JP4475707B2 - N末端メチオニンの除去方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、N末端に酸化されていてもよいメチオニン残基あるいは該メチオニン残基のジケトン体を有するペプチド(蛋白質を含む)またはその塩から酢酸およびぎ酸ナトリウム、ぎ酸およびぎ酸ナトリウムまたはぎ酸および酢酸ナトリウムの存在下、効率よくN末端の酸化されていてもよいメチオニン残基あるいは該メチオニン残基のジケトン体を除去する方法;およびN末端に酸化されていてもよいメチオニン残基あるいは該メチオニン残基のジケトン体を有していないペプチドまたはその塩の製造法等に関する。
【0002】
【従来の技術】
蛋白質が細胞内で生合成される際には、そのN末端は mRNAの開始コドンAUGに対応するメチオニンから始まっていることが知られている。しかしながらこのメチオニンは以後のプロセッシングによって取り除かれてしまうため、完成された成熟蛋白質分子にはもはや存在しないのが通例である。
遺伝子組換え技術の進歩により、有用な蛋白質を微生物や動物細胞、例えば大腸菌を用いて産生することが可能となったが、本手法により産生される蛋白質には、上記メチオニンが残存している例が見い出されている。例えば、大腸菌で発現させたヒト成長ホルモンにおいてメチオニンの付加率はほぼ100%[ネイチャー(Nature),293,408(1981)]に達し、インターフェロン−αにおいては50%[ジャーナル・オブ・インターフェロン・リサーチ(J. Interferon Res.),1,381(1981)]、非グリコシル化ヒトインターロイキン−2では、天然型ヒトインターロイキン−2と同じくアラニンではじまる分子種(rIL−2)に加え、アミノ末端にさらにメチオニンの付加した(N末端にメチオニン残基を有する)分子種(Met−rIL−2)の存在が認められている。
一方、N末端のアミノ酸を化学的に除去する方法としては、Dixon が、1964年に、DL−アラニルグリシンにグリオキシル酸、ピリジン、酢酸銅を反応させるとアミノ基移転反応が起こり、ピルボイルグリシンが生成すること[バイオケミストリー・ジャーナル(Biochem. J),92,661(1964)]、さらに、化合物にチオセミカルバジドを反応させるとアミド結合の解裂が起こり、グリシンを生成することを報告している[バイオケミストリー・ジャーナル(Biochem.J),90,2C(1964)]。次いで、この反応をチトクロームc−551(Pseudomonas cytochrome c−551)に応用し、N末端グルタミン酸が除去されることを報告している[バイオケミストリー・ジャーナル(Biochem. J),94,463(1965)]。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
同じ蛋白質であっても、N末端にメチオニンの付加した分子種とそうでない分子種とは蛋白質の高次構造、生物活性、安定性が相互に異なる可能性があり、さらにメチオニンのN末端への付加が抗原性の増加をもたらす可能性もありうるものと考えられる。従って、産業利用上の観点から、この開始コドンに対応するN末端メチオニン除去法を確立することは意義あることと考えられる。
この課題を解決するため、臭化シアン(BrCN)分解によってメチオニンを取り除く方法が提案[サイエンス(Science),198,1056(1977)]されているが、この場合は所望の成熟蛋白質中にメチオニン残基が存在しないことが前提となる上、過酷な化学反応を蛋白質に付す該方法によっては、決して満足する結果は得られない。
N末端にメチオニン残基を有するペプチドまたは蛋白質から、ペプチドまたは蛋白質の種類に拘わらず、選択的かつ効率的に、N末端のメチオニン残基を除去することを可能とする化学的な方法としては、特開平10−72489号(EP−A−812856号)に記載の方法以外には全く知られていないが、このことは、最終生産物となるペプチドまたは蛋白質を変性させることなく、マイルドな条件下でN末端のメチオニン残基を除去しうる化学的な反応を見い出すことの困難性に起因すると考えられる。特に、分子量が比較的大きく、遺伝子工学的に製造される蛋白質、なかでも、医薬として用いることを目的とした蛋白質から、N末端に余分に付加したメチオニンを除去する場合、メチオニン除去後に蛋白質の活性が低下しないことが要求されるため、通常、弱酸性から弱アルカリの水溶液中で加熱することなく、反応を進行させる必要があり、化学的な反応条件としては制限が多いので、良好な反応条件を見い出せないのが現状であった。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、遺伝子工学的に製造されるペプチド(蛋白質を含む)におけるN末端のメチオニン残基のみを切断することによる、天然型のアミノ酸配列を有するペプチドの製造法を提供すべく鋭意研究したところ、下記のスキーム1に表されるとおり式(I)で表わされるN末端に酸化されていてもよいメチオニン残基を有するペプチドに、例えば、α-ジケトン類であるグリオキシル酸、遷移金属イオンを供与しうる硫酸銅、塩基(例えばアミン類)であるピリジンを反応させて、アミノ基移転反応を行うことにより得られる該メチオニン残基のジケトン体を有するペプチドに塩基(例えばジアミン類)である3,4−ジアミノ安息香酸と、酢酸およびぎ酸ナトリウム、ぎ酸およびぎ酸ナトリウムまたはぎ酸および酢酸ナトリウム等の存在下に反応させて加水分解反応を行うことにより、該メチオニン残基のジケトン体を有するペプチドからメチオニン残基のジケトン体を予想外にも効率よく除去できることを見出した。すなわち、本発明者らはメチオニン残基を有するペプチドから、N末端の酸化されていてもよいメチオニン残基を除去し、その活性を低下させることなく、N末端に酸化されていてもよいメチオニン残基を有していないペプチドを予想外にも高収率で得る方法を見い出し、さらに研究を進め、本発明を完成させるに至った。
(スキーム1)
【化1】
[式(I)中、mは0ないし2の整数を示し、Xはアミノ酸残基または2以上の任意のアミノ酸数を有するペプチド鎖であればいずれでもよいが、実用的な面からは、遺伝子工学的に製造された蛋白質のXに対応する部分のペプチド鎖が挙げられる。なお、本願明細書において、蛋白質あるいはペプチドと称する場合、複数のアミノ酸からなるペプチドまたは蛋白質は、非グリコシル化またはグリコシル化ペプチドまたは蛋白質のいずれであってもよい。]
本願明細書においては、上記スキーム1中、
一般式(I)に代表される化合物を「N末端に酸化されていてもよいメチオニン残基を有するペプチド」または「メチオニン残基を有するペプチド」;
一般式(I)において
【化2】
[式中、mは前記と同意義]
に代表される部分構造を「酸化されていてもよいメチオニン残基」、「メチオニン残基」または「メチオニン」;
一般式(II)に代表される化合物を「N末端に酸化されていてもよいメチオニン残基のジケトン体を有するペプチド」または「メチオニン残基のジケトン体を有するペプチド」;
一般式(II)において
【化3】
[式中、mは前記と同意義]
に代表される部分構造を「酸化されていてもよいメチオニン残基のジケトン体」または「メチオニン残基のジケトン体」;および、
一般式(III)に代表される化合物を「N末端に酸化されていてもよいメチオニン残基を有していないペプチド」または「N末端に酸化されていてもよいメチオニン残基のジケトン体を有していないペプチド」
と、それぞれ称することがある。
【0005】
すなわち、本発明は、
(1)N末端に酸化されていてもよいメチオニン残基のジケトン体を有するペプチドまたはその塩を、酢酸およびぎ酸ナトリウム、ぎ酸およびぎ酸ナトリウムまたはぎ酸および酢酸ナトリウムの存在下に3,4−ジアミノ安息香酸またはその塩と反応させることを特徴とする該メチオニン残基のジケトン体の除去方法、
(2)N末端に酸化されていてもよいメチオニン残基のジケトン体を有するペプチドまたはその塩が、N末端に酸化されていてもよいメチオニン残基を有するペプチドまたはその塩をα−ジケトン類と反応させることにより得られるペプチドまたはその塩である前記(1)記載の方法、
(3)N末端に酸化されていてもよいメチオニン残基を有するペプチドが遺伝子工学的に製造されたペプチドである前記(2)記載の方法、
(4)ペプチドが(i)成長ホルモン,(ii)ベータセルリン,(iii)インターロイキン−2,(iv)ニューロトロフィン−3または(v)アペリンである前記(1)記載の方法、
(5)ペプチドが成長ホルモンである前記(1)記載の方法、
(6)酢酸およびぎ酸ナトリウム、ぎ酸およびぎ酸ナトリウムまたはぎ酸および酢酸ナトリウムが、pH約2ないし9で約0.1ないし8mol/Lの緩衝液として用いられることを特徴とする前記(1)記載の方法、
(7)N末端に酸化されていてもよいメチオニン残基のジケトン体を有するペプチドまたはその塩を、酢酸およびぎ酸ナトリウムの存在下に3,4−ジアミノ安息香酸またはその塩と反応させることを特徴とする該メチオニン残基のジケトン体の除去方法、
(8)N末端に酸化されていてもよいメチオニン残基のジケトン体を有するペプチドまたはその塩を、酢酸およびぎ酸ナトリウム、ぎ酸およびぎ酸ナトリウムまたはぎ酸および酢酸ナトリウムの存在下に3,4−ジアミノ安息香酸またはその塩と反応させることを特徴とするN末端に酸化されていてもよいメチオニン残基を有していないペプチドまたはその塩の製造法、
(9)N末端に酸化されていてもよいメチオニン残基のジケトン体を有するペプチドまたはその塩が、N末端に酸化されていてもよいメチオニン残基を有するペプチドまたはその塩をα−ジケトン類と反応させることにより得られるペプチドまたはその塩である前記(8)記載の製造法、
(10)酢酸およびぎ酸ナトリウム、ぎ酸およびぎ酸ナトリウムまたはぎ酸および酢酸ナトリウムが、pH約2ないし9で約0.1ないし8mol/Lの緩衝液として用いられることを特徴とする前記(8)記載の製造法、
(11)N末端に酸化されていてもよいメチオニン残基のジケトン体を有するペプチドまたはその塩を、酢酸およびぎ酸ナトリウムの存在下に3,4−ジアミノ安息香酸またはその塩と反応させることを特徴とするN末端にメチオニン残基を有していないペプチドまたはその塩の製造法、
(12)遺伝子工学的に製造され、N末端に酸化されていてもよいメチオニン残基を有するヒト成長ホルモンまたはその塩をグリオキシル酸またはその塩と硫酸銅およびピリジンの存在下に反応させた後、酢酸およびぎ酸ナトリウム、ぎ酸およびぎ酸ナトリウムまたはぎ酸および酢酸ナトリウムの存在下に3,4−ジアミノ安息香酸またはその塩と反応させることを特徴とするN末端にメチオニン残基を有していないヒト成長ホルモンまたはその塩の製造法、
(13)N末端に酸化されていてもよいメチオニン残基を有するペプチドまたはその塩の該メチオニン残基を除去するための、(i)酢酸およびぎ酸ナトリウム、ぎ酸およびぎ酸ナトリウムまたはぎ酸および酢酸ナトリウムと(ii)3,4−ジアミノ安息香酸またはその塩の使用、
(14)N末端に酸化されていてもよいメチオニン残基のジケトン体を有するペプチドまたはその塩の該メチオニン残基のジケトン体を除去するための、(i)酢酸およびぎ酸ナトリウム、ぎ酸およびぎ酸ナトリウムまたはぎ酸および酢酸ナトリウム、と(ii)3,4−ジアミノ安息香酸またはその塩の使用、
(15)N末端に酸化されていてもよいメチオニン残基を有するペプチドまたはその塩から、N末端に酸化されていてもよいメチオニン残基を有しないペプチドまたはその塩を製造するための、(i)酢酸およびぎ酸ナトリウム、ぎ酸およびぎ酸ナトリウムまたはぎ酸および酢酸ナトリウム、と(ii)3,4−ジアミノ安息香酸またはその塩の使用、および、
(16)N末端に酸化されていてもよいメチオニン残基のジケトン体を有するペプチドまたはその塩から、N末端に酸化されていてもよいメチオニン残基のジケトン体を有していないペプチドまたはその塩を製造するための、(i)酢酸およびぎ酸ナトリウム、ぎ酸およびぎ酸ナトリウムまたはぎ酸および酢酸ナトリウム、と(ii)3,4−ジアミノ安息香酸またはその塩の使用、に関する。
【0006】
本明細書において、酸化されていてもよいメチオニン残基は、メチオニン残基またはそのS酸化体を示し、メチオニン残基のS酸化体としては、スルホキシドおよびスルホン体が挙げられる。
N末端に酸化されていてもよいメチオニン残基を有するペプチドとしては、式CH3-S(O)m-(CH2)2-CH(NH2)-CO-X[式中、mは0ないし2の整数を示し、Xはアミノ酸残基またはペプチド鎖を示す。]で表されるペプチドが挙げられ、これらは塩を形成してもよく、塩としては、本発明の反応を阻害しないものであれば何れでもよいが、中でも薬学的に許容可能な塩が好ましく、塩酸、臭化水素酸、硝酸、硫酸、リン酸など無機酸との塩、酢酸、フタル酸、フマル酸、酒石酸、マレイン酸、クエン酸、コハク酸、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸などの有機酸との塩、ナトリウム塩、カリウム塩などのアルカリ金属塩、カルシウム塩などのアルカリ土類金属塩、アンモニウム塩などが挙げられる。
N末端に酸化されていてもよいメチオニン残基を有するペプチドは、遺伝子工学的に製造されたN末端に酸化されていてもよいメチオニン残基を有するペプチドであることが好ましい。
【0007】
上記式中、mとしては0が好ましい。また、Xとしてはアミノ酸の数が2以上のペプチド鎖が好ましい。
本発明のペプチドとしては、アミノ酸数が50未満のいわゆるペプチドあるいはアミノ酸数が50以上のいわゆる蛋白質の何れであってもよい。
このように、本願明細書において、「ペプチド」で示される用語は、アミノ酸数が50未満の分子のみならず、アミノ酸数が50以上の分子をも含むものであるが、なかでも、アミノ酸数が50以上の分子(いわゆる蛋白質)が好ましく用いられる。
好ましいペプチドとしては、アミノ酸数が2ないし1000であるペプチド、さらに好ましくはアミノ酸数が15ないし500であるペプチドが挙げられ、その具体例としては、成長ホルモン(GH)類〔例えば、ヒト成長ホルモン(hGH)(例、20K−hGH、22K−hGHなど)など〕、ベータセルリン(BTC)、副甲状腺ホルモン(PTH)、インシュリン、神経成長因子、脳由来神経栄養因子、毛様体神経栄養因子、グリア由来神経栄養因子、ニューロトロフィン−3、4または6、中枢神経成長因子、グリア成長因子、肺由来神経栄養因子、上皮細胞成長因子、繊維芽細胞成長因子、血小板由来成長因子、トランスフォーミング成長因子αまたはβ、血管内皮細胞成長因子、ティッシュ・プラスミノーゲン・アクチベータ、ウロキナーゼ、プロテインC、トロンボモジュリン、骨形成因子、カルシトニン、インスリン様成長因子、インターフェロン−α、βまたはγ、インターロイキン−1(α、β)〜12、顆粒コロニー刺激因子、顆粒マクロファージ・コロニー刺激因子、顆粒マクロファージ刺激因子、トロンボポエチン、エリスロポイエチン、PACAP、心房性ナトリウム利尿ペプチド、エンドセリン、巨核球成長因子、血液幹細胞成長因子、肝細胞成長因子、モチリン、イムノトキシン、腫瘍壊死因子、ヒルジン、コルチコトロピン、アンジオテンシン、アンジオテンシン2およびそのペプチド性拮抗薬、アンジオテンシン3、ブラジキニン類、ブラジキニン増強因子、α、βまたはγエンドルフィン、エンケファリン、好球中走化性因子、ガストリン、グルカゴン、成長ホルモン放出因子、キョウトルフィン、カリジン、性腺刺激ホルモン放出ホルモン、肥満細胞脱顆粒ペプチド、メラニン細胞刺激ホルモン、ニューロテンシン、トリプシンインヒビター、オキシトシン、プロインシュリンC−ペプチド、セクレチン、ソマトスタチン、甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン、ユビキチン、ウロガストロン、バソプレッシン類、キニン類、タフトシン、ソマトメジン、コルチコトロピン放出因子、インスリン様成長因子、カルシトニン遺伝子関連ペプチド、PTHrP、VIP、DHI、インスリノトロピン、GRP、CCK−PZ、Galanin(ガラニン)、アカトラムペプチド(Antrum Peptide)、PPY、Pancreatic Polypeptide、PSP、パンクレアスタチン、hCG、hCS、リラキシン、血清胸腺因子、サイモポイエチン、サイモシン、ファクターXIII、ファクターVIII、プロウロキナーゼ、SOD、ファクターVIIa、アンチトロンビン、アペリンなどの蛋白質およびそれらのムテイン(天然型の蛋白質に1つ以上のアミノ酸が置換、欠損または付加し、天然の蛋白質と同等またはそれ以上の生物学的または免疫学的活性を示すもの)など、あるいは化学合成などにより製造される公知または新規のペプチドなどが挙げられるが、なかでも、遺伝子工学的に製造されたペプチド(蛋白質を含む)、とりわけ、遺伝子工学的に製造された成長ホルモン類〔例えば、ヒト成長ホルモン(hGH)(例、20K−hGH、22K−hGHなど)など〕、ニューロトロフィン−3、ベータセルリン、副甲状腺ホルモン、インターロイキン−2、アペリンおよびそれらのムテイン,特に成長ホルモン類〔例えば、ヒト成長ホルモン(hGH)(例、20K−hGH、22K−hGHなど)など〕およびそれらのムテイン、とりわけ成長ホルモン類〔例えば、ヒト成長ホルモン(hGH)(例、20K−hGH、22K−hGHなど)など〕が好ましく用いられる。前記アペリンとしては、例えばBiochem. Biophys. Res. Commun., 251, 471-476 (1998)に記載のヒトアペリン−36、ヒトアペリン−13、アペリン−13のN末端のアミノ酸(Gln)がピログルタミン酸化したペプチドなどがあげられ、APJ(O'Dowd. B.F., et al., Gene, 436, 355-359 (1993))に対し、リガンド活性を有するペプチドであれば、如何なるものであっていてもよく、具体的には、例えば特願平10−271654号に記載の「配列番号:3で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するレセプター蛋白質に結合能を有するポリペプチド」などが挙げられる。
上記したペプチド(天然型の蛋白質を含む)は、何れの動物種由来のものであってもよいが、実用的には、ヒト由来のペプチド(蛋白質を含む)が好ましく用いられる。
上記のペプチドは、N末端の酸化されていてもよいメチオニン(Met)残基または該メチオニン残基のジケトン体の除去工程に付す前あるいは後にリフォールディング(活性化、再生化)を行うことができる。
【0008】
本明細書において、N末端に酸化されていてもよいメチオニン残基のジケトン体を有するペプチドまたはその塩とは、式 CH3-S(O)m-(CH2)2-CO-CO-X[式中、mは0ないし2の整数を示し、Xはアミノ酸残基またはペプチド鎖を示す。]で表される化合物またはその塩を示す。N末端に酸化されていてもよいメチオニン残基のジケトン体を有するペプチドまたはその塩は、化学反応または酵素反応等各種反応により得ることができる。例えば、化学反応により得る方法としては、N末端に酸化されていてもよいメチオニン残基を有するペプチドまたはその塩をα−ジケトン類と反応させるアミノ基移転反応により、N末端に酸化されていてもよいメチオニン残基のジケトン体を有するペプチドまたはその塩を得ることができる(特開平10−72489号(EP−A−812856号))。
本明細書において、α−ジケトン類は、上記したペプチドまたはその塩のアミノ基移転反応を進行させうるものであれば何れでもよく、例えば式R1−CO−CO−R2[式中、R1は水素またはカルボキシル基で置換されていてもよい低級アルキルもしくはフェニル基(好ましくは水素またはメチル、さらに好ましくは水素)を示し、R2は水酸基、低級アルコキシ基または低級アルキルで置換されていてもよいアミノ基(好ましくは水酸基)を示す。]で表される化合物またはその塩などが挙げられる。
上記式中、R1で示される低級アルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、i−プロピル、ブチル、i−ブチル、sec−ブチル、t−ブチルなどの炭素数1ないし6程度のアルキル基などが挙げられ、R2で示される低級アルコキシ基としては、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、i−プロポキシ、ブトキシ、i−ブトキシ、sec−ブトキシ、t−ブトキシなどの炭素数1ないし6程度のアルコキシ基などが挙げられる。また、R2で示される低級アルキルで置換されていてもよいアミノ基としては、前記したR1で示される低級アルキル基を1ないし2個有していてもよいアミノ基などが挙げられる。さらに、塩としては、上記したN末端に酸化されていてもよいメチオニン残基を有するペプチドの塩と同様なものが挙げられる。
α−ジケトン類の具体例としては、グリオキシル酸、ピルビン酸、オキサル酢酸、フェニルグリオキシル酸、2−オキソグルタル酸などが挙げられるが、なかでも、グリオキシル酸が好ましく用いられる。
α−ジケトン類は塩を形成していてもよく、ナトリウム塩、カリウム塩などのアルカリ金属塩、塩酸塩などの無機酸の塩などがあげられる。
【0009】
N末端に酸化されていてもよいメチオニン残基を有するペプチドまたはその塩とα−ジケトン類とのアミノ基転移反応は、通常、ペプチドまたはその塩1モルに対して、1ないし1万モル(好ましくは2000ないし4000モル)程度のα−ジケトン類を、約0ないし70℃(好ましくは約20ないし40℃)で約10分ないし5時間(好ましくは約20分ないし2時間)反応させるのが好ましい。上記したアミノ基転移反応を阻害しないものであれば何れの緩衝液(例、リン酸緩衝液、酢酸緩衝液、クエン酸緩衝液など)を用いてもよいが、なかでも、酢酸緩衝液が好ましく用いられる。また、反応のpHは、約2ないし9、なかでも、約4ないし7、とりわけ、約5ないし6に調整して反応を進行させるのがよい。
該アミノ基転移反応を促進するため、遷移金属イオンの存在下にα−ジケトン類を反応させることが好ましく、通常、α−ジケトン類1モルに対して、0.001ないし0.1モル(好ましくは0.01ないし0.05モル)程度の遷移金属イオンを用いるのが好ましい。遷移金属イオンとしては、例えば、銅イオン(Cu+,Cu2+)、コバルトイオン(Co2+,Co3+)、ニッケルイオン(Ni2+,Ni3+)、鉄イオン(Fe2+,Fe3+)、亜鉛イオン(Zn2+)、アルミニウムイオン(Al3+)、マンガンイオン(Mn2+など)、ガリウムイオン(Ga3+)、インジウムイオン(In3+)、マグネシウムイオン(Mg2+)、カルシウムイオン(Ca2+)などを用いることができるが、なかでも、銅イオン、コバルトイオンなど、とりわけ、銅イオン(Cu2+)が好ましく用いられる。これらの遷移金属イオンは、通常、硫酸、硝酸、塩酸、過塩素酸などの無機酸との塩または酢酸、シュウ酸、クエン酸、炭酸などの有機酸との塩として、反応溶媒に添加することができ、なかでも、硫酸銅、酢酸銅、とりわけ、硫酸銅が好ましく用いられる。
【0010】
また、塩基の存在下にα−ジケトン類を反応させることが好ましく、通常、α−ジケトン類1モルに対して、0.1ないし20モル(好ましくは0.5ないし10モル)程度の塩基を用いるのが好ましい。塩基としては、例えば、トリエチルアミン、トリブチルアミンなどのアルキルアミン類、N,N−ジメチルアニリン、ピリジン、ルチジン、コリジン、4−(ジメチルアミノ)ピリジン、イミダゾールなどの芳香族アミン類などを用いることができるが、なかでも、ピリジンが好ましく用いられる。
また、アミノ基転位反応の際に、N末端に酸化されていてもよいメチオニン残基を有するペプチドまたはその塩、および該ペプチドまたはその塩のアミノ基転位反応で得られるメチオニン残基のジケトン体を有するペプチドまたはその塩の沈殿防止などを目的として、該ペプチド,メチオニン残基のジケトン体を有するペプチドまたはその塩の種類に応じて、アミノ基転位反応のための緩衝液中に尿素を添加することが好ましい。例えば、hGHを用いる場合、緩衝液中に尿素を好ましくは約1ないし8M、より好ましくは約3ないし6Mの濃度になるよう添加することが好ましい。
【0011】
さらに、上記したアミノ基転移反応は、遷移金属イオンおよび塩基の存在下にα−ジケトン類を反応させることが好ましく、実用的には、遷移金属イオン、塩基およびα−ジケトン類の3成分(例えば、硫酸銅、ピリジンおよびグリオキシル酸など)を含有する混合液を、N末端に酸化されていてもよいメチオニン残基を有するペプチドまたはその塩を含有する水溶液に添加して、アミノ基転移反応を進行させる。
該アミノ基転移反応により得られ、式 CH3-S(O)m-(CH2)2-CO-CO-X[式中、mは0ないし2の整数を示し、Xはアミノ酸残基またはペプチド鎖を示す。]で表される化合物またはその塩(メチオニン残基のジケトン体を有するペプチドまたはその塩)は、ペプチドまたは蛋白質の公知精製手段、例えば、抽出、塩析、分配、再結晶、クロマトグラフィーなどにより、反応溶液から単離・精製することもできるが、そのまま次の加水分解反応に付すこともできる。
アミノ基転移反応で得られたメチオニンのジケトン体を有するペプチドまたはその塩は、通常、塩基による加水分解反応に付して、N末端の酸化されていてもよいメチオニン残基あるいは該メチオニン残基のジケトン体を有していないアミノ酸、ペプチドまたはその塩に変換することができる。
【0012】
加水分解反応に用いる塩基としては、例えば、システアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミンなどのアルキルアミン類またはその塩、N,N−ジメチルアニリン、ピリジン、ルチジン、コリジン、4−(ジメチルアミノ)ピリジン、イミダゾールなどの芳香族アミン類またはその塩、o−フェニレンジアミン、トリレン−3,4−ジアミン、3,4−ジアミノ安息香酸およびそのN−アルキル置換体(例えば、N−メチル−1,2−フェニレンジアミン、N−エチル−1,2−フェニレンジアミン、N−イソプロピル−1,2−フェニレンジアミンなど)、2,3−ジアミノフェノール、4−クロロ−o−フェニレンジアミンなどのジアミン類(好ましくは芳香族ジアミン類、なかでも、3,4−ジアミノ安息香酸およびそのN−アルキル置換体(例えば、N−メチル−1,2−フェニレンジアミン、N−エチル−1,2−フェニレンジアミン、N−イソプロピル−1,2−フェニレンジアミンなど)またはそれらの塩など、チオセミカルバジド、アセトンチオセミカルバジド、フェニルチオセミカルバジドなどのチオセミカルバジド類、セレノセミカルバジド、アセトンセレノセミカルバジドなどのセレノセミカルバジド類などのアミン類またはその塩などを用いることができるが、なかでも、アミン類、とりわけ、ジアミン類またはチオセミカルバジド類またはそれらの塩が好ましく用いられ、特に、3,4−ジアミノ安息香酸またはその塩が好ましく用いられる。
加水分解反応に用いられる塩基の塩としては、例えば上記のN末端に酸化されていてもよいメチオニン残基を有するペプチドの塩と同様のものなどがあげられる。
【0013】
塩基の量は、通常、メチオニン残基のジケトン体を有するペプチドまたはその塩1モルに対して約1ないし1万モル、好ましくは約200ないし3000モル、より好ましくは約500ないし3000モルである。加水分解反応は、通常、約0ないし70℃(好ましくは約20ないし40℃)で約1時間ないし7日間(好ましくは約10時間ないし5日間)で進行させるのが好ましい。反応には、緩衝液を溶媒として用いることが好ましく、緩衝液としては、例えば、ぎ酸系緩衝液(例えば、酢酸−ぎ酸ナトリウム、ぎ酸−ぎ酸ナトリウム、ぎ酸−酢酸ナトリウムなど)などが挙げられる。上記した加水分解反応を阻害しないものであれば何れの緩衝液を用いてもよいが、なかでも、酢酸−ぎ酸ナトリウム、ぎ酸−ぎ酸ナトリウムまたはぎ酸−酢酸ナトリウム緩衝液が好ましく用いられる。また、反応のpHは、約2ないし9、なかでも、約3ないし7、とりわけ、約4ないし6に調整して、反応を進行させるのがよい。これらの緩衝液は、好ましくは約0.1〜8mol/L、より好ましくは約0.5〜6mol/L用いられる。
また、加水分解の際に、N末端の酸化されていてもよいメチオニン残基のジケトン体を有するペプチドまたはその塩および加水分解反応により生成する該メチオニン残基を有していないアミノ酸,ペプチドまたはその塩の沈殿防止等を目的として、該メチオニン残基のジケトン体を有するペプチド、該メチオニン残基を有していないアミノ酸,ペプチドまたはその塩の種類に応じて、加水分解反応のための緩衝液中に尿素を添加することが好ましい。例えば、hGHを用いる場合、緩衝液中に尿素を、好ましくは約1ないし6M、より好ましくは約2ないし5Mの濃度になるよう添加することが好ましい。
このようにして得られるアミノ酸、ペプチドまたはその塩は、公知の精製手段、例えば、抽出、塩析、分配、再結晶、クロマトグラフィーなどにより、反応溶液から単離・精製することもできるが、好ましい例として、例えば、SP−セファロース(ファルマシア バイオテク(株))あるいは、DEAE−5PW(東ソー(株))を介したイオン交換クロマトグラフィーなどによる精製法が挙げられる。
【0014】
本発明により製造されるペプチドはそのN末端にメチオニンを有さず、また目的とする生理活性ペプチド(例えば、天然の生理活性ポリペプチド)と同一のアミノ酸配列を有するものとして得られるので、目的とするペプチド(例えば、天然のポリペプチド)と同様の活性を有し低毒性で安全に医薬品や診断用薬剤として使用できる。
本発明により、N末端に酸化されていてもよいメチオニン残基あるいは該メチオニン残基のジケトン体を有するペプチドからN末端のメチオニン残基あるいは該メチオニン残基のジケトン体を特異的に除去することができる。
本発明の明細書および図面においてアミノ酸等の略号で表示する場合には、IUPAC−IUB Commission on Biochemical Nomenclature による略号あるいは当該分野における慣用略号に基づくものであり、その例を下に示す。またアミノ酸に関して光学異性がある場合は、特に明示しなければL−体を示す。
【0015】
SDS : ドデシル硫酸ナトリウム
Gly : グリシン
Ala : アラニン
Val : バリン
Leu : ロイシン
Ile : イソロイシン
Ser : セリン
Thr : スレオニン
Cys : システイン
Met : メチオニン
Glu : グルタミン酸
Gln : グルタミン
Asp : アスパラギン酸
Asn : アスパラギン
Lys : リジン
Arg : アルギニン
His : ヒスチジン
Phe : フェニルアラニン
Tyr : チロシン
Trp : トリプトファン
Pro : プロリン
Asx : Asp + Asn
Glx : Glu + Gln
【0016】
【発明の実施の形態】
以下の参考例および実施例によって本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに制限されるものではない。
【0017】
【実施例】
参考例1(T7プロモーターを用いたヒト成長ホルモン(hGH)発現ベクターの構築)
hGHの構造遺伝子は、ヒト下垂体cDNAライブラリー(Quick−Clone,CLONTECH社製)より、構造遺伝子の開始コドン上流に隣接してNde I切断部位を持つプライマー、及び始終コドン下流に隣接してBam HI切断部位を持つプライマーを用いて、PCRで増幅して回収した。これにより得られた両端に制限酵素認識部位が付加したhGH酵素遺伝子を、pT7BlueのT−クローニング部位に連結して(DNA Ligation Kit Ver.2、宝酒造株式会社製)pT7HGH−Naを作製した。これを、大腸菌JM109に導入し、アンピシリン耐性とβ−ガラクトシダーゼ活性を指標として形質転換体を選択した。
一方、以下の方法で発現ベクターを構築した。pBR322をNde Iで切断、T4 DNAポリメラーゼ(DNA Blunting Kit.宝酒造株式会社製)で末端を平滑化し、再度連結することによって、Nde I認識部位を欠損させたpBRdesNdeを作製した。pET3cをBgl II−EcoRVで切断し、約0.26kbpの断片を回収した後、T4DNAポリメラーゼで末端を平滑化し、pBRdesNdeのSca I断片と連結して、pBR/T7 desNdeを作製した。また、部位特異的変異導入(Quick Change,STRATAGENE社製)により、pBR322のBam HI認識部位を欠損させたpBR322desBamを作製した。pBR322desBamのSph I−Eco RV断片をpBR/T7 desNdeのSph I−Eco RV断片と連結してテトラサイクリン耐性発現ベクターpTCを作製した。テトラサイクリン耐性遺伝子とT7プロモーターの向きが逆のものをpTC1、同じものをpTC2とした。
pT7HGH−NaをNde I及びBam HIで切断してhGH構造遺伝子を回収し、pTC1のNde I−Bam HI断片と連結した後、大腸菌JM109に導入してアンピシリン耐性で形質転換体を選択、その株より再度プラスミドを回収して、発現プラスミドpTCHGH−Naとした。
大腸菌MM294を、T7ファージのRNAポリメラーゼ遺伝子で組換えられているラムダファージ(スチュディエ、スプラ)で溶原化した。その後、hGH発現ベクターpTCHGH−Naをこの大腸菌MM294(DE3)へ導入し、大腸菌MM294(DE3)/pTCHGH−Naを得た。なお、hGHの塩基配列は、pT7HGH−Naを作製した時点でABI Prism 377A DNAシーケンサーによって確認した。
【0018】
参考例2(大腸菌でのメチオニン残基を有するhGH(Met−hGH)の発現)
参考例1で得た形質転換細胞を、5mg/Lのテトラサイクリンを含むLB培地(1%ペプトン、0.5%酵母エキス、0.5%塩化ナトリウム)1リットルを含む2リットル容フラスコ中で30℃、16時間振とう培養した。得られた培養液を、0.02%ニューポールLB−625(消泡剤:三洋化成工業製)および5mg/Lのテトラサイクリンを含む20リットルのLB培地を仕込んだ50リットル容発酵槽へ移植して、37℃、6時間通気撹拌培養した。この培養液を360リットルの主発酵培地(1.68%リン酸一水素ナトリウム、0.3%リン酸二水素カリウム、0.1%塩化アンモニウム、0.05%塩化ナトリウム、0.05%硫酸マグネシウム、0.05%ニューポールLB−625、0.0005%塩酸チアミン、1.5%ブドウ糖、3.0%ハイケースアミノ、1.0%酵母エキス)を仕込んだ500リットル容発酵槽に移植して、37℃で通気撹拌培養を開始した。培養液の濁度が約1200クレット単位になった時点で17.85mg/L分のイソプロピル−β−D−チオガラクトピラノシド(IPTG)を添加し、さらに24リットルの30%ブドウ糖を添加しながら培養を続け、5時間後に培養液を遠心分離して、約12.3kgの湿菌体を得、−80℃に凍結保存した。
上記の形質転換大腸菌(MM294(DE3),pTCHGH−Na)は、受託番号FERM P−16546として平成9年12月10日に通商産業省工業技術院生命工学工業技術研究所(NIBH)に寄託され、受託番号FERM BP−6888として平成11年9月24日に国際寄託に移管された。また、上記の形質転換大腸菌(MM294(DE3),pTCHGH−Na)は、受託番号IFO 16124として財団法人発酵研究所(IFO)に平成9年10月16日に寄託されている。
【0019】
実施例1(Met−hGHの活性化)
参考例2で得られた菌体2kgに50mMトリス/HCl、8Mグアニジン塩酸塩溶液(pH8.0)6リットルを加えて菌体を溶解してから超音波破砕器(ソニファイアー450、ブランソン社)を用いて破砕処理を行った後、遠心分離(10000rpm、120分間)を行った。得られた上澄液6リットルに50mMトリス/HCl、0.28mMGSSG、1.4mMGSH、0.7Mアルギニン(pH8.0)18リットルを加えてpH8.0に調整した後、4℃で4日間活性化を行った。
【0020】
実施例2(Met−hGHの精製)
実施例1で活性化の終了した再生液をペリコンカセットシステム(PTGC膜、ミリポア社)で、20mMトリス/HCl、2.5M尿素(pH8.0)を加えながら電気伝導度が10mS以下になるまで脱塩、濃縮を行った後、得られた濃縮液5リットルに50mMリン酸緩衝液(pH6.0)を加えて50リットルに希釈後4℃に一晩静置した。ついで、連続遠心分離(JCF−Zロータ、ベックマン社)を行い、得られた上清50リットルに10M水酸化ナトリウムを加えてpH7.12に調整した後ペリコンカセットシステム(PTGC膜、ミリポア社)で濃縮し、20mMトリス/HCl(pH8.0)に置換後、遠心分離(10000rpm、30分)を行い上清を得た。ついでこの液を20mMトリス/HCl(pH8.0)で平衡化したDEAE−トヨパール650Mカラム(20cmφ×84cm、東ソー社)に吸着させ、十分に洗浄した後、20mMトリス/HCl、50mM塩化ナトリウム(pH8.0)で溶出を行い、Met−hGH画分として95リットルの溶出液を得た。さらに、この溶出液をペリコンカセットシステム(PTGC膜、ミリポア社)で濃縮、脱塩し、20mMトリス/HCl、6M尿素(pH8.0)に置換し、12.21グラムのMet−hGHを得た。
【0021】
実施例3(N末端メチオニン残基(N末端Met)の除去)
実施例2で得たMet−hGH溶液1800ミリリットルに2.5Mグリオキシル酸、40mM硫酸銅、50%ピリジン溶液450ミリリットルを加えよく撹拌した後25℃で60分間反応させた。次いで、20mMトリス/HCl、4.0M尿素(pH8.0)で平衡化したセファデックスG−25カラム(11.3cmφ×125cm、ファルマシアバイオテク社)に3リットル/hの流速で通液し、平衡化と同じ緩衝液を用いて展開し、メチオニン残基のジケトン体を有するhGH画分として4.2リットルの溶出液を得た。この溶出液を1.2M酢酸、2.4Mぎ酸ナトリウム、3.6M尿素溶液、48mM3,4−ジアミノ安息香酸溶液20.8リットル中によく撹拌しながら加えた後、30℃でゆっくり攪拌しながら3日間反応させた。反応後、この溶液をペリコンカセットシステム(PTGC膜、ミリポア社)で14リットルに濃縮し、7リットルずつ2回に分けて20mMトリス/HCl、4.0M尿素(pH8.0)で平衡化したセファデックスG−25カラム(25.2cmφ×50cm、ファルマシアバイオテク社)に6リットル/hの流速で通液し、hGH画分20リットルを集めた。ついで、高速液体クロマトグラフ法(ギルソンHPLCシステム、ギルソン社)により、この溶液をDEAE−5PWカラム(21cm×30cm、東ソー社)に通液吸着させた後、A=50mMトリス/HCl+2.5M尿素(pH8.0)、B=50mMMES[2−(N−モルホリノ)エタンスルホン酸]+2.5M尿素(pH4.0)とによる70〜85%BのpH勾配で、70分間、320ミリリットル/分の流速で溶出を行い、hGH画分5.84リットルを得た。このhGH画分に10MNaOH溶液を16ミリリットル加えてpH7.1に調整後、8回に分けて高速液体クロマトグラフ法(ギルソンHPLCシステム、ギルソン社)によるクロマトグラフィーを行った。所定量の濃縮液をPOROS20R1カラム(5cm×60cm、日本パーセプティブ社)に通液吸着させた後、A=25%n−プロパノール+75%50mMトリス/HCl(pH8.5)、B=35%n−プロパノール+65%50mMトリス/HCl(pH8.5)とによる50〜85%Bの濃度勾配で、150分間、50ミリリットル/分の流速で溶出を行い、hGH画分として34.7リットルの溶出液を得た。この溶出液に蒸留水を加えて200リットルに希釈してからペリコンカセットシステム(PTGC膜、ミリポア社)で5リットルに濃縮後更に、高速液体クロマトグラフ法(ギルソンHPLCシステム、ギルソン社)により、この溶液を3回に分けてDEAE−5PWカラム(10.8cm×20cm、東ソー社)に通液吸着させた後、A=50mMトリス/HCl+2.5M尿素(pH8.0)、B=50mMMES[2−(N−モルホリノ)エタンスルホン酸]+2.5M尿素(pH4.0)とによる70〜85%BのpH勾配で、70分間、80ミリリットル/分の流速で溶出を行い、hGH画分1616ミリリットルを得た。このhGH画分に10MNaOH溶液を2ミリリットル加えてpH7.1に調整後、限外ろ過装置(オメガ膜、富士フィルター社)で濃縮し、濃縮液0.4リットルを得た。この濃縮液を蒸留水で平衡化したセファクリルS−100カラム(11.3cmφ×50cm、ファルマシアバイオテク社)に2リットル/hの流速で通液、展開しhGH画分を得た。更に、この溶液をミリパック60(ミリポア社)でろ過し、hGH溶液2391ミリリットル(4638ミリグラムのhGH)を得た。
【0022】
実施例4(hGHの特徴決定)
(a)SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動を用いた分析
実施例3で得られたhGHに100mMDTTを含むサンプルバッファ[Laemmli,Nature,227,680(1970)]を等量加えてよく撹拌し、95℃で2分間加熱後、マルチゲル10/20(第一化学薬品)で電気泳動を行った。泳動後のゲルをクマシー・ブリリアント・ブルー(Coomassie Brilliant Blue)で染色した結果、約22KDaに単一のバンドが認められたことから、精製hGHは単一であることが確認された(図1)。
(b)N末端アミノ酸配列分析
N末端アミノ酸配列を気相プロテインシーケンサー(パーキンエルマー・アプライドバイオシステムズ社、モデル477A)を用いて決定した。その結果、得られたhGHのN末端アミノ酸配列はcDNAの塩基配列から推定されたhGHのN末端アミノ酸配列と一致した(表1)。
【表1】
(c)アミノ酸組成分析
アミノ酸組成をアミノ酸分析計(L−8500A,日立)を用いて決定した。その結果、得られたhGHのアミノ酸組成はcDNAの塩基配列から推定されるアミノ酸組成と一致した(表2)。
【表2】
(d)C末端アミノ酸分析
C末端アミノ酸をアミノ酸分析計(L−8500A,日立)を用いて決定した。得られたhGHのC末端アミノ酸はcDNAの塩基配列から推定されたC末端アミノ酸と一致した(表3)。
【表3】
【0023】
実施例5(hGHの活性測定)
実施例3で得られた精製hGHのNb2細胞[ジャーナル・オブ・クリニカル・エンドクリノロジー・アンド・メタボリズム、51巻、1058頁(1980)]に対する増殖促進効果は、標準品(ケミコンインターナショナル社、Temecula,California,USA)と同等であった。
【0024】
実施例6(N末端Metの除去)
実施例3で得たメチオニン残基のジケトン体を有するhGH画分0.4ミリリットルに20mMトリス/HCl、4.0M尿素(pH8.0)を加えて2ミリリットルに希釈した。この希釈液に等量の4M酢酸、4M酢酸ナトリウム、6M尿素溶液、80mM N−メチル−1,2−フェニレンジアミン溶液を加え、よく攪拌した後30℃で20時間反応させた。反応後、この溶液を20mMトリス/HCl、4.0M尿素(pH8.0)で平衡化したセファデックスG−25カラム(1cmφ×30cm、ファルマシア社)に60ミリリットル/hの流速で通液し、hGH画分10ミリリットルを集めた。ついで、高速液体クロマトグラフ法(ギルソンHPLCシステム、ギルソン社)により、この溶液をDEAE−5PWカラム(2.15cm×15cm、東ソー社)に通液吸着させた後、A=50mMトリス/HCl+2.5M尿素(pH8.0)、B=50mMMES[2−(N−モルホリノ)エタンスルホン酸]+2.5M尿素(pH4.0)とによる70〜85%BのpH勾配で、70分間、7.5ミリリットル/分の流速で溶出を行い、hGHを得た。
【0025】
実施例7(N末端Metの除去)
実施例3で得たメチオニン残基のジケトン体を有するhGH画分0.4ミリリットルに20mMトリス/HCl、4.0M尿素(pH8.0)を加えて2ミリリットルに希釈した。この希釈液に等量の2M酢酸、4Mぎ酸ナトリウム、6M尿素溶液、80mM N−メチル−1,2−フェニレンジアミン溶液を加え、よく攪拌した後30℃で20時間反応させた。反応後、この溶液を20mMトリス/HCl、4.0M尿素(pH8.0)で平衡化したセファデックスG−25カラム(1cmφ×30cm、ファルマシア社)に60ミリリットル/hの流速で通液し、hGH画分10ミリリットルを集めた。ついで、高速液体クロマトグラフ法(ギルソンHPLCシステム、ギルソン社)により、この溶液をDEAE−5PWカラム(2.15cm×15cm、東ソー社)に通液吸着させた後、A=50mMトリス/HCl+2.5M尿素(pH8.0)、B=50mMMES[2−(N−モルホリノ)エタンスルホン酸]+2.5M尿素(pH4.0)とによる70〜85%BのpH勾配で、70分間、7.5ミリリットル/分の流速で溶出を行い、hGHを得た。
【0026】
実施例8(N末端Metの除去)
実施例2で得たMet−hGH溶液1.8mlに2.5Mグリオキシル酸、40mM硫酸銅、50%ピリジン溶液0.45mlを加えよく攪拌した後25℃で60分間反応させた。ついで、20mMトリス/HCl、4.0M尿素(pH8.0)で平衡化したセファデックスG−25カラム(1.5cmφ×30cm、ファルマシアバイオテク社)に100ml/hの流速で通液し、平衡化と同じ緩衝液を用いて展開し、メチオニン残基のジケトン体を有するhGH画分として10mlの溶出液を得た。この溶出液を1.2M酢酸、2.4Mぎ酸ナトリウム、3.6M尿素溶液、48mM3,4−ジアミノ安息香酸溶液49.5ml中によく攪拌しながら加えた後、37℃でゆっくり攪拌しながら24時間反応させた。反応後、20mMトリス/HCl、4.0M尿素(pH8.0)で平衡化したセファデックスG−25カラム(4.6cmφ×60cm、ファルマシアバイオテク社)に500ml/hの流速で通液し、hGH画分150mlを集めた。ついで、高速液体クロマトグラフ法(ギルソンHPLCシステム、ギルソン社)により、この溶液をDEAE−5PWカラム(2.15cm×15cm、東ソー社)に通液吸着させた後、A=50mMトリス/HCl+2.5M尿素(pH8.0)、B=50mM MES[2-(N-モルホリノ)エタンスルホン酸]+2.5M尿素(pH4.0)とによる70〜85%BのpH勾配で、70分間、7.5ml/分の流速で溶出を行い、6.7mgのhGHを得た。
【0027】
実施例9(N末端Metの除去)
実施例2で得たMet−hGH溶液1.8mlに2.5Mグリオキシル酸、40mM硫酸銅、50%ピリジン溶液0.45mlを加えよく攪拌した後25℃で60分間反応させた。ついで、20mMトリス/HCl、4.0M尿素(pH8.0)で平衡化したセファデックスG−25カラム(1.5cmφ×30cm、ファルマシアバイオテク社)に100ml/hの流速で通液し、平衡化と同じ緩衝液を用いて展開し、メチオニン残基のジケトン体を有するhGH画分として10mlの溶出液を得た。この溶出液を2Mぎ酸、10Mぎ酸ナトリウム、6M尿素溶液、80mM3,4−ジアミノ安息香酸溶液10ml中によく攪拌しながら加えた後、30℃でゆっくり攪拌しながら3日間反応させた。反応後、20mMトリス/HCl、4.0M尿素(pH8.0)で平衡化したセファデックスG−25カラム(4.6cmφ×60cm、ファルマシアバイオテク社)に500ml/hの流速で通液し、hGH画分100mlを集めた。ついで、高速液体クロマトグラフ法(ギルソンHPLCシステム、ギルソン社)により、この溶液をDEAE−5PWカラム(2.15cm×15cm、東ソー社)に通液吸着させた後、A=50mMトリス/HCl+2.5M尿素(pH8.0)、B=50mM MES[2−(N−モルホリノ)エタンスルホン酸]+2.5M尿素(pH4.0)とによる70〜85%BのpH勾配で、70分間、7.5ml/分の流速で溶出を行い、6.0mgのhGHを得た。
【0028】
実施例10(メチオニン残基を有する20K−hGH(Met−20K−hGH)の活性化)
特開平10−234386号の参考例2記載の方法で得られた菌体40gにPBS(リン酸緩衝化生理食塩水)100ミリリットルを加えて懸濁した後、5分間、超音波破砕(ブランソン社)を行い菌体を破砕した。菌体破砕液を遠心分離(10000rpm、20分間)して上清を廃棄し、封入体を得た。この封入体に50mMトリス/HCl、8Mグアニジン塩酸塩溶液(pH8.0)2リットルを加えて封入体を溶解後、遠心分離(10000rpm、120分間)を行った。得られた上清液2リットルに50mMトリス/HCl、0.28mMGSSG、1.4mMGSH、0.7Mアルギニン(pH8.0)24リットルを加えて、4℃で1日間活性化を行った。
【0029】
実施例11(Met−20K−hGHの精製)
実施例10で活性化の終了した液をミニタン限外濾過システム(PTGC膜、ミリポア社)で20mMトリス/HCl、2.5M尿素(pH8.0)を加えながら電気伝導度が10mS/cm以下になるまで脱塩、濃縮を行った後、得られた濃縮液を遠心分離(10000rpm、20分間)し、濃縮液の上清150ミリリットルを得た。ついでこの液を50mMトリス/HCl、2.5M尿素/10%アセトニトリル(pH8.2)で平衡化したHiLoadTM Q Sepharose 16/10 HPカラム(1.6cmΦx10 cm、ファルマシア・バイオテク社)に吸着させ、十分に洗浄した後、0〜0.18M塩化ナトリウムの濃度勾配により流速3.0ミリリットル/分で溶出を行い、Met−20K−hGH画分として28ミリリットルの溶出液を得た。さらにこの画分をセントリプラス−10(ミリポア社)で濃縮・脱塩を行い、濃縮液15ミリリットルを得た。この液を再度、50mMトリス/HCl、2.5M尿素/10%アセトニトリル(pH8.2)で平衡化したHiLoadTM Q Sepharose 16/10 HPカラム(1.6cmΦx10 cm、ファルマシア・バイオテク社)に吸着させ、十分に洗浄した後、A=50mMトリス/HCl、2.5M尿素、10%アセトニトリル(pH8.2)及びB=50mMMES[2-(N-モルホリノ)エタンスルホン酸]、2.5M尿素、10%アセトニトリル(pH4.0)とによる0〜100%BのpH勾配で60分間、流速3.0ミリリットル/分で溶出を行い、Met−20K−hGH画分12ミリリットルを得た。この溶出液に2Mトリス/HCl(pH7.8)を0.6ミリリットル加えてpHを7.2に調整し、セントリプラス−10(ミリポア社)で濃縮を行った。この濃縮液0.5ミリリットルを10%エタノールを含むPBSで平衡化したSuperdexTM 75 HR 10/30(1.0 cmΦx 30 cm、ファルマシア・バイオテク社)に添加し、10%エタノールを含むPBSで溶出し、Met−20K−hGH画分7.5ミリリットルを得た。
【0030】
実施例12(N末端Metの除去)
実施例11によって得たMet−20K−hGH溶液6ミリリットルを20mMトリス/HCl、8M尿素(pH8.0)で平衡化したセファデックスG−25カラム(10mmIDx30cm、ファルマシアバイオテク社)に通液し、溶出してきたMet−20K−hGH画分を集め、更に限外濾過システム(ダイアフローメンブレンYM10、25mm、アミコン社)を使って2ミリリットルに濃縮した。この溶液に2.5Mグリオキシル酸、40mM硫酸銅、50%ピリジン溶液0.5ミリリットルを加えよく撹拌した後25℃で60分間反応させた。次いで、この反応液を20mMトリス/HCl、4M尿素(pH8.0)で平衡化したセファデックスG−25カラム(10mmIDx40cm、ファルマシアバイオテク社)に通液し、メチオニン残基のジケトン体を有する20K−hGH画分として4ミリリットルの溶出液を集めた。この溶出液に1.2M酢酸、2.4Mぎ酸ナトリウム、3.6M尿素、48mM3,4−ジアミノ安息香酸溶液20ミリリットルを加えよく撹拌した後30℃で65時間反応した。反応後、20mMトリス/HCl、4M尿素(pH8.0)で平衡化したセファデックスG−25カラム(20mmIDx40cm、ファルマシアバイオテク社)に通液し、20K−hGH画分を集めた後、更に高速液体クロマトグラフ法(ギルソンHPLCシステム、ギルソン社)により、この溶液を50mMトリス/HCl、2.5M尿素/10%アセトニトリル(pH8.2)で平衡化したHiLoadTM Q Sepharose 16/10 HPカラム(1.6cmΦx10 cm、ファルマシアバイオテク社)に吸着させ、十分に洗浄した後、A=50mMトリス/HCl、2.5M尿素、10%アセトニトリル(pH8.2)及びB=50mM MES[2−(N−モルホリノ)エタンスルホン酸]、2.5M尿素、10%アセトニトリル(pH4.0)とによる0〜100%BのpH勾配で60分間、流速3.0ミリリットル/分で溶出を行い、20K−hGH画分12ミリリットルを得た。この溶出液に2Mトリス/HCl(pH7.8)を0.6ミリリットル加えてpHを7.2に調整した後、セントリプラス−10(ミリポア社)で濃縮を行った。この濃縮液0.5ミリリットルを10%エタノールを含むPBSで平衡化したSuperdexTM 75 HR 10/30(1.0 cmΦx 30 cm、ファルマシア・バイオテク社)に添加し、10%エタノールを含むPBSで溶出し、20K−hGH画分7.5ミリリットルを得た。
【0031】
実施例13(20K−hGHの特徴決定)
(a)N末端アミノ酸配列分析
N末端アミノ酸配列を気相プロテインシーケンサー(パーキンエルマー・アプライドバイオシステムズ社、モデル477A)を用いて決定した。その結果、得られた20K−hGhのN末端アミノ酸配列はcDNAの塩基配列から推定された20K−hGHのN末端アミノ酸配列と一致した(表4)。
【表4】
(b)アミノ酸組成分析
アミノ酸組成をアミノ酸分析計(システム6300,ベックマン社)を用いて決定した。その結果、実施例12で得られた20K−hGHのアミノ酸組成は20K−hGHのcDNAの塩基配列から推定されるアミノ酸組成と一致した(表5)。
【表5】
【0032】
実施例14(20K−hGHの活性測定)
実施例12で得られた20K−hGHのNb2細胞[ジャーナル・オブ・クリニカル・エンドクリノロジー・アンド・メタボリズム、51巻、1058頁(1980)]に対する増殖促進効果のあることを確認した。
【0033】
実施例15
(メチオニン残基を有するヒトBTC(ヒトMet−BTC)の製造)
特開平6−87894号(EP−A−0555785号)の実施例4〜6、8および13に記載の方法に準じて、下記の方法でヒトMet−BTCを製造した。
(大腸菌のヒトBTCcDNA発現プラスミドの構築)
ヒト・プロBTC(1−147アミノ酸残基)をコードする0.6KbのEcoRI−BamHI断片を、特開平6−87894号(EP−A−0555785号)の実施例5に記載のプラスミドpTB1515から単離した。ATG翻訳開始コドン(5’−TATGGATGGG−3’;5’−AATTCCCATCCA−3’)を有する合成アダプターを上記0.6Kb断片のEcoRI部位に連結した後、生成した0.6Kb NdeI−BamHI断片を、T7プロモーター(Gene、56巻、125頁(1987年))を含有するプラスミドpET−3c中へ挿入し、プラスミドpTB1505を構築した。
ヒトBTCの80アミノ酸残基(特開平6−87894号(EP−A−0555785号)の図10−1〜図10−2の1(Asp)から80(Tyr)まで)をコードするDNA断片を得るため、鋳型としてプラスミドpTB1505、プライマーとして2個のオリゴヌクレオチド(5’−ATACATATGGATGGGAATTCCA−3’;5’−CCGGATCCTAGTAAAACAAGTCAACTCT−3’)を用いてPCR(polymerase chain reaction)を行った。生成物をNdeIおよびBamHIで消化し、2.0%アガロースゲル電気泳動で分画し、目的とする0.25KbDNA断片を単離した。この0.25KbNdeI−BamHI断片を、pET−3cのT7プロモーターの下流にT4DNAリガーゼを用いて連結しプラスミドpTB1516を得た(特開平6−87894号(EP−A−0555785号)の図13参照)。
(大腸菌でのヒトMet−BTCの発現)
大腸菌MM294を、T7ファージのRNAポリメラーゼ遺伝子で組み換えられているラムダファージ(スチュディエ、スプラ)で溶原化した。その後、プラスミドpLysSをこの大腸菌MM294(DE3)へ導入し、大腸菌MM294(DE3)/pLysSを得た。この菌体に上記参考例で得られたプラスミドpTB1516を導入し、大腸菌MM294(DE3)/pLysS,pTB1516を得た。
この形質転換細胞を、50μg/mlのアンピシリンと15μg/mlのクロラムフェニコールを含むLB培地(1%ペプトン、0.5%酵母エキス、0.5%塩化ナトリウム)1リットルを含む2リットル容フラスコ中で37℃、8時間振とう培養した。得られた培養液を19リットルの主発酵培地(1.68%リン酸一水素ナトリウム、0.3%リン酸二水素カリウム、0.1%塩化アンモニウム、0.05%塩化ナトリウム、0.05%硫酸マグネシウム、0.02%消泡剤、0.00025%硫酸第一鉄、0.0005%塩酸チアミン、1.5%ブドウ糖、1.5%カザミノ酸)を仕込んだ50リットル容発酵槽へ移植して、30℃で通気撹拌培養を開始した。培養液の濁度が約500クレット単位になった時点で、100mg/リットル分のイソプロピル−β−D−チオガラクトピラノシド(IPTG)を添加し、さらに培養を続け、7時間後に培養を終了した。この培養終了液を遠心分離して、約340gの湿菌体を得、−80℃に凍結保存した。
この形質転換大腸菌MM294(DE3)/pLysS,pTB1516は、受託番号FERM BP−3836として平成4年4月21日に通商産業省工業技術院生命工学工業研究所(NIBH)に寄託され、また受託番号IFO 15282として平成4年4月16日に財団法人発酵研究所(IFO)に寄託されている。
上述の方法により取得したN末端にメチオニン残基を有するヒトベータセルリン(Met−BTC)10mgを3M尿素溶液4mlに溶解した後、80mM硫酸銅 0.25ml、グリオキシル酸 0.25g、ピリジン 0.5mlの混合液を加え、25℃で1時間反応した。反応終了後、反応液を2.5M尿素+50mMリン酸緩衝液(pH6.0)で平衡化したセファデックスG−25カラム(25mmID×600mmL)に通液し、平衡化に用いた溶液を6ml/分の流速で展開し、メチオニン残基のジケトン体を有するBTC画分をプールした。続いてこの画分に等量の2M酢酸、4Mギ酸ナトリウム、3M尿素溶液を加えた後、3、4−ジアミノ安息香酸を40mM濃度になるように添加して、脱気、窒素ガスシールを行い、25℃で5日間反応した。反応終了後、反応液を50mMリン酸緩衝液(pH6.0)で平衡化したセファデックスG−25カラム(46mmID×600mmL)に通液し、平衡化に用いた緩衝液を10ml/分の流速で展開し、N末端にメチオニンの付加していないBTC画分をプールした。プールしたBTC画分をpH6.0に調整後、50mMリン酸緩衝液+0.1M NaCl+2.5M尿素(pH5.0)で平衡化したCM−5PW(21.5mmID×150mmL、東ソー(株))に吸着した後、0〜100%B(B=50mMほう酸緩衝液+0.1M NaCl+2.5M尿素、pH9.0)の段階勾配で60分間、6ml/分の流速で溶出を行い、BTC画分をプールした。さらに、BTC画分を0.1%TFAで平衡化したC4P−50(10mmID×250mmL、昭和電工(株))に吸着した後、20〜60%B(B=80%アセトニトリル/0.1%TFA)の段階勾配で40分間、2ml/分の流速で溶出した。BTCのフラクションをプールした後、凍結乾燥を行い、BTC約2.6mgを得た。
【0034】
実施例16(BTCの特徴決定)
a)SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動を用いた分析
実施例15で得られたBTCをSample buffer[Laemmli, ネイチャー(Nature), 227, 680 (1970)]に懸濁し100℃で1分間加熱した後、マルチゲル15/25(第一化学薬品(株))で電気泳動を行った。泳動後のゲルをクーマシーブリリアントブルー(Coomassie brilliant blue)で染色したところ、単一バンドの蛋白が認められ、精製品はほぼ単一であった(図2)。
b)N末端アミノ酸配列分析
N末端アミノ酸配列を気相プロテインシーケンサー(アプライドバイオシステム モデル477A)を用いて決定した。その結果、得られたBTCのcDNAの塩基配列から推定したBTCのN末端アミノ酸配列と一致した(表6)。
【表6】
c)アミノ酸組成分析
アミノ酸組成をアミノ酸分析計(ベックマン システム6300E)を用いて決定した。その結果、BTCのcDNAの塩基配列から推定したアミノ酸組成と一致した(表7)。
【表7】
d)C末端アミノ酸分析
C末端アミノ酸をアミノ酸分析計(ベックマン システム6300E)を用いて決定した。得られたBTCはcDNAの塩基配列から推定したC末端アミノ酸と一致した(表8)。
【表8】
e)BTCの生物活性
精製品はモレキュラー・セル・バイオロジー、8、588(1988)に記載の方法により、BALB/C3T3 A31-714 クローン 4(インターナショナル・ジャーナル・オブ・キャンサー、12、463(1973))を用いた活性測定を行い、標準品と同等の活性を有することを確認した。
【0035】
実施例17
特開平10−72489号(EP−A−812856号)の参考例5の方法により取得したN末端にメチオニン残基を有するヒトインターロイキン−2(Met−IL−2)50mgを4M尿素溶液40mlに溶解した後、100mM硫酸銅2.5ml、グリオキシル酸 2.5g、ピリジン 5.0mlの混合液を加え、25℃で1時間反応した。反応終了後、反応液を10mMリン酸緩衝液+2.5M尿素(pH5.0)で平衡化したセファデックス(Sephadex)G−25カラム(46mmID×600mmL)に通液し、平衡化に用いた溶液を10ml/分の流速で展開し、メチオニン残基のジケトン体を有するIL−2画分をプールした。続いてこの画分に等量の2M酢酸、4Mギ酸ナトリウム、3M尿素溶液を加えた後、3、4−ジアミノ安息香酸を40mM濃度になるように添加して、脱気、窒素ガスシールを行い、25℃で5日間反応した。反応終了後、反応液を10mMリン酸緩衝液+2.5M尿素(pH5.0)で平衡化したセファデックスG−25カラム(46mmID×600mmL)に通液し、平衡化に用いた緩衝液を10ml/分の流速で展開し、N末端にメチオニンの付加していないIL−2画分をプールした。プールしたIL−2画分を、25mMリン酸緩衝液(pH7.0)で平衡化したSP−5PW(21.5mmID×150mmL、東ソー(株))に吸着した後、30〜80%B(B=25mMリン酸緩衝液、pH8.0)の段階勾配で60分間、6ml/分の流速で溶出を行い、17.3mgのIL−2画分を得た。
【0036】
実施例18(IL−2の特徴決定)
a)SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動を用いた分析
実施例17で得られたIL−2をSample buffer[Laemmli,ネイチャー(Nature),227,680(1970)]に懸濁し100℃で1分間加熱した後、マルチゲル15/25(第一化学薬品(株))で電気泳動を行った。泳動後のゲルをクーマシーブリリアントブルー(Coomassie brilliant blue)で染色したところ、単一バンドの蛋白が認められ、精製品はほぼ単一であった(図3)。
b)N末端アミノ酸配列分析
N末端アミノ酸配列を気相プロテインシーケンサー(アプライドバイオシステム モデル477A)を用いて決定した。その結果、得られたIL−2のcDNAの塩基配列から推定したIL−2のN末端アミノ酸配列と一致した(表9)。
【表9】
c)アミノ酸組成分析
アミノ酸組成をアミノ酸分析計(ベックマン システム6300E)を用いて決定した。その結果、IL−2のcDNAの塩基配列から推定したアミノ酸組成と一致した(表10)。
【表10】
d)C末端アミノ酸分析
C末端アミノ酸をアミノ酸分析計(ベックマン システム6300E)を用いて決定した。得られたIL−2はcDNAの塩基配列から推定したC末端アミノ酸と一致した(表11)。
【表11】
e)IL−2の生物活性
生物活性測定は、IL−2依存細胞を用いる日沼らの方法[バイオケミカル・バイオフィジカル・リサーチ・コミュニケーションズ(Biochem.Biophys.Res.Commun.),109,363(1982)]に従がって行い、標準品と同等の活性を有することを確認した。
【0037】
実施例19(Met−hGHの活性化)
参考例2で得られた菌体1kgに50mMトリス/酢酸、8Mグアニジン塩酸塩溶液(pH8.5)4リットルを加えて菌体を溶解した後、遠心分離(10,000rpm)を行った。得られた上清液約4リットルに50mMトリス/酢酸、1.09mM還元型グルタチオン、0.055mM酸化型グルタチオン、109mMアルギニン、4.36M尿素溶液(pH8.0)44リットルを加えて、4℃で3日間活性化を行った。活性化の終了した液をペリコンカセットシステム(バイオマックス8膜、ミリポア社)で、20mMトリス/酢酸、2.5M尿素溶液(pH8.0)約25リットルを加えながら電気伝導度が5mS/cm以下になるまで濃縮脱塩を行った。再度、20mMトリス/酢酸溶液(pH8.0)約35リットルを加えながら脱塩を行った後、遠心分離(10,000rpm)を行い上清を得た。ついで、上清液を20mMトリス/酢酸溶液(pH8.0)で平衡化したDEAE−トヨパール650Mカラム(30cmφ×60cm、東ソー社)に吸着させ、20mMトリス/酢酸溶液(pH8.0)および20mMトリス/酢酸、25mM塩化ナトリウム溶液(pH8.0)で十分に洗浄した後、20mMトリス/酢酸、55mM塩化ナトリウム溶液(pH8.0)で溶出を行い、Met−hGH画分として50リットルの溶出液を得た。この溶出液をペリコンカセットシステム(バイオマックス8膜、ミリポア社)で濃縮脱塩し、Met−hGHを得た。
【0038】
実施例20(Met−hGHの活性化)
参考例2で得られた菌体1kgに50mMトリス/酢酸、8Mグアニジン塩酸塩溶液(pH8.5)4リットルを加えて菌体を溶解した後、遠心分離(10,000rpm)を行った。得られた上清液約4リットルに50mMトリス/酢酸、5.45mMシステイン塩酸塩一水和物、109mMアルギニン、4.91M尿素溶液(pH8.0)44リットルを加えて、4℃で3日間活性化を行った。活性化されたMet−hGHの量は実施例19の約1.2倍多く得られた。活性化の終了した液をペリコンカセットシステム(バイオマックス8膜、ミリポア社)で、20mMトリス/酢酸、2.5M尿素溶液(pH8.0)25リットルを加えながら電気伝導度が5mS/cm以下になるまで濃縮脱塩を行った。再度、20mMトリス/酢酸溶液(pH8.0)35リットルを加えながら脱塩を行った後、遠心分離(10,000rpm)を行い上清を得た。ついで、上清液を20mMトリス/酢酸溶液(pH8.0)で平衡化したDEAE−トヨパール650Mカラム(30cmφ×60cm、東ソー社)に吸着させ、20mMトリス/酢酸溶液(pH8.0)および20mMトリス/酢酸、25mM塩化ナトリウム溶液(pH8.0)で十分に洗浄した後、20mMトリス/酢酸、55mM塩化ナトリウム溶液(pH8.0)で溶出を行い、Met−hGH画分として50リットルの溶出液を得た。この溶出液をペリコンカセットシステム(バイオマックス8膜、ミリポア社)で濃縮脱塩し、Met−hGHを得た。
【0039】
実施例21(Met−hGHの活性化)
参考例2で得られた菌体1.25gに50mMトリス/酢酸、8Mグアニジン塩酸塩溶液(pH8.5)5ミリリットルを加えて菌体を溶解した後、遠心分離(10,000rpm)を行った。得られた上清液約5ミリリットルに50mMトリス/酢酸、5.45mMN−アセチル−L−システイン、109mMアルギニン、4.91M尿素溶液(pH8.0)55ミリリットルを加えて、4℃で3日間活性化を行った。その結果、システイン塩酸塩一水和物を添加した場合(実施例20)と同等のMet−hGHの活性化効率が認められた。
【0040】
実施例22(Met−hGHの活性化)
参考例2で得られた菌体1.25gに50mMトリス/酢酸、8Mグアニジン塩酸塩溶液(pH8.5)5ミリリットルを加えて菌体を溶解した後、遠心分離(10,000rpm)を行った。得られた上清液約5ミリリットルに50mMトリス/酢酸、5.45mMシステアミン塩酸塩、109mMアルギニン、4.91M尿素溶液(pH8.0)55ミリリットルを加えて、4℃で3日間活性化を行った。その結果、システイン塩酸塩一水和物を添加した場合(実施例20)と同等のMet−hGHの活性化効率が認められた。
【0041】
実施例23
特開平10−72489号(EP−A−812856号)の参考例3記載の方法により、N末端にメチオニン残基を有するヒトニューロトロフィン−3(Met−NT−3)を製造した。
N末端にメチオニンの付加したヒトニューロトロフィン−3(Met−NT−3)50mgを3M尿素溶液8mlに溶解し、0.2M硫酸銅 0.4ml、グリオキシル酸 0.5g、ピリジン 1mlの混合液を加え10mにした後、25℃で1時間反応した。反応終了後、反応液を2.5M尿素+10mMリン酸緩衝液(pH6.0)で平衡化したセファデックス(Sephadex)G−25カラム(25mmID×600mmL)に通液し、平衡化に用いた溶液を4ml/分の流速で展開し、メチオニン残基のジケトン体を有するNT−3画分をプールした。続いてこの画分に等量の2M酢酸、4Mギ酸ナトリウム、3M尿素溶液を加えた後、3、4−ジアミノ安息香酸を40mM濃度になるように添加して、25℃で5日間反応した。反応終了後、反応液を2.5M尿素+10mMリン酸緩衝液(pH6.0)で平衡化したセファデックスG−25カラム(46mmID×600mmL)に通液し、平衡化に用いた緩衝液を10ml/分の流速で展開し、N末端にメチオニン残基を有していないヒトニューロトロフィン−3(NT−3)画分をプールした。プールしたNT−3画分をpH5.0に調整後、50mMリン酸緩衝液+0.2MNaCl+2.5M尿素(pH5.0)で平衡化したCM−5PW(21.5mmID×150mmL、東ソー(株))に吸着した後、0〜100%B(B=50mMリン酸緩衝液+0.2M NaCl+2.5M尿素、pH8.0)の段階勾配で60分間、6ml/分の流速で溶出を行い、NT−3画分をプールした。さらに、NT−3画分を0.1%TFAで平衡化した C4P−50(21.5mmID×300mmL、昭和電工(株))に吸着した後、20〜60%B(B=80%アセトニトリル/0.1%TFA)の段階勾配で40分間、5ml/分の流速で溶出した。NT−3のフラクションをプールした後、凍結乾燥を行い、NT−3の凍結乾燥粉末約5mgを得た。
【0042】
実施例24(NT−3の特徴決定)
a)N末端アミノ酸配列分析
N末端アミノ酸配列を気相プロテインシーケンサー(アプライドバイオシステムズモデル477A)を用いて決定した。その結果、cDNAの塩基配列から推定したNT−3のN末端アミノ酸配列と一致した(表12)。
【表12】
b)アミノ酸組成分析
アミノ酸組成をアミノ酸分析計(ベックマン システム6300E)を用いて決定した。その結果、NT−3のcDNAの塩基配列から推定したアミノ酸組成と一致した(表13)。
【表13】
c)C末端アミノ酸分析
C末端アミノ酸をアミノ酸分析計(ベックマンシステム6300E)を用いて決定した。その結果cDNAの塩基配列から推定したC末端アミノ酸と一致した(表14)。
【表14】
d)NT−3の生物活性
実施例23で得られたNT−3についてDRG(ニワトリ有精卵をふ卵器で37.5℃、8−10日間揺卵して、胚発生を行った胎児から摘出した後神経節(Dorsal root ganglia))を用いた生物活性測定を行い、CHO細胞より得られたNT−3と同等の活性を有することを確認した。
【0043】
実施例25
実施例2で得られたMet−hGH溶液14.75mlを6M尿素溶液で60mlにした後、0.5M硫酸銅 1.2ml、グリオキシル酸 3.75g、ピリジン 7.5mlの混合液を加え75mlにした後、25℃で1時間反応した。反応終了後、反応液を4M尿素+20mMトリス緩衝液(pH8.0)で平衡化したセファデックス(Sephadex)G−25カラム(4.6cmID×60cmL)に通液し、平衡化に用いた溶液を10ml/分の流速で展開し、メチオニン残基のジケトン体を有するhGH画分をプールした。続いてこの画分に等量の2M酢酸、4Mギ酸ナトリウム、4M尿素溶液を加えた後、3、4−ジアミノ安息香酸を40mM濃度になるように添加して、30℃で4日間反応した。反応終了後、反応液を4M尿素+20mMトリス緩衝液(pH8.0)で平衡化したセファデックスG−25カラム(11.3cmID×80cmL)に通液し、平衡化に用いた緩衝液を30ml/分の流速で展開し、N末端にメチオニン残基を有していないhGH画分をプールした。プールしたhGH画分を、50mMトリス緩衝液+2.5M尿素(pH8.0)で平衡化したDEAE−5PW(5.5cmID×20cmL、東ソー(株))に吸着した後、0−100%B(B=50mM MES+2.5M尿素、pH4.0)の段階勾配で60分間、15ml/分の流速で溶出を行い、hGH約60mgを取得した。
【0044】
実施例26 ヒトアペリン−36構造遺伝子の調製
図4に示す6種類のDNA断片(#1,#5:グライナー・ジャパン社、#2,#6:キコーテック社、#3,#4:アマシャム・ファルマシア・バイオテク)を用いてアペリン−36の構造遺伝子を調製した(図5)。
a)DNAオリゴマーのリン酸化
5'末端になるべき#1及び#6を除いた4種類のオリゴマー各1μgを100 μLのリン酸化反応液[50mM Tris-HCl (pH7.6), 10mM MgCl2, 1mM スペルミジン、10mM ジチオスレイトール、0.1mg/mLウシ血清アルブミン、1mM ATP、10ユニット T4ポリヌクレオチドキナーゼ(日本ジーン)]中で37℃、1時間反応させ、5'末端のリン酸化を行った。フェノール処理を行った後、水層を回収し2倍量のエタノールを加え、−70℃に冷却した後、遠心でDNAを沈殿させた。
b)DNAフラグメントの連結
上記a)で得られたリン酸化DNAフラグメントと#1及び#2各1μgを合わせ120μLとした。この混合液を80℃で10分間保った後、室温まで徐冷しアニーリングを行った。TaKaRa DNA Ligation Kit ver.2 (宝酒造)を用いてライゲーション反応を行った。アニーリング液30 μLにII液30 μLを加え良く混合した後、I液60 μLを加え、37℃、1時間反応させ、ライゲーションを行った。フェノール処理を行った後、水層を回収し2倍量のエタノールを加え、−70℃に冷却した後、遠心でDNAを沈殿させた。
c)5'末端のリン酸化
沈殿をTE緩衝液(10mM Tris-HCl(pH8.0), 1mM EDTA)10 μLに溶解し、100 μLのリン酸化反応液[50mM Tris-HCl (pH7.6), 10mM MgCl2, 1mM スペルミジン、10mM ジチオスレイトール、0.1mg/mLウシ血清アルブミン、1mM ATP、10ユニット T4ポリヌクレオチドキナーゼ(日本ジーン)]中で37℃、1時間反応させ、5'末端のリン酸化を行った。フェノール処理を行った後、水層を回収し2倍量のエタノールを加え、−70℃に冷却した後、遠心でDNAを沈殿させ、20μLのTE緩衝液に溶解した。
【0045】
実施例27 ヒトアペリン−36発現プラスミドの調製
pTB960-2(EP-A-499990:小山ら、ジャーナル・オブ・バイオテクノロジー、32巻、273頁)をXbaI及びAvaIで消化し、1%アガロース電気泳動を行い約4.4KbpのDNA断片をQIAquick Gel Extraction Kit(キアゲン社)を用いて抽出し、25μLのTE緩衝液に溶解した。このpTB960-2のXbaI, AvaI断片と上記により調製したヒトアペリン−36の構造遺伝子をTaKaRa DNA Ligation Kit ver.2 (宝酒造)を用いてライゲーション反応を行った。すなわちpTB960-2のXbaI, AvaI断片溶液1μLとヒトアペリン−36の構造遺伝子溶液4μLを混合し、I液5 μLを加え、16℃、30分間反応させ、ライゲーションを行った。ライゲーション液10 μLを用いてE. coli JM109コンピテントセル(東洋紡)を形質転換し、10μg/mLのテトラサイクリンを含むLB寒天培地上に播き、37℃で1日培養し、生じたテトラサイクリン耐性コロニーを選んだ。この形質転換体をLB培地で一晩培養し、QIAprep8 Miniprep Kit(キアゲン社)を用いてプラスミドpTB960-13を調製した。このヒトアペリン−36構造遺伝子部分の塩基配列をアプライドバイオシステムズ社モデル377DNAシークエンサーを用いて確認した。プラスミドpTB960-13を大腸菌BL21(DE3)株(Novagen社)に形質転換を行い、10μg/mLのテトラサイクリンを含むLB寒天培地上に播き、37℃で1日培養し、ヒトアペリン−36-CS23融合蛋白質発現株BL21(DE3)/pTB960-13を得た(図6)。この形質転換大腸菌BL21(DE3)/pTB960-13は受託番号FERM BP-6590で1998年12月2日付で通産省工業技術院生命工学工業技術研究所に寄託された。また1998年11月11日付で受託番号IFO16220として財団法人発酵研究所(IFO)に寄託された。
【0046】
実施例28
実施例27で得られた形質転換細胞を、5.0mg/Lのテトラサイクリンを含むLB培地(1%ペプトン、0.5%酵母エキス、0.5%塩化ナトリウム)1Lを用いて、2リットル容フラスコ中で37℃、8時間振とう培養した。得られた培養液を19リットルの主発酵培地(1.68%リン酸1水素ナトリウム、0.3%リン酸2水素カリウム、0.1%塩化アンモニウム、0.05%塩化ナトリウム、0.05%硫酸マグネシウム、0.02%消泡剤、0.00025%硫酸第一鉄、0.00025%塩酸チアミン、1.5%ブドウ糖、1.5%カザミノ酸)を仕込んだ50L容発酵槽へ移植して、30℃で通気撹拌培養を開始した。培養液の濁度が約500クレット単位になった時点で、イソプロピル−β−D−チオガラクトピラノシド(IPTG)の最終濃度が12mg/Lになるように添加し、さらに4時間培養を行った。培養終了後、培養液を遠心分離し、約660gの湿菌体を取得し、−80℃で凍結保存した。
【0047】
実施例29 ヒトアペリン−36の取得
実施例28で得た菌体550gに10mM EDTA+1mM(p−アミジノフェニル)メタンスルホニルフルオリド塩酸塩(pH6.0)溶液1500mlを加え、超音波処理(BRANSON SONIFIER MODEL450)した後、遠心分離(10000rpm、60min)を行った。上澄液はプールし、沈殿は再び同様の操作を行った。プールした上澄液はpH6.0に調整し、50mM リン酸緩衝液(pH6.0)で平衡化したAF-Heparin Toyopearl 650Mカラム(30mmID×500mmL、東ソー)に通液し、吸着、洗浄した後、0〜100%B(B=50mM リン酸緩衝液+2M NaCl、pH6.0)の段階勾配で溶出を行い、530mlのヒトアペリン−36−CS23融合タンパク質画分を得た。
この溶出液をペリコンミニカセット(ミリポア社)で0.1M酢酸を加えながら濃縮を行い、ヒトアペリン−36−CS23融合タンパク質の0.1M酢酸溶液を得た。この溶液に最終濃度6Mとなるように尿素を添加した後、1−シアノ−4−ジメチルアミノピリジニウム塩(DMAP−CN)35mgを加えて、室温で15分間反応した。反応終了後、反応液を10%酢酸で平衡化したSephadex G−25カラム(46mmID×600mmL、ファルマシア)に通液し、平衡化に用いた10%酢酸を6ml/minの流速で展開し、S−シアノ化されたヒトアペリン−36−CS23融合タンパク質画分を得た。この溶出液をペリコンミニカセット(ミリポア社)で濃縮・脱塩を行い、ヒトアペリン−36−CS23融合タンパク質の脱塩液を得た。この脱塩液に最終濃度6Mとなるように尿素を添加した後、さらに、0.06N濃度となるように1N苛性ソーダを加え、0℃で15分間反応した。反応終了後、酢酸でpH6.0に調整し、ヒトアペリン−36を得た。この反応液を3M尿素を含む50mMリン酸緩衝液(pH6.5)で平衡化したSP−5PW(21.5mmID×150mmL、東ソー)に通液し、吸着、洗浄した後、0〜40%B(B=50mM リン酸緩衝液+1M NaCl+3M尿素、pH6.5)の段階勾配で溶出を行い、ヒトアペリン−36を画分を得た。このヒトアペリン−36画分を、さらに0.1%トリフルオロ酢酸(TFA)で平衡化したC4P−50(21.5mmID×300mmL、昭和電工)に通液し、吸着、洗浄した後、15〜30%B(B=80%アセトニトリル/0.1%TFA)の段階勾配で溶出を行い、ヒトアペリン−36画分をプールした後、凍結乾燥を行い、ヒトアペリン−36凍結乾燥粉末を得た。
a)アミノ酸組成分析
アミノ酸組成をアミノ酸分析計(日立L−8500A Amino Acid Analyzer)を用いて決定した。
その結果、N末端にメチオニン残基を有するヒトアペリン−36のDNA塩基配列から予想されるアミノ酸組成と一致した(表15)。
【0048】
【表15】
【0049】
b)N末端アミノ酸配列分析
N末端アミノ酸配列を気相プロテインシーケンサー(アプライドバイオシステムズ モデル477A)を用いて決定した。その結果、得られたヒトアペリン−36のN末端にはメチオニンが付加していることのほかはDNA塩基配列から予想されるN末端アミノ酸配列と一致した(表16)。
【0050】
【表16】
【0051】
c)C末端アミノ酸分析
C末端アミノ酸をアミノ酸分析計(日立L−8500A Amino Acid Analyzer)を用いて分析した(表17)。
【表17】
以上の結果から実施例29で得られたヒトアペリン−36は、そのN末端にメチオニン残基を有する分子種(Met−ヒトアペリン−36)であることがわかった。
【0052】
実施例30(生物活性測定)
実施例29で取得したMet−ヒトアペリン−36を用いて、特願平10−271645号(特開2000-159798)の実施例6に記載の方法(サイトセンサー)で活性を測定し、ヒトアペリン−36の合成品と同等の活性を有することを確認した。
【0053】
実施例31(N末端のメチオニン残基の除去)
実施例29で取得したMet−ヒトアペリン−36 4mgを3M尿素溶液0.8mlに溶解した後、80mM硫酸銅 0.05ml、グリオキシル酸 0.046g、ピリジン 0.1mlの混合液を加え、25℃で1時間反応した。反応終了後、反応液を2.5M尿素+10mMリン酸緩衝液(pH5.5)で平衡化したセファデックス(Sephadex)G−25カラム(10mmID×250mmL)に通液し、平衡化に用いた溶液を0.5ml/分の流速で展開し、メチオニン残基のジケトン体を有するヒトアペリン−36画分をプールした。続いてこの画分に等量の 2Mギ酸ナトリウム、4M酢酸、3M尿素溶液を加えた後、3,4−ジアミノ安息香酸を40mM濃度になるように添加し、30℃で3日間反応した。反応終了後、反応液を50mMリン酸緩衝液(pH6.0)で平衡化したセファデックスG−25カラム(25mmID×600mmL)に通液し、平衡化に用いた緩衝液を4ml/分の流速で展開し、N末端にメチオニン残基を有していないヒトアペリン−36画分をプールした。プールしたヒトアペリン−36画分をpH6.0に調整し、50mMリン酸緩衝液+0.1M NaCl+2.5M尿素(pH5.0)で平衡化したCM−5PW(7.5mmID×75mmL、東ソー(株))に吸着した後、0〜100%B(B=50mMほう酸緩衝液+0.1M NaCl+2.5M尿素、pH9.0)の段階勾配で40分間、0.8ml/分の流速で溶出を行い、ヒトアペリン−36画分をプールした。さらに、ヒトアペリン−36を0.1%TFAで平衡化した C4P−50(10mmID×250mmL、昭和電工(株))に吸着した後、15〜30%B(B=80%アセトニトリル/0.1%TFA)の段階勾配で40分間、2ml/分の流速で溶出した。ヒトアペリン−36のフラクションをプールした後、凍結乾燥を行い、ヒトアペリン−36を取得した。
a)アミノ酸組成分析
アミノ酸組成をアミノ酸分析計(日立L−8500A Amino Acid Analyzer)を用いて決定した。
その結果、hA10LのDNA塩基配列から予想されるアミノ酸組成と一致した(表18)。
【0054】
【表18】
【0055】
b)N末端アミノ酸配列分析
N末端アミノ酸配列を気相プロテインシーケンサー(アプライドバイオシステムズ モデル477A)を用いて決定した。その結果、得られたヒトアペリン−36のDNA塩基配列から予想されるN末端アミノ酸配列と一致した(表19)。
【0056】
【表19】
【0057】
c)C末端アミノ酸分析
C末端アミノ酸をアミノ酸分析計(日立L−8500A Amino Acid Analyzer)を用いて分析した(表20)。
【表20】
【0058】
実施例32(生物活性測定)
実施例31で取得したヒトアペリン−36を用いて、特願平10−271645号(特開2000-159798)の実施例6に記載の方法(サイトセンサー)で活性を測定し、ヒトアペリン−36の合成品と同等の活性を有することを確認した。
【0059】
【発明の効果】
本発明により、N末端に酸化されていてもよいメチオニン残基を有するペプチド、蛋白質またはその塩から、該メチオニン残基のみを選択特異的かつ効率的に取り除き、N末端に酸化されていてもよいメチオニン残基を有していないペプチド,蛋白質またはその塩を効率よく生産することができる。また、本発明の方法によれば、ペプチドまたは蛋白質の種類に拘わらず、しかもマイルドな条件下でN末端のメチオニン残基を化学的に除去することができるので、遺伝子工学的手法により製造されたメチオニン残基を有するペプチド,蛋白質またはその塩を原料にして、天然型のアミノ酸配列を有するペプチドまたは蛋白質を工業的に有利に製造することができる。
【0060】
【図面の簡単な説明】
【図1】は、実施例4a)で得られた電気泳動の結果を示す。レーン(Lane)1は分子量マーカーを、レーン(Lane)2は精製hGHを示す。
【図2】は、実施例16a)で得られた電気泳動の結果を示す。レーン(Lane)1は分子量マーカーを、レーン(Lane)2は実施例15で得られたBTCを示す。
【図3】は、実施例18a)で得られた電気泳動の結果を示す。レーン(Lane)1は分子量マーカーを、レーン(Lane)2は実施例17で得られたIL−2を示す。
【図4】は、実施例26で用いられたDNAフラグメントを示す。
【図5】は、実施例26で得られた2重鎖構成のヒトアペリン−36を製造する模式図を示す。
【図6】は、実施例27で得られたプラスミドpTB960−13の構築図を示す。
Claims (16)
- N末端に酸化されていてもよいメチオニン残基のジケトン体を有するペプチドまたはその塩を、酢酸およびぎ酸ナトリウム、ぎ酸およびぎ酸ナトリウムまたはぎ酸および酢酸ナトリウムの存在下に3,4−ジアミノ安息香酸またはその塩と反応させることを特徴とする該メチオニン残基のジケトン体の除去方法。
- N末端に酸化されていてもよいメチオニン残基のジケトン体を有するペプチドまたはその塩が、N末端に酸化されていてもよいメチオニン残基を有するペプチドまたはその塩をα−ジケトン類と反応させることにより得られるペプチドまたはその塩である請求項1記載の方法。
- N末端に酸化されていてもよいメチオニン残基を有するペプチドが遺伝子工学的に製造されたペプチドである請求項2記載の方法。
- ペプチドが(i)成長ホルモン,(ii)ベータセルリン,(iii)インターロイキン−2,(iv)ニューロトロフィン−3または(v)アペリンである請求項1記載の方法。
- ペプチドが成長ホルモンである請求項1記載の方法。
- 酢酸およびぎ酸ナトリウム、ぎ酸およびぎ酸ナトリウムまたはぎ酸および酢酸ナトリウムが、pH約2ないし9で約0.1ないし8mol/Lの緩衝液として用いられることを特徴とする請求項1記載の方法。
- N末端に酸化されていてもよいメチオニン残基のジケトン体を有するペプチドまたはその塩を、酢酸およびぎ酸ナトリウムの存在下に3,4−ジアミノ安息香酸またはその塩と反応させることを特徴とする該メチオニン残基のジケトン体の除去方法。
- N末端に酸化されていてもよいメチオニン残基のジケトン体を有するペプチドまたはその塩を、酢酸およびぎ酸ナトリウム、ぎ酸およびぎ酸ナトリウムまたはぎ酸および酢酸ナトリウムの存在下に3,4−ジアミノ安息香酸またはその塩と反応させることを特徴とするN末端に酸化されていてもよいメチオニン残基を有していないペプチドまたはその塩の製造法。
- N末端に酸化されていてもよいメチオニン残基のジケトン体を有するペプチドまたはその塩が、N末端に酸化されていてもよいメチオニン残基を有するペプチドまたはその塩をα−ジケトン類と反応させることにより得られるペプチドまたはその塩である請求項8記載の製造法。
- 酢酸およびぎ酸ナトリウム、ぎ酸およびぎ酸ナトリウムまたはぎ酸および酢酸ナトリウムが、pH約2ないし9で約0.1ないし8mol/Lの緩衝液として用いられることを特徴とする請求項8記載の製造法。
- N末端に酸化されていてもよいメチオニン残基のジケトン体を有するペプチドまたはその塩を、酢酸およびぎ酸ナトリウムの存在下に3,4−ジアミノ安息香酸またはその塩と反応させることを特徴とするN末端にメチオニン残基を有していないペプチドまたはその塩の製造法。
- 遺伝子工学的に製造され、N末端に酸化されていてもよいメチオニン残基を有するヒト成長ホルモンまたはその塩をグリオキシル酸またはその塩と硫酸銅およびピリジンの存在下に反応させた後、酢酸およびぎ酸ナトリウム、ぎ酸およびぎ酸ナトリウムまたはぎ酸および酢酸ナトリウムの存在下に3,4−ジアミノ安息香酸またはその塩と反応させることを特徴とするN末端にメチオニン残基を有していないヒト成長ホルモンまたはその塩の製造法。
- N末端に酸化されていてもよいメチオニン残基を有するペプチドまたはその塩の該メチオニン残基を除去するための、(i)酢酸およびぎ酸ナトリウム、ぎ酸およびぎ酸ナトリウムまたはぎ酸および酢酸ナトリウム、と(ii)3,4−ジアミノ安息香酸またはその塩の使用。
- N末端に酸化されていてもよいメチオニン残基のジケトン体を有するペプチドまたはその塩の該メチオニン残基のジケトン体を除去するための、(i)酢酸およびぎ酸ナトリウム、ぎ酸およびぎ酸ナトリウムまたはぎ酸および酢酸ナトリウム、と(ii)3,4−ジアミノ安息香酸またはその塩の使用。
- N末端に酸化されていてもよいメチオニン残基を有するペプチドまたはその塩から、N末端に酸化されていてもよいメチオニン残基を有しないペプチドまたはその塩を製造するための、(i)酢酸およびぎ酸ナトリウム、ぎ酸およびぎ酸ナトリウムまたはぎ酸および酢酸ナトリウム、と(ii)3,4−ジアミノ安息香酸またはその塩の使用。
- N末端に酸化されていてもよいメチオニン残基のジケトン体を有するペプチドまたはその塩から、N末端に酸化されていてもよいメチオニン残基のジケトン体を有していないペプチドまたはその塩を製造するための、(i)酢酸およびぎ酸ナトリウム、ぎ酸およびぎ酸ナトリウムまたはぎ酸および酢酸ナトリウム、と(ii)3,4−ジアミノ安息香酸またはその塩の使用。
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