JP4474707B2 - ターボ圧縮機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ターボ圧縮機に係り、特に、回転軸の両側に羽根車を備えて気体を多段に圧縮するターボ圧縮機に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、特開平5−223090号公報に開示されているように、回転軸の両側に取り付けられた複数の羽根車によって冷媒を多段に圧縮するターボ圧縮機が知られている。ここで、回転軸を回転可能に支持する軸受として、種々の形式の軸受が提案されているが、潤滑油を必要とする軸受を採用する場合には、種々の問題がある。すなわち、まず、冷媒中に潤滑油が混入するため、油分離器が別個必要となり、構成が複雑になり、コストが上昇する。また、冷媒中に潤滑油が混入するため、熱交換器の性能低下を招く等、冷凍装置に搭載した際に冷凍装置の効率を低下させるといった問題がある。
【0003】
そこで、ターボ圧縮機の軸受として、いわゆる非接触型の気体軸受を用いることにより、潤滑油を不要とし、油に起因する諸問題を解決するようにしたものがある。
【0004】
気体軸受は、回転軸の回転に伴って回転軸と軸受部との間のクリアランスに発生する気体膜により潤滑を行うものであるが、軸受性能を良好に維持するためには、クリアランスを適正な値に保つことが重要になる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来のターボ圧縮機では、軸受摩擦や圧縮後の高温高圧冷媒の漏れにより回転軸が過熱され、その温度が上昇して熱膨張を生じることが多かった。ところが、回転軸が熱膨張を起こすと、回転軸と軸受部との間のクリアランスが減少し、焼付きが生じるおそれがある。一方、このような焼付きを未然に防止するため、予め回転軸の熱膨張を見込んでクリアランスを大きめに設定することも考えられるが、この場合、運転開始時等の回転軸の温度上昇が小さいときには、クリアランスが大きすぎて軸受性能を十分に発揮することが困難となる。従って、従来のターボ圧縮機は、性能及び信頼性の双方を十分に満たすものとは言い難かった。
【0006】
特に、多段式のターボ圧縮機では、圧縮機内の冷媒の圧力差が単段式に比べて大きくなる傾向があり、また、軸受摩擦による発熱やインペラ室内の冷媒の漏洩が発生するおそれのある箇所が複数箇所にわたる。そのため、このような多段式のターボ圧縮機に特有の性質から、軸受性能を維持したまま焼付きを防止することは、単段式の圧縮機以上に困難であると考えられていた。
【0007】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、多段式のターボ圧縮機において、回転軸の熱膨張を抑制して気体軸受のクリアランスを適正に維持し、性能及び信頼性の双方を向上させることにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は、低温の吸入気体で回転軸の複数箇所をを同時に冷却することとした。
【0009】
具体的には、本発明に係るターボ圧縮機は、吸入気体を多段に圧縮して吐出するターボ圧縮機であって、少なくともモータ室(11)及び該モータ室(11)の両側に第1及び第2のインペラ室(111,112)を区画形成するケーシング(1)と、上記モータ室(11)に収納されたモータ(27)と、上記モータ(27)に連結された回転軸(13)と、上記回転軸(13)の両側に設けられ且つ上記第1及び第2インペラ室(111,112)にそれぞれ収容された第1及び第2羽根車(15,75)と、上記第1及び第2羽根車(15,75)に対応して上記回転軸(13)の両側に形成された第1及び第2気体軸受形成部(35,95)と、上記回転軸(13)の上記第1及び第2気体軸受形成部(35,95)との間で気体軸受(37,97)を形成するように該各気体軸受形成部(35,95)と所定のクリアランス(C1,C2)を存して設けられ、該回転軸(13)を非接触状態で支持する軸受部(31,33)と、昇圧前の吸入気体で上記回転軸(13)の上記第1及び第2気体軸受形成部(35,95)を冷却するように、該吸入気体を該回転軸(13)に吹き付ける複数の吹付通路(50a)とを備えていることとしたものである。そして、上記吹付通路(50a)は、吸入気体を回転軸(13)の接線方向に吹き付けるように形成されている。
【0010】
上記事項により、昇圧前の低温の吸入気体が吹付通路(50a)を通じて回転軸(13)の各気体軸受形成部(35,95)の近傍に吹き付けられるので、各気体軸受形成部(35,95)は効率よく冷却され、熱膨張が効果的に抑制される。そのため、回転軸(13)と軸受部(31,33)との間の各クリアランス(C1,C2)がそれぞれ適正な値に維持される。従って、軸受性能が維持され且つ焼付きが防止され、性能及び信頼性が向上する。
【0011】
上記吹付通路(50a)が、吸入気体を回転軸(13)の接線方向に吹き付けるように形成されていることにより、吸入冷媒は回転軸(13)の周方向に沿って流れやすくなるため、その流れがスムーズになり、熱伝達が促進される。
【0012】
上記吹付通路(50a)は、吸入気体を回転軸(13)の軸方向に対して斜め方向に吹き付けるように形成されていてもよい。
【0013】
上記事項により、吸入気体は回転軸(13)の軸方向に対し傾斜した向きに吹き付けられるので、軸方向に沿って流れやすくなる。そのため、回転軸(13)の表面にに対する吸入気体の相対速度が上昇し、また、吸入気体が回転軸(13)に接触している時間が長くなることから、吸入気体と回転軸(13)との間の熱伝達が促進され、回転軸(13)の冷却を促進することができる。
【0014】
上記回転軸(13)には、放熱用の溝(53)が形成されていてもよい。
【0015】
上記事項により、回転軸(13)の伝熱面が拡大し、回転軸(13)の冷却が促進される。
【0016】
また、本発明に係る他のターボ圧縮機は、吸入気体を多段に圧縮して吐出するターボ圧縮機であって、モータ(27)の回転軸(13)の両側に取り付けられた羽根車(15a,75a)を有する2つの圧縮部(201,202)と、上記回転軸(13)の両側を上記各圧縮部(201,202)に対応した2箇所で軸支するように設けられた2つの気体軸受(37,97)と、上記回転軸(13)における上記各気体軸受(37,97)のモータ(27)側の側方に吸入気体を吹き付ける複数の吹付通路(203,204)とを備えていることとしたものである。そして、上記各吹付通路(203,204)の吹出口は、回転軸(13)との間に隙間(C1,C2)が設けられるように該回転軸(13)から離れて配置され、高段側の吹付通路(204)の吹出口と上記回転軸(13)との間の隙間間隔が、低段側の吹付通路(203)の吹出口と上記回転軸(13)との間の隙間間隔よりも小さい。
【0017】
上記事項により、昇圧前の低温の吸入気体が各吹付通路(203,204)を通り、回転軸(13)における複数の気体軸受(37,97)の近傍部分(37a,97a)に吹き付けられる。そのため、回転軸(13)の熱膨張は抑制され、軸受の焼付きが防止される。その結果、性能及び信頼性が向上する。
【0018】
また、高段側の吹付通路(204)の吹出口の方が低段側の吹付通路(203)の吹出口よりも回転軸(13)に接近しているため、高段側の気体軸受(37)の近傍部分(37a)の方が低段側の気体軸受(97)の近傍部分(97a)よりも、吸入気体がより直接的に吹き付けられることになる。そのため、低段側よりも熱膨張の生じやすい高段側の気体軸受(37)の近傍部分(37a)は、低段側よりも冷却されやすくなり、回転軸(13)の熱膨張の程度に応じた冷却が行われることになる。従って、効率の良い冷却が実現される。
【0019】
また、本発明に係る他のターボ圧縮機は、吸入気体を多段に圧縮して吐出するターボ圧縮機であって、モータ(27)の回転軸(13)の両側に取り付けられた羽根車(15a,75a)を有する2つの圧縮部(201,202)と、上記回転軸(13)の両側を上記各圧縮部(201,202)に対応した2箇所で軸支するように設けられた2つの気体軸受(37,97)と、上記回転軸(13)における上記各気体軸受(37,97)のモータ(27)側の側方に吸入気体を吹き付ける複数の吹付通路(203,204)とを備えていることとしたものである。そして、上記吹付通路(203,204)は、高段側の吹付通路(204)の方が低段側の吹付通路(203)よりも吹付量が多くなるように構成されている。
【0020】
上記事項により、低段側よりも熱膨張の生じやすい高段側の気体軸受(37)の近傍部分(37a)は、低段側よりも冷却されやすくなり、回転軸(13)の熱膨張の程度に応じた冷却が行われる。従って、効率の良い冷却が実現される。
【0021】
上記吹付通路(203,204)は、吸入気体を回転軸(13)の高段側気体軸受(97)側に吹き付けた後、該気体を回収して低段側気体軸受(37)側に吹き付けるように構成されていてもよい。
【0022】
上記事項により、低温の吸入気体は、まず、回転軸(13)における高段側の気体軸受(97)側に吹き付けられる。そして、高段側の気体軸受(97)側に吹き付けられた気体は、回転軸(13)の高段側気体軸受(97)側を冷却し、昇温する。次に、昇温した気体は回収され、低段側の気体軸受(37)側に吹き付けられる。その結果、低段側の気体軸受(37)側も冷却される。このように、低段側よりも熱膨張の生じやすい高段側の気体軸受(97)側には、より低温の気体が吹き付けられるので、高段側気体軸受(97)側は、低段側気体軸受(37)側よりも冷却されやすい。従って、回転軸(13)の熱膨張の程度に応じた冷却が行われ、効率の良い冷却が実現される。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。なお、本発明の前提技術を説明した後、本発明の実施形態を説明する。
【0024】
<前提技術1>
図1は、本発明の前提技術1に係るターボ圧縮機(100)を示す。(1)はドーム形のケーシングである。このケーシング(1)は、両端(図1の左右両端)が開口した有底筒状のケーシング本体(3)と、ケーシング本体(3)の開口を覆う閉塞部材(5),(65)とで密閉構造に形成されている。
【0025】
本ターボ圧縮機(100)は潤滑油を必要としないいわゆるオイルレス圧縮機であり、ケーシング(1)の内部には、閉塞部材(5)に接近した位置に静止側スラスト軸受(7)が設けられている。この静止側スラスト軸受(7)は、回転側スラスト軸受(41)との間で気体軸受を構成するものである。なお、後述する第1静止側ジャーナル軸受(31)の一部も静止側スラスト軸受を構成する。つまり、動圧型スラスト気体軸受(43)の両面が動圧気体軸受となっている。閉塞部材(5)と静止側スラスト軸受(7)との間には高段側インペラ室(112)が区画形成され、この高段側インペラ室(112)には、複数枚の羽根(15a)を有する略円錐台形状の羽根車(インペラ)(15)が配置されている。羽根車(15)の外周(インペラ出口)には、高段側インペラ室(112)に連通するディフューザ空間(9)及びスクロール空間(17)が形成されている。
【0026】
ケーシング(1)の中央部には回転軸(13)が回転自在に配置され、この回転軸(13)の一端(図1左端)には上記羽根車(15)が回転一体に取り付けられている。羽根車(15)と閉塞部材(5)との間には、僅かなクリアランスが設けられている。また、閉塞部材(5)の中央部には、冷媒を高段側インペラ室(112)を導くための第2供給配管(136)が接続されている。ケーシング本体(3)には、昇圧した冷媒を吐出するための吐出配管(137)がスクロール空間(17)に連通するように接続されている。
【0027】
ケーシング(1)の中央部にはモータ室(11)が区画形成され、回転軸(13)の中途部はモータ室(11)の内部空間に晒されるように配置されている。モータ室(11)には、ロータ(23)とステータ(25)とからなるモータ(27)が配置されている。ロータ(23)は回転軸(13)の中途部に固定され、一方、ステータ(25)はロータ(23)と向かい合うように、ケーシング本体(3)の内周面に装着された周壁部材(29)に固定されている。
【0028】
静止側スラスト軸受(7)のモータ室(11)側には、第1静止側ジャーナル軸受(31)が、反対側には第2静止側ジャーナル軸受(33)がそれぞれ固定され、これら第1及び第2静止側ジャーナル軸受(31),(33)と周壁部材(29)とによってハウジングが構成され、このハウジング内部をモータ室(11)としている。なお、これら第1静止側ジャーナル軸受(31)及び第2静止側ジャーナル軸受(33)は、本発明でいうところの「軸受部」に対応している。回転軸(13)の第1及び第2静止側ジャーナル軸受(31),(33)の貫通部分の外周面には、複数のヘリンボーン溝(35),(95)(「気体軸受形成部」に対応)が、これら軸受(31),(33)の内周面に向かう合うように形成されている。そして、回転軸(13)と各軸受(31),(33)との間には、所定間隔のクリアランス(C1),(C2)が設けられており、このクリアランス(C1),(C2)に生成された気体圧力による気体膜により、回転軸(13)を非接触状態で回転自在に支持する動圧型ジャーナル気体軸受(37),(97)を構成している。
【0029】
静止側スラスト軸受(7)と第1静止側ジャーナル軸受(31)との間にはプレート室(39)が形成され、このプレート室(39)にはスラスト円板からなる回転側スラスト軸受(41)が回転軸(13)に外側方に張り出すように嵌着されて配置されている。静止側スラスト軸受(7)は回転側スラスト軸受(41)よりも羽根車(15)寄りに配置され、回転側スラスト軸受(41)と対峙している。回転側スラスト軸受(41)の両面には図示しないスパイラル溝が形成され、静止側スラスト軸受(7)及び第1静止側ジャーナル軸受(31)の各々との間の僅かなクリアランスに生成された気体圧力による気体膜により、回転軸(13)のスラスト荷重を非接触状態で回転自在に支持する動圧型スラスト気体軸受(43)を構成している。この動圧型スラスト気体軸受(43)は、動圧型ジャーナル気体軸受(37)よりも羽根車(15)寄りに配置されている。
【0030】
回転軸(13)のヘリンボーン溝(35)よりも高段側インペラ室(112)側には、冷媒漏れを防止するためのラビリンスシール部(45)が設けられている。また、低段側インペラ室(111)側にも、同様のラビリンスシール部(96)が設けられている。
【0031】
第2静止側ジャーナル軸受(33)と閉塞部材(65)との間には低段側インペラ室(111)が区画形成され、この低段側インペラ室(111)には、回転軸(13)の他端(図1右端)に回転一体に取り付けられた羽根車(75)が収容されている。高段側インペラ室(112)と同様、低段側インペラ室(111)に対しても、ディフューザ空間(69)及びスクロール空間(77)が連通するように配置されている。
【0032】
ケーシング本体(3)及び周壁部材(29)には、吸入配管(130)が分岐して成る第1及び第2吸入配管(131),(132)を挿通させる挿通孔が形成され、第1及び第2吸入配管(131),(132)の先端部がこれら挿通孔に挿通されて第1及び第2吸入通路(141),(142)を形成している。これら吸入通路(141),(142)は、昇圧前の低温低圧の吸入冷媒をモータ室(11)に導くものであり、本圧縮機(100)は内部が低温低圧雰囲気となる低圧ドーム構造を有している。
【0033】
第1及び第2吸入通路(141),(142)の反対側のケーシング本体(3)及び周壁部材(29)には、各吸入通路(141),(142)からケーシング(1)の軸方向中央側に若干ずれた位置に第1及び第2導出通路(143),(144)がそれぞれ設けられている。これら導出通路(143),(144)は、モータ室(11)においてモータ(27)及び回転軸(13)を冷却した冷媒をモータ室(11)から排出するための通路である。第1及び第2導出通路(143),(144)は、それぞれ第1及び第2導出配管(133),(134)に接続されている。両導出配管(133),(134)は合流してから閉塞部材(65)の中央部に接続され、低段側インペラ室(111)に冷媒を供給する第1供給配管(135)を形成している。
【0034】
第2供給配管(136)は、低段側の羽根車(75)で昇圧された冷媒、つまり1段目の圧縮が行われた冷媒を高段側インペラ室(112)に供給する配管である。第2供給配管(136)の一端は低段側のスクロール空間(77)に連通するようにケーシング本体(3)に接続され、他端は高段側インペラ室(112)の吸入側に連通するように閉塞部材(5)に接続されている。
【0035】
高段側の羽根車(15)で昇圧された冷媒、つまり2段目の圧縮が行われた冷媒を吐出する吐出配管(137)は、高段側のスクロール空間(17)に連通するように、ケーシング本体(3)に接続されている。
【0036】
図2(a)にも示すように、第1静止側ジャーナル軸受(31)のモータ室(11)側及び第2静止側ジャーナル軸受(33)のモータ室(11)側には、厚手の円形プレート(50)を2枚の薄手の円形プレート(52)で挟んでなるドーナツ形状の環状部材(51)がそれぞれ配置されている。環状部材(51)の中心には回転軸(13)を挿入する挿入孔(51a)が、その外周には環状通路(51b)がそれぞれ形成されている。回転軸(13)は、環状部材(51)の挿入孔(51a)の内周面と接触しないように、当該内周面との間に所定の隙間を存した状態に配置されている。また、この環状部材(51)の中央の円形プレート(50)には、半径方向に貫通する4つの吹付通路(50a)が放射状に形成され、挿入孔(51a)と環状通路(51b)とを各吹付通路(50a)によって連絡している。この吹付通路(50a)は、吸入通路(141),(142)から環状通路(51b)に導入した低温冷媒を回転軸(13)に直接吹き付けてからモータ室(11)に導入する冷媒の流通路を形成している。
【0037】
ここでは、吹付通路(50a)の流路断面積は、回転軸(13)に吹き付けられる冷媒の速度が増加するように、吸入通路(141),(142)の流路断面積よりも小さく設定されている。しかし、吹付通路(50a)の流路断面積は、冷媒が回転軸(13)の冷却に好適な速度で吹き出されるように設定すればよく、冷媒の流速が適当な値であれば、吸入通路(141),(142)の流路断面積と同等でもよく、それよりも大きくても構わない。冷媒の圧力損失を低減させる観点からは吹付通路(50a)の流路断面積は大きい方が好ましいため、吹付通路(50a)の流路断面積は、回転軸(13)の冷却効果と圧力損失の両観点から設定することが望ましい。また、吹付通路(50a)の流路断面積は下流側に向かって徐々に小さくなるように設定されていてもよい。また、ノズル形状に形成されていてもよい。
【0038】
回転軸(13)における吹付通路(50a)からの冷媒が吹き付けられる外周面には、冷却を促進する拡大面として、放熱用の環状溝(53)が形成されている。つまり、環状溝(53)は、回転軸(13)のヘリンボーン溝(35),(95)のモータ室(11)寄りの近傍に形成され、回転軸(13)の熱伝導によりヘリンボーン溝(35),(95)やラビリンスシール部(45)、(96)等を冷却し、回転軸(13)の熱膨張を抑制するように構成されている。なお、冷却を促進する拡大面として、回転軸(13)にフィンを設けることも可能である。
【0039】
次に、本ターボ圧縮機(100)の動作を説明する。吸入配管(130)から第1及び第2吸入配管(131),(132)に分流されて吸入された低圧冷媒は、各吹付通路(50a)を通過し、回転軸(13)に吹き付けられ、モータ室(11)に導入される。この冷媒は回転軸(13)を冷却すると共にモータ(27)も冷却し、第1及び第2導出配管(133),(134)に導出される。両導出配管(133),(134)の冷媒は第1供給配管(135)にて合流し、低圧冷媒として低段側のインペラ室(111)に供給される。この低圧冷媒は羽根車(75)の回転により1段目の圧縮が行われ、昇圧された中間圧冷媒として第2供給配管(136)に導出される。中間圧冷媒は第2供給配管(136)を通過し、高段側のインペラ室(112)に導入され、羽根車(15)の回転により2段目の圧縮が行われ、更に昇圧されて高圧冷媒となる。そして、この高圧冷媒は、吐出配管(137)を通じて吐出される。
【0040】
このように、回転軸(13)は昇圧前の低温低圧の冷媒によって冷却されるので、軸受摩擦や高温冷媒の漏れによって加熱されたとしても、その温度上昇が抑制される。従って、回転軸(13)の熱膨張が抑制され、動圧型ジャーナル気体軸受(37),(97)やラビリンスシール部(45),(96)におけるクリアランス変化が極めて小さくなる。そのため、予め回転軸(13)の熱膨張を見込んだうえでクリアランス(C1),(C2)を大きめに設定する必要がなく、また、回転軸(13)の熱膨張による焼付きを防止することができる。従って、効率が高く且つ信頼性の高いターボ圧縮機を実現することが可能となる。
【0041】
また、モータ室(11)のモータ(27)も、昇圧前の低温低圧冷媒によって冷却されるので、モータ(27)の過熱が防止される。従って、モータ(27)の発熱による回転軸(13)の加熱も抑制される。また、モータ(27)自体の効率も向上する。
【0042】
特に、吸入冷媒を分流して導く第1及び第2の吸入通路(141),(142)を設け、回転軸(13)の両側を冷却するようにしたので、どちらか一方の側を冷却するような場合に比べて、回転軸(13)の両側のクリアランス(C1),(C2)を万遍なく適正な値に保つことができる。つまり、各気体軸受(37),(97)のそれぞれに対応するように吸入通路(141),(142)を複数個設けることとしたので、各気体軸受(37),(97)を低温冷媒によって直接的に冷却することができ、回転軸(13)を効果的に冷却することが可能となる。
【0043】
環状部材(51)を用い、低温冷媒を各吹付通路(50a)を通じて集中的に吹き付けることとしたので、第1及び第2静止側ジャーナル軸受(31),(33)を冷却することなく、回転軸(13)のみを効率的に冷却することができる。従って、これら軸受(31),(33)の熱膨張を許容しつつ、回転軸(13)の熱膨張を抑制することが可能となる。更に、吹付通路(50a)の出口部を、回転軸(13)の過熱しやすい部分である動圧型ジャーナル気体軸受(37),(97)やラビリンスシール部(45)、(96)の近くに配置しているので、これら部分の冷却を集中的かつ効率的に行うことが可能となる。
【0044】
また、回転軸(13)における吹付通路(50a)の出口近傍には、伝熱促進用の環状溝(53)が形成されているので、冷却効果をより高めることが可能となる。
【0045】
なお、環状部材(51)としては、上記の形態に限らず、例えば図2(b)に示すように、2つの吹付通路(50a)を対向位置に配置したものでもよく、図2(c)のように6つの吹付通路(50a)を放射状に配置したものであってもよい。
【0046】
<実施形態1>
次に、本発明の実施形態1について説明する。
【0047】
図2(d)のように、4つの吹付通路(50a)を回転軸(13)に対してほぼ接線方向になるように配置している。これによれば、冷媒がスムーズに流れて回転軸(13)に対する低温冷媒の伝熱を一層促進し、冷却効果を更に高めることができる。
【0048】
<実施形態1の変形例1>
また、図3に示すように、各吹付通路(50a)の吹出口を傾斜させ、冷媒の吹き付け方向を回転軸(13)の軸心に対して鋭角にし、冷媒を斜め方向から吹き付けるようにすれば、冷媒の流れがスムーズとなり、熱伝達が促進される。従って、回転軸(13)の冷却効果をより高めることができる。特に、各吹付通路(50a)の吹出口をモータ(27)側に傾斜させることにより、第1及び第2静止側ジャーナル軸受(31),(33)を冷却することなく、また、気体軸受のクリアランスに不要な乱れを生じさせることなく、回転軸(13)のみを効果的に冷却することが可能となる。
【0049】
<実施形態1の変形例2>
また、図4に示すように、回転軸(13)の外周面に形成した放熱用の溝(53)を螺旋形状に形成することにより、冷媒をこの螺旋状の溝(53)によって回転軸(13)周りにスムーズに導くことができ、その冷却効果を一層向上させることができる。特に、冷媒をモータ(27)側に導くようにその螺旋形状を形成することにより、第1及び第2静止側ジャーナル軸受(31),(33)を冷却させることなく、また、気体軸受のクリアランスに不要な乱れを生じさせることなく、回転軸(13)のみを効果的に冷却することが可能となる。
【0050】
<実施形態1の変形例3>
また、図5に示すように、吹付通路(50a)を有する環状部材(51)を用いる代わりに、吹付通路(50a)自体を管路で形成してもよい。例えば、第1及び第2吸入配管(131),(132)の先端部を回転軸(13)の近傍にまで延長し、これら吸入配管(131),(132)から吸入冷媒を吹き付けるようにしてもよい。
【0051】
<実施形態1の変形例4>
なお、本実施形態では、モータ室(11)の冷媒を導出する通路として、第1及び第2の導出配管(133),(134)を設けていたが、モータ室(11)の冷媒を導出する通路は1本の通路で構成してもよい。つまり、第1供給配管(135)のみによってモータ室(11)と低段側のインペラ室(111)とを連通するように構成してもよい。
【0052】
<前提技術2>
図6に示すように、前提技術2に係るターボ圧縮機(100b)は、前提技術1と同様に、高段側及び低段側の2つの圧縮部(201,202)を備えている。各圧縮部(201,202)は、回転軸(13)に取り付けられた羽根車(15,75)がインペラ室(111,112)に収容され、羽根車(15,75)の外周にディフューザ空間(9,69)及びスクロール空間(17,77)が設けられて構成されている。本前提技術においても、高段側及び低段側の各圧縮部(201,202)に対応するように、回転軸(13)には2つのヘリンボーン溝(35,95)が形成されている。そして、回転軸(13)は、低段側圧縮部(201)及び高段側圧縮部(202)に対応した複数箇所において、動圧気体軸受(37,97)によって支持されるようになっている。
【0053】
本前提技術においても、低段側及び高段側の各吹付通路(203,204)は、回転軸(13)における各気体軸受(37,97)の近傍部分(以下、吹付部(37a,97a)という)に吸入気体を吹き付けるように構成されている。しかし、前提技術1と異なり、本前提技術に係る吹付通路(203,204)は、吸入気体を分流したうえで各吹付部(37a、97a)に吹き付けるのではなく、吸入気体のすべてをいったん高段側の吹付部(37a)に吹き付け、この高段側吹付部(37a)に吹き付けられた吸入気体を回収し、低段側の吹付部(97a)に吹き付けるように構成されている。
【0054】
図7(b)に示すように、本前提技術の吹付通路(203,204)は、中心部が窪んでいる略環状の環状部材(205)によって形成されている。図7(a)に示すように、この環状部材(205)の外周側には、外周に沿って90度の角度で広がる2つの外周溝(206,207)が形成されている。これら外周溝(206)と外周溝(207)とは、環状部材(205)の中心点に関して点対称の位置に設けられている。また、外周溝(206)と環状部材(205)の中心穴(208)とは、環状部材(205)の径方向に延びる吹出通路(209a、209b)を介して連通している。一方、外周溝(207)と中心穴(208)とは、環状部材(205)の径方向に延びる吸入通路(210a,210b)を介して連通している。
【0055】
図6に示すように、環状部材(205)は周壁部材(29)の内側に配置される。そして、高段側に設けられた環状部材(205)の外周が周壁部材(29)によって被われることにより、図7(a)に示すように、上記外周溝(206)と周壁部材(29)とによって、第1吸入配管(231)からの吸入気体を各吹出通路(209a,209b)に分配する分配通路(211)が区画形成されている。また、上記外周溝(207)と周壁部材(29)とによって、各吸入通路(210a,210b)からの気体を合流させて第2吸入配管(232)に供給する合流通路(212)が区画形成されている。なお、高段側の吹付部(37a)に吸入気体を吹き付ける高段側吹付通路(204)は、上記分配通路(211)及び吹出通路(209a,209b)によって形成されている。上記吸入通路(210a、210b)及び合流通路(212)により、回転軸(13)の高段側の吹付部(37a)に吹き付けられた気体を回収する回収通路(213)が形成されている。
【0056】
同様に、低段側に設けられた環状部材(205)の外周が周壁部材(29)によって被われることにより、当該環状部材(205)の外周溝(206)と周壁部材(29)とによって、第2吸入配管(232)からの吸入気体を各吹出通路(209a,209b)に分配する分配通路(211)が区画形成されている。また、上記外周溝(206)と点対称に配置された外周溝(207)と周壁部材(29)とによって、各吸入通路(210a,210b)からの気体を合流させて第1供給配管(135)に供給する合流通路(212)が区画形成されている。なお、低段側の吹付部(97a)に吸入気体を吹き付ける低段側吹付通路(203)は、上記分配通路(211)及び吹出通路(209a,209b)によって形成されている。上記吸入通路(210a,210b)及び合流通路(212)により、回転軸(13)の低段側の吹付部(97a)に吹き付けられた気体を回収する回収通路(214)が形成されている。
【0057】
各吹付通路(203,204)の吹出通路(209a,209b)は、気体の吹き付け方向が回転軸(13)の軸心に対して鋭角になるように、気体を回転軸(13)の吹付部(37a,97a)に対して斜め方向から吹き付けるように形成されている。
【0058】
本前提技術では、第1吸入配管(231)から吸入された気体は、まず、高段側の吹付通路(204)を通って高段側の気体軸受(37)の近傍の吹付部(37a)に吹き付けられる。そして、吹付部(37a)に吹き付けられた気体の大部分は、回収通路(213)を通り第2吸入配管(232)に流入する。第2吸入配管(232)の気体は、低段側の吹付通路(203)を通り、低段側の気体軸受(97)の近傍の吹付部(97a)に吹き付けられる。吹付部(97a)に吹き付けられた気体は、回収通路(214)を通って、第1供給配管(135)に流入する。第1供給配管(135)の気体は、低段側のインペラ室(111)に供給され、羽根車(75)の回転により1段目の圧縮が行われ、昇圧された中間圧冷媒として第2供給配管(136)に導出される。この中間圧冷媒は第2供給配管(136)を通過し、高段側のインペラ室(112)に導入され、羽根車(15)の回転により2段目の圧縮が行われ、更に昇圧されて高圧冷媒となる。そして、この高圧冷媒は、吐出配管(137)を通じて吐出される。
【0059】
このように、本前提技術においても、回転軸(13)は昇圧前の低温低圧の冷媒によって冷却されるので、その温度上昇が抑制される。従って、回転軸(13)の熱膨張は抑制され、気体軸受(37,97)やラビリンスシール部(45,96)におけるクリアランス変化が極めて小さくなる。従って、軸受の焼付きを防止することができ、効率が高く且つ信頼性の高いターボ圧縮機を実現することが可能となる。
【0060】
特に、本前提技術では、吸入気体をいったん高段側の吹付部(37a)に吹き付け、その後に低段側の吹付部(97a)に吹き付けることとしたので、高段側の吹付部(37a)に吹き付ける冷媒の温度を、低段側の吹付部(97a)に吹き付ける冷媒の温度よりも低くすることができる。そのため、回転軸(13)の熱膨張の程度が大きいと予想される高段側に対しては、より低温の冷媒を吹き付けることができる。このように、熱膨張の程度の大きな箇所に対してはより低温の冷媒を吹き付け、熱膨張の程度の小さな箇所に対しては、上記低温冷媒よりも高温の冷媒を吹き付けることができるので、回転軸(13)の膨張の程度に応じた冷却を行うことができる。従って、回転軸(13)の全体の熱膨張をより効果的に抑制することができる。
【0061】
<実施形態2>
次に、本発明の実施形態2について説明する。
【0062】
図8に示すように、実施形態2に係るターボ圧縮機(100c)は、高段側の吹付通路(204)の吹出口の方が低段側の吹付通路(203)の吹出口よりも回転軸(13)に接近しているものである。
【0063】
高段側の吹付通路(204)及び回収通路(213)は、前提技術2と同様の環状部材(205)によって形成されている。一方、低段側の吹付通路(203)及び回収通路(214)は、環状部材(205)の中心穴を一回り大きくした環状部材(205a)によって形成されている。すなわち、本実施形態では、低段側の吹付通路(203)の吹出口と回転軸(13)の吹付部(97a)との間の隙間間隔は、高段側の吹付通路(204)の吹出口と回転軸(13)の吹付部(37a)との間の隙間間隔よりも大きくなっている。
【0064】
ターボ圧縮機(100c)の運転時には、前提技術1と同様、吸入配管(130)から第1及び第2吸入配管(131,132)に分流して吸入された低圧冷媒は、各吹付通路(203,204)を通過し、回転軸(13)の各吹付部(37a、97a)に吹き付けられる。各吹付部(37a,97a)に吹き付けられた冷媒は、各回収通路(213,214)を通って第1及び第2導出配管(133,134)に導出される。これら導出配管(133,134)内の冷媒は、第1供給配管(135)において合流し、低圧冷媒として低段側のインペラ室(111)に供給される。この低圧冷媒は、前提技術1と同様に、低段側の圧縮部(201)で昇圧されて中間圧冷媒となり、高段側の圧縮部(202)で更に昇圧されて高圧冷媒となって、吐出配管(137)を通じて吐出される。
【0065】
本実施形態では、高段側の吹付通路(204)の吹出口は、低段側の吹付通路(203)の吹出口よりも回転軸(13)に接近しているので、高段側の吹付部(37a)は低段側の吹付部(97a)よりも冷却されやすい。従って、本実施形態においても、前提技術2と同様に、回転軸(13)の熱膨張の程度に応じた冷却を行うことができ、回転軸(13)の全体の熱膨張をより効果的に抑制することができる。
【0066】
<実施形態3>
図9に示すように、実施形態3に係るターボ圧縮機(100d)は、吸入配管(130)から分岐した第1及び第2吸入配管(131,132)のそれぞれに、流量変更機構を設けたものである。
【0067】
具体的には、第1吸入配管(131)には第1バルブ(233)が設けられ、第2吸入配管(132)には第2バルブ(234)が設けられている。これら第1及び第2バルブ(233,234)は開度調節が自在なバルブであり、それらの開度を調節することにより、第1及び第2吸入配管(131,132)を流れる吸入冷媒の量を調節することができる。ここでは、第1バルブ(233)の方が第2バルブ(234)よりも絞り気味に設定されており、吸入配管(130)を流れてきた吸入冷媒は、第1吸入配管(131)よりも第2吸入配管(132)の方に多く流入するようになっている。その結果、吸入冷媒の流速及び流量は第2吸入配管(132)の方が第1吸入配管(131)よりも大きくなり、低段側の吹付部(97a)よりも高段側の吹付部(37a)に対し、より多くの吸入冷媒が吹き付けられる。
【0068】
従って、本実施形態においても、回転軸(13)の熱膨張の程度に応じた冷却を行うことができるので、回転軸(13)の全体の熱膨張をより効果的に抑制することができる。
【0069】
なお、第1及び第2吸入配管(131,132)に設ける流量変更機構は、バルブ(233,234)に限定されるものではなく、第2吸入配管(132)の流量が第1吸入配管(131)の流量よりも多くなるように各吸入配管(131,132)の流量を調節できるものであれば、どのようなものでもよい。例えば、オリフィス等であってもよい。また、流量変更機構は、各吸入配管(131,132)の流量を一定流量にするものであってもよく、それらの流量を手動または自動で適宜変更できるものであってもよい。
【0070】
また、第1及び第2吸入配管(131,132)に流量変更機構を設ける代わりに、低段側及び高段側の吹付通路(204,203)自体を、高段側の方が低段側よりも流量が多くなるように形成してもよい。例えば、第2吸入配管(132)の方が第1吸入配管(131)よりも流路断面積が大きくなるようにしてもよい。
【0071】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、回転軸(13)を回転させるモータ(27)が配置されたモータ室(11)に昇圧前の低温低圧の吸入気体を導入し、当該モータ室(11)を低温低圧雰囲気にしたので、回転軸(13)の熱膨張を抑制することができ、回転軸(13)と各軸受部(31,33)との間のクリアランス(C1,C2)を適正な値に保つことが可能となる。従って、軸受性能を維持したまま焼付きを防止することができ、性能及び信頼性の双方を向上させることができる。
【0072】
吸入気体を回転軸(13)に吹き付ける複数の吹付通路(50a)を設けることにより、両気体軸受形成部(35,95)を直接的且つ効率的に冷却することができ、回転軸(13)の両側に羽根車(15,75)及び気体軸受形成部(35,95)が設けられているにも関わらず、回転軸(13)の熱膨張を確実に防止することができる。従って、性能及び信頼性の双方に優れた多段式のターボ圧縮機を実現することができる。
【0073】
吹付通路(50a)を、吸入気体を回転軸(13)の軸方向に対して斜め方向に吹き付けるように形成し、あるいは、吸入気体を回転軸(13)の接線方向に吹き付けるように形成することにより、吸入気体の流れをスムーズにすることができ、吸入気体と回転軸(13)との間の熱伝達を促進することができる。
【0074】
吹付通路(50a)を、吸入冷媒を回転軸(13)の過熱しやすい部分に吹き付けるように形成することにより、回転軸(13)を効率的に冷却することができる。
【0075】
回転軸(13)に放熱用の溝(53)を形成することにより、回転軸(13)の冷却を更に促進することができる。
【0076】
モータ(27)の回転軸(13)に取り付けられた羽根車(15,75)を有する2つの圧縮部(201,202)と、上記回転軸(13)を上記各圧縮部(201,202)に対応した2箇所で軸支するように設けられた2つの気体軸受(37,97)と、上記回転軸(13)に吸入気体を吹き付ける複数の吹付通路(203,204)とを備えることにより、複数の気体軸受(37,97)のそれぞれの軸受性能を維持したまま、その焼付きを防止することができ、性能及び信頼性の双方を向上させることができる。
【0077】
吹付通路(203,204)を、高段側の吹付通路(204)の吹出口の方が低段側の吹付通路(203)の吹出口よりも回転軸(13)に近くなるように形成することにより、回転軸(13)の各部の熱膨張の程度に応じた冷却が可能となり、軸受の焼付きを効果的に防止することができる。
【0078】
吹付通路(203,204)を、高段側の方が低段側よりも吹付量が多くなるように構成することにより、回転軸(13)の各部の熱膨張の程度に応じた冷却が可能となり、軸受の焼付きを効果的に防止することができる。
【0079】
吹付通路(203,204)を、回転軸(13)の高段側気体軸受(97)側を冷却した気体によって低段側気体軸受(37)側を冷却するように形成することにより、回転軸(13)の各部の熱膨張の程度に応じた冷却が可能となり、軸受の焼付きを効果的に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の前提技術1に係るターボ圧縮機の断面図である。
【図2】 (a)〜(d)は、環状部材の吹付通路の各種態様を示す図である。
【図3】 ターボ圧縮機の環状部材設置部分の変形例を示す部分断面図である。
【図4】 回転軸の放熱用の溝形状の変形例を示す図である。
【図5】 吹付通路の変形例を示すターボ圧縮機の断面図である。
【図6】 前提技術2に係るターボ圧縮機の断面図である。
【図7】 (a)は環状部材の正面図、(b)は(a)の環状部材のI−I線断面図である。
【図8】 実施形態2に係るターボ圧縮機の断面図である。
【図9】 実施形態3に係るターボ圧縮機の断面図である。
【符号の説明】
(1) ケーシング
(11) モータ室
(13) 回転軸
(15) 羽根車
(27) モータ
(35),(95) ヘリンボーン溝(気体軸受形成部)
(37),(97) 動圧型ジャーナル気体軸受(気体軸受)
(43) 動圧型スラスト気体軸受
(45) ラビリンスシール部
(50a) 吹付通路
(111),(112) インペラ室
(131),(132) 吸入通路
(C1),(C2) クリアランス
Claims (6)
- 吸入気体を多段に圧縮して吐出するターボ圧縮機であって、
少なくともモータ室(11)及び該モータ室(11)の両側に第1及び第2のインペラ室(111,112)を区画形成するケーシング(1)と、
上記モータ室(11)に収納されたモータ(27)と、
上記モータ(27)に連結された回転軸(13)と、
上記回転軸(13)の両側に設けられ且つ上記第1及び第2インペラ室(111,112)にそれぞれ収容された第1及び第2羽根車(15,75)と、
上記第1及び第2羽根車(15,75)に対応して上記回転軸(13)の両側に形成された第1及び第2気体軸受形成部(35,95)と、
上記回転軸(13)の上記第1及び第2気体軸受形成部(35,95)との間で気体軸受(37,97)を形成するように該各気体軸受形成部(35,95)と所定のクリアランス(C1,C2)を存して設けられ、該回転軸(13)を非接触状態で支持する軸受部(31,33)と、
昇圧前の吸入気体で上記回転軸(13)の上記第1及び第2気体軸受形成部(35,95)を冷却するように、該吸入気体を該回転軸(13)に吹き付ける複数の吹付通路(50a)とを備え、
上記吹付通路(50a)は、吸入気体を回転軸(13)の接線方向に吹き付けるように形成されているターボ圧縮機。 - 吹付通路(50a)は、吸入気体を回転軸(13)の軸方向に対して斜め方向に吹き付けるように形成されている請求項1に記載のターボ圧縮機。
- 回転軸(13)には、放熱用の溝(53)が形成されている請求項1又は2に記載のターボ圧縮機。
- 吸入気体を多段に圧縮して吐出するターボ圧縮機であって、
モータ(27)の回転軸(13)の両側に取り付けられた羽根車(15a,75a)を有する2つの圧縮部(201,202)と、
上記回転軸(13)の両側を上記各圧縮部(201,202)に対応した2箇所で軸支するように設けられた2つの気体軸受(37,97)と、
上記回転軸(13)における上記各気体軸受(37,97)のモータ(27)側の側方に吸入気体を吹き付ける複数の吹付通路(203,204)とを備え、
上記各吹付通路(203,204)の吹出口は、回転軸(13)との間に隙間(C1,C2)が設けられるように該回転軸(13)から離れて配置され、
高段側の吹付通路(204)の吹出口と上記回転軸(13)との間の隙間間隔が、低段側の吹付通路(203)の吹出口と上記回転軸(13)との間の隙間間隔よりも小さいターボ圧縮機。 - 吸入気体を多段に圧縮して吐出するターボ圧縮機であって、
モータ(27)の回転軸(13)の両側に取り付けられた羽根車(15a,75a)を有する2つの圧縮部(201,202)と、
上記回転軸(13)の両側を上記各圧縮部(201,202)に対応した2箇所で軸支するように設けられた2つの気体軸受(37,97)と、
上記回転軸(13)における上記各気体軸受(37,97)のモータ(27)側の側方に吸入気体を吹き付ける複数の吹付通路(203,204)とを備え、
上記吹付通路(203,204)は、高段側の吹付通路(204)の方が低段側の吹付通路(203)よりも吹付量が多くなるように構成されているターボ圧縮機。 - 吹付通路(203,204)は、吸入気体を回転軸(13)の高段側気体軸受(97)側に吹き付けた後、該気体を回収して低段側気体軸受(37)側に吹き付けるように構成されている請求項4又は5に記載のターボ圧縮機。
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