JP4477923B2 - 無細胞タンパク質合成用抽出液の製造方法及びその方法により製造される細胞抽出液 - Google Patents

無細胞タンパク質合成用抽出液の製造方法及びその方法により製造される細胞抽出液 Download PDF

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Description

本発明は、無細胞タンパク質合成用抽出液の製造方法に関し、詳しくは、抑制された生育条件において培養した定常期の細胞から調製することにより、高いタンパク質合成能を維持しながら生産性の向上した無細胞タンパク質合成用抽出液の製造方法、並びに当該方法により製造される無細胞タンパク質合成用抽出液及びキットに関する。
また、本発明は、上記方法により製造された大腸菌抽出液と、タンパク質をコードする直鎖状鋳型DNAとを含む無細胞タンパク質合成系を用いるタンパク質の製造方法に関する。
細胞抽出液を用いる無細胞系タンパク質合成システムは、主に遺伝子産物の同定や、その働きを調べるために用いられている。例えば、合成されたタンパク質の酵素活性やDNA結合能等の機能を調べたり、放射性同位元素で標識して翻訳産物の分子量を決定することができる。また、近年その合成量が飛躍的に増大する技術(例えば、特許文献1及び2参照。)が開発されたことから、X線結晶構造解析やNMR等によるタンパク質の構造解析等へも利用されるようになってきた。
翻訳反応を行わせる抽出液は、大腸菌由来のもの、コムギ胚芽由来のもの、ウサギ網状赤血球由来のものが市販されている。大腸菌の抽出液では、転写、翻訳の共役反応によりDNAからタンパク質を合成できることが知られ、例えば、ズベイらによって大腸菌のS30抽出液を用いる方法が系統的に開発されている(例えば、非特許文献1参照)。S30抽出液には、mRNAの翻訳に必要なリボソーム、アミノアシルtRNA合成酵素、ポリペプチド鎖開始因子(IF)、同伸長因子(EF)及び同終結因子が含まれている。合成タンパク質の鋳型としてDNAを用いる場合は、強力なプロモーター(一般的にはT7プロモーター)の下流に目的タンパク質遺伝子を配置したDNAが用いられ、転写と翻訳の両反応を共役させるために、系内にT7RNAポリメラーゼとリボヌクレオチドを添加する。アミノアシルtRNAの合成、及びmRNAの翻訳反応にはATP及びGTPが必要であることから、これらを再生系(クレアチンキナーゼ−クレアチンリン酸系等)とともにエネルギー源として無細胞系に加える。このような構成成分により、細胞内で起こるタンパク質合成反応を試験管内で再構成している。
このような大腸菌S30抽出液の調製は、大腸菌を適当な培地で増殖させ、得られた菌体を破砕して細胞破砕液を30,000xgの遠心分離にかけることにより所定の上澄みから得ることができる。一般的にこのときの大腸菌の培養温度は37℃で、タンパク質合成活性の高い対数増殖期の中期から後期の細胞を集めて用いられる(例えば、特許文献3参照。)。対数増殖期の細胞を用いる理由は、大腸菌が対数増殖期から定常期へと移行するにつれてS30抽出液の合成活性が著しく低下するためである。
しかし、対数増殖期の大腸菌の単位培地当たりの菌体数は、定常期の菌体数と比較すると少ないためにこれを用いて調製された抽出液の回収量が少ないという問題がある。また、大腸菌の生育速度は至適増殖条件下においては約20分と極めて速いため、細胞を回収する時期が遅れると細胞が増殖しすぎてS30抽出液のタンパク質合成活性が低下するという問題点もある。
近年、ウサギ網状赤血球や小麦胚芽等の真核細胞を用いた転写、翻訳共役反応系も開発されているが、このような真核細胞では発生の初期段階のような分化の特定時期の細胞のみを用いなければならない。また、従来の細胞抽出液においては、抽出液の製造工程や、タンパク質合成反応中に、混入している一群の核酸分解酵素、翻訳阻害タンパク質因子、タンパク質分解酵素等の作用によって、mRNAやリボソームが分解され、転写又は翻訳反応系の失活や不活性化が生じることも問題である。
また、近年のポストゲノム研究において多種類のタンパク質の構造と機能を網羅的に解析することが行われるようになり、タンパク質の生産性の向上や作業の効率化は必須の課題となってきた。
特公平7−110236号公報 特開平4−200390号公報 ジェフリー・ズベイ(Geoffrey Zubay)、「アニュアル・レビュー・オブ・ジェネティクス(Annual Review of Genetics)」1973年、第7巻、p.267−287 国際公開第01/83805号パンフレット
そこで、本発明は、タンパク質の生産性の向上や作業の効率化を可能とするような無細胞タンパク質合成用の抽出液の製造方法を提供することを課題とする。特に、抽出液の調製に用いる細胞の培養条件を調節することによって、タンパク質の合成反応をより効率的に行うことを目的とする。
上記課題を解決するために本発明者等は、種々の生育条件において培養した大腸菌から得られた抽出液のタンパク質合成活性について検討したところ、一般的に大腸菌の至適増殖条件といわれる37℃より低温で培養することにより、定常期の大腸菌を用いた場合にも対数増殖期に比べて抽出液中のリボソーム量が低下することなく、且つ安定したタンパク質合成活性を有する大量の細胞抽出液が得られることを見出して本発明を完成した。
すなわち、本発明の第1の視点において、抑制された生育条件において細胞を培養し、前記培養の定常期における細胞を回収し、前記回収された細胞を破砕することを特徴とする無細胞タンパク質合成用抽出液の製造方法が提供される。前記細胞は細菌細胞、特に、大腸菌細胞であることが好ましい。また、前記抑制された生育条件は、20〜32℃の培養温度であることが好ましく、さらに好ましくは、26℃以上30℃未満である。
本発明の1つの実施形態として、抑制された生育条件において大腸菌を培養する工程、前記培養された大腸菌の定常期における細胞を回収する工程、及び前記回収された大腸菌細胞のS30抽出液を調製する工程、を含むことを特徴とする無細胞タンパク質合成用抽出液の製造方法が提供される。前記抑制された生育条件は、20〜32℃の培養温度であることが好ましく、さらに好ましくは、26℃以上30℃未満である。
本発明の異なる視点において、抑制された生育条件において大腸菌を培養する工程、前記培養された大腸菌の定常期における細胞を回収する工程、及び前記回収された大腸菌細胞のS30抽出液を調製する工程を含む方法により製造される大腸菌の細胞抽出液が提供される。前記抽出液は、改善された安定性を有するリボソームを含むことを特徴とする。また、前記抽出液は単位リボソーム量当たりのタンパク質合成活性が向上したリボソームを含むことを特徴とする。
本発明のなお異なる視点において、本発明の上記方法により製造された大腸菌抽出液と、タンパク質をコードする直鎖状鋳型DNAとを含む無細胞タンパク質合成系を用いることを特徴とするタンパク質の製造方法が提供される。当該無細胞タンパク質合成系は透析
系であることが好ましい。
さらに、本発明の異なる実施形態において、上記大腸菌の細胞抽出液を含む無細胞タンパク質合成用キットが提供される。当該キットは直鎖状DNAを鋳型とするタンパク質合成反応に用いることが好ましい。
本発明の方法において、無細胞タンパク質合成系とは、タンパク質の翻訳に必要なタンパク質因子を細胞抽出液として取り出し、試験管内でこの反応を再構成することで目的とするタンパク質を合成させる系である。さまざまな生物種に由来する抽出液を利用して無細胞系を構成することができ、例えば、大腸菌や好熱性細菌等の細菌、小麦胚芽、ウサギ網状赤血球、マウスL−細胞、エールリッヒ腹水癌細胞、HeLa細胞、CHO細胞及び出芽酵母等の、高いタンパク質合成活性の状態の真核細胞、及び原核細胞の抽出液を用いることができる(Clemens, M.J., Transcription and Translation - A Practical Approach, (1984), pp. 231-270, Henes, B.D. et al. eds., IRL Press, Oxford)。従って、本発明の方法の1つの特徴としては、これらの真核細胞及び原核細胞を、抑制された生育条件において培養することにある。
本明細書において、「抑制された生育条件」とは、細胞の生育可能な環境条件において、最適生育条件でないことをいう。細胞は、新しい環境におかれたとき、その環境が細胞にとって適したものであれば代謝(分解)と合成の活動を伴いながら生育する。細菌では一般に分裂によって倍々に仲間を増やし、酵母は主に出芽、カビは菌糸の伸長によって増える。動物細胞は、生体内では骨髄細胞や肝臓細胞等のように一部の細胞のみが分裂によって増殖するが、生体内では分裂しない終末分化細胞であってもガン化により分裂を開始し、インビトロの培養器においても培養できる。この場合、細胞はまず準備期に相当する誘導期を経て対数増殖期に入り、指数的に増殖して数を増やす。その後、栄養や酸素の枯渇に伴って、あるいは細胞密度の限界値に至って増殖を停止し、定常期に入る。このような細胞の増殖は、さまざまな環境因子によって左右される。例えば、栄養素、温度、pH、酸素、酸化還元電位、水分活性、及び圧力等である(土戸哲明外「微生物制御」講談社、2002年)。
本発明の方法において、「抑制された生育条件」とは、これらの環境因子の少なくとも1つが最適条件ではないが生育可能な条件であることをいう。例えば、重要なものの1つは温度である。生体内のほとんどの化学反応が酵素によって触媒されるため、細胞の生育に適当な温度は通常常温付近であり、大腸菌や枯草菌等の中温性微生物では最適温度が30〜45℃である。しかし、特に細菌の中には、高温や低温での生育に適応してそれぞれの環境に適した最適生育温度をもつものが生息しており、それぞれ、好熱性細菌、好冷性細菌とよばれる。従って、抑制された生育温度条件としては、最適生育温度から5〜20℃低い温度をいう。例えば、大腸菌の場合、最適生育温度は37℃程度であるから、本発明の方法においては17〜32℃で生育させることが好ましい。17℃より低過ぎると生育が極端に遅くなったり、低温ストレスといった反応が起こるからである。また、32℃より高いと本発明の方法による効果が得られにくいからである。さらに、大腸菌を生育させる場合、増殖速度は遅いものの20℃程度まで温度を下げても大腸菌の増殖が見られることは当業者にとってよく知られていることから、より好ましくは20〜32℃、さらにより好ましくは26℃以上30℃未満である。
通性菌は空気なしでも生きられるし、空気がある条件でも生育する。しかし、空気のある場合にはそれが無いときよりもはるかによく増殖し、通常その増殖率は10倍以上に達する。また、栄養要求の最も簡単な細菌は、ブドウ糖と数種のミネラル塩で生育するが、1種以上のアミノ酸、各種ビタミン、又はペプトン等のタンパク質加水分解物を培地成分に添加することによって増殖速度が著しく速くなることが知られている。従って、それぞれの細胞に最適な増殖培地成分を決定したり、その1種又は数種を除去することにより生育を抑制することは当業者であれば容易に行うことができる。
本発明の方法の他の特徴としては、上記抑制された生育条件における培養の定常期における細胞を回収する。本明細書において、「定常期」とは、細胞の増殖段階において、対数増殖期を経過した細胞の増殖率が低下して、細胞の増殖率と死滅率とが平衡を保つ時期をいう。細胞を新しい容器に植えると、最初は細胞がその条件に適応するのにしばらくの時間が必要で遅滞期 (lag phase)が見られるが、ついで細胞は対数増殖期(log phase又はexponential phase)に入ってどんどん増加し、容器の大きさや培養液の劣化によってやがて細胞の増殖は止まり、定常期(stationary phase)に入る。対数増殖期とは、細菌や細胞の数が対数的に増加していく時期のことをいう。一般的に、対数増殖期の細胞は、定常期の細胞に比べてタンパク質合成活性は高いが菌体濃度が低いために、一定量の菌体を調製するためには定常期の細胞よりも多くの培養液が必要となる。従って、本発明の方法により、定常期の大腸菌細胞を用いてタンパク質合成活性の高いS30抽出液を調製することができれば極めて効率的である。
大腸菌の抽出液としては、ズベイら(前掲)又はプラットら(Pratt, J.M. et al., Transcription and Translation - A Practical Approach, (1984), pp. 179-209, Henes, B.D. et al. eds., IRL Press, Oxford)に記載された方法により調製されたS30抽出液を用いることができる。大腸菌S30抽出液は、転写及び翻訳に必要な大腸菌の全ての酵素と因子を含んでいる。更に補充的な混合液を添加することができる。具体的な調製方法としては、まず最初に大腸菌を培養し、菌体を遠心分離等により回収する。回収された菌体は、洗浄後、緩衝液に再懸濁し、フレンチプレスやガラスビーズ、ワーリングブレンダー等を用いて破砕する。破砕された大腸菌の不溶物質を遠心分離で除去し、プレインキュベーション混合液と混合してインキュベーションする。この操作によって内在性のDNA、RNAが分解されるが、更に、カルシウム塩やマイクロコッカスのヌクレアーゼ等を添加して内在性の核酸を分解させてもよい。続いて、透析により内在性のアミノ酸、核酸、ヌクレオシド等を除き、適量ずつ分注して液体窒素又は−80℃にて保存する。
真核細胞抽出物としては、ウサギ網状赤血球溶解物及び小麦胚芽抽出物が好ましい。ウサギ網状赤血球溶解物は、ペルハム及びジャクソン(Pelham, H.R.B. and Jachson, R.J. Eur. J. Biochem., 67, 247-256, 1976)によって記載された方法を用いることができる。小麦胚芽抽出液の作製方法としては、例えばロバーツ及びパターソン(Roberts, B.E. and Paterson, B.M. Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 70, 2330-2334, 1973)によって記載された方法を用いることができる。
タンパク質合成反応を行う際には、上記細胞抽出液に転写/翻訳鋳型となるDNA又はRNA、基質となるアミノ酸、エネルギー源、各種イオン、緩衝液、ATP再生系、核酸分解酵素阻害剤、tRNA、還元剤、ポリエチレングリコール、cAMP、葉酸類、抗菌剤、また鋳型としてDNAを用いる場合にはRNA合成の基質、及びRNAポリメラーゼ等を含むことができる。これらは目的タンパク質や、用いるタンパク質合成系の種類によって適宜選択して調製される。例えば、大腸菌のS30抽出液の場合は、Tris−酢酸、DTT、NTPs(ATP,CTP,GTP,及びUTP)、ホスホエノールピルビン酸、ピルビン酸キナーゼ、少なくとも一種のアミノ酸(天然の20種類のアミノ酸の外それらの誘導体を含む。放射性同位元素でタンパク質を標識する場合には標識アミノ酸を除いた残りを添加する。)、ポリエチレングリコール(PEG)、葉酸、cAMP、tRNA、酢酸アンモニウム、酢酸カリウム、グルタミン酸カリウム、及び至適濃度の酢酸マグネシウム等の一部あるいは全部を添加する。これらの補充的な混合液は、通常S30抽出液とは別に保存しておき、使用直前に混合するが、これらをS30抽出液とあらかじめ混合して凍結融解を行い、RNA分解酵素複合体を除去することもできる(国際公開WO0183805号パンフレット参照)。
本発明の方法において、エネルギー再生系としては好ましくは0.02〜5μg/μlのクレアチンキナーゼ(CK)と10〜100mMのクレアチンホスフェート(CP)の組合せや、1〜20mMのホスホエノールピルベート(PEP)と0.01〜1μg/μlのピルビン酸キナーゼ(PK)の組合せ等によるATP再生系が使用可能であるが、これらに限定されない。上記PK及びCKは何れもADPをATPに再生する酵素であり、それぞれPEPおよびCPを基質として必要とする。
これらの細胞抽出液又は補充的な混合液は、使用しやすいように一定量ごと分注して製品として配送することができる。これらの製品は凍結又は乾燥状態で保存することができ、保存及び輸送に適した容器に収容してキットとして販売される。キットには取扱説明書や陽性コントロールDNA、ベクターDNA等を添付することができる。
本発明の方法により製造される大腸菌の細胞抽出液は、改善された安定性を有するリボソームを含む。「改善された安定性」とは、当該抽出液の調製工程、及び無細胞タンパク質合成反応工程のいずれか又は両方において、従来の抽出液よりも安定性が改善されていることをいう。
大腸菌のリボソーム(その沈降速度から70Sといわれる)は大小1個ずつのサブユニットが集合して数百万ダルトンの複合体を作っている。小サブユニット(30S)はmRNAとtRNAの結合をつかさどり、大サブユニット(50S)はペプチド結合の形成を触媒する。この30Sリボソームサブユニットは1分子の16SrRNA(ribosomal RNA)と、21種類の異なったタンパク質(S1〜S21)を含む。50Sサブユニットは、大きな23SrRNAと小さな5SrRNAと、それに結合する34の異なったタンパク質(L1〜L34)を含む。従って、リボソームの安定性は、上記各種のrRNAやリボソームタンパク質が、リボソーム不活化タンパク質、リボヌクレアーゼ、リボヌクレオチドホスホリラーゼ、プロテアーゼ等によって分解又は不活性化されることによると考えられる。本発明の方法により製造された大腸菌抽出液の安定性が改善されている1つの理由は、培養中の細胞内や細胞破砕時の抽出液内でこれらの酵素等による分解が抑止されているためと考えられる。
さらに、本発明の方法により製造される大腸菌の細胞抽出液は、単位リボソーム量当たりのタンパク質合成活性が向上したリボソームを含む。このタンパク質合成活性の向上は、上記リボソームの安定性に起因するか、その他の阻害因子の産生が抑止されたためか、あるいはリボソームの立体構造の変化に基づくと考えられる。
リボソームによるタンパク質の翻訳段階には、タンパク質鎖組立ての開始、延長、終結の各段階で、それぞれ他の因子との相互作用や、とりわけ70Sリボソームを形成する2つのサブユニットの会合によって2つの機能的に重要な部位が形成されることが重要である。1つは伸長しつつあるタンパク質についてのtRNAの結合部位(P部位)、もう1つはつけ加えられるべき次のアミノ酸を運ぶtRNAの部位(A部位)である。従って、本発明の抽出液に含まれるリボソームは、補助因子又はmRNAとの相互作用においてタンパク質合成に適した立体構造を形成している可能性もある。
更に本発明の他の実施形態において、上記方法により製造された大腸菌抽出液と、タンパク質をコードする直鎖状鋳型DNAとを含む無細胞タンパク質合成系を用いるタンパク質の製造方法が提供される。一般に、無細胞タンパク質合成系におけるタンパク質の合成収率に影響を与える因子の一つに、鋳型DNAの安定性が挙げられる。特に、PCR産物や制限酵素切断断片のような直鎖状鋳型DNAを用いる場合に顕著であり、この直鎖状鋳型DNAは、大腸菌抽出液中に存在する内在性のエキソヌクレアーゼによって分解されやすいことが報告されている(Pratt et al., Nucleic Acids Res., 9, 4459-4474, (1981); Benzinger et al., J. Virol., 15, 861-871, (1975); Lorenz and Wackernagel, Microbiol Rev., 58, 563-602, (1994))。
特に、長時間培養した大腸菌細胞には、このようなDNAエキソヌクレアーゼが蓄積される可能性がある。しかしながら、本発明の方法により低温培養された大腸菌の定常期における細胞から調製された抽出液は、直鎖状の鋳型DNAを用いたタンパク質合成に極めて適していることが分かった。
本実施形態においては、このような抑制された生育条件において培養した定常期の大腸菌細胞から抽出液を調製することで直鎖状鋳型DNAを用いた場合のタンパク質の合成収率を著しく向上することができる。本実施形態によるタンパク質の合成方法には、大腸菌のBL21株、BL21codon plus株、A19株のほか種々の菌株を用いることができる。本発明の方法により直鎖状鋳型DNAを用いたタンパク質の合成活性が向上する理由は必ずしも明らかではないが、低温で培養された大腸菌の抽出液中にはDNA分解酵素の存在量が少ないか、或いは、これらの分解酵素によるmRNAの分解を阻害する何らかの因子が働いている可能性がある。
本実施形態の無細胞タンパク質合成系には、バッチ法、フロー法のほか、従来公知の技術(例えば、Spirin, A et al., Methods in Enzymol., 217, 123-142, 1993参照)がいずれも適用可能であるが、特に、透析膜(限外濾過膜)を介して内液と外液とを隔離して含む振とう若しくは攪拌可能な透析法によるタンパク質合成系が好ましい。透析装置としては、例えば、DispoDialyzer(登録商標)(Spectrum社製)、Slidealyzer(登録商標)(Pierce社製)、又はSpectra/Por(登録商標)透析用チューブ(Spectrum社製)等を用いることができる。本出願人により改良された透析法を用いる無細胞タンパク質合成系の詳細は特開2000−175695号公報に開示されており、その内容は参照により本出願に組み込まれる。
本実施形態の方法に用いられる直鎖状鋳型DNAは、適当な発現制御領域と、発現させたい所望のタンパク質をコードする遺伝子配列とを含む二本鎖DNAである。当該タンパク質の発現効率を上げるためには強力なプロモーターやターミネーターを用いて転写を促進すると共に、mRNAとリボソームとの親和性を上げて翻訳効率を高める必要がある。例えば、T7ファージに由来するT7RNAポリメラーゼは極めて強力な転写活性を有し、高いレベルで組換えタンパク質を生成することが知られている。さらにSD配列とも呼ばれるリボソーム結合配列(RBS)を導入することが翻訳効率を上げるために重要である。また、合成されたタンパク質を迅速に精製、若しくは検出するためにはアフィニティー標識(タグ)配列を組み込んだ融合タンパク質が合成できるように鋳型DNAを設計することもできる。このような直鎖状鋳型DNAを効率的に製造するための改善された方法は本出願人により国際公開第03004703号パンフレットに開示されており、その内容も参照により本出願に組み込まれる。
以下に実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
(実施例1)種々の培養温度での大腸菌の培養
大腸菌BL21株(FompThsdS )及びA19株(rnamet)を通常の液体培地を用いて一晩培養し、種培養を行った。これらの種培養液を7l(リットル)の2xYT培地(16g/lのバクトトリプトン、10g/lの酵母エキス、及び5g/lのNaCl)を含むファーメンターに接種し、十分な通気を行いながら400rpmの攪拌速度にて、26℃、30℃、及び37℃のそれぞれの温度で培養を行った。24時間まで経時的にサンプリングを行って試料の濁度(600nmの吸光度)を測定して菌体量を推定した。その結果を図1に示した。図1に示した結果より、培養温度が低くなるにつれて誘導期から対数増殖期後期までの時間は長くなるが、培養開始10〜24時間経過後にはほぼ一定の濁度を示す定常期に達することが分かる。また、図2は図1に示した増殖曲線の濁度を菌体数に換算し、縦軸を対数にしてプロットしたものである。図2に示した結果より、菌体の対数増殖期では右上がりの直線を示し、菌体数が対数的に増殖していることが分かる。また、低温になるにつれて対数増殖期の時間が顕著に長くなっている。
(実施例2)大腸菌抽出液の調製とCATアッセイによるタンパク質合成活性の比較
大腸菌S30抽出液は、Zubayら(前掲)の方法に従って、実施例1で培養したそれぞれの菌株から、対数増殖期後期(OD600=3、菌体数では約10個/mlのとき)、及び定常期(24時間経過後)の細胞を用いて調製した。タンパク質合成反応は下記の表1に示した組成の溶液に、pK7−CAT(CAT発現ベクター;Kim et al.,Eur. J. Biochem. 239, 881-886, 1996参照)を120ng(4ng/μlx30μl)添加し、上記各大腸菌のS30抽出液7.2μlを加えて全量を30μlとした反応溶液中で、37℃、1時間バッチ法により行った。合成されたCATタンパク質の定量はShawらの方法(Methods Enzymol. 735-755, 1975参照)に従った。すなわち、アセチルコエンザイムAとクロラムフェニコールを基質としてCATによるクロラムフェニコールのアセチル化反応を行い、その結果生じた還元型コエンザイムAを5,5’−ジチオビス−2−ニトロ安息香酸(DNTB)を用いて発色定量した。37℃、412nmにおける吸光度の単位時間当たりの増加量よりCATの活性を定量し、これを指標としてCATタンパク質量を決定した。
[表1]無細胞タンパク質合成反応液の組成
Figure 0004477923
S30抽出液の260nmの吸光度を測定して、S30抽出液中1ml当たりの粗リボソーム量を計算した。また、タンパク質合成反応溶液1ml当たりのCAT合成量、および単位リボソーム当たりのCAT合成量=[CAT合成量(μg/ml反応液)x0.03]/[粗リボソーム量(A260/ml抽出液)x0.0072]を計算しそれぞれ以下の表2〜4に示した。
[表2]37℃で培養した大腸菌の抽出液を用いたCAT合成
Figure 0004477923
[表3]30℃で培養した大腸菌の抽出液を用いたCAT合成
Figure 0004477923
[表4]26℃で培養した大腸菌の抽出液を用いたCAT合成
Figure 0004477923
表2〜4に示した結果より、抽出液1ml当たりの粗リボソーム量は、対数増殖期よりも定常期の方が減少するが、37℃よりも低温(例えば、30℃又は26℃)で培養した場合にはその減少率は低下することが分かる。各培養温度における対数増殖期と定常期のCAT合成量を図3に示した。これらの結果より、反応液1ml当たりのCAT合成量は、30〜37℃で培養したときの対数増殖期の細胞から調製した抽出液が最も高かったが、37℃で培養したときの定常期の細胞から調製した抽出液のCAT合成活性は著しく低下した。これに対し、30〜26℃で培養したときの定常期の細胞から調製した抽出液のCAT合成活性は対数増殖期のそれと比較しても大きな活性低下はなく、特に、26℃で培養したときの細胞から調製した抽出液は対数増殖期のそれとほぼ同等のCAT合成活性を示した。従って、単位リボソーム量当たりのCAT合成量としては、表2〜4を比較すると明らかなように、26℃で培養したときの定常期の細胞から調製した抽出液が最も高かった。これらの結果は、低温培養したときの定常期の細胞中では、37℃で培養したときよりもリボソームが安定して存在すると共に、リボソーム自体のタンパク質合成活性も向上していることが推測される。
実施例1において、BL21株を用いて37℃及び26℃で培養したときの回収量として、培養液7lから得られた湿菌体量(g)及びS30抽出液の量(ml)を以下の表5にまとめた。
[表5]
Figure 0004477923
これらの結果より、湿菌体量及びS30抽出液量共に定常期の方が対数増殖期よりも回収量が多いことがわかる。従って、表1〜5に示した結果を併せると、これらの抽出液を用いて合成されるタンパク質の総量は、26℃で培養した定常期の細胞から調製した場合が最も多くなることが分かる。
(実施例3)リボソームの特性評価
実施例1において、37℃及び26℃で培養した大腸菌BL21株から実施例2の方法に従ってS30抽出液を調製し、これらの抽出液を6〜38%のショ糖を含む緩衝液(20mM HEPES,5mM MgCl,100mM NHCl,4.5mM 2−メルカプトエタノール)の上にのせ、ベックマンSW28ロータを用いて17000rpm、17時間超遠心分離を行った後、0.8mlずつのフラクションに分画した。縦軸は260nmの吸光度を測定してリボソームの存在画分を推定した。その結果を図4に示した。
図4において、フラクションNo.30〜32付近のピークは大腸菌の70Sリボソームのピークである。図4に示した結果より、37℃で培養したときの定常期の細胞中では70Sのリボソームが分解されて著しく減少しているのに対し、26℃で培養したときは分解の程度が少なく、定常期の細胞中にも70Sリボソームが安定に残存していることが分かる。
(実施例4)直鎖状鋳型DNAを用いた透析系での無細胞タンパク質合成
次に、CATタンパク質をコードする直鎖状二本鎖DNAを鋳型として、透析系での無細胞タンパク質合成反応によりCATタンパク質の合成を行った。
直鎖状二本鎖DNAは、実施例2で使用したCAT発現ベクターpK7-CATを鋳型とし、5’プライマーM13-45 Fw:5'-CCAGGGTTTTCCCAGTCACGAC-3'(配列番号1)及び3’プライマーM13 Rev:5'-AATTTCACACAGGAAACAGCTATGAC-3'(配列番号2)を用い、通常のPCRにより得た。PCRの反応液組成は以下の表6に示したとおりである。また、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)は、初期変性を94℃で2分間行ったあと、94℃で30秒間、53℃で30秒間、72℃で2分間のサイクルを10回、続いて94℃で30秒間、53℃で30秒間、72℃で(2分+5秒/サイクル)間のサイクルを20回繰り返し、最後に72℃で5分間の伸長反応を1回行った。
[表6]
Figure 0004477923
このようにして調製した直鎖状鋳型DNA、又は環状プラスミドpK7−CATと、実施例1と同様の方法で培養した大腸菌抽出液を用いて透析系での無細胞タンパク質合成を行った。
ここで使用した大腸菌は、BL21codon plus株を用い、実施例1と同様の方法により定常期(培養開始後24時間)まで培養した大腸菌細胞を用いてズベイら(Zubay et al., Annu.Rev.Geneti.,7,267-287,1973)の方法に従ってS30抽出液を調製した。透析法によるタンパク質合成反応は下記の表7に示した組成の反応液を、表8に示した組成の透析外液に対して透析し、30℃で8時間行った。反応スケールは反応液30μl、透析外液300μlとし、直鎖状DNA、又は環状プラスミドをそれぞれ0.5、1、2又は4μg/mlとなるように反応液に添加して行った。
[表7]タンパク質合成反応液組成
Figure 0004477923
[表8]透析外液組成
Figure 0004477923
図5は、26℃、30℃、又は37℃の各温度で定常期まで培養した大腸菌細胞抽出液を用いて、1μg/mlの直鎖状DNA(linear)、又は環状プラスミド(Plasmid)を鋳型とした場合の上記透析系でのCAT合成量を示す。37℃で培養した大腸菌から調製した抽出液はプラスミドDNAを鋳型とした場合には高いCAT合成量を示したが、直鎖状DNAを鋳型とした場合には著しく合成量が低下した。これに対し26℃及び30℃で培養した大腸菌から調製した抽出液ではプラスミドDNA及び直鎖状DNAの何れの鋳型DNAを用いた場合にもほぼ同等のCAT合成量を示した。特に、直鎖状DNAを鋳型とした場合を比較すると明らかに低温培養した定常期の大腸菌抽出液の方がCAT合成活性が優れていることが分かる。
また、図6には鋳型DNAの添加量を変えて同様の実験を行った結果を示した。図6に示した結果より鋳型DNAの添加量は、約1μg/mlの濃度で十分であることが分かる。
本発明の方法により製造された無細胞タンパク質合成用細胞抽出液は、タンパク質合成活性が高く維持されていると共に、従来法よりも大量に得ることができる。また、培養時間のコントロールが容易となり作業効率が向上する。特にPCR産物のような直鎖状DNAを鋳型として用いる場合にその効果が著しい。従って、多種類のタンパク質を発現させて、その構造や機能を網羅的に解析するために極めて有用である。
実施例1において、(a)37℃、(b)30℃及び(c)26℃の各温度で培養した大腸菌BL21株及びA19株の増殖曲線である。 図1で示した各温度における大腸菌の増殖曲線について、縦軸を菌体数に換算し対数プロットしたものである。 37℃、30℃及び26℃の各温度で培養した(a)大腸菌BL21株及び(b)A19株から調製したS30抽出液を用いて合成したCAT合成量を表したグラフである。 26℃及び37℃で培養した大腸菌BL21株の対数増殖期及び定常期の細胞から調製したS30抽出液中をショ糖密度勾配超遠心分離により分画した結果である。 37℃、30℃及び26℃の各温度で培養した大腸菌BL21codon plus株から調製したS30抽出液を用い、プラスミド又は直鎖状DNAを鋳型として添加した無細胞タンパク質合成系(透析系)におけるCAT合成量を表す。 37℃、30℃及び26℃の各温度で培養した大腸菌BL21codon plus株から調製したS30抽出液を用い、種々の濃度のプラスミド又は直鎖状DNAを鋳型として添加した無細胞タンパク質合成系(透析系)におけるCAT合成量を表す。

Claims (8)

  1. 抑制された生育条件として26℃以上30℃以下の培養温度で大腸菌を培養し、前記培養の定常期における細胞を回収し、前記回収された細胞を破砕する無細胞タンパク質合成用抽出液の製造方法において、前記大腸菌は大腸菌BL21株であることを特徴とする無細胞タンパク質合成用抽出液の製造方法。
  2. 抑制された生育条件として26℃以上30℃以下の培養温度で大腸菌を培養する工程、
    前記培養された大腸菌の定常期における細胞を回収する工程、及び
    前記回収された大腸菌細胞からS30抽出液を調製する工程、
    を含む無細胞タンパク質合成用抽出液の製造方法において、
    前記大腸菌は大腸菌BL21株であることを特徴とする無細胞タンパク質合成用抽出液の製造方法。
  3. 請求項に記載の方法により製造されることを特徴とする無細胞タンパク質合成用の大腸菌抽出液。
  4. 位リボソーム量当たりのタンパク質合成活性が向上したリボソームを含むことを特徴とする請求項に記載の大腸菌抽出液。
  5. 請求項に記載の方法により製造された大腸菌抽出液と、タンパク質をコードする直鎖状鋳型DNAとを含む無細胞タンパク質合成系を用いることを特徴とするタンパク質の製造方法。
  6. 前記無細胞タンパク質合成系が透析系である請求項に記載の方法。
  7. 請求項3又は4に記載の大腸菌抽出液を含むことを特徴とする無細胞タンパク質合成用キット。
  8. 前記無細胞タンパク質合成が直鎖状鋳型DNAを用いて行われる請求項に記載のキット。
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