まず、第1の実施の形態について説明する。
図1は、本実施の形態に係るビーム光走査装置が適用される画像形成装置としてのデジタル複写機の構成を示すものである。すなわち、このデジタル複写機は、たとえば、画像読取手段としてのスキャナ部1、および、画像形成手段としてのプリンタ部2から構成されている。スキャナ部1は、図示矢印方向に移動可能な第1キャリジ3と第2キャリジ4、結像レンズ5、および、光電変換素子6などから構成されている。
図1において、原稿Oは透明ガラスからなる原稿台7上に下向きに置かれ、その原稿Oの載置基準は原稿台7の短手方向の正面右側がセンタ基準になっている。原稿Oは、開閉自在に設けられた原稿固定カバー8によって原稿台7上に押え付けられる。
原稿Oは光源9によって照明され、その反射光はミラー10,11,12、および、結像レンズ5を介して光電変換素子6の受光面に集光されるように構成されている。ここで、上記光源9およびミラー10を搭載した第1キャリジ3と、ミラー11,12を搭載した第2キャリジ4は、光路長を一定にするように2:1の相対速度で移動するようになっている。第1キャリジ3および第2キャリジ4は、キャリジ駆動用モータ(図示せず)によって読取タイミング信号に同期して右から左方向に移動する。
以上のようにして、原稿台7上に載置された原稿Oの画像は、スキャナ部1によって1ラインごとに順次読取られ、その読取り出力は、図示しない画像処理部において画像の濃淡を示す8ビットのデジタル画像信号に変換される。
プリンタ部2は、光学系ユニット13、および、被画像形成媒体である用紙P上に画像形成が可能な電子写真方式を組合わせた画像形成部14から構成されている。すなわち、原稿Oからスキャナ部1で読取られた画像信号は、図示しない画像処理部で処理が行なわれた後、半導体レーザ発振器からのレーザビーム光(以降、単にビーム光と称す)に変換される。ここに、本実施の形態では、半導体レーザ発振器を複数個(2個以上)使用するマルチビーム光学系を採用している。
光学系ユニット13の構成については後で詳細を説明するが、ユニット内に設けられた複数の半導体レーザ発振器は、図示しない画像処理部から出力されるレーザ変調信号にしたがって発光動作し、これらから出力される複数のビーム光は、ポリゴンミラーで反射されて走査光となり、ユニット外部へ出力されるようになっている。
光学系ユニット13から出力される複数のビーム光は、像担持体としての感光体ドラム15上の露光位置Xの地点に必要な解像度を持つスポットの走査光として結像され、走査露光される。これによって、感光体ドラム15上には、画像信号に応じた静電潜像が形成される。
感光体ドラム15の周辺には、その表面を帯電する帯電チャージャ16、現像器17、転写チャージャ18、剥離チャージャ19、および、クリーナ20などが配設されている。感光体ドラム17は、駆動モータ(図示せず)により所定の外周速度で回転駆動され、その表面に対向して設けられている帯電チャージャ16によって帯電される。帯電された感光体ドラム15上の露光位置Xの地点に複数のビーム光(走査光)がスポット結像される。
感光体ドラム15上に形成された静電潜像は、現像器17からのトナー(現像剤)により現像される。現像によりトナー像を形成された感光体ドラム15は、転写位置の地点で給紙系によりタイミングをとって供給される用紙P上に転写チャージャ18によって転写される。
上記給紙系は、底部に設けられた給紙カセット21内の用紙Pを、給紙ローラ22と分離ローラ23とにより1枚ずつ分離して供給する。そして、レジストローラ24まで送られ、所定のタイミングで転写位置まで供給される。転写チャージャ18の下流側には、用紙搬送機構25、定着器26、画像形成済みの用紙Pを排出する排紙ローラ27が配設されている。これにより、トナー像が転写された用紙Pは、定着器26でトナー像が定着され、その後、排紙ローラ27を経て外部の排紙トレイ28に排紙される。
また、用紙Pへの転写が終了した感光体ドラム15は、その表面の残留トナーがクリーナ20によって取り除かれて、初期状態に復帰し、次の画像形成の待機状態となる。
以上のプロセス動作を繰り返すことにより、画像形成動作が連続的に行なわれる。
以上説明したように、原稿台7上に置かれた原稿Oは、スキャナ部1で読取られ、その読取り情報は、プリンタ部2で一連の処理を施された後、用紙P上にトナー画像として記録されるものである。
次に、光学系ユニット13について説明する。
図2は、光学系ユニット13の構成と感光体ドラム15の位置関係を示している。光学系ユニット13は、たとえば、4つのビーム光発生手段としての半導体レーザ発振器31a,31b,31c,31dを内蔵していて、それぞれのレーザ発振器31a〜31dが、同時に1走査ラインずつの画像形成を行なうことで、ポリゴンミラーの回転数を極端に上げることなく、高速の画像形成を可能としている。
すなわち、レーザ発振器31aはレーザドライバ32aで駆動され、出力されるビーム光は、図示しないコリメータレンズを通過した後、光路偏向手段としてのガルバノミラー33aに入射する。ガルバノミラー33aで反射されたビーム光は、ハーフミラー34aとハーフミラー34bを通過し、多面回転ミラーとしてのポリゴンミラー35に入射する。
ポリゴンミラー35は、ポリゴンモータドライバ37で駆動されるポリゴンモータ36によって一定速度で回転されている。これにより、ポリゴンミラー35からの反射光は、ポリゴンモータ36の回転数で定まる角速度で、一定方向に走査することになる。ポリゴンミラー35によって走査されたビーム光は、図示しないf−θレンズのf−θ特性により、これを通過することによって、一定速度で、ビーム光位置検知手段およびビーム光通過タイミング検知手段およびビーム光パワー検知手段としてのビーム光検知装置38の受光面、および、感光体ドラム15上を走査することになる。
レーザ発振器31bは、レーザドライバ32bで駆動され、出力されるビーム光は、図示しないコリメータレンズを通過した後、ガルバノミラー33bで反射し、さらにハーフミラー34aで反射する。ハーフミラー34aからの反射光は、ハーフミラー34bを通過し、ポリゴンミラー35に入射する。ポリゴンミラー35以降の経路は、上述したレーザ発振器31aの場合と同じで、図示しないf−θレンズを通過し、一定速度でビーム光検知装置38の受光面および感光体ドラム15上を走査する。
レーザ発振器31cは、レーザドライバ32cで駆動され、出力されるビーム光は、図示しないコリメータレンズを通過した後、ガルバノミラー33cで反射し、さらにハーフミラー34cを通過し、ハーフミラー34bで反射し、ポリゴンミラー35に入射する。ポリゴンミラー35以降の経路は、上述したレーザ発振器31a,31bの場合と同じで、図示しないf−θレンズを通過し、一定速度でビーム光検知装置38の受光面および感光体ドラム15上を走査する。
レーザ発振器31dは、レーザドライバ32dで駆動され、出力されるビーム光は、図示しないコリメータレンズを通過した後、ガルバノミラー33dで反射し、さらにハーフミラー34cで反射し、ハーフミラー34bで反射し、ポリゴンミラー35に入射する。ポリゴンミラー35以降の経路は、上述したレーザ発振器31a,31b,31cの場合と同じで、図示しないf−θレンズを通過し、一定速度でビーム光検知装置38の受光面および感光体ドラム15上を走査する。
なお、レーザドライバ32a〜32dは、それぞれオートパワーコントロール(APC)回路を内蔵しており、後で説明する主制御部(CPU)51から設定される発光パワーレベルで常にレーザ発振器31a〜31dを発光動作させるようになっている。
このようにして、別々のレーザ発振器31a,31b,31c,31dから出力された各ビーム光は、ハーフミラー34a,34b,34cで合成され、4つのビーム光がポリゴンミラー35の方向に進むことになる。
したがって、4つのビーム光は、同時に感光体ドラム15上を走査することができ、従来のシングルビームの場合に比べ、ポリゴンミラー35の回転数が同じである場合、4倍の速度で画像を記録することが可能となる。
ガルバノミラー33a,33b,33c,33dは、副走査方向のビーム光相互間の位置関係を調整(制御)するためのものであり、それぞれを駆動するガルバノミラー駆動回路39a,39b,39c,39dが接続されている。
ビーム光検知装置38は、上記4つのビーム光の通過位置、通過タイミングおよびパワーをそれぞれ検知するためのものであり、その受光面が感光体ドラム15の表面と同等になるよう、感光体ドラム15の端部近傍に配設されている。このビーム光検知装置38からの検知信号を基に、それぞれのビーム光に対応するガルバノミラー33a,33b,33c,33dの制御(副走査方向の画像形成位置制御)、レーザ発振器31a,31b,31c,31dの発光パワー(強度)の制御、および、発光タイミングの制御(主走査方向の画像形成位置制御)が行なわれる(詳細は後述する)。これらの制御を行なうための信号を生成するために、ビーム光検知装置38には、ビーム光検知装置出力処理回路40が接続されている。
次に、制御系について説明する。
図3は、主にマルチビーム光学系の制御を主体にした制御系を示している。すなわち、51は全体的な制御を司る主制御部で、たとえば、CPUからなり、これには、メモリ52、コントロールパネル53、外部通信インタフェイス(I/F)54、レーザドライバ32a,32b,32c,32d、ポリゴンミラーモータドライバ37、ガルバノミラー駆動回路39a,39b,39c,39d、信号処理手段としてのビーム光検知装置出力処理回路40、同期回路55、および、画像データインタフェイス(I/F)56が接続されている。
同期回路55には、画像データI/F56が接続されており、画像データI/F56には、画像処理部57およびページメモリ58が接続されている。画像処理部57にはスキャナ部1が接続され、ページメモリ58には外部インタフェイス(I/F)59が接続されている。
ここで、画像を形成する際の画像データの流れを簡単に説明すると、以下のような流れとなる。
まず、複写動作の場合は、先に説明したように、原稿台7上にセットされた原稿Oの画像は、スキャナ部1で読取られ、画像処理部57へ送られる。画像処理部57は、スキャナ部1からの画像信号に対し、たとえば、周知のシェーディング補正、各種フィルタリング処理、階調処理、ガンマ補正などを施こす。
画像処理部57からの画像データは、画像データI/F56へと送られる。画像データI/F56は、4つのレーザドライバ32a,32b,32c,32dへ画像データを振り分ける役割を果たしている。
同期回路55は、各ビーム光のビーム光検知装置38上を通過するタイミングに同期したクロックを発生し、このクロックに同期して、画像データI/F56から各レーザドライバ32a,32b,32c,32dへ、画像データをレーザ変調信号として送出する。
このようにして、各ビーム光の走査と同期を取りながら画像データを転送することで、主走査方向に同期がとれた(正しい位置への)画像形成が行なわれるものである。
また、同期回路55には、非画像領域で各レーザ発振器31a,31b,31c,31dを強制的に発光動作させ、各ビーム光のパワーを制御するためのサンプルタイマや、各ビーム光の画像形成タイミングを取るために、ビーム光の順にしたがってビーム光検知装置38上でそれぞれのレーザ発振器31a,31b,31c,31dを発光動作させる論理回路などが含まれている。
コントロールパネル53は、複写動作の起動や、枚数設定などを行なうマンマシンインタフェースである。
本デジタル複写機は、複写動作のみでなく、ページメモリ58に接続された外部I/F59を介して外部から入力される画像データをも形成出力できる構成となっている。なお、外部I/F59から入力される画像データは、一旦ページメモリ58に格納された後、画像データI/F56を介して同期回路55へ送られる。
また、本デジタル複写機が、たとえば、ネットワークなどを介して外部から制御される場合には、外部通信I/F54がコントロールパネル53の役割を果たす。
ガルバノミラー駆動回路39a,39b,39c,39dは、主制御部51からの指示値にしたがってガルバノミラー33a,33b,33c,33dを駆動する回路である。したがって、主制御部51は、ガルバノミラー駆動回路39a,39b,39c,39dを介して、ガルバノミラー33a,33b,33c,33dの各角度を自由に制御することができる。
ポリゴンモータドライバ37は、先に述べた4つのビーム光を走査するポリゴンミラー35を回転させるためのポリゴンモータ36を駆動するドライバである。主制御部51は、このポリゴンモータドライバ37に対し、回転開始、停止と回転数の切換えを行なうことができる。回転数の切換えは、ビーム光検知装置38でビーム光の通過位置を確認する際に、必要に応じて、所定の回転速度よりも回転数を落すときに用いる。
レーザドライバ32a,32b,32c,32dは、先に説明した同期回路55からのビーム光の走査に同期したレーザ変調信号にしたがってレーザ光を発光させる以外に、主制御部51からの強制発光信号により、画像データとは無関係に強制的にレーザ発振器31a,31b,31c,31dを発光動作させる機能を持っている。
また、主制御部51は、それぞれのレーザ発振器31a,31b,31c,31dが発光動作するパワーを、各レーザドライバ32a,32b,32c,32dに対して設定する。発光パワーの設定は、プロセス条件の変化や、ビーム光の通過位置検知などに応じて変更される。
メモリ52は、制御に必要な情報を記憶するためのものである。たとえば、各ガルバノミラー33a,33b,33c,33dの制御量、ビーム光の通過位置を検知するための回路特性(増幅器のオフセット値)、および、ビーム光の到来順序などを記憶しておくことで、電源立ち上げ後、即座に光学系ユニット13を画像形成が可能な状態にすることができる。
次に、ビーム光検知装置38について説明する。
図4は、ビーム光検知装置38の構成とビーム光の走査方向の関係を模式的に示している。4つの半導体レーザ発振器31a,31b,31c,31dからのビーム光a〜dは、左から右へとポリゴンミラー35の回転によって走査され、ビーム光検知装置38上を横切る。
ビーム光検知装置38は、第1の光検知素子としての縦に長い2つのセンサパターンS1,S2、この2つのセンサパターンS1,S2に挟まれるように配設された第2,第3の光検知素子としての7つのセンサパターンSA,SB,SC,SD,SE,SF,SG、センサパターンS1の隣接部位(図面に対し右隣り)に設けられた第4の光検知素子としての1つのセンサパターンSH、および、これら各センサパターンS1,S2,SA,SB,SC,SD,SE,SF,SG,SHを一体的に保持する保持手段としての保持基板38aから構成されている。なお、センサパターンS1,S2,SA〜SG,SHは、たとえば、フォトダイオードによって構成されている。
ここに、センサパターンS1は、ビーム光の通過を検知して、後述する積分器のリセット信号(積分動作開始信号)を発生するパターン、センサパターンS2は、同じくビーム光の通過を検知して、後述するA/D変換器の変換開始信号を発生するパターンである。センサパターンSA〜SGは、ビーム光の通過位置を検知するパターンである。また、センサパターンSHは、ビーム光のパワーを検知するためのパターンである。
センサパターンS1,S2は、図4に示すように、ガルバノミラー33a〜33dの位置に関係なく、ポリゴンミラー35によって走査されるビーム光a〜dが必ず横切るように、ビーム光の走査方向に対して直角方向に長く形成されている。たとえば、本例では、ビーム光の走査方向の幅W1,W3が200μmであるのに対し、ビーム光の走査方向に直角な方向の長さL1は2000μmである。
センサパターンSA〜SGは、図4に示すように、センサパターンS1とS2の間で、ビーム光の走査方向と直角な方向に積み重なるように配設されていて、その配設長さはセンサパターンS1,S2の長さL1と同一となっている。なお、センサパターンSA〜SGのビーム光の走査方向の幅W2は、たとえば、600μmである。
センサパターンSHは、図4から明らかなように、副走査方向のサイズ(ビーム光の走査方向に直角な方向のサイズ)が、センサパターンS1,S2の長さL1と同じく、充分大きなサイズを有しており、このビーム光検知装置38をビーム光がよぎる際には、必ずこのセンサパターンSH上をビーム光が通過するようになっている。
なお、センサパターンSB〜SFのパターン形状は、たとえば、32.3μm×600μmの長方形であり、ビーム光の走査方向と直角方向に約10μmの微少なギャップが形成されている。したがって、ギャップ間の配設ピッチは42.3μmになっている。また、センサパターンSAとSB、センサパターンSFとSGのギャップも約10μmになるように配設されている。なお、センサパターンSA,SGのビーム光の走査方向と直角方向の幅は、センサパターンSB〜SFの幅よりも大きくしてある。
このように構成されたビーム光検知装置38の出力を用いた制御の詳細は後述するが、42.3μmピッチに形成されたギャップが、ビーム光a,b,c,dの通過位置を所定のピッチ(本例では42.3μm)間隔に制御するための目標となる。すなわち、ビーム光aはセンサパターンSBとSCによって形成されたギャップが、ビーム光bはセンサパターンSCとSDによって形成されたギャップが、ビーム光cはセンサパターンSDとSEによって形成されたギャップが、ビーム光dはセンサパターンSEとSFによって形成されたギャップが、それぞれ通過位置の目標となる。
図5は、図4のビーム光検知装置38を用いたときのビーム光の通過位置制御を説明するための図であり、図3のブロック図のうちのビーム光制御に着目し、その制御に関連する部分を抜き出して詳細に示したものである。
先に説明したように、ビーム光検知装置38のセンサパターンS1,S2からは、ビーム光が通過したことを示すパルス状の信号が出力される。また、複数のセンサパターンSA〜SG,SHからは、ビーム光の通過位置に応じてそれぞれ独立した信号が出力される。
この複数のセンサパターンSA〜SG,SHのうち、センサパターンSA,SG,SHの各出力信号は、増幅器61,62,99(以後、増幅器A,G,Hと言うこともある)にそれぞれ入力される。なお、増幅器61,62,99の各増幅率は、CPUからなる主制御部51によって設定されるようになっている。
また、複数のセンサパターンSA〜SGのうち、センサパターンSB〜SFの各出力信号は、センサパターンSB〜SFのうち隣り合う出力信号の差を増幅する差動増幅器63〜66(以後、差動増幅器B−C,C−D,D−E,E−Fと言うこともある)にそれぞれ入力される。ここに、差動増幅器63は、センサパターンSB,SCの各出力信号の差を増幅し、差動増幅器64は、センサパターンSC,SDの各出力信号の差を増幅し、差動増幅器65は、センサパターンSD,SEの各出力信号の差を増幅し、差動増幅器66は、センサパターンSE,SFの各出力信号の差を増幅する。
増幅器61〜66,99の各出力信号は、それぞれ選択回路(アナログスイッチ)41に入力される。選択回路41は、主制御部(CPU)51からのセンサ選択信号により、積分器42へ入力する信号を選択する。選択回路41にて選択された増幅器の出力信号は、積分器42に入力されて積分される。
一方、センサパターンS1から出力されるパルス状の信号も、積分器42に入力されている。このセンサパターンS1からのパルス状の信号は、積分器42をリセットすると同時に新たな積分動作を開始させるリセット信号(積分動作開始信号)として用いられる。なお、積分器42の役割は、ノイズの除去作用と、ビーム光検知装置38の取付け傾きの影響除去などである。
積分器42の出力は、A/D変換器43へ入力される。また、センサパターンS2から出力されるパルス状の信号も、A/D変換器43へ入力されている。A/D変換器43のA/D変換動作は、センサパターンS2からの信号が変換開始信号として印加されることによって開始される。すなわち、ビーム光がセンサパターンS2を通過するタイミングでA/D変換が開始される。
このように、センサパターンS1からのパルス信号により、ビーム光がセンサパターンSA〜SGを通過する直前に積分器42をリセットすると同時に積分動作を開始させ、ビーム光がセンサパターンSA〜SG上を通過している間は、積分器42はビーム光の通過位置を示す信号を積分する。
そして、ビーム光がセンサパターンSA〜SG上を通過し終えた直後に、センサパターンS2からのパルス信号をトリガに、積分器42で積分した結果をA/D変換器43でA/D変換することにより、ノイズが少なく、ビーム光通過位置検知についてはビーム光検知装置38の取付け傾きの影響が除去された検知信号をデジタル信号に変換することができる。
また、パワーを測定したいビーム光のレーザ発振器を強制的に発光させ、ポリゴンミラー35によってビーム光検知装置38上を所定の速度で走査させ、センサパターンSHから出力される電気信号を、増幅器99(H)で増幅し、センサパターンS1,S2から出力されるパルス信号のタイミングに基づき、積分器42で積分して、A/D変換器43でA/D変換し、主制御部51に取込むことにより、感光体ドラム15上でのビーム光のパワーを検知することができるようになっている。
なお、A/D変換を終了したA/D変換器43は、主制御部51に対し、処理が終了したことを示す割込信号INTを出力するようになっている。
ここに、増幅器61〜66,99、選択回路41、積分器42、および、A/D変換器43は、ビーム光検知装置出力処理回路40を構成している。
このようにして、デジタル信号に変換されたビーム光検知装置38からのビーム光パワー検知信号およびビーム光位置検知信号は、感光体ドラム15上での相対的なビーム光パワー情報あるいはビーム光位置情報として主制御部51に入力され、それぞれのビーム光の感光体ドラム15上での光パワーやビーム光の通過位置などが判断される。
さて、このようにして得られた感光体ドラム15上での相対的なビーム光パワー検知信号やビーム光位置検知信号に基づいて、主制御部51では、各レーザ発振器31a〜31dに対する発光パワーの設定や、各ガルバノミラー33a〜33dの制御量が演算される。それらの演算結果は、必要に応じてメモリ52に記憶される。主制御部51は、この演算結果をレーザドライバ32a〜32dおよびガルバノミラー駆動回路39a〜39dへ送出する。
ガルバノミラー駆動回路39a〜39dには、図5に示したように、この演算結果のデータを保持するためのラッチ44a〜44dが設けられており、主制御部51が一旦データを書込むと、次にデータを更新するまでは、その値を保持するようになっている。
ラッチ44a〜44dに保持されているデータは、D/A変換器45a〜45dによりアナログ信号(電圧)に変換され、ガルバノミラー33a〜33dを駆動するためのドライバ46a〜46dに入力される。ドライバ46a〜46dは、D/A変換器45a〜45dから入力されたアナログ信号(電圧)にしたがってガルバノミラー33a〜33dを駆動制御する。
なお、本例では、センサパターンSA〜SGの増幅された出力信号は、選択回路41によりその1つのみが選択されて積分され、A/D変換されているため、一度にセンサパターンSA〜SGの出力信号を主制御部51に入力することはできない。
したがって、ビーム光がどこを通過しているか分からない状態においては、選択回路41を順次切換え、センサパターンSA〜SGの全てのセンサパターンからの出力信号を主制御部51に入力して、ビーム光の通過位置を判定する必要がある。
しかし、一旦、どのあたりをビーム光が通過しているかが認識できると、ガルバノミラー33a〜33dを極端に動かさない限り、ビーム光の通過する位置はほぼ予想でき、常に全てのセンサパターンの出力信号を主制御部51に入力する必要はない。
図6は、ビーム光検知装置出力処理回路40におけるビーム光パワー検知部の構成例を詳細に示している。ビーム光パワー検知部は、電流・電圧変換器として機能する前記増幅器99、積分器42、および、A/D変換器43により構成されている。ただし、積分器42およびA/D変換器43は、副走査方向のビーム光位置検知部と共用しており、目的に応じて選択回路41としてのアナログスイッチSW1を切換えて使用するようになっている。
まず、増幅器99について説明する。パワー検知用のセンサパターン(フォトダイオード)SHのカソードは、抵抗器RPを介して直流電源VSに接続され、アノードは、電流・電圧変換アンプとしてのオペアンプA1の反転入力端に接続される。オペアンプA1の非反転入力端には、基準電圧Vrefが印加されている。
オペアンプA1の反転入力端と出力端との間には、アナログスイッチSW11,SW12,…SW1nをそれぞれ介して抵抗器Rf1,Rf2,…Rfnが並列に接続されている。アナログスイッチSW11,SW12,…SW1nは、主制御部51からの増幅率設定信号によってオン,オフ制御されるようになっている。
オペアンプA1の出力端とアナログスイッチSW1の一端との間には、パワー検知特性のばらつきを調整するための調整手段としての可変抵抗器VRが接続されている。
次に、積分器42について説明する。アナログスイッチSW1の他端は、抵抗器R1を介してオペアンプA2の反転入力端に接続される。オペアンプA2の非反転入力端には、基準電圧Vrefが印加されている。オペアンプA2の反転入力端と出力端との間には、コンデンサCが接続されるとともに、アナログスイッチSW2を介して抵抗器R2が接続されている。アナログスイッチSW2は、主制御部51からの積分器リセット信号によってオン,オフ制御されるようになっている。
オペアンプA2の出力は、A/D変換器43に送られて、アナログ値からデジタル値に変換される。A/D変換器43は、A/D変換が終了すると、変換終了信号を主制御部51に送信する。主制御部51は、変換終了信号を受信すると、デジタル値に変換されたビーム光位置情報を読込むようになっている。
以下、図6の回路および図7に示す要部の出力波形を参照して、パワー検知動作(およびパワー検知制御)を説明する。
パワー検知を行なう際には、増幅率設定信号によって、オペアンプA1の増幅率を設定する。すなわち、たとえば、アナログスイッチSW11を選択した場合には、アナログスイッチSW11のみが閉成され、残りのアナログスイッチSW12〜SW1nは開放される。次に、センサ選択信号により選択回路41としてのアナログスイッチSW1を閉成して、オペアンプA1の出力が積分器42に入力されるように設定される。
その後、対象となるビーム光の走査位置が、パワー検知用のセンサパターンSHのほぼ中央部(実際には、センサパターンSHのエッジ部からある程度中央寄りであればよい)となるように、ガルバノミラーを使用して移動させる。
ビーム光がセンサパターンS1上を通過すると、センサパターンS1からパルス状の信号が出力され、図示しない2値化回路によって2値化された後に、積分器リセット信号としてアナログスイッチSW2に入力され、積分器42をリセットする(積分コンデンサCの電荷を放電させる)。
ビーム光がセンサパターンSH上を通過すると、ビーム光の光量に応じた電流がセンサパターンSHから出力され、オペアンプA1によって電流・電圧変換され、積分器42に入力される。積分器42は、オペアンプA1の出力を積分し、その電荷を保持する。
ビーム光がセンサパターンS2上を通過すると、センサパターンS2からパルス状の信号が出力され、図示しない2値化回路によって2値化された後に、変換開始信号としてA/D変換器43に入力される。A/D変換器43は、積分器42の出力をA/D変換し、A/D変換が終了すると、主制御部51に変換終了信号を出力する。
変換終了信号を受取ると、主制御部51は、A/D変換器43の出力を読取り、読取ったA/D変換出力が所望の値よりも小さい場合は、対応するレーザ発振器の出力を上げるように制御し、また、A/D変換出力が所望の値よりも大きい場合には、対応するレーザ発振器の出力を下げるように制御して、A/D変換出力が所望の値となるまで上記動作を繰り返す。
ところで、センサパターンSHを構成するフォトダイオードは、光量に比例した電流を出力するため、図8の特性(A)のようなパワー検知特性グラフが得られる。本図の例では、パワーがPmax のときにA/D変換出力が「FFFH」の特性を有している。
しかし、センサパターンSHを構成するフォトダイオードの感度のばらつきや、電流・電圧変換用の抵抗器(Rf1〜Rfn)の抵抗値のばらつきによって、図8の特性(B)や(C)のようなパワー検知特性となる場合がある。特性(B)の場合は、フォトダイオードの感度が仕様値よりも大きい場合や、電流・電圧変換用の抵抗器の抵抗値が設計値よりも大きい場合に生じる。また、特性(C)の場合は、フォトダイオードの感度が仕様値よりも小さい場合や、電流・電圧変換用の抵抗器の抵抗値が設計値よりも小さい場合に生じる。
所望のパワーがPa[μW]の場合には、パワー検知制御はA/D変換出力が例えば「ABEH」となるように、レーザ発振器の出力を調整する。ところが、パワー検知特性が特性(B)の場合には、「ABEH」を目標にレーザ発振器の出力を調整すると、パワーがPb[μW]となり、Paよりも小さいパワーで調整されてしまう。また、パワー検知特性が特性(C)の場合には、パワーがPa[μW]よりも大きなPc[μW]に調整されてしまう。
一方、最大パワーPmax [μW]を所望のパワーとした場合には、「FFFH」が目標になるが、特性(B)の場合、Pmax [μW]よりも小さいP1[μW]に、また、特性(C)の場合、Pmax [μW]よりも大きいP2[μW]に調整されてしまう(ただし、後者の場合、レーザ発振器の出力がP2[μW]出力可能な場合)。
これらは、光学装置間のレーザ発振器の出力のばらつきとして問題となる。
そこで、本実施の形態では、図6に示したように、オペアンプA1の後段に調整用の可変抵抗器VRを設けることにより、この可変抵抗器VRによって、センサパターン(フォトダイオード)SHの感度のばらつきや、電流・電圧変換用の抵抗器(Rf1〜Rfn)の抵抗値のばらつきを吸収する。すなわち、可変抵抗器VRによって積分定数を変更し、較正を行なうものである。
たとえば、図9に示すように、図8の特性(B)の場合には、オペアンプA1の出力が特性(A)に比較して大きいので、可変抵抗器VRの抵抗値を大きくする。すると、積分定数が大きくなり(積分が、鈍感に、遅くなる)、特性(A)に近づけることができる。また、特性(C)の場合には、オペアンプA1の出力が特性(A)に比較して小さいので、可変抵抗器VRの抵抗値を小さくする。すると、積分定数が小さくなり(積分が、敏感に、速くなる)、特性(A)に近づけることができる。
以下、可変抵抗器VRの調整方法を説明する。
増幅率の設定や、センサ選択終了後、所定のパワーでビーム光を走査させる。本例では所定のパワーをPmax とする。なお、本方式では、上記ビーム光が基準となるので、センサパターンSHの面上(像面)でPmax であることを、光パワーメータなどの測定器を使用して前もって確認しておく。
ビーム光がセンサパターンSH上を通過するのに伴い、主制御部51はパワー検知部の情報を読取り、コントロールパネル53に表示を行なう。可変抵抗器VRの調整を行なう作業者は、コントロールパネル53の表示を見ながら、表示値が「FFEH」から「FFFH」に変化するポイントになるよう可変抵抗器VRを調整する。
上記第1の実施の形態によれば、パワー検知部に較正用の可変抵抗器VRを設けることによって、フォトダイオードの感度のばらつきや、オペアンプA1の変換用抵抗器の抵抗値のばらつきによるパワー検知特性誤差を較正し、パワー検知特性のばらつきを著しく少なくできる。
次に、第2の実施の形態について説明する。
図10は、ビーム光検知装置出力処理回路40におけるビーム光パワー検知部の構成例を詳細に示している。図6との相違点は、リファレンス電圧を接地電位(0[V])としている点と、接地した抵抗器RLでセンサパターンSHの出力電流を電流・電圧変換している点である。なお、図6は単一電源(たとえば、0〜5[V])を、図10は両電源(たとえば、±2.5[V])を想定している。
図6と構成の異なる増幅器99について説明する。パワー検知用のセンサパターン(フォトダイオード)SHのカソードは、抵抗器RPを介して直流電源VSに接続され、アノードは、電流・電圧変換アンプとしてのオペアンプA1の非反転入力端に接続されるとともに、抵抗器RLを介して接地されている。
オペアンプA1の反転入力端と出力端との間には、アナログスイッチSW11,SW12,…SW1nをそれぞれ介して抵抗器R21,R22,…R2nが並列に接続されている。オペアンプA1の反転入力端は、抵抗器Rrを介して接地されている。アナログスイッチSW11,SW12,…SW1nは、主制御部51からの増幅率設定信号によってオン,オフ制御されるようになっている。
なお、この実施の形態の場合、積分器42におけるオペアンプA2の非反転入力端は接地されている。
上記第2の実施の形態によっても、第1の実施の形態と同様な作用効果が期待できる。
次に、第3の実施の形態について説明する。
マルチビーム光学系を有した画像形成装置において、レーザ発振器やガルバノミラーに異常が生じた場合には、副走査方向のビーム光通過位置制御が正常に行なわれないため、画質が悪化する。このような場合には、通常、エラーやサービスマンコールのメッセージが表示され、装置の使用を停止する。しかし、マルチビーム光学系を有した画像形成装置の最大の特徴である高速複写の性格上、装置を使用不可の状態(装置をダウンさせた状態)で放置するのは、ユーザに多大な迷惑をかけることになる。
そこで、本実施の形態では、上記の状態に陥った際に、異常のあったレーザ発振器やガルバノミラーを使用しないで画像形成を行ない、サービスマンが修理するまでの間を複写可能としたものであり、以下、詳細に説明する。
図11は、図4のビーム光検知装置38を用いたときのビーム光の通過位置制御を説明するための図である。前述した図5と基本的な構成は同様であるが、センサパターンS1の出力が主制御部51に接続されている点が図5と異なる。センサパターンS1の出力を使用して、レーザ発振器31a,31b,31c,31dおよびガルバノミラー33a,33b,33c,33dの異常をそれぞれ検知する。以下、異常検知について説明する。
異常検知を行なう場合、まず、ポリゴンミラー35を所定速度で回転させる。次に、対象となるビーム光(本実施の形態では第1ビーム光a)を点灯させ、さらに、そのビーム光に対応するガルバノミラー(第1ガルバノミラー33a)が最大振角(上下どちらでもよいが、以下、上方向のセンサパターンSA側に振った場合を説明する)となるように、ガルバノミラーを動作させる。
次に、ガルバノミラーを下方向に粗いステップで動作させる。本実施の形態では、センサパターンの上下方向の大きさが約2mmであるため、100μm程度のステップで動作させるものとする。ガルバノミラーおよびレーザ発振器に異常がなければ、ビーム光はセンサパターンS1上を必ず通過し、センサパターンS1から信号が出力される。
主制御部51は、センサパターンS1の出力を受取った場合には、第1レーザ発振器31aおよび第1ガルバノミラー33aには異常がないものと判断し、上記と同様の方法で第2ビーム光bに対する異常検知を行なう。一方、センサパターンS1から信号が出力されない場合には、第1レーザ発振器31aあるいは第1ガルバノミラー33aは異常であると判断する。
上記の動作を全てのビーム光に対して実行し、レーザ発振器およびガルバノミラーの異常検知を行なう。
上記異常検知の結果、いずれかのレーザ発振器あるいはガルバノミラーに異常があった場合には、その旨をコントロールパネル53上に表示する。そして、これ以後は、異常のあったレーザ発振器あるいはガルバノミラーの動作を停止させて、それを使用せず、残りの正常なレーザ発振器およびガルバノミラーを使用して画像を形成する。
たとえば、レーザ発振器31aに異常があった場合には、それ以外の正常なレーザ発振器31b,31c,31dを使用して画像を形成する。また、たとえば、ガルバノミラー33aに異常があった場合には、それ以外の正常なガルバノミラー33b,33c,33dを使用して画像を形成する。すなわち、たとえば、4つのビーム光のうち第1ビーム光aに異常があった場合には、第1ビーム光a以外の正常な第2、第3、第4ビーム光b,c,dを用いて画像を形成するものである。
この場合、図12(b)に破線で示すように、第1ビーム光aの画像が抜けているのであるから、当然、画質は落ちるが、高速複写の場合、装置を止めないメリットは大きい。なお、図12(a)は正常時の記録状態を示している。
また、この場合、たとえば、「ビーム光(レーザ発振器あるいはガルバノミラー)が故障しているため、画像が劣化しています」というメッセージをコントロールパネル53上に表示し、本装置の使用者に報知する。
上記第3の実施の形態によれば、マルチビーム光学系を有した画像形成装置において、あるレーザ発振器やガルバノメータに異常が生じた場合に、それに対応するビーム光を画像形成に使用せず、残りの正常なビーム光で画像を形成することにより、ビーム光が全て正常な場合に比較すると、画質は多少悪化するものの、画像形成装置の使用者の業務を妨げる時間が短縮される。
次に、第4の実施の形態について説明する。
本実施の形態では、レーザ発振器やガルバノミラーに異常が生じた場合、異常のあったレーザ発振器およびガルバノミラーは使用せず、残りの正常なレーザ発振器およびガルバノミラーを使用し、さらに、正常なビーム光の本数に応じた画像データの変換を行ない(600dpi、4ビーム→600dpi、3ビームに変換)、画質の劣化を起こすことなしに画像形成を行なうものであり、以下、詳細に説明する。
図13は、図4のビーム光検知装置38を用いたときのビーム光の通過位置制御を説明するための図である。前述した図11と基本的な構成は同様であるが、主制御部51から画像処理部57へデータ変換信号が出力されている点が図11と異なる。画像処理部57は、主制御部51からのデータ変換信号によって、ビーム光数の変更(減少)に伴う画像データの変換を行なうようになっている。
レーザ発振器およびガルバノミラーの異常検知の方法は、前述した第3の実施の形態と同様であるので、ここでは説明を省略する。
異常検知によって、いずれかのレーザ発振器あるいはガルバノミラーに異常があった場合には、その旨をコントロールパネル53上に表示する。そして、これ以降は、異常のあったレーザ発振器あるいはガルバノミラーの動作を停止させて、それを使用せず、残りの正常なレーザ発振器およびガルバノミラーを使用して画像を形成する。
本実施の形態は、この際に、画像処理部57でビーム光数の減少に伴う画像データの変換を行ない、画質を劣化させることなしに画像形成を行なうことを特徴としている。以下、たとえば、第1ビーム光aに何らかの異常が生じたものとして説明する。
まず、第1ビーム光aに異常が生じた場合には、その旨をコントロールパネル53上に表示し、使用者にサービスマンコールするよう促す。その後、ビーム光数の減少に伴うデータ変換を行なうために、主制御部51は画像処理部57にデータ変換信号を送信する。
画像処理部57は、それを受けてビーム光数(残りの3本)の変更に合わせて、画像データのデータ変換を行なう。すなわち、図14(b)に示すように、第1ビーム光aのデータを第2ビーム光bへ、第2ビーム光bのデータを第3ビーム光cへ、第3ビーム光cのデータを第4ビーム光dへ、それぞれ割り当てる(変換後の一走査)。さらに、第4ビーム光dのデータを第2ビーム光bへ、次の走査の第1ビーム光aのデータを第3ビーム光bへ、第2ビーム光bのデータを第4ビーム光dへ、それぞれ変換する。以後、上記の変換を最終データまで繰り返す。なお、図14(a)は正常時の記録状態を示している。
さらに、主制御部51は、データ変換信号を出力すると同時に、ポリゴンミラー35を駆動するポリゴンモータ36の回転数、および、感光体ドラム15を駆動するドラムモータの各回転数を上記に応じた回転数に設定する。
これらによって、多少、複写速度は遅くなるものの、ビーム光数を減少させたにもかかわらず、画質を劣化させることなしに画像形成することが可能となる。 また、この場合、たとえば、「ビーム光(レーザ発振器あるいはガルバノミラー)が故障しているため、複写速度が低下しています」というメッセージをコントロールパネル53上に表示し、本装置の使用者に報知する。
なお、その他の動作は、通常のシーケンスから第1ビーム光を除いたものと同様であるので、ここでは説明を省略する。
上記第4の実施の形態によれば、マルチビーム光学系を有した画像形成装置において、あるレーザ発振器やガルバノメータに異常が生じた場合に、それに対応するビーム光を画像形成に使用せず、画像処理部で画像データの変換を行ない、残りの正常なビーム光で画像を形成することにより、ビーム光が全て正常な場合に比較すると、複写速度が多少遅くなるものの、画質の劣化はない。また、画像形成装置の使用者の業務を妨げる時間が短縮される。
次に、第5の実施の形態について説明する。
本実施の形態では、レーザ発振器やガルバノミラーに異常が生じた場合、異常のあったレーザ発振器およびガルバノミラーは使用せず、残りの正常なレーザ発振器およびガルバノミラーを使用し、さらに、正常なビーム光の本数に応じた解像度変換を行ない(600dpi、4ビーム→400dpi、3ビームに解像度変換)、画質の劣化を起こすことなしに画像形成を行なうものであり、以下、詳細に説明する。
図15は、2種類の解像度に対応したビーム光検知装置38の構成とビーム光の走査方向の関係を模式的に示しており、図4のビーム光検知装置38との相違点は、ビーム光の通過位置を検知するセンサパターンSB〜SFが、2種類の解像度にそれぞれ対応して設けられている点にあり、その他は図4のビーム光検知装置38と同様であるので、説明は省略する。
すなわち、センサパターンSB1〜SF1は、第1の解像度(たとえば、600dpi)用のビーム光通過位置検知センサパターンで、これらは同一の形状(面積も同一)で、およそ42.3μm(25.4mm÷600)間隔で配設されていて、ビーム光a〜dがそれぞれ隣接するセンサパターンの中間を通過するように通過位置を制御することによって、42.3μmの間隔で走査されるようになっている。
また、センサパターンSB2〜SF2は、第2の解像度(たとえば、400dpi)用のビーム光通過位置検知センサパターンで、これらは同一の形状(面積も同一)で、およそ63.5μm(25.4mm÷400)間隔で配置されていて、ビーム光a〜dがそれぞれ隣接するセンサパターンの中間を通過するように通過位置を制御することによって、63.5μmの間隔で走査されるようになっている。
図16は、図15のビーム光検知装置38を用いたときのビーム光の通過位置制御を説明するための図であり、図5との相違点は、ビーム光検知装置出力処理回路40の構成において、センサパターンSB1〜SF1,SB2〜SF2に対応して差動増幅器が設けられている点、および、センサ選択信号に解像度切換信号が追加された点にあり、その他の構成は基本的に図5と同様であるので、説明は省略する。
すなわち、差動増幅器631は、センサパターンSB1,SC1の各出力信号 の差を増幅し、差動増幅器641は、センサパターンSC1,SD1の各出力信号の差を増幅し、差動増幅器651は、センサパターンSD1,SE1の各出力信号の差を増幅し、差動増幅器661は、センサパターンSE1,SF1の各出力信号の差を増幅する。また、差動増幅器632は、センサパターンSB2,S C2の各出力信号の差を増幅し、差動増幅器642は、センサパターンSC2,SD2の各出力信号の差を増幅し、差動増幅器652は、センサパターンSD2,SE2の各出力信号の差を増幅し、差動増幅器662は、センサパターンSE2,SF2の各出力信号の差を増幅する。
増幅器631〜661,632〜662の各出力信号は、それぞれ選択回路(アナログスイッチ)41に入力される。選択回路41は、主制御部(CPU)51からのセンサ選択信号により、積分器42へ入力する信号を選択する。
すなわち、第1の解像度(600dpi)でビーム光の通過位置制御を行なう場合は、選択回路41によって下記の差動増幅器を選択し、それに対応するビーム光の通過位置制御を行なう。
・差動増幅器631:ビーム光a ・差動増幅器641:ビーム光b ・差動増幅器651:ビーム光c ・差動増幅器661:ビーム光d 同様に、第2の解像度(400dpi)でビーム光の通過位置制御を行なう場合は、選択回路41によって下記の差動増幅器を選択し、それに対応するビーム光の通過位置制御を行なう。
・差動増幅器632:ビーム光a ・差動増幅器642:ビーム光b ・差動増幅器652:ビーム光c ・差動増幅器662:ビーム光d さらに、図5との相違点は、主制御部51から選択回路41へ出力される解像度切換信号を含んだセンサ選択信号が画像処理部57へも出力されている点と、センサパターンS1の出力が主制御部57へも接続されている点である。前者は、ビーム光数の変更時および解像度の変換時に必要となり、また、後者は、ガルバノミラーおよびレーザ発振器の異常検知時に必要となる。
レーザ発振器およびガルバノミラーの異常検知の方法は、前述した第3の実施の形態と同様であるので、ここでは説明を省略する。
異常検知によって、いずれかのレーザ発振器あるいはガルバノミラーに異常があった場合には、その旨をコントロールパネル53上に表示する。そして、これ以降は、異常のあったレーザ発振器あるいはガルバノミラーの動作を停止させて、それを使用せず、残りの正常なレーザ発振器およびガルバノミラーを使用して画像を形成する。
本実施の形態は、この際に、ビーム光数の減少と解像度の変更に合わせて、画像処理部57で画像データの変換を行ない、画質を劣化させることなしに画像形成を行なうことを特徴としている。以下、たとえば、第1ビーム光aに何らかの異常が生じたものとして説明する。
まず、第1ビーム光aに異常が生じた場合には、その旨をコントロールパネル53上に表示する。その後、解像度変換を行なうため、主制御部51は、画像処理部57に解像度変換信号(および、データ変換信号)を送信する。画像処理部57は、それを受けてビーム光の数(残りの3本)と解像度の変更(600dpi→400dpi)に合わせて、画像データのデータ変換を行なう。
さらに、主制御部51は、データ変換信号を出力すると同時に、ポリゴンミラー35を駆動するポリゴンモータ36の回転数、および、感光体ドラム15を駆動するドラムモータの各回転数を上記に応じた回転数に設定する。
また、この場合、たとえば、「ビーム光(レーザ発振器あるいはガルバノミラー)が故障しているため、複写速度が低下しています」というメッセージをコントロールパネル53上に表示し、本装置の使用者に報知する。
次に、正常な3本のビーム光のパワー制御を行ない、その後に副走査方向のビーム光通過位置制御を行なう。両制御とともに、その詳細は例えば特願平9−257351号に記載された画像形成装置を参照していただきたい。本例の場合、3本のビーム光で、解像度が400dpiであるから、それぞれのビーム光を以下の位置に制御する。
第1ビーム光a:使用しない 第2ビーム光b:センサパターンSC2とSD2との中心 第3ビーム光c:センサパターンSD2とSSE2との中心 第4ビーム光d:センサパターンSE2とSF2との中心 このような制御によって、400dpiのピッチにビーム光の通過位置が制御される。
上記第5の実施の形態によれば、マルチビーム光学系を有した画像形成装置において、あるレーザ発振器やガルバノメータに異常が生じた場合に、それに対応するビーム光を画像形成に使用せず、画像処理部で画像データの変換および解像度の変換を行ない、残りの正常なビーム光で画像を形成することにより、ビーム光が全て正常な場合に比較すると、複写速度が多少遅くなるものの、画質の劣化はない。また、画像形成装置の使用者の業務を妨げる時間が短縮される。
本発明によれば、マルチビーム光学系を用いた画像形成装置において、光路偏向手段に異常が生じた場合、実際にサービスマンによってメナテナンスされるまでの間、画像形成装置をダウンさせることなく、画像形成動作を続行できる画像形成装置を提供できる。
1……スキャナ部、2……プリンタ部、6……光電変換素子、9……光源、13……光学系ユニット、14……画像形成部、15……感光体ドラム(像担持体)、31a〜31d……半導体レーザ発振器(ビーム光発生手段)、33a〜33d……ガルバノミラー(光路偏向手段)、35……ポリゴンミラー、38……ビーム光検知装置(ビーム光位置検知手段、ビーム光パワー検知手段)、39a〜39d……ガルバノミラー駆動回路、40……ビーム光検知装置出力処理回路、41……選択回路、42……積分器、43……A/D変換器、S1〜S6,SH,SA〜SG,SB1〜SF1,SB2〜SF2……センサパターン(光検知素子)、51……主制御部、52……メモリ、99……増幅器、A1……オペアンプ、VR……可変抵抗器(調整手段)。