JP4479106B2 - 圧力格納容器 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、原子炉圧力容器を密閉する圧力格納容器に関する。
【0002】
【従来の技術】
原子炉建屋内では、図4に示すように再循環ポンプ、格納容器内空調ユニット、原子炉圧力容器200などを収納する圧力格納容器100は、容器内の気密性が保たれている。圧力格納容器100の気密性の保持は、トップヘッド110と容器本体120とにそれぞれ上フランジ111、下フランジ121を設け、下フランジ121にガスケット取り付け溝122a、122bを設けてガスケットGを取り付けるとともに、上フランジ111、下フランジ121にボルト孔部111a、121aを穿設し、このボルト孔部111a、121aを貫通するボルトBとナットNとによって上フランジ111と下フランジ121を締結することによりなされている(図6)。
【0003】
この圧力格納容器100の気密性は安全上非常に重要であり、原子炉圧力容器200の燃料交換時や圧力格納容器100の定期点検工事時などトップヘッド110を開放するときには(図5)、ガスケットGの交換やガスケットGにグリスを塗布する手入れなどが行われる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このガスケットGは直径が約10mほどもあるリング状であるために、取り外し取り付け作業は8人もの作業者による多大な労力のかかる作業である。また、原子炉圧力容器200の上部には上蓋金属保温架台210が設置されているために、図7に示すように、作業者達が圧力格納容器100の容器本体120の下フランジ121側と上蓋金属保温架台210上とでガスケットGを受け渡ししながら上蓋金属保温架台210上を通過させなければならない。さらに、ガスケットGにグリスを塗布する作業は、放射能レベルの高い原子炉圧力容器200のすぐそばで行わなければならない。つまり、上蓋金属保温架台210上に上がってガスケットGの受け渡しを行うという高所作業の危険を伴うだけでなく、原子炉の周辺という放射線レベルの高い場所で多大な時間をかけて作業を行うことの危険性に加え、さらに、何度も受け渡しをしながらガスケットGを取り付けることによるガスケットGの変形や、ガスケットGが上蓋金属保温架台210に接触することによるガスケットGの傷、ゴミの付着等が懸念され、安全作業上のみならず品質管理上でも問題があった。
【0005】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたもので、ガスケットの取り付け取り外し作業における、作業者の被爆低減等安全性の向上と、作業効率の向上を実現する圧力格納容器を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、請求項1にかかる発明は、ガスケットが配置される容器本体と、ガスケットを挟んで容器本体に装着されるトップヘッドとを有する圧力格納容器において、トップヘッドにおける容器本体との当接面と異なる内面に、ガスケットを一時的に保持するように内方へ突出するガスケットハンガーが設けられることを特徴としている。この発明にかかる圧力格納容器は、トップヘッドにガスケットを保持させる作業をオペレーティングフロアで行い、ガスケットを保持したトップヘッドを容器本体に近接させてからガスケットの取り付け作業を行うことができる。
請求項2にかかる発明は、ガスケットハンガーが上記内面に一体的に固定されていることを特徴としている。
【0007】
請求項にかかる発明は、ガスケットが配置される容器本体と、ガスケットを挟んで容器本体に装着されるトップヘッドとを有する圧力格納容器において、トップヘッドにおける外縁部の、容器本体との当接面と異なる面に一周にわたって設けられているリブに着脱可能な、ガスケットを一時的に保持するガスケットハンガーを備えることを特徴としている。この発明にかかる圧力格納容器は、トップヘッドにガスケットを保持させる作業をオペレーティングフロアで行い、ガスケットを保持したトップヘッドを容器本体に近接させてからガスケットの取り付け作業を行うことができ、さらにガスケットハンガーをトップヘッドに対して着脱可能にすることにより、既存の圧力格納容器にも適用することができる。
請求項4にかかる発明は、ガスケットハンガーがリブに一体的に固定されることを特徴としている。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態について、図を参照して説明する。
図1は、本発明にかかる圧力格納容器100と、この圧力格納容器100内に収納された原子炉圧力容器200であって、容器本体120からトップヘッド110を取り外した状態を示している。
【0009】
原子炉圧力容器200は、その上部に上蓋金属保温架台210が設けられている。この原子炉圧力容器200を収納支持する圧力格納容器100は、図6に示すように、容器本体120とトップヘッド110にそれぞれ下フランジ121と上フランジ111が設けられ、それぞれを鉛直方向に貫通するボルト孔部111a、121aが穿設されているとともに、下フランジ121には、ガスケットGを取り付ける2条のガスケット取り付け溝122a、122bが形成されている。圧力格納容器100の閉鎖時には、シリコンゴムなどによりリング状に形成されたシール材であるガスケットGを、ガスケット取り付け溝122a、122bに配置して、ボルト孔部111a、121aを貫通するボルトBとナットNとによって上フランジ111と下フランジ121とを締結することにより、圧力格納容器100内の気密性を保つことができる(図6)。
【0010】
ガスケットハンガー10は、図2に示すように、2本のガスケットGを保持可能なように2列の樋状に形成され、圧力格納容器100の密閉性に影響を与えないように、耐圧部分を避けて、上フランジ111内周に直接固着されている。
【0011】
次に、ガスケットGの取り付け作業について説明する。まず、上フランジ111と下フランジ121を締結するボルトBおよびナットNを取り外し、圧力格納容器100のトップヘッド110を吊り上げてオペレーティングフロアFに移動させる。
【0012】
オペレーティングフロアFにおいて、ガスケットハンガー10に2本のガスケットGを懸架させる。このガスケットGには、気密性を高めるために予めシリコングリスを塗布しておく。
【0013】
次に、ガスケットハンガー10によってガスケットGを懸架された状態のトップヘッド110を圧力格納容器100の上方に移動させ(図1)、ガスケットハンガー10からガスケットGを順次外して、圧力格納容器100の容器本体120に設けた下フランジ121のガスケット取り付け溝122a、122bに取り付ける。ガスケットGを下フランジ121に取り付けたら、トップヘッド110を下降させて上フランジ111と下フランジ121とを当てつけ、ボルトBとナットNとでトップヘッド110と容器本体120とを締結すれば、圧力格納容器100が密閉される。
【0014】
以上のようにして、ガスケットハンガー10を備えたトップヘッド110を移動させることにより、上蓋金属保温架台210上に作業者が登ることなく、ガスケットGを取り付けることができる。また、この取り付け作業は、ガスケットGがガスケット取り付け溝122a、122bの近傍まで移動されてから行われるので、少人数でも迅速に完了できる。さらに、ガスケットGを一旦ガスケットハンガー10に保持させてから順次ガスケット取り付け溝122a、122bに取り付けるので、ガスケットGに不均一な力を加えたりゴミを付着させたりせずに取り付けることができる。
【0015】
さらに、上記ではガスケットGの取り付け作業について説明したが、ガスケットGを取り外す作業においても、ガスケットハンガー10を用いれば容易に行うことができる。すなわち、トップヘッド110を下フランジ121近傍に吊り上げておき、ガスケット取り付け溝122a、122bから取り外したガスケットGをガスケットハンガー10に懸架させてからトップヘッド110をオペレーティングフロアFに移動させればよい。これにより、従来は放射能レベルの高い下フランジ121の周囲で行われていたグリス塗布等の作業を、放射能レベルの低いオペレーティングフロアFで行うことができる。
【0016】
図3に本発明の別の実施形態を示す。この実施形態は、上フランジ111から抜き去ったボルトBを一時的に保持することができるように、トップヘッド110の上フランジ111外周に沿うリブ112が円周壁状に形成されていることを利用して、このリブ112に対してガスケットハンガー20を着脱自在に構成するものである。
【0017】
ガスケットハンガー20は、図3に示すようにクランプ部材21、ハンガー部材22、固定ネジ23、スペーサ24を備え、トップヘッド110の上フランジ111に形成されたリブ112に装着される。クランプ部材21は、対向する板状部材21aおよび21bと、これらの板状部材21a、21bを接続する接続部材21cとから断面コの字状に形成され、板状部材21aには固定ネジ23と螺合するネジ孔21dが形成されている。ハンガー部材22は2列の樋状に設けられたガスケット保持部22aを有し、このガスケット保持部22aの一端側からは、上方に延びる吊り下げ部材22bが設けられている。吊り下げ部材22bの上部には固定ネジ23が貫通する孔部23aが設けられ、この孔部23aからスペーサ24を介してクランプ部材21のネジ孔21dに固定ネジ23を螺合させることにより、クランプ部材21にハンガー部材22を取り付けることができる。
【0018】
ガスケットGの取り付けは、まず、上フランジ111と下フランジ121を締結するボルトBとナットNとを取り外し、圧力格納容器100のトップヘッド110を吊り上げてオペレーティングフロアFへ移動させる。
【0019】
オペレーティングフロアFにおいて、ガスケットハンガー20をトップヘッド110のリブ112に等間隔で(本実施形態では12個)取り付ける。ガスケットハンガー20は、図3に示すようにトップヘッド110の上フランジ111に設けられたリブ112を挟むように上方からクランプ部材21を差し込み、固定ネジ23を締め込んでリブ112に板状部材21bを押しつけることにより上フランジ111に固定される。このガスケットハンガー20のガスケット保持部22aに、2本のガスケットGを懸架させる。
【0020】
あるいは、ガスケットハンガー20にガスケットGを保持させておいてから、このガスケットハンガー20をトップヘッド110に取り付けてもよい。
【0021】
次に、ガスケットハンガー20によってガスケットGを懸架された状態のトップヘッド110を、圧力格納容器100の上方に移動させ(図1)、ガスケットハンガー20からガスケットGを順次外して、圧力格納容器100の容器本体120に設けた下フランジ121のガスケット取り付け溝122a、122bに取り付ける。ガスケットGを取り付けたら、ガスケットハンガー20をトップヘッド110から取り外し、トップヘッド110を閉じてボルトBとナットNとで容器本体120と締結し、圧力格納容器100を閉鎖すれば、圧力格納容器100が密閉される。
【0022】
以上のようにして、ガスケットハンガー10を装着したトップヘッド110を移動させることにより、上蓋金属保温架台210上に作業者が登ることなく、ガスケットGを取り付けることができる。また、この取り付け作業は、ガスケットGがガスケット取り付け溝122a、122bの近傍まで移動されてから行うので、少人数でも迅速に完了できる。さらに、ガスケットGを一端ガスケットハンガー10に保持させてから順次ガスケット取り付け溝122a、122bに取り付けるので、ガスケットGに不均一な力を加えたりゴミを付着させたりせずに取り付けることができる。
【0023】
さらに、上記ではガスケットGの取り付け作業について説明したが、ガスケットGを取り外す作業においても、ガスケットハンガー20を用いれば容易に行うことができる。すなわち、ガスケットハンガー20を装着したトップヘッド110を下フランジ121近傍に吊り、ガスケット取り付け溝122a、122bから取り外したガスケットGをガスケットハンガー20に懸架させてからトップヘッド110をオペレーティングフロアFに移動させればよい。これにより、従来は放射能レベルの高い下フランジ121の周囲で行われていたグリス塗布等の作業を、放射能レベルの低いオペレーティングフロアFで行うことができる。
【0024】
なお、前期実施形態において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の趣旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。図示のものでは、ガスケットハンガーは板状の部材を折り曲げた形状で設けられているが、棒状の部材等によって形成してもよい。
【0025】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1にかかる圧力格納容器では、トップヘッドにガスケットを保持させる作業をオペレーティングフロアで行い、ガスケットを保持したトップヘッドを容器本体に近接させてからガスケットの取り外し取り付け作業を行うことができるため、容器本体内に構造物があってもこの構造物上に上がるという高所作業をすることなくガスケットを取り外し、取り付けることができるので、安全かつ迅速に作業を行うことができ、さらに作業人員の削減も可能になる。
【0026】
また、ガスケットを一旦ガスケットホルダーに保持させてから容器本体に取り付けるので、ガスケットにゴミが付着しにくく、ガスケットに不均一な力を与えたり、構造物に接触させて傷つけたりせずに容器本体に取り付けることができ、圧力格納容器をより確実に密閉することができる。さらに、ガスケットにグリスを塗布するなどの作業を、放射能レベルの低いオペレーティングフロアで行うことが容易となるので、作業者の被曝量を低減することができる。
【0027】
請求項2にかかる圧力格納容器は、トップヘッドにガスケットを保持させる作業をオペレーティングフロアで行い、ガスケットを保持したトップヘッドを容器本体に近接させてからガスケットの取り付け作業を行うことができるので、容器本体内に構造物があっても、この構造物に上がって作業せずにガスケットを取り外し、取り付けることができるので、安全かつ迅速に作業を行うことができ、さらに作業人員の削減も可能になる。
【0028】
また、ガスケットを一旦ガスケットホルダーに保持させてから容器本体に取り付けるので、ガスケットにゴミが付着しにくく、ガスケットに不均一な力を与えたり、構造物に接触させて傷つけたりせずに容器本体に取り付けることができ、圧力格納容器をより確実に密閉することができる。さらに、ガスケットにグリスを塗布するなどの作業を、放射能レベルの低いオペレーティングフロアで行うことが容易となるので、作業者の被曝量を低減することができる。
【0029】
さらにガスケットハンガーをトップヘッドに対して着脱可能にすることにより、既存の圧力格納容器についても実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明にかかる圧力格納容器を示す図である。
【図2】 ガスケットハンガーを備えたトップヘッドを示す図である。
【図3】 本発明の別の実施形態によるガスケットハンガーを示す図である。
【図4】 原子炉建屋全体を示す図である。
【図5】 圧力格納容器の移動を示す図である。
【図6】 圧力格納容器のトップヘッドと容器本体の密閉状態を示す断面図である。
【図7】 従来の圧力格納容器におけるガスケットの交換作業を示す図である。
【符号の説明】
G ガスケット
10、20 ガスケットハンガー
100 圧力格納容器
110 トップヘッド
112 リブ
120 容器本体
200 原子炉圧力容器

Claims (4)

  1. ガスケットが配置される容器本体と、前記ガスケットを挟んで前記容器本体に装着されるトップヘッドとを有する圧力格納容器において、
    前記トップヘッドにおける前記容器本体との当接面と異なる内面に、前記ガスケットを一時的に保持するように、内方へ突出するガスケットハンガーが設けられることを特徴とする圧力格納容器。
  2. 請求項1に記載の圧力格納容器において、
    前記ガスケットハンガーは、前記内面に一体的に固定されていることを特徴とする圧力格納容器。
  3. ガスケットが配置される容器本体と、前記ガスケットを挟んで前記容器本体に装着されるトップヘッドとを有する圧力格納容器において、
    前記トップヘッドにおける外縁部の、前記容器本体との当接面と異なる面に一周にわたって設けられているリブに着脱可能な、前記ガスケットを一時的に保持するガスケットハンガーを備えることを特徴とする圧力格納容器。
  4. 請求項3に記載の圧力格納容器において、
    前記ガスケットハンガーは、前記リブに一体的に固定されることを特徴とする圧力格納容器。
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