JP4475525B2 - 偏光解消法による生体高分子のスクリーニング方法 - Google Patents

偏光解消法による生体高分子のスクリーニング方法 Download PDF

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Description

本発明は、新作物、新農薬、機能性食品、医薬品などの開発分野において、生体試料の挙動を研究するのに使用される分析方法に関し、特に測定対象物を特異的に認識して結合する核酸又は糖鎖を見つけるための生体高分子のスクリーニング方法に関するものである。
新作物、新農薬、機能性食品、医薬品などの開発分野において、高度な新製品を効率良く開発するために、物質が細胞に与える効果(例えば、遺伝子を導入した細胞が産生するタンパク質)を経時的に解析し、その効果が発現するメカニズムを捉えたいという要請がある。
例えば細胞の機能を解析する際には、従来、効果を確認したい物質を導入した細胞を容器の中で数時間から数日の間培養し、その上清液を分離して分析することにより細胞の機能解析が行われていた。この場合、得られる情報は、培養時間中に細胞が産生した物質の総和であり、経時的な細胞の応答を解析することは困難であった。
また、疾患の原因を解明したり、効果の高い新薬を開発したりするために、遺伝子の機能解析が盛んに行われている。中でも、遺伝子情報をタンパク質合成に翻訳するmRNAの解析は非常に重要である。その中で、アンチセンス法の技術は遺伝子発現を制御する様々な疾患の治療や遺伝子機能の解析に役立つと期待されている。
最近、高いアンチセンス効果を保持し、ターゲットmRNAに非常に強く結合する(結合係数Kaの大きい)アンチセンスオリゴヌクレオチド(ASON)(アンチセンス分子)が報告されている。そこでは、効果的なASONを設計する際に重要なファクターの1つであるカイネティクス(ターゲットmRNAとの結合速度)を評価する手法として、ゲル電気泳動を用いた手法(非特許文献1、2参照。)や、表面プラズモン共鳴を用いた手法(非特許文献3)が用いられている。
しかし、測定対象物であるmRNAに対するアンチセンス分子のターゲットサイトを決定することはいまだ困難であることが多い。これはmRNAの高次構造の複雑さに起因している場合もあるが、アンチセンス分子を短時間で有効に評価できるスクリーニング方法が確立されていないことにも原因がある。
ところで、経時的な細胞の応答を解析する方法の1つに蛍光偏光解消法がある。溶液中や膜内に固定化された状態の蛍光剤の運動性を評価できることから、蛍光標識を施した生体分子を蛍光プローブとして、その運動性の変化を観測することにより生体分子の微量検出に応用されている。蛍光偏光解消法は、蛍光プローブを検出系から分離することなく溶液中における対象分子との相互作用を解析できる特徴がある(特許文献1、非特許文献4参照。)。
特開2004−279143号公報 S. P. Walton, G. N. Stephanopoulos, M. L. Yarmush, C. M. Roth, Thermodynamic and kinetic characterization of antisense oligodeoxynucleotide binding to a structured mRNA, Biophys. J. 82 (2002) 366-377. F. Venturini, J. Braspenning, M. Homann, L. Gissmann, G. Sczakiel, Kinetic selection of HPV 16 E6/E7-directed antisense nucleic acids: anti-proliferative effects on HPV 16-transformed cells, Nucleic Acids Res. 27 (1999) 1585-1592. A. J. Thiel, A. G. Frutos, C. E. Jordan, R. M. Corn, L. M. Smith, In situ surface plasmon resonance imaging detection of DNA hybridization to oligonucleotide array on gold surfaces, Anal. Chem 69 (1997) 4948-4956. T.Sakamoto et al.,Study on structure of ribosomal RNA by time-resolved luminescence anisotropy analysis, Nucleic Acids Research Supplement No.1, pp.143-144
細胞に関わる様々な反応をリアルタイムに解析することが求められており、さらに、細胞の糖タンパク質産生及び糖鎖構造の解析も細胞の機能を解析する上で重要である。
しかし、ゲル電気泳動を用いた手法は時間がかかって稼動率が高くないという問題点だけでなく、ゲル電気泳動を用いた手法や表面プラズモン共鳴を用いた手法は、実際の生理学的な系で測定することができないため実情を反映していないという問題があった。
本発明は測定対象物である生体高分子を特異的に認識して結合する核酸を実際の生理学的な系で測定して評価できるようにすることを目的とするものである。
本発明のスクリーニング方法は、1分子内にターゲットサイトとなる複数個の塩基配列をもつRNA又はDNAからなる測定対象物を特異的に認識して結合する核酸を見つけるために、それらのターゲットサイトの塩基配列に対して相補的な配列をもつオリゴヌクレオチドを蛍光標識したものをそれぞれのターゲットサイトに対する蛍光プローブとして用意し、基体内部に容積が1μL以下の反応室をもち、外部からその反応室につながる流路が形成され、反応室の上側又は下側が励起光照射による蛍光測定が可能な透明部材となっている反応容器を用いる。そして、蛍光プローブのそれぞれについて、
(a)前記反応室に測定対象物又は前記蛍光プローブを導入する導入ステップ、
(b)前記ステップにおいて前記反応室に測定対象物が先に入れられた場合はその後に前記反応室に蛍光プローブを導入し、又は前記ステップにおいて前記反応室に蛍光プローブが先に入れられた場合はその後に前記反応室に測定対象物を導入することにより、前記測定対象物に蛍光プローブを接触させて反応を開始させる反応開始ステップ、及び
(c)前記反応室内の測定対象物と蛍光プローブを含む前記試料反応液に励起光を照射して蛍光偏光解消法により蛍光異方性を測定するとともに、この測定を反応開始から所定の時間にわたって行なうことにより蛍光異方性の変化量と変化速度の少なくとも一方を求める測定ステップを実行し、測定ステップの結果に基づいてどの蛍光プローブのオリゴヌクレオチドが測定対象物を特異的に認識して結合するかを見つける。
測定対象物はRNA又はDNAであり、蛍光プローブは蛍光標識核酸であり、好ましい一例はアンチセンス分子である。
試料反応液の体積は1μL以下である
蛍光偏光解消法には、パルス光源を用いて偏光励起し、遅れて出てくる蛍光の偏光度の時間変化を10ナノ秒から数マイクロ秒の間に検出する「時間分解蛍光偏光解消法」と、光源に定常光を用いて偏光励起する「定常光励起による蛍光偏光解消法」とがある。時間分解蛍光偏光解消法では蛍光剤の蛍光寿命を測定することができ、定常光励起による蛍光偏光解消法では時間分解蛍光偏光解消法で得られる偏光度の時間平均値が得られる。本発明で使用する蛍光偏光解消法は、そのいずれの方法も含んでいる。
蛍光異方性rは、試料に特定の偏光方向の直線偏光の励起光を照射し、受光した蛍光のうち励起光の偏光方向と等しい偏光方向及びそれに直交する偏光方向のそれぞれの直線偏光成分に基づいて求める。蛍光異方性rは励起偏光と平行な成分と直交する成分との蛍光強度の差を全蛍光強度で除した値である。蛍光異方性rの時間変化関数r(t)と分子の回転運動を表す回転相関時間(θ)には以下に次に示すような関連があるため、蛍光標識プローブと結合した測定対象物の回転運動を読み取ることができる。ここで示したように、複数の回転運動成分が存在する場合でも、r(t)を多成分の指数関数で近似することで個々に評価することが可能となる。
r(t)=(IVV(t)−IVH(t))/(IVV(t)+2IVH(t))
=Σaiexp(−t/θi)
θ=1/6D
=ηV/kT
ここで、
VV:蛍光の縦偏光成分強度
VH:蛍光の横偏光成分強度
D:回転拡散係数
η:粘度
V:分子の体積
k:ボルツマン定数
T:絶対温度(K)
I:個々の分子(あるいは結合部位)を表わし、上記の説明では回転運動成分
i:比例係数(存在割合の比)で、aiをすべて足すと1になる
蛍光異方性rは分子の回転運動により減衰していくが、励起光の照射又は蛍光発生から一定時間後のそれらの値の変化は測定対象物量の増減を表わす。そこで、本発明の好ましい態様では、時間分解蛍光偏光解消法により励起光の照射又は蛍光発生から一定時間後の測定値の経時変化として行なう。
蛍光プローブの蛍光剤としては、フルオレセインのほか、種々のものを使用することができる。
測定対象物と蛍光プローブが相互作用した物質を経時的に検出することを目的とした場合、蛍光偏光解消法は相互作用を定量的に測定することが原理的に可能であるが、測定したい蛍光以外に試料中の培地やレンズから発生する自家蛍光(背景光)がノイズとして含まれることがあるため、これを除去することができれば好都合である。自家蛍光は寿命が短いものが多いことを利用して、自家蛍光が消滅した後に目的の蛍光を検出することにより自家蛍光によるノイズを除去することができる。
その方法として、時間分解蛍光偏光解消法を使用するのが好ましい。その際、蛍光プローブの蛍光剤として蛍光寿命が200ナノ秒から2マイクロ秒の範囲にあるものを使用してその蛍光寿命内で蛍光異方性の測定を行なうようにするのが好ましい。蛍光寿命が200ナノ秒から2マイクロ秒の範囲にある蛍光剤としては、Ru(ルテニウム)錯体をあげることができる。Ru錯体の一例として、[Ru(phen)3]Cl2(tris-1,10-Phenanthroline ruthenium(II)dichloride)などを挙げることができる。
本発明で用いる反応容器は、基体内部に容積が1μL以下の反応室が形成され、外部からその反応室につながる流路が形成され、前記反応室の上側又は下側が励起光照射による蛍光測定が可能な透明部材となっており、前記流路を経て前記反応室に測定対象物又は蛍光プローブを入れ、その後前記流路を経て前記反応室に蛍光プローブ又は測定対象物を導入することにより反応を開始させて蛍光測定を行なえるようにしたものである。
複数の蛍光プローブを並行して評価することにより稼動率を上げるための好ましい反応容器は、1つの基体に反応室及び流路が複数個形成されており、複数の蛍光プローブについて並行して測定を行ないうるようにしたものである。
本発明のスクリーニング方法では測定対象物に蛍光プローブを接触させる試料反応液を調製し、測定対象物と蛍光プローブとの相互作用を蛍光偏光解消法による蛍光異方性の変化量、変化速度又はその両方により評価するようにしたので、蛍光プローブを検出系から分離することなく生理学的な環境下で溶液中における測定対象物と蛍光プローブとの相互作用を解析してカイネティックスを評価することができるようになる。
試料反応液の体積を1μL以下としたので、測定対象物を不用意に薄めることがなくなり、微量測定が可能となる。
蛍光偏光解消法として時間分解蛍光偏光解消法を採用し、蛍光プローブの蛍光剤として蛍光寿命が200ナノ秒から2マイクロ秒の範囲にあるものを使用してその蛍光寿命内で蛍光異方性の測定を行なうようにすれば、自家蛍光によるノイズを除去することができる。
本発明で用いる反応容器は、容積が1μL以下の反応室とそれにつながる流路が形成されたものであるので、測定対象物と蛍光プローブを接触させる反応開始時点を明確にすることができるので、蛍光異方性の変化量や変化速度をより正確に測定することができるようになる。
その反応容器として、1つの基体に反応室及び流路が複数個形成されており、複数の測定対象物について並行して測定を行ないうるようにしたものを使用すれば、スクリーニングの稼動率を上げることができる。
蛍光異方性の測定を行なう装置について説明する。
蛍光偏光解消法には定常光励起による蛍光偏光解消法と時間分解蛍光偏光解消法があるが、前者の定常光励起による蛍光偏光解消法は通常の蛍光顕微鏡により実施することができる。そこで、本発明の好ましい蛍光偏光解消法としての時間分解蛍光偏光解消法を実施する装置の一例を図1に示す。
試料が収容された反応容器としてマイクロチップ2を使用する。マイクロチップ2は顕微鏡4の試料保持台に保持する。パルス励起光を出力するパルス励起光源部としてパルスレーザー装置6が設けられており、パルスレーザー装置6からのパルス励起光をマイクロチップ2の試料に照射するために、励起光波長の光を反射し、試料からの蛍光を透過させるダイクロイックミラー8が設けられている。パルスレーザー装置6から出力されたパルス励起光を特定の偏光方向、例えば縦方向の偏光方向をもつ直線偏光にする偏光手段として偏光板10が、パルスレーザー装置6とダイクロイックミラー8の間の光路上に配置されている。これにより、偏光板10により偏光方向が規定されたパルス励起光が顕微鏡4を通してマイクロチップ2中の微小空間内にある試料に照射される。ダイクロイックミラー8と顕微鏡4は照射光学系を構成している。
パルス励起光の照射により試料から発生した蛍光は、顕微鏡4を通ってダイクロイックミラー8を透過し、偏光板10と同一の偏光方向に設定された検光子(偏光素子)12を通過した後、励起光成分を除去するカットオフフィルタ14を経て検出手段のストリークスコープ16に導かれて検出される。顕微鏡4、検光子12及びカットオフフィルタ14は受光光学系を構成している。
演算手段(図示略)は、ストリークスコープ16で検出された検出信号のうち、蛍光発生から所定の時間後、例えば200ナノ秒から2マイクロ秒の範囲の検出信号を使用して蛍光偏光解消を評価するようになっている。演算手段はデータ処理装置の機能に含ませることもできる。
検出に用いるストリークスコープ16は、検出すべき光量が少ない場合には、フォトンカウンティングモードで高感度な検出が可能であり、光量が多い場合にはアナログ計測により高速の検出ができるという特徴をもっている。しかし、ストリークスコープ16に替えて、TAC(時間―電圧変換器)法を用いたTCSPC(時間相関単一格子計数法)方式の検出器を用いてよい。
検光子12を偏光板10と同方向に設置した場合に、IVVすなわち蛍光の縦偏光成分強度が得られ、検光子12を偏光板10と直交する方向に設置した場合にはIVHすなわち蛍光の横偏光成分強度が得られる。そこで、他の方法として、受光光学系に検光子12を回転させる回転機構を設けることができる。検光子12を回転させることによりIVVとIVHを得ることができる。検光子12の回転は手動と自動のどちらでもよい。
さらに他の方法として、検光子を用いずに、入射光の縦偏光と横偏光を分離することのできる偏光ビームスプリッターを受光光学系に設け、その偏光ビームスプリッターを使用して蛍光の縦偏光成分と横偏光成分を検出器に導いてIVVとIVHを同時に検出するようにしてもよい。この場合にはストリークスコープ等の検出器が2個必要となる。
得られたIVV、IVHを演算手段で演算することで蛍光異方性を求めることができる。この演算手段もデータ処理装置の機能に含ませることもできる。
測定対象物と蛍光標識糖鎖との結合反応及び時間分解蛍光偏光解消法による測定を試料の体積が1μL以下の状態で行なう。そのために、試料の体積が1μL以下となるように形成されたマイクロチップを反応容器として使用することができる。そのような反応容器は、例えばシリコン基板に微細加工により反応室と流路を形成し、上下の底面に透明ガラス基板又は透明石英ガラスを用いて形成することができる。
そのようなマイクロチップに関しては、近年、μTAS(Micro Total Analysis Systems)、LOC(Laboratory on a Chip)と称される、マイクロマシニング技術を利用してガラスやシリコンの基板上に化学分析や化学合成の機能を集積しチップ化する研究が盛んに行われており、容易に作製したり入手したりすることができる。
μTASやLOCは、主として分析装置の超小型化や微小空間での化学反応が研究の対象であるが、最近は細胞操作に関する研究が注目されつつある。いずれも共通の特徴として、1)使用する試薬や試料の大幅な低減、2)分析や反応の高速化(短時間化)、3)並列処理による分析や合成操作件数のハイスループット化、4)機能の集積による高機能化・自動化・省力化、5)システム全体の小型化などがあり、様々な分野で将来の新市場を形成するものと期待されている。
マイクロチップ2の一例を図2に示す。(A)は平面図、(B)はその流路に沿った断面図である。
マイクロチップ2は3枚のガラス基板20,22,24が接合されて構成されている。ガラス基板20は厚みが1.0mmの石英ガラス、ガラス基板22は厚みが0.5mmの石英ガラス、ガラス基板24は厚みが0.17mmのカバーガラスである。カバーガラスの材質は限定されないが、石英、BK−7、パイレックス(登録商標)など、自家蛍光の少ないものが望ましい。
ガラス基板20の片面には、数百μm以下の幅と深さを持つ微小な流路溝26と、流路溝26の両端部に位置する試料導入(Inlet)及び排出(Outlet)のための貫通穴28,30が形成されている。ガラス基板22には流路溝26の中央部に該当する位置に直径が1mmの反応室用の貫通穴32があけられている。ガラス基板24は加工を施していない平坦な板である。
ガラス基板20の流路溝26が形成されている面とガラス基板22の片面とを向かい合わせて密着させ、さらにガラス基板22の裏面にガラス基板24を密着させた状態で、それぞれのガラス基板間を例えばフッ酸溶液による接合などの手段で液密に接合することにより、このマイクロチップ2が構成されている。
マイクロチップ2中の反応室32の形状は直径1mm、深さが0.5mmで、容量は約0.4μLである。
一実施の形態として、測定対象物をmRNAとして、蛍光プローブとして蛍光標識したオリゴヌクレオチドを用いて、どのオリゴヌクレオチドが測定対象物のmRNAを特異的に認識して結合するかを調べるスクリーニング方法を示す。
PBS(リン酸緩衝生理食塩水)のような生理食塩水をバッファ液として、その中に測定対象物のmRNAと蛍光標識オリゴヌクレオチドを入れて試料反応液を調製した。具体的には、蛍光標識オリゴヌクレオチドとしては、5'−フルオレセイン標識オリゴデオキシリボヌクレオチド(Fプローブと略記する。)を用いた。また、mRNAとしては、二次構造の解明されているEscherichia coli 16S リボソーマルRNA(16SrRNAと略記する。)を使用した。試料反応液のバッファ液は10mMのTris-HCl(pH7.5)、100mMのNaCl及び1mMのMgCl2を含むものであり、Fプローブと16SrRNAの濃度はともに0.75μMとした。
図3は測定対象物である16SrRNAのターゲットサイトと塩基配列を示す。L1−L7は一本鎖になったターゲットサイトで、S1はすでに2重鎖を組んでおりFプローブと結合しない部位である。それらの塩基配列(Sequence)は既知であり、図3の右の表に示した。ターゲットサイトは各ターゲットの位置を5‘末端からの塩基番号で示している。
L1〜L7,S1の塩基配列と相補的な配列を持つオリゴヌクレオチドをフルオレセインで標識したものをF−L1等と表すことにする。
16SrRNAにFプローブとしてF−L1〜F−L7,F−S1のそれぞれを混合させて調製した試料反応液について、定常光励起による蛍光偏光解消法で蛍光異方性を測定した。励起波長は495nm、検出波長は515nmでそのバンド幅を5nmとした。測定時の試料反応液の温度は11℃であった。
その結果を表1にまとめて示す。
Figure 0004475525
表1中で、rは蛍光異方性を表わし、rpはFプローブのみによる蛍光異方性値、rcORNはFプローブと相補的なオリゴヌクレオチドとの混合物の24時間後の蛍光異方性値、rrRNAはFプローブと16SrRNAの混合物の24時間後の蛍光異方性値である。
rpとrrRNAとの比較から蛍光異方性の変化量を知ることができる。F−L1,F−L2及びF−L7のFプローブはrRNAとの混合によりFプローブの蛍光異方性が増加しており、これらのFプローブが16SrRNAの対応する位置に結合していることがわかる。F−L3〜F−L6及びF−S1ではFプローブの蛍光異方性の増加がみられず、これらの対応する位置ではFプローブが結合しにくいことを示している。
F−L3〜F−L6及びF−S1の結合能力自体は、それと相補的なオリゴヌクレオチドを加えた際の蛍光異方性rcORNの増加によって確認することができる。
なお、表1中のτpはFプローブ自体の蛍光の平均寿命、τrRNAはFプローブと16SrRNAの混合物の24時間後の蛍光の平均寿命である。KdはFプローブと16SrRNAの結合物の平衡解離定数である。
また、この反応における蛍光異方性値の時間変化を示した結果が図4であり、これから蛍光異方性の変化速度、すなわち結合速度を求めることができる。表1中のkassoc dissoc はそれぞれこのグラフからカーブフィッティングにより求めた結合速度定数、解離速度定数であり、このrRNAとの結合速度及び解離速度定数はF−L2が最も大きく、F−L1とF−L7がそれに続き、他のFプローブは検出できない程度(n.d.)に小さい。この結果からも、F−L1,F−L2及びF−L7がrRNAの対応する位置に結合することを示している。
表1中の結合性(Acceptability)は参考例であり、文献に掲載されていたFプローブと16SrRNAとの等モル混合液の平衡状態での蛍光強度の増加量から評価した。参考例の結果、16SrRNAに対する結合性はF−L2が強く、F−L1とF−L3は中程度、その他のFプローブは反応しないことを示している
本発明は、測定対象物を特異的に認識して結合する核酸、例えば核酸の所定の部位に結合するアンチセンス分子を見つけるためのスクリーニング方法などとして利用することができる。
本発明の実施に使用する分析装置の一例を示す概略構成図である。 同分析装置において使用することのできる一実施例のマイクロチップを示す図であり、(A)は平面図、(B)はその流路に沿った断面図である。 一実施例で示した測定対象物の一例の構造を示す図である。 同実施例において測定対象物とASONの相互作用を経時的に測定した分析結果を示すグラフである。
符号の説明
2 マイクロチップ
20,22,24 ガラス基板
26 流路溝
28,30 試料導入又は排出のための貫通穴
32 反応室用の貫通穴
[配列表]
SEQUENCE LISTING
<110>Kyoto Institute of Technology
Shimadzu Corporation
<120>Screening method of biopolymer by fluorescence depolarization spectroscopy and reaction vessel used therefor
<130>K1050058
<160>8
<210>1
<211>10
<212>RNA
<213>Artificial Sequence
<220>unsure
<400>1
gcc gta ctc c
<210>2
<211>10
<212>RNA
<213>Artificial Sequence
<220>unsure
<400>2
ccg tgt ctc a
<210>3
<211>10
<212>RNA
<213>Artificial Sequence
<220>unsure
<400>3
cag taa ttc c
<210>4
<211>10
<212>RNA
<213>Artificial Sequence
<220>unsure
<400>4
atc gtt tac g
<210>5
<211>10
<212>RNA
<213>Artificial Sequence
<220>unsure
<400>5
gaa cgt att c
<210>6
<211>10
<212>RNA
<213>Artificial Sequence
<220>unsure
<400>6
gta tct aat c
<210>7
<211>10
<212>RNA
<213>Artificial Sequence
<220>unsure
<400>7
gcg ttg cat c
<210>8
<211>10
<212>RNA
<213>Artificial Sequence
<220>unsure
<400>8
gta tca gat g

Claims (5)

  1. 1分子内にターゲットサイトとなる複数個の塩基配列をもつRNA又はDNAを測定対象物とし、それらのターゲットサイトの塩基配列のそれぞれに対して相補的な配列をもつオリゴヌクレオチドを蛍光標識したものをそれぞれのターゲットサイトに対する蛍光プローブとして用意し、
    基体内部に容積が1μL以下の反応室をもち、外部からその反応室につながる流路が形成され、前記反応室の上側又は下側が励起光照射による蛍光測定が可能な透明部材となっている反応容器を用い、
    前記蛍光プローブのそれぞれについて個々に
    (a)前記反応室に測定対象物又は前記蛍光プローブを導入する導入ステップ、
    (b)前記ステップにおいて前記反応室に測定対象物が先に入れられた場合はその後に前記反応室に蛍光プローブを導入し、又は前記ステップにおいて前記反応室に蛍光プローブが先に入れられた場合はその後に前記反応室に測定対象物を導入することにより、前記測定対象物に蛍光プローブを接触させて反応を開始させる反応開始ステップ、及び
    (c)前記反応室内の測定対象物と蛍光プローブを含む前記試料反応液に励起光を照射して蛍光偏光解消法により蛍光異方性を測定するとともに、この測定を反応開始から所定の時間にわたって行なうことにより蛍光異方性の変化量と変化速度の少なくとも一方を求める測定ステップ、
    を備えて、
    前記測定ステップの結果に基づいてどの蛍光プローブのオリゴヌクレオチドが測定対象物を特異的に認識して結合するかを見つけることを特徴とするスクリーニング方法。
  2. 前記蛍光プローブのオリゴヌクレオチドはアンチセンス分子である請求項1に記載のスクリーニング方法。
  3. 前記蛍光偏光解消法は時間分解蛍光偏光解消法である請求項1又は2に記載のスクリーニング方法。
  4. 前記蛍光プローブの蛍光剤として蛍光寿命が200ナノ秒から2マイクロ秒の範囲にあるものを使用してその蛍光寿命内で蛍光異方性の測定を行なう請求項3に記載のスクリーニング方法。
  5. 1つの基体に前記反応室及び流路が複数個形成されており、複数の蛍光プローブについて並行して測定を行なう請求項1から4のいずれか一項に記載のスクリーニング方法。
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