JP4474755B2 - 光学素子の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、成形型を用いて目的の形状の光学素子を製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、非球面レンズやフライアイレンズ等の特殊形状を有する光学素子の製造方法として、研削、研磨を必要としない高精度成形が用いられるようになってきた。これにより、従来行われてきた複雑な工程が省かれ、同一形状の光学素子を大量かつ、安価に生産できる。
【0003】
光学ガラスを成形する場合、成形する光学ガラス材料の種類によって最適な成形温度がある。このため、このような成形方法では、光学ガラス材料を成形型に収容して、最適な温度に一定時間保持した後、最適な圧力により加圧成形を開始し、所定の加圧保持時間を経過した後、除圧、および、冷却させ、最後に十分温度が下がった状態で、成形品、すなわち、目的の光学素子を取り出す。
【0004】
前述した製造方法では、光学ガラスを目的の温度に保持するため、成形型を加熱する必要がある。そのため、1組の弧状の発熱体で成形型を挟み、この発熱体からの赤外線により成形型を加熱する。なお、発熱体は、複数組積み重ねて使用する。
【0005】
前述した加熱方法により成形型を加熱することで、成形型内の光学ガラス材料を目的の軟化温度に保持して、成形する。この方法では、一つの種類の成形型を複数個同時に用いて一度の成形で、複数の光学素子を高精度で成形することができる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
これまで、前述したような成形方法による光学素子の成形は、比較的小さな口径の光学素子について行われているに過ぎない。そこで、本発明者等は、より大きな口径の光学素子、例えば、一つの成形型で一つの素子となるような大きさの光学素子についても、同様の成形法により製造することを試みた。しかし、大口径光学素子の場合、目的の曲率分布を持つ素子を精度よく成形することは、困難であった。
【0007】
その理由は次の通りである。すなわち、弧状の発熱体で成形型を囲む構造であるため、発熱体に電力を供給する端子部において、非発熱部が存在することとなる。そのため、成形型が不連続な状態で熱源に囲まれることになる。そのため、成形型(実際には、それを囲むスリーブ)に照射される赤外線量の分布が不均一となる。それが、成形型の周方向の温度分布の不均一を生じ、上下型内の温度分布が周方向に不均一となる。そのため、加熱中の光学ガラス材料にも同等の温度分布が生じる。その結果、成形時の光学素子の曲率に差を生じることとなり、非点収差が生じる原因となる。
【0008】
これを防ぐ方法としては、弧状の発熱体と成形型とを相対的に回転させることが考えられる(特開平11−28094号公報)。しかし、このためには、弧状の発熱体と成形型とを相対的に回転させるための機構と、駆動源と、制御装置とを必要とする。そのため、装置が複雑になり、また、高価となるという問題があり、実用的ではない。
【0009】
本発明の目的は、大きな口径の光学素子であっても成形により高精度の光学素子を得ることができる光学素子の製造方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明は、
成形型中で光学ガラスを軟化させて目的の形態に成形する光学素子の製造方法において、
光学ガラス材料を成形型に収容し、
前記成形型の周囲を、弧状の加熱体で囲んで加熱し、
前記成形型を挟む位置に、放射状にそれぞれ複数本の流路をそれぞれ独立に設定して、前記加熱中に、それらの流路に流体を流し、かつ、
前記流路に流す流体の熱交換状態を制御して、前記成形型の周方向の温度分布を目的の分布として、成形型内の光学ガラスを成形すること
を特徴とする。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
【0012】
図1に、本発明の光学素子の製造に用いる装置の概要を示す。図1に示す装置は、対向して成形型を構成する上型104および下型105と、上型104および下型105を挟むと共に、相対変位する上軸115および下軸116と、上型104および下型105をそれぞれ支持する上型用スリーブ106および下型用スリーブ107と、上型スリーブ106と共に上型104を前記上軸115に、例えば、ボルト等を用いて固定する固定盤113と、下型スリーブ107と共に下型105を前記下軸116に、例えば、ボルト等を用いて固定する固定盤114とを有する。また、これらを収容するチャンバ109と、チャンバ109の外側に配置され、前記成形型を加熱するためのヒータユニット111とを有する。さらに、前記固定盤113および114にそれぞれガスを供給するガス供給管120と、ガスの供給量を制御するガス流量調整器101と、ガス流量調整器におけるガス流量制御のための指令を出力するガス流量制御装置102とを有する。
【0013】
上型104および下型105は、高温で平面度と平行度を保つために、それぞれ、例えば、超硬度鋼で形成される。そして、互いに対向する面に、成形すべき光学材料の曲面に対応する上型光学機能面104aと、下型光学機能面105aとがそれぞれ設けられている。図1の例では、上型光学機能面104aが、例えば、曲率R30の凸形状、一方、下型光学機能面105aが、例えば、曲率R50の凹形状となっている。本発明はこれに限定されない。目的とする光学素子に対応する形状が採用できる。そして、上型光学機能面104aと下型光学機能面105aとの間に、光学ガラス材料108が配置されて成形される。上型光学機能面104aと下型光学機能面105aとは、例えば、それぞれ鏡面研磨され、さらに、貴金属等の離型膜が1ミクロン程度の厚さでコーティングされている。
【0014】
上型用スリーブ106および下型用スリーブ107のそれぞれには、成形型全体の温度を推定するためにスリーブの温度を検出するスリーブ測温用熱電対112が設けられている。この熱電対112の出力は、図示していない、ヒータユニット111の制御装置に送られ、ヒータユニット111による加熱温度の制御に用いられる。
【0015】
固定盤113および114は、高温で平面度と平行度を保ち、かつ、熱膨張を上型および下型と同じにするために、例えば、超硬度鋼等の金属で構成される。本実施の形態では、全体として円盤状の形状を呈している。そして、一方の面に、図2に示すような溝201が設けられている。この溝201は、放射状に配置され、かつ、中心部側は、固定盤の中心に至る前に終わっている。これにより、各溝201は、互いに連通することなく独立に存在する。また、溝201は、本実施形態では、8本設けられている。もちろん、これに限られない。固定盤の外周長さと、溝201による均熱効果との関係で、溝201の本数が決められる。さらに、溝201の幅および深さは、ガスの流量をどの程度とするかに応じて決定される。例えば、幅数ミリ、深さ1ミリ程度とすることができる。
【0016】
溝201の中心部側端部には、ガス導入口202が設けられている。このガス導入口202は、その部分で、ガス供給管120とそれぞれ連結される。また、溝201の固定盤外周側では、その端部がそのまま外周に至っており、固定盤外周で開口する状態となっている。従って、この部分がガス排出口205となる。
【0017】
固定盤113および114は、上軸115と下軸116とにそれぞれ密着固定される。この際、溝201が設けられている面をそれぞれ、上型用スリーブ106と上型104および下型用スリーブ107と下型105とに接触させて固定する。これにより、固定盤113の溝201は上型104および上型用スリーブ106に、また、固定盤114の溝201は下型105および下型用スリーブ107にそれぞれ覆われて、実質的に管構造となる。これらの溝201には、ガス導入口202からガスが導入されて、当該溝内を流れ、ガス排出口205から排出される。従って、上下の固定盤113および114それぞれの溝201により、成形型(上型104および下型105)を挟む位置に、放射状にそれぞれ複数本の流路がそれぞれ独立に設定され、それらの流路に流体、本実施形態ではガスが流されることとなる。その結果、固定盤113および114は、ガスによって熱交換され、それぞれ近傍の領域での温度が低下することとなる。このとき、各流路のガス流量を制御することによって、各流路(溝201)に流すガスの熱交換状態を制御することができる。これにより、固定盤113および114、ひいては、これに固定されている成形型の周方向の温度分布を目的の分布とすることが可能となる。
【0018】
また、固定盤113および114には、前述したスリーブ測温用熱電対112を通すための貫通孔204が設けられている。また、それ自身の温度を測るため、前記溝201近傍に、ガス流路測温用熱電対103を挿入するための非貫通孔203が、各溝201対応に設けられている。なお、上軸115および下軸116には、それぞれ、スリーブ測温用熱電対112と、ガス流路測温用熱電対103を通すための貫通孔が設けられている。
【0019】
固定盤113および114は、それぞれ対応する上軸115および下軸116と、また、対応するスリーブ106および107と、固定される。例えば、図示していないが、対応する上軸115側から、および、下軸116側から、それぞれボルトにより固定される。具体的には、スリーブ106および107にねじ孔を設け、固定盤113および114と上軸115と下軸116とに、それぞれ対応する位置に貫通孔を設けて、上軸115と下軸116からボルトを挿通して、それぞれ対応するスリーブ106および107にねじ込んで固定することができる。
【0020】
上軸115および下軸116は、軸方向に相対変位することができる。本実施形態では、上軸115を固定して、下軸116をそれに対して相対的に変位させるよう構成してある。また、下軸116には、図示していない加圧機構が連結されている。すなわち、上軸115が固定軸となり、下軸116がプレス軸となって、両者を軸方向に近接させるよう変位させて、加圧することができる。
【0021】
チャンバ109は、例えば、円筒形状に形成され、内部に、前述した各装置を収容し、それらを一定の雰囲気中に置くと共に、外部から加熱できるような構造となっている。本実施形態では、後述するように、赤外線で加熱するため、チャンバ109は、赤外線に対して透明な材料で形成される。例えば、石英ガラスにより形成される。図示を省略しているが、下方側は、ガスの排出口を残して閉じられており、内部に一定の雰囲気を保持することができる構成となっている。
【0022】
ヒータユニット111には、その内部に赤外線ヒータ110が、チャンバ109を囲むように配置される。赤外線ヒータ110は、図3に示すように、弧状の赤外線ヒータ110aおよび110bが2個1組で、チャンバ109を囲むように配置される。また、図1に示すように、複数組が積層させる状態で配置される。図1の例では、6段積み上げた状態で、前記チャンバ109を外側から囲むように配置される。この赤外線ヒータ110は、それへの電力を供給するための端子部117を有する。該赤外線ヒータ110には、好ましくは赤外線ランプを使用する。
【0023】
ガス供給管120は、前述した溝201対応に設けられている。本実施形態では、8本設けられている。ガス供給管120には、ガス流量調整器101がそれぞれ設けられている。そして、これによって制御された流量のガスが各ガス供給管120に供給される。ただし、本発明は、これに限定されない。例えば、装置の対称性を考慮して、対照的な位置に存在する溝201に通じるガス供給管120について、1組として同じ制御を行うようにしてもよい。ガス供給管120には、図示していないがガス供給源が接続される。本実施形態では、スリーブ、固定盤等の材料とは反応しにくいガスとして、不活性ガス、窒素ガス等が供給される。これにより、成形型、スリーブ等の酸化を防止することが期待できる。供給されるガスの温度は好ましくは常温であるが、常温に限定されるものではない。ガス供給管120について、図1では、代表して一経路のみを表示したが、実際には、各溝201対応にそれぞれ設置される。また、ガス流量調整器101についても、同様に、各ガス供給管120対応に設けられる。
【0024】
ガス流量調整器101は、図示していないが、例えば、流量調節弁とその駆動機構とで構成される。そして、駆動機構は、ガス流量制御装置102から出力されるガス流量制御指令に基づいて流量調節を行う。ガス流量制御装置102は、例えば、コンピュータにより構成される。すなわち、図示していないが、それ自身の制御プログラム、各種データを記憶するメモリ、前記制御プログラムを実行する中央演算処理装置(CPU)と、各種信号の授受を行うためのインタフェースとを有する。ガス流量制御装置102には、予め各ガス流路における温度の目標値が設定される。この目標値は、ヒータユニット111による加熱温度との関係で決まるが、具体的には、例えば、実験によって決められた値を用いる。また、ガス流量制御装置102は、ガス流路測温用熱電対103によって検出された温度情報を取り込み、設定された目標値と比較して差分を算出し、この差分を0とするための操作指令信号として、前記ガス流量制御指令を生成する。
【0025】
図4に、本実施形態におけるガス流量制御装置102による制御ブロックの一例を示す。図4において、401はガス流量を制御するガス流量制御装置102およびガス流量調整器101によるガス流量制御状態を示す伝達関数、402はガス流量が操作されることにより対象の状態が変更される制御状態を示す伝達関数を示す。このようにモデル化される制御系において制御は次のように行われる。まず、ガス流量制御装置102には、目標値(温度指令)θSが与えられる。一方、熱電対103からは、熱電対温度θTが入力される。ガス流量制御装置102は、両者の偏差Δθを算出し、それに基づいて、偏差Δθを0とするようにガス流量を調節するためのガス流量制御指令を出力する。これに応じて、ガス流量調整器101は、ガス流量を調整する。その結果、ガス供給管120を流れるガスの流量がMとなり、対象、すなわち、固定盤113、114を含む上型104および下型105の温度が変化して、これを示すθTが出力される。そして、このθTを目標値θSに近づけるように制御が行われる。これらの制御は各流路対応に行われる。
【0026】
このような制御により、溝201ごとにガス流量が調節される。すなわち、温度θTが目標値θSより高ければ、ガス流量を増加させて熱交換量を増加させて冷却する。一方、温度θTが目標値θSより低ければ、ガス流量を減少させて熱交換量を減少させて冷却されにくくする。このようにして、各溝201の近傍において検出される温度θTが目標値θSに近づくことで、固定盤113および114のそれぞれにおいて、熱電対103が置かれている円周上での温度分布を目的の温度分布とすることが可能となる。具体的には、前記円周上での温度を等温とするように制御することで、円周状の等温線が形成可能となる。これは、固定盤113および114の中心側でもほぼ同様に作用する。ただし、半径方向については温度分布を均一にするものではない。従って、図3に示すように、実線で示すように等温線Taが同心円状に分布することとなる。なお、ガスを流さずに成形を行うと、図3において破線で示すような等温線Tbの分布となる。両者の比較から明らかなように、本発明の製造方法によれば、光学ガラス材料の加熱に際して、周方向に均等な温度分布が実現される。
【0027】
従って、本発明では、前述した溝201にガスを流すと共に、ガスの流量を調節して、固定盤113および114、ひいては、上型104および下型105の周方向温度分布を均一にすることができる。その結果、高精度の成形が実現できる。
【0028】
次に、前述した図1の装置により、光学素子を製造する製造方法について、大口径メニスカスレンズを製造する場合を例として説明する。
【0029】
まず、準備として、上型104、下型105は、超硬度鋼を研削加工後に鏡面研磨し、およその曲率R30の凸形状と、およその曲率R50の凹形状の光学機能面104a,105aを創成しておく。その上に、貴金属の離型膜が1ミクロンの厚さでコーティングしておく。また、上下型の曲率は、最終的に成形された光学素子の光学機能面が所望の形状になるように設計されたものである。
【0030】
上型104と下型105を、上型用スリーブ106と下型用スリーブ107内に設置する。それぞれのスリーブ106および107は、それぞれ固定盤113および固定盤114を介して、上軸(固定軸)115と下軸(プレス軸)116にそれぞれボルトで固定する。なお、ボルトは図面内では省略してある。また、貫通孔204に、型全体の温度を制御するための温度情報を検出する熱電対112を挿入する。この熱電対112はスリーブ内の型近くに収まり、全体の成形温度を検出する。そして、8本のガス流路測温用熱電対103を、固定盤の113および114の各非貫通孔203に挿入する。
【0031】
また、ガス供給管120の一端を、溝201のガス導入口202に接続し、他端を、ガス流量調整器101を介してガス供給源に接続する。
【0032】
この状態で、平凸形状の両面を研磨した重クラウンガラスの光学ガラス材料108を下型の上に設置する。そして、次に述べる手順で成形加工を開始する。
【0033】
まず、チャンバ109により密閉された空間に窒素ガスを流し、内部の酸素濃度が10ppm以下になるまで置換する。次に、赤外線ヒータ110を複数組有するヒータユニット111により、輻射熱により720℃まで加熱を行う。加熱時は、それぞれの溝201近くの孔203に設置された熱電対103の温度を、ガス流量制御装置102にフィードバックする。そして、このガス流量制御装置102により、ガス流量調整器101により、ガス供給管120を流れる窒素ガスの流量を変更して、型の周方向での均熱化を図る。
【0034】
窒素ガス流量は、例えば、室温時に各流路1slmとして、これを最低流量とする。一つの固定盤113(114)には、ガス流路(溝201)が8本あるので、上下固定盤113および114合わせて最低でも16slmを流すこととなる。
【0035】
制御は、同心円上に配置された各熱電対103の温度が均一になるまで行う。実際に、720℃まで加熱した場合、ガス流量は、実測によると、一番温度が低いヒータ端子付近の流路が1slmであり、それと直交する方向の流路では10slmであった。
【0036】
720℃に到達後は、3分間程度、この温度に保持する。その後、下軸116を上昇させ、成形圧力を、例えば、1トンとして、成形を開始する。成形は、上型用スリーブ106と下型用スリーブ107の対向面が密着する付近まで行った。指定位置に到達後、610℃まで1℃/秒で冷却を行う。610℃に到達するまで、均熱制御を続ける。そして、610℃で下軸116を下げることでプレス圧力を除去する。
【0037】
この後は、常温の窒素ガスにより強制冷却を行い、取り出せる温度に達した時に、大気解放して、成形された光学素子を取り出す。
【0038】
以上の製造方法により最短の成形時間で得られた光学素子の光学機能面を評価した結果、温度分布に依存する不良はなく、良好な形状をしていることが確認された。
【0039】
また、比較のため窒素ガス流量制御とその加熱制御を一切行わない条件で成形した光学素子の光学機能面を評価した結果、温度分布に依存する光学機能面の曲率の差、つまり非点収差を生じてしまうような欠陥が許容値以上発生し、不良品であることを確認した。
【0040】
なお、型の半径方向には温度分布があっても差し支えない。また、レンズの型の表面形状とレンズ表面形状とは、双方向の熱膨張率の差のために一致しない。図3の場合のように、半径方向に温度分布が存在しても、周方向にさえ温度が均一であり、半径方向の温度分布に再現性が得られさえすれば、所定形状のレンズを再現性良く得ることが出来る。
【0041】
以上のように、本発明の製造方法によれば、加熱、保持、形状に影響を及ぼす温度までの冷却時において、円周方向の温度分布が均一となり、成形面の精度が高い大口径の光学素子を安価に得ることができる。
【0042】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明によれば、大きな口径の光学素子であっても成形により高精度の光学素子を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る製造方法を実現するために用いられる光学素子の成形装置の一例を示す断面図。
【図2】 本発明において、成形型を固定すると共に均熱化を行うために用いられる固定盤の構成の一例を示す平面図。
【図3】 赤外線ヒータの構造を示すと共に、これにより加熱される固定盤の温度分布を示す説明図。
【図4】 本発明による均熱化制御のモデルを示すブロック図。
【符号の説明】
101…ガス流量調整器 112…スリーブ測温用熱電対
102…ガス流量制御装置 113…固定盤
103…ガス流路測温用熱電対 114…固定盤
104…上型 115…上軸
104a …上型光学機能面 116…下軸
105…下型 117…端子部
105a …下型光学機能面 120…ガス供給管
106…上型用スリーブ
107…下型用スリーブ
108…光学ガラス材料
109…チャンバ
110…赤外線ヒータ
111…ヒータユニット
201…溝(ガス流路)
202…ガス導入口
203…ガス流路測温用熱電対挿入孔(非貫通孔)
204…スリーブ測温用熱電対挿入孔(貫通孔)
205…ガス排出口

Claims (5)

  1. 成形型中で光学ガラスを軟化させて目的の形に成形する光学素子の製造方法において、
    光学ガラス材料を成形型に収容し、
    前記成形型の周囲を、弧状の加熱体で囲んで加熱し、
    前記成形型を挟む位置に、放射状にそれぞれ複数本の流路をそれぞれ独立に設定して、前記加熱中に、それらの流路に流体を流し、かつ、
    前記流路に流す流体の熱交換状態を制御して、前記成形型の周方向の温度分布を目的の分布として、成形型内の光学ガラスを成形すること
    を特徴とする光学素子の製造方法。
  2. 請求項1に記載の光学素子の製造方法において、
    前記流体の熱交換状態の制御は、流体の流量を制御することで行うことを特徴とする光学素子の製造方法。
  3. 請求項1および2のいずれか一項に記載の光学素子の製造方法において、
    前記複数本の流路の設定は、予め放射状に独立流路とそれへの流体導入口および排出口をそれぞれ設けた2つの固定盤を用意すると共に、これらの固定盤で前記成形型を挟んで固定することにより行うことを特徴とする光学素子の製造方法。
  4. 請求項3に記載の光学素子の製造方法において、
    流体の熱交換状態の制御は、前記固定盤の外周側における前記各独立流路の近傍の温度を、前記成形型内で光学ガラスを成形するに必要な温度に相当する温度で、かつ、互いに等しい温度とすることを目標として行うことを特徴とする光学素子の製造方法。
  5. 請求項1、2、3および4のいずれか一項に記載の光学素子の製造方法において、
    前記流体として、気体を用いることを特徴とする光学素子の製造方法。
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