JP4481151B2 - 汚泥の脱水乾燥装置 - Google Patents
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Description
近年、埋立地の減少により汚泥処理費が高騰しているため、汚泥を脱水乾燥装置により脱水乾燥することにより、汚泥を軽量化することが増えている。このような汚泥の脱水乾燥装置の従来例が、特開2001‐232109号公報(特許文献1)に開示されている。
この従来の汚泥の脱水乾燥装置においては、1対の濾板に、濾布及び膜(ダイヤフラム)を取り付け、この膜を介して汚泥(ケーキ)を温水等の加温流体により加熱すると共に汚泥を真空状態とすることで、脱水効率及び乾燥効率を高めるようにしている。
従って、汚泥の脱水乾燥装置の分野においては、設備コストを低減させるために、脱水及び乾燥を迅速に行うことが可能で、且つ、濾板を安価なものとすることができる汚泥の脱水乾燥装置が要望されている。
また、本発明は、濾板を安価なものとして設備コストを低減させることができる汚泥の脱水乾燥装置を提供することを目的としている。
さらに、本発明は、低コストで実用上必要な耐用回数を得ることができる膜及び/濾布の固定構造を備えた汚泥の脱水乾燥装置を提供することを目的としている。
このように構成された本発明においては、濾室の汚泥は、先ず、両面に設けられた濾布により濾過されて濃縮され、次に、減圧状態で、流体室に供給された加温流体により、少なくとも一面から膜を介して加熱及び加圧され、脱水乾燥される。このとき、膜が0.05mm〜3.00mmの厚みであるので、乾燥速度が従来のものと比べ極めて早いので、全時間(全処理時間)が大幅に短くなり、その結果、設備を小形化でき、設備コストを低減させることができる。
また、本発明においては、汚泥送液口及び濾液口を、芯板とは別部品である汚泥送液口用部品及び濾液口部品により形成したため、濾板の製造コストが低減され、また、濾板の組立作業も簡素化される。また、芯板及び汚泥送液口用部品、並びに、芯板及び濾液口部品が、それぞれ、濾室に連通しない加温流体用の流体室を形成するように、膜を挟んで固定しているので、膜を簡易に固定することができる。
さらに、本発明においては、膜が、汚泥送液口用部品及び濾液口部品のそれぞれのテーパ部の面に沿って可動するので、膜の局部的な伸びを防止することができる。本発明のように、厚みの薄い膜を使用する場合には、極めて効果的である。また、濾液口部品のテーパ部に横穴状の濾液流路が形成されているので、曲げ強度が大きくなり、また、部品が変形を起こし難い構造となっている。
このように構成された本発明によれば、加圧手段により、汚泥を脱水乾燥前に圧搾してより効果的に濾過することができるので、乾燥時間をより短縮することが出来る。
本発明において、好ましくは、膜は、0.05mm〜1.00mmの厚みを有する。
この発明においては、フッ素樹脂が、耐熱性及び耐薬品性に優れており、さらに、熱伝導率が高温になると高くなるため、膜として優れた特性を発揮することができる。
本発明において、好ましくは、膜は、その表面に濾液の流路となる溝や凹凸形状の無いシート形状である。
このように構成された本発明によれば、膜をシート形状としたので、膜として市販のシートを利用することができ、膜の成形コストを低減させることができる。
このように構成された本発明においては、メッシュ形状の部材により、乾燥ケーキの厚みが変化するので、ケーキの剥離性が向上し、さらに、濾液の流路を確保することができる。
このように構成された本発明においては、濾液流路の開口が膜により塞がれる場合でも、濾液が、連通部を介して、濾室から濾液口に確実に抜けることができる。
このように構成された本発明においては、濾布がテーパ部の先端に押し付けられても、濾布は、保護部材により、保護され、破損に至ることが防止される。
このように構成された本発明においては、表側部品と裏側部品を芯板に差し込んだとき、汚泥送液口用部品及び濾液口部品をそれぞれの凹部に配置された固定用部材が弾性変更することにより、互いに固定するようにしているので、部品が小さくなり、それにより、濾過面積を減じなくてもよい。さらに、ボルトなどを使用する必要がないので、取り付けが容易となる。
このように構成された本発明においては、表側部品と裏側部品を芯板に差し込んだとき、これらの部品及び芯板の凹部に配置された固定部材により、部品を芯板に固定するようにしているので、部品が小さくなり、それにより、濾過面積を減じなくてもよい。さらに、ボルトなどを使用する必要がないので、取り付けが容易となる。
このように構成された本発明において、膜が濾布と共に固定されているので、膜を濾布により保護することができる。
このように構成された本発明においては、通気性のある保護部材が膜と濾布との間に配置されているので、膜を確実に保護することができ、さらに、熱伝導抵抗を低減させて、膜から直接汚泥に加温流体の熱を伝達することができる。
このように構成された本発明によれば、固定手段により、膜及び/又は濾布のぞれぞれの端部を芯板の外周部のほぼ全周に沿って固定されているので、実用上必要な耐用回数を得ることができる。
本発明において、好ましくは、固定手段は、膜及び/又は濾布のぞれぞれの端部を、芯板の外周側面のほぼ全周に沿って固定する。
本発明において、好ましくは、芯板の両面の外周端部には、芯板のほぼ全周に沿って固定用空間が形成され、固定手段は、膜及び/又は濾布のぞれぞれの端部をこの固定用空間を利用して芯板の両面の外周端部のほぼ全周に沿って固定する。
本発明において、好ましくは、固定手段の折返部は、膜及び/又は濾布の端部を折り返してそれ自体に縫製することにより形成されている。
このように構成された本発明においては、固定手段の折返部が、膜及び/又は濾布の端部を折り返してそれ自体に縫製することにより形成されているので、膜及び/又は濾布の固定構造の低コスト化を図ることが出来る。
本発明において、好ましくは、固定手段は、濾板の各面の膜及び/又は濾布の端部と芯板の外周側面にて接続されるテープ状部材を有し、濾板の各面のこれらのテープ状部材が互いに接続されることにより、膜及び/又は濾布のぞれぞれの端部が芯板の外周部のほぼ全周に沿って固定されるようになっている。
本発明において、好ましくは、固定手段のテープ状部材は、濾板の各面の膜及び/又は濾布の端部と縫製により接続されている。
図1は、本発明による汚泥の脱水乾燥装置の実施形態を示す全体構成図である。図1に示すように、本実施形態による汚泥の脱水乾燥装置1は、脱水乾燥装置本体(フィルタープレス)2を備えている。この脱水乾燥装置本体(フィルタープレス)2は、詳細は後述する濾室を形成するための複数の濾板4と、これらの濾板4の両端部に配置され濾板4を締め付けるための締付装置6から構成されている。この締付装置6は、複数の濾板4の一端(図1では左端)に固定配置された固定締付板6aと、他端(図1では右端)に移動可能に配置された可動締付板6bと、この可動締付板6bに対して押圧力を作用させて濾板4を締め付ける押圧装置6cを備えている。
さらに、濾板4は、芯板26の両面に取り付けられ、隣接する他の芯板26の一面と共に濾室32を形成して汚泥を収容する濾布34を備え、さらに、この濾布34の背面側にメッシュ36を介して取り付けられた膜(ダイヤフラム)38を備えている。
ここで、膜(ダイヤフラム)38は、図示のように、濾板4の両面に設けられても良いし、また、一方の面(一面)のみに設けるようにいても良い。
また、メッシュ36の凹凸部材36bにより、乾燥ケーキの表面に凹凸が形成され、乾燥ケーキが凹凸部で破断されて粉々になるため、乾燥ケーキを濾板4から払い落すとき、剥離性が大幅に向上する。このため、従来必要であった乾燥ケーキを払い落すための自動装置が不要となる。
なお、汚泥(ケーキ)に十分な流路が形成され、且つ、濾布からの剥離性が良ければ、メッシュは不要となる。例えば、チタンや二酸化珪素といった硬質の粉末材料の場合である。また、濾板のサイズが小さい場合(約□1000mm以下)も、濾液流路が短くなるため、メッシュが不要となる。
芯板26には、圧縮空気&加温流体用供給流路24と圧縮空気&加温流体用流体室44とを連通させるための圧縮空気&加温流体用入口流路46が形成され、また、圧縮空気&加温流体用流体室44と圧縮空気&加温流体用排出流路25とを連通させるための圧縮空気&加温流体用出口流路48が形成されている。
ここで、図8に示すように、膜38は、濾板4の両側に設けられているが、濾板4の一方の面のみに設けるようにしても良い。この場合には、一方の面にのみ、圧縮空気&加温流体用流体室44、圧縮空気&加温流体用入口流路46、及び、圧縮空気&加温流体用出口流路48が形成されることになる。
さらに、膜38を両面に設けた濾板4と、両面ともに膜を設けていない濾板4を交互に配置するようにしても良い。
先ず、汚泥供給ライン8には、汚泥を貯蔵する濃縮槽50と、開閉弁V3、汚泥を開閉弁V3を経由して濾板4の濾液送液口20に供給するための送泥ポンプ52が設けられている。
濾液排出ライン10には、開閉弁V4、濾板4の濾液口22から排出される濾液の気水分離を行うための気水分離タンク54が設けられている。
蒸気供給ライン14には、開閉弁V2、濾板4の圧縮空気&加温流体用供給流路24に蒸気を供給するためのボイラ58が設けられている。このボイラ58は、蒸気を供給する。なお、蒸気の代わりに、加温流体として、温水を供給するようにしても良い。
蒸気ドレン排出ライン16には、濾板4の圧縮空気&加温流体用排出流路25から排出された蒸気ドレンをボイラ58に戻すスチームトラップ60が設けられている。
最初の濾過工程においては、開閉弁V5を開き大気に開放し、濃縮槽50に貯蔵された汚泥(濃度4.2重量%)を送泥ポンプ52によって開閉弁V3を経由して汚泥送液口20に供給する。汚泥は、汚泥送液口20から、汚泥送液流路40を経由して濾室32に至る。汚泥は、送泥ポンプ52の吐出圧力により最大0.43MPaまで加圧され、濾布34により濾過されることで、濃縮される。濾液は、濾布34の背面側に達するとメッシュ36により形成された流路を通り、濾液流路42を経由して、濾液口22に流れ込み、気水分離タンク54及び開閉弁V4を通り、外部に排出される。
なお、この圧搾工程は、省略しても良い。
次に、開閉弁V4及びV5を開き、ボイラ58から加温流体として120℃の蒸気を圧縮空気&加温流体用供給流路24に供給する。蒸気は、圧縮空気&加温流体用入口流路46を経由して圧縮空気&加温流体用流体室44に達する。蒸気は、汚泥を脱水及び加熱して蒸気ドレンとなり、この蒸気ドレンは、圧縮空気&加温流体用出口流路48を経由して圧縮空気&加温流体用排出流路25に達し、スチームトラップ60によって排出されボイラ58に戻される。
次に、真空ポンプ62、クーリングタワー64及び冷却水循環ポンプ66を停止し、開閉弁V4を開いて濾液口22及び濾室32を大気に開放して大気圧とする。
圧縮空気&加温流体用供給流路24(圧力センサP1)及び濾液口22(圧力センサP3)が大気圧となった時点で、閉枠準備工程を終了する。
図11は汚泥送液口用部品を芯板へ取り付けた状態を示す濾板の拡大部分断面図であり、図12は濾液口用部品を芯板へ取り付けた状態を示す濾板の拡大部分断面図であり、図13は図12の要部拡大断面図であり、図14は濾液口用部品を示す平面図(図14(a))及び断面図(図14(b))である。
また、芯板26及び汚泥送液口用部品28は、膜38及び濾布34の両者を挟んで固定している。
また、本実施形態では、汚泥送液口用部品28の表側部品28a及び裏側部品28bを芯板26に差し込んだとき、それぞれの凹部に設けられたOリング72により、両部品28a,28bを互いに固定するようにしているので、各部品をボルト等で締め込む構造と比べ、濾過面積を減じる必要がなく、部品が小さくなり、芯板への取り付けが容易となり、流路の濾過面に対する向きの調整が容易となり、さらに、Oリングにより、各部品及び芯板の熱膨張・収縮が吸収できるので、緩むことなく各部品を芯板に固定できる。
さらに、本実施形態では、芯板26及び汚泥送液口用部品28により、膜38及び濾布34の両者を挟んで固定しているので、膜38は濾布34により保護されることになり、膜38の汚泥送液流路40との接触が、濾布34により遮られるようになっている。
また、芯板26及び汚泥送液口用部品30は、膜38を挟んで固定しており、一方、濾布34は表側部品30aの外側面に固定されている。
また、本実施形態では、濾液口用部品30の表側部品30a及び裏側部品30bを芯板26に差し込んだとき、それぞれの凹部に設けられたOリング72により、両部品30a,30bを互いに固定するようにしているので、各部品をボルト等で締め込む構造と比べ、濾過面積を減じる必要がなく、部品が小さくなり、芯板への取り付けが容易となり、流路の濾過面に対する向きの調整が容易となり、さらに、Oリングにより、各部品及び芯板の熱膨張・収縮が吸収できるので、緩むことなく各部品を芯板に固定できる。
さらに、本実施形態では、芯板26及び濾液口用部品30により、膜38を挟んで固定しているので、簡易な構造とすることができる。また、複数の濾板4を締付装置6により締め付けるので、圧縮空気&加温流体用流体室44、汚泥送液口20及び濾液口22を分離及びシールすることが出来る。
また、濾液口部品30のテーパ部76の先端部には、各濾液流路42とテーパ部76の反対面78とを連通する7つの連通穴(切欠きでも良い)80がそれぞれ形成されている。
さらに、濾液口部品30のテーパ部76の反対面78側に濾布34が取り付けられており、このテーパ部76の反対面78と濾布34との間にテーパ部76の先端を超えて延びるように濾布34を保護するメッシュ状の保護部材82が設けられている。
また、本実施形態では、濾液口用部品30自体に半径方向に延びる横穴形状の濾液流路42が形成されているため、部品の面を切り欠いて濾液流路を形成する場合と比べて、閉枠時の曲げ強度が大きくなり、また、変形を起こし難い構造となっている。
本実施形態によれば、汚泥送液口用部品28も、上述した濾液口用部品30と同様に、保護部材82による効果を除き、同様な作用効果を奏することができる。
図15に示すように、濾液口部品90は、それぞれ、濾板4の芯板26の表側及び裏側から差し込まれる表側部品90aと裏側部品90bとから構成されている。これらの表側部品90a及び裏側部品90bには、それぞれ、外周側に凹部70aが形成され、芯板26の内周側には凹部70bが形成され、これらの凹部70a,70bに固定用部材でありOリング72を配置している。このようにして、これらの表側部品90a及び裏側部品90bを芯板26に差し込んだとき、Oリング72により、両部品90a,90bが、それぞれ、芯板26に固定されるようになっている。
ここで、濾液口部品90の他の構成は、上述した濾液口部品30と同様である。
また、図示しないが、汚泥送液口用部品28も、図15に示す濾液口部品90と同様な構成としても良い。
図16に示すように、この実施形態では、膜38と濾布34との間に通気性のある保護部材92が配置されている。さらに、芯板26及び汚泥送液口用部品28は、膜38、保護部材92及び濾布34を挟むように固定し、一方、芯板26及び濾液口部品30は、膜38及び保護部材92を挟んで固定している。ここで、保護部材92としては、例えば、織物等が好ましい。
図17において、比較例1〜3は、従来の汚泥の脱水乾燥装置に用いられていた膜厚を使用した例である。膜厚は、比較例1で9mm、比較例2で7mm、比較例3で5mmとなっている。
一方、本発明の実施例1〜4において、膜厚は、実施例1で3mm、実施例2で1mm、実施例3で0.2mm、実施例4で0.1mmとなっている。
膜材質としては、比較例1〜3及び実施例2は、ポリプロピレン(PP)とポリエチレン(PE)との合成物、実施例1は、ポリエチレン(PE)、実施例2及び3は、フッ素樹脂を使用した。
比較例1〜3、及び、実施例1〜4における、濾過時間、圧搾時間、全時間(全ての工程の合計時間)、乾燥ケーキの厚み、含水率、乾燥速度は、図17に示す通りである。
この結果、実施例1〜4では、乾燥速度が著しく速くなっているので、その分、乾燥時間も著しく短縮される。
本実施形態において、膜厚は、0.05mm〜3.00mmの範囲が好ましい。また、膜厚が、0.05mm〜1.00mmの範囲が更に好ましい。さらに、膜厚の機械的強度及び乾燥速度を考えると、膜厚が、0.2mmが最も好ましい。
具体的には、膜厚が0.2mmである実施例3と、従来の平均値である7mmの膜厚の比較例2を比べた場合、実施例3は、比較例2よりも、乾燥速度で7.4倍、全時間で1/4.9となるので、本実施形態によれば、装置規模は、従来のものと比べ約5分の1となり、設備費を大幅に低減することができる。
膜は、加温流体に曝されるため、耐熱性が要求される。また、膜自体が高温になるため、耐薬品性も要求される。フッ素樹脂は、膜として一般的であるポリプロピレンに対し、耐熱性及び耐薬品性において圧倒的に優れており、さらに、比熱が小さく、熱伝導率が高いため、膜38の材質としては、このフッ素樹脂が最も好ましい。
ここで、フッ素樹脂は、ポリプロピレンよりも高価であるため、費用対効果が得難いが、本実施形態では、膜厚が従来のものに比べ相当薄くなっているので、フッ素樹脂の膜を使用した場合であっても、十分な費用対効果を得ることができ、結局、従来のものよりも膜を安価に製作することができる。
なお、図28及び図29は、それぞれ、固定構造の比較例1及び比較例2を示す部分側面図(図28(a)及び図29(a))及び部分断面図(図28(b)〜図29(b))である。
図19乃至図27に示された汚泥の脱水乾燥装置においては、便宜上、濾板4における膜38及び濾布34の芯板26への固定構造のみが示され、図7及び図8等に示す他の構造は簡略化されている。また、図19乃至図27に示された汚泥の脱水乾燥装置においては、濾板4において、膜38及び濾布34の芯板26への固定構造が示されているが、膜38のみの芯板26への固定構造、濾布34のみの芯板26への固定構造も同様でありそれらの説明は省略する。
この実施例1(縫製タイプ)によれば、挿入空間100を形成するために折返部98を縫製により接続するようにしたので、上述した他のタイプの実施例1と同様な効果を奏すると共に、接着や溶着と比べ、後述する大幅な低コスト化を図ることができる。
この実施例6(縫製タイプ)によれば、膜38の端部38a及び濾布34の端部34aには、糸106を用いた縫製によりマジックテープ(登録商標)120a,120bが取り付けられるので、上述した他のタイプの実施例6と同様な効果を奏すると共に、接着と比べ、後述する大幅な低コスト化を図ることができる。
図29に示すように、比較例2においては、濾板4において、膜38又は濾布34の端部38a,34aに所定間隔でハトメ122が取り付けられている。さらに、芯板26の両面の膜38及び濾布34のハトメ122の穴に結束バンド124を通すことにより、両面の膜38及び濾布34は、結束バンド124により互いに引き合って芯材26の外周側面26aにおいて固定される。
一般に、膜は、交換費用が大であるため3年以上の長寿命が好ましく、一方、濾布は、「目詰まり」及び濾布自体の「劣化」により1年以下で交換される場合が多い。そのため、汚泥の脱水乾燥装置を、1日に4サイクルで年間250日稼動する場合、必要な耐用回数は、膜で3000回以上、濾布で1000回以上となる。
図30に示す試験結果から明かなように、発明の汚泥の脱水乾燥装置の固定構造の実施例1〜実施例7においては、膜に必要な耐用回数である3000回以上の耐用回数を得ることが出来たが、比較例1及び比較例2では、必要な耐用回数を得ることは出来なかった。
同様に、図31に示す試験結果から明かなように、発明の汚泥の脱水乾燥装置の固定構造の実施例1〜実施例7においては、濾布に必要な耐用回数である1000回以上の耐用回数を得ることが出来たが、比較例1及び比較例2では、必要な耐用回数を得ることは出来なかった。
このように、縫製の場合に低コストとなるのは、膜や濾布の端部を折り返して折返部を形成するとき(図20参照)や、膜や濾布の端部とマジックテープ(登録商標)を接続するとき(図26参照)に、接着や溶着を行った場合には、専用の治具を用いた高度で且つ長時間の作業が必要となるが、縫製の場合には、素人がミシンで高速に行うことが出来るためである。
また、縫製は、膜や濾布が、ミシン針が通るような材料(樹脂)であれば適用可能であり、材質を選ばないものとなっている。接着や溶着は、膜や濾布の材料によっては、種々の薬品や治具が必要となり、また、材質(例えば、フッ素樹脂の一種であるPTFE)によっては、接着や溶着が不可能なものもある。
さらに、膜は濾布に糸が縫製されることにより、膜や濾布には無数の糸が通されることになり、通された糸の数だけ作用する引張力が分散されるので、実用上、耐久性の優れたものとなる。
2 脱水乾燥装置本体(フィルタープレス)
4 濾板
6 締付装置
8 汚泥供給ライン
10 濾液排出ライン
12 圧縮空気供給ライン
14 蒸気供給ライン
16 蒸気ドレン排出ライン
18 減圧ライン
20 汚泥送液口
22 濾液口
24 圧縮空気&加温流体用供給流路
25 圧縮空気&加温流体用排出流路
26 芯板
28 汚泥送液口用部品
30 濾液口用部品
32 濾室
34 濾布
36 メッシュ
38 膜(ダイヤフラム)
40 汚泥送液流路
42 濾液流路
44 圧縮空気&加温流体用流体室
46 圧縮空気&加温流体用入口流路
48 圧縮空気&加温流体用出口流路
50 濃縮槽
52 送泥ポンプ
54 気水分離タンク
56 圧縮機
58 ボイラ
60 スチームトラップ
62 真空ポンプ
64 クーリングタワー
66 冷却水循環ポンプ
68 凝縮器
70 凹部
72 Oリング
74 挟む面
76 テーパ部
78 反対面
80 連通穴(切欠き)
82 保護部材
90 濾液口部品
92 保護部材
98 折返部
100 挿入用空間
102 丸棒
104 結束バンド
106 糸
108,110,116 押え板
112,118 固定用ボルト
114 固定用空間
120a,120b マジックテープ(登録商標)
122 ハトメ
Claims (14)
- 汚泥に加温流体を供給して脱水乾燥し乾燥ケーキを形成する汚泥の脱水乾燥装置であって、
少なくとも1対の濾板であって、この濾板が、芯板と、この芯板の両面に設けられ濾室を形成する濾布と、少なくとも一方の面の濾布の背面側に設けられ加温流体用の流体室を形成する膜とを有する上記濾板と、
上記濾室内に汚泥を加圧して供給する汚泥供給手段と、
上記濾室内を減圧する減圧手段と、
この減圧状態で汚泥を脱水乾燥するために上記流体室に加温流体を供給する加温流体供給手段と、
上記汚泥の濾液を濾室から外部に排出する濾液排出手段と、を有し、
上記膜が0.05mm〜3.00mmの厚みを有し、
上記濾板は、汚泥が供給される汚泥送液口及びこの汚泥送液口と上記濾室を連通する汚泥送液流路を形成する汚泥送液口用部品と、濾液が排出される濾液口及びこの濾液口と上記濾布と膜とにより形成された空間を連通する濾液流路を形成する濾液口部品とを備え、上記芯板及び上記汚泥送液口用部品、並びに、上記芯板及び上記濾液口部品が、それぞれ、上記濾室に連通しない上記加温流体用の流体室を形成するように、上記膜を挟んで固定し、
上記汚泥送液口用部品は上記濾布及び膜を挟む面を有し、この挟む面の外側に汚泥送液口用部品の中心から外周に向けて15度〜75度の角度を有するテーパ部が形成され、上記濾布及び膜がこのテーパ部に沿って可動し、上記濾液口部品は、上記膜を挟む面を有し、この挟む面の外周側に濾液口部品の中心から外周に向けて15度〜75度の角度を有するテーパ部が形成され、上記膜がこのテーパ部に沿って可動し、さらに、上記濾液口部品のテーパ部に横穴状の濾液流路が形成されていることを特徴とする汚泥の脱水乾燥装置。 - 更に、上記膜を膨らませて濾室の容積を減少させて汚泥を濾過するように、膜を加圧する加圧手段を有する請求項1記載の汚泥の脱水乾燥装置。
- 上記膜の材質は、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルエーテルケトン、ナイロン、フッ素樹脂、又は、ゴムである請求項1記載の汚泥の脱水乾燥装置。
- 上記膜は、0.05mm〜1.00mmの厚みを有する請求項1乃至3の何れか1項に記載の汚泥の脱水乾燥装置。
- 上記膜の材質は、フッ素樹脂である請求項1、2又は4項に記載の汚泥の脱水乾燥装置。
- 上記膜は、その表面に濾液の流路となる溝や凹凸形状の無いシート形状である請求項1乃至5の何れか1項に記載の汚泥の脱水乾燥装置。
- 更に、上記濾布と膜との間に設けられたメッシュ形状の部材を有し、この部材のメッシュ形状により、上記汚泥の乾燥ケーキの厚みが変化すると共に濾液の流路が形成される請求項1乃至6の何れか1項に記載の汚泥の脱水乾燥装置。
- 上記芯板に、上記加温流体が供給される加温流体用供給流路、この加温流体用供給流路と上記流体室を連通する加温流体用入口通路、上記加温流体が排出される加温流体用排出通路、この加温流体用排出通路と上記流体室を連通する加温流体用出口通路が形成されている請求項1乃至7の何れか1項に記載の汚泥の脱水乾燥装置。
- 上記濾液口部品の上記テーパ部の先端部に、上記濾液流路とテーパ部の反対面を連通する連通部が形成されている請求項1乃至8の何れか1項に記載の汚泥の脱水乾燥装置。
- 上記濾液口部品の上記テーパ部の反対面側に上記濾布が取り付けられ、このテーパ面の反対側面と上記濾布との間に上記テーパ部の先端を超えて延びるように濾布を保護する保護部材が配置されている請求項1乃至9の何れか1項に記載の汚泥の脱水乾燥装置。
- 上記汚泥送液口用部品及び濾液口部品は、それぞれ、上記芯板の表側及び裏側から差し込まれる表側部品と裏側部品とから構成され、これらの一方の部品には外周側に凹部が形成され、他方の部品には内周側に凹部が形成され、これらの凹部に弾性変形可能な固定用部材が配置され、これらの表側部品と裏側部品を上記芯板に差し込んだとき、固定用部材が弾性変形することにより表側部品と裏側部品が互いに固定されるようになっている請求項1乃至10の何れか1項に記載の汚泥の脱水乾燥装置。
- 上記汚泥送液口用部品及び濾液口部品は、それぞれ、上記芯板の表側及び裏側から差し込まれる表側部品と裏側部品とから構成され、これらの部品の外周側に凹部が形成され、上記芯板の内周側には凹部が形成され、これらの凹部に弾性変形可能な固定用部材を配置し、これらの表側部品と裏側部品を上記芯板に差し込んだとき、固定用部材が弾性変形することにより表側部品と裏側部品が芯板に固定されるようになっている請求項1乃至11の何れか1項に記載の汚泥の脱水乾燥装置。
- 上記芯板及び上記汚泥送液口用部品が、上記膜及び濾布を挟んで固定している請求項1乃至12の何れか1項に記載の汚泥の脱水乾燥装置。
- 上記膜と上記濾布との間に通気性のある保護部材が配置され、上記芯板及び上記汚泥送液口用部品、並びに、上記芯板及び上記濾液口部品が、それぞれ、上記膜及び保護部材を挟んで固定している請求項1乃至13の何れか1項に記載の汚泥の脱水乾燥装置。
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