JP4477276B2 - アリルアルコールの異性化の方法 - Google Patents
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Description
本発明は、追加の窒素含有リガンドを含んだタングステンオキソ(VI)錯体の存在下での前駆体アリルアルコールから生成物アリルアルコールへの異性化反応(その平衡の両方向ついて)の改善された方法に関する。
【0002】
アリルアルコールは工業的な有機化学において重要な中間体である。とりわけ3級アリルアルコールは、例えば香料製造の中間体として、また石鹸又は界面活性剤の添加物として利用されている。
【0003】
アリルアルコールは酸触媒下で異性化することが知られている。この異性化は、式IとIIの下記の平衡:
【化1】
[式中、R1〜R5は水素又は炭化水素基である。]
に示すように、ヒドロキシル基の1,3-転移およびそれに応じた二重結合の移動に対応する。
【0004】
当該方法は、例えば2-リナロールなどの3級生成物アリルアルコールを、例えばゲラニオール、ネロールなどの1級又は2級アリルアルコールを異性化することによって製造するのに特に適している。
【0005】
ゲラニオール(2-トランス-3,7-ジメチル-2,6-オクタジエン-8-オール)、ネロール(2-シス-3,7-ジメチル-2,6-オクタジエン-8-オール)および2-リナロール(3,7-ジメチル-1,6-オクタジエン-3-オール)は香料工業において重要な化合物である。それらは直接香料として利用されるか、又は他の化合物と反応させてより高分子量の香料に変換される。これらテルペンアルコール類は、ビタミンEなどのビタミン合成の際のC10ビルディングブロックとしても重要である。
【0006】
従来、リナロールをゲラニオールに異性化する方法について記載する文献が中心であった。異性化は平衡反応であるため、開発されてきた方法は原則として、逆反応であるゲラニオール又はネロールからリナロールへの異性化にも利用できる。
【0007】
当初、アリルアルコールの異性化反応は酸を触媒に用いて行われた。しかし、これらの方法は重要性が低いものでしかなかった。なぜなら、これらの反応中に、例えば脱水、環化などの副反応が優先的に起こるからである。
【0008】
のちに、モリブデン、バナジウムおよびタングステン触媒を用いた、置換されたアリルアルコールの触媒転位が研究された(P. Chabardesら、Tetrahedron 33 (1977)、pp.1775-1783参照)。
【0009】
英国特許出願第1256184号に異性化触媒として記載されたモリブデン化合物は不十分な反応結果しかもたらさなかったのに対して、追加のリガンドとしての窒素塩基の存在下で式WO(OR)4で表されるタングステンオキソ(VI)アルコシキシド触媒を使用することは、類似する式VO(OR)3で表されるバナジウムオキソ(V)アルコキシド触媒と比較してより高い選択性と高い活性とを併せ持っているという点で有望であった。タングステン触媒の他の利点は、反応混合物から容易に分離できること(Hosogaiら、Chemistry Letters 1982、pp.357-360参照)、及びバナジウム触媒と比較して低い毒性しか持たないことである。
【0010】
さらにドイツ特許出願第2516698号は、タングステンを基にした新規触媒の製造と、3級アリルアルコールを1級アリルアルコールへと触媒転位させるためのそれらの使用を開示する。この方法において記載された触媒は、アルコキシ基及び/又は酸素を介して結合したトリアルキルシリル基を含んだタングステンオキソ(VI)錯体であり、選択性を向上させるために、タングステンに配位したリガンドを更に含んでいる。該リガンドはN、P、As及びBiからなる群から選択される元素を1個含んでおり、特に、1級、2級及び3級モノアミンの群、ポリアミンの群、シッフ塩基の群、イミンの群、ニトリルの群及びイソニトリル群から選択されるリガンドである。該明細書中で特に適していると言及されているリガンドとしては、1級モノアミン、例えばメチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、β-エトキシエチルアミン、ブチルアミン、シクロヘキシルアミン、アニリン及びナフチルアミンであり;2級アミン、例えばジメチルアミン、ジエチルアミン、ジブチルアミン、ジシクロヘキシルアミン、メチルアニリン、メチルシクロヘキシルアミン、ピペリジン、モルホリン及びピロリジンであり;3級アミン、例えばトリメチルアミン、トリエチルアミン、エチルジブチルアミン、トリシクロヘキシルアミン、ジメチルアニリン、ピリジン、ピコリン、キノリン、イソキノリン、N-メチルピロリジン及びN-メチルモルホリンであり;エチレンジアミン、ピラジン、ピペラジン、ピリミジン、トリエチレンジアミン、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン、ポリエチレンイミン、並びに分子内に多くのアミノ基を有するイオン交換樹脂であり、特にピリジン、トリエチルアミン、シクロヘキシルアミン、ジエチルアミン及びトリシクロヘキシルホスフィンである。アミノアルコールは該明細書中で言及されていない。この方法で達成される、例えばネロール及びゲラニオールのような1級アルコールに対する選択性は非常に良好であるが、一方で、達成される転位率は未だ理想的なものではない。
【0011】
タングステンオキソ(VI)テトラキスゲラニレートの0.05mol%濃度溶液を用いてドイツ特許出願第2516698号記載の方法と同様にして行ったゲラニオールの異性化に関する本発明者らの研究では、リナロールへの転位は、200℃(反応時間約1時間)において窒素塩基の存在下では、窒素塩基を併用しない場合よりもより顕著に選択的に進行することが示されている(比較例1〜5を参照)。
【0012】
この研究で用いた窒素塩基は、ジエチルアミン、ピリジン、イミダゾール及びポリ(4-ビニルピリジン)であった。
【0013】
これらの実験の不利な点は、150℃以上の高温で行なった場合に比較的転化率が低いということであった。高温が副生成物の形成を促進したのである。
【0014】
本発明の目的は、追加の窒素含有リガンドを含んだタングステンオキソ(VI)錯体の存在下、50〜300℃の温度でのアリルアルコールの異性化方法を改善することによって、1級又は2級アリルアルコール(例えばゲラニオール及びネロール)の3級アリルアルコール(例えばリナロール)への異性化においても、使用する前駆体アリルアルコールの比較的高い転化率を実現し、その結果として、平衡に達する速度を高め、空時収率を高めることである。
【0015】
驚くべきことに、我々は次のことを見出した。すなわち、追加の窒素含有リガンドを含む均一に溶解したタングステンオキソ(VI)錯体の存在下で前駆体アリルアルコールを生成物アリルアルコールに異性化する方法は、アミノアルコールを追加の窒素含有リガンドとして用いた場合、既知の窒素塩基のみが存在する場合のタングステンオキソ(VI)アルコキシド触媒を用いた対応する異性化反応に比べ、選択性は同じままでありながら、ゲラニオール及びネロールをリナロールに異性化する活性がより高いのである。
【0016】
式WO(OR)4のタングステンオキソ(VI)アルコキシド触媒に、窒素塩基を追加のリガンドとしてすでに添加した後にのみアミノアルコールを添加した場合もまた、アリル転位の活性が高まった。
【0017】
従って本発明は、追加の窒素含有リガンドを含む、予め調製されたか又はin situ生成されたタングステンオキソ(VI)錯体の存在下、50℃〜300℃の温度で行う前駆体アリルアルコールから生成物アリルアルコールへの異性化方法であって、該触媒中に、追加の窒素含有リガンドとして知られる窒素塩基に加えて、又はそれら窒素塩基の代わりに、アミノアルコールが追加の窒素含有リガンドとして存在している異性化方法に関する。
【0018】
本発明の方法を用いて有利に異性化され得るアリルアルコールであって例示できるものは:
2-メチル-3-ブテン-2-オール、プレノール(3-メチル-2-ブテン-1-オール)、リナロール、ネロール及びゲラニオール、並びにファルネソール(3,7,11-トリメチルドデカ-2,6,10-トリエン-1-オール)及びネロリドール(3,7,11-トリメチルドデカ-1,6,10-トリエン-3-オール)であり、特に、リナロール、ネロール及びゲラニオールである。
【0019】
本発明の方法で使用できるアミノアルコールは式III:
【化2】
[式中、
R8及びR9は、同一でも異なっていてもよく、水素、C1〜C4-アルキル、-CH2-C6H5OH; -C2H5OH又は-C3H7OHであり、
R10及びR11は、同一でも異なっていてもよく、HもしくはC1〜C4-アルキルであり、又はR10とR11は一緒になって、場合によりC1〜C4-アルキル基で置換されていてもよい飽和もしくは不飽和の二価の基を形成し、
R12及びR13は、同一でも異なっていてもよく、水素又はC1〜C4-アルキル基であり、
nは、0〜5の整数である。]
で表されるアミノアルコールである。
【0020】
本発明の方法は、使用するアミノアルコールがトリエタノールアミン、ジエタノールアミン、モノエタノールアミン、トリプロパノールアミン、ジプロパノールアミン、3-アミノ-1-プロパノール、1-アミノ-2-プロパノール、2-アミノ-1-プロパノール、ブチルジエタノールアミン、メチルジイソプロパノールアミン、N-(2-ヒドロキシベンジル)アミン又はN,N’-ビス(2-ヒドロキシベンジル)-1,2-ジアミノエタンの場合、特に有利に進行する。
【0021】
本発明の方法に必要な異性化触媒を調製するために使用するタングステンオキソ(VI)錯体は、一般的には、次の式:
[WO(OR1)(OR2)(OR3)(OR4)]nL
又は WO(OR1)(OR2)(OR3)(OR4)
[式中、R1〜R4は炭化水素基、置換された炭化水素基、又は次の式:
【化3】
の基であり、ここで、R5、R6およびR7はそれぞれ炭化水素基であって場合により置換されていてもよく、
R1、R2、R3およびR4は同一でも異なっていてもよく、R1、R2、R3およびR4の基うちの2以上が炭化水素である場合には、それらが置換されているか無置換であるかに関係なく、かかるタイプの2個の基が式中の隣接するタングステンおよび酸素原子と一緒になって環構造を形成することができ、
好ましくは、R1、R2、R3、R4、R5、R6およびR7が次の基:炭素原子1〜20個を有するアルキル基、炭素原子2〜20個を有するアルケニル基、炭素原子3〜10個を有するシクロアルキル基、炭素原子3〜10個を有するシクロアルケニル基、炭素原子6〜10個を有するアリール基、炭素原子7〜20個を有するアラルキル基および炭素原子7〜20個を有するアルキルアリール基、から選択される炭化水素基である化合物であり、
特に好ましくは、R1およびR2が先に定義した通りであり、R3およびR4が水素もしくはメチル基であるか又はR3とR4が一緒になって飽和もしくは不飽和の二価の基を形成しており、そしてR5、R6およびR7が水素である化合物であり、
Lは窒素を含み、この窒素を介して式中のタングステン原子に配位結合している一価又は多価のリガンドであり、そしてnは1からリガンドLに配位できるタングステン原子の数までの間の値である。]
で表されるドイツ特許出願第2516698号に記載されたタングステンオキソ(VI)錯体又はタングステンオキソ(VI)化合物である。
【0022】
タングステンオキソ(VI)錯体は、例えばドイツ特許出願第2516698号に記載の方法の通り、タングステントリオキシドと、R1、R2、R3およびR4に相当する基を有するヒドロキシル化合物とから、リガンド化合物の存在下で調製することができる;あるいは、タングステンオキシテトラハライドを、R1、R2、R3およびR4に相当する基を有するヒドロキシル化合物のアルカリ金属アルコキシドとリガンド化合物の存在下で反応させることによって調製することができる。
【0023】
タングステンオキソ(VI)錯体は、ドイツ特許出願第2516698号に記載のように実際の反応の前に調製することができ、またそのほかに、反応混合物中で直接調製することもできる。
【0024】
例えば、固体のタングステン酸ナトリウム二水和物を前駆体アリルアルコール、この場合はゲラニオール、に添加することが可能である。この混合物を異性化のための所望の温度まで加熱することによって、異性化触媒が反応混合物中で形成される。触媒の形成により排出される水は、異性化の生成物、この場合はリナロール、と共に反応物の蒸留により除去する。
【0025】
従って、ドイツ特許出願第2516698号に開示されたものは、引用により本特許出願に組み入れられるものとする。
【0026】
一般に、タングステンオキソ(VI)錯体は前駆体アリルアルコール中に0.001〜5重量%の濃度で溶解させて利用される。
【0027】
アミノアルコールもまた前駆体アリルアルコール中に溶解して用いられることが一般的に有利である。それらは一般的にタングステン化合物に基づいて1mol%〜1000mol%、好ましくは33mol%〜500mol%の量で使用される。
【0028】
アミノアルコールリガンドの添加量および、特に、用いるタングステンオキソ(VI)錯体の量に対するリガンドの量は、当該反応の速度及び選択性に影響する。
【0029】
タングステンの量に対してアミノアルコールリガンドの量が少ない場合、反応速度は高まるが選択性は幾分下がる。これに対して、リガンドの量が多い場合、選択性は高いが、特定の環境下では、空時収率が低い生成物が得られる。
【0030】
アミノアルコールは、好ましくは該アミノアルコールの最初の水酸基の総数およびタングステンの量に基づき100mol%〜400mol%の量で、特に好ましくは該アミノアルコールの最初の水酸基の総数およびタングステンの量に基づき300mol%〜400mol%の量で使用される。
【0031】
反応混合物中のリガンドおよびタングステン錯体の絶対的濃度は本発明の方法においては重要ではなく、例えば濃度を上昇させることにより平衡状態への到達の速度を所望の通りに上昇させることが可能である。
【0032】
本発明の方法において平衡状態への到達速度を上昇させることはまた、反応により形成される水を混合物より除去することにより、例えば不活性ガスの気流を吹き込むことにより、公知の水除去剤を添加することにより、又は蒸留中にガス気流で水分を除去することにより達成される。
【0033】
タングステンオキソ(VI)錯体において、リガンドとして機能するタングステン原子上のアルコール基の全部又は一部、および追加のリガンドとして機能する窒素塩基の全部又は一部を、追加のリガンドとして添加されるアミノアルコールによって置換することが可能である。
【0034】
本発明の方法は、一般的には50〜300℃の温度で、好ましくは150〜250℃の温度で行われる。
【0035】
本発明の方法は、溶媒を使用して又は使用せずに、不連続的に、又は連続的に行うことができる。
【0036】
特に有利であると証明された溶媒は、例えば、アリルアルコールの異性化による高沸点の副生成物である。
【0037】
本発明の方法は、前駆体アリルアルコールが反応混合物中に10重量%〜100重量%の濃度で存在している場合に有利に行うことができる。
【0038】
反応混合物は、既知の方法で後処理することができる。
【0039】
本発明に係る特に有利な方法は、使用される前駆体アリルアルコールがゲラニオール及びネロールであって、製造される生成物アリルアルコールが2-リナロールである方法である。
【0040】
この方法では、後処理のために、2-リナロールを低沸点成分として蒸留により反応混合物から分離する。一般的には、前駆体アリルアルコールおよび副生成物が生成物アリルアルコール中に存在する。生成物アリルアルコールは公知の方法による蒸留で精製することができる。
【0041】
該異性化反応は平衡反応であり、平衡の位置は、前駆体アリルアルコールおよび生成物アリルアルコールの熱力学的性質並びに反応条件に依存する。混合物中で最も沸点が低いアリルアルコールであるリナロールを反応バッチから非連続的又は連続的に除去することにより、平衡が移動した結果として平衡状態が望ましくないものとなった場合であっても、蒸留管のリボイラーが反応室として機能するので、望ましい空時収率が可能である。
【0042】
下記の実施例および比較例は本発明の方法をより詳細に説明するためのものである。
【0043】
比較例 1 * 〜 5 *
ゲラニオールおよびネロールを2-リナロールに異性化する実験を、内部温度計、蒸留用ブリッジ(distillation bridge)、ガス供給用パイプ、およびマグネチックスターラーを取り付けた100ml容三つ口ガラスフラスコを反応室として行った。反応フラスコをシリコンオイルバス中で反応のために加熱し、アルゴン又は窒素の0.3 l/hの気流を攪拌した反応溶液に連続的に吹き込んだ。前駆体アリルアルコールが所定の温度に達したのち直ちに触媒溶液を計算量だけ添加した。1時間後に冷却により実験を終了し、生成物の組成をガスクロマトグラフィー分析(GC)により決定した。反応の間に生成物を蒸留により取り除くことはしなかった。
【0044】
触媒溶液は、WOCl4 2g(5.9mmol)をトルエン30ml中に懸濁して調製した。テトラヒドロゲラニオール10g(63mmol)を添加し、アンモニアの気流を緩やかに吹き込んだ後に、該混合物をシリカゲル10gによりろ過し、そのシリカゲルをトルエン5mlで洗浄した。ろ液を合わせて、最終的にタングステンを0.13M/lで含有する触媒溶液を得た。
【0045】
反応を冷却により終結させた後、生成物の組成をGECにより決定した。表1の低沸点成分はゲラニオール、ネロールおよびリナロールを脱水した生成物である。表1の高沸点成分はゲラニオール、ネロールおよびリナロールがエーテル化した化合物である。リナロールの選択性は、リナロールへと変換された量とゲラニオールが変換を受けた総量との商から決定した。使用したゲラニオールの組成はゲラニオールが96%でありネロールが約4%であった。
【0046】
【表1】
【0047】
実施例 1 および比較例 6 * ( ドイツ特許出願第 2516698 号記載の方法 )
リガンドとしてのアミノアルコールの効果
それぞれの例において、ゲラニオール20g(0.13mol)、調製したタングステンオキソ(VI)(テトラキスゲラニレート)溶液1.0ml(0.13mmol)、下記の表2に示す窒素塩基のジエチルアミン、および表2に示すモル比となる量のアミノアルコールの1-アミノ-2-プロパノールの混合物を100ml容三つ口ガラスフラスコ中で200℃で1時間加熱した。その後反応混合物のGCを行い、表2の結果を得た。
【0048】
【表2】
【0049】
これらの例から、反応は、1-アミノ-2-プロパノールの存在下では、形成された2-リナロールに基づく良好な選択性は保持されつつ顕著により速く進行することがわかる。
【0050】
実施例 2a 〜 2c
アミノアルコールリガンドの濃度の影響
それぞれの例において、ゲラニオール20g(0.13mol)、調製したタングステンオキソ(VI)(テトラキスゲラニレート)溶液1.0ml(0.13mmol)、および表3に示すモル比のアミノアルコールの1-アミノ-2-プロパノールの混合物を100ml容三つ口ガラスフラスコ中で200℃で1時間加熱した。その後反応混合物のGCを行い、表3の結果を得た。
【0051】
【表3】
【0052】
これらの例から、反応速度は、2-アミノエタノールの量がタングステンの量に対して増加するほど低下し、選択性は一定であることがわかる。
【0053】
実施例 3a および 3b
温度の影響
それぞれの例において、ゲラニオール90g(0.59mol)、調製したタングステンオキソ(VI)(テトラキスゲラニレート)溶液1.5ml(0.2mmol)、並びに、ジエチルアミン:タングステン:1-アミノ-2-プロパノール=2:1:3.5のモル比となる量の1-アミノ-2-プロパノールおよび窒素塩基のジエチルアミンの混合物を、表4で示した温度にて1時間250ml容三つ口ガラスフラスコ中で加熱した。その後反応混合物のGCを行い、表4の結果を得た。
【0054】
【表4】
【0055】
これらの例から、200℃以下の温度では、1-アミノ-2-プロパノールを利用すると触媒の反応性および選択性がともに低下することがわかる。
【0056】
実施例 4a および 4b
反応速度へのガス気流の影響
それぞれの例において、ゲラニオール20g(0.13mol)、調製したタングステンオキソ(VI)(テトラキスゲラニレート)溶液1.0ml(0.13mmol)、並びに、ジエチルアミン:タングステン:トリエタノールアミン=2:1:1のモル比となる量の窒素塩基のジエチルアミンおよびアミノアルコールのトリエタノールアミンの混合物を、200℃で1時間250ml容三つ口ガラスフラスコ中でアルゴン気流を一定量吹き込みながら加熱した。その後反応混合物のGCを行い、表5の結果を得た。
【0057】
【表5】
【0058】
これらの例から、反応混合物中に存在する反応で生じた水が異性化を阻害する影響を与えることがわかる。ガス気流を用いて水を除去することにより、異性化が加速される。
Claims (8)
- 追加の窒素含有リガンドを含む、予め調製されたか又はin situ生成されたタングステンオキソ(VI)錯体の存在下、50℃〜300℃の温度で行う一級または二級の前駆体アリルアルコールから三級生成物アリルアルコールへの異性化方法であって、該タングステンオキソ(VI)錯体中に、追加の窒素含有リガンドとして知られる窒素塩基に加えて、又はそれら窒素塩基の代わりに、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、モノエタノールアミン、トリプロパノールアミン、ジプロパノールアミン、3-アミノ-1-プロパノール、1-アミノ-2-プロパノール、2-アミノ-1-プロパノール、ブチルジエタノールアミン、メチルジイソプロパノールアミン、N-(2-ヒドロキシベンジル)アミンおよびN,N’-ビス(2-ヒドロキシベンジル)-1,2-ジアミノエタンからなる群より選択されるアミノアルコールが追加の窒素含有リガンドとして存在している異性化方法。
- タングステンオキソ(VI)錯体が、前駆体アリルアルコール中に0.001〜5重量%の濃度で溶解されて使用される請求項1記載の方法。
- アミノアルコールが、前駆体アリルアルコール中に、タングステン化合物に基づいて1 mol%〜 1000 mol%の濃度で溶解されて使用される請求項1記載の方法。
- アミノアルコールが、前駆体アリルアルコール中に、タングステン化合物に基づいて33 mol%〜 500 mol%の濃度で溶解されて使用される請求項1記載の方法。
- タングステンオキソ(VI)錯体において、タングステンアルコキシドリガンドの全部又は一部が追加のリガンドとして加えられたアミノアルコールにより置き換えられている請求項1記載の方法。
- 異性化を150〜250℃の温度で行う請求項1記載の方法。
- 異性化が溶媒の存在下で行われ、前記溶媒が、アリルアルコールの異性化による高沸点の副生成物である請求項1記載の方法。
- 使用される前駆体アリルアルコールがゲラニオール及びネロールであって、製造される生成物アリルアルコールが2-リナロールである請求項1記載の方法。
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