JP4476645B2 - 生理活性ペプチド - Google Patents

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Description

発明の背景
発明の分野
本発明は、細胞死抑制活性および/または細胞増殖促進活性を有する生理活性ペプチド、およびそれを含んでなる細胞培養用培地添加剤に関する。
背景技術
動物細胞は、培養環境の変化によって、その増殖の著しい低下や死滅が起こることが知られている。そのため、通常は、動物細胞培養用の培地に、ウシ胎児血清やウシ血清アルブミンなど、哺乳動物由来成分を添加し、細胞増殖の効率を高める方法が用いられている。
しかしながら、前記哺乳動物由来成分には、ウィルスや病原因子等が混入する危険性が指摘されており、安全性に大きな問題がある。そのため、哺乳動物由来成分を含まない培地がこれまでにも提案されていた。ところが、これら培地を使用すると、細胞増殖の著しい低下や細胞の死滅をきたすことがあり、細胞培養が困難になる場合もあった。
そこで、哺乳動物由来成分に代えて、小麦由来ペプチドなどのような植物由来成分であって細胞増殖促進活性を有するペプチドを、細胞の増殖促進を目的として動物細胞培養用培地に添加する方法が提案されている。しかしながら、このような植物由来成分を使用した場合であっても、細胞の種類や培養条件によっては、必ずしも十分な効果が得られないことがあった。
そこで、本発明者らは以前に、天然の蚕繭などから採取することができる蛋白質セリシンが、動物細胞増殖促進活性を有することを見出し、該セリシンを培地へ添加することを提案した(国際公開WO02/086133号公報(特許文献1))。このセリシンは、38個のアミノ酸からなる本質的領域と、それ以外の非本質的領域とからなるものであった。また、前記本質的領域を少なくとも含んでなるセリシン誘導体も動物細胞増殖促進活性を有し得るものであった。このような動物細胞増殖促進活性は、セリシンまたはセリシン誘導体が化学的または遺伝子工学的手法により人工的に合成されたものである場合でも、同様であった。
しかしながら、天然の蚕繭などに含まれるセリシン成分は、分子量の異なるタイプだけでも数種類存在し、さらにセリシンの抽出過程では加水分解が施されるため、抽出して得られるセリシン成分中には、多様な分子種のものが含まれることになる。このような多様な分子種の混合物の中から、特定の構造を有する単一成分のみを精製するためには、一般的に、煩雑な操作が必要であり多大なコストを要する。また、このような混合物は、生体への安全性や物質の安定性などを充分に確保することが困難であることが多く、このため医薬品や再生医療などの分野において使用することができない場合もある。
一般的に、ペプチドはその分子量が大きくなるほど、構造が複雑になって、化学合成や精製が技術的に困難になることが知られている。高精製度のペプチドを必要な量を得る上では、所望する活性は維持しつつ、分子量についてはできるだけ小さいペプチドが望ましい。
一方、遺伝子工学的手法によってペプチドを製造する場合には、目的のペプチドをコードする遺伝子を調製し、宿主細胞に導入するという煩雑な操作が必要となる。また、細胞内や培養上清中から、目的物を得るためには、多くの精製工程が必要となり、製造コストも増大する。
細胞培養による有用物質生産や再生医療などの分野においては、安全性が高く、かつ細胞培養効率を高めることができる培養培地成分であって、比較的安価な化学合成により得ることができる成分が依然として求められている。
国際公開WO02/086133号公報
発明の概要
本発明者らは今般、天然由来のセリシンの本質的領域に相当する38個のアミノ酸配列からなるペプチドの内、その部分構造である特定の10個のアミノ酸配列からなるペプチドが、それのみで、優れた細胞死抑制活性および細胞増殖促進活性を示すことを見出した。そして、この特定のアミノ酸配列は、細胞増殖の効率を高めることが既に知られている前記した哺乳動物由来血清成分や植物由来ペプチドのアミノ酸配列とも異なるものであった。このため、本発明によるペプチドが優れた細胞死抑制活性および細胞増殖促進活性を示し得ることは、予期し得ない、驚くべきことであった。本発明はかかる知見に基づくものである。
よって、本発明は、細胞死抑制活性および細胞増殖促進活性を有するペプチドであって、安全性が高く、かつ製造が容易であるペプチドを提供することをその目的とする。
本発明によるペプチドは、下記(a)〜(c)からなる群より選択されるものである:
(a) 配列番号1に示されるアミノ酸配列からなる、ペプチド;
(b) 前記(a)のアミノ酸配列において1もしくは複数個のアミノ酸残基が欠失、置換、挿入もしくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつ、細胞死抑制活性および/または細胞増殖促進活性を有する、ペプチド;および
(c) 前記(a)のアミノ酸配列のペプチドと少なくとも80%の相同性を有するアミノ酸配列からなり、かつ、細胞死抑制活性および/または細胞増殖促進活性を有する、ペプチド。
本発明による細胞培養用培地添加剤は、本発明によるペプチドを含んでなる。
本発明による細胞培養用培地は、本発明によるペプチドまたは本発明による培地添加剤の有効量と、培地基礎成分とを少なくとも含んでなる。
本発明による細胞の培養方法は、本発明によるペプチドまたは本発明による培地添加剤の有効量を添加してなる、細胞培養用培地を使用して、目的とする細胞を維持または増殖させることを含んでなる。
本発明によるペプチドおよびそれを含んでなる細胞培養用培地添加剤によれば、目的とする細胞の死滅を抑制することができ、培養時における細胞の生存率を維持または向上することができる。また、本発明によるペプチドおよびそれを含んでなる細胞培養用培地添加剤によれば、目的とする細胞の増殖を促進することができる。本発明によるペプチドは、約10個のアミノ酸のみからなるため、高精製度の単一ペプチドとして容易にかつ安価に取得することが可能である。
さらに、本発明のペプチドによれば、細胞の培養において、ウシ胎児血清またはウシ血清アルブミンのような血清成分の使用量を減らすか、またはその使用を回避することができるため、培養生成物の安全性を高めることができる。また、本発明によるペプチドは、化学的に容易に合成できるため、天然物を抽出する場合のような不純物が混入する可能性を低くすることができるため、充分な安全性を確保することができる。このため、本発明によるペプチドは、培地添加剤として、または細胞培養用培地の有効成分として、極めて有用である。
そして、本発明によるペプチドまたは培地添加剤は、培地に添加するだけで、細胞の増殖を促進させることができるので、再生医療を目的とした動物細胞の製造および細胞培養による有用物質生産を行うに際して、その製造コストを低減させることができる。
発明の具体的な説明
ペプチド
本発明によるペプチドの一つの態様は、配列番号1に示されるアミノ酸配列からなるものである。この配列番号1に示されるアミノ酸配列は、本発明者らによる国際公開WO02/086133号公報において開示した38個のアミノ酸(配列番号2)からなるペプチドの一部、詳しくはその21〜30番アミノ酸配列に相当する。この特定の10個のアミノ酸からなるフラグメントが、この短いフラグメントのみで優れた細胞死抑制活性および細胞増殖促進活性を示し得ることは、本発明者らの知る限り、これまで全く知られていなかった。
本発明によるペプチドは、上記のように配列番号1に示されるアミノ酸配列と同一であるものに加えて、それと実質的に同一であるアミノ酸配列を含んでなるものも包含される。すなわち、本発明によるペプチドは、前記したように下記(a)のペプチドに加えて、下記(b)および(c)のペプチドも包含される:
(a) 配列番号1に示されるアミノ酸配列からなる、ペプチド;
(b) 前記(a)のアミノ酸配列において1もしくは複数個のアミノ酸残基が欠失、置換、挿入もしくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつ、細胞死抑制活性および/または細胞増殖促進活性を有する、ペプチド;および
(c) 前記(a)のアミノ酸配列のペプチドと少なくとも80%の相同性を有するアミノ酸配列からなり、かつ、細胞死抑制活性および/または細胞増殖促進活性を有する、ペプチド。
前記ペプチドはいずれも細胞死抑制活性および/または細胞増殖促進活性を有するものである。
本明細書において、ペプチドというときには、ペプチドの誘導体も包含する意味で用いられる。ここでペプチドの誘導体とは、前記した細胞死抑制活性および/または細胞増殖促進活性を有するものであって、かつ、該ペプチドのアミノ末端(N末端)のアミノ基または各アミノ酸の側鎖のアミノ基の一部もしくは全部、および/またはペプチドのカルボキシル末端(C末端)のカルボキシル基または各種アミノ酸の側鎖のカルボキシル基の一部もしくは全部、および/または、ペプチドの各アミノ酸の側鎖のアミノ基およびカルボキシル基以外の官能基(例えば、水素基、チオール基、アミド基等)の一部もしくは全部が、適当な他の置換基(例えば、リン酸基)によって修飾を受けたものをいう。このような適当な他の置換基による修飾は、例えば、ペプチド中に存在する官能基の保護、安全性および組織移行性の向上、または活性の増強等を目的として行われることがある。
または前記ペプチドの誘導体には、本発明によるペプチドの薬学上許容されうる塩も包含される。このような塩の好ましい例としては、ナトリウム塩、カリウム塩またはカルシウム塩のようなアルカリ金属またはアルカリ土類金属塩、フッ化水素酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩のようなハロゲン化水素酸塩、硝酸塩、過塩素酸塩、硫酸塩、リン酸塩などの無機酸塩、メタンスルホン酸塩、トリフルオロメタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩のような低級アルキルスルホン酸塩、カンファースルホン酸、ベンゼンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩のようなアリールスルホン酸塩、フマル酸、コハク酸塩、クエン酸塩、酒石酸塩、シュウ酸塩、マレイン酸塩、酢酸塩、リンゴ酸塩、乳酸塩、アスコルビン酸塩のような有機酸塩、およびグリシン塩、フェニルアラニン塩、グルタミン酸塩、アスパラギン酸塩のようなアミノ酸塩などが挙げられる。さらに本発明によるペプチドは溶媒和物としてもよい。このような溶媒和物としては、水和物、アルコール和物(例えば、メタノール和物、エタノール和物)、およびエーテル和物(例えば、ジエチルエーテル和物)が挙げられる。
本明細書において、アミノ酸とは、光学異性体、すなわちD体およびL体のいずれをも包含する。また、ここでいうアミノ酸には、天然のタンパク質を構成する20種のα−アミノ酸のみならず、それら以外のα−アミノ酸、ならびにβ−、γ−、δ−アミノ酸および非天然のアミノ酸等が包含されてもよい。
ここで、「細胞死抑制活性」とは、目的とする細胞の死滅または衰弱を抑制できる性質のことをいい、この「細胞死抑制活性」を有することにより、培養時における細胞の生存率を維持または向上することができる。「細胞死抑制活性」を有することは、例えば、後述する実施例の評価試験1と同様の条件において測定した場合に細胞死抑制活性が認められたと評価される場合を意味する。
また「細胞増殖促進活性」とは、目的とする細胞の増殖を促進または維持し得る性質のことをいい、この「細胞増殖促進活性」を有することにより、培養時における細胞の細胞数または細胞密度を増加または維持することができる。「細胞増殖促進活性」を有することは、例えば、後述する実施例の評価試験2と同様の条件において測定した場合に細胞増殖促進活性が認められたと評価される場合を意味する。
前記(b)において、配列番号1に示されるアミノ酸配列に対して、欠失、置換、挿入もしくは付加されてもよいアミノ酸残基の数は、好ましくは1〜5個、より好ましくは1〜3個、さらに好ましくは1〜2個、さらにより好ましくは1個である。
本発明の好ましい態様によれば、前記(b)のペプチドは、前記(a)のアミノ酸配列において1もしくは複数個のアミノ酸残基が保存的に置換されてなるアミノ酸配列からなり、かつ、細胞死抑制活性および/または細胞増殖促進活性を有するものである。
ここで「保存的置換」とは、該ペプチドの活性を実質的に改変しないように、1もしくは複数個のアミノ酸残基を、別の化学的に類似したアミノ酸残基で置き換えることを意味する。例えば、ある疎水性残基を別の疎水性残基によって置換する場合、ある極性残基を同じ電荷を有する別の極性残基によって置換する場合などが挙げられる。このような保存的置換を行うことができる機能的に類似のアミノ酸は、アミノ酸毎に当該技術分野において公知である。具体例を挙げると、非極性(疎水性)アミノ酸としては、アラニン、バリン、イソロイシン、ロイシン、プロリン、トリプトファン、フェニルアラニン、メチオニン等が挙げられる。極性(中性)アミノ酸としては、グリシン、セリン、スレオニン、チロシン、グルタミン、アスパラギン、システイン等が挙げられる。陽電荷をもつ(塩基性)アミノ酸としては、アルギニン、ヒスチジン、リジン等が挙げられる。また、負電荷をもつ(酸性)アミノ酸としては、アスパラギン酸、グルタミン酸等が挙げられる。なお、本発明によるペプチドは通常、極性(中性)アミノ酸から構成されている。
前記(c)のペプチドは、配列番号1で示される前記(a)のアミノ酸配列のペプチドと、少なくとも80%の相同性を有するアミノ酸配列からなり、このとき、前記相同性は、好ましくは、90%以上である。
なお、本明細書において示した相同性の数値はいずれも、当業者に公知の相同性検索プログラムを用いて算出される数値であればよく、例えばFASTA、BLAST(Basic Local Alignment Search Tool)等においてデフォルト(初期設定)のパラメータを用いることにより、容易に算出することができる。
ペプチドの製造
本発明によるペプチドは、公知のいずれの手法を適用して製造してもよい。ここで、本発明によるペプチドは、基本的に10個のアミノ酸からなる低分子量ペプチド(理論分子量965)であるため、ペプチド合成に通常用いられる当業者に既知の方法に従って容易に製造することができる。
このような合成方法としては、例えば、アミノ酸のα−アミノ基をt−ブトキシカルボニル(Boc)基で、側鎖官能基をベンジルアルコール系保護基で保護することによるt−Boc法や、α−アミノ基を9−フルオレニルメトキシカルボニル(Fmoc)基で、側鎖官能基をt−ブチルアルコール系保護基で保護することによるFmoc法などによる、液相法、固相法、および固相法と液相法を組み合わせた方法などが挙げられる。これらの方法の実施にあたっては、例えば、泉屋信夫ら著「ペプチド合成」1984年、丸善(株)発行; 日本化学会編「生化学実験講座(I)/タンパク質の化学」第4巻、208〜495頁、1977年、東京化学同人発行; 日本化学会編「新生化学実験講座(I)/タンパク質」第VI巻(合成及び発現)、3〜74頁、1992年、東京化学同人発行; 続医薬品の開発14「ペプチド合成」、広川書店発行などの文献を適宜参照することができる。
上記のようにして合成されたペプチドは、通常の方法に従って精製して、目的とする本発明によるペプチドを回収することができる。このような精製方法としては、例えば、イオン交換クロマトグラフィー、逆相液体クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィーなどが挙げられる。これらの方法は、単独でまたは組み合わせて実施してもよい。合成されたペプチドをこのようにして精製することによって、高精製度の単一ペプチドとして本発明によるペプチドを取得することができる。得られたペプチドは、必要に応じて、さらに、凍結乾燥などの手段によって乾燥しても良い。
取得したペプチドのアミノ酸配列は、エドマン分解法によってN−末端からアミノ酸配列を読み取るプロテインシークエンサー、FAB−MS、TOF−MSなどにより分析し、確認することができる。
よって、本発明の一つ好ましい態様によれば、本発明によるペプチドは化学的に合成して得られるものである。
また、本発明によるペプチドは、例えば、遺伝子工学的手法により製造されたものであってもよい。すなわち、本発明によるペプチドは、それを示すアミノ酸配列をコードするDNAを入手、もしくは製造することができる場合には、そのDNAによって宿主細胞を形質転換させた形質転換細胞において、製造することができる。すなわち、本発明によるペプチドは、それを示すアミノ酸配列をコードするDNA断片を、宿主細胞内で複製可能でかつ同遺伝子が発現可能な状態で含むDNA、特に組換えベクター、の形態とし、それを用いて宿主細胞の形質転換を行い、得られた形質転換体を培養することによって製造することができる。このとき、該ペプチドの製造に際し、所謂宿主−ベクター系を使用してもよい。なお、このような宿主−ベクター系を適用するにあたっては、この技術分野において慣用されている各種の発現ベクター(組換えベクター)作成法および形質転換法を使用することができる。
培地添加剤
本発明による細胞培養用培地添加剤は、本発明によるペプチドを含んでなるものである。したがって、本発明による培地添加剤は、本発明によるペプチドを含んでなり、かつ、該ペプチドの有する活性を阻害するものでない限り、任意の成分をさらに含んでいてもよい。このような任意の成分としては、例えば、慣用の培地成分の一部(例えば、ビタミン類、ホルモン類など)や、製剤分野において公知の成分などが挙げられる。ここで、製剤分野において公知の成分としては、例えば、通常用いられている賦形剤、増量剤、崩壊剤、結合剤、滑沢剤、着色剤、希釈剤、湿潤化剤、界面活性化剤、分散剤、緩衝剤、保存剤、溶解補助剤、防腐剤、矯味矯臭剤、無痛化剤、安定化剤などが挙げられる。さらに、緩衝剤、pH調整剤、等張化剤などをも前記成分として用いることができる。これら成分は、薬学上許容されうる担体として本発明において使用することができる。
本発明による培地添加剤の剤型は特に限定されないが、典型的な剤形としては、例えば、カプセル、粉末、顆粒、固形、液体、ゲル、シートなどが挙げられる。これらは、前記した任意成分を適宜用いることによって製造することができる。
本発明による培地添加剤の使用量は、添加する培地中において、本発明によるペプチドが所望する濃度となるように、適宜変更することができる。
細胞培養用培地
本発明による細胞培養用培地は、本発明によるペプチドまたは本発明による培地添加剤の有効量と、培地基礎成分とを少なくとも含んでなるものである。
ここで、培地基礎成分とは、通常、動物細胞が同化し得る炭素源、消化しうる窒素源および無機塩からなるものであり、例えば糖類、アミノ酸、無機塩類、およびビタミン類が挙げられる。また培地基礎成分には、必要に応じて、微量栄養促進物質、前駆物質などの微量有効物質をさらに配合してもよい。
このような培地基礎成分としては、当業者において公知の培地成分を使用することができ、具体的には例えば、MEM培地(H.Eagle, Science, 130, pp432(1959))、DMEM培地(R.Dulbecco, Virology, 8, pp396(1959))、RPMI1640培地(G.E.Moore, J.A.M.A., 199, pp519(1967))、Ham'sF12培地(R.G.Ham, Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A., 53, pp288(1965))、MCDB104培地(W.L.Mckeehan, In Vitro, 13, pp399(1977))、MCDB153培地(D.M.Peehe, In Vitro, 16, pp526(1980))、および、Sf900IISFM培地(Invitrogen社製等)を例示することができる。
また、例えば無血清培地ASF104(味の素株式会社製)、無血清培地SF−O2(三光純薬株式会社製)、無血清培地Hybridoma-SFM(ライフテックオリエンタル株式会社製)、無血清培地BIO-MPM-1(Biological Industries社製)、無血清培地EX-CELLTM302-HDP(JRH BIOSCIENCES社製)、無血清培地Cosmedium001(コスモ・バイオ株式会社製)および無血清培地SFM−101(日水製薬株式会社製)のような培地も、本発明において好適に使用することができる。
本発明による胞培養用培地は、前記した各成分を含んでなる限り、例えば、アルブミンやトランスフェリン等の結合タンパク、インスリン、上皮増殖因子(EGF)、繊維芽細胞増殖因子や各種ステロイドホルモン等のホルモン類、フィブロネクチン等の細胞接着因子などの各種の細胞増殖因子や、さらには血清を必要に応じて含んでいてもよい。
本発明の好ましい態様によれば、細胞培養用培地は、使用される血清の量が慣用の培地の場合に比べて低減されているものが好ましく、より好ましくは無血清培地、すなわち、血清由来成分を実質的に含まないものである。なおここで、無血清培地とは、血清を実質的に含有しないものをいい、血清以外の細胞増殖因子やホルモンは含んでいてもよい。
細胞培養用培地に対する本発明によるペプチドまたは本発明による培地添加剤の添加量は、培養する細胞の種類や培養条件に応じて適宜変更可能である。本発明によるペプチドの添加量で換算すると、培地中における該ペプチドの含有量は、培地全量に対して、10〜3000mg/Lの濃度であるのが好ましく、より好ましくは50〜2000mg/Lであり、さらに好ましくは100〜1000mg/Lである。
本発明による培地中における本発明のペプチドの含有量が少量であっても本発明は充分な効果を示すことができるが、本発明のペプチドは毒性が無く、水溶性にも優れるため、多量に添加しても特段問題を生じることは無い。
本発明による細胞培養用培地は、好ましくは、動物細胞の培養に使用される。ここでいう動物には、哺乳類、魚類、鳥類、昆虫類等が包含される。
本発明による培地により培養可能な動物細胞は、特に制限はなく、培養細胞として株化されたものであっても、生物組織から得られる株化されていない正常細胞であってもよい。したがって、本発明において、動物細胞は、例えば、その細胞自体がタンパク質を産生可能な細胞であっても、遺伝子工学的手法により形質転換されて異種タンパクを発現するようにされた細胞であってもよく、さらには、各種のウイルスベクターにより感染された細胞であってもよい。
細胞自体がタンパク質を産生する細胞としては、例えば、モノクローナル抗体を産生するハイブリドーマ、インターフェロン(IFN)−αを産生する白血球、IFN−βを産生する線維芽細胞、IFN−γを産生するリンパ球、プロウキナーゼ(プロUK)もしくはUKを産生するヒト腎細胞、組織プラスミノーゲンアクチベーター(tPA)を産生するメラノーマ細胞、インスリンを産生するIn−111細胞、グルカゴンを産生するHIT細胞、エリスロポエチンを産生するHepG2細胞およびインターロイキン−5を産生するB151K12細胞等が挙げられる。
また、遺伝子工学的手法により形質転換された株化された細胞としては、Vero細胞、HeLa細胞、CHO(chinese hamster ovary)細胞、HKG細胞、NIH3T3細胞、BHK細胞、COS−1細胞、COS−7細胞およびミエローマ細胞等が挙げられる。
ウイルスベクターにより感染された細胞としては、例えば、レトロウイルスベクター、レンチウイルスベクター、アデノウイルスベクター、アデノ随伴ウイルスベクター、およびヘルペスウイルスベクターなどのようなウイルスベクターに感染された細胞が挙げられる。この場合、ウイルスベクターは慣用の遺伝子工学的手法により遺伝子組み換えされたものであることができる。また、このようなウイルスベクターを感染させて、本発明による培地により培養される動物細胞としては、例えば、HEK(Human Embryonic Kidney)293細胞、A549細胞、およびPER.C6細胞等が挙げられる。
培養方法、およびその他
本発明の別の態様によれば、本発明によるペプチドまたは本発明による培地添加剤の有効量を添加してなる、細胞培養用培地を使用して、目的とする細胞を維持または増殖させることを含んでなる細胞の培養方法が提供される。
この場合の培養条件は、例えば培地中の酸素濃度、浸透圧、pH、培地温度等は、培養する細胞の種類、培養目的、培養する量、基礎培地成分の種類等に応じて適宜変更することができる。また培養の形式は、バッチ式培養、連続式培養や灌流培養などいずれの形式であってもよく、高密度培養を行ってもよい。
本発明のさらに別の態様によれば、本発明によるペプチドまたは本発明による培地添加剤の有効量を、細胞培養用培地に添加し、得られた培地を使用して、タンパク質を産生可能な動物細胞を培養し、該動物細胞を増殖させ、次いで、該培地および/または該動物細胞から、産生されたタンパク質を採取することを含んでなるタンパク質の製造方法が提供される。このタンパク質の製造方法において、好ましく製造することができるタンパク質としては、例えばモノクローナル抗体、IFN−α、IFN−β、IFN−γ、プロUKもしくはUK、tPA、インスリン、グルカゴン、エリスロポエチンおよびインターロイキン−5等が挙げられる。
本発明のさらなる態様によれば、本発明によるペプチドまたは本発明による培地添加剤の有効量を、細胞培養用培地に添加し、得られた培地を使用して、ウイルスベクターを感染させた動物細胞を培養して増殖させ、該培地および/または該動物細胞から、ウイルスベクターを採取することを含んでなるウイルスベクターの複製方法が提供される。この方法により複製可能なウイルスベクターとしては、前記例示の各種ウイルスベクターであることができ、これらは必要に応じて遺伝子組み換えされたものであることができる。目的とするウイルスベクターを、適宜選択した動物細胞に感染させるにあたっては、慣用の手段を適用することにより行うことができる。また、増殖させた細胞からのウイルスベクターの採取は、限外濾過および遠心分離等のような慣用の各種分離操作を適用することにより分離精製して行うことができる。このとき、ウイルスベクターの採取手段は、ウイルスベクターの種類に応じて適宜選択することが望ましい。
一般的に遺伝子治療には、ex vivo遺伝子治療法またはin vivo遺伝子治療法の二つの方法がある。前者は、患者由来の細胞を一旦体外で培養、遺伝子導入処理をした後に患者に投与する治療法であり、後者は遺伝子導入ベクターを直接患者体内へ投入する治療法である。本発明によれば、このような遺伝子治療法に用いられる遺伝子導入ウイルスベクターを、従来に比べてより効率的に複製することが可能である。また、本発明による培地は、かかる複製方法に用いられる動物細胞、例えば293細胞に対して、優れた増殖促進効果を示すことができる。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
製造例
ペプチドA(本発明):
配列番号1に示されるアミノ酸配列からなるペプチドを、ペプチドシンセサイザー Model 432A(Synergy(商標))(アプライド・バイオシステムズ社製)を使用し、Fmoc法にしたがって合成した。
すなわち、p−ヒドロキシメチル−フェノキシ−メチル(p-hydroxymethyl-phenoxy-methyl)(HMP)を基材とする25μmolのFmoc−L−Serine(tBu)HMP樹脂および各75μmol入りのFmocアミノ酸カートリッジを必須残基分ペプチドシンセサイザーにセットして合成を行い、ペプチドを結合させた樹脂を得た。この樹脂を遠心チューブに移し、チオアニソールおよびエタンジオールの存在下において、トリフルオロ酢酸で処理して、樹脂に結合しているペプチドを切り出した。次に、メチル−t−ブチルエーテル(MTBE)をここに加えて、樹脂から外れたペプチドを沈殿させた。これを、MTBEで洗浄しながらフィルターろ過し、保護基等の塩類を除去して、ペプチド含有物を得た。次に、2M酢酸を用いてこのペプチド含有物を溶解させて抽出し、粗ペプチドを得た。粗ペプチドは、COSMOSIL 5C18-AR-IIカラム(ナカライテスク社製)を用いた逆相HPLCによって精製した。このとき、溶媒としては、0.1%トリフルオロ酢酸/水と、0.1%トリフルオロ酢酸/アセトニトリルとを使用した。アセトニトリルによってカラムから溶出したペプチドを凍結乾燥して、精製ペプチド粉末(ペプチドA)約5mgを得た。
得られたペプチドを、プロテインシークエンサー Procise NT(アプライド・バイオシステムズ社製)およびMALDI−TOF−MS Voyager(商標)(アプライド・バイオシステムズ社製)を用いて分析することによって、このペプチドが配列番号1に示されるアミノ酸配列を有することを確認した。
ペプチドB(比較例):
国際公開WO02/086133号公報の製造例2の記載にしたがって、天然のセリシンに含まれる38アミノ酸からなる配列(配列番号2)を2回反復してなる、配列番号3に示されるアミノ酸配列からなるペプチド(ペプチドB)を得た。
評価試験
評価試験1: 細胞死抑制活性
本発明によるペプチドの細胞死抑制活性を、昆虫細胞Sf9(Invitrogen社製)を用いて評価した。
Sf9細胞は、通常、10%FCS(ウシ胎児血清)(Sigma社製)を含むSf900IISFM培地(Invitrogen社製)を用いて、27.5℃の温度条件下にて継代培養される。このように培養されたSf9細胞が、FCSを含まない培地に急に移されると、急激な血清飢餓条件にさらされることになり、著しい細胞死を引き起こすことが知られている。本試験では、このような急激な血清飢餓条件下に、被験細胞を置き、その生存率を測定することよって、本発明によるペプチドの細胞死抑制効果を評価した。
まず、10%FCS添加培地を用いて継代培養したSf9細胞を、4℃条件下、1000rpmで5分間遠心沈降させた。次いでその上清を捨てて、沈殿した細胞をFCSを含まないSf900IISFM培地に懸濁させた。これを、再度4℃条件下、1000rpmで、5分間遠心沈降させ、これにより細胞を洗浄した。
次に、細胞を急激な血清飢餓条件とするため、洗浄後の細胞を改めてFCSを含まないSf900IISFM培地に懸濁させ、細胞密度5×10cells/mlの細胞懸濁液を調製した。
一方、ペプチドA(本発明)を、ペプチド濃度が各々0.2mg/ml、0.6mg/ml、2.0mg/mlとなるように、FCSを含まないSf900IISFM培地に溶解して、ペプチド溶液を調製した。調製したペプチド溶液は、フィルター濾過によって、滅菌した。
次に、前記細胞懸濁液50μlと、前記ペプチド溶液50μlとを、96ウェルの細胞培養プレートに播種して、最終細胞密度が2.5×10cells/mlで、最終ペプチド濃度が各々0.1mg/ml、0.3mg/ml、1.0mg/mlとなるように調製した。この培養プレートを、27.5℃にて5日間培養した。
培養5日間後に、細胞をトリパンブルー染色し、死細胞と生細胞数をカウントすることにより、生存率を求めた。なお、生存率とは、細胞数カウント時における全細胞数に対する生細胞数の割合を意味する。
比較例として、ペプチドA(本発明)の代わりにペプチドBを使用した以外は、上記ペプチドAの場合と同様にして実験を行い、生存率を求めた。
また、別の比較例として、前記ペプチド溶液の代わりにウシ血清アルブミン(Sigma社製)溶液を使用した以外は、上記ペプチドAの場合と同様にして実験を行い、生存率を求めた。
結果は表1に示されるとおりであった。
ペプチドを添加しなかった場合(無添加の場合)には、Sf9細胞の生存率は、約20%であった。一方、ペプチドA(本発明)を添加した場合の生存率は、著しく向上しており、ペプチド濃度が1.0mg/mlのときの細胞の生存率は約60%であった。また、ペプチドA(本発明)の場合の生存率は、ペプチドB(比較例)の場合の生存率に比べて同等以上の値であった。
Figure 0004476645
評価試験2: 細胞増殖促進活性
本発明によるペプチドの細胞増殖促進活性を、昆虫細胞Sf9(Invitrogen社製)を用いて評価した。
Sf9細胞は、急激な血清飢餓条件にさらされると、評価試験1のような著しい細胞死を引き起こすとともに、その後の細胞増殖も低下することが知られている。本試験では、急激な血清飢餓条件下に、被験細胞を置いた後、被験細胞の細胞増殖能を測定することによって、本発明によるペプチドの細胞増殖促進効果を評価した。
評価試験1と同様にして細胞懸濁液を調製し、また、評価試験1と同様にしてペプチドA(本発明)を用いてペプチド溶液を調製した。この細胞懸濁液50μlと、ペプチド溶液50μlとを96ウェルの細胞培養プレートに評価試験1の場合と同様にしてに播種して、これを27.5℃にて9日間培養した。
培養9日間後に、MTTアッセイにより細胞増殖促進効果を評価した。
具体的には、9日間培養した96ウェルのプレートの各ウェルに、リン酸緩衝生理食塩水にて5mg/mlに溶かした3−(4,5−ジメチル−2−チアゾールイル)−2,5−ジフェニルテトラゾリウムブロミド(3-(4, 5-dimethyl-2-thiazolyl)-2, 5-diphenyl tetrazolium bromide)(MTT)を、5μlずつ添加し、これを27.5℃でさらに5時間培養した。MTTはこの培養の過程で、生細胞内で不溶性のホルマザン(formazan)に変換される。5時間培養した後、細胞培養上清を全て除去し、次いで、10%SDS、10mM NHCl溶液を、各ウェルに200μlずつ加え、細胞および細胞内のホルマザンを完全に溶解させた。次に、各ウェルの595nmにおける吸光度を、マイクロプレートリーダーによって測定した。
比較例として、ペプチドA(本発明)の代わりにペプチドBを使用した以外は、上記ペプチドAの場合と同様にして実験を行い、各ウェルの595nmにおける吸光度を測定した。
また、別の比較例として、前記ペプチド溶液の代わりにウシ血清アルブミン(Sigma社製)溶液を使用した以外は、上記ペプチドAの場合と同様にして実験を行い、各ウェルの595nmにおける吸光度を測定した。
結果は表2に示されるとおりであった。なお、生細胞密度の増加にともなって、MTTアッセイの吸光度値は高くなる。
ペプチドを添加しなかった場合(無添加の場合)には、MTTアッセイの吸光度値(OD595nm)は約0.3であった。一方、ペプチドA(本発明)を添加した場合には、MTTアッセイの吸光度値は、著しく上昇し、ペプチド濃度が1.0mg/mlのとき、約0.9であった。また、ペプチドA(本発明)の場合の細胞増殖促進活性は、ペプチドB(比較例)の場合の細胞増殖促進活性に比べて同等以上の性能を示した。
Figure 0004476645

Claims (10)

  1. 下記(a)〜(c)からなる群より選択される、ペプチド:
    (a) 配列番号1に示されるアミノ酸配列からなる、ペプチド;
    (b) 前記(a)のアミノ酸配列において1〜3個のアミノ酸残基が欠失、置換、挿入もしくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつ、細胞死抑制活性および/または細胞増殖促進活性を有する、ペプチド;および
    (c) 前記(a)のアミノ酸配列のペプチドと少なくとも80%の相同性を有するアミノ酸配列からなり、かつ、細胞死抑制活性および/または細胞増殖促進活性を有する、ペプチド。
  2. 細胞死抑制活性および/または細胞増殖促進活性を有するものである、請求項1に記載のペプチド。
  3. 請求項1に記載のペプチドであって、
    前記(a)のアミノ酸配列において1〜3個のアミノ酸残基が保存的に置換されてなるアミノ酸配列からなり、かつ、細胞死抑制活性および/または細胞増殖促進活性を有する、ペプチド。
  4. 化学的に合成して得られるものである、請求項1〜3のいずれか一項に記載のペプチド。
  5. ペプチドの薬学上許容されうる塩である、請求項1〜4のいずれか一項に記載のペプチド。
  6. 請求項1〜5のいずれか一項に記載のペプチドを含んでなる、細胞培養用培地添加剤。
  7. 請求項1〜5のいずれか一項に記載のペプチドまたは請求項6に記載の培地添加剤の有効量と、培地基礎成分とを少なくとも含んでなる、細胞培養用培地。
  8. 動物細胞の培養に用いられるものであって、血清由来成分を実質的に含まないものである、請求項7に記載の細胞培養用培地。
  9. 請求項1〜5のいずれか一項に記載のペプチドまたは請求項6に記載の培地添加剤の有効量を添加してなる、細胞培養用培地を使用して、目的とする細胞を維持または増殖させることを含んでなる、細胞の培養方法。
  10. 培養する細胞が動物細胞であって、細胞培養用培地が血清由来成分を実質的に含まないものである、請求項9に記載の方法。
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