JP4478932B2 - マイクロ混合器 - Google Patents

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Description

本発明は、例えば水と油のような互いに混ざり難い流体であっても効率的に混合し得る小型の流体混合器であるマイクロ混合器(小型の流体混合器)に関する。尚、本願における「混合」の概念には、流体どうしを乳化させることや、マイクロ混合器の中で接触した流体どうしがその結果として化学反応を生じることを含むるものとする。
マイクロマシンニング技術等の微細加工技術を用いて製作されるマイクロ混合器(小型の流体混合器)は、基本的には2種類の液(流体)A,Bを混合して2層の層流(A+B)を形成した後、この層流(A+B)をその層方向に(A+B)/2ずつ2分割し、更にこれらの2分割された2つの層流(A/2+B/2)を混合して4層の層流(A/2+B/2+A/2+B/2)を形成した後、これらの層流をその層方向に更に2分割すると言う処理を多段階に繰り返すことで、上記各液A,Bがなす層(大きさ)を徐々に細分化し、これによって前記各液A,Bの拡散(混合)を進めるように構成される。
しかしながら従来の一般的なマイクロ混合器にあっては、流体(液)を混合・分配する為の流路自体が微細であり、また高度な製作精度が要求されるので、その加工(製造)自体が容易でない。しかも組み付けに正確な位置調整を必要とするので製造コストが高いと言う問題がある。
そこで本出願人は、先に2個の流体導入口と2個の流体導出口とを備えた所定数の混合分配器を設けた複数枚の流路モジュールを準備し、各流路モジュールの1つの混合分配器における2個の流体導出口を次層の流路モジュールにおける2つの混合分配器の各1個の流体導入口にそれぞれ個別に連結して前記複数枚の流路モジュールを順に積層した構造のマイクロ混合器を提唱した(例えば特許文献1を参照)。このような構造のマイクロ混合器によれば、上述の層流による混合を目的とせず、流路内の層流状態を維持するための構成に注意を払う必要がないので、基本的には複数枚の流路モジュールを順に積層して流路を形成するだけで実現することができる。従ってその構造が簡単であり、製作も容易である等の利点がある。
特開2002−346353号公報
しかしながら上述した構成のマイクロ混合器においては、混合分配器の数がそれぞれのモジュール毎に異なるという複雑な構成を採るため、製造工程の管理が煩雑になり量産性が劣るという問題点があった。
本発明はこのような事情を考慮してなされたもので、その目的は、例えば水と油のような互いに混ざり難い流体を混合するに適した簡易な構造のマイクロ混合器を提供することにある。
本発明に係るマイクロ混合器は、複数の混合分配器を順に直列に接続したものであって、前記各混合分配器のそれぞれは、流体を導入するn個(ただし、n>1の整数)の流体導入口と、流体を導出するn個の流体導出口とを有すると共に、各流体導入口からそれぞれ導入された流体を分岐して少なくとも2つの流体導出口へとそれぞれ導く流路を有し、上流側の混合分配器のn個の流体導出口を、隣接する下流側の混合分配器のn個の流体導入口のそれぞれに各別に接続したことを特徴としている。
即ち、本発明は、例えば複数枚の流路モジュールを積層して構成されるマイクロ混合器の各層における混合分配器の数を等しくし、各流路モジュールの混合分配器における2個の流体導出口を、次層の流路モジュールにおける対応する混合分配器の2つの流体導入口にそれぞれ連結してその流路を基本的に1系統化すれば、各層において混合分配される流体の流れが等しくなり、その混合分配作用が一体化されることに着目している。またこのようにして各層の混合分配器がなす流路を1系統化すれば、各流路モジュールの構成を単純化してマイクロ混合器の構成の簡素化を図り、その製作精度も容易に高め得ることに着目している。
そこで上述した目的を達成するべく本発明に係るマイクロ混合器は、好ましくは請求項2に記載するように混合分配器をそれぞれ備えた複数の流路モジュールを順に積層して形成されるものであって、
前記各流路モジュールは、少なくとも一部に平板状部分を備え、この平板状部分に前記混合分配器を形成した構造をそれぞれ有し、
上記各混合分配器のそれぞれは、前記平板状部分の一方の面に開口するn個(ただし、n>1の整数)の流体導入口と、前記平板状部分の他方の面に開口するn個の流体導出口と、これらの流体導入口および流体導出口に接続されて上記n個の流体導入口から流入した流体をそれぞれ分岐して前記n個の流体導出口の少なくとも2つに導く流路を形成した構成体からなり、
前記流体導入口および流体導出口を、前記流路モジュールどうしを積層したとき、一方の流路モジュールのn個の流体導出口が他方の流路モジュールのn個の流体導入口にそれぞれ各別に合致する位置に設けたことを特徴としている。
具体的には、2枚の流路モジュール間の混合分配器を1対1に対応付け、上流側に位置付けられる混合分配器の前記第1および第2の流体導出口に、その下流(次層)に位置付けられる混合分配器の前記第1および第2の流体導入口をそれぞれ連結し、上流側の混合分配器にて2種類の流体A,Bを混合分配して出力される流体(A/2+B/2,A/2+B/2)を、下流側の混合分配器にて再度混合分配するように構成すれば良い。
好ましくは請求項3に記載するように前記混合分配器を、前記流体導入口および流体導出口に囲まれた領域中に、それぞれの流路に流路断面積の狭い部分を形成する流路仕切部を備えたものとして実現することが望ましい。
また請求項4に記載するように前記複数の流路モジュールを、それぞれその外形が同一の正4n角形状を有したものとし、前記各混合分配器を、互いに同一寸法形状を有したものとして前記各流路モジュールの中心にそれぞれ形成し、これらの各混合分配器の前記流体導入口および流体導出口は同一円周上に並ぶ位置に交互に配置するようにしても良い。
更には請求項5に記載するように前記各流路モジュールにおける流路を、前記平板状部分の一方の面に穿たれた凹部として実現し、前記流体導入口を上記凹部の底面と前記平板状部分の他方の面とに通じる貫通孔として形成すると共に、前記流体導出口については、隣接する流路モジュールの流体導入口の位置に合致するように前記凹部の一部に形成されたものとして構成することが望ましい。
或いは請求項6に記載するように前記各流路モジュールにおける流路を、前記平板状部分の一方の面に穿たれた凹部として実現し、前記流体導出口を上記凹部の底面と前記平板状部分の他方の面とに通じる貫通孔として形成すると共に、前記流体導入口を、隣接する流路モジュールの流体導出口の位置に合致するように前記凹部の一部に形成されたものとして構成するようにしても良い。
また請求項7に記載するように前記各流路モジュールを中心孔とこの中心孔を挟んで流体導入口をなす2n個の貫通孔とを備えた第1の平板体と、この第1の平板体に設けられた上記中心孔および2n個の貫通孔を露出させる切り抜き部を備え、前記た第1の平板体に積層されて前記流路を形成する第2の平板体と、前記第1の平板体の前記中心孔に嵌合させて設けられて第2の平板体の切り抜き部に挿通されるシャフトとを備えたものとして構成するようにしても良い。
更には請求項8に記載するように前記各流路モジュールの前記混合分配器を形成した平板状部分の表面をそれぞれ鏡面状態に加工し、積層された複数の流路モジュールにおける上記鏡面加工された表面どうしを互いに密着させることで、漏れのない流路を形成することも有用である。
上述した構成のマイクロ混合器によれば、順に積層される複数枚の流路モジュールにおいて、上流側の混合分配器にて混合分配して出力された流体が、上記混合分配器に1対1に対応付けられた下流側(次層)の混合分配器にて再度混合分配されるだけなので、流体に対する混合分配が安定に行われることになる。特にマイクロ混合器を構成する複数枚の流路モジュールの全てが上述した流路構成単位を構成するようにすれば、各層の混合分配器の順次1列に連なった直列型の流路として形成することができる。この結果、マイクロ混合器に導入された流体は常に全ての混合分配器を通って混合されて外部へ排出されるため、流体に対する混合作用が一定の条件の下で進むこととなるので流体を安定に、しかも均一に混合することが可能となる。
特に請求項2に記載の構成によれば、複数の流路モジュールのそれぞれに同じ形状の混合分配器を形成するだけで良いので、同じ加工手順を繰り返して複数の流路モジュールを製作すれば良いので、その作業効率を向上させることが可能である。
また請求項3に記載するように流路に流路断面積が狭い部分を形成しておけば、これによって流体の流れを調整することができるので、その混合能力を高めることができる。
また請求項4に記載したように同一形状の流路モジュールを複数製作しておけば、その外形を基準にして角度をずらして積層することで所望とする流路を形成することができる。従って多種類の流路モジュールを準備する必要がないので、量産性に優れる等の効果が奏せられる。
また請求項5および6にそれぞれ記載した構成とすれば、流路モジュールの構造の単純化を図り、その製作を容易化することができる。更には請求項7に示した構造とすれば、更に流路モジュールの構造を単純化することができるので、その製造に際しては切削加工、エッチング加工、板金プレス加工、樹脂射出成形加工などの様々な加工法を適用できる可能性が高まると共に、量産性に優れる等の効果が奏せられる。
また請求項8に示す構成として流路モジュールを実現すれば、複数の流路モジュールが鏡面どうしで密着して流路を形成するので、流路モジュールどうしの間に、流体の漏れを防ぐためのシール部材を適用する必要が無く、その積層構造を単純にできる。またシール部材を侵す性質の流体を混合する用途にも用いることが可能となる等の利点がある。
以下、図面を参照して本発明の一実施形態に係るマイクロ混合器について説明する。
図1はこの実施形態に係るマイクロ混合器の全体構成を示す外観斜視図である。以下では説明の便宜上、この外観斜視図の姿勢を基準にして上下方向を表現するが、本発明のマイクロ混合器の使用時の設置姿勢が重力方向に規制されるものではない。
このマイクロ混合器は、全体的には、例えば一辺が略25mmからなる略立方体形状の装置として実現されている。具体的にはこのマイクロ混合器は、5mm程度の肉厚の金属(アルミニウム材やステンレス鋼等)からなる平板状の下部プレート体1および上部プレート体2と、これらの下部プレート体1および上部プレート体2間に積層されて保持された複数枚の流路モジュール3(31,32,…3k;但し、kは自然数)とにより構成される。これらの各流路モジュール3は、例えば1mm程度の厚みを有する一辺25mmの正方形状の平板体により構成される。尚、これらの各流路モジュール3は、複数枚重ねて用いられて所定の流路を形成する部品要素をなすもので、各平板体の両面は十分な表面粗さ(流体の性状によって異なるが、例えばRmax0.2μm以下)および平行度を保つようにそれぞれ鏡面仕上げされている。そしてこれらの流路モジュール3(31,32,…3k)を互いに重ね合わせたとき、その重ね合わせ面にて一体に密着するようになっている。
尚、図中5,6は、上述した如く積層された上記各プレート体1,2、およびk枚の流路モジュール31,32,…3kの四隅をそれぞれ貫通して設けられて、これらの積層体を一体化した4組のボルトおよびナットである。上部および下部プレート体1,2は流路モジュール3に対して十分な厚み(剛性)を有しており、これらのプレート体1,2の間に流路モジュール3(31,32,…3k)が挟み込まれるので、4組のボルトおよびナットで全体を締結するだけであっても、その締結力が均等であれば流路モジュール3(31,32,…3k)どうしの隙間から流体の漏れは生じない。
また前記下部プレート体1の互いに対向する側面には、2種類の液(流体)A,Bをそれぞれ注入する一対の流体注入コネクタ(流体入口)7a,7bが設けられている。また前記上部プレート体2の上面中央部には、上記液(流体)A,Bの混合液を取り出す為の流体取り出しコネクタ(流体出口)8が設けられている。これらのコネクタ7a,7b,8にそれぞれ対応するコネクタが各配管の先端に設けられており、配管の着脱を容易にしている(図示せず)。また前記各プレート体1,2、および流路モジュール31,32,…3kの各一辺部には、これらを位置合わせして積層する為の三角形状の切り込み(位置合わせ指標)がそれぞれ設けられている。これらの切り込みはプレート体1,2、および流路モジュール3の予め設定された一辺の中央から偏った位置に設けられているので、プレート体1,2と複数枚の流路モジュール3を重ね合わせたとき、上記切り込みの重なり具合から流路モジュール3の裏返しと位置ずれとを容易に判別することができる。
さて前記下部プレート体1は、例えば図2(a)に平面図を示すように前述した流体注入コネクタ7a,7bが装着される孔径2mm、深さ5mmの一対の横穴1a,1bと、これらの横穴1a,1bの底部(奥部)から該下部プレート体1の上面に向けてそれぞれ穿たれた縦穴1c,1dと、これらの縦穴1c,1dの開口部から下部プレート体1の上面中心に向けて穿たれた幅2mm,深さ2mmの一対のチャネル溝1e,1fとを備える。これらのチャネル溝1e,1fは、最下位置に位置付けられる前記流路モジュール31に設けられた後述する混合分配器の一対の流体導入口に対峙する位置までそれぞれ延ばされており、その端部は下部プレート体1の中心位置において幅0.2mm程度の隔壁1gにより区画されている。
下部プレート体1に設けられた上記横穴1a,1b、縦穴1c,1dおよびチャネル溝1e,1fは、前記流体注入コネクタ7a,7bからそれぞれ注入された液(流体)A,Bを、最下位置に設けられる最上流の流路モジュール31にそれぞれ導く役割を担う。また上部プレート体2は、例えば図2(b)に平面図を示すように前述した流体取り出しコネクタ8が装着される孔径2mm、深さ3mmの縦穴2aと、この縦穴2aに連通して上部プレート体2の下面に開口部を形成したチャネル孔2bとを同軸に備える。このチャネル孔2bは、最上位置に位置付けられる最下流の流路モジュール3kに設けられた後述する混合分配器の一対の流体導出口に連結されて、上記流路モジュール3nから出力される混合液を流体取り出しコネクタ8に導く役割を担う。
さて上述した下部プレート体1と上部プレート体2との間に、積層して挟み込まれる複数枚の各流路モジュール3(31,32,…3k)は、例えば図2(c)(d)にそれぞれ示すように、1mm程度の厚みを有する平板体の中央部に、その表裏方向に所定の流路を形成した混合分配器30を設けたものである。特にこれらの流路モジュール31,32,…3kは、図2(c)に示すように後述する一対の流体導入口を、前述した三角形状の切り込み(位置合わせ指標)を形成した辺と平行に配列した第1の流路モジュール3xと、図2(d)に示すように一対の流体導入口を、上記切り込み(位置合わせ指標)を形成した辺と直角に配列した第2の流路モジュール3yとからなる2種類の流路モジュールとして実現される。即ち、三角形状の切り込みの位置が異なる以外は、流路モジュール3x,3yとは同一の形状を有している。
これらの各流路モジュール3(31,32,…3k)がそれぞれ備える混合分配器30は、例えば図3および図4にその概略構成を拡大して示すように構成される。即ち、各混合分配機30は、基本的には流路モジュール3(3x,3y)の主体をなす平板体31を貫通して設けた、例えば直径0.4mmの貫通孔からなる第1および第2の流体導入口32a,32bと、上記流路モジュール3における下流面(上面)側を開放して設けた第1および第2の流体導出口33a,33bとを備え、その上面側に穿たれた深さ0.4mmの溝からなる流路(チャネル)34を介して上記各流体導入口32a,32bと流体導出口33a,33bとを相互に連結した構造を有する。
尚、上記流体導出口33a,33bおよび流路34は、全体的にはその上端が開放された1つの溝として形成されている。そしてこの溝は、その上面に下層側となる別の流路モジュール3が重ね合わせられとき、開放された上端側が上記下層側の流路モジュール3の下面により塞さがれることで所定の流路断面積の流路34を形成する。またこの溝の端部は、上記別の流路モジュール3の流体導入口32a,32bが重ね合わせられることで、その上部が開放された流体導出口33a,33bとして機能する。
特にこの混合分配器30においては、前記流路34の中央に位置付けられて該流路34における流体通流方向を定める島状の仕切部35が設けられている。そして上述した2個の流体導入口32a,32bおよび2個の流出口(溝の端部)33a,33bは、上記仕切部14を挟んで互いに直交する方向にそれぞれ対称に配置されている。換言すれば上記流路仕切部35は第1および第2の流体導入口32a,32bの間の連通を阻止し、且つ前記第1および第2の流体導出口33a,33bの間の直接的な連通を阻止して流路34を仕切っている。そしてこの仕切部35を間にして仕切られた流路34は、途中でその流路断面積を一旦狭めつつ前記第1および第2の流体導入口32a,32bと前記第1および第2の流体導出口33a,33bとの間をそれぞれ連通させるものとなっている。
尚、ここでは上記流路仕切部35は円柱形状をなしているが、これに限らず角柱形状や錐形状とすることもできる。また上記混合分配器30については、微小なドリルやミルを用いた切削加工によって形成可能であるが、更に微小な寸法のものを形成する場合にはエッチング加工を用いることでも実現可能である。
混合分配器30においては、上述した仕切部35を中心部に設けて4方向に仕切られた流路34により、前記第1および第2の流体導入口32a,32bからそれぞれ流入した流体が前記第1および第2の流体導出口33a,33bに向けてそれぞれ分岐され、分岐した前記各流体は互いに混合されて前記第1および第2の流体導出口33a,33bにそれぞれ導かれる。具体的には、2つの流体導入口32a,32bからそれぞれ導入された流体A,Bは仕切部35により2方向に分流され、これらの分流された各流体は流路34を介して2層の層流(A/2+B/2)にそれぞれまとめられて各流体導出口33a,33bにそれぞれ導かれる。従って2つの流体導入口32a,32baからそれぞれ導入された流体A,Bは、2つの流体導出口33a,33bから混合分配された流体(A/2+B/2)としてそれぞれ出力されることになる。
尚、前記第1および第2の流体導入口32a,32b、前記第1および第2の流体導出口33a,33bは、図3にその平面配置を示すように前記仕切部35を中心とする同一円周上に配置されている。そして前述したように第1および第2の流路モジュール3x,3yにそれぞれ設けられた混合分配器30は、その流体導入口32a,32bと流体導出口33a,33bの配置方向を互いに90°異ならせて設けたものとなっている。即ち、流体導入口32a,32bと流体導出口33a,33bとは互いに同軸にならないように配置されている。これ故、これらの第1および第2の流路モジュール3x,3yを順次交互に重ね合わせるだけで、その向きが90°異なる混合分配器30が順次1対1に結合される。具体的には図4に示すように上流側の流路モジュール3x(3y)における混合分配器30の流体導出口33a,33bに対して、この混合分配器30に1対1に対応する下流側の流路モジュール3y(3x)における混合分配器30の体流入口32a,32bがそれぞれ連結されることになる。
そしてこの実施形態に係るマイクロ混合器は、上述した第1および第2の流路モジュール3x,3yを交互に重ね合わせた複数枚の流路モジュール31,32,…3kを前述したプレート体1,2の間に挟み込み、最下層(最上流側)の流路モジュール31の流体導入口32a,32bを前記流体注入コネクタ7a,7bにそれぞれ連結すると共に、最上層(最下流側)の流路モジュール3kの流体導出口33a,33bを前記流体取り出しコネクタ8に連結し、この状態で前述したボルトおよびナットを用いて積層一体化することで組み立てられる。当然のことながら、流路モジュール3(31,32,…3k)の重ね合わせ枚数や混合分配器30の寸法形状は、原料となる流体および得られる混合物の性状に合わせて適宜変更されるべきものである。
かくして上述したように構成されるマイクロ混合器によれば、複数枚(k枚)の流路モジュール31,32,…3kを積層することにより、各流路モジュール31,32,…3k(3x,3y)にそれぞれ設けられた混合分配器30が順次1対1に連結され、これらの混合分配器30を1列に連ねた流路が形成されることになる。そして一対の流体注入コネクタ7a,7bからそれぞれ導入された流体A,Bは、最上流(最下層)の流路モジュール31の混合分配器30に導かれて分配混合され、これらの分配混合された混合液(A/2+B/2,A/2+B/2)は更に次層の流路モジュール32の混合分配器30に導かれて分配混合され、このような分配混合が最下流(最上層)の流路モジュール3kまで順次繰り返されることになる。
特にこのマイクロ混合器は、前述した特許文献1に開示したマイクロ混合器に比較して、複数枚の流路モジュール31,32,…3kにそれぞれ設けた混合分配器30を1対1に対応付けながら順次連結して行くだけなので、その構成が簡単であり、組立性にも優れている。しかも前述したように流体導入口32a,32bおよび流体導出口33a,33bの配置方向を互いに90°異ならせた2種類の流路モジュール3x,3yをそれぞれ複数枚準備し、これらの流路モジュール3x,3yを交互に重ね合わせるだけで良いので、その構成の大幅な簡素化を図ることができる。更には流路モジュール3x,3yの積層枚数を変えてその全体的な流路長、ひいては混合分配の処理段数を変更することも容易なので、処理目的に応じた仕様のマイクロ混合器を容易に実現することができる等の効果が奏せられる。またマイクロ混合器内部にて各混合分配器30が直列に接続されて一系統を成しているので、その一系統へ導入された流体は、外部へ排出されるまでに全ての混合分配器を通ることになり流体に対して常に同一の混合作用がなされるので、マイクロ混合器内部にて各混合分配器が並列に接続されているものに比べて、流体を安定的に均一に混合することが可能である。
尚、本発明は上述した実施形態に限定されるものではない。ここでは全体的に1系統の流路を形成したマイクロ混合器を例に説明したが、前述した流路モジュール3x,3yを1枚ずつ積層して構成される2つの混合分配器30を1つの流路構成単位として用いるようにすれば、その流路構成は特に限定されない。具体的には流路モジュール3x,3yを1枚ずつ積層して構成される少なくとも1つの流路構成単位を含むように流路を形成してマイクロ混合器を構成することも可能である。例えば数段階に亘って上記流路構成単位により流体を分配混合した後、その混合液を分岐して加熱等のプロセス処理を加えた後、再度、その混合液を混合して出力するように構成することも可能である。
また前述した流路モジュール31,32,…3kについては、例えばアルミニウム(Al)材やステンレス鋼等の肉厚の金属を用いて構成することが望ましいが、処理対象とする流体の種類によってはPP(ポリプロピレン)等の合成樹脂材を用いて上記流路モジュール31,32,…3kをそれぞれ射出成形して製作することも可能である。この場合、その熱収縮性を考慮して混合分配器30の寸法精度に起因する作用(特性)が損なわれないようにすべきことは言うまでもない。このようにして流路モジュール31,32,…3kを合成樹脂材にて製作すれば、その製作コストを大幅に低減することができるので、いわゆるディスポーザブル化による使い捨てが容易となるので、種々の流体を試行的に混合する場合に好適である等の効果が奏せられる。
また金属板を用いて流路モジュール31,32,…3kを構成する場合であっても、例えばプレスによる打ち抜き加工だけで安価に製作することが可能である。この場合には、例えば第5図に示すように中心孔41とこの中心孔41を挟んで前記第1および第2の流体導入口32a,32bをなす2つの貫通孔42a,42bとを備えた第1の平板体43と、この第1の平板体43に設けられた上記中心孔41および2つの貫通孔42a,42bとを一括して露出させる切り抜き部44を備え、前記第1の平板体43に積層されて前述した流路34を形成する第2の平板体45とを準備する。そしてこれらの第1および第2の平板体43,45を図6に示すように重ね合わせ、前記前記中心孔41にシャフト46を嵌合し、このシャフト46を前記切り抜き部44の中心部に位置付けられて前記流路34を仕切る仕切部35として機能させるようにすれば良い。
このようにして第1および第2の平板体43,45を重ね合わせて切り抜き部44の一面側を貫通孔42a,42bの形成部位を除いて閉じ、前記中心孔41にシャフト46を嵌合すれば該シャフト46が切り抜き部44に突出する仕切部35として機能するので、前述した図4に示した構造と同様な分配混合ユニット30を実現することができる。特にこのような2枚の平板体43,45を用いて分配混合ユニット30を実現する場合には長尺のシャフト46を準備し、このシャフト46に対して前述した2枚の平板体43,45を交互に重ねながら、第1の平板体43の向きを順次90°ずつ異ならせていくだけで前述した流路を形成するマイクロ混合器を容易に構築することが可能となる。尚、上記の切り抜き部44は四弁の花形状を呈しているが、これに限らず単なる円形状にすることもできる。その場合、シャフト46の断面形状を、円形ではなく周方向に凹凸の或る異形状とすることによって流路の断面積に変化をもたせることができる。
特に上述した構造の第1および第2の平板体43,45を、例えばプレスによる打ち抜き加工により製作すれば、その製作コストを十分に下げることができるので、マイクロ混合器を安価に提供することが可能となる。この場合、第1および第2の平板体43,45を、前述した実施形態に示した平板体31の半分の厚みとしておけば十分である。但し、プレス加工するに際しては、いわゆるファインブランキング処理により、そのエッジにバリが生じないようにし、且つ打ち抜き寸法精度を十分に確保することが重要である。
また前述した流路モジュール31,32,…3kについては、流体に対する耐薬品性を考慮して金(Au)やセラミック等を用いて実現することも可能である。また水と油だけを混合するような場合には、これらの水や油によってパッキング材が腐食することがないので、流路モジュール31,32,…3kの両面を鏡面仕上げすることに代えて(即ち、通常の面粗度のままで)ゴム製のパッキング材を介在させながら積層することも可能である。また流体導入口32a,32bおよび流体導出口33a,33bの径、流路34の流路断面積等は、処理対象とする流体の性質(性状)等に応じたものとして設定すれば良いものであり、例えば上記流体導入口32a,32bおよび流体導出口33a,33bの径を0.1mmとして設定することも可能である。
更には混合分配器30における流体導入口および流体導出口の数については、それぞれが2個ずつある場合を上述したが、これに限るものではない。例えば図7に示すように流体導入口および流体導出口をそれぞれ3個ずつ有する実施形態、或いは図8に示すように流体導入口および流体導出口をそれぞれ4個ずつ有する実施形態も考えられる。即ち、混合分配器30において流体導入口の数と流体導出口の数とが一致していさえすれば良い。
またここでは流路モジュールの中央に1個の混合分配器を形成したものを例に説明したが、各流路モジュールのそれぞれに複数の混合分配器を形成しても良い。その他、本発明はその要旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
本発明の一実施形態に係るマイクロ混合器の全体形状を示す外観斜視図。 図1に示すマイクロ混合器を構築するプレート体および流路モジュールの各平面構成を示す図。 流路モジュールに設けられる混合分配器の平面構成を示す図。 流路モジュールに設けられる混合分配器の構成と、積み重ねられた混合分配器が形成する流路を説明するための斜視図。 流路モジュールの別の実施形態を示す図。 図5に示す流路モジュールの組立形態を示す図。 混合分配器の別の実施形態を示す図。 混合分配器の更に別の実施形態を示す図。
符号の説明
1 下部プレート体
1a,1b 横穴
1c,1d 縦穴
1e,1f チャネル溝
1g 隔壁
2 上部プレート体
2a 縦穴
2b チャネル孔
3,31,32,…3k 流路モジュール
3x,3y 流路モジュール
5 ボルト
6 ナット
7a,7b 流体注入コネクタ
8 流体取り出しコネクタ
30 混合分配器
31 平板体
32a,32b 流体導入口
33a,33b 流体導出口
34 流路
35 仕切体
41 中心孔
42a,42b 貫通孔
43 平板体
44 切り抜き部
45 平板体
46 シャフト

Claims (8)

  1. 複数の混合分配器を順に直列に接続して構成されるマイクロ混合器であって
    前記各混合分配器のそれぞれは、流体を導入するn個(ただし、n>1の整数)の流体導入口と、流体を導出するn個の流体導出口とを有すると共に、
    流体導入口からそれぞれ導入された流体を分岐して少なくとも2つの流体導出口へとそれぞれ導く流路を有し、
    上流側の混合分配器のn個の流体導出口を、隣接する下流側の混合分配器のn個の流体導入口のそれぞれに各別に接続したことを特徴とするマイクロ混合器
  2. 混合分配器をそれぞれ備えた複数の流路モジュールを順に積層して形成されるマイクロ混合器であって、
    前記各流路モジュールは、少なくとも一部に平板状部分を備え、この平板状部分に前記混合分配器を形成した構造をそれぞれ有し、
    上記各混合分配器のそれぞれは、前記平板状部分の一方の面に開口するn個(ただし、n>1の整数)の流体導入口と、前記平板状部分の他方の面に開口するn個の流体導出口と、これらの流体導入口および流体導出口に接続されて上記n個の流体導入口から流入した流体をそれぞれ分岐して前記n個の流体導出口の少なくとも2つに導く流路を形成した構成体からなり、
    前記流体導入口および流体導出口は、前記流路モジュールどうしを積層したとき、一方の流路モジュールのn個の流体導出口が他方の流路モジュールのn個の流体導入口にそれぞれ各別に合致する位置に設けられることを特徴とするマイクロ混合器。
  3. 前記各混合分配器は、前記流体導入口および流体導出口に囲まれた領域中に、それぞれの流路に流路断面積の狭い部分を形成する流路仕切部を備えたものである請求項2に記載のマイクロ混合器。
  4. 前記複数の流路モジュールは、それぞれその外形が同一の正4n角形状を有し、
    前記各混合分配器は互いに同一寸法形状を有して前記各流路モジュールの中心にそれぞれ形成され、これらの各混合分配器の前記流体導入口および流体導出口は同一円周上に並ぶ位置に交互に配置されている請求項2または3に記載のマイクロ混合器。
  5. 前記各流路モジュールにおける流路は、前記平板状部分の一方の面に穿たれた凹部からなり、
    前記流体導入口は、上記凹部の底面と前記平板状部分の他方の面とに通じる貫通孔として形成され、更に前記流体導出口は、隣接する流路モジュールの流体導入口の位置に合致するように前記凹部の一部に形成されたものである請求項2〜4のいずれかに記載のマイクロ混合器。
  6. 前記各流路モジュールにおける流路は、前記平板状部分の一方の面に穿たれた凹部からなり、
    前記流体導出口は、上記凹部の底面と前記平板状部分の他方の面とに通じる貫通孔として形成され、更に前記流体導入口は、隣接する流路モジュールの流体導出口の位置に合致するように前記凹部の一部に形成されたものである請求項2〜4のいずれかに記載のマイクロ混合器。
  7. 前記各流路モジュールは、
    中心孔とこの中心孔を挟んで流体導入口をなすn個の貫通孔とを備えた第1の平板体と、
    この第1の平板体に設けられた上記中心孔およびn個の貫通孔を露出させる切り抜き部を備え、前記第1の平板体に積層されて前記流路を形成する第2の平板体と、
    前記第1の平板体の前記中心孔に嵌合させて設けられて第2の平板体の切り抜き部に挿通されるシャフトと
    を備えて構成される請求項2〜4のいずれかに記載のマイクロ混合器。
  8. 前記各流路モジュールの前記混合分配器を形成した平板状部分の表面は鏡面状態に加工されており、積層された複数の流路モジュールにおける上記鏡面加工された表面は、互いに密着して流路を形成するものである請求項2〜4のいずれかに記載のマイクロ混合器。
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