JP4477549B2 - 液圧プレス - Google Patents
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Description
ところが、油圧発生源が大型化すると、それに伴って油圧発生源が発生する騒音は大きくなるし、作動油のメンテナンスやスライド部、油圧発生源のメンテナンス等の作業が大変になるため、油圧プレスのランニングコストが高くなるし、騒音防止対策などの環境対策に多大な費用がかかるという問題があった。
従来例1の油圧プレスは、油圧発生源として、サーボモータとこのサーボモータによってピストンが作動されるサブシリンダを使用したものである。このサブシリンダは、その断面積がスライドを駆動するシリンダ(以下、メインシリンダという)の断面積に比べて小さいものであり、メインシリンダと連通されている。
このため、サーボモータを作動させてサブシリンダからメインシリンダに作動油を供給すれば、メインシリンダを作動させることができる。そして、サブシリンダの断面積はメインシリンダの断面積に比べて小さいので、パスカルの原理により、サーボモータを作動させたときにサブシリンダ内に発生する油圧が小さくても、スライドの加圧力を大きくすることができる。
したがって、油圧発生源をコンパクトにしてもスライドの加圧力を大きくすることができるので、油圧プレスのランニングコストや環境対策費用を安くすることができる。
かといって、サブシリンダのストローク長を長くすれば、メインシリンダ内に供給することができる作業油の量が多くなるからスライドの移動量を大きくできるが、サブシリンダのストローク長を長くすることは結局油圧発生源を大型化することになる。そして、従来例1の油圧プレスでは、ピストンとサーボモータはボールネジ機構によって連結されているから、サブシリンダのストローク長を長くするとボールネジ機構のネジ軸の長さを長くしなければならず、ボールネジ機構の破損や動作不良が発生しやすくなる。
つまり、従来例1の油圧プレスでは、油圧発生源を大型化することなくプレスの加圧力を大きくできても、ストローク長の自由度が高いという液圧プレスの特徴が無くなってしまうという問題が生じる。
第2発明の液圧プレスは、第1発明において、前記メインシリンダと作動流体のタンクとの間に、該タンクから前記メインシリンダ内に向かって作動流体を供給しうるプレフィルバルブが設けられており、前記スライドが遊行降下するときにおいて、作動流体が、前記プレフィルバルブを通って前記メインシリンダに供給されるように構成されていることを特徴とする。
第3発明の液圧プレスは、第1発明において、前記低圧側加圧源が、補機を駆動するための油圧ユニットであることを特徴とする。
第4発明の液圧プレスは、第1発明において、前記作動流体が、難燃性作動油であることを特徴とする。
第2発明によれば、制御流量が大きくなり(数1000L/min)、また、作動速度も速くなり、スライドをスムースかつ高速で遊行降下させることができるから、プレス作業全体の作業時間を短縮できる。
第3発明によれば、低圧側加圧源として、ノックアウト機構等の補機を作動させる油圧ユニットを使用するから、油圧系統を一系統とすることができる。すると、スライド作動専用の油圧ユニットを設ける必要がないから、装置の構成を簡単にすることができる。
第4発明によれば、作動流体が難燃性作動油であるから、油漏れなどが生じても火災が発生する可能性を低くすることができる。
本発明の液圧プレスは、メインシリンダ内に給排される作動流体の圧力により加圧力を発生させるものであって、作動流体を加圧する流体加圧源として、低圧側加圧源と高圧側加圧源とを備え、プレス負荷に応じて両加圧源を切り換えて使用できるように構成されているものである。
図1は本実施形態の液圧プレス1の概略縦説明図である。図2は図1の部分拡大図である。図1において、符号2は、上面に下ダイセットD1が取り付けられている本実施形態の液圧プレス1のベッドを示しており、符号BKOはベッド2に設けられているノックアウト機構を示している。符号3は、前記ベッド2に立設されたフレームを示しており、符号4は、フレーム上に設けられたクラウン4を示している。このクラウン4には、メインシリンダ6が設けられている。このメインシリンダ6は、その内部に下面から凹んだピストン収容空間6aが設けられており、ピストン収容空間6aに連通した加圧室6bが設けられている。この加圧室6bには、加圧ユニット10が連通されている。
マニホールド12内は、ポンプ11によって加圧され所定の圧力、例えば14MPaに保たれた作動流体によって満たされているから、各バルブ13の開けば、所定の圧力の作動流体をプレス各部に供給することができる。したがって、加圧室6bに連通する配管P1に設けられたバルブ13aを開けば、所定の圧力の作動流体を加圧室6bに供給することができるのである。
図1に示すように、ピストン部5bは、前記メインシリンダ6のピストン収容空間6aに、その外周面とメインシリンダ6のピストン収容空間6aの内面との間を液密に保った状態で上下方向移動可能となるように挿入されている。
なお、ピストン収容空間6a内はピストン部5bによって外部から液密に遮断されることになるが、この液密に遮断されたピストン収容空間6aおよびピストン収容空間6aと連通する加圧室6b内は、常に作動流体で満たされた状態に保たれる。
また、配管P4と作動流体のタンクTとの間には、両者を連通する戻り配管P5が設けられており、この戻り配管P5には、配管P4が所定の圧力以上となると、配管P4と作動流体のタンクTとの間を連通させるカウンターバランス用切替バルブ14が設けられている。
上記の加圧ユニット10が特許請求の範囲にいう低圧側加圧源であり、鍛造素材を低圧、具体的には14MPa程度で鍛造素材を加圧成形するのである。
図1に示すように、前記メインシリンダ6には、その加圧室6bに連通する通路6cが設けられている。この通路6c内には、高圧側加圧源20の加圧部材21が液密かつ通路6cに沿って移動可能に挿入されている。この加圧部材21は、通路6cと平行に配設されたネジ軸22が螺合しており、このネジ軸22の一端にはサーボモータ23の主軸が、直接または減速器を介して取り付けられている。
このため、サーボモータ23を駆動すればネジ軸22が回転され、ネジ軸22に沿って加圧部材21が移動する。すると、加圧部材21が加圧室6bに向かって移動し、加圧室6bに挿入されれば、加圧室6bの体積が減少するから、加圧室6bに連通する配管P1に設けられたバルブ13aを閉じた状態としておけば、加圧室6bの体積減少分だけ加圧室6b内における作動流体の圧力、つまり、ピストン収容空間6a内の作動流体の圧力を、加圧ユニット10から供給される作動流体の圧力よりも高くすることができる。よって、メインシリンダ6には、加圧ユニット10から供給される作動流体の圧力よりも高い加圧力を発生させることができるから、より高い加圧力で鍛造素材を加圧成形することができる。
とくに、水・グライコール系作動油等の難燃性作動油は、潤滑性能が低く高圧ポンプでは使用することができないものであるが、本発明の加圧ユニット10のように最大圧力が14MPa程度の低圧ポンプであれば十分に使用することができる。かかる難燃性作動油を作動流体として使用すれば、本発明の液圧プレスにより熱間鍛造を行った場合において、作動流体の漏れが発生しても火災が発生する可能性を低くすることができる。
なお、熱間鍛造を行うプレスでは、作動油漏れによる火災を防ぐために、補機を作動させる油圧ユニットの作動油として難燃性作動油が使用されるが、上述したように本発明の加圧ユニット10では難燃性作動油を作動流体として使用することも可能であるから、加圧ユニット10と補機の油圧系統とを一系統とすることができる。
スライド5の位置は、スライド5の側方に設けられた公知のセンサ36によって直接スライド5の上下方向の位置を検出しており、作動流体の圧力は配管P1に設けられた圧力センサによって検出されている。
そして、漏れ検出手段には、センサによって加圧部材21の位置が検出されると、記録部32から加圧部材21の位置におけるスライド5の位置および加圧室6b内における作動流体の圧力を読み出して比較値を演算し、この比較値と実測値の偏差を算出し、偏差に基づいて作動流体の漏れの有無を判別する判別部33も設けられている。
さらになお、漏れ検出手段30とは別に緊急停止部を設けてもよく、この場合には、漏れ検出手段30から作動流体の漏れを通知する信号が緊急停止部に送信されるようにしておけば、緊急停止部によってプレスを自動的に緊急停止させることができる。
さらになお、緊急停止部は手動で操作されるものでもよく、この場合には、漏れ検出手段30に作動流体の漏れを作業者に知らせる警報機やパネルを設ければよい。
本発明の液圧プレスによって鍛造素材を成形する場合には、鍛造素材を下ダイセットD1上に載せた後、(1)スライド5の遊行降下、(2)低圧加圧、(3)高圧加圧、(4)圧抜き、(5)引き戻し、を1サイクルとして作業が行われる。以下に、各工程について説明する。
なお、作業開始前には、全てのバルブ13はマニホールド12と配管Pとの間を遮断している状態にある。
まず、バルブ13dを排出位置に切り換えて配管P4と作動流体のタンクTとの間を連通させる。すると、吊上げシリンダ8のロッド側油室8h内に収容されていた作動流体の圧力が低下するので、スライド5は自重により落下(遊行降下)し、吊上げシリンダ8のロッド側油室8h内の作動流体はタンクT内に戻される。
スライド5が自重により落下すると、メインシリンダ6のピストン収容空間6a内および加圧室6b内の圧力が低下し、タンクT内の作動流体の圧力よりも低くなる。すると、タンクTの作動流体が配管P2とプレフィルバルブ7とを通ってメインシリンダ6のピストン収容空間6a内および加圧室6b内に自動的に供給される。このとき、プレフィルバルブ7の制御流量が数1000L/min程度と非常に大きく、また、作動速度も0.1sec程度と非常に速いものであるから、スライドをスムースかつ高速で遊行降下させることができ、プレス作業全体の作業時間を短縮に寄与する。
鍛造素材に上ダイセットD2が接触するとスライド5の落下が停止し、メインシリンダ6のピストン収容空間6a内および加圧室6b内における作動流体の圧力とタンクT内の作動流体の圧力が同じになると、プレフィルバルブ7からの作動流体の供給が停止する。
まず、バルブ13cを遮断位置に切り替え、その後、バルブ13aを開きマニホールド12と配管P1を連通させる。すると、所定の圧力に加圧された作動流体がマニホールド12からメインシリンダ6のピストン収容空間6aおよび加圧室6bに供給されるから、鍛造素材は上下のダイセットD1,D2に挟まれて加圧成形され、スライド5に鍛造素材の反力に応じた加圧力が発生する。このとき、配管P4には、可動部の重量(スライド5および上ダイセットD2の重量)の重量に相当する圧力が発生するから、カウンターバランス用切替バルブ14が有効となる。すると、可動部の重量と吊上げシリンダ8に作用する力がバランスした状態となるから、メインシリンダ6のピストン収容空間6aや加圧室6bにエアを巻き込むという不具合が生じることを防ぐことができる。
配管P1に設けられた圧力検出センサPSが、配管P1内の作動流体の圧力が低圧・高圧加圧切り替え圧力となったことを検出すると、サーボモータ23が設定された速度で回転される。すると、ボールネジ22によって加圧部材21が設定された速度で加圧室6b内に向かって移動し、加圧室6b内に挿入される。すると、加圧室6bの体積が減少するため、加圧室6b内に収容されている作動流体の圧力が上昇する。
そして、加圧室6b内に収容されている作動流体の圧力、つまり、配管P1内の作動流体の圧力が予め設定された圧力に達するとサーボモータ23の作動が停止し、加圧が停止される。
加圧が終了すると、バルブ13cが開かれ、プレフィルバルブ7のパイロット部にマニホールド12内の作動流体と同等の圧力が加わる。すると、プレフィルバルブ7は、加圧室6bから作動流体のタンクTへの流れを許容させるようになり、加圧室6b内の作動流体の圧力とタンクT内の圧力の差に応じた量の作動流体がタンクTに排出され、ピストン収容空間6a内および加圧室6bの圧力がタンクTと同等の圧力となるまで低下する。
なお、プレフィルバルブ7を開くことにより圧抜きするのではなく、サーボモータ23を作動させて開くことにより圧抜きを行ってもよい。具体的には、サーボモータ23を設定された速度で逆回転させ、加圧部材21を設定された速度で後退させれば、加圧室6bの体積が増加するため、加圧室6b内に収容されている作動流体の圧力を上昇させることができる。
バルブ13bが開いたまま、バルブ13dを供給位置に切り換えれば、加圧ユニット10のマニホールド12から作動流体が吊上げシリンダ8のロッド側油室8hに供給される。すると、ピストン収容空間6a内および加圧室6b内の作動流体がプレフィルバルブ7を通ってタンクTに戻されながらスライド5が上昇し、成形作業前の状態に復帰する。
なお、スライド5を上昇させるときに、BKO用切替バルブ13eを切り換えて加圧ユニット10からノックアウト機構BKO作動流体を供給するようにしておけば、ノックアウト機構BKOを作動させることができる。
6 メインシリンダ
7 プレフィルバルブ
10 加圧ユニット
20 高圧側加圧源
21 加圧部材
30 漏れ検出手段
Claims (4)
- スライドと、該スライドを作動させるメインシリンダと、該メインシリンダ内に給排される作動流体を加圧する流体加圧源と、作動流体の漏れを検出する漏れ検出手段とを有する液圧プレスであって、
前記流体加圧源が、
前記スライドが発生する加圧力が小さい場合に、前記メインシリンダ内の作動流体を加圧する低圧側加圧源と、
前記スライドが発生する加圧力が大きい場合に、前記メインシリンダ内の作動流体を加圧する高圧側加圧源とを備えており、
前記低圧側加圧源が、
加圧された作動流体を前記メインシリンダ内に供給するポンプを備えた油圧ユニットからなり、
前記高圧側加圧源が、
前記メインシリンダ内に挿入される加圧部材と、該加圧部材を前記メインシリンダ内に挿入離脱させる加圧部材移動手段とからなり、
前記漏れ検出手段が、
前記スライドが発生する加圧力が大きい場合において、
前記加圧部材の位置、スライドの位置、および前記メインシリンダ内における作動流体の圧力の検出値から求められる関係値と、正常時における前記加圧部材の位置、スライドの位置、および前記メインシリンダ内の作動流体の圧力から求められる関係値との偏差を演算し、該偏差に基づいて作動流体の漏れの有無を判別する機能を有している
ことを特徴とする液圧プレス。 - 前記メインシリンダと作動流体のタンクとの間に、該タンクから前記メインシリンダ内に向かって作動流体を供給しうるプレフィルバルブが設けられており、
前記スライドが遊行降下するときにおいて、作動流体が、前記プレフィルバルブを通って前記メインシリンダに供給されるように構成されている
ことを特徴とする請求項1記載の液圧プレス。 - 前記低圧側加圧源が、補機を駆動するための油圧ユニットである
ことを特徴とする請求項1記載の液圧プレス。 - 前記作動流体が、難燃性作動油である
ことを特徴とする請求項1記載の液圧プレス。
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