定部293は、図12に示した干渉品質測定部291や位相差測定部292と同様にして、受信信号の干渉受信品質、希望信号1と干渉信号2との位相差を測定する。品質位相差測定部293は、送信制御部22aからの測定の開始の指示を受けて、干渉受信品質、位相差の測定を開始する。品質位相差測定部293は、干渉受信品質及び位相差の測定値を、情報信号生成部527に入力する。
情報信号生成部527は、周波数誤差推定部26から搬送波周波数誤差を取得した場合は、誤差情報信号3を生成する。情報信号生成部527は、品質位相差測定部293から干渉受信品質及び位相差の測定値を取得した場合は、測定情報信号203を生成する。
送信側無線局510は、アンテナ11aと、送受分離器11と、信号分離器12と、周波数制御部13と、送信制御部14aと、位相制御部571と、変調器172と、可変移相器174と、周波数変換器562とを備える。図23では、図1、12に示した送信側無線局10,210とほぼ同様の構成については同一の符号を付して説明の一部を省略する。
周波数制御部13は、搬送波周波数誤差に基づいた搬送波周波数制御信号4aを周波数変換器562に入力し、搬送波周波数誤差の補償動作を終了すると、送信制御部14aに終了を通知する。送信制御部14aは、周波数制御部13から終了の通知を受けると、搬送波周波数誤差の補償の終了の通知を送受分離器11に入力し、送受分離器11、アンテナ11aを介して受信側無線局520に送信する。
周波数変換器562は、可変位相器174を介して、変調器172から変調後の希望信号1を取得する。周波数変換器562は、希望信号1の搬送波周波数を、搬送波周波数制御信号4aに基づいて変換し、干渉信号2の搬送波周波数に一致させる。そして、周波数変換器562は、希望信号1を送受分離器11に入力し、希望信号1をアンテナ11a、送受分離器11を介して受信側無線局520に送信する。
信号分離器12は、受信信号から誤差情報信号3と測定情報信号203に分離する。信号分離器12は、分離した誤差情報信号3を周波数制御部13に、測定情報信号203を位相制御部571に入力する。
送信制御部14aは、搬送波周波数誤差を補償後、アンテナ11a、送受分離器11を介して受信側無線局520から、希望信号1の送信の開始の指示を受信する。送信制御部14aは、送信の開始の指示を受けると、位相制御部571に位相制御の開始を指示する。
位相制御部571は、送信制御部14aからの位相制御開始の指示を受けて、制御を開始する。位相制御部571は、受信側無線局520における受信信号のレプリカ8bの信号点同士の距離が大きくなるように、送信する希望信号1の位相を制御する。位相制御部571は、複数の希望信号シンボル系列候補と干渉信号シンボル系列候補の組み合わせ毎に、受信信号のレプリカ8bの信号点同士の距離が大きくなるように位相を制御する。
位相制御部571は、位相差の測定値及び干渉受信品質の測定値に基づいて、希望信号1の位相を制御する。位相制御部571は、図12に示した位相制御部171と同様にして、希望信号1と干渉信号2との位相差、受信信号の干渉受信品質及び受信信号の最小信号点間距離の関係と、位相差の測定値及び干渉受信品質の測定値に基づいて、送信する希望信号1の位相を受信信号のレプリカ8bの信号点同士の距離が十分に大きくなるように制御する。
即ち、位相制御部571は、干渉受信品質の測定値に基づいて、その干渉受信品質において受信信号のレプリカ8bの最小信号点間距離が、目標最小信号点間距離となるために必要な目標位相差を算出する。そして、位相制御部571は、位相差の測定値と算出した目標位相差から、受信側無線局520における希望信号1と干渉信号2との位相差を目標位相差とするために必要な希望信号1の移相量を決定する。位相制御部571は、希望信号1の位相を制御する位相制御信号4dを可変移相器174に入力することにより、送信する希望信号1の位相を制御する。位相制御部571は、決定した移相量だけ希望信号1の位相を回転させる指示を含む位相制御信号4dを生成して、可変移相器174に入力する。可変移相器174は、移相後の希望信号1を周波数変換器562を介して送受分離器11に入力する。
(効果)
このような無線通信システム500、送信側無線局510及び受信側無線局520によれば、送信側無線局510が、受信信号のレプリカ8bの信号点同士の距離が大きくなるように、送信する希望信号1の位相を制御できる。そのため、無線通信システム500では、受信信号8aの信号点を配置した際に、その信号点を分散させることができる。よって、受信側無線局520の干渉キャンセラ25は、受信信号8aの信号点が近接することによる判定誤りを低減して適切な希望信号1を出力でき、効率よく干渉信号2を除去できる。
しかも、無線通信システム500では、受信側無線局520が、搬送波周波数誤差を推定し、送信側無線局510に搬送波周波数誤差を通知できる。そして、送信側無線局510が、受信側無線局520によって推定され、通知された搬送波周波数誤差に基づいて、送信する希望信号1の搬送波周波数を干渉信号2の搬送波周波数に一致させることができる。よって、受信側無線局520と送信側無線局510との間で確立された各無線リンクにおいて、独自に搬送波周波数誤差を補償できる。そのため、受信側無線局520の干渉キャンセラ25は、伝搬路推定を追従させて干渉信号2を除去できる。これらの結果、無線通信システム500は、搬送波周波数誤差を補償して伝搬路の変動を抑制した後、受信信号8aの信号点を分散させることができる。よって、無線通信システム500は、干渉キャンセラ25の適用効果を高め、周波数利用効率を向上できる。
[第15実施形態]
(無線通信システム)
図24に示すように、無線通信システム600は、送信側無線局610と、受信側無線局520とを備える。図24では、図23、図15に示した無線通信システム500,300とほぼ同様の構成については同一の符号を付して説明の一部を省略する。送信側無線局610は、アンテナ11aと、送受分離器11と、信号分離器12と、周波数制御部13と、送信電力制御部673と、変調器172と、可変増幅器175と、周波数変換器562とを備える。
無線通信システム600では、まず、搬送波周波数誤差の補償を行い、その後、希望信号1の送信電力を制御する。信号分離器12は、分離した測定情報信号203を送信電力制御部673に入力する。送信制御部14aは、搬送波周波数誤差を補償後、受信側無線局520から、送信の開始の指示を受けると、送信電力制御部673に送信電力制御の開始を指示する。
送信電力制御部673は、送信制御部14aからの送信電力制御開始の指示を受けて、制御を開始する。送信電力制御部673は、受信側無線局520における受信信号のレプリカ8bの信号点同士の距離が大きくなるように、送信する希望信号1の送信電力を制御する。送信電力制御部673は、複数の希望信号シンボル系列候補と干渉信号シンボル系列候補の組み合わせ毎に、受信信号のレプリカ8bの信号点同士の距離が十分に大きくなるように送信電力を制御する。
送信電力制御部673は、位相差の測定値及び干渉受信品質の測定値に基づいて、希望信号1の送信電力を制御する。送信電力制御部673は、図15に示した送信電力制御部173と同様にして、希望信号1と干渉信号2との位相差、受信信号の干渉受信品質及び受信信号の最小信号点間距離の関係と、位相差の測定値及び干渉受信品質の測定値に基づいて、送信する希望信号1の送信電力を受信信号のレプリカ8bの信号点同士の距離が大きくなるように制御する。
即ち、送信電力制御部673は、位相差の測定値に基づいて、その位相差において受信信号のレプリカ8bの最小信号点間距離が、目標最小信号点間距離となるために必要な目標干渉受信品質を算出する。そして、送信電力制御部673は、干渉受信品質の測定値と算出した目標干渉受信品質から、受信側無線局520における干渉受信品質を目標干渉受信品質とするために必要な希望信号1の送信電力を決定する。送信電力制御部673は、希望信号1の送信電力を制御する電力制御信号4eを可変増幅器175に入力することにより、送信する希望信号1の送信電力を制御する。送信電力制御部673は、決定した送信電力で希望信号1を送信する指示を含む電力制御信号4eを生成して、可変増幅器175に入力する。可変増幅器175は、増幅後の希望信号1を周波数変換器562を介して送受分離器11に入力する。
(効果)
このような無線通信システム600、送信側無線局610及び受信側無線局520によれば、送信側無線局610が、受信信号のレプリカ8bの信号点同士の距離が大きくなるように、送信する希望信号1の送信電力を制御できる。そのため、無線通信システム600では、受信信号8aの信号点を配置した際に、その信号点を分散させることができる。よって、受信側無線局520の干渉キャンセラ25は、受信信号8aの信号点が近接することによる判定誤りを低減して適切な希望信号1を出力でき、効率よく干渉信号2を除去できる。
しかも、無線通信システム600では、受信側無線局520が、搬送波周波数誤差を推定し、送信側無線局610に搬送波周波数誤差を通知できる。そして、送信側無線局610が、受信側無線局520によって推定され、通知された搬送波周波数誤差に基づいて、送信する希望信号1の搬送波周波数を干渉信号2の搬送波周波数に一致させることができる。よって、受信側無線局520と送信側無線局610との間で確立された各無線リンクにおいて、独自に搬送波周波数誤差を補償できる。そのため、受信側無線局520の干渉キャンセラ25は、伝搬路推定を追従させて干渉信号2を除去できる。これらの結果、無線通信システム600は、搬送波周波数誤差を補償して伝搬路の変動を抑制した後、受信信号8aの信号点を分散させることができる。よって、無線通信システム600は、干渉キャンセラ25の適用効果を高め、周波数利用効率を向上できる。
[第16実施形態]
(無線通信システム)
図25に示すように、無線通信システム600aは、送信側無線局610aと、受信側無線局520とを備える。図25では、図24に示した無線通信システム600とほぼ同様の構成については同一の符号を付して説明の一部を省略する。送信側無線局610は、アンテナ11aと、送受分離器11と、信号分離器12と、周波数制御部13と、送信制御部14aと、送信電力制御部673aと、電力監視部673bと、最大最小値計算部673cと、目標干渉受信品質決定部673dと、変調器172と、可変増幅器175と、周波数変換器562とを備える。
無線通信システム600aでは、まず、搬送波周波数誤差の補償を行い、その後、希望信号1の送信電力を制御する。信号分離器12は、測定情報信号203を、干渉受信品質の測定値と、位相差の測定値に分離する。信号分離器12は、分離した干渉受信品質の測定値を送信電力制御部673a及び最大最小値計算部673cに、位相差の測定値を目標干渉受信品質決定部673dに入力する。
電力監視部673bは、希望信号1の送信電力を監視する。電力監視部673bは、可変増幅器175から希望信号1を取得し、その送信電力を取得する。電力監視部673bは、取得した希望信号1の送信電力を最大最小値計算部673cに入力する。
最大最小値計算部673cは、実際の希望信号1の送信電力と干渉受信品質の測定値との関係と、可変増幅器175の電力の可変幅の上限値と下限値から、最大送信電力を使用した時の干渉受信品質(以下「干渉受信品質の最大値」という)と、最小送信電力を使用した時の干渉受信品質(以下「干渉受信品質の最小値」という)を計算する。最大最小値計算部673cは、実際の希望信号1の送信電力を電力監視部673bから、干渉受信品質の測定値を信号分離器12から取得する。又、最大最小値計算部673cは、可変増幅器175の電力の可変幅の上限値と下限値を予め記憶する。例えば、最大最小値計算部673cは、干渉受信品質の最大値として、最大送信電力使用時のCIR(以下「Cmax」と表す)と、干渉受信品質の最小値として、最小送信電力使用時のCIR(以下「Cmin」と表す)を計算する。最大最小値計算部673cは、計算した干渉受信品質の最大値及び最小値を、目標干渉受信品質決定部673dに入力する。
目標干渉受信品質決定部673dは、位相差の測定値に基づいて、計算した干渉受信品質の最大値と最小値の範囲内で、目標干渉受信品質を決定する。目標干渉受信品質決定部673dは、信号分離器12から取得した位相差の測定値と、最大最小値計算部673cから取得した干渉受信品質の最大値及び最小値から、目標干渉受信品質を決定する。例えば、目標干渉受信品質決定部673dは、以下の(4)式を用いて、Cmax、Cmin、位相差の測定値θrから、目標干渉受信品質として目標とするCIR「Ctg」を算出し、決定する。(4)式において、「C」はCIRであり、「D
E」は、位相差とCIRにより定まる最小信号点間距離である。
このようにして、目標干渉受信品質決定部673dは、位相差の測定値において受信信号のレプリカ8bの最小信号点間距離が、目標最小信号点間距離となるために必要な目標干渉受信品質を決定する。目標干渉受信品質決定部673dは、決定した目標干渉受信品質を送信電力制御部673aに入力する。尚、目標受信決定部673dは、予め、複数の干渉受信品質と位相差の値における最小信号点間距離を計算して保持しておき、複数の干渉受信品質と位相差の値と、計算した最小信号点間距離の関係に基づいて、目標干渉受信品質を決定してもよい。目標干渉受信品質決定部673dは、例えば、所定間隔の干渉受信品質、所定間隔の位相差における最小信号点間距離を計算し、保持しておく。
送信電力制御部673aは、送信制御部14aからの送信電力制御開始の指示を受けて、制御を開始する。送信電力制御部673aは、信号分離器12から取得した干渉受信品質の測定値と、目標干渉受信品質決定部673dから取得した目標干渉受信品質から、受信側無線局520における干渉受信品質を目標干渉受信品質とするために必要な希望信号1の送信電力を決定する。例えば、送信電力制御部673aは、CIRの測定値と目標干渉受信品質Ctgとの差分を計算し、受信側無線局520における受信信号のCIRをCtgとするために必要な希望信号1の送信電力を決定する。送信電力制御部673aは、決定した送信電力で希望信号1を送信する指示を含む電力制御信号4eを生成して、可変増幅器175に入力する。
周波数変換器562は、変換後の希望信号1を可変増幅器175、電力開始部673bを介して送受分離器11に入力する。可変増幅器175は、周波数変換器562を介して変調器172から変調後の希望信号1を取得する。可変増幅器175は、電力制御信号4eに基づいて希望信号1の送信電力を増幅する。可変増幅器175は、増幅後の希望信号1を電力監視部673bに入力する。可変増幅器175は、電力監視部673b、送受分離器11、アンテナ11aを介して受信側無線局520に送信する。
(効果)
このような無線通信システム600a、送信側無線局610aによれば、可変増幅器175の電力の可変幅の上限値と下限値を用いて求めた干渉受信品質の最大値と最小値の範囲内で送信電力を制御する。そのため、送信側無線局610aは、送信電力を可変増幅器175の上限に制限することができ、他の無線リンクへの干渉を防止できる。又、送信側無線局610aは、送信電力を可変増幅器175の下限に制限することができ、受信信号に対する雑音の比が増大するのを回避できる。よって、干渉キャンセラ25による干渉除去の精度を維持できる。
又、送信側無線局610aは、位相差の測定値に基づいて、目標最小信号点間距離を得るための目標干渉受信品質をその都度決定し、送信電力を制御できる。そのため、無線通信システム600aでは、より最適に受信信号の信号点を分散できる。例えば、最小信号点間距離の最大値を目標最小信号点間距離に設定した場合には、そのときに最小信号点間距離が最大となる干渉受信品質を求めて送信電力を制御でき、最適な信号点の分散効果が得られる。
[変更例]
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。本発明の適用例としての無線ネットワークシステムは送信側無線局及び受信側無線局との間における通信を実施例として記載しているが、具体例として基地局やアクセスポイント間での通信が該当することは勿論のこと、移動局と基地局間、無線端末とアクセスポイント間、アドホックネットワークやマルチホップネットワークにおける無線局間でのネットワークシステムに適用できることは言うまでもない。
又、上記実施形態の説明では、説明を簡単にするために、送信側無線局については送信系の構成を、受信側無線局については受信系の構成を説明したが、送信側無線局は、受信系の構成として、発振器、同期検波器、同期検波された受信信号を復調する復調器を備えるようにしてもよい。又、受信側無線局も送信系の構成として、変調器、周波数変換器、周波数変換器用の発振器、信号合成器を備えるようにしてもよい。信号合成器には、情報信号生成部27,27c,227,427,527から誤差情報信号3や測定情報信号203、誤差測定情報信号503のような情報信号が入力される。又、信号合成器には、変調器が変調した送信データを含む希望信号も入力される。そして、信号合成器は、取得した情報信号と希望信号を合成し、送受分離器に入力する。又、受信側無線局は増幅器を備えるようにしてもよい。増幅器は、送受分離器から受信信号を取得し、受信信号の電力を増幅する。増幅器は、増幅した受信信号を同期検波器に入力する。
又、図3に示した受信側無線局20eにおいて、希望信号1や干渉信号2としてどのようなシンボルが送信されているかを誤って判定すると、回転速度測定部28は、回転速度を正確に測定できないおそれがある。そのため、周波数誤差推定部26cも、搬送波周波数誤差を正確に推定できないおそれがある。そのため、受信側無線局20eは、図8、10に示した受信側無線局20d,20eのように、CNR測定部29や閾値決定部29eを備えることが好ましい。
更に、図8、10では、受信側無線局20d,20が、搬送波周波数の制御を行うか否かを判断しているが、受信側無線局が干渉受信品質の測定値と搬送波周波数誤差の推定値を送信し、送信側無線局が受信した干渉受信品質の測定値と搬送波周波数誤差の推定値に基づいて、搬送波周波数の制御の可否を判断してもよい。図23、24に示した送信側無線局510,610は、それぞれ希望信号1の位相又は送信電力のいずれかを制御しているが、図18、21に示す送信側無線局410,410bのように、位相と送信電力の両方を制御してもよい。
又、図1、3、4、5、8、10、23、24、25に示した情報信号生成部27,27c,527は、周波数誤差推定部26から取得した搬送波周波数誤差Δfに基づいて、送信側無線局10の周波数制御部13のように希望信号1の搬送波周波数を制御する搬送波周波数制御信号4aを生成してもよい。そして、情報信号生成部27は、搬送波周波数誤差から決定される情報を含む誤差情報信号として、生成した搬送波周波数制御信号を送信してもよい。更に、図12、15、18、21に示した情報信号生成部227,427,527は、位相制御部171、送信電力制御部173、情報取得部176,376,476,476aのように目標位相差や目標干渉受信品質を決定し、決定した目標位相差や目標干渉受信品質を含む信号を送信側無線局に送信してもよい。この場合、送信側無線局の位相制御部171、送信電力制御部173は、受信した目標位相差や目標干渉受信品質を用いて位相制御や送信電力制御を行う。又、送信側無線局と受信側無線局の組み合わせは上記実施形態に限定されず、種々の組み合わせが可能である。
又、送信側無線基地局と受信側無線基地局間で信号を送受信することにより通信を行う無線通信ネットワークシステムであって、受信側無線基地局において、受信信号の複製を生成し干渉波を除去する干渉キャンセラと、受信側無線基地局における干渉信号の搬送波周波数を検出する干渉波周波数検出手段と、前記干渉波検出手段において検出される干渉信号の搬送波周波数と、希望信号の搬送波周波数との差分である搬送波周波数誤差を推定する周波数誤差検出手段と、送信側無線基地局において前記搬送波周波数誤差に応じて、希望波の搬送波周波数を制御する周波数制御手段とを具備し、前記干渉周波数検出手段は、受信側無線基地局で、所定電力以上の電力で受信される干渉波を検出した際、前記干渉信号の搬送波周波数を検出し、前記周波数誤差検出手段は、検出動作終了後に搬送波周波数誤差を検出し、検出した搬送波周波数誤差を送信側無線基地局に送信し、送信側無線基地局は、受信した搬送波周波数誤差情報に基づいて希望波の搬送波周波数を干渉波の搬送波周波数に一致するように制御することを特徴とする無線通信ネットワークシステムであってもよい。
又、送信側無線基地局と受信側無線基地局間で信号を送受信することにより通信を行う無線通信ネットワークシステムであって、受信側無線基地局において、受信信号の複製を生成し干渉波を除去する干渉キャンセラと、受信側無線基地局における希望信号と前記干渉キャンセラにより除去される干渉信号との位相差を測定する位相差測定手段と、受信側無線基地局における希望信号と、干渉信号や雑音との電力比(以下、「受信品質」とする)を測定する受信品質測定手段と、送信側無線基地局において、前記位相差測定手段と前記受信品質測定手段の測定結果に応じて、希望信号の位相又は送信電力を制御する制御手段とを備え、送信側無線基地局で、前記制御手段によって希望信号の位相又は送信電力を、受信側無線基地局における位相差測定手段と前記受信品質測定手段の測定結果に基づいて制御することを特徴とする無線通信ネットワークシステムであってもよい。
更に、送信側無線基地局と受信側無線基地局間で信号を送受信することにより通信を行う無線通信ネットワークシステムであって、受信側無線基地局において、希望信号と干渉信号の伝搬路を推定する伝搬路推定手段と、前記伝搬路推定手段において推定した伝搬路推定値に基づいて、希望信号と干渉信号のシンボル候補に対して受信信号のレプリカを生成するレプリカ生成手段と、前記レプリカ生成手段において生成される受信信号レプリカと実際に受信された信号とを比較し、実際に受信した信号に最も近い受信信号レプリカを生成するシンボル候補の希望信号成分を出力する最尤推定部を具備し、前記送信側無線基地局において、希望信号シンボルと干渉信号シンボルの異なる組み合わせに対して合成信号レプリカの信号点同士の距離が十分に大きくなるように希望信号の位相又は送信電力を制御し、受信側無線基地局において前記レプリカ生成部において受信信号のレプリカを生成し、前記最尤推定部において実際に受信する信号と最も近い受信信号レプリカを与える希望信号シンボルと干渉信号シンボルの組み合わせのうち希望信号シンボルを出力することを特徴とする無線通信ネットワークシステムであってもよい。
又、受信信号の複製を生成し干渉信号を除去する干渉キャンセラと、干渉信号の搬送波周波数を検出する干渉波周波数検出手段と、前記干渉波検出手段において検出される干渉信号の搬送波周波数と、希望信号の搬送波周波数との差分である搬送波周波数誤差を推定する周波数誤差検出手段と、前記周波数誤差検出手段により検出された搬送波周波数誤差を通信先に通知するための情報信号を生成する情報信号生成部とを具備し、前記干渉周波数検出手段は、所定電力以上の電力で受信される干渉波を検出した際、前記干渉信号の搬送波周波数を検出し、前記周波数誤差検出手段は、検出動作終了後に搬送波周波数誤差を検出することを特徴とする基地局であってもよい。
加えて、基地局は、受信信号を同期検波する手段と、前記同期検波手段の基準周波数を発振する基準周波数信号発振手段と、前記同期検波手段から出力されるベースバンド信号の希望波信号成分の回転速度を測定する回転速度測定手段とを備え、前記周波数誤差検出手段は、前記基準周波数信号発振手段の基準周波数を前記干渉波周波数検出手段によって検出された周波数に設定して、受信信号を同期検波し、該同期検波手段から出力される前記ベースバンド信号の希望信号波成分の回転速度を前記回転速度測定手段によって測定することにより希望信号と干渉信号の周波数誤差量を推定し、推定した搬送波周波数誤差量を通信先に送信することを特徴としてもよい。
加えて、基地局は、測定の対象となる信号と、干渉信号や雑音との電力比を測定する受信品質測定手段を備え、前記情報信号生成部は、前記受信品質測定手段により測定された前記電力比と、所定の閾値とを比較し、この比較結果に基づいて、前記周波数誤差量の送信の可否、或いは送信内容を決定することを特徴としてもよい。
加えて、基地局は、受信信号の変調方式を取得し、この取得された変調方式に基づいて前記閾値を抽出する閾値抽出部を備え、前記情報信号生成部は、前記受信品質測定手段により測定された前記電力比と、前記閾値抽出部により抽出された閾値とを比較することを特徴としてもよい。
又、通信先において検出された干渉信号の搬送波周波数、及び希望信号の搬送波周波数の差分である搬送波周波数誤差に基づいて、希望波の搬送波周波数を干渉波の搬送波周波数に一致するように制御する周波数制御手段を有することを特徴とする基地局であってもよい。
加えて、基地局は、送信データ信号をベースバンド変調信号に変調するベースバンド変調器と、前記ベースバンド変調器の出力の中心周波数を変換する周波数変換手段と、前記ベースバンド変調器と前記周波数変換手段との間に、前記ベースバンド変調器の出力信号を位相回転させる位相回転手段を具備し、前記位相回転手段は、前記搬送波周波数誤差に従い、送信信号の位相を、その周波数誤差分に応じた角速度で回転させ、希望波の搬送波周波数を干渉波の搬送波周波数に一致させることを特徴としてもよい。
加えて、基地局は、ベースバンド変調信号を出力するベースバンド変調器と、前記ベースバンド変調器の出力の中心周波数を変換する周波数変換手段と、前記周波数変換手段の基準周波数を出力する局部発振器と、前記局部発振器の周波数を制御する局部発振器周波数制御手段とを備え、局部発振器周波数制御手段は、前記搬送波周波数誤差に従い、前記局部発振器の周波数を希望信号と干渉信号の搬送波周波数を一致させるように制御することを特徴としてもよい。
又、希望信号及び干渉信号を変調して得られる信号ベクトルを座標上に信号点として表し、これら各信号ベクトルを組み合わせて得られる合成信号の2信号点間の前記座標上における距離の最小値である最小信号点間距離を、希望信号と干渉信号との電力比に対して希望信号成分を任意角度回転させて、該最小信号点間距離と希望信号及び干渉信号の位相差との関係として算出された算出結果と、干渉信号と希望信号との位相差と、前記希望信号及び干渉信号の電力比と、前記受信品質とに基づいて目標位相差を取得する情報取得部と、通信先における希望信号と干渉信号との位相差が、前記目標位相差となるように前記送信信号の位相を制御する位相制御手段とを有することを特徴とする基地局であってもよい。
加えて、基地局は、前記位相制御手段が、前記最小信号点間距離を最大とするように、希望信号の位相を制御することを特徴としてもよい。更に、基地局は、前記位相制御手段が、前記所定の受信品質について、最小信号点間距離の所定の幅の位相差に対する平均値が最大となる位相差の区間を検索し、前記位相差が検索した位相差の区間の中央値となるように、希望信号の位相を変動させることを特徴としてもよい。
又、希望信号及び干渉信号を変調して得られる信号ベクトルを座標上に信号点として表し、これら各信号ベクトルを組み合わせて得られる合成信号の2信号点間の前記座標上における距離の最小値である最小信号点間距離を、所定の希望信号と干渉信号の位相差に対して前記希望信号の送信電力を変化させて、該最小信号点間距離と送信電力との関係として算出された算出結果と、干渉信号と希望信号との位相差と、前記希望信号及び干渉信号の電力比と、前記受信品質とに基づいて、前記送信信号の送信電力を制御する送信電力制御手段とを有することを特徴とする基地局であってもよい。加えて、基地局は、前記送信電力制御手段が、前記最小信号点間距離を最大とするように、希望信号の送信電力を制御することを特徴としてもよい。
更に、送信側無線基地局と受信側無線基地局間で信号を送受信することにより通信を行う無線通信方法であって、受信側無線基地局における干渉信号の搬送波周波数を検出するステップ(1)と、前記ステップ(1)において検出される干渉信号の搬送波周波数と、希望信号の搬送波周波数との差分である搬送波周波数誤差を推定するステップ(2)と、送信側無線基地局において、前記搬送波周波数誤差に応じて、希望波の搬送波周波数が干渉波の搬送波周波数に一致するように、希望波の搬送波周波数を制御するステップ(3)とを具備し、前記ステップ(1)では、受信側無線基地局で、所定電力以上の電力で受信される干渉波を検出した際、送信側無線基地局に送信を停止するように指示し、前記干渉信号の搬送波周波数を検出し、前記ステップ(2)では、検出動作終了後に希望波の送信を再開して搬送波周波数誤差を検出することを特徴とする無線通信方法であってもよい。
加えて、無線通信方法は、前記ステップ(3)では、測定の対象となる信号と干渉信号や雑音との電力比を測定し、この測定された電力比と、所定の閾値とを比較し、この比較結果に基づいて、前記周波数の制御を実行するか否かを判断することを特徴としてもよい。
又、送信側無線基地局と受信側無線基地局間で信号を送受信することにより通信を行う無線通信方法であって、受信側無線基地局において、受信信号の複製を生成し干渉波を除去し、この除去された干渉信号との位相差を測定するステップ(1)と、受信側無線基地局における受信品質を測定するステップ(2)と、前記送信側無線基地局において、希望信号及び干渉信号を変調して得られる信号ベクトルを座標上に信号点として表し、これら各信号ベクトルを組み合わせて得られる合成信号の2信号点間の前記座標上における距離の最小値である最小信号点間距離を、所定の受信品質に対して前記希望信号成分を任意角度回転させて、該最小信号点間距離と希望信号及び干渉信号の位相差との関係として算出するステップ(3)と、この算出結果と、前記受信品質とに基づいて、受信側無線基地局における前記送信信号の位相を制御するステップ(4)とを有することを特徴とする無線通信方法であってもよい。
更に、送信側無線基地局と受信側無線基地局間で信号を送受信することにより通信を行う無線通信方法であって、受信側無線基地局において、受信信号の複製を生成し干渉波を除去し、この除去された干渉信号との位相差を測定するステップ(1)と、受信側無線基地局における受信品質を測定するステップ(2)と、希望信号及び干渉信号を変調して得られる信号ベクトルを座標上に信号点として表し、これら各信号ベクトルを組み合わせて得られる合成信号の2信号点間の前記座標上における距離の最小値である最小信号点間距離を、所定の希望信号と干渉信号との位相差に対して前記希望信号成分を任意角度回転させて、該最小信号点間距離と送信電力との関係として算出するステップ(3)と、この算出結果と、前記受信品質とに基づいて、受信側無線基地局における送信信号の送信電力を制御するステップ(4)とを有することを特徴とする無線通信方法であってもよい。