JP4480096B2 - 累進屈折力レンズ - Google Patents
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Description
一般的に累進屈折力レンズは屈折力のそれぞれ異なる2つの領域と、それら両領域の間で屈折力(度数)が累進的に変わる領域とを備えた非球面レンズとされており、境目がなく1枚のレンズで遠くのものから近くのものまで見ることができるものである。ここに2つの領域とは一般的には遠距離の物体を目視するためにレンズの上方位置に設定された遠用部領域と、近距離の物体を目視するためにレンズの下方位置に設定された近用部領域の2つの領域のことである。遠用部領域と近用部領域との移行帯である累進帯は滑らかかつ連続的に連結されている。このような累進レンズには主注視線が設定されている。主注視線は遠用アイポイントを通る垂直線が下方に向かうに従って鼻側に偏倚し、再び下方に垂直に向かう屈曲したラインである。主注視線はこのライン上における視線の移動で唯一非点収差が0に近くなり物体がはっきりと目視されるため、累進レンズの特性はこの主注視線上の所定位置で評価されることとなっている。
このような主注視線をへそ線としない技術として例えば特許文献1が挙げられる。特許文献1ではその累進面に主注視線がへそ線とならないように、すなわち曲率の最大値P1と最小値P2の差ΔPの値を0としないように累進屈折力レンズを設計する旨が開示されている。
本発明は、このような従来の技術に存在する問題点に着目してなされたものである。その目的は、累進面における主注視線がへそ線であってもレンズ度数に合致した最適な設計が可能な累進屈折力レンズを提供することにある。
また請求項2の発明では請求項1の発明の構成に加え、処方値と一致する所定の加入度数がレンズ表面での測定値として得られる主注視線上での面アスのない比較対象レンズに対して同比較対象レンズの測定値と同等の加入度を得るため前記累進面又は補正面の少なくとも一方に所定のレンズ度数を追加する補正を施したことをその要旨とする。
また請求項3の発明では、請求項1又は2の発明の構成に加え、前記いずれか一方の面には左右略対称の非点収差分布を持つような前記累進面が形成されているようにしたことをその要旨とする。
また請求項4の発明では請求項1〜3のいずれか発明の構成に加え、前記いずれか一方の面側とは前記レンズの物体側の面であり、いずれか他方の面側とは前記レンズの眼球側の面であるようにしたことをその要旨とする。
ここに「主注視線」とは一般的にはレンズの物体側に設定するものであるが、本発明の理解を容易にするために眼球側にも設定している。本発明ではレンズの物体側の主注視線に対して眼球側の主注視線は、物体側の主注視線を透過して最終的に眼回旋中心を透過する光線が眼球側を透過する位置にあるレンズの物体側の主注視線に対応する線を意味する。
ここに、第1の領域とは例えば遠用部領域や遠用部領域に比べて比較的近い遠方(5m〜1m)距離を見るための中用部領域が相当する。第2の領域とは例えば近用部領域が相当する。また、いずれか一方の面とは好ましくはレンズの表面(対物あるいは外面)側であり、いずれか他方の面とはレンズの裏面(眼球あるいは内面)側である。
ここに、レンズの基本構成としては累進面をレンズの表面(対物あるいは外面)側に形成した外面累進レンズとし、そのための累進特性の補正処理を内面側で行うようにすることが好ましい。これによって、内面累進レンズに比べて歪曲収差を低く抑えることが可能となる。
これは実際に処方通りのレンズ効果が得られるとした場合でも、主注視線上では面アスの発生によって若干の度数低下が測定上表れてしまうことの実務上の是正のために行われる。
例えば、処方値通り3.00Dの度数であったとしてもレンズメータの測定では面アスの影響で2.75Dというように若干加入度が低く測定され、眼鏡店やユーザーが処方との違いに戸惑うケースがあり得る。処方値はユーザーが実際にこのレンズを装用した状態で光が眼の回旋中心に垂直に通る場合を想定しており、その状態で処方値が得られるように設計されるものである(レンズと眼との距離に基づいて度数が強調されるいわゆるレンズ効果も考慮される)。
そこで、主注視線がへそ線となっているため面アスが発生しない調整帯を設け、この調整帯においてレンズメータにて測定させることで測定値と処方値とを一致させるようにするわけである。
これは処方値と一致する所定の加入度数がレンズ表面での測定値として得られる主注視線上での面アスのない比較対象レンズとの関係で行われる。このような比較対象レンズでは実際の装用によって上記のようなレンズ効果によって処方値よりも加入度は大きいものとなる。本発明のレンズは非点収差が抑制され、なおかつ実際の装用で処方値に合致した加入度が得られているわけであるが、このような比較対象レンズからのかけ替えを考えると相対的に加入度が低いということで敬遠される可能性もある。そのため比較対象レンズの測定値と同等となるような加入度を得るようにレンズ度数を追加するわけである。この補正は累進面又は/及び補正面に可能であるが補正面が好ましい。また、追加方法としては主注視線上に面アスのない旧型レンズのレンズ面でのレンズメータの測定値と同等になるような平均度数(S+C/2)とすることが好ましい。これによって特に乱視成分を考慮したプラス度数の追加が可能となる。
図1に示すように、本実施の形態1の累進屈折力レンズ1は上方位置に遠距離の物体を目視するための遠用部領域11が設定されている。下方位置には近距離の物体を目視するための近用部領域12が設定されており、遠用部領域11と近用部領域12の間には両領域11,12を滑らかかつ連続的に連結する累進帯13が設定されている。
累進屈折力レンズ1の表面にはこのような累進特性を発揮させるための非球面の累進面15が形成されている。累進面15の中央垂直方向には局所的に球面に形成された(つまりへそ点の集合面)球面領域Aが設定されている。球面領域Aは遠用部領域11では上方ほど、近用部領域12では下方ほどその領域が広く設定され累進帯13においては実質上幅はない、つまり累進帯13では純粋にへそ点の連続線とされている。
本実施の形態1で使用される累進屈折力レンズ1の前駆体としての材料ブロック10の表面は図2に示すような略対称の非点収差分布(いわゆるアス分布)を示している。図2は非点収差分布における任意の点を局部的に評価した場合の主曲率の差を表したいわゆる面アスの分布を示したものである。
累進屈折力レンズ1の裏面には補正面16が形成されている。本実施の形態1では上記のように材料ブロック10が略対称の非点収差分布特性を示すため、左右いずれのレンズとして使用するかによって(例えば図3では図上反時計方向に)それぞれ所定量回動させる。この回動によって球面領域Aの下方が鼻側に寄り球面領域Aはわずかに傾斜することとなる。この回動状態で補正面16が形成される。
図3に示すように累進面15側の主注視線S1はこの回動状態において図示しない遠用アイポイントを通って下方に向かうに従って鼻側に偏倚し、再び下方に向かう屈曲したラインとされる。主注視線S1は球面領域Aに存在する。すなわち、累進面15側の使用可能な領域においては主注視線S1はへそ線となっている。
初期の累進屈折力レンズでは表面側の累進面に設定される主注視線S1はへそ線として構成された場合において裏面の形状は単純な球面、つまり主注視線S2もへそ線とされていた。ここに、へそ線とは局所的に球面(すべての方向の曲率半径が一定)になっているいわゆるへそ点の連続した線であって、本実施の形態では図1に示すように球面領域Aとして設定されている。本実施の形態1の累進屈折力レンズ1では上記のように主注視線S1はへそ線となっているものの、補正面16側に施された補正によって補正面16側の主注視線S2はへそ線とはなっていない。
これによって主注視線S1を透過して眼の回旋中心に達する光(以下、透過光とする)についての非点収差が表裏の主注視線S1,S2をへそ線とした累進屈折力レンズ(以下、旧型レンズとする)と比べて抑制されることとなる。
これは以下のような理由に基づく。すなわち、裏面側の主注視線S2をへそ線としないことによって非点収差を抑制することができる反面これに伴って面アスの影響で度数が若干低く測定されることとなってしまう。もちろん、処方値は実際にユーザーがこのレンズを装用した状態の透過光を想定しており、その状態では所定の処方値が得られるように設計されるのであるが、一般に非点収差がなくなることよりも加入度の差のほうが見え方として顕著に表れるため、特に旧型レンズからかけ替えようとしているユーザーにとっては近用部の見え方に不満を感じることがある。
更に、この旧型レンズでは主注視線に正対した光線をレンズメータで測定し、その測定値と処方値とを照合してレンズを成形してしまうという慣行があった。つまり。このように度数を設定した場合ではユーザーが装用するとレンズ効果により実際には処方値よりも強い加入度のレンズとなってしまうこととなる。この結果、特にこのような旧型レンズから累進屈折力レンズ1にかけ替えをする場合ではなおさら度数が弱く感じてしまう。
そのため、累進屈折力レンズ1では補正面側にこの度数低下分を補うようなプラス度数を追加している。追加方法としては旧型レンズのレンズ面でのレンズメータの測定値と同等になるような平均度数(S+C/2)を与えている。
・レンズ径70mm
・レンズ中心部厚み3mm
・素材屈折率1.70
・遠用度数S+0.50D、C+0.50D、AX(軸度)180度→水平方向0.50D、垂直方向1.00D
・近用度数S+3.453D、C+0.494D、AX(軸度)180度→水平方向3.453D、垂直方向3.948D
・加入度2.950
加入度=
主注視線上の近用測定位置における平均度数(S+C/2)
−主注視線上の遠用測定位置における平均度数(S+C/2)
ここでは眼科処方としては加入度3.00が求められているものとする。この時、主注視線上に面アスのない旧型レンズであれば上記遠用度数をベースとして加入度3.00となるような近用度数は次のような値になる。
・近用度数S+3.50D、C+0.50D、AX(軸度)180度→水平方向3.50D、垂直方向4.00D
累進屈折力レンズ1では累進面15側の主注視線上に面アスはないが、補正面16の補正によって裏面側に面アスが発生する。この面アスの発生に伴う度数の低下と実際に装用することによるレンズ効果(実際のレンズと眼との距離(間隔)によって近用部の度数は向上する)とが相殺される。本来処方に忠実であれば累進屈折力レンズ1近用度数は次のような値とされる。
・近用度数S+3.28D、C+0.47D、AX(軸度)180度→水平方向3.28D、垂直方向3.75D
この近用度数に基づけば処方に従った加入度は2.765と計算される。すなわち、実際に装用した状態ではこのようなレンズ自体の加入度2.765にもかかわらずトータルとして加入度3.00が得られているわけである。
しかしながら、上記のように旧型レンズでの見え方と比較してユーザーにとって不満を感じることがある。そのため、本実施の形態1の累進屈折力レンズ1では上記のように補正面側にこの低下分を補うようなプラス度数を追加している。具体的には旧型レンズと同様レンズメータによって上記加入度3.00に近くなるようにS又は/及びCを設定する。
その結果として加入度2.950が得られている。
図5に示すように、製造工程は第1の加工工程とそれに続く第2の加工工程からなる2つの工程から成り立っている。第1の加工工程では主としてレンズ表面に所定の非球面の累進面15を形成することが目的であり、第2の加工工程では主としてレンズ裏面に所定の補正面16を形成することが目的である。
まず第1の加工工程について説明する。
第1の加工工程では図6に示すようないわゆる「セミフィニッシュ」と呼ばれる十分な厚みを有するレンズ前駆体としての材料ブロック10を製造する。材料ブロック10の表面(凸面側)には上記累進面15が形成され、裏面(凹面側)には単純な球面が形成されている。
また、本実施の形態1における累進屈折力レンズ1の累進面15の加入度は1.00〜3.50Dの範囲で0.25D間隔で製造するものとする。つまり11種類の加入度のバリエーションを用意するものとする。これによれば、例えば上記のように5種類のベースカーブに対してそれぞれ11種類の加入度のバリエーションが用意されることとなるため、合計で55種類の材料ブロック10が用意されることとなる。
上記第1の加工工程において得られたベースカーブのそれぞれ異なる材料ブロック10からユーザーに好適のベースカーブの材料ブロック10を選び、裏面に補正面16を形成する。本実施の形態1ではこの段階で図示しないCAM(computer aided manufacturing)装置を使用して切削加工及び研削加工を施す。尚、第2の加工工程においては第1の加工工程によって図2のように左右略対称の累進面15が形成された材料ブロック10を図4に示すように、回転させて下方側を鼻側に変位させて成形するものとする。
ここで、CAM装置は上記図4に示すような収差分布となるように、与えられた収差分布データに基づいて収差分布を鼻側へ集中させるような補正面16を加工する。併せて補正面16には累進面15に設定された主注視線S1上に所定の面アスを発生させるような補正が加味される。
また、CAM装置は遠視・近視・乱視の矯正データに基づいて加工する。すなわち、CAM装置は収差分布データ、遠視・近視・乱視の矯正データを合成したデータに基づいて材料ブロック10の裏面を加工することとなる。このような加工によって本実施の形態1の累進屈折力レンズ1を得ることができる。
(1)上記実施の形態1の累進屈折力レンズ1では補正面16において遠視・近視・乱視の矯正データを補正するようになっており、これらの補正と同時にへそ線とされた累進面側の主注視線S1を透過する透過光に非点収差が生じないように補正面16に面アスが生じるような補正を行うようになっている。これによってレンズ度数に応じた非点収差が極力生じない最適な累進屈折力レンズ1を提供することが可能とされている。
(2)実施の形態1の累進屈折力レンズ1は特に外面累進レンズであって、いわゆる内面累進レンズに比較して歪曲収差が発生しにくく、このようなレンズにおいてレンズ度数に応じて非点収差を抑制するようにしたため、極めて収差の少ないレンズを得ることができる。
(3)累進面側の主注視線S1はへそ線とされているため累進面15がシンプルな面として構成されることとなり光学的に収差の減少に寄与し、面の形成上も複雑化せず精度が出やすい。この効果は特に累進帯で顕著に発揮される。
(4)上記実施の形態1では度数低下分を補うようなプラス度数を平均度数(S+C/2)を用いて補正している。すなわち、パラメータとして乱視分を含んだ計算が可能となっているため、乱視矯正を行っている累進屈折力レンズであっても度数低下分を補う最適な補正が可能となっている。
(5)CAM装置による旋盤加工ではなくモールド21,22によって材料ブロック10の成形と同時に累進面15を形成させることができることとなっている。これによってCAM装置による旋盤加工は裏面の補正面16を加工するだけでよくなる。従って、旋盤加工の手間が大幅に軽減されることとなる。
(6)補正面16の加工は累進面全部を一方の面で加工するという発想の従来の外面累進レンズや内面累進レンズに比べて加工量が極めて少なくてすむ。
これに起因して加工工具(例えば切削刃)の動きが小さく抑えられることとなり、加工精度が向上し、更に加工速度も早くできるため加工時間も短縮化される。また、加工工具の摩耗も従来に比べて抑制される。
(7)補正面16の加工は基準となる球面からわずかに加工するだけであるため、加工後の形状測定の精度が向上する。測定精度は接触式の測定であっても干渉を利用した光学的な測定であってもいずれにも有利である。
(8)補正面16を加工することで耳側と鼻側の収差分布を調整するようにしているため、モールド21,22によって材料ブロック10に累進面15を形成させた段階では左右のレンズを区別して製造する必要はない。従って、材料ブロック10の種類が半分で済み、コストの削減に寄与することとなる。
実施の形態2の累進屈折力レンズ1も実施の形態1と同様な工程で製造される。上記実施の形態1とのレンズ構成の違いは図7に示すように実施の形態1の遠用部領域11付近に調整帯26を設けていることである。
実施の形態2の累進屈折力レンズ1では図7に示すようにレンズ表面(つまり累進面15側)の球面領域Aの上部の扇状に拡開されたフレームに入らない部分が調整帯26とされている。
そして、実施の形態1と同様、本実施の形態2の累進屈折力レンズ1でも表面側の累進面15の主注視線S1はへそ線とされているものの、図8に示すような裏面側に設定される主注視線S2はへそ線とはされていない。すなわち補正面16の形成に伴って裏面側の主注視線S2では面アスが発生するような累進特性が加味されている。但し、調整帯26位置においてはこのような累進特性を加味されていない。つまり、調整帯26における主注視線S2はへそ線のままとされている。
このような調整帯26は面アスの発生によって若干の度数低下が測定上表れてしまうことの実務上の対応のために設定される。
主注視線S1においてレンズメータで測定した場合には面アスの影響で従来のレンズよりも若干加入度が低く測定され、眼鏡店やユーザーが処方との違いに戸惑うケースがあり得る。そのため眼鏡店においてレンズメータで測定を促す位置としてこの調整帯26を指示するようにするわけである。この調整帯26においてレンズメータで測定をすれば面アスの影響による度数の低下が生じていないので心理的に安心できることとなる。尚、この調整帯26は実際にフレーム形状に切削する際には廃棄される部分である。
尚、実施の形態2でも実施の形態1と同様の効果が奏される。
・上記実施の形態1では度数低下分を補うようなプラス度数を平均度数(S+C/2)を用いて補正していたが、その他の補正方法であっても構わない。
・上記実施の形態2では調整帯26は遠用領域の上部位置にかけて設定されていたが、このような表裏の主注視線S1,S2ともへそ線とされている調整帯26は要はユーザーが実際に眼鏡レンズとして使用する使用領域を外れていれば主注視線S1上のどこであっても構わないため、近用領域の下部位置に調整帯26を設定しても構わない。もちろん、遠用領域の上部位置と近用領域の下部位置の両方に設定してもよい。
・上記補正面16において上記以外の累進帯の特性を補正するようにしてもよい。例えば累進帯の長さを調整するようにしてもよい。例えば基準としての累進帯の長さ(例えば13mm)を累進面15で設定し、裏面の補正面16を形成する際に例えば12mmと短く補正したり逆に14mmと長く補正したりする如くである。
・上記各実施の形態ではモールド21,22によって材料ブロック10の成形と同時に表面に累進面15を形成するようにしていたが、累進面15が形成されていない材料ブロック10の表面にCAM装置等で累進面15を加工するようにしてもよい。
・上記各実施の形態においてモールド21,22によって材料ブロック10の表面に累進面15を形成した後に、更にこの累進面15をCAM装置等で加工するようにしてもよい。
その他本発明の趣旨を逸脱しない態様で実施することは自由である。
(1) 前記いずれか一方の面には左右略対称の非点収差分布を持つような前記累進面が形成されていることを特徴とする請求項1〜4に記載の累進屈折力レンズ。
(2) レンズ上方に配置された比較的遠方を見るための第1の領域と、第1の領域よりも下方に配置され同第1の領域よりも大きな屈折力を有する第2の領域と、これら領域の間に配置され屈折力が累進的に変化する累進帯を備えた累進屈折力レンズの製造方法であって、
前記第1の領域、第2の領域及び累進帯からなる所定の累進面をレンズ前駆体のいずれか一方の面側に形成するとともに、同累進面の主注視線上での同主注視線に沿った方向への曲率P1と同主注視線と交差する任意の直線の曲率P2との曲率差ΔPを0又は所定範囲内に収めて面アスを抑制するように設定する第1の加工工程と、
前記主注視線上での面アスを発生させるような補正面を前記レンズ前駆体のいずれか他方の面側に形成する第2の加工工程とを有することを特徴とする累進屈折力レンズの製造方法。
(3) 前記第1の加工工程によって所定の累進面が形成された前記レンズ前駆体は累進面特性の異なる複数種類が用意され、同複数種類のレンズ前駆体から選択された所定のレンズ前駆体に対して前記第2の加工工程による加工が施されることを特徴とする付記2に記載の累進屈折力レンズの製造方法。
(4) 前記レンズ前駆体は左右略対称の非点収差分布を持つように前記累進面が形成されていることを特徴とする付記3に記載の累進屈折力レンズの製造方法。
Claims (4)
- レンズ上方に配置された比較的遠方を見るための第1の領域と、第1の領域よりも下方に配置され同第1の領域よりも大きな屈折力を有する第2の領域と、これら領域の間に配置され屈折力が累進的に変化する累進帯を備え、同第1の領域の遠用フィッティングポイントから同第2の領域の近用フィッティングポイントへと視線を移動させる際に視線が通過する主注視線が設定される累進屈折力レンズにおいて、
前記レンズの物体側あるいは眼球側のいずれか一方の面側には前記第1の領域、第2の領域及び累進帯からなる所定の累進面を形成するとともに、同累進面の主注視線上での同主注視線に沿う方向における同累進面の断面の曲率P1と同主注視線と交差する任意の平面と累進面が交わってできる断面曲線の曲率P2との曲率差ΔPを0又は所定範囲内に収めて面アスを抑制するように設定し、いずれか他方の面側には同他方の面側の主注視線上での面アスを発生させるような補正面を形成することで同他方の面側の主注視線を透過する透過光の非点収差の一部又は全部を抑制させるとともに、同補正面の実際に眼鏡レンズとして使用する使用領域から外れた位置には部分的に同主注視線上での面アスを発生させない調整帯を設けるようにしたことを特徴とする累進屈折力レンズ。 - 処方値と一致する所定の加入度数がレンズ表面での測定値として得られる主注視線上での面アスのない比較対象レンズに対して同比較対象レンズの測定値と同等の加入度を得るため前記累進面又は補正面の少なくとも一方に所定のレンズ度数を追加する補正を施したことを特徴とする請求項1に記載の累進屈折力レンズ。
- 前記いずれか一方の面には左右略対称の非点収差分布を持つような前記累進面が形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の累進屈折力レンズ。
- 前記いずれか一方の面側とは前記レンズの物体側の面であり、いずれか他方の面側とは前記レンズの眼球側の面であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の累進屈折力レンズ。
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