JP4472795B2 - 蛍光イオノホア化合物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、カチオン、特にアルカリ金属カチオンの検出に使用することができる蛍光イオノホア化合物及びそれらの使用方法に関する。本発明は、これらの化合物を含み、かつ、連続検出用途に有用なカチオン検出用複合構造物にも関する。
【0002】
【従来の技術】
種々の流体中のイオン成分の濃度測定はますます普及している方法である。環境試験方法は、1種以上の金属イオン、特に重金属イオンの濃度を頻繁に、そして時には連続的に決定することを伴う場合がある。同様に、医療診断方法及び治療方法は、患者の1種以上の体液中に含まれる1種以上のイオンの濃度を頻繁に又は連続的に決定することを伴う場合がある。
【0003】
より良い連続試験方法に対する要求は拡大している。医療処置に関し、特に血液及び他の体液中の血清カリウムイオンレベルの連続同時監視が、特に心臓バイパス外科手術中に、非常に望ましい。
【0004】
金属イオン濃度の測定に関して幾つかの方法がこれまで報告されている。例としては、イオン交換膜に基づく検出;試薬の存在を伴う分光光度技術及び蛍光分析技術;湿式電極;及びイオノホアに基づく検出法がある。
【0005】
しかしながら、上記方法のうちの幾つかはアルカリ金属イオン濃度を決定するのに有効ではない。これらの方法のうちアルカリ金属イオン濃度を決定するために通常使用されている方法は、そのようなイオン(又はそれらの錯体)を含む溶液の種々の光学的特性を監視する方法である。これらのうち蛍光を測定する技術は、励起(プローブ)及び発光(シグナル)波長の本質的分離に基づく感度及び操作上の利点を有するために、他の分光学的観測に基づくものよりも好ましい。生体外カチオン濃度決定に有用な化合物は、例えば米国特許第4,808,539号明細書及びAnthony Czarnick編集のFluorescent Chemosensors for Ion and Molecule Recognition に記載されている。これらのカチオンには、アルカリ金属のみならずAg+ 、Pb2+、Mn2+、Zn2+、Hg2+、Ti+ 、及びCd2+も含まれる。
【0006】
生体内システムを製造するためにファイバーオプチック化学センサーを使用することも開示されている。例としては、化学センサーが被検体と相互作用して光学的変化を検出するようにファイバーオプチック導波管に化学センサーを導入すること;ファイバーオプチック導波管内の化学センサーとして蛍光エネルギー転移指示体の束縛対(tethered pair)の使用;共鳴エネルギー転移が起こり得るほど吸収体物質に十分に近接している基材に固定化された蛍光体(substrate-immobilized fluorescer) により発生するシグナルを監視するためのファイバーオプチックスの使用;光吸収性配位子及び光吸収性錯体と組み合わされた発蛍光物質を含む系における蛍光を検出するためのファイバーオプチックスの使用;並びに特定のアルカリ金属イオンに対して選択性のある可動イオノホアと半透膜を通して接触している重合体カチオン物質と蛍光アニオン物質とを含む溶液を含む系におけるファイバーオプチックスによる蛍光の検出がある。
【0007】
生体内/生体外での使用に適合させることができる可能性のある幾つかの蛍光分析法が開示されている。例えば、発蛍光団としてのローダミンエステル及びメロシアニン540 とイオノホアとしてのバリノマイシンからなる蛍光プローブが既知である。最近、2,2−ビス[3,4−(15−クラウン−5)−2−ニトロフェニルカルバモキシメチル]テトラデカノール−14と、発蛍光団として錯体カリウムイオンに選択的に結合したローダミンBを使用するファイバーオプチックセンサーが開示された。この後者の装置は生体内用途に適するように特別に設計されている。
【0008】
前述の方法の幾つかは、生理的濃度での、特に生理的pHの水性媒体中でのアルカリ金属イオンに対する感度及び選択性の不足に悩まされてきた。選択性の問題の幾つかを解消する方法であって、クリプタンドを選択的にカリウムと錯化させる方法が開示されている。この方法の感度は乏しい。また、この方法は有機塩基の存在下で有機溶剤中で実施されねばならないため、連続的な血液又は流体の測定には向かない。
【0009】
種々のクリプタンドに結合した4−メチル−クマリン部分に基づく一群の蛍光を発するイオノホアも開示されている(米国特許第5,162,525号、Masilamani等)。カリウムイオンに対して選択性のある[2.2.2]クリプタンド誘導体:
【0010】
【化3】
【0011】
は、前述の選択性の制限をうけず、蛍光によるカリウムイオン濃度決定を可能にする。しかしながら、その最大励起は330nm付近にあり、慣用的なガラス光学部材との併用には問題がある。
【0012】
関連出願
本願は、米国特許出願第08/140,257号(現在は米国特許第5,474,743号)の分割出願である米国特許出願明細書第08/521,869号の一部係属出願である。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明は、イオンを結合するための錯化部分及び発蛍光部分を含む蛍光イオノホア化合物(「イオノホア」)を提供する。この化合物の吸収極大波長は少なくとも約350nmである。これらの化合物を含むセンサーも開示する。
【0014】
適切な発蛍光部分は好ましくは近接しているnπ* 及びππ* 励起状態を含む。適切な発蛍光部分は、適切な錯化部分に結合した場合に、好ましくはイオン依存性のある面外パッカリング(out-of plane puckering) をすることができるものである。また、適切な発蛍光部分のππ* 状態は、好ましくはイオン依存性のある混成が基底状態への無放射カップリングを支配するほど十分にエネルギーが高い。特に好ましい発蛍光部分にはクマリン部分が包含されるが、他の芳香族カルボニル若しくはニトロ芳香族又はN−複素環式部分が使用されてもよい。
【0015】
適切なイオン錯化部分にはイオンを捕捉することができる環状「ケージ(cage)」部分が包含される。このケージはイオンを選択的に捕捉することができるものであることが好ましい。好ましいイオン錯化部分にはクリプタンド及びクラウンエーテル部分が包含され、クリプタンド部分が特に好ましい。
【0016】
本発明の化合物を使用して検出することができるイオンには、例えば、Ag+ 、Ba+2、Ca+2、Ce+ 、Cd2+、Fr+ 、Hg2+、K+ 、Li+ 、Mg+2、Mn2+、Na+ 、Pb+2、Ru+ 、Sr+2、Ti+ 及びZn2+が包含される。所望であれば、この化合物はイオン選択膜と共に使用される。
【0017】
一態様において、本発明は、下記一般式(式「A」):
【化4】
により表される蛍光イオノホア化合物を提供する。
ここで、Tは、TがOである場合にqが0であり、かつ、nが0〜2であること並びにTがNである場合にqが1であり、かつ、nが独立に0又は1であることを条件として、O又はNであり;
各R2 は独立に、水素、ハロゲン、ヒドロカルビル含有基、複素非環式基、又は式:(CH2 X)a E(式中、XはO、NH若しくは単結合であり、Eは活性水素を含有する官能基であり、aは1〜100の整数である)により表される基のような部分を包含する立体障害作用のない基であり、好ましくは各R2 基は水素、ハロゲン、C1 〜C20アルキル、C1 〜C20アルコキシ、C2 〜C18アルケニル、C1 〜C20ヒドロカルビルアミノ、C2 〜C20ジ(ヒドロカルビル)アミノ及び式:(CH2 X)a E(式中、X及びEは上記定義の通りのものであり、aは1〜25の整数である)により表される基からなる群から独立に選ばれ、より好ましくは各R2 基は水素、ハロゲン、C1 〜C10アルキル、C1 〜C10アルコキシ、C2 〜C10アルケニル、C1 〜C10アルキルアミノ、C1 〜C10ジアルキルアミノ及び式:(CH2 X)a E(式中、X及びEは上記定義の通りのものであり、aは1〜10の整数である)により表される基からなる群から独立に選ばれ、最も好ましくは各R2 基は水素、メチル、エチル、プロピル、ブチル、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、C2 〜C10アルケニル、C1 〜C10ジアルキルアミノ、塩素、臭素、又は式:(CH2 X)a E(式中、X及びEは上記定義の通りのものであり、aは1〜3の整数である)により表される基からなる群から独立に選ばれ;
R3 は、適切な電子吸引性基及び非電子吸引性基から選ばれる。適切なR3 基には、水素、ヒドロカルビル含有基、複素非環式基、複素環式基、又は式:(CH2 X)b E(式中、X及びEは上記定義の通りのものであり、bは0〜100の整数である)により表される基のような電子吸引性基及び非電子吸引性部分が包含され、好ましくは各R3 基は水素、C1 〜C20アルキル、C3 〜C18シクロアルキル、C6 〜C18アリール、C6 〜C18アリールオキシ、C6 〜C18ヒドロキシアリール、C6 〜C18アリールカルボキシ、C6 〜C18カルボキシアリール、C2 〜C18アルケニル及び式:(CH2 X)b E(式中、X及びEは上記定義の通りのものであり、bは0〜25の整数である)により表される基からなる群から独立に選ばれる非電子吸引性基であり、より好ましくは各R3 基は水素、C1 〜C10アルキル、C5 〜C8 シクロアルキル、C6 〜C10アリール、少なくとも1個のO、N又はS原子を含む複素環式基、C2 〜C10アルケニル及び式:(CH2 X)b E(式中、X及びEは上記定義の通りのものであり、bは0〜10の整数である)により表される基からなる群から独立に選ばれ、最も好ましくは各R3 基は水素、メチル、エチル、プロピル、ブチル、C5 〜C8 シクロアルキル、C6 〜C10アリール、C2 〜C10アルケニル、C1 〜C10ジアルキルアミノ又は式:(CH2 X)b E(式中、X及びEは上記定義の通りのものであり、bは0〜3の整数である)により表される基からなる群から独立に選ばれ;
R1 は、カルボキシル、カルボキサミド、スルホニルアリール、エステル、ケト−アルキルエステル、複素環式部分及び芳香族基(好ましくは1箇所以上の位置で置換されたもの)のような部分を包含する適切な電子吸引性基及び分極性基から選ばれ、好ましくはR1 基はエステル(より好ましくはエチルエステル)、ケトーアルキルエステル(より好ましくは−(CO)CH2 CH2 CH2 (CO)OCH2 CH3 )、並びに置換されたフェニル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾオキサゾリル及びベンゾチアゾリルのような置換芳香族基を包含し、最も好ましくはR1 基は一般式(式「C」):
【0018】
【化5】
【0019】
(上式中、Y及びY’は、それらの少なくとも一方がO、S又はNHx であることを条件として独立にO、S、NHx 又はCHy (式中、xは0又は1であり、yは1又は2である)であり、各R4 基は水素、ハロゲン、ヒドロカルビル含有基、複素非環式基、複素環式基若しくは式:(CH2 X)c E(式中、X及びEは上記定義の通りのものであり、cは0〜100の整数である)により表される基からなる群から独立に選ばれるものであるか、又は両方のR4 基がそれらが結合している炭素原子と共に5員若しくは6員環を形成し、この5員若しくは6員環に任意に1個以上のさらなるR4 基が結合していてもよく、好ましくは各R4 基は水素、ハロゲン、C1 〜C20アルキル、C1 〜C20アルコキシ、C3 〜C18シクロアルキル、C6 〜C18アリール、C6 〜C18アリールオキシ、C6 〜C18ヒドロキシアリール、C6 〜C18アリールカルボキシ、C6 〜C18カルボキシアリール、C2 〜C18アルケニル、C1 〜C20ヒドロカルビルアミノ、C6 〜C18アリールアミノ、C6 〜C18アミノアリール、C2 〜C20ジ(ヒドロカルビル)アミノ、少なくとも3個の環原子を有する複素環式基、カルボキサミド(−C(O)NR1 R2 )若しくは式:(CH2 X)c E(式中、X及びEは上記定義の通りのものであり、cは0〜25の整数である)により表される基からなる群から独立に選ばれるものであるか、又は両方のR4 基がそれらが結合している炭素原子と共に5員若しくは6員環を形成し、この5員若しくは6員環に任意に1個以上のさらなるR4 基が結合していてもよく、より好ましくは各R4 基は水素、ハロゲン、C1 〜C10アルキル、C1 〜C10アルコキシ、C5 〜C8 シクロアルキル、C6 〜C10アリール、少なくとも1個のO、N若しくはS原子を含む複素環式基、C2 〜C10アルケニル、C1 〜C10アルキルアミノ、C1 〜C10ジアルキルアミノ若しくは式:(CH2 X)c E(式中、X及びEは上記定義の通りのものであり、cは0〜10の整数である)により表される基からなる群から独立に選ばれるものであるか、又は両方のR4 基がそれらが結合している炭素原子と共に5員若しくは6員環を形成し、この5員若しくは6員環に任意に1個以上のさらなるR4 基が結合していてもよく、最も好ましくは各R4 基は水素、メチル、エチル、プロピル、ブチル、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、C5 〜C8 シクロアルキル、少なくとも1個のO、N若しくはS原子を含む5員若しくは6員複素環式基、C6 〜C10アリール、C2 〜C10アルケニル、C1 〜C10ジアルキルアミノ、塩素、臭素若しくは式:(CH2 X)c E(式中、X及びEは上記定義の通りのものであり、cは0〜3の整数である)により表される基からなる群から独立に選ばれるものであるか、又は両方のR4 基がそれらが結合している炭素原子と共に5員若しくは6員環を形成し、この5員若しくは6員環に任意に1個以上のさらなるR4 基が結合していてもよい)
により表される置換複素環式部分を包含し;並びに
ZはO又はNR5 (式中、R5 は水素又はヒドロカルビル含有基であり、より好ましくはR5 はH又はC1 〜C4 アルキル基であり、最も好ましくはR5 はHである)である。
【0020】
青色光源と共に使用する特に好ましい態様において、本発明は、一般式(「B」):
【0021】
【化6】
【0022】
(式中:
m及びnは独立に0又は1であり、
ZはO又はNR5 (式中、R5 はH又はアルキル基であり、より好ましくはR5 はH又はC1〜C4アルキル基であり、最も好ましくはR5 はHである)であり;
Y及びY’は、それらの少なくとも一方がO、S又はNHx であることを条件として独立にO、S、NHx 又はCHy (式中、xは0又は1、yは1又は2である)であり;
R2 、R3 及びR4 は式Aに関して既に定義した通りである)
により表される蛍光イオノホア化合物を提供する。このイオノホアは基材に共有結合される場合には、R2 、R3 又はR4 の少なくとも1つはH以外のものでなくてはならない。
【0023】
概して、式Aにより表される化合物の励起波長は少なくとも約350nmであり、発光波長は好ましくは約500nm以下である。式Bにより表される化合物の励起波長は少なくとも約380nm、好ましくは少なくとも約390nmであり、そして発光波長は約500nm以下、好ましくは約480nm以下である。これらの化合物の励起波長と発光波長とは好ましくは少なくとも約10nm離れており、このことによってこれらの化合物は蛍光に基礎を置くカチオン濃度測定技術において有用なものとなることができる。
【0024】
一態様において、本発明はある種のクマロクリプタンドを教示する。クマロ[2.2.2]クリプタンドイオノホアは、Pb+2又はBa+2の不在下では、K+ に対して非常に選択性が高いが、クリプタンドケージの大きさが異なるクマロクリプタンドは他の一価及び二価カチオンに対して非常に選択性が高い。例えば、クマロ[2.2.1]クリプタンドは臨床上適切なレベルのK+ 及びCa2+を含む水溶液中のNa+ に対して非常に選択性が高い。都合良いことに、本発明の[2.2.2]クマロクリプタンドは、水性媒体中で使用された場合に、K+ に対する高い選択性を保つ(すなわち、K+ /Na+ 錯化比は少なくとも20:1である)。本発明のイオノホアのクリプタンド部分がカチオンと錯化する場合に、蛍光分析により個々の試料におけるカチオン濃度を決定することができるようにこのイオノホアの光学的特性は変化する。特に好ましい態様において、本発明のイオノホアの励起(すなわち、吸収)極大波長が380nmを超える波長に集中するように、クマリン環上の置換基及びそれらの位置が選択される。このことによって、本発明のイオノホアは、例えば青色LED及びレーザーのような固体光源と共に使用できるものとなる。置換基及びそれらの位置も、500nm未満の発光波長を保つように好ましくは選ばれ、それによりイオノホアの応答はこの種の指示体に適するものに保たれる。結局、置換基及びそれらの位置は、基材への共有結合に任意性を提供するために選ばれることが好ましい。好ましくは、指示体が結合される基材は、均一かつ再現性のあるイオノホアの応答を維持するように及びイオノホアの応答に及ぼす生理的pH変化の影響を最低限に抑えるように選ばれる。
【0025】
さらなる観点において、本発明は、基材と式A又はBにより表される蛍光イオノホア化合物とを含むカチオン検出用複合構造物を提供する。好ましくは、このイオノホア化合物は少なくとも1個のE基を含み、そしてこのイオノホア化合物は結合(すなわち、Eが基材上の共反応性基と直接に反応する)又はEと当該イオノホアが結合すべき基材上の官能基との両方と反応することができる別の「連結基」化合物により基材に(例えば1個以上のR基を介して)共有結合する。連結基が使用される場合には、連結基が両末端に官能基を含み、その片方の末端に位置する官能基がEに対して相補的であり、かつ、もう一方の末端に位置する官能基が基材上の官能基に対して相補的であることが好ましい。共有結合に適するカップリング剤は米国特許第5,053,520号明細書に記載されている。ホモ二官能性及び/又はヘテロ二官能性カップリング剤は国際特許出願明細書第WO96/07268号及び第WO96/10747号に記載されている。
【0026】
さらなる観点において、本発明は、(a)前記検出用複合構造物を、イオン輸送可能なカチオン含有媒体に接触させ、カチオンを前記検出用複合構造物に拡散させるか又はカチオンを前記検出用複合構造物に拡散させる手段を提供し、当該検出用複合構造物の蛍光イオノホア化合物との平衡錯体を形成させる工程であって、前記イオノホア化合物錯体が、λ1 を中心とする波長範囲の光に暴露された場合にλ2 を中心とする波長範囲の光を放射することができるものであり、ここでλ2 はλ1 よりも少なくとも10nm大きく、λ1 は少なくとも約350nmであり、より好ましくは少なくとも約380nmであり、λ2 は好ましくは約500nm以下である工程;並びに(b)前記錯体にλ1 を中心とする波長範囲の光を、集光されて検出される波長λ2 の可視光を前記錯体が放射するのに十分な時間当てる工程を含むカチオンの存在を検知する方法を提供する。適切なアルゴリズムによって、カチオン含有媒体中のカチオンの濃度と発光量とを相関させることができる。
【0027】
定義
特に断らない限り、本明細書において以下の定義を適用する:
「基」若しくは「化合物」又は「部分」とは、所望の生成物を阻害しない一般的な置換基により置換することができる化学種を意味し;
「LED」とは発光ダイオードを意味し;
「クマロクリプタンド」とは、クマリンの典型的には6及び7位にオルト縮合したクリプタンド部分を有するクマリン部分を意味し;
「アルキル」とは、最も長い鎖中に1〜30個の炭素原子を有する直鎖又は分枝有機基を意味し;
「芳香族」とはその1つの環又は複数の環中に5〜15個の炭素原子又はヘテロ原子を有し、環電子が非局在化している環又は縮合環系を意味し;
「カルボキシル」とは、例えば、酸ハロゲン化物、アジド、アミド、イミダゾールアミド、エステル及びニトリルを包含するカルボン酸基又はそれらの誘導体を意味し;
「呼びかけ(interrogate)」とは、励起放射線源に暴露し、放射線の変化を監視することを意味し;
「非電子吸引性基」とは、ハメットσp 値が0.2以下である任意の化学基(例えば、J.E. Leffler及びE. Grunwald のRates and Equilibria of Organic Reactions, 第172 頁(John Wiley and Sons, NY) に記載されているハメット置換定数を参照、引用によりその教示をここに含めることにする)を意味し;
「立体障害作用のない基」とは、ケージの機能を立体的に妨害しない任意の化学基を意味し;
「近接している」nπ* 及びππ* 励起状態とは、nπ* 励起状態とππ* 励起状態の間の1電子ボルト(eV)未満のエネルギー差を意味し;
ππ* 状態に関して「エネルギーが高い」とは、イオン依存性のある混成が基底状態への無放射カップリングを支配するのに十分に発蛍光部分のエネルギーが高いことを意味し;
6,7−ジオキソ置換クマリンに関して「面外パッカリング」とは、2個の環内酸素原子(1及び2位)に対する2個の環外酸素原子(6及び7位)の非対称運動を伴う分子振動を意味し;
「蛍光量子収率」とは、励起過程のうち蛍光放出をもたらすものの割合を意味し;
「ストークスシフト(Stokes shift)」とは、蛍光分子に関する発光極大波長と吸収極大波長の波長差を意味し;
「レッドシフト(red shift )」とは、指示体の吸収波長がより長波長側に移動するように指示体を化学修飾することを意味し;そして
「活性水素」とは、穏やかな条件下で化学的に反応性であるようにヘテロ原子に結合している水素原子を意味する。
【0028】
【発明の実施の形態】
本発明の蛍光イオノホア化合物は、(i)イオンの結合用の錯化部分と(ii)発蛍光部分を含む。この化合物の吸収極大波長は少なくとも約350nmである。
【0029】
ある態様において、本発明の蛍光イオノホアは上記一般式Aにより表される。現在のところ好ましいある態様において、本発明の蛍光イオノホアは上記一般式Bにより表される。クマリン環上の3位(すなわち、式AのR1 )に電子吸引性又は分極性基を配置することによって、本発明のイオノホアの励起波長は、慣用的なガラスオプチックスを使用する系で使用できる点までレッドシフトし得る。
【0030】
このイオノホアは、青色光源を使用する系で使用することができる点までレッドシフトすることがより好ましい。結合部位に対してαの位置(すなわち、α位)の片方又は両方の位置にヘテロ原子を有する5員複素芳香環をクマリン環上の3位に配置することによって、本発明のイオノホアの励起波長は、青色光源を使用する系で使用することができる点までレッドシフトし得る。励起波長は少なくとも380nmであることが好ましく、少なくとも約390nmであることがより好ましく、少なくとも約400nmであることが最も好ましい。
【0031】
励起波長が実質的にレッドシフトすることが好ましいと同時に、発光波長は約500nm以下であることが好ましく、約480nm以下であることがより好ましく、約470nm以下であることが最も好ましい。この特定の種類の化合物に関し、当該イオノホアの応答は、吸収波長に依存せずに発光波長の増大とともに減衰するようである。500nmを超える発光波長に関し、K+ に対するイオノホアの応答は微々たるものである。これとは対照的に、血液パラメーターの監視に対しては、発光波長が約470nm未満である場合が最適であるようである。
【0032】
本発明のイオノホアは2種の単位(例えば、クリプタンドとクマリン、又はクラウンエーテルとクマリン)を含み、この2種の単位は一緒になって特定のカチオンを選択的に検出することを可能にする。
【0033】
錯化部分(例えば、クリプタンド又はクラウンエーテル部分)は分析すべきカチオンと相互作用する。当業者はどのクリプタンド及びクラウンエーテル部分が特定のカチオンを錯化するのに有用なものであるのかを認識することができるが、この論題についてのさらなる情報に関して、参考文献としてLehn及びSauvage の“[2]-Cryptates: Stability and Selectivity of Alkali and Alkaline-Earth Macrobicyclic Complexes,”J. Am. Chem. Soc. 第97巻, 第6700〜6707頁(1975)を挙げることができる。
【0034】
クリプタンドケージに関し、酸素及び窒素原子により規定される[2.2.2]ケージ(例えば、上記式Bにおいてm及びnが双方とも1である場合)によりこの単位は同様な直径を有するカチオン(例えば、K+ 、Pb+2、Sr+2及びBa+2)に対して相当に選択性の高いものとなり;[2.2.1]ケージ(すなわち、m及びnのうちの一方が1であり、他方が0である場合)によりこの単位は同様な直径を有するカチオン(例えば、Na+ 及びCa+2)に対して相当に選択性の高いものとなり;[2.1.1]ケージ(すなわち、m及びnの双方が0である場合)によりこの単位は同様な直径を有するLi+ 及びMg+2のようなカチオンに対して非常に選択性の高いものとなる。このサイズ選択性は、例えばK+ に加えてK+ 以外のイオンを含有する生理的試料について[K+ ]を分析する場合に重要である。K+ 、Na+ 又はLi+ の生理的濃度を測定する系にこれらのクリプタンドを導入する場合に、より重い金属がこれらのイオンのうちの1つの分析を妨害する濃度で存在し難いことは都合良い。クリプタンド基は、被検体のpHに依存してモノプロトン化又はジプロトン化された形態で存在することができる。架橋窒素で起こるプロトン化は、生理的pH範囲にわたって(他の金属イオン以上に)K+ に対する当該クリプタンドの選択性に実質的な影響を及ぼさないが、クリプタンド種の合計蛍光強度に影響を及ぼしうる。
【0035】
クラウンエーテル部分に関し、酸素原子により規定される15−クラウン−5ケージ(例えば、式Aにおいてqが0であり、nが0である場合)の大きさによりこの単位はNa+ に対する選択性が適切であるものとなり;18−クラウン−6ケージ(例えば、式Aにおいてqが0であり、nが1である場合)の大きさによりこの単位はK+ に対する選択性が適切であるものとなり;21−クラウン−7ケージ(例えば、式Aにおいてqが0であり、nが2である場合)の大きさによりこの単位はK+ に対する選択性が相当に高く、かつ、Na+ に対する選択性がないものとなる。
【0036】
本発明のイオノホアの第2の特殊な単位は発蛍光部分である。この発蛍光部分は「情報伝達」単位と見なすことができる。例として生理的試験を用いると、錯化部分ケージ内にプロトン、Na+ 又は幾つかの他のカチオンが存在する場合に、発蛍光部分(例えばクマリン単位)は特徴的な蛍光強度対波長プロットを示す。錯化部分ケージの酸素及び/又は窒素原子とK+ が錯化する場合に、蛍光強度の増加が観測される。換言すれば、カリウム錯体の形成によって、発蛍光部分の蛍光量子収率が増加する。特定の錯化部分に選択的な他のカチオンについてもこれと同様な機構があてはまる。適切な発蛍光部分にはクマリン部分が包含されるが、他の芳香族カルボニル又はニトロ芳香族若しくはN−複素環式部分が使用されてもよい。好ましい発蛍光部分には3位で置換されたクマリンが包含される。
【0037】
クマリン単位は2位にカルボニル官能基を有する(すなわち、ZがOである)ことが好ましいが、このカルボニル官能基の代わりに当該イオノホアの性能に著しい影響を及ぼすことなくイミン官能基(例えば、ZがNH)を使用することができる。しかしながら、本発明のイオノホアが水性酸性環境中で使用される場合には、イミン官能基はカルボニル基に加水分解し得る。
【0038】
本発明の蛍光イオノホアにおいて、クマリン単位の3位は電子吸引性基又は分極性基(例えば、式AのR1 )により置換されていてもよい。3位に置換基を配置することによって、本発明のイオノホアはMasilimani等により説明されているもののように4位で置換されたクマリンよりも幾分高い(例えば20%以下高い)量子収率を有する。このことは、低い励起強度を用いることができ、それによって光分解の起こりやすさを減少させることが可能であり、またより低強度の光源を使用することができることを意味する。有用な電子吸引性基又は分極性基には、カルボキシル基、カルボキサミド基、スルホニルアリール基、エステル基、ケト−アルキルエステル基及び芳香族基(好ましくは1箇所以上の位置で置換されたもの)が包含される。好ましいR1 基には、エステル、ケト−アルキルエステル、複素環式部分及び置換芳香族基、例えば置換されたフェニル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾオキサゾリル及びベンゾチアゾリルが包含される。エステルのうちでエチルエステルが特に好ましく、ケト−アルキルエステルのうちで−(CO)CH2 CH2 CH2 (CO)OCH2 CH3 が特に好ましい。好ましい芳香族の基置換基には、アミン、カルボン酸及びスルホン酸が包含される。これらのクマロクリプタンドの励起波長は概して及び好ましくは少なくとも350nmである。例えば、6,7−O,O−[2.2.2]−クリプタンド−3−カルボエトキシクマリンの励起波長は約354nmである。
【0039】
クマリン単位の3位は、クマロクリプタンドへの結合位置に隣接する位置(すなわち、α位)の片方又は両方の位置にヘテロ原子を有する複素芳香族基により置換されることがより好ましい。適切な複素芳香族基には、一般式(式C):
【0040】
【化7】
【0041】
(上式中、Y及びY’は、それらの少なくとも一方がO,S又はNHx であることを条件として独立にO、S、NHx 又はCHy (式中、xは0又は1であり、yは1又は2である)であり、各R4 基は、水素、ハロゲン、ヒドロカルビル含有基、複素非環式基、複素環式基、若しくは式:(CH2 X)c E(式中、X及びEは上記定義の通りであり、cは0〜100の整数である)により表される基であるか、又は両方のR4 基がそれらが結合している炭素原子と共に5員若しくは6員環を形成し、この5員若しくは6員環に任意に1個以上のさらなるR4 基が結合していてもよい)
により表される5員基が包含される。
【0042】
好ましくは、各R4 基は、水素、ハロゲン、C1 〜C20アルキル、C1 〜C20アルコキシ、C3 〜C18シクロアルキル、C6 〜C18アリール、C6 〜C18アリールオキシ、C6 〜C18ヒドロキシアリール、C6 〜C18アリールカルボキシ、C6 〜C18カルボキシアリール、C2 〜C18アルケニル、C1 〜C20ヒドロカルビルアミノ、C6 〜C18アリールアミノ、C6 〜C18アミノアリール、C2 〜C20ジ(ヒドロカルビル)アミノ、少なくとも3個の環原子を有する複素環式基、カルボキサミド(−C(O)NR1 R2 )若しくは式:(CH2 X)c E(式中、X及びEは上記定義の通りのものであり、cは0〜25の整数である)により表される基からなる群から独立に選ばれるものであるか、又は両方のR4 基がそれらが結合している炭素原子と共に5員若しくは6員環を形成し、この5員若しくは6員環に任意に1個以上のさらなるR4 基が結合していてもよい。より好ましくは、各R4 基は、水素、ハロゲン、C1 〜C10アルキル、C1 〜C10アルコキシ、C5 〜C8 シクロアルキル、C6 〜C10アリール、少なくとも1個のO、N若しくはS原子を含む複素環式基、C2 〜C10アルケニル、C1 〜C10アルキルアミノ、C1 〜C10ジアルキルアミノ若しくは式:(CH2 X)c E(式中、X及びEは上記定義の通りのものであり、cは0〜10の整数である)により表される基からなる群から独立に選ばれるものであるか、又は両方のR4 基がそれらが結合している炭素原子と共に5員若しくは6員環を形成し、この5員若しくは6員環に1個以上のさらなるR4 基が結合していてもよい。最も好ましくは、各R4 基は、水素、メチル、エチル、プロピル、ブチル、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、C5 〜C8 シクロアルキル、少なくとも1個のO、N若しくはS原子を含む5員若しくは6員複素環式基、C6 〜C10アリール、C2 〜C10アルケニル、C1 〜C10ジアルキルアミノ、塩素、臭素若しくは式:(CH2 X)c E(式中、X及びEは上記定義の通りのものであり、cは0〜3の整数である)により表される基からなる群から独立に選ばれるものであるか、又は両方のR4 基がそれらが結合している炭素原子と共に5員若しくは6員環を形成し、この5員若しくは6員環に1個以上のさらなるR4 基が結合していてもよい。
【0043】
クマリン単位の3位に置換基を限定することによって、特定の5員複素芳香族環式基が、青色光源と共に使用することが可能になるほど十分に(すなわち、少なくとも380nmより上に)レッドシフトした励起極大波長を有するイオノホアを提供することが見出された。
【0044】
GaN発光ダイオードのような固体光源は、吸収極大波長が少なくとも約380nm、好ましくは少なくとも約390nm、より好ましくは少なくとも約400nmであるイオノホアの使用を必要とする。従来の化合物により提供されるものを上回る吸収極大波長のレッドシフトが必要である。しかしながら、レッドシフトした後の励起最大波長が350を超えるクマロクリプタンドの全てが有用であるとは限らない。例えば、6,7−O,O−[2.2.2]−クリプタンド−4−シアノ−3−カルボエトキシクマリンは吸収極大波長が約425nmであるが、K+ の存在下でも殆ど又は全く応答を示さない。
【0045】
特定の理論に束縛されるわけではないが、励起状態の「近接効果」は、カチオンに対するクマロクリプタンドの蛍光応答に一役を果たすと考えられる。特に、クリプタンドケージが適切な大きさのカチオン(すなわち、「標的カチオン」)と錯化していない場合に、分子の面外パッカリング振動は放射性ππ* 状態とその近傍の無放射性nπ* 状態との混成を誘発し、その結果、当該イオノホアの蛍光を弱くする。このパッカリングは、2つの環外クマリン酸素原子の逆位相面外振動と調和するクマリン部分の6位及び7位にある2つの環外酸素の逆位相(反対称)面外振動を伴う。標的カチオンがクリプタンドケージ内で錯化すると、このパッカリングは禁止され、蛍光が増加する。しかしながら、ππ* 状態のエネルギーが低すぎる(すなわち、発光波長が長すぎる)と、面内振動がππ* 状態と基底状態の直接混成を誘発し、標的カチオンの応答は低下するか又は失われ得る。このもう1つのエネルギー散逸過程は、6,7−O,O−[2.2.2]−クリプタンド−4−シアノ−3−カルボエトキシクマリン及び特定の他のレッドシフトしたクマロクリプタンドが標的カチオンの存在下で不適切な応答を示す理由であると考えられる。
【0046】
上記記載に基づき、有用なイオノホアを設計することに関して次の3つの指針を導き出すことができる:(1)ππ* 及びnπ* 状態はそれらの混成が可能になるほどエネルギー的に近接していることが好ましい;(2)ππ* 状態は、基底状態への無放射カップリングが優勢にならないか又は基底状態への無放射カップリングがnπ* 状態とππ* 状態の標的カチオン依存性のある混成と非常に強く競合しないように十分にエネルギーが高いことが好ましい;並びに(3)クマロクリプタンドをレッドシフトさせるために使用されるいかなるクマリン置換基も当該クマロクリプタンドの面外パッカリング振動を妨害しないことが好ましい。
【0047】
上記指針のうちの最初の指針は、吸収極大波長がレッドシフトされる一方で、それに対応して発光波長が増加するのを妨げなければならないこと、すなわちストークスシフトを比較的小さく保たねばならないことを意味する。(当然のことながら、蛍光の検出が可能であるように特定の最低限のストークスシフトを保つ必要がある。典型的には、このシフトは少なくとも約10nm、好ましくは少なくとも約20nm、より好ましくは少なくとも約25nm、最も好ましくは少なくとも約30nmである。)前記の第2番目の指針は、発光波長が約500nm以下、好ましくは約480nm以下、より好ましくは約470nm以下であることを示す。前記の第3番目の指針は、吸収極大波長をレッドシフトするために使用することができる置換基の種類を限定する。特に、当該イオノホアのクマリン部分は、概して当該クマリン部分に縮合した環系を有することができず、このクマリン置換基は少なくとも350nmに(より好ましくは少なくとも380nmに)吸収極大波長をレッドシフトさせなくてはならないが、500nmを超えるほどまで吸収極大波長をレッドシフトさせてはならない。
【0048】
これらの指針に基づいて、可能性のあるクマリン及びクマロクリプタンド候補分子を調査した。この調査には3種のモデル化合物:6,7−エチレンジオキシクマリン(EDO)、6,7−メチレンジオキシクマリン(MDO)及び6,7−ジメトキシクマリン(DMO)を使用した。EDO型化合物は、それらがクマロクリプタンドにおける優れた標的イオン応答に必要とされる面外パッカリング振動モードと同様な面外パッカリング振動モードを維持することが示されたことから、未錯化クマロクリプタンドに対して好ましいモデルであることが見出された。前記DMO及びMDO型化合物は、それらが平面構造を維持することから、錯化クマロクリプタンドに好ましいモデルであることが見出された。予想されるように、DMO及びMDO型化合物の蛍光量子収率は、対応するEDO型化合物のそれよりも大きい。表16eに示されるように、DMO/EDO及びMDO/EDO量子収率比は、対応するクマロクリプタンドイオノホア応答の優れた予測者である。これらの相関によって、種々のレッドシフト性置換基に対して対応するクマロクリプタンドのK+ 応答を予測するために、EDO型及びDMO型化合物に関する分子起軌道計算を使用することが可能となる。多数のEDO型モデル化合物に関する分子軌道計算(下記表16c参照)によって、少なくとも1個のヘテロ原子がα位に位置する複素芳香環により3位で置換されたクマリンは、約390nmの望ましい範囲内にあるレッドシフトした吸収波長に80nmの範囲内にあるストークスシフトを与える能力を有することが示された。
【0049】
本発明のクマロクリプタンドイオノホアの調製法は、引用によりここに含めることにする米国特許第5,474,743号明細書に詳細に記載されている一般スキームに基づく。典型的な反応スキームが便宜上示されている。以下の議論の中で、ビス−クロロエトキシ種を「基本中間体」と表示するが、任意の脱離基を末端基とするビス−エトキシ−2−ヒドロキシベンズアルデヒドを使用することができる。
【0050】
このビス−クロロエトキシ基本中間体の調製は、Landini 及びMontanari によるSynthesis, 第223 〜225 頁(1978)に記載されている方法により調製することができる1,2−ビス−(2’−ヒドロキシエトキシ)ベンゼンを用いて開始することができる。過剰の塩化チオニルとの反応によりこの出発物質を1,2−ビス−(2’−クロロエトキシ)ベンゼン(I)に転化させることができる。化合物Iを塩化チタンの存在下で1,1−ジクロロメチルメチルエーテルと反応させ、加水分解させると1,2−ビス(2’−クロロエトキシ)ベンズアルデヒド(II)が生成する。化合物IIと過酸化水素及び硫酸との反応によって、3,4−ビス−(2’−クロロエトキシ)フェノール(III) が生成する。塩化チタンの存在下で化合物III を1,1−ジクロロメチルメチルエーテルにより処理し、加水分解させると、上記ビス−クロロエトキシ基本中間体種が生成する。
【0051】
この基本中間体をシアノ置換5員芳香環化合物(Y及びY’は上記定義の通り)により処理し、続いてHClと反応させると、3−(複素芳香族)−6,7−ビス(2’−クロロエトキシ)クマリン(IV)が生成する。塩素をヨウ素により置換して化合物Vとした後、アセトニトリルのような溶剤中での4,13−ジアザ−18−クラウン−6との反応によって、この化合物を6,7−[2.2.2]−クリプタンド−3−(複素芳香族)−クマリン(VI)に直接転化させることができる。所望であれば、化合物VII が提供されるように酸加水分解によりエステル基をカルボン酸基に転化させることができる。
【0052】
これらの反応を以下のスキームにまとめた。
【0053】
【化8】
【0054】
当業者は、前記[2.2.2]種以外のクマロクリプタンドは、4,13−ジアザ−18−クラウン−6以外のジアザクラウンエーテルを使用することにより調製できることを認識するであろう。例えば、[2.2.1]クマロクリプタンドが望ましい場合には、1,4,10−トリオキサ−7,13−ジアザシクロペンタデカンを使用することができる。さらに詳細な点については下記実施例18及び20を参照されたい。
【0055】
α位のうちの少なくとも1箇所にヘテロ原子を有する好ましい5員芳香環はフラン(例えば、YがOであり、Y’がCHである)である。他の有用な5員芳香環基には、限定するわけではないが、
【0056】
【化9】
【0057】
が含まれる。
【0058】
電子状態に関する指針の上記議論に基づき、当業者は、式Aの化合物に関してR1 、R2 及びR3 基の選択が重要であることを認識することができる。
【0059】
当該化合物のレッドシフトに対するその寄与が特に重要であるR1 は既に述べた。
適切なR2 基には、立体障害作用のない任意の基が含まれる。適切な基には、水素、ハロゲン、ヒドロカルビル含有基、複素非環式、又は式:(CH2 X)a E(式中、X及びEは上記定義の通りであり、aは1〜100の整数である)により表される基のような部分が包含される。好ましくは、各R2 基は、水素、ハロゲン、C1 〜C20アルキル、C1 〜C20アルコキシ、C2 〜C18アルケニル、C1 〜C20ヒドロカルビルアミノ、C2 〜C20ジ(ヒドロカルビル)アミノ、又は式:(CH2 X)a E(式中、X及びEは上記定義の通りのものであり、aは1〜25の整数である)により表される基からなる群から独立に選ばれる。より好ましくは各R2 基は、水素、ハロゲン、C1 〜C10アルキル、C1 〜C10アルコキシ、C2 〜C10アルケニル及びC1 〜C10アルキルアミノ、C1 〜C10ジアルキルアミノ、又は式:(CH2 X)a E(式中、X及びEは上記定義の通りのものであり、aは1〜10の整数である)により表される基からなる群から独立に選ばれる。最も好ましくは各R2 基は、水素、メチル、エチル、プロピル、ブチル、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、C2 〜C10アルケニル、C1 〜C10ジアルキルアミノ、塩素、臭素、又は式:(CH2 X)a E(式中、X及びEは上記定義の通りのものであり、aは1〜3の整数である)により表される基からなる群から独立に選ばれる。
【0060】
R3 に対して多くの種々の基が選択されてよい。好ましいR3 基には任意の非電子吸引性基が包含される。適切な基には、水素、ヒドロカルビル含有基、複素非環式基、複素環式基、又は式:(CH2 X)b E(式中、X及びEは上記定義の通りのものであり、bは0〜100の整数である)により表される基のような非電子吸引性部分が包含される。好ましくは各R3 基は、水素、C1 〜C20アルキル、C3 〜C18シクロアルキル、C6 〜C18アリール、C6 〜C18アリールオキシ、C6 〜C18ヒドロキシアリール、C6 〜C18アリールカルボキシ、C6 〜C18カルボキシアリール、C2 〜C18アルケニル、又は式:(CH2 X)b E(式中、X及びEは上記定義の通りのものであり、bは0〜25の整数である)により表される基からなる群から独立に選ばれる。より好ましくは各R3 基は、水素、C1 〜C10アルキル、C5 〜C8 シクロアルキル、C6 〜C10アリール、少なくとも1個のO、N又はS原子を含む複素環式基、C2 〜C10アルケニル、又は式:(CH2 X)b E(式中、X及びEは上記定義の通りのものであり、bは0〜10の整数である)により表される基からなる群から独立に選ばれる。最も好ましくは各R3 基は、水素、メチル、エチル、プロピル、ブチル、C5 〜C8 シクロアルキル、C6 〜C10アリール、C2 〜C10アルケニル、C1 〜C10ジアルキルアミノ、又は式:(CH2 X)b E(式中、X及びEは上記定義の通りのものであり、bは0〜3の整数である)により表される基からなる群から独立に選ばれる。
【0061】
本発明のイオノホア化合物を基材に結合させるべき場合には、少なくとも1個のR基は、活性水素を有する官能基(すなわち、E基)を含まなくてはならない。そのような基の導入によって、共有結合を形成するような共反応性官能基との反応が可能となる。
【0062】
各R2 及びR3 が水素であり、R1 が一般式(式「C」):
【0063】
【化10】
【0064】
(上式中、Y及びY’はそれらの少なくとも一方がO、S又はNHx であることを条件として独立にO、S、NHx 又はCHy (式中、xは0又は1であり、yは1又は2である)であり、一方のR4 は水素であり、もう一方のR4 はカルボン酸基である)
により表される置換芳香族部分であることが好ましい。
【0065】
K+ の検出に特に好ましい本発明のイオノホアは式:
【0066】
【化11】
【0067】
(上式中、YはO、S又はNHであり、特にYはOである)
により表される。
【0068】
R1 、R2 及びR3 のうちの少なくとも1つ又は少なくとも1つのR4 基が活性水素を含む基である場合には、本発明の蛍光イオノホアは、他の分子及び/又は基材への都合の良い共有結合手段を有する。本発明のイオノホアは、直接又は分子テザー(molecular tether)(すなわち、連結基)を通じて基材に結合して検出用組成物を形成することができるものであり、連続検出装置又はフロースルー(flow-through)装置にこの検出用組成物を導入することができる。
【0069】
本発明のイオノホアをそのような連結基を通じて基材に結合させるべき場合に、その最も長い連続鎖は好ましくは5〜125個の炭素原子及び/又は酸素、窒素、硫黄等のようなヘテロ原子、より好ましくは10〜70個の炭素原子及び/又はヘテロ原子、最も好ましくは5〜15個の炭素原子及び/又はヘテロ原子を含み、その少なくとも1つの末端に官能基はない。これらの連結基は、当該イオノホアとの金属イオンの相互作用能を阻害しないように親水性であることが好ましい。しかしながら、当該系の種々の物理的特性にこの連結基が寄与することが望ましい場合又は基材が十分に親水性である場合には、その繰返し単位及び末端基の官能性をそれに応じて変性させることができる。
【0070】
当該クマロクリプタンドのR基のうちの1つと選択的に反応するようにこれらの連結基の官能基を選択することができる。可能な官能基には、アミン類、アミド類、エステル類、オキシラン類、オレフィン類、尿素類、イソシアネート類、チオイソシアネート類、カルバメート類、スルホン酸、スルホンアミド類、塩化スルホニル類、カルボン酸類、カルボキシル類、シラノール類、クロロトリアジン類、ヒドラジン類、ヒドラジド類及びアルデヒド類(又は当該クマロクリプタンドのR基のうちの1つと反応することによって、アミン類、アミド類、エステル類、エーテル類、尿素類、ウレタン類、スルホンアミド類、シラン類及びヒドラジド類を形成する基)が包含される。
【0071】
この連結基は、好ましいことに当該イオノホアとの反応前に基材に結合することができる。これは2通りの態様のうちの一方で行われる。第1の態様では、当該イオノホアを結合させる前に、連結基を基材と反応させることができる。この選択肢を選ぶ場合には、各連結基は二反応性である(すなわち、各テザーの各端に同種又は異種の官能基を有する)ことが好ましく、基材はテザーの官能基のうちの1つの官能基と反応することができる相補的官能基を有することが好ましい。第2の態様では、予め結合した連結基を用いて基材を形成することができる。このことは、例えば、連結基が前もって結合するように基材ポリマーを選択することを伴う。
【0072】
検出用複合構造物を形成するために本発明のイオノホアを基材上に固定化(すなわち、直接又は連結基を通じて)すべき場合に、種々の形態の基材を使用することができる。当該検出用複合体を連続監視装置に導入すべき場合には、単に当該装置の寸法及び形態のために、平面状基材がおそらく好ましいであろう。
【0073】
平面状基材又は平面状に容易に作製可能な基材の例には、膜又はフィルムの形態にある自己支持性ポリマー、及びコーティング可能なポリマー(すなわち、基材上にコーティングすることができるポリマー)が包含される。自己支持性膜は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニリデン、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリスルホン、セルロース、官能化セルロース及びナイロン、並びにシリカキセロゲル若しくは多孔質ガラスのようなシリカを包含する種々のポリマーから形成される。(ある種のナイロン膜は、不十分な可逆複合材料、すなわち金属イオン濃度の変化に伴う強度変化を徐々に示さなくなる前に、高カチオン濃度と低カチオン濃度の間で僅かに数サイクルだけしか使用することができない複合材料を提供する。)有用な基材は好ましくはイオン透過性であり、場合に応じて、R基の官能基と相補的な、R基の官能基と反応する基により官能化されたものであるか、又はそのような基を本質的に有するように処理(例えば、空気酸化)されたものである。
【0074】
イオノホアを基材表面に結合させるべき場合にイオノホアの濃度をできる限り高くするために、多孔質基材又は膜を使用すること、又は当該イオノホアを結合させる前に、膜、特にシリカを含む膜の表面を粗くすることが望ましいであろう。
【0075】
水不溶性のコーティング可能なポリマーが好ましい基材である。そのようなポリマーには、ポリ塩化ビニル(PVC)、塩化ビニルのコポリマー及びターポリマー、スチレンとマレイン酸及び無水マレイン酸のうちの少なくとも1種とのコポリマー、アルキルビニルエーテルとマレイン酸及び無水マレイン酸のうちの少なくとも1種とのコポリマー、ビニルジメチルアズラクトンのポリマー及びコポリマー、並びにアクリレートエステル及びメタクリレートエステル(又はアクリルアミド及びメタクリルアミド)のうちの1種とアクリル酸及びメタクリル酸のうちの1種とのコポリマーが包含される。本発明のイオノホアがいったんこれらのポリマーのうちの1種に(直接又は連結基を通じて)共有結合したならば、場合に応じてポリマー−イオノホア複合体を上記の膜のうちの1つの上に塗布することができる。代わりに、(場合に応じて連結基と反応した)コーティング可能なポリマーにより膜をコーティングし、次に本発明のイオノホアの溶液中で反応させてもよい。どちらが行われても、基材は当該イオノホアを有するコーティング可能なポリマーを加えた膜となる。
【0076】
特に好ましい複合構造物は、本発明の3位置換クマロクリプタンドと(直接又はテザーを通じて)反応したポリマーによって場合に応じてコーティングされた前記基材である。有効な予備形成されたポリマー基材のうちで好ましい例には、PCT特許出願明細書第WO92/07899号に記載されているようなPVCでオーバーコートされた親水性多孔質ポリプロピレン(HPPP)が包含される。カーボンブラックでオーバーコートされたヘキサンジアミン(HDA)官能セルロースも好ましい。
【0077】
当業者は、プロトン(又はヒドロニウムイオン)を選択的に透過し得る基材又は膜を選択することによって、種々の濃度の金属イオンの存在下でpHセンサーとして機能する複合構造物を調製できることを認識するであろう。一定濃度の金属イオンが保たれる場合には、そのような選択性膜が必要でないこともありうる。
【0078】
フロースルー装置を使用する場合には、例えば、固体複合構造物を粉末に粉砕するか(又はクマロクリプタンド化合物を市販入手可能な粉末若しくはビーズに結合させてもよい)、又はヒドロゲル、アクリルアミド若しくはアクリレート型ゲルのようなイオン透過性マトリックス内に封入することができる。当該複合構造物が粉末であるならば(又は粉末に粉砕されるならば)、所望であれば平面状の基材に当該複合構造物を付着させることができる。
【0079】
連続検出が望ましい場合に、基材は当該基材付近に存在するカチオンと相互作用しないか又は当該基材付近に存在するカチオンとの可逆的相互作用を可能にしないため、特定の基材形態に関わらず、カチオンは、結合しているイオノホアと可逆的錯体を容易に形成することができる。カチオン/イオノホア平衡の阻害を最低限に抑えるために、この相互作用の可逆性がカチオン濃度が変化したときに著しく変わらないような態様で、選択された基材材料がカチオンと相互作用することが好ましい。基材自体は、好ましくはカチオンと不可逆的に反応せず、かつ、カチオンを不可逆的に吸着せず、負の実効電荷を有し、親水性である。選択された基材が本質的にこれらの好ましい特性を持たないならば、選択された基材が本質的にこれらの好ましい特性を持つように基材を変性させることができる。例えば、この組成物に全負電荷を与え、その親水性を高めるために、前記連結基と共にスルホネート基又はホスフェート基を結合させることができる。
【0080】
結合したイオノホアにカチオンが達するにはカチオンが基材中を拡散しなくてはならない装置に当該検出用組成物を使用すべき場合には、基材が少なくとも幾分イオン透過性であるか又は微孔質であることが必要である。さらに、光の呼びかけビームが使用されるかどうか(及びどのように光の呼びかけビームを使用するか)に依存して、半透明又は透明基材と不透明の反射性又は光吸収性オーバーコートを提供することが望ましいであろう。典型的なオーバーコートには、ポリマーのようなキャリア又は適切な溶媒中にカーボンブラック又は他の顔料を含む分散液が包含される。
【0081】
被検体溶液中のカチオンの濃度を定量的に決定すべき場合には、平衡イオン−イオノホア錯体濃度を測定することができる分析技術が好ましい。分光分析法が特に有用であることが見出された。蛍光分析法が特に好ましい。そのような方法を任意に改良して励起光及び放射光の伝送にファイバーオプチックスを使用してもよい。例えば、励起波長λ1 を中心とする波長範囲の呼びかけ光を導入するため及び発光波長λ2 を中心とする波長範囲の放射光を検出器に送信するために、1本以上の光学繊維を使用することができる。
【0082】
光源を使用するシステムは産業上の有用性があることが証明されているが、固体LED及びレーザーダイオード光源が好ましい。これらの固体光源は、概して、光電子システムの信頼度を高め、コストを抑え、サイズを小さくし、ノイズ/ドリフト特性を改良する。日本国のニチア化学工業により販売されているGaN青色LEDは、多芳香族炭化水素系蛍光指示体系のための実際的なLED型電子光学システムの開発を可能にしてきた。特に、GaN発光ダイオードの発光(390〜420nm)は、本明細書に開示するレッドシフトしたイオノホアの吸収極大波長に一致させることができる。さらに、新しいGaNレーザーダイオードは405nmの光を発するものであって、位相変調型イオノホア検出を持続させるのに十分な周波数で変調させることができるものである。
【0083】
本発明の蛍光イオノホア化合物は、特定のカチオンの濃度の決定が望まれる種々の用途に使用することができる。K+ 又はNa+ に対して選択性があるイオノホアは、これらのイオンの濃度を決定する際に、特に生物学的系において特に有用である。これらのイオノホアは、現存する試験用キットに組み込まれても、種々の基材上にコーティングされても、ファイバーオプチック型分析装置に組み込まれてもよい。Pb+2に対して選択性があるイオノホアは、環境試験で、あるいは生物学的試験でも有用であり得る。シリコーンゴム又は同様な気体透過性膜の内側(又はことによると後方)の適切に緩衝化された水が充填された区画内に、pH近傍のpKa 、好ましくはジプロトン化種のpKa を有するクマロクリプタンドイオノホアを限定することによって、[CO2 ]を決定することも可能となる(すなわち、イオノホアは、H2 CO3 へのCO2 の水和により発生する酸性種と相互作用し得る)。これらのイオノホアを使用する他の検出及び濃度決定用途は当業者に明らかであろう。
【0084】
本発明の複合構造物の顕著な利点は、pHがそれらの蛍光強度に影響を及ぼさないことである。例えば、約4mMの生理学的K+ 濃度で生理学的pH範囲(7.3〜7.5)を包含する約6.98〜約7.8のpH範囲にわたってのそのような検出用複合構造物の蛍光強度の変化は、全蛍光強度の僅かに約6%であった(図4b参照)。対照的に、米国特許第5,474,743号明細書に記載されている先行技術のクマロクリプタンドは同様なpH範囲にわたって約33%の蛍光強度の変化を示した(図4a参照)。
【0085】
特に好ましい態様において、当該イオノホアは、血液のような流体の1種以上のパラメーターを測定するためのシステムの一部であるカセットであって、米国特許第4,640,820号及び第4,786,474号明細書、並びに同時係続出願である米国特許出願番号第08/810,954号に記載されているようなカセットを包含するカセットに組み込まれる。当該イオノホアを、多層集成体にさらに組み込まれる膜であって、前記多層集成体がカセットに接着させることができるものである膜に共有結合させることが好ましい。そのような多層集成体は、感圧接着剤層であって、その片面に貼り付けられた剥離ライナー(例えば、ポリエチレンテレフタレート、接着剤業界でPETとして知られているもの)と、その対向面に薄い可撓性膜、例えばPVC又はポリカーボネートとを有する感圧接着剤層を含み得る。本発明の検出用イオノホアが共有結合した又は本発明の検出用イオノホアによりコーティングされた好ましくはHPPP又は変性セルロースのようなキャリア基材を含むこの検出用基材は、可撓性膜に接着剤により接着されるか又は可撓性膜に貼り合わされる。この多層集成体の最外面(例えば、当該検出用基材の露出面)で、不透明コーティングが当該検出用基材を被覆していることが好ましい。個々の層については前述の通りである。
【0086】
既に述べたもののような流体パラメーター測定システムに有用なカセットには、フロースルー型又はシャント型の少なくとも2種類がある。フロースルーカセットは、動脈又は静脈路内での検出に有用であることができ、一方、シャントカセットは、例えば開胸外科手術でのシャント路内での検出に有用であることができる。シャント路は、患者からの血液を主心肺循環回路に接続されているが主心肺循環回路から分かれている回路に流す手段を包含する。以下で述べる一体型カセット集成体は、それが典型的にはより小さな流体チャンバーを有し、当該システムから容易に取り外し、慣用的なオートクレーブ法により殺菌することができるものであるため、シャント路で使用されることが好ましい。都合良いことに、本発明のクマロクリプタンドイオノホアを含む多層検出用集成体は、オートクレーブ殺菌(約120℃)の前後で実質的に同じイオン応答及びスペクトル特性を示す。
【0087】
フロースルーカセットによって、動脈及び静脈路に沿う流体の通過を、監視前に妨害されずに保つことが可能となる。フロースルーカセットは、典型的には、血液流を制限しないようにより直径が大きい入口と出口を有する。半透膜が使用される場合に、半透膜は、本明細書に記載するような1つ以上の較正された検出用膜が組み込まれた本体に封着されるフロースルーケーシングの上部開口部をシールする。この検出用本体は、以下で詳しく説明する図11の装置200のような測定装置に接続されることが好ましい。いったん流体パラメーターを測定したならば、このカセットは装置200から取り外され、廃棄される。フロースルーカセットは、通常オートクレーブ処理されることを予定されていない。
【0088】
血液のような流体の1種以上の特性又はパラメーターを測定するためのシステム10を図11に示す。システム10は概してカセット12内の流体のパラメーターを測定するための測定装置14に加えて流体を受容するカセット12を具備する。
【0089】
カセット12を図12により詳細に示す。このカセット12は、ケーシング16の軸線に沿って延びる細長い内部フロースル流体チャンバー18を画定する壁部分を有する細長いケーシング16を具備する。流体チャンバー18は、チャンバー18に流体を入れるための第1口又は「入口」を有する第1部分20と、流体が流体チャンバー18から流出させるための第2口又は「出口」を有する第2部分22と、部分20と22の間に位置する中央部分とを具備する。(この記載は、第1部分20を通ってチャンバー18に流入し、第2部分22を通ってチャンバー18から排出される流体を示すものであるが、所望であれば流体が第2口を通ってチャンバー18に入り、そして第1口を通って出るように、流体がチャンバー18を通って逆方向で流れてもよいことが理解されるべきである。)
【0090】
ケーシング16の外側は、概して長円形の窪み26を有する中央部分を具備する。チャンバー18内の流体の1種以上のパラメーターを決定するための少なくとも1つのセンサーが、ケーシング16に搭載される。図示されている態様において、一連の4つのセンサーは窪み26と流体チャンバー18の中間部分24との間に配置されており、これらのセンサーは、ケーシング16の軸線に沿って整列して互いに離間した関係で設けられた4つのキャビティ内に配置されている。図4に示されているように、これらのセンサーは、キャビティ27、29、31、33のそれぞれの中に収容されているカリウムセンサー28、pHセンサー30、二酸化炭素センサー32及び酸素センサー34を包含する。
【0091】
ケーシング16内の穴は、pHセンサー30と二酸化炭素センサー32の間に設けられている。熱電対収容用縦穴36はケーシング16に取り付けられており、前記穴に延びている。縦穴36は、流体チャンバー18の中央部分に面するケーシング16の壁部分に接着剤により接着されたリムを有する帽子型の形態を有する。適切な接着剤は、Loctite Corporation 製の商標「UV Cure 」の接着剤のようなアクリルウレタン系接着剤である。縦穴36は金属のような伝熱性を有する耐蝕性材料、例えば厚さ0.004インチ(0.1mm)のチタンから作製されたものであることが好ましい。縦穴36は、流体チャンバー18内の流体との本質的な熱的接触を提供するように、流体チャンバー18の中央部分24中に突き出ている。
【0092】
ケーシング16は、窪み26を画定し、そしてケーシング16の軸線から離れる方向に外側に向かって延びる概して長円形のリム40も具備する。図12を参照すると分かるように、長円形の窪み26と周囲のリム40の主軸は一致しており、センサー28、30、32、34及び縦穴36の中心を横切って延びており、またケーシング16及び流体チャンバー18の軸線と平行である。
【0093】
半円筒形の整合キー42はリム40の内壁に一体的に連結されている。また、ケーシング16の軸線に垂直であり且つセンサー32とセンサー34の間に等距離に延びる基準面が整合キー42の直径面に沿って整合キー42を二等分するように整合キー42が配向されることが好ましい。
【0094】
カセット12は、測定装置14にケーシング16を着脱可能に連結するための第1雄カップリングを具備する。カップリング44は、ケーシング16の軸線に垂直な方向に、凸状の概してU字形の形状を有する。カップリング44は、ケーシング16の前述の中央部分と、リム40の外延方向とは反対側にケーシング16から外側に延びる対向脚部46とを具備する。各脚部46は、各脚部46の外面と平行である同一平面上の平らな外面47を有する支持部分の対を具備する。好ましくは、対向脚部46の外面47は、ケーシング16に収束し、約28度〜約32度の範囲内の角度で互いに向かい合う各基準面に沿って延びている。より好ましくは、外面47は、約30度の角度で互いに向かい合う各基準面に沿って延びている。
【0095】
フランジ48は、各脚部46の外端に一体的に連結されている。フランジ48は、ケーシング48の軸線と平行な共通基準面内にある。脚部46は、幾分可撓性であり、指圧の作用下でもう一方の方向に若干移動することができるが、いったん指圧を解放すると、それらの原形に即座に且つ繰返し戻るのに十分な記憶も有する。
【0096】
各脚部46の外側の中央端領域は、前記支持部分の間に存在するくさび形タブ50に一体的に連結されている。タブ50は、一方に対して約80度の角度で配向している各基準面に沿って各脚部46から外側に向かって互いに反対側に延びている。さらに各タブ50の末端は、フランジ48の延長方向に対して25度の角度で配向している基準面内で延びている。タブ50の最外端は、各脚部46の隣接する領域に対して外側に間隔をおいて拡がっており、且つ、ケーシング16の軸線とフランジ48を含む上記基準面との間の共通基準面内に存在する。
【0097】
好ましくは、ケーシング16は、医療用ポリカーボネートのような比較的透明のプラスチック材料から作製されたものであって、射出成形に続いて互いに接合された2個以上の元々は別々の部品から構成されたものである。適切な2個構成構造の例を図13に示す。図13において、ケーシング16の一部品は窪み26及びリム40を具備してセンサー28、30、32及び34を搭載し、そして第2の部品は図示されているような脚部47、入口及び出口並びに他の要素を具備する。これらの部品は、超音波溶接、溶着又は接着により互いに連結される。当然のことながら、他の構造(一体的な1個構成構造又は3個構成構造)も可能である。
【0098】
図11〜13に例示されているように、ケーシング16は第1部分20の入口を取り囲む第1おねじ付き部分を有する。この第1おねじ付き部分は、カセット12がチャンバー18を流れる流体のパラメーターを測定するために使用される場合に、めねじ付きLuer型コネクタに係合的に連結するような構造に作られたものであることが好ましい。コネクタ52はチャンバー18の方に流体を向けるフレキシブルチューブの部分に締り嵌め継手を提供するためのリブ付き部分を有する。
【0099】
第2ねじ付き部分は第2流体チャンバー部分22の出口を取り囲む。図11に示されているように、取付部品56は、第2ねじ付き部分を係合的に受容するめねじ付き部分を場合に応じて有する。取付部品56は、放射状に内側に延びるリブを有する後方に延びるつばを具備する。ケーシング16は、取付部品56がケーシング16から部分的に抜けたときには常に標準環境下での取付部品56の脱離を防止するために、限界を画する外側に放射状に延びるリブであって、止め具として機能し、且つ、当該リブに物理的障害を提供する第2ねじ付き部分に隣接するリブ60を有する。
【0100】
測定装置14は、2部品型の細長いハウジング200を具備する。この2個の部品は、(スナップ合わせ集成体用の)内側にかえしのあるコネクタにより又はねじにより結合させることができる。ハウジング200は、ポリカーボネートとアクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)ポリマーの混合物のような耐衝撃性プラスチック材料から作製されたものであって、殺菌を容易にするために滑らかな外面を有する。場合に応じて、ハウジング200の内面は電磁適合性のある材料によりコーティングされる。
【0101】
測定装置14は、陽極酸化されたアルミニウムのような金属材料から任意に作製された第2雌カップリング202を具備する。カップリング202は、ハウジング200の軸線に垂直な方向に概してU字形の凹形窪みを有する。この窪みは、中央湾曲部206により相互連結される2つの平らな対向側壁部204を具備する。好ましくは、対向側壁部204は、湾曲部206に収束し、約28度〜約32度の範囲内の角度で互いに向かい合う各基準面に沿って延びている。より好ましくは、外面47は、約30度の角度で互いに向かい合う各基準面に沿って延びている。各側壁部204の外端部は、ハウジング200の軸線に平行な方向に延びる細長い溝208を有する。
【0102】
本発明の理解を助けるために次の実施例を示すが、この実施例が本発明の範囲を限定するものであると理解されるべきではない。特に断らない限り、全ての部及び百分率は重量で表されている。
【0103】
【実施例】
実施例1〜6及び18〜21は、フリル置換クマロクリプタンド(FCCC)の調製法を説明する。実施例7〜11はチオフェン置換クマロクリプタンド(TCCC)の調製法を説明する。
実施例12〜16は、FCCCの誘導体を含むセンサーの作製法を説明する。実施例17は、このセンサーについて実施した試験結果を説明する。
実施例26〜36は、6,7−[2.2.2]−クリプタンド−3−カルボエトキシ−クマリン(VII) の調製法における種々の工程を説明する。実施例37は、この化合物のエステル部分の加水分解を説明する。
【0104】
実施例1
エチル−(5−ブロモエチル)−2−フロエート
A.ルート1
Bull. Chem. Soc. Japan, 第60巻、第1907〜1912頁(1987)に記載されているTsuboi等の手順を用いて二酸化セレンによりエチルソルベートを酸化させ、エチル−t−メチル−2−フロエート及びエチル−5−メチル−2−セレノフェノカルボキシレートの混合物とした。
18gのエチルソルベート、26gのSeO2 及び75mlのキシレンの混合物を還流下で約2時間加熱した。濾過後、蒸留により溶剤を除去した。
残留油をシリカゲル上で2種の生成物にクロマトグラフ分離(ヘプタン−酢酸エチル4:1を使用)した。エチル−5−メチル−2−フロエートの収量は5.12gであった。
H1 NMR(CDCl3): d 1.38 (t, 3H, CH3); d 2.40 (s, 3H, CH3); d 4.38 (q, 2H, CH2); d 6.11 (d, 1H, Ar-H); d 7.07 (d, 1H, Ar-H).
【0105】
Textbook of Practical Organic Chemistry, B. Furniss 等(編集者)、第4版、Longman, London (1978)の第402 頁にVogel により記載されている手順に従って、150mlのクロロホルムに、16.4gのN−ブロモスクシンイミド及び0.5gの過酸化ベンゾイルと共に14.2gの上記生成物を加えた。この混合物を窒素下で約2時間還流させ、次に一晩冷却した。
沈殿したスクシンイミドを濾過し、回転減圧蒸発器によりCHCl3 を除去した。エチル−(5−ブロモエチル)−2−フロエートの収量は15.5gであった。
H1 NMR(CDCl3): d 1.38 (t, 3H, CH3); d 4.36 (t, 2H, CH2); d 4.50 (s, 1H, CH2Br); d 6.50 (d, 1H, Ar-H); d 7.12 (d, 1H, Ar-H).
【0106】
B.ルート2
OPPI Briefs, 第17巻、第203 頁(1985)に記載されているMoore 等の手順を用いてスルファミン酸及び亜塩素酸ナトリウムにより5−メチル−2−フルフラルアルデヒドを酸化させた。
2リットルの水に50gの5−メチル−2−フルフラルアルデヒド及び44gのスルファミン酸を溶解させた。別の500mlの水に41gの亜塩素酸ナトリウムを溶解させ、この第2溶液を前記第1溶液に加えた。組み合わせた溶液を一晩攪拌し、100mlの酢酸エチルを用いて3回抽出し、次に濃縮すると油となり、この油は放置すると結晶化した。5−メチル−2−フロ酸の収量は27.5gであった。
H1 NMR(CDCl3): d 2.35 (s, 3H, CH3); d 6.09 (d, 1H, Ar-H); d 7.08 (d, 1H, Ar-H).
【0107】
この手順から得た生成物22gと触媒量のH2 SO4 を500mlのエタノールに加えた。2日間還流後、溶液を1リットルの水に注ぎ入れ、酢酸エチルを用いて抽出した。回転減圧蒸発器を使用して酢酸エチルを除去(すなわち、濃縮)した。残留物を20mlのヘプタンに溶解させ、フラスコの底部で形成されていた少量の褐色固形物からデカントした。
【0108】
このヘプタン溶液を濃縮し、14.6gの褐色液体を得た。この反応の収率は、少量の2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノールを酸化防止剤として加えることにより向上した。NMRスペクトルは、エチルソルベートのSeO2 酸化から得られた生成物(すなわち、エチル−5−メチル−2−フロエート)に一致した。
前述のようなN−ブロモスクシンイミドによる臭素化によって、エチル−(5−ブロモメチル)−2−フロエートが生成した。
【0109】
実施例2
エチル−(5−シアノメチル)−2−フロエート
A.ルート1
20mlのエタノールに、15.5gのエチル−(5−ブロモメチル)−2−フロエート(実施例1から)を加え、これに10mlの水に2.7gのNaCNを含む溶液を加えた。組み合わせたものを約1時間還流させ、次に冷却し、水に注ぎ入れ、生成物を酢酸エチル中に抽出させた。
この溶液を濃縮し、純度約50%の褐色液体10.8gを得た。
H1 NMR: d 1.15 (t, 3H, CH3); d 4.24 (q, 2H, CH2); d 4.30 (s, 2H, CH2CN); d 6.60 (d, 1H, Ar-H); d 7.26 (d, 1H, Ar-H).
【0110】
B.ルート2
代わりに、市販入手可能なエチル(5−クロロメチル)−2−フロエート(ワイオミング州ミルウォーキー所在のAldrich Chemical Co.製)から以下のようにエチル−(5−シアノメチル)−2−フロエートを調製した:
25.89gのKCN、500mlのDMSO及び200mlのTHFを含む機械攪拌機が装着された5リットル3口丸底フラスコに、500mlのTHF中の50gのエチル−(5−シアノメチル)−2−フロエートを4分間にわたって滴下添加した。混合物を23℃で一晩攪拌し、次に2リットルの5℃の水及び1リットルのクロロホルムと共に10分間攪拌した。水性相を分離し、500mlのクロロホルムで2回抽出した。組み合わせたクロロホルム相を1リットルの飽和NaCl水溶液で洗浄し、270gの硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過し、回転減圧蒸発器で蒸発させた。残留物をシリカゲルカラム上でフラッシュ濾過し、酢酸エチル:石油エーテル15:85混合物を使用して所望の生成物を溶出させた。収量は13.77gであり、特性評価は上記のようにNMRにより行った。
【0111】
実施例3
6,7−ビス−(2’−クロロエトキシ)−3−[2''−5''−カルボエトキシ)−フリル]クマリン
100mlのエタノールに、10.83gの粗製エチル−(5−シアノメチル)−2−フロエート(実施例2から、純度約50%)、16.9gの4,5−ビス−(2’−クロロエトキシ)−2−ヒドロキシ−ベンズアルデヒド(米国特許第5,474,743号明細書の実施例4に記載されている手順に従って調製したもの)及び触媒量のピペリジンを組み合わせた。混合物を約1時間還流させ、冷却し、次いで20mlの濃HClにより処理した。数分後、沈殿物が形成された。スラリーを冷却し、4.8gの固形物を採集した。
H1 NMR(d6 DMSO): d 1.31 (t, 3H, CH3); d 3.98 (m, 4H, CH2Cl); d 4.32 (m, 4H, CH2); d 4.42 (t, 2H, CH2); d 7.22 (d+s, 2H, Ar-H); d 7.40 (d, 1H, Ar-H); d 7.65 (s, 1H, Ar-H); d 8.43 (s, 1H, Ar-H).
【0112】
実施例4
6,7−ビス−(2’−ヨードエトキシ)−3−[2''−(5''−カルボエトキシ)−フリル]クマリン
4.3gの6,7−ビス−(2’−クロロエトキシ)−3−[2''−5''−カルボエトキシ)−フリル]クマリン(実施例3から)及び4.1gのNaIを100mlのメチルエチルケトン中で3日間還流させた。溶液を冷却し、4.3gの沈殿物を採集した。この沈殿物は対応するヨウ素化クマリンであることが示された。
H1 NMR(d6 DMSO): d 1.31 (t, 3H, CH3); d 3.50 (m, 4H, CH2I); d 4.32 (m, 4H, CH2); d 4.40 (t, 2H, CH2); d 7.08 (s, 1H, Ar-H); d 7.18 (d, 1H, Ar-H); d 7.34 (d, 1H, Ar-H); d 7.58 (s, 1H, Ar-H); d 8.38 (s, 1H, Ar-H).
【0113】
実施例5
FCCC−エステル
(6,7−[2.2.2]−クリプタンド−3−[2''−(5''−カルボエトキシ)フリル]クマリン)
4.3gの6,7−ビス−(2’−ヨードエトキシ)−3−[2''−(5''−カルボエトキシ)フリル]クマリン(実施例4から)、2.12gの1,4,10,13−テトラオキサ−7,16−ジアザシクロオクタデカン、及び4.3gのNa2 CO3 を400mlの乾燥アセトニトリル中で3日間還流させた。その後、所望の生成物の量のさらなる増加はHPLCにより検出できなかった。
溶液を濃縮させ、残留物を不活性中性アルミナ上でクロマトグラフ分離した。ジヨード出発物質をまずCH2 Cl2 により溶出させた。次に、生成物をCH2 Cl2 中の5%エタノールにより溶出させた。最終的に、エタノール中の5%酢酸を使用し、カラム上の任意のFCCC−酸を除去した。代わりに、熱メタノール中に溶解させ、シクロヘキサンと酢酸エチルの5:1混合物を加えることにより粗製FCCC−エステルを結晶化させ、固体FCCC−エステルを得ることができる。この手順において、カラムクロマトグラフィーは必要ではない。
5%エタノール画分を組み合わせ、回転減圧蒸発器により濃縮した。FCCC−エステルの収量は3.4gであった。
H1 NMR(d6 DMSO): d 1.31 (t, 3H, CH3); d 3.50〜4.0 (m, 24H,クリプタンドのCH2); d 4.32 (q, 2H, OCH2); d 4.50 (t, 2H, CH2); d 4.60 (t, 2H, CH2); d 7.16 (d, 1H, Ar-H); d 7.30 (s, 1H, Ar-H); d 7.42 (d, 1H, Ar-H); d 7.75(s, 1H, Ar-H); d 8.50(s, 1H, Ar-H).
【0114】
実施例6
FCCC−酸
(6,7−[2.2.2]−クリプタンド−3−[2''−(5''−カルボキシ)フリル]クマリン)
FCCC−エステル(実施例5から)を2NのHCl水溶液中で約1時間還流させることにより加水分解させた。反応の進行をHPLCにより追跡した。エステル出発物質の11.85分間の保持時間に対し、酸生成物は10.42分間の保持時間を示した。加水分解時間がより長くなると、第3成分(すなわち、エステル又は酸以外のもの)が生成した。未反応エステルを溶出させるためにエタノール(「EtOH」)を、そして酸生成物を溶出させるためにEtOH/5%酢酸を使用し、不活性中性アルミナ上でのカラムクロマトグラフィーにより酸を精製した。EtOH/5%酢酸画分を組み合わせ、回転減圧蒸発器に続いて減圧ポンプを使用して濃縮した。カボチャ色の固形物が得られた。
4.3gのFCCC−エステルの加水分解を幾つかのバッチで行った。例えば、0.95gのエステルは、クロマトグラフ分離後に0.5gの純粋なFCCC−酸を与えた。
【0115】
代法として、以下の手順に従って、エステルの加水分解を行った。90mlのTHF中に5.6gのFCCC−エステル(実施例5から)を含む混合物を29mlのメタノールと共に攪拌及び混合した。この混合物に56mlの水の中に3.7gの水酸化リチウム一水和物を含む溶液を加えた。得られた混合物を23℃で30分間攪拌し、次に84mlの6NのHClにより稀釈し、続いてさらに1時間攪拌した。回転減圧蒸発器を使用し、20分間を要して38℃で溶剤を除去し、残留物を120mlのメタノール(「MeOH」)及び120mlのTHFの溶液中に溶解させ、次に溶剤のストリッピングを継続した。MeOH/THFストリッピングを数回繰り返すと、残留水の殆どが除去され、黄色固形分が得られた。0.01mmHgで一晩乾燥させると、9.7gのFCCC−酸が得られた。
【0116】
実施例7
エチル−(5−ブロモメチル)−2−チオフェンカルボキシレート
実施例1Bにおけるように5−メチル−2−チオフェンカルボン酸の25gの試料をエステル化し、29.9gのエチル−5−ブロモメチル−2−チオフェンカルボキシレートを得た。
H1 NMR(CDCl3): d 1.35 (t, 3H, CH3); d 2.36 (s, 3H, CH3); d 4.33 (q, 2H, CH2); d 6.02 (d, 1H, Ar-H); d 7.00 (d, 1H, Ar-H).
27.56gのN−ブロモスクシンイミドを用いてこの生成物を実施例1Aにおけるように臭素化すると、36.23gのエチル−(5−ブロモメチル)−2−チオフェンカルボキシレートを橙色液体として得た。
H1 NMR(CDCl3): d 1.35 (t, 3H, CH3); d 4.30 (t, 2H, CH2); d 4.40 (s, 1H, CH2Br); d 7.19 (d, 1H, Ar-H); d 7.70 (d, 1H, Ar-H).
【0117】
実施例8
エチル−(5−シアノメチル)−2−チオフェンカルボキシレート
36.23gのエチル−(5−ブロモメチル)−2−チオフェネカルボキシレート(実施例7から)を実施例2に記載したようにNaCNと反応させ、26gのエチル−(5−シアノメチル)−2−チオフェンカルボキシレートを褐色液体として得た。
H1 NMR: d 1.23 (t, 3H, CH3); d 3.93 (s, 1H, CH2Br); d 4.24 (q, 2H, CH2); d 6.98 (d, 1H, Ar-H); d 7.60 (d, 1H, Ar-H).
【0118】
実施例9
6,7−ビス−(2’−クロロエトキシ)−3−[2''−(5''−カルボエトキシ)−チオフェン]クマリン
エタノール中に4.8gのエチル−(5−シアノメチル)−2−チオフェンカルボキシレート(実施例8から)を含む溶液を6.5gの4,5−ビス−(2’−クロロエトキシ)−2−ヒドロキシベンスアルデヒドにより実施例3に記載したように処理し、所望のクマリンに対応する黄色固形物4.8gを得た。
H1 NMR (d6 DMSO): d 1.29 (t, 3H, CH3); d 3.98 (m, 4H, CH2Cl); d 4.30 (m, 4H, CH2); d 4.40 (t, 2H, CH2); d 7.20 (s, 1H, Ar-H); d 7.39 (s, 1H, Ar-H); d 7.78 (s+d, 2H, Ar-H); d 8.68 (s, 1H, Ar-H).
【0119】
実施例10
6,7−ビス−(2’−ヨードエトキシ)3−[2''−(5''−カルボエトキシ)−チオフェン]クマリン
6,7−ビス−(2’−クロロエトキシ)−3−[2''−(5''−カルボエトキシ)−チオフェン]クマリン(実施例9から)の2.44gの試料を実施例4に記載したようにNaIと反応させ、所望のヨードクマリンに対応する黄色固形物2.0gを得た。
H1 NMR (d6 DMSO): d 1.31 (t, 3H, CH3); d 3.58 (m, 4H, CH2); d 4.30 (t, 2H, CH2); d 7.23 (s, 1H, Ar-H); d 7.40 (s, 1H, Ar-H); d 7.81 (s+d, 2H, Ar-H); d 8.73 (s, 1H, Ar-H).
【0120】
実施例11
TCCC−エステル
(6,7−[2.2.2]−クリプタンド−3−[2''−(5''−カルボエトキシ)チオフェニル]クマリン)
実施例10のヨードクマリンの全てを実施例5に記載したように1,4,10,13−テトラオキサ−7,16−ジアザシクロオクタデカンと共に加熱した。得られた混合物のHPLCにより多くの生成物が示され、幅の広いピークに取り囲まれた鋭いピークは所望の生成物と一致した。
不活性アルミナ上でのカラムクロマトグラフィーによる粗生成物の精製(CH2 Cl2 中に7%のエタノールを含むものを使用して溶出)によって、前記鋭いピークにほぼ対応する1つの画分を得た。この画分を濃縮し、0.17gの所望のTCCC−エステルを得た。
H1 NMR (d6 DMSO): d 1.31 (t, 3H, CH3); d 3.5〜4.0 (m, 24H, クリプタンドのCH2); d 4.35 (q, 2H, OCOCH2); d 4.39 (t, 2H, CH2); d 4.50 (t, 2H, CH2); d 7.39 (d, 1H, Ar-H); d 7.60 (s83 (d, 1H, Ar-H); d 8.81 (s, 1H, Ar-H).
【0121】
実施例12
アズラクトン官能HPPE上に固定化されたFCCC
A.アミン官能HPPE膜
寸法が7.6cm×7.6cmの親水性アズラクトン官能多孔質ポリエチレン(HPPE)膜(引用によりここに含めることにする米国特許第5,334,701号明細書の開示に従って作製)を、6.5gの JeffamineTM ED900(ニューヨーク州ロンコンコマ(Ronkonkoma)所在のFluka Chemical Corp 製のビス(2−アミノプロピル)ポリエチレングリコール800)と15滴の1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデク−7−エンとを含む40mlのCHCl2 中に入れ、約18時間攪拌した。膜を取り出し、CHCl2 により4回洗浄し、次に風乾させた。
【0122】
B.膜への染料のカップリング
広口ジャー内の約30mlのジメチルホルムアミド中に約200mgのFCCC−酸(実施例6から)を溶解させた。これに2mlの1,3−ジイソプロピルカルボジイミド(DIC)及び約200mgのヒドロキシベンゾトリアゾール水和物(HOBt)を加えた。混合物を回転混合機で約10分間攪拌した。その後、1mlのN,N−ジイソプロピルエチルアミン(DIEA)及び寸法が各々7.6cm×7.6cmである全段落に記載のアミン官能膜4枚を加えた。
上記混合物を回転混合機で一晩攪拌し、その後、膜を取り出し、風乾させる前にジメチルホルムアミドで4回及びCH2 Cl2 で4回洗浄した。
【0123】
代法として、10mlのDIC、480mgのHOBt及び1mlのDIEAを含む50mlの塩化メチレンに部分加水分解したアズラクトン官能HPPE膜を加えた。フラスコを回転混合機で約6時間穏やかに攪拌し、その後、膜を取り出し、塩化メチレンによりしっかり洗浄した。アズラクトン官能基の再現は、赤外スペクトルでの1823cm-1のピークの存在により確認された。
場合に応じて、残留アミンを除去するための追加のアセチル化工程を、10mlの無水酢酸及び1mlのDIEAを含む10mlのCH2 Cl2 溶液中に膜を入れることにより行ってもよい。しかしながら、生成物のアセチル化の後においてセンサーの性能の向上を認めることはできなかった。
【0124】
実施例13
HPPP上にコーティングされた固定化FCCC
米国特許第5,474,743号明細書に記載の実施例17〜19の方法を使用し、FCCC染料にカップリングしたポリマーによりコーティングされたHPPP膜を作製した。
カルボキシル化PVC(「PVC−COOH」、Aldrich )をJeffamine ED-900TMによりエステル化し、得られたアミン官能ポリマーをFCCC−酸(実施例6から)と反応させた。染料がカップリングしたPVC−COOHをHPPP上に溶液塗布した。乾燥された被覆HPPPウェブを使用して本発明のカリウムセンサーを作製した。
【0125】
実施例14
アミン官能 CuprophanTM膜上に固定化されたFCCC
合計8枚の各々30.5cm×30.5cm×0.01mmのグリセロールがしみ込んだ CuprophanTMセルロースのシート(イリノイ州シカゴ(Chicago )所在のAkzo Nobel Chemicals製)を500mlの脱イオン水中で2回洗浄(10分間)し、グリセロールを除去した。各シートを23.5cm×26cmのガラスプレート上に延ばし、室温(約21℃)で乾燥させた。
【0126】
A.オーバーコート
4.5gのデキストラン(MW 2,000,000)及び225mlの脱イオン水を広口500mlボトルに加えることによりオーバーコート溶液を調製した。混合物をオーブン内で50℃に加熱し、デキストランを溶解させた。次に、2.25gの Marasperse DBOS-4TM分散剤(ワイオミング州ロスチャイルド(Rothschild)所在Diashowa Chemicals, Inc.製)を加え、混合物を振盪した。その後、4.5gの Monarch-700TMカーボンブラック(マサチューセッツ州ウォールサム(Waltham )所在のCabot Corp. 製)を攪拌しながら加えた。氷水浴中で、各サイクルの間に振盪しながら、Model W-385 音波処理機(ニューヨーク州ファーミングデール(Farmingdale )所在のMisonix Inc.製)により5回(3分間のサイクル時間で)音波処理した。カーボンブラックの均一な水性分散液を得た。この分散液に4.5gの50%NaOH溶液(水溶液)を加え、そして分散液をさらに1分間振盪した。その後、脱イオン水中に6.75gの50%エチレングリコールジグリシジルエーテル(EGDGE)を含む溶液を加え、続いて1分間振盪した。振盪せずに室温で10分間エージングした後、得られたオーバーコート溶液を CuprophanTM膜の各シート上に均一に吹き付けた。Model 8452A UV分光光度計(カリフォルニア州パロアルト(Palo Alto )所在のHewlett-Packard Instruments Corp. 製)を使用し、464nmでのシートの不透明度を監視した(ほぼ3の吸収単位)。シートをガラス板上で1時間乾燥させた。
【0127】
B.架橋
1リットルビーカー内で、354mlの脱イオン水中に3.1gの50%NaOH溶液を含む溶液を調製した。これに混合しながら86gのDMSOを加えた。その後、443gの50%EGDGE水溶液を加え、混合した。
架橋溶液をシート上に流延し、シート上に保つことができるように、8枚の板の全ての上に枠を載せ、クランプで締めた。溶液(約100ml)を各板の上に流延し、50〜60分間を要して架橋させた。新しい溶液が CuprophanTMシートと接触するようにこの時間の間に静かに板を回転させた。その後、枠に沿って CuprophanTM膜を切断し、2000mlの脱イオン水で3回濯いだ。
【0128】
C.HDA(1,6−ヘキサンジアミン)反応
4リットルビーカー内の2.0リットルの脱イオン水中に120gの70%HDAを含む溶液に、室温で、架橋した CuprophanTM膜を105分間浸漬した。ガラス棒を用いてシートに渦を巻かせることによりトラップされた気泡を注意深く除去した。ビーカーからシートを取り出し、2000mlの脱イオン水により5回濯ぎ、過剰のHDAを洗い落とし、次に脱イオン水に浸漬した。(この段階で、次の工程にシートを即座に使用することができる。代わりに、シートを脱イオン水/酸浴(2リットルの脱イオン水中に1mlの12NのHClを含む)中で一晩貯蔵してもよい。)
【0129】
D.FCCCカップリング反応
30mlのDMFを含む直径15.2cmのペトリ皿内で30mgのFCCC(実施例6から得たもの)を10〜15分間攪拌することにより溶解させることによって、染料溶液を調製した。その後、0.8mlのDIC及び190mgのHOBtを加え、15分間攪拌し、その後に、0.4mlのDIEAを加え、攪拌を約5分間継続した。HDA官能化 CuprophanTMシートを脱イオン水から取り出し、10.2cm×10.2cm試験片に切断し、紙タオル上に載せて過剰の水を吸い取った。そのような2枚の試験片を一度に染浴中に(平坦に保ったまま)24時間浸漬し、その後、試験片を取り出し、250mlのDMFによる洗浄を2回行い、500mlの希HCl水溶液(pH 2〜3.5 )で2回洗浄した。各洗浄に約3分間を要した。
【0130】
代法として、HDA官能膜を2.5%Na2 CO3 中で30分間洗浄し、続いて水中で3回及びアセトン中で1回洗浄した。35mlのアセトンに100mgのFCCC(実施例6から得たもの)を溶解させ、続いて1mlのDIC、50mgのHOBt及び1mlのDIEAを添加した。この溶液を回転混合機で15分間混合し、その後、洗浄した膜を加えた。3日後、膜を取り出し、アセトンで1回及び水で3回洗浄した。次に、洗浄した膜を、10mlの無水酢酸及び1mlのDIEAを含む20mlのアセトン溶液に加え、20分間回転混合した。溶液から膜を取り出し、アセトンで1回及び水で3回洗浄した。
【0131】
この塊状材料について、16ビットA/Dコンバーター及びLab VIEWTMソフトウェア(テキサス州オースチン(Austin)所在のNational Instruments製)により変更された S400 モニター(CDI/3M Health Care)により、pH 7.34 のN−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン−N’−エタンスルホン酸(HEPES)緩衝液(ミズーリー州セントルイス(St. Louis )所在のSigma Chemical Corp.製)中8mMのK+ で強度を測定することができる。標準ゲイン構成に基づき、計数1.3×105 〜1.5×105 の優れた強度を得た。
【0132】
実施例15
センサー−カセット集成体
FlexobondTM 430(カリフォルニア州アービン(Irvine)所在のBacon Industries, Inc.製)のような2液型ポリウレタン接着剤を使用し、薄い(0.175mm)ポリカーボネートシート(ドイツ国レーヴァークーゼン(Leverkusen)所在のBayer AG製)に、染料がカップリングした CuprophanTMシート(実施例14から得たもの)を貼り合わせた。ポリカーボネート側に、CW14TM感圧接着シート(ウィスコンシン州ラシーン(Racine)所在のRSW Inc., Specialty Tape Div. 製)を取り付け、剥離ライナーを剥がした。穿穴機を使用して積層体からディスクを打ち抜き、このディスクをS400カセット(カリフォルニア州タスティン(Tustin)所在のCDI/3M Health Care製)のpHチャンネル及びAO2 チャンネル上に配置した。前記変更されたS400モニターに対し、カリウム検出チャンネルとして適切なオプチックスと共にこれらの2つのチャンネルを使用した。
【0133】
実施例16a
LEDテストベッド
図10は、本発明のレッドシフトしたK+ センサーを試験するために使用したLEDに基づく位相変調ブレッドボードの概略図100を示すものである。このブレッドボードは、血液ガスを検出するための振幅及び位相変調法の両方を評価するように設計されたものである。
【0134】
カリウムセンサー試験に関し、日本国徳島県所在のニチア化学工業製又はトヨダ合成株式会社製(商品名LedtronicsTMで製造されているもの)のGaN LED 110を、30kHzの搬送周波数、0.2秒間のバースト持続時間、5秒間の繰返し時間及び2.5mWの平均出力で振幅変調させた。光を集束させ、バンドパス励起フィルター112(390nm±25nm;%T=52%;帯域外ブロッキング(out-of-band blocking)=0.001%T;マサチューセッツ州ウォバーン(Woburn)所在のSpectroFilm から入手可能)に通し、ファイバーオプチックケーブル114に再集束させた。このケーブルの末端にはCDI S400オプチカルヘッド116があった。ランダム化ファイバー束118により戻された変調蛍光は、SpectrumFilmから入手可能なもののような帯域発光フィルター120(475±35nm;%T=64%;帯域外ブロッキング=0.001%T)に戻る。次に、ろ波された光学信号をOPTO-8TM光電子増倍管検出器122又はS1337-33-BR TMフォトダイオード検出器(双方ともニュージャージー州ブリッジウォーター(Bridgewater)所在のHamamatsu Corp. から入手可能)の活性領域上に集束させた。励起ファイバー124のほんの一部を検出器集成体に直接送り、ニュートラル密度フィルター126により減衰させ、LEDからの基準光学信号を提供した。
【0135】
計算機により制御される光シャッター128を使用すると、光検出器は励起信号と蛍光戻り信号とを交互にサンプリングする。これによって、LED出力振幅の揺らぎを補正する光学的標準が提供される。さらに、検出器の光電流と発振器132からの30kHzの電気的基準信号とを交互にサンプリングするために電子スイッチ130を使用した。検出器の出力は、フォトダイオード検出器からの光電流を電圧に変換する3段階電子回路に送った。減衰及びスイッチ段階130を使用し、LED駆動発振器132からの基準電気信号を減衰させ、この減衰された基準信号と未減衰光信号とを切り換えた。トランスインピーダンスプレアンプ段階134で、OPA627演算増幅回路を使用して光電流又は基準電気信号を電圧に変換した。次段階136は2基のOPA627演算増幅器を使用する2段階Delyiannisスタイル帯域フィルターであった。この段階は、ノイズのパワーを帯域限定する一方で、信号をさらに増幅する。3段階回路のゲインは7.3×108 V/A(177dB)であって、約30kHz を中心周波数として400Hzに帯域限定されたものであった。
【0136】
増幅された光信号又は基準電気信号は、位相、振幅及び信号対ノイズ比(SNR)の最小二乗推定法を使用する LabVIEWTMバーチャル・インスツルメント・ソフトウェア(virtual instrument software )を使用し、100kHz 毎にディジタル方式でサンプリング及び加工した。これらのサンプリング条件下で、ノイズのパワーを1Hz未満に帯域限定し、SNRをさらに増加させた。
動作時に、 LabVIEWTMソフトウェアは、光学センサーの信号、光学的基準信号及び電気的基準信号を交互にサンプリングした。LED揺らぎのために集められた光学的基準信号及び電子ドリフトのために集められた電気的基準信号は、温度、湿度及び無線周波数(RF)整流との相関がある。
【0137】
実施例16b
FCCC及びFCCCに基づくセンサーに関するスペクトル調査
図1a及び1bは、溶液中でのFCCC(実施例6)と6,7−[2.2.2]−クリプタンドクマリン−3−カルボン酸(「CCC」、米国特許第5,474,743号明細書の実施例11)のカリウム応答を比較するものである。等モル濃度の溶液(0.08AUFS)をpH 7.3の100mMHEPES緩衝液中で調製した。発光スペクトルを、図1a及び1bにぞれぞれ示されているように392nm及び354nmで、0.0、1.0、2.0、3.9、7.7及び15mMのカリウム濃度でそれぞれ測定し、図1a及び1bの双方においてそれぞれA、B、C、D、E及びFと標識付けした。図1cは、392nmの励起波長を使用した場合の、0mM(A)及び15mM(B)のカリウムイオン濃度でのFCCCの応答を、0mM(C)及び15mM(D)のカリウムイオン濃度でのCCCの応答に対して比較するものである。図1a〜1cは、既に調製されているイオノホア(CCC)に対し、本発明のイオノホアの広いカリウムイオン濃度域に対する応答が著しく改良されたこと及び好ましい波長(392nm)での励起に対する応答が非常に増強されたことを示すものである。
【0138】
FCCC及びCCCが、それらの各吸収極大波長(392対354nm)で励起される場合には、FCCCはレッドシフトした吸収極大波長(460nm対440nm)に一致する僅かに減少したカリウム応答(8mMのK+ に対する呼びかけではCCCの29%対48%)を示した。百分率で表される「カリウム応答」は、カリウムイオンの不在下での発光強度に対する所定のカリウムイオン濃度での発光強度の増加百分率を意味する。図1cが、GaN青色LED又はフラッシュラップのろ波された出力に似せるために両方の試料が392nmで励起した場合に、FCCC蛍光戻りはCCCの蛍光戻りの14倍であったこと(すなわち、曲線「B」対曲線「D」)を示すものであることは重要である。FCCCのレッドシフト及び増加した効率は、ランプ型カリウム検出系の性能を実質的に改良した。FCCCは、パルスGaN青色LED及びフォトダイオード検出器によるカリウム検出を促進するほど十分な追加の信号を提供するが、CCCはそうではなかった。FCCC及びCCCの蛍光寿命が位相変調に基づくK+ 検出を可能にするカリウム濃度の関数であることが示されたことは重要である。
【0139】
図2は、HDA官能Cuprophan (実施例14d)上のFCCC指示体のカリウム応答を表すものである。図2において、曲線Aは初期の0mM K+ 濃度を表し、曲線Bは8mMカリウムイオン濃度で390nmの励起光を2分間露光した後の放射強度を表し、そして曲線Cは曲線Bに関して露光した直後の0mMカリウムイオン濃度に対する応答を表している。FCCC−HDA−Cuprophan センサーは、カリウムイオンに対して強く(31%)、速く(<2分)、可逆的な応答を示した。溶液中で観測されるカリウム応答は、固定化により完全に一定のまま保たれる。ポリマー支持体の選択は非常に重要である。FCCC−ED900−PVCセンサー(実施例13)は、非常に弱いカリウム応答(6%)を示す。FCCC−アズラクトン−HPPE系センサー(実施例12)は速く(<1分)、可逆的な応答を示すが、溶液(29%)に対して低下したカリウム応答(15%)を示す。
【0140】
FCCC系センサーの光分解は、FCCC−アズラクトン/HPPEセンサー(実施例12)に関して図3に示されているように、遅く且つ単原子的であった。照射する前に、0mM(曲線A)及び16mM(曲線B)のカリウムイオン濃度で390nmの励起光での応答が示された。センサー膜をHEPES緩衝液中に浸漬し、次いで、1mmの励起スリット幅を使用し、SPEX FluorologTMシリーズ分光蛍光計(ニュージャージー州エジソン(Edison)所在のSPEX industries, Inc. 製)内で390nmで1時間連続照射した。照射後においても、0mM(曲線C)及び16mM(曲線D)のカリウムイオン濃度で390nmの励起光での応答が示された。繰返し測定することにより分解速度が予測可能なものであることが観測された。
【0141】
FCCCセンサーは、pH 7.4のHEPES緩衝液中で120℃で2時間オートクレーブ殺菌された後でもそれらのカリウム応答及びスペクトル特性を失わない。
【0142】
図4a及び4bは、両方とも上記実施例12に記載した方法に従って作製したCCC−アズラクトン/HPPEセンサー(図4a)及びFCCC−アズラクトン/HPPEセンサー(図4b)のpH依存性のある応答を比較するものである。Type924 トランスファーテープ接着剤(3M Company)を使用してこれらのセンサーをS400フロースルーカセット(CDI/3M Health Care)に取り付け、一晩水和させた。HEPES緩衝液(100mM、0mMカリウム)の溶液を、HCl(1M)を使用してpH 3.76 まで滴定し、蠕動ポンプを使用してセンサーに循環させた。次に、NaOH(1M)を使用して溶液を各連続pHに対して滴定し、370nm(CCCセンサー)又は390nm(FCCCセンサー)で照射した。図4a及び4bにおいて、pHを表す曲線を次のように区別した:A=pH 6.98 ;B=pH 7.18 ;C=pH 7.4;D=pH 7.62 ;及びE=pH 7.83 。各pHで平衡化(3分間)後、発光スペクトルを記録した。両センサーともpKa =5.8 を示した。しかしながら、発光強度のpH依存性、すなわち最低から最高までの強度変化は、おおよそ7.0〜7.8の生理的pH範囲にわたってCCCセンサー(33%)に対してFCCCセンサーはかなり小さい(6%)。
【0143】
図5は、S400フロースルーカセットに組み込まれたFCCC−アズラクトン/HPPE膜から得たデータであって、図10に概略的に示した位相変調LEDブレッドボードにより測定されたデータである。カセットを一晩水和させ、その後、センサーをHEPES緩衝液(100mM 、pH 7.4)中で0mM K+ と16mM K+ の間で周期的に循環させた。センサーを、光学的濾過された(390nm)LED(ニチア化学工業)からの30kHz の振幅変調光の0.2秒間のバーストに露光した。応答曲線のうちの「A」の部分は0mMカリウムイオン濃度に対応し、一方、「B」の部分のカリウムイオン濃度は16mMであった。約400mVの振幅の違い及び出力電圧の急激な(約0.025秒間の)変化によって、波長がより短い光源を利用するように変更された市販入手可能なセンサーに使用される本発明のイオノホアを用いると有効なカリウムイオン検出が可能であることが示された。
【0144】
光度測定によって、検出器で集められた蛍光戻りが20nWよりも多いことが示された。20nWは、パルス集積法と組み合わされた場合に高い信号対ノイズ比を維持するのに十分な光学的戻りであった。帯域幅が10kHz (フィードバック10Mohm及びキャパシタ1.4pF)及びゲインが5μW であるOPA-627 オペアンプを使用すると、20nWの蛍光戻りは、パルス当たり100μV のノイズフロア(noise floor )で100mVの電気的信号を提供した。これによって、パルス当たり0.1%のノイズフロアが与えられた。多重パルスを平均化することによりさらなる改良が得られた。コンパクトなガラスファイバーGaN LED オプチックスモジュールの設計にこの方法を使用した。固体光源及び検出器をコンパクトモジュールに取り付けた。オンボードA/Dコンバーターは、任意のホストモニターに向けることができるデジタル化された出力信号を提供した。前記モジュールは、例えば図11におけるようにフロースルーカセットセンサーと直接接続させた。
【0145】
実施例16c
レッドシフト性置換基に関する調査
式Aにより表される化合物がレッドシフト式K+ 検出を支えるであろうという結論を支持するために80種以上のクマロクリプタンド誘導体を調製した。
我々は、K+ 依存性のある電荷移動機構が作用した場合に予測されるであろうK+ 依存性のあるスペクトルシフトに関する証拠を得られなかった。その代わりに、我々は、カリウム依存性のある振電カップリング機構に関する証拠を得た。
【0146】
種々のEDO型、MDO型及びDMO型クマリン誘導体に関する実験データを表16dに示す。Photochemical Research Associates (PRA)System 3000 蛍光寿命測定装置を使用し、脱酸素化されたメチルアルコール中で、ジメトキシ(DMO)、メチレンジオキシ(MDO)及びエチレンジオキシ(EDO)クマリンモデル化合物に関する蛍光寿命データを得た。標準散乱溶液を対照とする時間相関信号フォトン計数技術を使用して蛍光減衰を測定し、グローバル最小法(global minimization)により分析した。
【0147】
【表1】
【0148】
前記表中、Φは量子収率;τは緩和時間;kf は蛍光減衰の速度定数;及びknrは無放射減衰の速度定数である。前記速度定数は、式(4)及び(5):
【0149】
【数1】
【0150】
を解くことにより導かれる。
6,7−エチレンジオキシ(EDO)クマリンモデル化合物の蛍光量子収率は、対応する6,7−メチレンジオキシ(MDO)誘導体又は6,7−ジメトキシ(DMO)誘導体の蛍光量子収率よりも常に小さかった。EDO型化合物が、面外パッカリング振動を維持することができ、一方、この振動はMDO型及びDMO型化合物では抑制されることは重要である。表16dに示した蛍光寿命の調査は、化合物1、2及び3におけるそのような面外パッカリングが無放射速度定数knrを増大させ、放射又は蛍光速度定数kf を実質的に変化させないことを表す。このパッカリングは、近接しているnπ* 状態とππ* 状態の混成に寄与し得る。発光極大波長が535nmである比較用化合物4Cは、おそらくはππ* 状態と基底状態の直接混成のために全ての類似体で大きなknrを示す。
【0151】
表16eに示すデータは、DMO型及びMDO型モデル化合物の両方が、本発明のクマロクリプタンドのカリウムイオンに対する応答(例えば、面外パッカリングの抑制)を予測するのに有用であり得るという観測結果を追認するものである。特に、図6a及び6bに示されるように、幾つかのクマロクリプタンド誘導体のカリウム応答と対応するモデル化合物のMDO/EDO量子収率比との間に強い相関が存在する。「K+ 応答」は、カリウムオンの不在下での発光強度に対する所定のカリウムイオン濃度(8mM)での発光強度の増加百分率を意味する。図6a及び6bにおいて、「1」、「3」、「5」及び「12」と標識付けしたデータ点は、表16cに記載のMDO型化合物(図6a)及びDMO型化合物(図6b)の1、3、5及び10の測定された量子収率の対応するEDO型化合物の測定された量子収率に対する比にそれぞれ対応するものであって、同様に置換されたクマロクリプタンドのカリウムイオンの不在下で8mMカリウムイオン濃度での応答に対してプロットしたものである。
【0152】
これは、MDO型及びDMO型化合物が面外パッカリング振動を抑制するのと同様に、クリプタンド酸素へのK+ の結合が無放射減衰の原因である面外パッカリング振動を抑制することを示唆するものである。放射緩和の速度(kf )及び無放射緩和の速度(knr)は、作動するカリウムセンサーが得られるように拮抗するものでなくてはならない。発色団が剛性であり過ぎると、knrは非常に小さくなり、量子収率Φは大きいままとなる。knrが大き過ぎると、K+ 依存性のある変調がかき消され、蛍光量子収率は小さいままとなる。実験的研究及び理論的研究によって、本発明のレッドシフトしたクマロクリプタンド誘導体はカリウム検出のための優れた候補であることが示された。表16dに掲載されているデータは、振幅及び寿命測定の両方が、例えばカリウムイオンの定量的測定に使用できるものであることを示している。
【0153】
【表2】
【0154】
理論に束縛されるわけではないが、クマリン類の無放射緩和に関して提案する機構を使用することができる。提案する機構において、クマリンは、最初にS0 基底状態からS1 (ππ* )励起状態に光励起される。π電子密度の変化によって、全ての核の位置がその基底状態配置から少しエネルギー的に励起した状態にある核配置に変化する。クマリン類のような平面状の芳香族化合物に対し、S1 (ππ* )励起状態は、芳香環系の平面に主として閉じ込められる分子歪みを通じて緩和する。
【0155】
S1 (ππ* )励起状態が緩和すると、S1 (ππ* )励起状態は直交するS2 (nπ* )励起状態とほぼ等エネルギー的になる。面外振動はこれらの2つの状態を混成させ、それらのポテンシャルエネルギー面を変化させ、そして適切な条件下では、S1 (ππ* )状態から基底S0 状態への無放射遷移を促進する。
【0156】
そのような励起状態過程に関する軌道エネルギーは図7に示されている。図7の中で図7Aは、弱いカップリングを表し、図7Bは強いカップリングを表し、そして図7Cは非常に強いカップリングを表している。ここで「カップリング」とは、S1 (ππ* )(曲線2)状態とS2 (nπ* )(曲線1)状態の全体的に非対称な振電的カップリングを意味する。非混成状態は点線で示されており、振電カップリングした状態は実線で示されている。無放射遷移に対する障壁幅は、矢印A、B及びCでそれぞれ示されている。S2 (nπ* )軌道のほうがかなりエネルギーが高い場合には、明らかに振電カップリングは好ましくない(スキームA)。この場合には、蛍光量子収率は大きいままであり、カリウム応答は観測されない。S2 (nπ* )及びS1 (ππ* )が非常に強くカップリングする場合(スキームC)には、無放射減衰が支配的である。この場合には蛍光量子収率は非常に小さく、K+ 結合に依存しない。これらの2種の極端な振電カップリングの間で、適度な無放射減衰速度がK+ 感度(スキームB)のあるものとなる。
【0157】
結局、初期S1 (ππ* )と無放射遷移の最終S0 状態との間のエネルギーギャップが減少するにつれて面外パッカリングモードのエネルギー受容能が減少する。また、面内モードは、近くにS2 (nπ* )状態を必要とすることなく、S1 (ππ* )状態とS0 状態とをより有効に直接カップリングさせる。従って、S1 (ππ* )−S0 間のエネルギーギャップが減少するほど、すなわち蛍光波長が増加するほど、K+ 応答がはっきり現れなくなる。
【0158】
このことは、図8に本発明のクマロクリプタンドに対して実験的に示されている。表8で、データ点の数字は表16c中に示したクマリン置換パターンに対応する。データ点「1」は、DMO型クマリン化合物及びEDO型クマリン化合物に関して実験的に得られた相対量子収率Φに対応する。この相対量子収率は、本発明の対応する置換クマロクリプタンドの実験的に得られた蛍光発光極大波長に対してプロットしたものである。蛍光発光極大波長が増加するにつれて、(ΦDMO /ΦEDO 比から分かるように)カリウム応答は減少する。蛍光波長が470nmを超えると、カリウム応答は市販用型センサーにおいて有効でなくなるほど非常に小さくなる。
【0159】
適切なセンサーを選別するために分子モデリングを用いた。当該イオノホアが、(1)芳香族カルボニル、ニトロ芳香族及びN−置換複素環式系において見出されるような近接しているS2 (nπ* )及びS1 (ππ* )励起状態;(2)クリプタンドのヘテロ原子と複素環のヘテロ原子とを連結させることを伴うフレキシブルな面外振動モード;並びに(3)480nm未満での蛍光極大、を示す。
【0160】
吸収波長を予測するために基底状態分子軌道計算を、そして蛍光波長を予測するために励起状態分子軌道計算を使用し、可能性のある候補を選別することができる。レッドシフトしたクマリン誘導体の大部分が上記基準を満足せず、優れたカリウム指示体とならないことは重要である。
【0161】
種々の置換パターンを有するEDO型クマリン誘導体に関して計算された発光波長及び吸収波長、ストークスシフト及びK+ 応答(上記定義の通り)を表16cに示す。表中、y1 及びy2 は、下記式(1)及び(2)に従って計算された値からそれぞれ導かれた予測された吸収波長及びストークスシフトに対応する。図6b及び8から、観測された「K+ 応答」をクマリン化合物の観測された発光波長λemと相関させるために単純な実験式:
【0162】
【数2】
【0163】
を導入することができる。この式(3)を使用して表16cに示す通りのクマリン誘導体のK+ 応答を計算した。
【0164】
【表3】
【0165】
【表4】
【0166】
【表5】
【0167】
【表6】
【0168】
【表7】
【0169】
【表8】
【0170】
【表9】
【0171】
【表10】
【0172】
【表11】
【0173】
初期分子構造は、市販の分子構築ソフトウウェアEDITOR(オレゴン州ビーバートン(Beaverton )所在のCAChe Scientific製)を使用することにより構築した。S0 基底状態のコンホメーションは、2種のソフトウェアパッケージ:MM2(CAChe Scientific製)及びMOPAC6.0(PM3パラメーターを使用)を使用することにより決定した。S1 (ππ* )励起状態のコンホメーションは、制限つきハートリー−フォック(restrict Hartree-Fock )(RHF)開殻配置間相互作用計算(CI)によるMOPAC6.0(PM3パラメーターを使用)を使用することにより決定した。幾何配置最適化の部分として、2種のCI計算:(a)HOMO及びLUMOのみを用いる小規模CI計算(CI=2)(MOPACパラメータMICROSは4(又は3))と、(b)0.05よりも大きなS1 (ππ* )状態でのCI拡張係数を有する全てのマイクロステート(Microstate)を用いる大規模CI計算(10>CI>2)(全てのマイクロステートが含まれるようにMOPACパラメーターMICROSは5〜25)を行った。
【0174】
種々の分子に関する吸収極大波長及び蛍光波長は、入力幾何配置として基底状態及び励起状態の分子コンホメーションをそれぞれ用いるZINDO、MOPAC6.0(PM3パラメーターを使用)又はLANLPACを使用することにより決定した。ZINDOからの全ての結果は、26の配置間相互作用(CI)ウィンドウ(占有軌道数13及び非占有軌道数13)を使用することにより得た。MOPAC計算において、種々の励起状態のエネルギーは、51個の制止用波動関数(determental wavefunctions )を用いるCI計算を使用して決定した。これらの波動関数は、1つの基底状態配置と50個の(5つの最高占有分子軌道から5つの最低非占有分軌道への)単一励起を含んでいた。これらの計算から各分子に関するストークスシフトを決定することができる。
【0175】
調査した分子種に関する実験的に測定された波長に、計算された吸収波長及び蛍光波長を較正することが必要であった。典型的には、計算された波長と実験的に測定された波長との間に線形相関が存在した。これらの既定された相関及びモデリングの結果から、幾つかの新規誘導体に関する吸収波長、ストークスシフト、蛍光波長及びK+ 応答を予測することができる。
【0176】
モデリング手段の3つの組み合わせを使用して吸収極大波長:λabs (PM3,ZINDO)、λabs (PM3,LANLPAC)及びλabs (MM2,ZINDO)を計算した。これらの3通りの方法から得られた結果のうち、λabs (MM2,ZINDO)は、表9aに示されるように実験データと最も高い線形相関を与えた。
【0177】
EDO型化合物に対してこの方法により計算された吸収波長を、同じ置換パターンを有する本発明のクマロクリプタンドに対して8mMカリウムイオンの存在下で実験的に得られた吸収波長に対してプロットした。図9a中のデータ点は、表16cに示した化学構造及び置換パターンに対応する。理論吸収波長x1 を算出したならば、式(1):
【0178】
【数3】
【0179】
に従って、表16cに記載した予測される吸収波長に理論吸収波長x1 を変換する。
【0180】
モデリング手段の3つの組み合わせを使用して発光極大波長:λem(PM3,CI=2,ZINDO)、λem(PM3,CI=2,LANLPAC)及びλem(MM2,CI>2,LANLPAC)を計算した。これらの3通りの方法から得られた結果のうち、λem(PM2,CI>2,LANLPAC)は、実験データと最も高い線形相関を与えた。
【0181】
EDO型モデル化合物の理論的ストークスシフト{Δλ=λem(PM3,CI>2,LANLPAC)−λabs (PM3,LANLPAC)}と本発明の同様に置換されたクマロクリプタンドイオノホアの実験的的ストークスシフトとの間に線形相関が存在した。ストークスシフトの計算された値x2 を式(2):
【0182】
【数4】
【0183】
に従って予測される値y2 に変換し、この予測される値を表16cに記載した。
図9a及び9bに関し、FCCC−エステル(データ点11)が、カリウム応答が実質的に残るようにレッドシフトした吸収と小さなストークスシフトの独特の組み合わせを提供することは明らかである。
【0184】
図9a及び9b並びに式(1)、(2)及び(3)に従って確立される相関に基づいて、可能性のある指示体の候補を選別することが可能である。表16cは、我々がモデル化し、指示体の理論(計算される)吸収極大波長と発光極大波長を示した幾つかのEDO型クマリン誘導体の構造を表すものである。
【0185】
表16cのデータから幾つかの結論を導き出すことができる:
(1)ヘテロ原子に対してα位で結合しているクマリン環の3位に存在する5員複素環は、望ましいレッドシフトを提供すると同時にK+ 応答を維持する。ヘテロ原子に対してβ位で結合しているモデル化した5員複素環はそうではないこと;
(2)3−置換クマリン類の4位に存在する電子吸引性置換基は、それらの未置換類似体又は4位に電子供与性置換基を有する3−置換クマリン類に対し、K+ 応答を著しく低下させること;並びに
(3)3−置換クマリン類の5又は8位に存在する電子吸引性置換基は、4位に存在する電子吸引性置換基よりもかなり小さい影響をK+ 応答に及ぼすこと。
同様な方法を使用すると、イオノホアに基づく検出を支持するのに必要な近接するnπ* 及びππ* 励起状態を有する他の種類の芳香族カルボニル、ニトロ芳香族及びN−複素環系を確認することが可能である。
【0186】
実施例17
カリウムサンサーの臨床試験
カリウムセンサー膜を実施例15に記載した通りのセンサーカセットに取り付け、このカセットを心臓外科患者の血液中の[K+ ]を測定するのに使用されるCDI/3M Health Care Model S400TM臨床モニターに取り付けた。前記膜は、取り付け前にpH 7.32 のHEPES緩衝液中で11カ月間エージングさせたものであった。フラッシュランプを使用してセンサーを照らし、 LabVIEWTMソフトウェアを使用し、16ビットA/Dコンバーターを通じて結果を得た。
【0187】
これらの実験的試験において、2点HEPES緩衝液シリンジ較正又は1標準[K+ ]緩衝液及び1血液点較正のいずれかを使用し、Model 865 臨床血液ガス分析計(BGA)(マサチューセッツ州メドフィールド(Medfield)所在のCiba Corning Diagnostics Corp.製)に関し、6回の心臓バイパス外科手術で[K+ ]を監視した。S400TM臨床モニターのチャンネル1及び2でカリウムイオンを監視した。全ての場合において、K+ 濃度−1.8mMの一定オフセットを観測した。
【0188】
各手術に対して5又は6つのデータ点を測定した。表17aにおいて、データ点はM−Nで示されており、ここでMは手術であり、Nはデータ点である。
【0189】
表示した通りの3及び8mMの[K+ ]、139mMの[Na+ ]濃度及び血液温度で2点HEPES緩衝液シリンジ較正を実施した。この方法に関して表17aに示されているデータは、−1.8mMのオフセットで調整されたものではない。シリンジと血液較正のデータに関し、シリンジ緩衝液点は9.8mM(1.8mMのオフセットを調整)で一定であり、血液点は臨床試験に依存して3.6〜4.4mM K+ の間であった。表17aに示されているこの方法に関するデータは、−1.8mMのオフセットを調整したものである。
【0190】
【表12】
【0191】
表17aのデータから、2点HEPES緩衝液を使用して測定されたカリウム濃度に関し、64のカリウム試料測定値のうちの6つが(BGA測定値に関する)±0.5mMの誤差範囲の外にあり、14の試料が±0.3mM K+ 濃度の範囲外にあることが示される。1シリンジ緩衝液点及び1血液点を使用して測定されたカリウム濃度に関しては、64のカリウム試料測定値のうちの10が±0.5mMの誤差範囲の外にあり、21の試料が±0.3mM[K+ ]の範囲外にある。
【0192】
表17a中のデータは、本発明のカリウムセンサーが、pH 7.32 で23℃で11カ月間貯蔵された後、7.2〜7.5の血液pH範囲、18〜36℃の温度範囲及び2.3〜6.0mMの[K+ ]範囲にわたって適切な強度及び傾きを示したことを表している。
【0193】
実施例18
6,7−[2.2.1]−クリプタンド−3−[2''−(5''−カルボエトキシ)フリル]クマリン(2.2.1−FCCC−エステル)
160mlアセトニトリル中に1.2gの6,7−ビス(2−ヨードエトキシ)−3−[2''−(5''−カルボエトキシ)フリル]クマリン、0.4197gの1,4,10−トリオキサ−7,13−ジアザシクロペンタデカン及び1.019gのNa2 CO3 を含む溶液を攪拌し、窒素下で36日間還流させた。冷えた混合物を濾過し、溶剤を減圧除去し、残留物を3部の100ml熱ヘキサン、3部の100ml熱酢酸エチルを用いて粉砕し、次に100mlのクロロホルム中に溶解させ、濾過した。溶剤を除去すると固形物が得られ、この固形物を15mlのメタノールと7mlのシクロヘキサン/酢酸エチルの85:15(v/v) 溶液との混合物から再結晶化させた。得られた固形物を0.1mmHgで乾燥させると、0.49gの所望のクリプタンドが得られた。
【0194】
実施例19
6,7−[2.2.1]−クリプタンド−3−[2''−(5''−カルボキシ)フリル]クマリン(2.2.1−FCCC−酸)
実施例18のFCCC−エステルを、2.7mlのメタノールが加えられた7.8mlのTHFと共に攪拌した。この混合物に5.4mlの水中に0.36gの水酸化リチウム一水和物を含む溶液を加えた。23℃で30分間攪拌後、8.1mlの6NのHCl水溶液を加え、60分間攪拌を続けた。回転減圧蒸発器により38℃で20分間を要して溶剤を除去し、残留物を25mlのメタノール及び25mlのTHF中に繰返し溶解させてストリッピングし、水を除去した。残留物を0.2mmHgで数日間乾燥させると、0.97gの所望の酸(H1 NMRにより84.4相対重量%)が得られた。
【0195】
実施例20
6,7−[2.1.1]−クリプタンド−3−[2''−(5''−カルボエトキシ)フリル]クマリン(2.1.1−FCCC−エステル)
160mlアセトニトリル中に1.2gの6,7−ビス(2−ヨードエトキシ)−3−[2''−(5''−カルボエトキシ)フリル]クマリン(実施例4から)、0.3350gの1,7−ジアザ−12−クラウン−4(ペンシルヴェニア州ピッツバーグ(Pittsburgh)所在のAcros Organics製)及び1.019gのNa2 CO3 を含む溶液を攪拌し、窒素下で36日間還流させた。冷えた混合物を濾過し、溶剤を減圧除去し、残留物を3部の100ml熱ヘキサン、3部の100ml熱酢酸エチルを用いて粉砕し、次に100mlのクロロホルム中に溶解させ、濾過した。溶剤を除去すると固形物が得られ、この固形物を15mlのメチルアルコールと7mlのシクロヘキサン/酢酸エチルの85:15(v/v) 溶液との混合物から再結晶化させた。得られた固形物を0.1mmHgで乾燥させると、0.43gの所望のクリプタンドが得られた。
【0196】
実施例21
6,7−[2.1.1]−クリプタンド−3−[2''−(5''−カルボキシ)フリル]クマリン(2.1.1−FCCC−酸)
実施例20のFCCC−エステルを、2.5mlのメチルアルコールが加えられた6.9mlのTHFと共に攪拌した。この混合物に5.0mlの水中に0.342gの水酸化リチウム一水和物を含む溶液を加えた。23℃で30分間攪拌後、7.7mlの6NのHCl水溶液を加え、60分間攪拌を続けた。回転減圧蒸発器により38℃で20分間を要して溶剤を除去し、残留物を25mlのメチルアルコール及び25mlのTHF中に繰返し溶解させてストリッピングし、水を除去した。残留物を0.2mmHgで数日間乾燥させると、0.97gの所望の酸(H1 NMRにより64.5相対重量%)が得られた。
【0197】
2−フルフリルローダミン
340mlの氷酢酸中に68.4gのローダミン、128.35gの酢酸ナトリウム、及び43ml(49.8g)の2−フルアルデヒドを含む溶液を加熱し、時々攪拌しながら30分間沸騰させた。溶液を少し冷却し、2.6リットルの水中に注いだ。その結果生成した固形物を採集し、1.4リットルの水、500mlのエチルアルコール及び200mlのジエチルエーテルにより連続的に濯いだ。アセトンからの再結晶化によって、97.4gの2−フルフリルローダミンが得られた。
【0198】
実施例23
3−α−フリル−3−チオケトプロパン酸
150mlの15(重量)%NaOH水溶液中に34.0gの2−フルフリルローダミン(実施例22)を含む溶液を30分間沸騰させ、次に23℃に冷却し、濾過した。濾液を氷の上で冷却し、200mlの10(重量)%HCl水溶液により酸性にした。その結果として生成した黄色結晶を濾過により捕集し、メチルアルコールから再結晶化させた。所望の生成物の構造をNMRにより決定した。
【0199】
実施例24
3−α−フリル−3−オキシイミノプロパン酸
16mlの水中に18.0gのヒドロキシルアミン塩酸塩を含む溶液を全ての固形物が溶解するまで加熱することにより調製し、その後、187mlのエチルアルコール中に22.0gのナトリウムエトキシドを含む溶液を加えた。その結果として生成した塩沈殿物を濾過により除去し、そして濾液に20.0gの3−α−フリル−3−チオケトプロパン酸(実施例23)を加えた。得られた溶液を熱水浴上で30分間沸騰させ、次に氷の上で冷却し、60mlの5(重量)%水酸化ナトリウム水溶液と混合した。混合物を濾過し、冷却し、次いで56mlの10(重量)%HCl水溶液により酸性にした。生成物をジエチルエーテル(5×10ml)中に抽出させ、溶液を硫酸マグネシウム上で乾燥させた。溶剤の蒸発によって、橙色固形物として所望のオキシムが得られた。
【0200】
実施例25
2−フルフリルアセトニトリル
無水酢酸中に3−α−フリル−3−オキシイミノプロパン酸(実施例24)を含む混合物(それぞれ1g:4.83mlの比で混合)を熱水上で還流下30分間加熱した。得られた混合物の蒸気蒸留によって、90〜100℃で所望のニトリルと水の共沸混合物が得られた。黄色共沸混合物をジエチルエーテルにより抽出し、残留水性相を飽和炭酸ナトリウム水溶液により中和し、次に再びジエチルエーテルにより抽出した。組み合わせたエーテル溶液を硫酸マグネシウム上で乾燥させた。エーテルの除去後、残留物の減圧蒸留によって、105〜115℃で所望のニトリルが得られた。
【0201】
実施例26
1,2−ビス−(2’−クロロエトキシ)ベンゼン
400mlのトルエンと6mlのピリジン中に6g(0.03mol )の1,2−ビス−(2’−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン(Landini 及びMontanari の手法に従って調製)を含む溶液を窒素下で40℃に加熱した。過剰の塩化チオニル(9.2ml、0.13mol )を攪拌しながら25分間にわたって加えた。反応混合物を沸点(約110℃)に加熱し、還流を3時間保った。デカントする前に溶液を室温に冷却し、保存した。残留物を粉砕し、水に溶解させ、トルエンにより抽出した。トルエン溶液を組み合わせ、まず2NのHClにより洗浄し、次に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液により洗浄した。乾燥させた溶液を減圧蒸発させると4.5g(64%)の粗生成物が得られ、これをクーゲルロア(Kugelrohr )によりアスピレーター圧力で蒸留すると、融点が55〜56.5℃である分析的に純粋な試料4.43gが得られた。分光分析によって、この生成物は1,2−ビス−(2’−クロロエトキシ)ベンゼンであることが確認された。
【0202】
実施例27
1,2−ビス−(2’−クロロエトキシ)ベンズアルデヒド
この手法は、Org. Synth. Coll.,第V巻、第49〜51頁(1973)及びChem. Ber., 第96巻、第308 〜313 頁(1963)に記載されているようなメシトアルデヒドの合成に使用される方法に変更を加えたものである。
60mlの塩化メチレン中に25g(0.11mol )の実施例6の生成物を含む溶液を0℃に冷却した。この溶液を0℃の反応温度に保ちながら、全部で20ml(0.18mol )の四塩化チタン(ワイオミング州ミルウォーキ所在のAldrich Chem. Corp. 製)を窒素下30分間にわたって攪拌しながらシリンジにより加えた。10mlの塩化メチレン中に13.5g(0.117mol )の1、1−ジクロロメチルメチルエーテル(Aldrich )を0℃で15分間にわたって加えた。0℃での攪拌を5分間続けた。この溶液が室温に達するまで水槽上でこの溶液を20分間温めた。次に、溶液を15分間還流させた。溶液を冷却した後、溶液を粉砕された氷の上に注いだ。分液漏斗内で混合物を振盪した後、塩化メチレン層を分離し、水性層を2部の100mlのクロロホルムにより抽出した。クロロカーボン溶液を組み合わせ、まず水で、次に塩化ナトリウム水溶液で徹底的に洗浄した。有機層を乾燥させ、減圧蒸発させると、沸点が49〜51℃の刺激性の臭気があるサフラン黄色固形物として24.5gの前記アルデヒド(87%)が得られた。分光分析によって、この生成物は1,2−ビス−(2’−クロロエトキシ)ベンズアルデヒドであることが確認された。
【0203】
実施例28
3,4−ビス−(2’−クロロエトキシ)フェノール
この化合物を、まず3−クロロペルオキシ安息香酸又はモノペルオキシフタル酸マグネシウムを使用して実施例27から得たベンズアルデヒドをギ酸エステルにバイヤー−ビリガー(Baeyer-Villiger )酸化し、続いて酸触媒加水分解することにより調製した。しかしながら、この方法は、スケールアップすると、分解により生成物の大きな損失を引き起こす。従って、バイヤー−ビリガ−法の代替方法を使用した。オーバーヘッッド攪拌機及び冷却浴を備えた2リットルフラスコ内に、実施例27の生成物162g(0.616mol )及び冷(10℃の)メタノール1.5リットルを入れた。この溶液に予冷された33(重量)%硫酸溶液48gを加えた。
【0204】
125mlのメタノールに94g(0.83mol )の30(重量)%過酸化水素溶液を加え、攪拌及び冷却しながら5分間にわたってこの混合物を上記溶液に加えた。この結果として得られた溶液は濁ったが、2時間攪拌した後に透明になった。
【0205】
反応フラスコの底部で形成された褐色油(11g、廃棄した)からこの溶液をデカントした。デカントした溶液を室温で一晩攪拌した。粗生成物の400mlのクロロホルム及び100mlの水を加える前に、反応混合物からメタノールをストッリピングした。この混合物を攪拌した。
【0206】
各層を分離した後、水性層をクロロホルムでさらに抽出した。クロロホルム層を組み合わせ、中性pHになるまで水で洗浄した。有機層を、400mlの水中に30g(0.75mol )のNaOHを含む溶液で抽出し、次に同様に調製された第2のNaOH溶液200mlにより抽出した。水性抽出液を組み合わせ、200mlの6NのHClにより酸性にし、次いで400mlの新しいクロロホルムにより抽出した。クロロホルム層を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、シリカの5cm×5cmプラグに通した。溶剤を除去すると、84g(54%)の僅かに褐色の固形物が得られた。プロトンNMRによって、生成物の構造を確認した。
【0207】
実施例29
4,5−ビス−(2’−クロロエトキシ)−2−ヒドロキシベンズアルデヒド
この基本中間体は、実施例27において1,2−ビス−(2’−クロロエトキシ)ベンゼンにアルデヒド官能基を導入するために使用した方法によって調製した。
60mlの塩化メチレン中で、実施例28から得た粗生成物12.4g(49.4mmol)を16.3ml(148mmol)の四塩化チタンで処理し、続いて4.5ml(50mmol)の1,1−ジクロロメチルメチルエーテルにより処理し、5.2g(37%)の基本中間体を得た。この生成物をオイルポンプ減圧で昇華させ、沸点が102〜102.5℃の乳白色結晶4.35gを得た。分光分析によって、この生成物が前記基本中間体であることを確認した。
【0208】
実施例30
6,7−ビス−(2’−クロロエトキシ)−3−カルボエトキシクマリン(第1方法)
この方法は、実施例29の2−ヒドロキシベンズアルデヒドに対する標準的なクネーフェナーゲル(Knoevenagel )縮合であり、Balaiah 等のProc. Indian Acad. Sci., 第16A 巻、第68〜82頁(1942)(Chem. Abs., 第37巻、第1429頁(1943));Borsche 等のChem. Ber., 第85巻、第198 〜202 頁(1952);Fukui 等のBull. Chem. Soc. Japan, 第35巻、第1321〜1323頁(1962)に記載されている方法に基づくものである。
【0209】
6.03g(37.6mmol)のジエチルマロネート(Aldrich )に実施例29の生成物10g(36mmol)を加え、完全に混合した。この混合物を窒素下、蒸気浴上で加熱した。溶解後、2滴のピペリジンを加えた。加熱を30分間続けた。次に溶液を冷却し、スラリーが得られるまでエタノールにより溶液を稀釈した。濾過及び風乾後、11.5(85%)の黄褐色粉末が得られた。この粉末は、融点が102〜103.5℃であった。そのプロトンNMRスペクトルは、実施例31の生成物から得られたものに一致した。
【0210】
実施例31
6,7−ビス−(2’−クロロエトキシ)−3−カルボエトキシクマリン(第2方法)
BisselのSunthesis,第846 〜848 頁(1982)に基づくこの方法は、一貫性がなく、うまく行ったとしても収率が低い。その1つの利点は、この方法が実施例28のフェノールから化合物Vを直接提供するため、工程が1つ減ることである。
実施例28から得たフェノールの0.9g(4mmol)を0.9ml(5mmol)のジエチルエトキシメチレンマロネート(Aldrich )と混合した。この溶液に、40mlの塩化メチレンと共に1MのZnCl2 溶液(Aldrich )5mlを加えた。この溶液を窒素下で24時間還流させ、回転減圧蒸発器でアスピレーター圧力で減圧蒸留することにより溶剤を除去し、水で失活させた。この混合物をクロロホルムにより抽出した。溶出溶剤として塩化メチレンを使用するアルミナ短カラムによるクロマトグラフ分離によって、0.33g(24%)の生成物を得た。プロトンNMRによって、この生成物が6,7−ビス−(2’−クロロエトキシ)−3−カルボエトキシクマリンであることが示された。
【0211】
実施例32
6,7−ビス−(2’−ヨードエトキシ)−3−カルボエトキシクマリン(第1方法)
この実施例は、米国特許第5,162,525号明細書の対応する4−メチル誘導体に関する実施例3に記載されている方法に従うものである。
実施例30から得たビス−クロロエトキシクマリン0.75(2.0mmol)とヨウ化ナトリウム0.9g(6mmol)を25mlのアセトン中に溶解させた。この溶液を窒素下で2日間還流させた。その後、追加の0.45gのヨウ化ナトリウムを加えた。この溶液をさらに24時間還流させた。(アセトンの代わりにメチルエチルケトンを使用すると、総反応時間が約24時間に短縮されることをその後発見した。)最後の0.45gのヨウ化ナトリウムを加えた。還流をさらに6時間続けた。元の反応容積を維持するために必要に応じてアセトンを加えた。溶液を冷却し、減圧蒸発させた。塩化メチレンとクロロホルムの混合物により残留物を抽出した。生成物を含むクロロカーボン溶液を10%チオ硫酸ナトリウム(形成されたヨウ化物をヨウ素に還元するため)で洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥させ、回転減圧蒸発器で乾燥するまで蒸発させた。残留物をエタノールから結晶化させると、沸点が164〜166℃である淡黄色粉末0.92g(82%)が得られた。生成物のプロトンNMRスペクトルは、実施例34の生成物のものと一致した。
【0212】
実施例33
4,5−ビス−(2’−ヨードエトキシ)−2−ヒドロキシベンズアルデヒド
この実施例は、実施例34のビス−ヨードエトキシクマリン誘導体(IV)に対する2通りの代替方法のうちの1つを提供する。
20mlのアセトンに2.21g(14.7mmol)のヨウ化ナトリウム及び実施例29の生成物1.37g(4.91mmol)を溶解させた。この溶液を4日間還流させた。その後、10mlのアセトン及び第2のヨウ化ナトリウム(0.73g,2.6mmol)を溶解させ、溶液をさらに24時間還流させた。この溶液を冷却し、濾過した。回転減圧蒸発器で溶剤を除去し、残留物をクロロホルムに溶解させた。クロロホルム溶液を水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させた後、溶剤を除去すると、2.05g(89%)の生成物が得られた。プロトンNMRによって、この生成物の構造を確認した。
【0213】
実施例34
6,7−ビス−(2’−ヨードエトキシ)−3−カルボエトキシクマリン(第2方法)
実施例33から得たビス−ヨードエトキシ−ヒドロキシベンズアルデヒド1.73g(10.8mmol)に、ジエチルマロネート2.1g(4.6mmol)を加え、この混合物を蒸気浴上で加熱した。混合物が均質になった時に、2滴のピペリジンを加えた。混合物を冷却した後、沈殿物が形成された。この溶液を数ミリリットルのエタノールで稀釈し、蒸気浴上で沸騰するまで再加熱した。溶液を冷却した後、溶液を濾過すると沈殿生成物が残った。この生成物は、沸点が162〜165℃である固体であった。プロトンNMRによって、この生成物の構造を確認した。
【0214】
実施例35
6,7−[2.2.2]−クリプタンド−3−カルボエトキシクマリン
米国特許第5,162,525号明細書の対応する4−メチル誘導体に関する実施例4に記載されている方法を使用してこのクマロクリプタンドを調製した。
ビス−ヨードエトキシ−クマリン(実施例32又は実施例34から)の1.0g(1.8mmol)の試料及び0.47g(1.8mmol)の1,4,10,13−テトラオキサ−7,16−ジアザシクロオクタデカン(すなわち、4,13−ジアザ−18−クラウン−6)を別々に50mlの乾燥アセトニトリルに溶解させた。混合溶液(合計100ml)を5当量(0.94g)の無水炭酸ナトリウムの存在下、窒素下で6日間還流させた。この反応の間、粒子の粗い炭酸ナトリウムは非常に細かい微粉末になった。冷却した反応混合物を濾過し、溶液を乾燥するまで減圧蒸発させた。残留物を塩化メチレンに溶解させ、溶液を濾過した。回転減圧蒸発器を使用してアスピレーター圧力で、続いてオイルポンプ圧力で塩化メチレンを蒸発させると、黄色気泡体(計算した収率の100%を超える)が得られた。未反応出発物質の溶出に塩化メチレンを使用し、続いて生成物の溶出に1〜5%エタノール/塩化メチレン混合物を使用し、粗生成物を不活性中性アルミナ上でのクロマトグラフィーにより精製した。本質的に所望の生成物(VII) からなる生成物を理論量の約50%回収した。C28H40N2 O10に対するLRMS FAB(トリエタノールアミン)理論m/eは564.27であるが、実測m/eは587であった。[VIII(Na)]+ ;遊離 [VII]+ は観測されなかった。UV(ホスフェートにより緩衝された塩化ナトリウム水溶液)lmax =374nm、312nmであった。蛍光(ホスフェートにより緩衝された塩化ナトリウム水溶液)はlex=371nm及びlem=453nmであった。
さらにクロマトグラフィーにより精製した同様に調製した試料の構造をプロトンNMRによって確認した。
【0215】
実施例36
実施例35のクマロクリプタンドの加水分解
実施例35の0.25gの試料を25mlの2NのHClに溶解させ、蒸気浴上で30分間加熱した。溶解を促進するために必要に応じて少量のメタノールを加えた。反応の揮発性成分(すなわち、水、過剰のHCl、アルコール類)をまず回転減圧蒸発器でアスピレーター圧力で蒸発させ、次にオイルポンプ減圧で穏やかに蒸発させると、3−カルボキシクリプタンドクマリン塩酸塩がカボチャ黄色固形物として得られた。プロトンNMRによって所望の生成物であることを確認した。
実施例37〜39は、他のクマロクリプタンドの調製法を説明するものである。
【0216】
実施例37
6,7−ビス−(2’−クロロエトキシ)−3−(1’−オキソ−4’−カルボエトキシブチル)クマリン
実施例30に記載の方法を使用し、100mlのエタノール中に2.12g(7.60mmol)の実施例29の生成物及び1.76g(7.64mmol)のジエチル3−オキソ−ピメレート(Aldrich )を含む溶液を蒸気浴上で加熱した。約20滴のピペリジンを加えた。混合物を30分間還流させ、次いで室温に冷却した。形成された沈殿物を濾過により単離し、乾燥させると収量3.53g(96%)の生成物が得られた。生成物の構造をプロトンNMRにより確認した。
【0217】
実施例38
6,7−ビス(2’−ヨードエトキシ)−3−(1’−オキソ−4’−カルボエトキシブチル)クマリン
300mlのメチルエチルケトン中に3.5g(7.5mmol)の実施例12の生成物及び3.4g(23mmol)の無水ヨウ化ナトリウムを含む溶液を窒素下で加熱して48時間還流させた。混合物を室温に冷却し、次いで回転減圧蒸発器により溶剤を減圧除去した。残留物を約20mlの水により処理した。残った固形物を濾過により単離し、トルエン中に溶解させた。トルエンを回転減圧蒸発器により減圧除去し、残留水を除去した。生成物を高真空下で乾燥させ、4.5g(95%)の生成物を得た。プロトンNMRを使用して生成物の構造を確認した。
【0218】
実施例39
6,7−[2.2.2]−クリプタンド−3−(1’−オキソ−4’−カルボエトキシブチル)クマリン
実施例35に記載の方法を次のように変更した:磁気攪拌機、還流冷却器及び窒素パージ源を備えた250mlフラスコ内で0.79g(1.3mmol)の実施例38の生成物を乾燥アセトニトリル(45ml、シリカゲル及び0.4nm分子篩上で乾燥させ、水素化カルシウムから蒸留したもの)に溶解させた。1当量(0.33g)の4,13−ジアザ−18−クラウン−6を第2(20ml)の乾燥アセトニトリルに溶解させ、この溶液を前記第1溶液に加えた。0.62g(5.8mmol)の炭酸ナトリウムを加える前に、反応混合物を70℃に加熱した。窒素下で溶液を7日間還流させた。その後、60mlのクロロホルムを加え、溶液を濾過した。
【0219】
溶剤をストリッピングした後、約1gの黄色粘着性油が得られた。この油に60mlのクロロホルムと20mlの塩化ナトリウム水溶液を加え、この組み合わせたものを混合した。有機層を分離し、硫酸ナトリウム上で乾燥させた。溶剤をストリッピングすることによって、0.85gの油状生成物を得た。これを、まず酸化アルミニウム粉末の2cm×6cmカラムに通すフラッシュクロマトグラフィー(溶出溶剤として70mlの塩化メチレンを使用)により精製すると、0.65gの生成物が残った。次に、この物質を塩化メチレン/ヘキサンの1:2混合物を使用して酸化アルミニウムの第2のカラムに慎重に通すと、370mg(46%)の黄色粘着性粉末である本質的に純粋な生成物が得られた。
プロトンNMR及びIR分光分析法によって生成物の構造を確認した。UV分光分析(ホスフェートにより緩衝された塩化ナトリウム水溶液)結果:lmax =382nm、317nm。
【0220】
実施例40
クマリン誘導体の光安定性の比較
次のモデル化合物を使用し、クマリン類の3位及び4位に存在する官能基の変化が相対的光安定性に及ぼす影響を評価した。
エタノール中に化合物VIII、IX、X及びXIを含み、吸光度が0.05≦Amax ≦0.1の範囲内にある溶液を調製し、各溶液を、最大光源スリット幅(バンドパス30nm)でlmax でSPEX Fluorog 2TMシリーズ分光蛍光計(ニュージャージー州エジソン所在のSPEX Industries, Inc. 製)で1時間連続照射した。試料位置で測定された励起光源の測定された輝度は30〜50mW/cm2に及んだ。照射中にそれぞれに対して発光極大で蛍光強度を監視した。
【0221】
Xに対して規格化したデータを表40aに示す。(化合物VIII、IX及びXの光安定度は1回の実験で測定したものであり、化合物XIの光安定度はそうではないが、比較しやすいためにそれらの結果を1つの表にした。)
【0222】
時間0での強度の違いは、誘導体の相対的な蛍光効率を反映している。3−カルボエトキシ誘導体(VIII)は、優れた光安定性と4−メチル誘導体(IX)又はカルボキシメチル誘導体(XI)よりも僅かに改良された蛍光効率とを併せ持つ。
【0223】
【化12】
【0224】
【表13】
【0225】
【表14】
【0226】
実施例41
生理的濃度の[K+ ]の変化に対する実施例35のクマロクリプタンドの応答
リン酸ナトリウムのみで緩衝された塩化ナトリウム水溶液(20℃、pH=7.36、[Na+ ]=134mM、[K+ ]=0mM、[Cl- ]=64mM)を用いて、実施例35の生成物(A372nm =0.1)の約10-5M溶液を調製した。[K+ ]=0.2Mのホスフェートにより緩衝された塩化ナトリウム水溶液のアリコート(36μl )をキュベット内の3mlの溶液に加え、0から12mMまで段階的に2.4mMごとに[K+ ]を変化させた。各段階で、蛍光発光強度を270nmの励起波長で400nmから600nmまで測定した。
【0227】
[K+ ]=0mM及びl=445nmでの強度に対してデータを規格化した。表41aに示す規格化したデータは、[K+ ]の増加とともに蛍光強度が単調増加することを示している。[Na+ ]を145mMまで増加させると、蛍光がほんの僅か減少した。実施例39の生成物について同様な結果を得た。
【0228】
【表15】
【0229】
実施例42
分子テザーによるコーティング可能なポリマーの官能化
室温の1リットルのテトラヒドロフラン(THF)に20gのポリ(塩化ビニル)カルボキシル化(PVC−COOH)ポリマー(COOH1.8%)(Aldrich )を溶解させた。これに、THF中に4.9g(3当量)のジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)(Aldrich )を含む溶液75mlを加えた。室温で蓋付きフラスコ内で混合物を30〜60分間攪拌した後、72g(10当量)のJeffamine ED-900TMビス(2−アミノプロピル)ポリエチレングリコール800 (ニューヨーク州ロンコンコマ所在のFluka Chemical Corp.製)を活性ポリマー溶液に素早く加えると、濁った溶液/懸濁液となった。これを室温で18時間攪拌した。回転減圧蒸発器(60℃)で溶液を約300mlに濃縮し、急速攪拌している容器に水(約18リットル)を素早く加えた。(小さな粒子の発生を防止するため及び容易に濾過及び精製することができるポリマー沈殿物を提供するためには、水の低剪断流動、すなわち渦を巻かせることが必要である。)
【0230】
水からポリマーを取り出し、プラスチックのメッシュシートを使用して濾過し、次に約500mlのメタノール中に懸濁させ、再び濾過した。ポリマーを減圧乾燥させる前に、残留水を減少させ、そして反応副生成物を除去するために、さらに2回、ポリマーをメタノール中に懸濁させ、濾過した。
【0231】
ポリマーを約1リットルの室温のTHF中に再溶解させ、そしてまずポリプロピレンフィルター布に通し、次にポリ(プロピレン)フィルター布上にCeliteTM 545(ペンシルヴェニア州ピッツバーグ所在のFisher Scientific 製)珪藻土の厚い(3〜4cmの)パッドを具備するポリエチレンブフナー漏斗(350〜600ml)に通すことにより濾過した。透明濾液を集め、回転減圧蒸発器で60℃で200mlに濃縮した。
【0232】
上記のように水中でのポリマー溶液の沈殿及びポリマーの濾過を実施した。減圧乾燥前に、最終工程として水中でのポリマーの微細断(ブレンダーを使用)を実施した。
【0233】
官能化ポリマーフィルムの赤外スペクトルを捕捉し、反応(COOH基の吸収特性1720cm-1の消失)を確認した。ポリマーのゲル透過クロマトグラフィーによって、分子量がPVC−COOH出発物質の分子量(すなわち、PVC−COOHロットに依存して160,000 〜220,000 )から本質的に変化していないことが示された。
【0234】
Anal. Biochem., 第117 巻、第147 頁(1981)のSarin 等の方法を次のように変更した:試験管内の乾燥ポリマー試料20mgに、(a)フェノール及びKCNのピリジン溶液0.40ml、及び(b)ニンヒドリンのエタノール溶液0.10mlを加えた(両方とも前記引例に記載されているように調製した)。試験ブランクを同様に調製した。両方の試験管を100℃で約10分間加熱した。それぞれの試験管に2mlのテトラヒドロフラン(THF)を加える前に、冷水中で両方の試験管を冷却した。試験管の内容物を分離用25mlメスフラスコに移し入れた後、それらを25mlのTHFで稀釈した。吸光係数が1.2×10-4M-1cm-1であるUV分光分析(labs =604nm)を使用してニンヒドリン濃度を決定した。このことから。有効なアミンの濃度はポリマーの0.2mmol/gであることが決定された。
【0235】
実施例43
コーティング可能なポリマーへの化合物VII の結合
実施例42から得たPVC/ビス(2−アミノプロピル)−ポリ(エチレングリコール)の200mgの試料を10mlのジメチルホルムアミド(DMF)に溶解させた。2mlのDMF中に50mgの加水分解したVII を含む第2の溶液も調製した。第2の溶液に42ml(0.27mmol)のジイソプロピルカルボジイミド(Aldrich )及び40mg(0.27mmol)のヒドロキシベンジルチアゾール(Aldrich )を加え、この混合物を第1の溶液に加える前に約20分間攪拌した。(第2の溶液を含んでいたフラスコを1mlのDMFで洗浄して完全に移した。)
組み合わせた混合物に50ml(0.27mmol)のジイソプロピルエチルアミン(Aldrich )を加えた。これを窒素雰囲気下、暗室内で一晩攪拌した。
【0236】
回転減圧蒸発器により40℃で溶剤の容積を減少させた。濃縮された溶液を攪拌しながら200mlの水に徐々に加えた。水性分散液を80メッシュスクリーン上に注ぐことにより綿状の沈殿物を集めた。沈殿物を水で4回洗浄し、メタノールで3回洗浄した。沈殿物を安全剃刀の刃でより微細な細片に細断した後、細片をメタノール中で3回洗浄した。官能化ポリマーを減圧乾燥させた。
【0237】
試薬としてニンヒドリンを使用するAnal. Biochem., 第34巻、第595 頁(1970)のKaiserの方法によると、テザー化したビス(2−アミノプロピル)ポリ(エチレングリコール)のアミン基のうちの95%を超えるアミン基が、恐らくはVII とのカップリングを通じて消費されたことが示された。
【0238】
実施例44
多孔質膜上への官能化ポリマーのコーティング
THF及び水の90/10(v/v) 混合物中に実施例43の官能化ポリマーを含む2%(w/w) 溶液を、幅6インチのスロット供給ナイフダイを使用し、親水性多孔質ポリプロピレン(WO92/07899参照)のロール(幅27.9cm、厚さ79mm)上に押出塗布した。(HPPPウェブは、最大孔径が1.3mmであり、多孔度が77%であった。)ウェブ速度は3m/分であり、溶液送出量は67ml/分であった。
コーティングされたウェブを送風オーブン(15.6℃)に通して溶剤を蒸発させた。得られた乾燥皮膜重量は約2.5g/m2であった。
【0239】
0〜8mMのK+ 溶液への浸漬及び応答百分率の計算によって、ダイと接触した膜の側面に加えられた物質の殆どが存在するHPPPウェブの内部細孔表面中に非対称官能ポリマーコーティングが分布することが示された。
【0240】
実施例45
コーティングされた膜の試験
実施例44のHPPP膜から円形ディスクを打ち抜いた。これらを使用し、当該検出用複合材料の可逆性、pH依存性及び安定性(緩衝液中及び血液中の両方)を試験した。
【0241】
可逆性
カリウムイオン濃度の変化に対する当該センサーの可逆性を、395nmの励起光源を具備し、440nm以上の波長の蛍光を検出する CDITM S400 モニター(カリフォルニア州タスティン所在のCDI/3M Health Care製)を使用してセンサーの蛍光強度を測定することにより決定した。約138mMのNaClを含み、[K+ ]濃度が2、4、6又は8mMとなるのに十分なKClを加えた50mMのN−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン−N’−(エタンスルホン酸)緩衝液(ミズーリー州セントルイス所在のSigma Chemical Corp.製)(以下、HEPESと表す)を急速循環させることによりカリウムイオン濃度を変化させた。(被検体のK+ 濃度の変化に対する)実際のセンサーの応答時間は短い(すなわち、約60〜120秒)かったが、平衡の8分後に蛍光強度を測定した。これらの測定結果を表45aに示す。
【0242】
【表16】
【0243】
表45aは、実施例44におけるように作製されたセンサーがバイパス手術の間に通常観測されるカリウムイオン濃度変化(すなわち、3〜6mM)よりも大きいカリウムイオン濃度変化に関して可逆性であることを示している。
【0244】
pH 依存性
K+ 濃度2、4及び6mMで上記HEPES緩衝液のpHの関数としてセンサーの蛍光強度の変化を CDITM S400 モニターにより測定した。これらの測定結果を表45bに示す。
【0245】
【表17】
【0246】
表45bは、実施例44におけるように作製されたセンサーが、特に生理的pH範囲で、変化するpHでの(変化する[K+ ]に対して)応答の変化が小さいことを示している。より詳細には、生理的pH(すなわち、7.3〜7.5)及び生理的カリウムイオン濃度(すなわち、約4mM)でのセンサーの蛍光強度の変化は、pH=7.07からpH=7.90までに観測された全蛍光変化の約2%であった。これは、非PVCマトリックスに結合した同じクマロクリプタンドの約6%以上のpH依存性及び同様なpH範囲の水性緩衝液中にある固定化されていないクマロクリプタンドのより大きな依存性に匹敵する。
【0247】
安定性
検出用複合材料の安定性を緩衝液中及び血液中の両方で測定した。
A.緩衝液
AVL 9120TMナトリウム/カリウム分析計(ジョージア州ロスウェル(Roswell )所在のAVL Scientific Corp.製)により測定した場合に138mMのNaClを含むHEPESの50mM溶液を LaudaTM RC 20恒温水槽(ドイツ所在のLauda Dr. R. Wobser CmbH & Co. KG 製)内で一定温度に保ち、モデル13400 蠕動ポンプ(ミシガン州アナーバー(Ann Arbor )所在のSarns/3M Health Care製)によりセンサーループを通して循環させた。7〜8にわたる溶液のpHを OrionTM pH 計(ナサチューセッツ州ケンブリッジ(Cambridge )所在のOrion Research製)により監視した。285〜305mOsmにわたる溶液の浸透圧モル濃度を Advanced Wide-Range Osmometer 3W2TM(マサチューセッツ州ニーダムハイツ(Needham Heights )所在のAdvanced Instrument Inc.製)により測定した。緩衝液の[K+ ]をIL 643TM炎光光度計(マサチューセッツ州レキシントン(Lexington )所在のInstrumental Laboratories 製)により決定した。
【0248】
2組の[K+ ]「段階的」実験を(両方とも室温で)実施した。まず、[K+ ]を0〜8mMの間で変化させた。実施例44に記載した通りの検出用複合材料を8mMのKCl溶液に浸漬する前に0mMのKCl溶液で平衡にし、その後、当該検出用複合材料を新たな[K+ ]で(完全な平衡は非常に速かったが)5〜10分間を要して平衡にさせた。5時間にわたってこの操作を5回繰り返した。両方の溶液の蛍光強度(すなわち、 CDITM S400 モニターにより測定した場合の0mM溶液でのカウント数は約488、8mM溶液でのカウント数は約567)は、実験時間中に実質的に変化しなかった。
【0249】
第2の「段階的」実験は、IL 643TM炎光光度計により測定した場合に3及び7mM(バイパス手術の際に通常遭遇する濃度範囲)である[K+ ]を使用した。検出用複合材料を7mMのKCl溶液に浸漬する前に3mMのKCl溶液で平衡にし、その後、当該検出用複合材料を数分間を要して新たな[K+ ]で(完全な平衡は約90秒以内に起こったが)5〜10分間を要して平衡にさせた。約3時間半にわたってこの操作を5回繰り返した。両方の溶液の蛍光強度(すなわち、 CDITM S400 モニターにより測定した場合の3mM溶液でのカウント数は約647、7mM溶液でのカウント数は約677)は、実験時間中に実質的に変化しなかった。
【0250】
B.血液
前項に記載したようにウシ血液を138mMの[Na+ ]及び300mOsmの浸透圧モル濃度に調節した。上記のようにKClを加えることによって、約3及び9mMのカリウムイオン濃度を得た。2.8%のCO2 、5.5%のO2 、91.7%のN2 からなるガス組成物で連続的にスパージすることによって、ABL-7 TM血液ガス分析計(デンマーク、コペンハーゲン(Copenhagen)所在のRAdiometer A/S製)で測定した場合に約7.34±0.02となるように血液のpHを保った。血液溶液を試験用ループに導入した後に恒温に保たれた水浴中に貯蔵し、蠕動ポンプにより循環させた。(前項を参照)センサーを CDITM S400 モニターカセット及び大きさが3/8 インチの CDITM Model 6730 Quik-cell 血液ガス監視装置(CDI/3M Health Care製)に固定した。
【0251】
2種の[K+ ]溶液を交換するために、3mM溶液で初期センサー強度を得、そして9mM溶液を直接導入する前に試験ループを空にした。この操作を逆にした時に、試験ループを[K+ ]=3mMの血液洗浄液で濯ぎ、3mM試験溶液の混入を防いだ。(この洗浄操作は、血液溶液の交換の間にセンサーが空気に暴露する原因となり、その結果、センサーの応答時間が長くなる。8mMのK+ と少量のTritonTM X-100又は TweenTM 80 (両方ともAldrich から入手可能)、好ましくは内用薬用途に対するその認可のために後者のような界面活性剤を含むHEPES緩衝液中でセンサーを水和させると安定したセンサー強度が得られることが見出された。)
【0252】
血液溶液の交換の間に中間洗浄浴を使用しない場合に、[K+ ]が3mMから9mMになるまでの応答時間(95%)は約40秒間であり、9mMから3mMになるまでの応答時間は約65秒間であた。
【0253】
センサーは約5時間にわたって優れた安定性を示した。9mM溶液により得られた強度は試験期間中に徐々に(すなわち、約5カウント)減少したが、このことは交換した3mM溶液によりこの溶液が稀釈されたためであると考えられる。
【0254】
本発明の範囲及び真意から逸脱することなく、本発明の種々の改良及び変更が当業者には明らかになるであろう。また、本発明は本明細書に記載した例示的態様に無論のこと限定されない。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1a、1b及び1cは、それぞれ、K+ 濃度の増加に対する本発明のクマロクリプタンドイオノホアの蛍光発光応答のグラフ図(図1a)及び従来のクマロクリプタンドの蛍光発光応答のグラフ図(図1b)と、0及び15mMのK+ 濃度でのクマロクリプタンドの応答を比較するグラフ図(図1c)である。
【図2】図2は、0、8及び0mMのK+ 濃度の連続変化にそれぞれかけられた本発明のクマロクリプタンドイオノホアの蛍光発光応答のグラフ図である。
【図3】図3は、本発明のカリウムセンサーに及ぼす照射効果を表すグラフ図である。
【図4】図4a及び4bは、本発明のクマロクリプタンドイオノホア(図4b)及び従来のクマロクリプタンド(図4a)に対する、カリウム濃度が測定されるべき生理的媒体のpH変化の効果を表すグラフ図である。
【図5】図5は、HEPES緩衝液中での0mMK+ と16mMK+ の間で循環させた本発明のカリウム検出用装置の応答を表すグラフ図である。
【図6】図6a及び6bは、特定の置換クマロクリプタンドのK+ 応答と同様に置換されたモデル化合物MDO及びEDO(図6a)並びにモデル化合物DMO及びEDO(図6b)の相対量子収率との間の相関を表すグラフ図である。
【図7】図7は、分子内無放射遷移に関する障壁幅に対する弱い、強い及び非常に強い振電カップリング効果を表すポテンシャルエネルギー図である。
【図8】図8は、実験的蛍光発光極大波長と置換されたモデル化合物DMO及びEDOに関する発光率との間の相関を表すグラフ図である。
【図9】図9aは、EDO型モデル化合物群について計算及び測定された吸収波長間の相関を表すグラフ図である。
図9bは、EDO型モデル化合物群について計算及び測定されたストークスシフト間の相関を表すグラフ図である。
【図10】図10は、モデル化合物及び本発明のクマロクリプタンドイオノホアのカリウム応答を評価するために使用した30kHz 位相変調ブレッドボードの略図である。
【図11】図11は、本発明のクマロクリプタンドイオノホアを使用することができる流体パラメーター測定装置と共に較正用及び流体パラメーター測定カセットを表す斜視図である。
【図12】図12は、図11に示した測定装置の部分拡大図であって、前記カセットと前記装置を結合させた場合に当該測定装置と向かいあうカセットの側から見た図である。
【図13】図13は、図11に示したカセットのみの拡大斜視図であって、例示のために前記カセットの2構成構造を別の角度から示す図である。
Claims (9)
- 一般式:
Tは、TがOである場合にqが0であり、かつ、nが0〜2であること並びにTがNである場合にqが1であり、かつ、m及びnが独立に0又は1であることを条件として、O又はNであり;
各R2 は独立に、水素、ハロゲン、C1 〜C10アルキル、C1 〜C10アルコキシ、C2 〜C10アルケニル、C1 〜C10アルキルアミノ、C1 〜C10ジアルキルアミノ及び式:(CH2 X)a E(式中、XはO、NH若しくは単結合であり、Eは活性水素を含有する官能基であり、aは1〜100の整数である)からなる群から選ばれ;
R3 は、水素、C1 〜C10アルキル、C5 〜C8 シクロアルキル、C6 〜C10アリール、少なくとも1個のO、N又はS原子を含む複素環式基、C2 〜C10アルケニル及び式:(CH2 X)b E(式中、X及びEは上記定義の通りのものであり、bは0〜10の整数である)からなる群から選ばれ;
R1 は、
により表わされる部分であり;
Zは、O又はNR5 (式中、R5 は水素又はヒドロカルビル含有基である)である]
により表わされる蛍光イオノホア化合物。 - YがOである、請求項1に記載の化合物。
- YがSである、請求項1に記載の化合物。
- YがNHである、請求項1に記載の化合物。
- m及びnの両方が1であり、ZがOであり、TがNである、請求項1〜4のいずれか一項に記載の化合物。
- 請求項1〜5のいずれか一項に記載の化合物を用いたカチオン検出用構造物であって、前記化合物はK+ に対して選択性があり、かつ、前記化合物は基材に結合されて当該カチオン検出用構造物を形成しており、当該カチオン検出用構造物は流体チャンバーを有するカセットに提供されており、当該カチオン検出用構造物は当該流体チャンバー内に収容される流体中のK+ イオンとイオン連絡がある、カチオン検出用構造物。
- 流路を有するカチオン検出用カセットにおいて使用するためのイオンセンサーであって、基材に結合された請求項1〜5のいずれか一項に記載の化合物が組み込まれたイオンセンサー。
- 入口及び出口とイオン透過性膜で被覆された開口部とを有するフロースルーカセットケーシング並びにイオンセンサーが上に配置されたイオン検出カセット本体を具備し、前記イオンセンサーに基材に結合された請求項1〜5のいずれか一項に記載の化合物が組み込まれているカセット集成体。
- 流路を有するカチオン検出用カセットであって、基材に結合された請求項1〜5のいずれか一項に記載の化合物が組み込まれたイオンセンサーが前記流路の内側に配置されているカチオン検出用カセット。
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