JP3829416B2 - ターボ機械 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ターボ圧縮機等のターボ機械の改良に関し、特に回転軸の冷却対策に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、例えばターボ機械としてのターボ圧縮機では、気体を昇圧するための羽根車は、軸受に回転自在に支持された回転軸に連結され、回転軸の回転力が伝達されることにより高速回転するものであり、回転軸の大半はモータ室に配置されている(特開平8−312582号公報参照)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述の如きターボ圧縮機等のターボ機械では、回転軸の温度が軸受摩擦損失や高温高圧の気体の漏れによる加熱等により上昇し、このため、回転軸が熱膨張して軸受部やシール部でクリアランス変化が増大し、焼付きが生じて信頼性が低下するおそれがある。
【0004】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、回転軸の熱膨張に起因する焼付きをなくして信頼性を向上させることにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、本発明は、回転軸を強制的に冷却するようにしたことを特徴とする。
【0006】
具体的には、本発明は、図2に示すように、一端に羽根車(15)が設けられ、他端側がモータ室(11)に配置された回転軸(13)を回転させ、上記羽根車(15)の回転により吸入気体を昇圧して吐出するターボ機械を対象とし、次のような解決手段を講じた。
【0007】
すなわち、本発明の第1の解決手段は、上記回転軸(13)に回転軸(13)を内部から冷却する冷却手段を設けたことを特徴とする。
【0008】
上記の構成により、本発明の第1の解決手段では、回転軸(13)が冷却手段により内部から冷却されることから、軸受摩擦損失や高温高圧の気体の漏れによる加熱等により回転軸(13)の温度が上昇するのが抑制されて回転軸(13)の熱膨張が抑制され、軸受部(動圧型ジャーナル気体軸受(37))やシール部(ラビリンスシール部(45))でクリアランスが大きく変化せず、焼付きの発生がなく信頼性が向上する。
【0009】
また、本発明の第1の解決手段は、図2に示すように、モータ室(11)を低圧ドーム構造とする。さらに、冷却手段を、回転軸(13)の羽根車(15)側の端部から回転軸心方向に延びて中間部に達し、昇圧前の低温低圧の気体を導入する導入通路(53)と、該導入通路(53)に連通され、回転軸心と直交する方向に延びてモータ室(11)に開放された開放通路(55)とで構成したことを特徴とする。
【0010】
上記の構成により、本発明の第1の解決手段では、羽根車(15)が回転すると、昇圧前の低温低圧の気体が回転軸(13)の導入通路(53)に導入され、開放通路(55)を通過することで遠心ポンプ作用が働き、この遠心ポンプ作用により気体が強制的にモータ室(11)に流れる。そして、昇圧前の低温低圧の気体が回転軸(13)の導入通路(53)及び開放通路(55)を通過する過程で、回転軸(13)は内部から冷却されて熱膨張が抑制され、軸受部(動圧型ジャーナル気体軸受(37))やシール部(ラビリンスシール部(45))でクリアランスが大きく変化せず、焼付きの発生がなく信頼性が向上する。また、モータ室(11)内にあって導入通路(53)が形成されていない回転軸(13)部分が、低圧ドーム構造のモータ室(11)の低温低圧雰囲気により外側から効果的に冷却される。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面に基づいて説明する。
【0012】
図1には本発明の前提となる実施の形態に係るターボ機械としてのターボ圧縮機を示す。同図において、(1)はドーム形のケーシングであって、該ケーシング(1)は一端(図1左端)が開口した有底筒状のケーシング本体(3)と、該ケーシング本体(3)の開口を覆う閉塞部材(5)とで密閉構造に形成されている。上記ケーシング(1)の内部には静止側スラスト軸受(7)が上記閉塞部材(5)に接近して配置され、この閉塞部材(5)と静止側スラスト軸受(7)との間には、複数枚の羽根(15a)を有する略円錐台形状の羽根車(インペラ)(15)が配置されている。また、羽根車(15)外周(インペラ出口)にはディフューザ空間(9)及びスクロール空間(17)が形成されている。
【0013】
上記ケーシング(1)の央部には回転軸(13)が回転自在に配置され、該回転軸(13)の一端(図1左端)には上記羽根車(15)が回転一体に取り付けられ、羽根車(15)と閉塞部材(5)との間に僅かなクリアランスが設けられている。また、上記閉塞部材(5)の央部には、気体を吸入するための吸入管(19)が上記羽根車(15)に対応して接続されているとともに、ケーシング本体(3)の開口側には、昇圧気体を吐出するための吐出管(21)が上記スクロール空間(17)に連通するように接続されている。
【0014】
上記回転軸(13)の他端側(図1右端)はモータ室(11)に配置され、該モータ室(11)には、ロータ(23)とステータ(25)とからなるモータ(27)が配置され、該モータ(27)のロータ(23)は上記回転軸(13)の中途部に固定され、一方、ステータ(25)はケーシング本体(3)内周に装着された周壁部材(29)に上記ロータ(23)と向かい合うように固定されている。
【0015】
上記静止側スラスト軸受(7)のモータ室(11)側には、第1静止側ジャーナル軸受(31)が、反対側には第2静止側ジャーナル軸受(33)がそれぞれ固定され、これら第1及び第2静止側ジャーナル軸受(31),(33)と上記周壁部材(29)とによってハウジングが構成され、このハウジング内部をモータ室(11)としている。一方、上記回転軸(13)の第1及び第2静止側ジャーナル軸受(31),(33)側の周面には、複数のヘリングボーングルーブ(35)が上記第1及び第2静止側ジャーナル軸受(31),(33)に向かい合うようにそれぞれ形成され、両者間の僅かなクリアランスに生成された気体圧力による気体膜により回転軸(13)を非接触状態で回転自在に支持する動圧型ジャーナル気体軸受(37)を構成している。
【0016】
上記静止側スラスト軸受(7)と第1静止側ジャーナル軸受(31)との間にはプレート室(39)が形成され、該プレート室(39)にはスラスト円板からなる回転側スラスト軸受(41)が上記回転軸(13)に外側方に張り出すように嵌着されて配置されている。静止側スラスト軸受(7)は回転側スラスト軸受(41)よりも羽根車(15)寄りに配置され、回転側スラスト軸受(41)と対峙している。また、該回転側スラスト軸受(41)の静止側スラスト軸受(7)側の面にはスパイラルグルーブ(図示せず)が形成され、静止側スラスト軸受(7)との間の僅かなクリアランスに生成された気体圧力による気体膜により回転軸(13)のスラスト荷重を非接触状態で回転自在にする動圧型スラスト気体軸受(43)を構成し、この動圧型スラスト気体軸受(43)は、動圧型ジャーナル気体軸受(37)よりも羽根車(15)寄りに配置されている。そして、上記回転軸(13)を動圧型スラスト気体軸受(43)及び動圧型ジャーナル気体軸受(37)によって回転自在に支持している。
【0017】
上記回転側スラスト軸受(41)と動圧型ジャーナル気体軸受(37)との間における回転軸(13)周りには、上記羽根車(15)による昇圧気体のラビリンスシール部(45)が設けられている。
【0018】
上記ケーシング本体(3)の周壁中程には導入管(47)がモータ室(11)に連通するように接続され、昇圧前の低温低圧の気体を導入管(47)を経てモータ室(11)に導入して内部を低温低圧雰囲気の低圧ドーム構造としている。また、上記ケーシング本体(3)の底壁には導出管(49)が接続されているとともに、上記第2静止側ジャーナル軸受(33)には導出孔(33a)が形成され、上記導出管(49)が導出孔(33a)を介してモータ室(11)に連通するようになっている。この導出管(49)は上記吸入管(19)に配管(50)によって接続され、モータ室(11)から導出される低温低圧の気体を羽根車(15)入口に導いて吸入使用するようになっている。
【0019】
本発明の特徴として、上記回転軸(13)には、冷却手段としての貫通孔(51)が回転軸心方向に貫通して形成され、昇圧前の低温低圧の気体の一部を回転軸(13)の内部に導入して該回転軸(13)を内部から冷却するようになっている。この貫通孔(51)を通過する気体は、上記導入管(47)からモータ室(11)に導入された気体と同様に導出管(49)及び配管(50)を経て羽根車収容室(9)入口に導かれて吸入使用されるようになっている。
【0020】
そして、上述の如く構成されたターボ圧縮機は、例えば空調機の冷媒回路等に使用される。つまり、冷媒ガス等の気体を羽根車(15)の回転により吸入管(19)から吸入して昇圧し、昇圧気体をディフューザ空間(9)及びスクロール空間(17)を経て吐出管(21)から吐出するようになっている。この際、回転軸(13)の貫通孔(51)にも上記吸入管(19)から吸入される低温低圧の気体が吸入による慣性により導入され、この導入された低温低圧の気体は貫通孔(51)を通過して導出管(49)及び配管(50)を経て吸入管(19)に還流される。
【0021】
この間、上記回転軸(13)の貫通孔(51)を通過する低温低圧の気体によって回転軸(13)を内部から冷却することができることから、回転軸(13)が軸受摩擦損失や高温高圧の気体の漏れによる加熱等により過熱されて温度上昇しようとするのを抑制することができ、回転軸(13)の熱膨張を抑制することができる。したがって、動圧型ジャーナル気体軸受(37)やラビリンスシール部(45)等の箇所において、回転軸(13)の熱膨張に起因するクリアランス変化を減少させ、焼付きのない信頼性の高いターボ圧縮機とすることができる。
【0022】
また、昇圧前の低温低圧の気体を導入管(47)からモータ室(11)に導入し、該モータ室(11)の内部を低温低圧の低圧ドーム構造にしているので、回転軸(13)を外側からも冷却して冷却効果を高めることができる。
【0023】
(本発明の実施の形態)
図2は本発明の実施の形態に係るターボ機械としてのターボ圧縮機を示す。本例では、回転軸(13)に貫通孔(51)を形成する代わりに、導入通路(53)を回転軸(13)の羽根車(15)側の端部から中間部にまで回転軸心方向に延ばし、この中間部に達した導入通路(53)端部に回転軸心と直交する方向に延びる複数の開放通路(55)を連通させ、該開放通路(55)をモータ室(11)に開放して冷却手段を構成したほかは、上述した前提となる実施の形態と同じであるので、同一の構成の箇所には同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0024】
したがって、本例のターボ圧縮機では、冷媒ガス等の気体を羽根車(15)の回転により吸入管(19)から吸入して昇圧し、昇圧気体をディフューザ空間(9)及びスクロール空間(17)を経て吐出管(21)から吐出することに関しては、実施の形態1と同様である。この際、回転軸(13)の導入通路(53)にも上記吸入管(19)から吸入される昇圧前の低温低圧の気体が吸入による慣性により導入され、この導入された低温低圧の気体は導入通路(53)から開放通路(55)を通過して遠心ポンプ作用により強制的にモータ室(11)に放出され、導出管(49)及び配管(50)を経て吸入管(19)に還流される。
【0025】
この間、導入通路(53)を遠心ポンプ作用によって強制的に流れる気体によって上記回転軸(13)を内部から効果的に冷却することができることから、回転軸(13)が軸受摩擦損失や高温高圧の気体の漏れによる加熱等により過熱されて温度上昇しようとするのを抑制することができ、回転軸(13)の熱膨張を抑制することができる。したがって、動圧型ジャーナル気体軸受(37)やラビリンスシール部(45)等の箇所において、回転軸(13)の熱膨張に起因するクリアランス変化を減少させ、焼付きのない信頼性の高いターボ圧縮機とすることができる。
【0026】
また、昇圧前の低温低圧の気体を導入管(47)からモータ室(11)に導入し、該モータ室(11)の内部を低温低圧の低圧ドーム構造にしているので、モータ室(11)内にあって導入通路(53)が形成されていない回転軸(13)部分を外側から効果的に冷却することができる。
【0027】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、羽根車(15)を回転させる回転軸(13)に冷却手段(51,53,55)を設けて該回転軸(13)を内部から冷却するようにしたので、回転軸(13)の熱膨張を抑制して軸受部(動圧型ジャーナル気体軸受(37))やシール部(ラビリンスシール部(45))でのクリアランス変化を減少させ、焼付きのない信頼性の高いターボ機械とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の前提となる実施の形態に係るターボ圧縮機の断面図である。
【図2】 本発明の実施の形態に係るターボ圧縮機の断面図である。
【符号の説明】
(11) モータ室
(13) 回転軸
(15) 羽根車
(51) 貫通孔(冷却手段)
(53) 導入通路(冷却手段)
(55) 開放通路(冷却手段)
Claims (1)
- 一端に羽根車(15)が設けられ、他端側がモータ室(11)に配置された回転軸(13)を回転させ、上記羽根車(15)の回転により吸入気体を昇圧して吐出するターボ機械であって、上記回転軸(13)には、回転軸(13)を内部から冷却する冷却手段が設けられ、モータ室(11)は、低圧ドーム構造であり、冷却手段は、回転軸(13)の羽根車(15)側の端部から回転軸心方向に延びて中間部に達し、昇圧前の低温低圧の気体を導入する導入通路(53)と、該導入通路(53)に連通され、回転軸心と直交する方向に延びてモータ室(11)に開放された開放通路(55)とで構成されていることを特徴とするターボ機械。
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