JP2001056327A - アクリジン誘導体を用いた微量水分の検出、定量方法 - Google Patents

アクリジン誘導体を用いた微量水分の検出、定量方法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は検体中の微量水分を検出、定量する
ことができる新規な化学センサーを提供するものであ
る。また、本発明は簡便で、高感度でかつ連続的な測定
が可能な検体中の微量水分を検出、定量方法を提供する
ものである。さらに、本発明は、分子内電荷移動(IC
T)が可能な新規な化合物、及びそれを固定化した化合
物及びその方法を提供するものである。 【解決手段】 本発明は、例えば、一般式(1a)又は
(1b) 【化1】 (式中、R、R、R、R、R、R10、R
11、R12及びR13はそれぞれ独立して水素原子又
は有機残基を示す。)で表されるアクリジン誘導体を用
いて媒体中の微量水分を検出又は定量する方法に関す
る。より詳細には、媒体中における前記アクリジン誘導
体又は固定化されたアクリジン誘導体の蛍光強度を測定
することからなる媒体中の微量水分を検出又は定量する
方法に関する。また、本発明は前記一般式(Ia)又は
(1b)から誘導される新規な化合物にも関する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、アクリジン誘導体
を用いた媒体中の微量水分を検出、定量するための方
法、そのための組成物及びその装置に関する。また、本
発明は新規なアクリジン誘導体及びそれからなる新規な
化学センサーに関する。
【0002】
【従来の技術】検体中の水分を検出する方法としては、
乾燥重量が変化しなくなるまで乾燥させる方法、蒸留す
る方法、検体の密度や電気伝導率などを測定方法などが
古くから知られているが、いずれの方法も満足できるも
のではなかった。検体の水分含有量を定量するもっとも
よく利用されている方法はカールフィシャー法である。
最新のカールフィシャー法の測定装置を使用すれば、1
サンプルについて約1分という短時間で1μgオーダー
の水分含有量を測定することができるが、この方法は強
い還元又は酸化作用を有する検体やカールフィシャー試
薬と反応する検体には使用することができない。また、
カールフィシャー法には比較的大きな測定装置が必要で
あり、簡便に行うことができない。さらに、カールフィ
シャー法はバッチ式の測定法であり、検体を連続的に測
定することができないという欠点がある。
【0003】カールフィシャー法に代えて検体中の水分
含有量を簡便にかつ連続的に測定するための方法とし
て、水に対する化学センサーを用いる方法が提案されて
いる。例えば、水分子の大きさの1.2〜1.4倍程度
の孔を多数有する多孔性の架橋ポリスチレンに第四級ア
ンモニウム基を導入した陰イオン交換樹脂を用いる方法
(M.Bai, et al.,Talanta, 41(6), 993-999(1994))の
ように水を物理的に捕捉する方法も知られているが、感
度が充分でなくかつ数十%以上の水含量でないと測定す
ることができないという欠点がある。
【0004】また、溶媒の極性の大きさなどにより励起
波長や蛍光波長が移動する(ソルバトクロミズム(Solv
atochromism))物質が知られており、この性質を用い
た水分含有量の測定法も報告されている。例えば、2,
5−ビス−[3−(5−スルホ−2,3−ジヒドロ−1
H−インドール−1−イル)−2−プロペニリデン]−
シクロペンタノンを溶媒の極性に対する蛍光プローブ
(Fluorescent solventpolarity (SP) probe)として用
い、これを陰イオン交換膜に固定化させて溶媒中の水分
含有量を測定する方法(M.A.Kessler, et al., Sensors
and ActuatorsB., 3,267-272 (1991))、蛍光寿命に基
づくセンサーとしてジピリドール[3,2−a:2”,
3”−c]フェナジン,ジ[シス−1,2−ビス(ジフ
ェニルホスフィノ)−エチレン]オスミウム(II) ヘ
キサフルオロホスフェート[Os(dppz)(dpp
e)](PFというオスミウム錯体を用いた方
法(Q.Chang, et al., Analytica Chimica, 350, 97-10
4(1997))、3−ヒドロキシ−4’−N,N−ジメチル
アミノフラボン(HMAF)や4’−N,N−ジメチル
アミノフラボン−3−イル−メタクリレート(DMAF
MA)等のフラボノ染料を用いる方法(W.Liu, et al.,
Analytica Chimica Acta, 383, 299-307(1999))など
が報告されている。
【0005】これらの方法は、前記したシクロペンタノ
ン誘導体やオスミウム錯体やフラボン系化合物が化学セ
ンサーとしての可能性を示すものではあるが、化学セン
サーによる簡便でかつ連続的な測定を可能とするもので
はないし、かつ感度が十分ではなく微量水分の検出定量
が不可能であったり、さらに、溶媒によりその吸収波長
が大きく変動するなどの欠点がある。また、オスミウム
錯体を用いる方法はオスミウムという毒性が強く高価な
貴金属を使用するという欠点もあった。
【0006】一方、4−(9−アクリジニル)−N,N
−ジメチルアニリンのような分子内に電子供与基(D)
と電子受容基(A)を有する化合物(A−D)のある種
のものは、溶媒の極性の増加に伴って赤色シフトする低
エネルギー電荷移動(CT)吸収を示すことが報告され
ている(J.Herbich, et al., J. Am. Chem. Soc., 120,
1014-1029(1998))。このような分子内電荷移動(IC
T)は、大きなストークスシフト及び蛍光状態における
大きな双極子モーメントを生起させる。そのために、溶
媒の極性の増加に伴う大きなストークスシフトによるC
T吸収よりも、その周囲の環境からの影響をより強く受
けたこのICTによる蛍光スペクトルを示すことにな
る。本発明者らは、このICTによる蛍光スペクトルを
化学センサーとして利用できるか否かを検討してきた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】したがって、本発明は
検体中の微量水分を検出、定量することができる新規な
化学センサーを提供するものである。また、本発明は簡
便で、高感度でかつ連続的な測定が可能な検体中の微量
水分の検出、定量方法を提供するものである。さらに、
本発明は、分子内電荷移動(ICT)が可能な新規な化
合物、及びそれを固定化した化合物及びその方法を提供
するものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、鋭意研究
を行った結果、アクリジン骨格を有する化合物が簡便で
精度の高い微量水分測定方法に利用出来ることを見出し
た。さらに、この化合物を固定化する方法を見出すと共
に、固定化されたアクリジン骨格を有する化合物も化学
センサーとして十分機能できるものであることを見出し
た。
【0009】本発明は、電子供与基となりうる含窒素化
合物部分と電子受容基としてのアクリジン部分とから成
るアクリジン誘導体、例えば一般式(I)
【化6】 (式中、Rは電子供与基となりうる含窒素化合物部分を
示し、Rは水素原子又は有機残基を示す。)で示され
るアクリジン誘導体を用いて媒体中の微量水分を検出又
は定量する方法に関する。より詳細には、媒体中におけ
る前記アクリジン誘導体又は固定化されたアクリジン誘
導体の蛍光強度を測定することからなる媒体中の微量水
分を検出又は定量する方法に関する。また、本発明はそ
のための組成物及び装置に関する。
【0010】また、本発明は、一般式(IV)
【化7】 (式中、Rは低級アルキル基を示し、Rは置換基を
有してもよい不飽和炭化水素基又は高分子骨格に懸垂さ
れた基を示し、R、Rはそれぞれ独立して水素原子
又は置換基を有してもよい炭化水素基を示す。)で表さ
れるアクリジン誘導体、又はその固定化された前記アク
リジン誘導体に関する。より詳細には、本発明の固定化
されたアクリジン誘導体は、Rの不飽和基とアクリル
酸又はメタクリル酸の誘導体とからなる共重合体が好ま
しく、本発明はまた当該共重合体化による本発明のアク
リジン誘導体を固定化する方法に関する。
【0011】また、本発明は、一般式(V)
【化8】 (式中、R、R、R10、R11、R12及びR
13はそれぞれ独立して水素原子又は有機残基を示
す。)で表されるアクリジン誘導体に関する。
【0012】さらに、本発明は前記アクリジン誘導体又
は固定化されたアクリジン誘導体からなる化学センサー
に関する。より詳細には媒体中の微量水分を検出又は定
量するための化学センサーに関する。
【0013】ソルバトクロミズムは色素分子の状態エネ
ルギー変化によるクロミズムで、溶媒の性質(極性・水
素結合性等)に依存したスペクトル変化を示す。これは
溶媒分子が色素のn→πあるいはπ→π遷移の難易
に影響して吸収スペクトルが変化する現象である。他の
クロミズムが分子構造の変化による発色・消色であるの
に対して、このクロミズムは色素分子の状態エネルギー
変化によるものなので変色を示す。
【0014】励起されて分極化される色素分子が極性溶
媒で励起された場合には、図1に示すように分子が励起
され分極化されるのが速い速度で行われ、それに続いて
分極化された色素分子のまわりの極性溶媒がその分極を
打ち消すようにゆっくりとした速度で動くことになる。
これは、電子と分子の大きさや重さが大きく異なるた
め、励起により電子がまず動き次に溶媒のような分子が
動くことになるからである。分子が励起され分極化され
た分子を周囲の極性溶媒が中和するまでの状態をフラン
クコンドン(Franck condon(FC))状態という。図
1はこのようなフランクコンドン理論を説明するための
図である。
【0015】次に、溶媒の極性変化による吸光スペクト
ル変化について、その基底状態と励起状態のようすを図
2及び図3に基づいて説明する。図2は、基底状態で分
極化している分子の場合のもであり、このような分子の
場合には溶媒の極性により基底状態も励起状態もともに
変化する。そのため、吸光スペクトルは溶媒の極性によ
って変化し、同じく蛍光スペクトルも溶媒の極性によっ
て変化する。一方、基底状態で分極していない分子の場
合には、基底状態・励起状態ともに溶媒によるエネルギ
ー変化が少なく、そのために吸光スペクトルは、図3に
示すように溶媒による変化は極めて少ない。このような
分子の蛍光スペクトルは、溶媒に極性がない場合には、
一度励起された電子はその後まわりの溶媒からの影響を
受けないため、そのエネルギー状態が変わらないまま安
定化され、蛍光スペクトルを出す。しかし、溶媒に極性
がある場合は、一度励起された電子はその後まわりの溶
媒からの影響を受け(図1参照)、エネルギー状態は下
がり、その後蛍光スペクトルを出す。
【0016】このため、このような分子では、溶媒の極
性により吸光スペクトルは変化しないが、溶媒の極性に
より蛍光スペクトルは変化することになる。本発明者ら
は、この理論に基づいて吸光スペクトルの変化が少な
く、かつ溶媒の僅かな極性に応じて敏感に蛍光スペクト
ルが変化する物質を探索した。本発明者らは、このよう
な分子として機能性色素の一種である4−(9−アクリ
ジニル)−N,N−ジメチルアニリン(以下、KD−F
0010という。)にまず着目した。
【0017】実験に用いた溶媒は、基本的に全て蒸留
し、モレキュラシーブの入った瓶に1日以上保存したも
のを用いた。ただし、アセトニトリルは蒸留を行わず、
モレキュラシーブで乾燥させた特級溶媒を用いた。この
ようにして調製したTHF、酢酸エチル、アセトニリ
ル、DMF、ジクロロメタン及びジエチルエーテルの6
つの溶媒において、KD−F0010を4.00×10
−5mol/lの濃度で溶解させた。溶媒の調整が終わ
った後に、溶媒中に含まれる酸素による消光を避けるた
め超音波洗浄機で10分間脱気した後、蛍光光度計(H
ITACHI F−2000)を用いて、励起波長39
8nmにおける蛍光スペクトルを測定した。
【0018】様々な溶媒の吸光スペクトル変化を図4
に、その蛍光スペクトルの変化を図5に示す。図4及び
5中の1は酢酸エチルを、2はアセトニリルを、3はジ
クロロメタンを、4はジエチルエーテルをそれぞれ示し
ている。また、その値を表1に示す。
【0019】
【表1】
【0020】蛍光スペクトルの強度と溶媒の極性を示す
値のひとつであるE(30)の値(kcal/mo
l)との関係を図6に、最大蛍光波長とE(30)の
値の関係を図7に示した。図6及び7中の1はTHF
を、2は酢酸エチルを、3はアセトニリルを、4はジク
ロロメタンを、5はジエチルエーテルをそれぞれ示して
いる。図4に示す結果から、非プロトン性の溶媒の場合
は溶媒によってKD−F0010の吸光スペクトルは変
化しないと考えられる。図5に示す結果から、非プロト
ン性の溶媒の場合は溶媒によってKD−F0010の蛍
光スペクトルは変化すると考えられる。このことより、
KD−F0010は、非プロトン性溶媒の場合は、溶媒
によって吸光スペクトルは変化せず、蛍光スペクトルの
みが変化するということがわかる。これにより、非プロ
トン性溶媒の場合には、KD−F0010は溶媒の種類
によらず一定の励起波長(Excitation=398nm)で
励起できることが分かった。
【0021】図6および図7に示す結果より、蛍光強度
はジエチルエーテルを除き極性が上がるにしたがって減
少している。また、励起波長398nmの最大蛍光波長
は溶媒の極性が上がるにしたがって高波長側にシフト
し、そのシフトのしかたは、E (30)値と直線的な
関係が認められる。蛍光強度がジエチルエーテルのみ減
少量が少なかったのは、後で示すがこのKD−F001
0が徴量の水に対して大きな蛍光強度を示す。しかし、
このジエチルエーテルは水を0.02%含むまでしか混
ざらないため、実験においてどうしても混ざってしまう
微量の水と混ざりにくく、その他の有機溶媒に比べて蛍
光強度の減少が少なくなったのだと思われる。
【0022】以上よりKD−F0010は、吸湿しやす
い有機溶媒においてはその蛍光強度は、溶媒の極性が上
がるにしたがって減少し、最大蛍光波長は溶媒の極性に
したがって高波長側にシフトすることがわかった。
【0023】次に、有機溶媒中の水又はエチルアルコー
ルの濃度変化による吸光スペクトルの変化を検討した。
図8にTHF中の種々の濃度の水分含量についての吸光
スペクトルを、図9にTHF中の種々の濃度のエチルア
ルコール含量についての吸光スペクトルを、図10に酢
酸エチル中の種々の濃度の水分含量についての吸光スペ
クトルを、図11にジクロロメタン中の種々の濃度の水
分含量についての吸光スペクトルを、図12にアセトニ
トリル中の種々の濃度の水分含量についての吸光スペク
トルを示す。図10〜図12において、図中の1は水又
はエチルアルコールの含有量が0wt%であることを、
2は水又はエチルアルコールの含有量が0.25wt%
であることを、3は水又はエチルアルコールの含有量が
0.5wt%であることを、4は水又はエチルアルコー
ルの含有量が0.75wt%であることを、5は水又は
エチルアルコールの含有量が1.0wt%であること
を、7は水分含有量が3.00wt%であることを、9
は水分含有量が5.00wt%であることをそれぞれ示
している。いずれの実験も、KD−F0010の濃度は
4.00×10−5mol/lであり、溶媒の調製が終
わった後に、溶媒中に含まれる酸素による消光を避ける
ため超音波洗浄機で10分間脱気した。
【0024】次に、有機溶媒中の水又はエチルアルコー
ルの濃度変化による蛍光スペクトルの変化を検討した。
図13にTHF中の種々の濃度の水分含量についての蛍
光スペクトルを、図14にTHF中の種々の濃度のエチ
ルアルコール含量についての蛍光スペクトルを、図15
に酢酸エチル中の種々の濃度の水分含量についての吸光
スペクトルを、図16にDMF中の種々の濃度の水分含
量についての吸光スペクトルを、図17にジエチルエー
テル中の種々の濃度の水分含量についての吸光スペクト
ルを、図18にジクロロメタン中の種々の濃度の水分含
量についての吸光スペクトルを、図19にアセトニトリ
ル中の種々の濃度の水分含量についての吸光スペクトル
を示す。
【0025】図13〜図19において、図中の、1は水
又はエチルアルコールの含有量が0wt%であること
を、2は水又はエチルアルコールの含有量が0.25w
t%であることを、3は水又はエチルアルコールの含有
量が0.5wt%であることを、4は水又はエチルアル
コールの含有量が0.75wt%であることを、5は水
又はエチルアルコールの含有量が1.0wt%であるこ
とを、6は水又はエチルアルコールの含有量が2.0w
t%であることを、7は水又はエチルアルコールの含有
量が3.0wt%であることを、8は水又はエチルアル
コールの含有量が4.0wt%であることを、9は水又
はエチルアルコールの含有量が5.0wt%であること
を、10は水又はエチルアルコールの含有量が6.0w
t%であることを、11は水又はエチルアルコールの含
有量が10.0wt%であることを、12は水又はエチ
ルアルコールの含有量が20.0wt%であることをそ
れぞれ示している。いずれの実験も、KD−F0010
の濃度は4.00×10−5mol/lであり、溶媒の
調製が終わった後に、溶媒中に含まれる酸素による消光
を避けるため超音波洗浄機で10分間脱気した後、蛍光
光度計を用いて、励起波長398nmにおける蛍光スペ
クトルを測定した。
【0026】これらの実験から、様々な有機溶媒中の水
またはアルコール(エタノール)の濃度変化と相対蛍光
強度と最大蛍光波長を図20〜図26に示す。各図の黒
四角印は相対蛍光強度(図の左側のスケール)を示し、
黒菱形は最大蛍光波長(図の右側のスケール)を示す。
図20はTHF中における各種の水分濃度についてのも
のであり、図21はTHF中における各種のエチルアル
コールの濃度についてのものであり、図22は酢酸エチ
ル中における各種の水分濃度についてのものであり、図
23はDMF中における各種の水分濃度についてのもの
であり、図24はジエチルエーテル中における各種の水
分濃度についてのものであり、図25はジクロロメタン
中における各種の水分濃度についてのものであり、図2
6はアセトニトリル中における各種の水分濃度について
のものである。いずれの実験も、KD−F0010の濃
度は4.00×10−5mol/lであり、溶媒の調製
が終わった後に、溶媒中に含まれる酸素による消光を避
けるため超音波洗浄機で10分間脱気した後、蛍光光度
計を用いて、励起波長398nmにおける蛍光スペクト
ルを測定した。
【0027】また、蛍光強度と各水分濃度変化における
相対蛍光強度を表2に示す。
【0028】
【表2】
【0029】最大蛍光波長と各水分濃度変化における最
大蛍光波長を表3に示す。
【表3】
【0030】さらに、E(30)の値(kcal/m
ol)と1%での蛍光強度の減少の関係を図27に、E
(30)の値と0%と1%の間での最大蛍光波長の変
化の関係を図28に示した。図27及び28中の、1は
THFを、2は酢酸エチルを、3はアセトニリルを、4
はジクロロメタンを、5はジエチルエーテルをそれぞれ
示している。
【0031】これらの実験結果から、水またはアルコー
ル(エタノール)増加に伴って吸光スペクトルの変化は
さほど認められなかったが(図8〜図12参照)、水ま
たはアルコール(エタノール)増加に伴って蛍光スペク
トルの変化は大きく認められ(図13〜図19参照)、
すべての系で水またはアルコール(エタノール)増加に
伴って蛍光スペクトルの強度は減少した。以上より、プ
ロトン性の水やアルコールを加えてもKD−F0010
の吸光スペクトルは変化を示さないが、KD−F001
0の蛍光スペクトルのみが変化することがわかった。
【0032】図20と図21を比べてみると蛍光強度の
減少と最大蛍光波長の変化は水に比べてエタノールの方
が小さい。また、表2より、水のE(30)値が6
3.1、エタノールのE(30)値が51.9、TH
FのE(30)値が37.4であることから、この変
化は、プロトン性によるものか溶媒の極性変化によるも
のか判断できない。さらに、図20〜図26よりほとん
どすべての非プロトン性溶媒で、0〜1%の微量な水ま
たはアルコール(エタノール)増加で大きな蛍光強度の
減少と最大蛍光波長の高波長側へのシフトが見られる。
DMFとジクロロメタンは、DMFは沸点が高いため蒸
留しなかったため、ジクロロメタンはあまり水と混ざり
合わないために、このような減少を顕著に示さなかっ
た。
【0033】表2及び図20、22、23、24、2
5、26の結果から、水と混ざりにくいジクロロメタン
を除き水分濃度の増加に伴って蛍光強度は減少すること
がわかった。極性の高い水を加えると、極性の低い有機
溶媒のほうが大きな蛍光強度の減少を示すと考えられる
が、実際はそうならず、むしろアセトニトリルなどの極
性の低い溶媒のほうが大きな蛍光強度の減少を示しまし
た。これは、蛍光強度は溶媒の極性ではなくそのプロト
ン性によって減少するためと考えられる。
【0034】表3及び図20、22、23、24、2
5、26の結果から、水分の増加に伴って最大蛍光波長
は長波長側にシフトする。面白いのが、水がジクロロメ
タンに対して0.20%しか混ざり合わない為、0.5
0%以上の最大蛍光波長が一定である。また、0〜1%
の水分濃度での最大蛍光波長の変化は、E(30)値
と関係しており、加える有機溶媒の極性に関係あると思
われる。以上をまとめると、非プロトン性で吸湿しやす
い有機溶媒に水またはアルコール(エタノール)を加え
ると、蛍光強度は有機溶媒の極性に関係なく0〜1%で
大きく減少し、最大蛍光波長の変化は有機溶媒の極性が
大きくなるにつれて、大きくなるという傾向があること
がわかった。換言すれば、最大蛍光波長は有機溶媒の極
性によって変化の値が変わり、極性が低い溶媒になるほ
どその変化の大きさは小さいことがわかった。
【0035】以上の実験結果から、KD−F0010の
蛍光スペクトルを測定することにより溶媒中に微量存在
する水やアルコールなどの極性分子を検出することがで
き、かつそれを定量することができることがわかった。
本発明の微量水分などの検出方法は検体(溶媒など)の
中にKD−F0010を添加してその蛍光スペクトルを
測定する方法によるものであることから、複雑な装置を
必要とせず、また連続的に検体中に微量存在する水など
の極性分子を検出、定量することができる。
【0036】本発明の分子は極性分子の存在状態におい
て励起されて、次の化学式で示されるように、アニリン
の窒素原子からアクリジン環系へ内部電荷移動(IC
T)が生起し、この緩和により蛍光スペクトルが観察さ
れることになる。
【0037】
【化9】 励起状態におけるこれらの分子のICTによる双極特性
のために、発光エネルギーはこれらの化合物の溶媒和に
強く依存し、強い正のソルバトフルオロクロミズム(溶
媒の極性の増加により、発光は長波長側にシフトす
る。)を示す。そして、前記した化学式で示されるよう
に、励起状態のICTによりアクリジン環系の窒素原子
における電子密度が増加するために、この窒素原子は水
素結合の格好の受容体となる。水分子などの存在による
ここにおける水素結合の生成は、励起状態におけるエネ
ルギー状態を緩和するために、蛍光の量子収率を減少さ
せることになり、結果として蛍光強度の低下が観察され
ることになる。
【0038】次に、本発明者らは、前記の4−(9−ア
クリジニル)アニリン誘導体の固定化を検討するため
に、N−アルケニル誘導体を製造した。即ち、4−(9
−アクリジニル)−N−(5−ヘキセニル)−N−メチ
ルアニリン(以下、KD−F0011という。)を製造
し、まずこの化合物の光学特性を検討した。N−アルケ
ニル誘導体は、N−アルケニルアニリン誘導体とアクリ
ドンとの反応により製造することができ、具体的には次
の化学式で示される方法により製造することができる。
【0039】
【化10】
【0040】図29に種々の水分含有量におけるTHF
中でのKD−F0011の吸光スペクトルを示す。図2
9中の7本のスペクトルはそれぞれ、水分含有量が0.
00容量%のもの、0.10容量%のもの、0.25容
量%のもの、0.50容量%のもの、1.00容量%の
もの、2.00容量%のもの、5.00容量%のものを
示している。いずれの実験も、KD−F0011の濃度
は4.00×10−5mol/lであり、溶媒の調製が
終わった後に、溶媒中に含まれる酸素による消光を避け
るため超音波洗浄機で10分間脱気した後、蛍光光度計
を用いて、励起波長398nmにおける蛍光スペクトル
を測定した。404nm付近のCT−吸収バンドの強度
は、水分含有量とは無関係にこの結果となっている。若
干の正のソルバトクロミズムが水分含有量が5容量%の
場合に観察されるが、それよりも低い水分含有量におい
ては吸収位置に変化はみられなかった。
【0041】図30に404nmで励起した場合の種々
の水分含有量(0.00v/v%〜5.00v/v%)
におけるTHF中でのKD−F0011の蛍光スペクト
ルを示す。図30に示されるように、水分含有量が増加
するに従って溶媒の極性が増加するために最大蛍光波長
は長波長側にシフトし、同時に蛍光強度はそれに応じて
低下した。これらの結果をまとめたものを図31に示
す。図31の黒丸印は相対蛍光強度を示し、黒四角印は
最大蛍光波長を示す。KD−F0011の水分含有量に
対する感度は、0.00〜1.00v/v%において最
大であり、約30v/v%まで減少を続けるが、5v/
v%以上においては蛍光強度はほとんど変化を示さなく
なる。最大蛍光波長は、純粋なTHFの532nmから
568nm(水分含有量10%)へとシフトする。水分
含有量が多くなると蛍光強度が非常に低くなるので、最
大蛍光波長を確定することが困難になる。
【0042】以上のようにN−アルケニル誘導体も前述
したN−アルキル誘導体と同様に極めて高感度で検体中
の微量水分を検出、定量するための分子として有用であ
ることがわかった。そこで、本発明者らは、これを共重
合体の一成分として重合させることにより、アクリジニ
ルアニリン誘導体の固定化を行った。共重合体の重合成
分としては、共重合可能なモノマー成分であればよい
が、前述したように本発明のアクリジニルアニリン誘導
体は水素結合可能な水素原子に対する受容体として作用
するためにモノマーやそれを重合してできる重合体が水
素結合の可能な水素原子を有していないものが好まし
い。また、蛍光測定の支障を生ずるものでないものが好
ましい。好ましいモノマーとしてはアクリル酸エステル
やメタクリル酸エステルなどのアクリル系モノマーが挙
げられる。
【0043】固定化のために、重合後に架橋を行っても
よく、また予め三次元構造を形成し得るモノマーを使用
することもできる。三次元構造にすることにより固定化
が促進されるが、これにより重合体に懸垂される本発明
のアクリジニルアニリン誘導体や検体(溶媒など)の自
由度が制限されないように留意する必要がある。このた
めに、本発明のアクリジニルアニリン誘導体と重合体の
骨格とがある程度の距離を有するようにすることが好ま
しい。例えば、本発明のアクリジニルアニリン誘導体が
重合体の骨格から原子数で3〜25、好ましくは3〜1
0程度の距離を隔てて自由に動けるようなリンカー部分
を有する構造とすることが好ましい。リンカーを構成す
る原子としては、炭素原子、酸素原子、窒素原子などが
あげられるが、炭素原子が極性の点から好ましい。
【0044】本発明のアクリジニルアニリン誘導体と共
重合体を形成するモノマー成分としては、例えばポリエ
チレングリコール−ジメタクリレート(以下、PEGD
MAという。)(n≒9又は16)やポリエチレングリ
コール−モノメタクリレート(以下、PEGMMAとい
う。)(n≒9又は23)等が挙げられる。これらの構
造式を以下に示す。
【化11】
【0045】(式中、nはエチレングリコール単位の繰
り返し数を示す。) これらのモノマー成分はそれぞれ単独であるいは2種以
上適宜組み合わせて用いられるが、丈夫で良質の膜を作
製するためにはPEGDMAを単独で用いるか、PEG
DMAに少量のPEGMMA(n≒23)を組み合わせ
て用いるのが好ましい。KD−F0011とPEGDM
A及び/又はPEGMMAとの重合は、UVの照射によ
る光共重合により行うことができる。KD−F0011
の量は、PEGDMA等のモノマーに対して0.1〜1
0重量%、好ましくは0.2〜5重量%程度であり、具
体的にはPEGDMA単独、又はPEGDMA及びPE
GMMAに対しKD−F0011が0.2重量%と1重
量%の共重合体を得た。得られた、PEGDMA(n≒
9)に対しKD−F0011が1重量%の共重合体の各
種溶媒における吸光スペクトルを図32に示す。また、
得られた共重合体の蛍光特性を検討した結果を図33に
示す。
【0046】図33は、種々の水分含有量を有するTH
Fにおける、404nmで励起したPEGDMA膜に固
定化されたKD−F0011の蛍光スペクトルである。
図33における各スペクトルは上から順に、水分含有量
が0.00v/v%のもの、0.05v/v%のもの、
0.10v/v%のもの、0.15v/v%のもの、
0.25v/v%のもの、0.35v/v%のもの、
0.50v/v%のもの、0.74v/v%のもの、
0.99v/v%のもの、1.96v/v%のもの、
2.91v/v%のもの、4.76v/v%のもの、
6.54v/v%のもの、9.09v/v%のものをそ
れぞれ示している。
【0047】固定化されていないKD−F0011と同
様に、固定化したKD−F0011も、水分含有量の増
加に応じて蛍光強度の低下が観察された。固定化された
KD−F0011が、固定化により水素結合の形成能や
ICT状態からの蛍光発生能に格別の影響を受けないこ
とが明らかとなった。強いて固定化による相違点を挙げ
るとしたら、最大蛍光波長のシフトが固定化により小さ
くなったことである。図34は、水分の含有量と蛍光波
長とを示したものである。図34の黒四角印は固定化さ
れていないKD−F0011を示し、黒丸印は固定化さ
れたKD−F0011を示している。この図から明らか
なように固定化されたKD−F0011では発光バンド
のシフトは固定化されていないものに比べてずっと少な
くなっている。水分の含有量の増加による発光バンドの
長波長シフトは、溶媒の極性の増加によるものであるか
ら、高分子骨格によって固定化された発光分子のミクロ
な環境における極性は、測定される位置の溶媒の状態に
よる影響よりも、高分子骨格による影響を大きく受けて
いると考えられる。
【0048】このような結果は、溶媒中の微量水分を検
出、定量するための化学センサーとしては、実際的には
より好ましいものである。なぜならば、蛍光の波長が水
分の含有量によりシフトしないので、一定の波長(例え
ば、404nm)で励起することにより、一定の波長の
蛍光(例えば、図33、図34によれば532nm)を
測定すれば相対蛍光強度により水分の含有量を知ること
ができるからである。このことはより簡便な測定装置に
より微量水分を検出、定量することができるということ
である。
【0049】また、相対蛍光強度についてみれば、両者
の比較を図35に示す。図35の黒四角印は固定化され
ていないKD−F0011を示し、黒丸印は固定化され
たKD−F0011を示している。図35から、固定化
により感度は少し低下しているようにみえるが、固定化
によりより広範囲の測定が可能ということもできる。
【0050】次に、アルコールについて水と同様な検
出、定量を試みてみた。結果を図36に示す。図36の
黒四角印は水の場合を示し、黒丸印はメタノールの場合
を示し、黒三角印はエタノールの場合を示す。水、メタ
ノール、エタノールの順に感度が低下してきている。こ
れは、水素結合に関与する水素原子の酸性が脂肪族性の
おおきなアルコールになるほど小さくなるからと考えら
れる。しかし、脂肪族性が余り大きくないアルコール
(例えば、メタノールやエタノールなど)であれば、本
発明の方法により検出、定量することができることを示
している。
【0051】以上の実験結果によれば、本発明の方法
は、溶媒、好ましくは非プロトン性溶媒中における微量
水分を極めて高感度でかつ簡便に測定できるものであ
り、本発明のアクリジニルアニリン誘導体が溶媒中の微
量の水分又は低級アルコールを簡便に且つ高感度で検
出、定量する化学センサーとして極めて有用であること
がわかる。さらに、この実験では4個の炭素原子により
高分子骨格との距離を取った(スペーサーとして炭素数
4とした。)ものを使用したが、この結果、本発明の化
学センサーとしてのアクリジニルアニリン誘導体を十分
固定化することができることが示された。また、固定化
により蛍光波長のシフトを少なくすることができ、単一
の蛍光波長を測定することにより、水分の含有量を検
出、定量することができることも示された。そして、K
D−F0011は膜に固定化することで連続水分濃度測
定を可能にした。
【0052】また、以上の結果から、固定化されている
いないに拘わらず、本発明のアクリジニルアニリン誘導
体は水分含量0〜1%の測定に高い精度を示すことが明
らかになった。
【0053】本発明者らは、次に、水分に対する感度を
更に高めるためには、分子内に強い電子吸引基または電
子供与基を導入することにより、極性感度を向上させる
必要があると考え、新たに6−(9−アクリジニル)−
2,2−ジメチル−2,3−ジヒドロ−1H−ペリミジ
ン(以下、KD−F0020という。)を分子設計し
た。KD−F0020はドナー性を高めたことにより、
KD−F0010に比べ水分に対してより高感度になっ
たであろうと考えられた。KD−F0020の機能性評
価を進めていく中で、極性感度は向上したものの、2級
アミンによるKD−F0020どうしの分子間水素結合
が起こり、それが原因で水分に対する感度が低下してい
るのではないかと考えられた。そこで、この問題を回避
するためにKD−F0020をメチル化し、3級アミン
型の6−(9−アクリジニル)−1,2,2,3−テト
ラメチル−2,3−ジヒドロ−1H−ペリミジン(以
下、KD−F0021という。)を設計した。KD−F
0021は膜への固定化ができるサイトが導入されてい
ない。そこでKD−F0021の特性や感度を保持し、
単にオレフィン基を導入した6−(9−アクリジニル)
−2−(3−ブテニル)−1,2,3−トリメチル−
2,3−ジヒドロ−1H−ペリミジン(以下、KD−F
0022という。)を設計した。これらの機能性色素を
用いて各種有機溶媒中の水分濃度の測定を行った。
【0054】実験に用いた溶媒は、THFは、特級TH
F溶液に薄く切り刻んだ金属ナトリウムと、指示薬であ
るベンゾフェノンを入れ、窒素置換下で蒸留したものを
無水試薬として用いた。ジエチルエーテル、酢酸エチ
ル、ジクロロメタン、アセトンについては、塩化カルシ
ウムで脱水した後に蒸留し、モレキュラーシーブスの入
った瓶に1日以上保存したものを無水試薬とした。アセ
トニトリルおよびエタノールについては蛍光分析用の特
級試薬を使用し、塩化カルシウムで脱水したものを無水
試薬とした。水はイオン交換水を使用した。このように
して調製したTHFに、KD−F0020は1.8×1
−4M、KD−F0021及びKD−F0022は
6.0×10−5Mとなるように溶解し、溶液調製後、
溶媒中に存在する酸素による消光を避けるため、超音波
洗浄機で5分間脱気した溶液を試料として、これらの溶
液の吸収スペクトルを測定した後、それぞれの励起波長
における蛍光スペクトル変化を測定した。なお、吸光光
度計及び蛍光光度計は先に使用したものと同じものを使
用した。
【0055】KD−F0020、KD−F0021、K
D−F0022を溶解したTHF中の水分濃度変化によ
る吸収スペクトルを図37,図38及び図39にそれぞ
れ示す。なお、THF中の水分濃度は、それぞれ以下の
ように変化させた。 KD−F0020; 0.00, 0.10, 0.2
5, 0.50,1.00, 2.00, 5.00,
10.0%(v/v) KD−F0021; 0.00, 0.01, 0.0
2, 0.05,0.075, 0.10, 0.1
5, 0.25,0.35, 0.50, 0.75,
1.00, 2.00, 5.00,10.0%(v/
v) KD−F0022; 0.00, 0.01, 0.0
5, 0.10,0.25, 0.50, 1.00,
5.00% (v/v) 水分濃度が増加しても、吸収スペクトルはほとんど変化
しなかった。この理由はFranck-Condon理論によるもの
であると考えられる。つまり、色素分子のほとんどの分
子は基底状態で分極しておらず、光吸収が起こることに
よって励起状態で分極する。この光で励起されたとき電
子状態の変化に要する時間は約10〜15秒と瞬時であ
る。このとき極性溶媒中であれば、溶媒分子は色素分子
の分極を打ち消すように移動しようとするが、分子は電
子に比べ動きが鈍いため瞬時の移動は不可能である。す
なわち、基底状態で分極していない分子では、溶媒の極
性変化による状態遷移エネルギーの変化はほとんどな
く、吸収スペクトルに変化は見られないと言える。
【0056】KD−F0020、KD−F0021、K
D−F0022を溶解したTHF中の水分濃度変化によ
る蛍光スペクトルを図40,図41及び図42にそれぞ
れ示す。これらのスペクトルから、水分濃度の増加に伴
って蛍光強度が減少していることが分かる。3つの機能
性色素は先に述べたように、光吸収によって分子内電荷
移動が起こり、励起状態では分極した状態になり、多く
の分子は蛍光発光によって基底状態に遷移する。しか
し、有機溶媒中に水分子が存在すると、色素分子は水分
子と分子間水素結合し、蛍光発光ではなく熱を放出して
遷移する無輻射過程を生じる頻度が多くなるため蛍光消
光が起こる。水分濃度が増加するほど蛍光強度が減少す
るのはこのためである。以下にこのメカニズムを化学式
で示す。
【0057】
【化12】
【0058】3種類の機能性色素についての水分濃度と
相対蛍光強度の関係を図43に示す。また、比較のため
KD−F0010の測定結果も図43に併せて示す。こ
れにより、KD−F0020はKD−F0010に比べ
水分に対する感度が低下していることが分かる。これは
下式に示すようにKD−F0020の2級アミンによる
色素分子同士の分子間水素結合が原因と考えられる。
【0059】
【化13】
【0060】一方、メチル化したKD−F0021およ
びKD−F0022については、水分濃度0.00%の
ときに比べ0.01%では蛍光強度が約90%、0.0
5%では約75%へと減少していることから、ドナー性
を高めたことでKD−F0010に比べ水分に対する感
度が明らかに向上していると言える。
【0061】また、有機溶媒を酢酸エチルおよびジクロ
ロメタンに変え、機能性色素にはKD−F0021を用
いて水分濃度変化に伴う吸収・蛍光スペクトル変化を測
定した結果を図44、45及び図46、47にそれぞれ
示す。なお、各溶媒中の水分濃度はそれぞれ下記の通り
である。 酢酸エチル: 0.00%, 0.01%, 0.02
%, 0.05%,0.075%, 0.10%,
0.15%,0.025%, 0.35%, 0.50
%, 0.75%,1.0%, 2.0%, 5.0
%, 10.0%(v/v) ジクロロメタン:0.00%, 0.01%, 0.0
2%, 0.05%,0.075%, 0.10%,
0.17%, 0.50%,1.0%, 5.0%(v
/v) これらの場合もやはり吸収スペクトル変化は、溶媒およ
び溶媒中の水分濃度を変化させてもほとんど見られなか
った。一方、微量水分濃度変化に伴う蛍光スペクトル変
化は、酢酸エチルおよびジクロロメタン中でも顕著に見
られた。THF、酢酸エチル、ジクロロメタン中の水分
濃度と相対蛍光強度の関係を図48に示す。水分濃度が
増加するにつれ、溶媒によって相対蛍光強度変化に差が
出てくるのは、ジクロロメタンは0.17%(v/
v)、酢酸エチルは2.94%(v/v)までの水とし
か混ざり合わないからであり、その値に達すると蛍光強
度が一定になると考えられる。図48からは、0.00
%〜0.10%あたりの微量水分では、3種類の溶媒中
でほぼ同じ感度を示していると読み取れる。このことか
ら、KD−F0021は様々な有機溶媒中での微量水分
濃度測定が可能であると言える。
【0062】これらの結果を用い、KD−F0021の
各種有機溶媒中の水分検出限界を求めた。検出限界の求
め方は以下に示すとおりである。THF中にKD−F0
021を6.00×10−5Mとなるよう溶解し、同じ
サンプルで10回蛍光スペクトルを測定した。10回の
極大蛍光強度の平均値より、相対標準偏差を求めたとこ
ろ約0.5104と得られた。検出限界をノイズの3倍
と定め、水分濃度0.00%のときの相対蛍光強度を1
00とすると、検出限界の相対蛍光強度は 100−3×0.5104≒98.47 と求められた。実験結果をもとに、それぞれの溶媒で直
線性が得られる水分濃度範囲において、Stern-Volmerプ
ロットを作成した(図49)。これにより得られたSter
n-Volmerの式は THF F/F = 12.37 [HO]+1 酢酸エチル F/F = 11.30 [HO]+1 ジクロロメタン F/F = 6.755 [HO]+1 であった。ノイズは全ての溶媒中での測定で等しいと仮
定すると、これらの式より検出限界はTHF中で0.0
023%、酢酸エチル中で0.0025%、ジクロロメ
タン中で0.0042%と求められた。KD−F002
2はKD−F0021にオレフィン基を導入した構造変
化のみであるから、水分に対する感度つまり検出限界は
KD−F0021とほぼ同じであると思われる。即ち、
これらのアクリジン誘導体を化学センサーとする本発明
の方法によれば、蛍光光度計という簡便な装置を用い、
様々な有機溶媒中で0.005%未満の微量水分濃度測
定を行うことができることから、これらのアクリジン誘
導体は、検体中の水分含有量を簡便に且つ高感度で検
出、定量するための化学センサーとして極めて有用であ
ると云うことが出来る。
【0063】本発明は検体中の微量の水や低級アルコー
ルなどを検出、定量するための化学センサーとしてのア
クリジン誘導体を提供するものである。本発明のアクリ
ジン誘導体は、電子供与基としての部分、例えばアニリ
ン部分又は2,3−ジヒドロ−1H−ペリミジン部分等
と電子受容基としてのアクリジン部分とを有するもの
で、これらのアニリン部分又は2,3−ジヒドロ−1H
−ペリミジン部分等とアクリジン部分とが同じ平面構造
を維持することができるもので有ればよく、より具体的
には例えば前記の一般式(I)で示されるものが好まし
い。
【0064】一般式(I)におけるRとしては、例えば
一般式(II)
【化14】 (式中、R、R及びRはそれぞれ独立して水素原
子又は有機残基を示す。)で示される基や、例えば一般
式(III)
【化15】 (式中、R、R10、R11、R12及びR13はそ
れぞれ独立して水素原子又は有機残基を示す。)で示さ
れる基等が挙げられる。
【0065】一般式(I)、(II)及び(III)におけ
る、R、R、R、R、R、R10、R11
12及びR13はそれぞれ独立して水素原子又は有機
残基であり、有機残基としては検体中の極性の変化によ
る蛍光強度の変化や吸収波長の変化に悪影響を与えない
基であれば高分子量のものであっても低分子量のもので
あっても特に制限はないが、アクリジニルアニリン系又
はアクリジニルペリミジン系の平面構造を阻害するよう
な基やアクリジニルアニリン系又はアクリジニルペリミ
ジン系に共役して吸収波長を大きくシフトさせるような
基は好ましくない。また、水素結合が可能な水素原子を
有さず、極性の大きな基を持たないものが好ましい。
【0066】R、R、R、R、R、R10
11、R12及びR13の好ましい有機残基として
は、フェニルアクリジン骨格又はペリミジルアクリジン
骨格に共役し得るπ電子系を形成しない有機基が挙げら
れ、より好ましい有機残基としては置換基を有していて
もよい炭化水素基が挙げられる。また、好ましい炭化水
素基としてはアルキル基又はアルケニル基が挙げられ
る。フェニルアクリジン骨格又はペリミジルアクリジン
骨格に共役し得るπ電子系を形成しない有機基として
は、アニリン部分又はペリミジン部分の窒素原子の孤立
電子対やベンゼン環又はペリミジン環のπ電子系に共役
し得る隣接するπ電子を持たない基であればよい。アニ
リン部分又はペリミジン部分の窒素原子の孤立電子対や
ベンゼン環又はペリミジン環のπ電子系に共役し得る隣
接するπ電子を持つ基であってもよいが、これにより吸
収波長や蛍光波長が大きくシフトするものは好ましくな
い。また、有機残基としては高分子量のものであっても
よく、例えば高分子骨格に懸垂された基が挙げられ、当
該高分子骨格としてはアクリル酸又はメタクリル酸の誘
導体とアルケニル側鎖などとの共重合体が挙げられる。
さらに、ベンゼン環に置換する基Rやペリミジン環に
置換する基R13並びにアクリジン環に置換する基R
においては、本発明の好ましい有機残基としては、炭化
水素以外に、酸素や窒素などの炭素以外の原子を有する
ものでも良いし、また、必ずしも炭素原子を有するもの
でなくてもよい場合もある。このような基としては、例
えば、メトキシ基,エトキシ基等のアルコキシ基、アセ
チルオキシ基,プロピオニルオキシ基等のアシルオキシ
基、アセチルアミノ基,プロピオニルアミノ基等のアシ
ルアミノ基、アセチル基,プロピオニル基等のアシル
基、シアノ基、アミド基、ニトロ基、例えば塩素,臭素
等のハロゲン原子などの置換基が挙げられる。
【0067】R、R、R、R、R、R10
11、R12及びR13の炭化水素基として好ましい
具体例を例示すれば、炭素数1〜30、好ましくは1〜
20、より好ましくは1〜10の直鎖状又は分枝状のア
ルキル基、より好ましくは低級アルキル基、炭素数3〜
30、好ましくは5〜20、より好ましくは6〜20の
直鎖状又は分枝状のアルケニル基、より好ましくは低級
アルケニル基、炭素数5〜30、好ましくは5〜20、
より好ましくは6〜10の単環、多環又は縮合環式のシ
クロアルキル基、前記したシクロアルキル基であって少
なくとも1個以上の不飽和結合を有するシクロアルケニ
ル基、前記したアルキル基又はアルケニル基に炭素数6
〜30、好ましくは6〜20、より好ましくは6〜10
の単環、多環又は縮合環式のアリール基が結合したアラ
ルキル基などが挙げられる。これらの炭化水素基は相互
に又は他の官能基で置換されていてもよい。
【0068】また、R、R、R、R、R、R
10、R11、R12及びR13の有機残基としてはそ
のいずれか一方または両方が高分子骨格に懸垂された基
であってもよい。高分子骨格としては付加重合体の骨格
であっても、縮合重合体の骨格であってもよい。好まし
い高分子骨格としてはアクリル酸誘導体、メタクリル酸
誘導体からなる共重合体の骨格が挙げられるがこれに限
定されるものではない。したがって、高分子骨格に懸垂
される基としては、前記した高分子骨格に原子数で3〜
25、好ましくは3〜10程度の距離を隔てて自由に動
けるようなリンカー部分を有する基が好ましい。リンカ
ーを構成する原子としては、炭素原子、酸素原子、窒素
原子などがあげられるが、炭素原子が極性の点から好ま
しく、より具体的には低級アルキレン基が好ましい。
【0069】好ましいR、R、R、R、R
10、R11、R12及びR13の有機残基をより具
体的に例示すれば、メチル基、エチル基、プロピル基な
どの低級アルキル基、3−ブテニル基、5−ヘキセニル
基、6−ヘプテニル基、7−オクテニル基などのアルケ
ニル基などが挙げられる。また、前記したアルケニル基
の不飽和基と重合性の炭素−炭素二重結合を有するモノ
マー(例えば、アクリル酸エステル、メタクリル酸エス
テルなど)とが共重合して形成される高分子骨格に懸垂
された基を挙げることができる。
【0070】また、本発明は検体中の微量の水や低級ア
ルコールなどを検出、定量するための化学センサーとし
て有用な新規なアクリジニルアニリン誘導体及び新規な
アクリジニルペリミジン誘導体を提供するものである。
より具体的には本発明の新規なアクリジニルアニリン誘
導体は、前記した一般式(IV)で示される化合物であ
り、アクリジニルペリミジン誘導体は前記した一般式
(V)で示される化合物である。
【0071】一般式(IV)におけるRは前記した低級
アルキル基であり、例えばメチル基、エチル基などであ
り、Rは前記したフェニルアクリジン骨格に共役し得
るπ電子系を形成しない不飽和結合を有する基又は高分
子骨格に懸垂された基である。フェニルアクリジン骨格
に共役し得るπ電子系を形成しない不飽和結合を有する
基としては、前記したアルケニル基、シクロアルケニル
基やこれらの基にアルキル基やたの官能基が置換してい
てもよい基などが挙げられる。また、高分子骨格に懸垂
された基としては前記したもの等が挙げられる。また、
、Rは水素原子又は炭化水素基であり、炭化水素
基としては前記したアルキル基、アルケニル基、シクロ
アルキル基、シクロアルケニル基などが挙げられる。
【0072】一般式(V)におけるR、R10、R
11は、好ましくは前記した低級アルキル基であり、例
えばメチル基、エチル基などであり、R12は、好まし
くは前記した、例えばメチル基、エチル基などの低級ア
ルキル基又は前記したペリミジルアクリジン骨格に共役
し得るπ電子系を形成しない不飽和結合を有する基又は
高分子骨格に懸垂された基である。ペリミジルアクリジ
ン骨格に共役し得るπ電子系を形成しない不飽和結合を
有する基としては、前記したアルケニル基、シクロアル
ケニル基やこれらの基にアルキル基や他の官能基が置換
していてもよい基などが挙げられる。また、高分子骨格
に懸垂された基としては前記したもの等が挙げられる。
また、R、R13は水素原子又は有機残基であり、有
機残基としては前記したアルキル基、アルケニル基、シ
クロアルキル基、シクロアルケニル基などの炭化水素基
や先に挙げた如きその他の置換基が挙げられる。
【0073】一般式(IV)で示される本発明の新規な化
合物は前記した方法に準じて製造することが出来る。ま
た、一般式(V)で示される本発明の新規な化合物は例
えば下記の化学式で示される方法により製造することが
出来る。
【0074】KD−F0020の合成
【化16】
【0075】KD−F0021の合成
【化17】
【0076】KD−F0022の合成
【化18】
【0077】
【実施例】次に、実施例により本発明をより具体的に説
明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるもので
はない。
【0078】実施例1(4−(9−アクリジニル)−N
−(5−ヘキセニル)−N−メチルアニリン(KD−F
0011)の製造) (1) 5−ヘキセン−1−オール(5.00g,4
9.9mmol)とトルエンスルホニルクロライド
(7.93g,41.6mmol)の50mlクロロホ
ルム溶液を氷冷下で攪拌しながら、ピリジン(7.58
g,95.8mmol)を少しずつ加えた。すべてのピ
リジンを加えた後、室温に戻しさらに3時間攪拌反応さ
せた。反応終了後、氷冷下で薄い塩酸を加えた。その
後、分液ロートに移し水で3回分液をした後に、有機相
を芒硝で乾燥させた後減圧乾燥させた。その後、ヘキサ
ン:酢酸エチル=3:1でカラムから分離し、(6−ト
シルオキシ)−1−ヘキセンを8.72g、収率82%
で得た。以下にH−NMRのデータを示す。 H-NMR(270MHz,CDCl) δ(ppm)=1.35-1.47(m,-CH
-,2H),1.55-1.71(m,-CH-,2H),1.96-2.05(m,-CH-C
H=,2H),2.45(s,Ar-CH,3H),4.03(t,-OCH-,2H),4.92-
5.00(m,=CH,2H),5.64-5.79(m,-CH=,1H),7.35(d,Ar-H,
2H),7.81(d,Ar-H,2H).
【0079】(2) N−メチルアニリン(2.53
g,23.6mmol)を25mlのTHFに溶かし、
滴下ロートで10mlTHF中のNaH(2.36g,
59.0mmol)を加え、5分間攪拌させた後、滴下
ロートで15mlのTHFに溶かした(6−トシルオキ
シ)−1−ヘキセン(6.00g,23.6mmol)
を加え80℃で80分反応させた。反応終了後、メタノ
ールを加えNaHをつぶした後、芒硝で乾燥させた後、
減圧乾燥させたその後、ヘキサン:酢酸エチル=9:1
でカラムにより分離し、N−(5−ヘキセニル)−N−
メチルアニリンを3.45g、収率77%で得た。以下
H−NMRのデータを示す。 H-NMR(270MHz,CDCl) δ(ppm)=1.35-1.50(m,-CH
-,2H),1.52-1.63(m,-CH-,2H),2.02-2.12(m,-CH-C
H=,2H),2.90(s,N-CH,3H),3.29(t,N-CH-,2H),4.92-
5.04(m,=CH,2H),5.72-5.87(m,-CH=,1H),6.63-6.70(m,
Ar-H,3H),7.17-7.24(m,Ar-H,2H).
【0080】(3) N−(5−ヘキセニル)−N−メ
チルアニリン(0.68g,3.5mmol)と9(1
0H)−アクリドン(0.84g,5.5mmol)と
オキシ塩化リンを触媒及び溶媒に使うため5mlほど加
え20mlフラスコで、50℃から60℃で3時間反応
させた。その後、pH1の薄い塩酸をゆっくり加えて余
分のオキシ塩化リンをつぶした。その後、アンモニア水
を加え溶液を中性にした後、クロロホルムを加えてNa
HCO溶液、NaCl溶液、水でそれぞれ一回づつ分
液し、有機相を芒硝で乾燥させた後、減圧乾燥させた。
ヘキサン:酢酸エチル=3:1でカラムから分離し、減
圧乾燥させた後、リサイクロ液体クロマトグラムで分離
精製し、4−(9−アクリジニル)−N−(5−ヘキセ
ニル)−N−メチルアニリンを357mg、収率27.
8%で得た。なお、溶媒はクロロホルムで行った。以下
H−NMRのデータを示す。 H-NMR(300MHz,CDCl) δ(ppm)=1.48-1.53(m,-CH
-,2H),1.70-1.75(m,-CH-,2H),2.13-2.20(m,-CH-C
H=,2H),3.07(s,N-CH,3H),3.45(t,N-CH-,2H),4.98-
5.09(m,=CH2,2H),5.81-5.90(m,-CH=,1H),6.87-6.90(m,A
r-H,2H),7.30-7.33(m,Ar-H,2H),7.39-7.44(m,Ar-H,2H),
7.72-7.78(m,Ar-H,2H),7.89-7.92(m,Ar-H,2H),8.25(d,A
r-H,2H).
【0081】実施例2(固定化KD−F0011の製
造) 実施例1で得たKD−F0011(1wt%)と、ベン
ゾインメチルエーテル(3wt%)と、ポリ(エチレン
グリコール)ジメタクリレート(96wt%)とを前記
の組成で混合した後、超音波洗浄機で溶解させた。カバ
ーグラスを両サイドに置き混合した溶液を中心に一滴た
らした後、石英ガラスをつけ窒素封入下でUVランプで
3時間光共重合させた後、メタノール中に一晩つけ、重
合しなかった色素を洗い流し、膜厚170μmぐらいの
膜を得た。
【0082】実施例3(4−(9−アクリジニル)−
N,N−ジメチルアニリン(KD−F0010)の製
造) N,N−ジメチルアニリン(1)(16.6mmol、
2.01g;東京化成;M=121.18)と9(10
H)−アクリドン(2)(6.59mmol、1.01
g;Aldrich製;M=195.22)とオキシ塩
化りん(6.56mmol、0.6ml、純正化学製;
M=153.35)を50mlフラスコに入れ3時間オ
イルバスで65℃で撹拌し反応させた。反応終了後、p
H1の薄い塩酸を約50mlをゆっくり加えて余分のオ
キシ塩化りんをつぶした後、飽和酢酸ナトリウム水溶液
約100mlをpHが9以上になるまで加えると黄色い
固体が析出した。これをろ過して黄色い結晶を得た。こ
の結晶に酢酸を加えると赤色を示して溶解したが、これ
に水を加えpHが十分に低いことを確認した後、ろ過し
た。このろ液にアンモニア水を加えると黄色い固体が析
出した。この結晶を12時間デシケーターで乾燥させ
た。乾燥したこの結晶を500mlナスフラスコに入
れ、まずへキサンを約300mlその後この結晶に対し
て溶解度の高い溶媒であるクロロホルムを約100ml
加える形で再結晶化して4−(9−アクリジニル)−
N,N−ジメチルアニリン(3.22mmol、0.9
61g;M=298.38)(KD−F0010)を収
率48.9%で得た。以下にH−NMRのデータを示
す。 H-NMR(300MHz,CDCl) δ(ppm)=3.03(s,N-CH,6
H) ,6.92-6.95(d,Ar-H,2H),7.32-7.35(d,Ar-H,2H),7.40
-7.44(m,Ar-H,2H),7.72-7.78(m.Ar-H,2H),7.86-7.89(d,
Ar-H,2H),8.24-8.27(d,Ar-H,2H).
【0083】実施例4(KD−F0010を用いた吸光
スペクトルの測定) THF・アセトニトリル・酢酸エチル・ジエチルエーテ
ル・ジクロロメタンの5つの溶媒に各々KD−F001
0を4×10‐5mol/Lとなるように溶解させその
水分濃度を変えて吸光光度計(HITACHI U‐2
000)を用いて測定した。実験に用いた溶媒は、基本
的に全て蒸留し、モルキュラシーブの入った瓶に一日以
上保管したものを用いた。ただし、アセトニトリルは蒸
留を行わず、モルキュラシーブで乾燥させた特級溶媒を
用いた。結果を図4及び表1に示す。
【0084】実施例5(KD−F0010を用いた蛍光
スペクトルの測定) THF・アセトニトリル・酢酸エチル・ジエチルエーテ
ル・ジクロロメタンの5つの溶媒に各々KDF−001
0を4×10−5Mとなるように溶解させその水分濃度
を変えて蛍光光度計(HITACHI F−2000)
を用いて、励起波長398nmにおける蛍光スペクトル
変化を測定した。実験に用いた溶媒は、基本的に全て蒸
留し、モレキュラシーブの入った瓶に1日以上保存した
ものを用いた。ただし、アセトニトリルは蒸留を行わ
ず、モレキュラシーブで乾燥させた特級溶媒を用いた。
結果を図5に示す。
【0085】実施例6(KD−F0011を用いた吸光
スペクトルの測定) 一般式(IV)中のRがメチル基で、Rがヘキセニル
キ基で、R及びRが水素原子である4−(9−アク
リジニル)−N―(5−ヘキセニル)−N−メチルアニ
リンをテトラヒドロフラン中4×10−5Mの濃度に溶
解し、水分濃度0〜5%の吸光波長を測定した。結果を
図29に示す。
【0086】実施例7(KD−F0011を用いた蛍光
スペクトルの測定) 一般式(IV)中のRがメチル基で、Rがヘキセニル
キ基で、R及びRが水素原子である4−(9−アク
リジニル)−N−(5−ヘキセニル)−N−メチルアニ
リンをテトラヒドロフラン中4×10−5Mの濃度に溶
解し、404nmの光源で励起し、0〜5%の間で水分を
変化した時の蛍光強度比と水分濃度を示す。結果を図3
0に示す。
【0087】実施例8(固定化KD−F0011を用い
た吸光スペクトルの測定) 実施例2で得られた4−(9アクリジニィル)−N―
(5−ヘキセニィル)−N−メチルアニリンの共重合体
中濃度は1%である。これをテトラヒドロフラン中で水
分濃度約0〜10%の吸光スペクトルを測定した。結果
を図32に示す。
【0088】実施例9(固定化KD−F0011を用い
た蛍光スペクトルの測定) 実施例2で得られた4−(9−アクリジニル)−N−
(5−ヘキセニル)−N−メチルアニリンの共重合体中
濃度は1%である。これをテトラヒドロフラン中で、4
04nmの光源で励起し、0〜5%の間で水分を変化した
時の蛍光強度を測定した。種々の水分濃度における相対
蛍光強度を算出して、結果を図33に示す。
【0089】実施例10 実施例2で得られた4−(9−アクリジニル)−N―
(5−ヘキセニル)−N−メチルアニリンの共重合体中
濃度は1%である。これをテトラヒドロフラン中で励起
波長404nmでの水分、メタノール、エタノール濃度
約0〜5%の蛍光スペクトルを測定した。これらの蛍光
波長532nmの相対蛍光強度を図36に示した。
【0090】実施例11(4−(9−アクリジニル)−
N−(5−ヘキセニル)−N−メチルアニリン(KD−
F0011)の製造) (1)p−トルエンスルホニルクロライド(7.932
g,41.1mmol)、5−ヘキセン−1−オール
(6.00g,59.88mmol)をクロロホルム1
00ml中に加え、氷冷攪拌下でピリジン(9.58
g,121.08mmol)をゆっくり滴下した。滴下
後は室温に戻し、19時間攪拌した。反応終了後、室温
攪拌下で蒸留水40ml、濃塩酸14mlを加えた。ク
ロロホルム層を芒硝乾燥後、溶媒を減圧留去し、無色透
明な液体を得た。シリカゲルクロマトグラフィー(溶離
液;ヘキサン:酢酸エチル=3:1)で分離精製し、
(6−トシルオキシ)−1−ヘキセン9.897gを透
明液体として得た(収率93.1%)。以下にH−N
MRのデータを示す。 H-NMR (300MHz, CDCl) δ(ppm)=1.41(m, 2H, -CH
-),1.67(m, 2H, -CH-), 2.01(m, 2H, -CH-),2.45
(s, 3H, Ar-CH), 4.03(t, 2H, O-CH-), 4.95(m, 2
H, =CH),5.81(m, 1H, -CH=), 7.35(d, 2H, =CH),
7.78(d, 2H, Ar-H).
【0091】(2) N−メチルアニリン(2.53
g,23.6mmol)にヘキサンで洗浄した水素化ナ
トリウム(2.36g,59.0mmol)を加え、蒸
留済THF120ml、(6−トシルオキシ)−1−ヘ
キセン(6.00g,23.6mmol)を滴下し、窒
素を流しながら70℃で22時間攪拌した。反応終了
後、未反応の水素化ナトリウムを処理した後、蒸留水を
加えてクロロホルムで抽出した。芒硝乾燥後、溶媒を減
圧留去し、黄色の液体を得た。シリカゲルクロマトグラ
フィー(溶離液;ヘキサン:酢酸エチル=12:1)で
分離精製し、N−(5−ヘキセニル)−N−メチルアニ
リン3.8gを黄色液体として得た(収率84.8
%)。以下にH−NMRのデータを示す。 H-NMR (300MHz, CDCl) δ(ppm)=1.41(m, 2H, -CH
-),1.59(m, 2H, -CH-), 2.92(m, 3H, N-CH),3.30
(t, 2H, N-CH), 4.98(m, 2H, =CH), 5.81(m, 1H, C
H=),6.69(m, 3H, Ar-H), 7.21(m, 2H, Ar-H).
【0092】(3) N−(5−ヘキセニル)−N−メ
チルアニリン(2.14g、11.3mmol)にアク
リドン(2.64g,17.3mmol)を加え、触媒
としてオキシ塩化リンを用いて、50℃で2.5時間攪
拌した。氷冷攪拌下でpH1の塩酸を加えてオキシ塩化
リンを潰した後、アルカリ性になるまで25%アンモニ
ア水溶液を滴下した。炭酸水素ナトリウム飽和水溶液を
加えてクロロホルムで抽出し、芒硝乾燥した。溶媒を減
圧留去し、黄色の固体を得た。シリカゲルクロマトグラ
フィー(溶離液;ヘキサン:酢酸エチル=3:1)で分
離精製後、さらにリサイクル液体クロマトグラフィーで
分離精製し、4−(9−アクリジニル)−N−(5−ヘ
キセニル)−N−メチルアニリン(KD−F0011)
0.636gを黄色の固体として得た(収率48%)。
以下にH−NMRのデータを示す。 H-NMR (300MHz, CDCl) δ(ppm)= 1.54(m, 2H, -C
H-),1.72(m, 2H, -CH-), 2.17(m, 2H, -CH-),3.0
8(s, 3H, N-CH),3.45(t, 2H, N-CH-), 5.02(m, 2H,
=CH),5.86(m, 1H, -CH=),6.89(m, 2H, Ar-H), 7.30
(m, 2H, Ar-H),7.42(m, 2H, Ar-H),7.75(m, 2H, Ar-H),
7.91(m, 2H, Ar-H),8.25(d, 2H, Ar-H).
【0093】実施例12(6−(9−アクリジニル)−
2,2−ジメチル−2,3−ジヒドロ−1H−ペリミジ
ン(KD−F0020)の製造) (1) 1,8−ジアミノナフタレン(40mmol,
6.33g)をアセトン(150mmol,8.71
g)及びジクロロメタン100ml中に加え、触媒とし
てp−トルエンスルフォン酸20mgを用い、24時間
還流した。反応終了後、セライトを用いてモレキュラー
シーブスを取り除いた後、溶媒を減圧留去し、得られた
残渣に飽和食塩水を加えてジクロロメタンで抽出した。
芒硝乾燥後、有機層を吸引濾過し、溶媒を減圧留去後、
紫色のオイル状化合物を得た。エタノールに溶解後、塩
酸を少量加え塩を生成させ、エーテルを加えて濾過し
た。メタノールで再結晶し、水および水酸化ナトリウム
を加えて酢酸エチルで抽出した。芒硝乾燥後、溶媒を減
圧留去した。単品で紫色の固体である2,2−ジメチル
−2,3−ジヒドロ−1H−ペリミジン2.72gを得
た(収率34%)。以下に H−NMRのデータを示
す。 H-NMR (270MHz, CDCl) δ(ppm)=1.49(s, 6H, -CH
),3.66-3.79(br, 2H, -NH),6.47(d, 2H, Ar-H), 7.19
(m, 4H, Ar-H).
【0094】(2) 実施例11の(3)において、N
−(5−ヘキセニル)−N−メチルアニリンの代わりに
2,2−ジメチル−2,3−ジヒドロ−1H−ペリミジ
ン(2.20g,11.1mmol)を用い、実施例1
1の(3)と同様にして反応及び後処理を行い、オレン
ジ色の結晶を得た。酢酸エチルで洗浄した結晶を海砂に
吸着させ、シリカゲルクロマトグラフィー(溶離液;ヘ
キサン:酢酸エチル=3:1)で分離精製した後、さら
にシリカゲルクロマトグラフィー(溶離液;ヘキサン:
酢酸エチル=1:2)で分離精製し、最終目的化合物で
ある6−(9−アクリジニル)−2,2−ジメチル−
2,3−ジヒドロ−1H−ペリミジン(KD−F002
0)47.4mgを得た(収率2.8%)。以下に
−NMRのデータを示す。 H-NMR (300MHz, CDCl) δ(ppm)=1.64(s, 6H, -CH
-),4.46-4.47(br, 2H, -NH), 6.29(d, 1H, Ar-H), 6.
48(d, 1H, Ar-H),6.68(d, 1H, Ar-H), 6.99(t, 1H, Ar-
H),7.22(d, 1H, Ar-H),7.33(m, 2H, Ar-H), 7.63(d, 2
H, Ar-H),7.75(m, 2H, Ar-H),8.32(d, 2H, Ar-H).
【0095】実施例13(6−(9−アクリジニル)−
1,2,2,3−テトラメチル−2,3−ジヒドロ−1
H−ペリミジン(KD−F0021)の製造) (1) 1,8−ジアミノナフタレン(7.00g,4
4.3mmol)をアセトン(7.897g,96.3
mmol)中に加え、触媒としてp−トルエンスルホン
酸0.4gを用いて、50℃で1時間攪拌した後、室温
に戻して一晩攪拌した。反応終了後、反応物を分離精製
せずに、そのまま次の反応に用いた。 (2) 上記(1)の反応物にヨウ化メチル26.97
g、炭酸カリウム26.97g、アセトン50ml、蒸
留水10mlを加えて、60℃で2時間攪拌した後、ヨ
ウ化メチル6.743g、アセトン20mlを加え、さ
らに2時間攪拌した。反応終了後、溶媒を減圧留去し、
飽和食塩水および蒸留水を加えてエーテルで抽出した。
芒硝乾燥後、赤黒いオイル状化合物を得た。シリカゲル
クロマトグラフィー(溶離液;ヘキサン:酢酸エチル=
4:1)で精製分離し、1,2,2,3−テトラメチル
−2,3−ジヒドロ−1H−ペリミジン1.56gを深
緑色の液体として得た(収率15.6%)。以下に
−NMRのデータを示す。 H-NMR (300MHz, CDCl) δ(ppm)=1.41(s, 6H, -CH
),2.95(s, 6H, N-CH), 6.60(d, 2H, Ar-H),7.21(d,
2H, Ar-H),7.33(t, 2H, Ar-H).
【0096】(3) 実施例11の(3)において、N
−(5−ヘキセニル)−N−メチルアニリンの代わりに
1,2,2,3−テトラメチル−2,3−ジヒドロ−1
H−ペリミジン(1.35g,5.95mmol)を用
い、実施例11の(3)と同様にして反応及び後処理を
行い、紫色の固体を得た。後処理後、分離精製も実施例
11の(3)と同様の手順で行い、(6−(9−アクリ
ジニル)−1,2,2,3−テトラメチル−2,3−ジ
ヒドロ−1H−ペリミジン(KD−F0021)0.3
8gをオレンジ色の固体として得た(収率61%)。以
下にH−NMRのデータを示す。 H-NMR (300MHz, CDCl) δ(ppm)=1.55(s, 6H, -CH
),3.03(s, 3H, N-CH), 3.11(s, 3H, N-CH),6.36
(d, 1H, Ar-H),6.61(d, 1H, Ar-H), 6.78(d, 1H, Ar-
H),7.08(t, 1H, Ar-H),7.81(m, 3H, Ar-H), 7.59(d, 2
H, Ar-H)7.74(m, 2H, Ar-H),8.29(d, 2H, Ar-H).
【0097】実施例14(6−(9−アクリジニル)−
2−(3−ブテニル)−1,2,3−トリメチル−2,
3−ジヒドロ−1H−ペリミジン(KD−F0022)
の製造) (1) 1,8−ジアミノナフタレン(7.00g,4
3.4mmol)、5−ヘキセン−2−オン(13.3
4g,96.3mmol)にp−トルエンスルホン酸
0.35gを加え、50℃で1時間攪拌した後、室温に
戻して一晩攪拌した。反応終了後、反応物を分離精製せ
ずに、次の反応に用いた。 (2) 実施例13の(2)において、2,2−ジメチ
ル−2,3−ジヒドロ−1H−ペリミジンの代わりに上
記(1)の反応物を用い、実施例13の(2)と同様に
して反応及び後処理を行い、赤黒いオイル状化合物を得
た。シリカゲルクロマトグラフィー(溶離液;ヘキサ
ン:酢酸エチル=9:1)で精製分離し、2−(3−ブ
テニル)−1,2,3−トリメチル−2,3−ジヒドロ
−1H−ペリミジン0.97gを深緑色の液体として得
た(収率21.2%)。以下にH−NMRのデータを
示す。 H-NMR (300MHz, CDCl) δ(ppm)=1.28(s, 3H, -CH
),1.98(m, 2H, -CH-), 2.20(m, 2H, -CH-),2.93
(s, 6H, N-CH),5.00(m, 2H, =CH), 5.80(m, 1H, -C
H=),6.53(d, 2H, Ar-H),7.15(d, 2H, Ar-H), 7.30(t, 2
H, Ar-H).
【0098】(3) 実施例11の(3)において、N
−(5−ヘキセニル)−N−メチルアニリンの代わりに
2−(3−ブテニル)−1,2,3−トリメチル−2,
3−ジヒドロ−1H−ペリミジン(1.35g,5.0
7mmol)を用い、実施例11の(3)と同様にして
反応及び後処理を行い、紫色の固体を得た。後処理も実
施例11の(3)と同様の手順で行い、オレンジ色の固
体を得た。シリカゲルクロマトグラフィー(溶離液;ヘ
キサン:酢酸エチル=3:2)で分離精製し、6−(9
−アクリジニル)−2−(3−ブテニル)−1,2,3
−トリメチル−2,3−ジヒドロ−1H−ペリミジン
(KD−F0022)0.77gをオレンジ色の固体と
して得た(収率94%)。以下にH−NMRのデータ
を示す。 H-NMR (300MHz, CDCl) δ(ppm)=1.40(s, 3H, -CH
),2.16(m, 2H, -CH-), 2.31(m, 2H, -CH-),3.02
(s, 3H, N-CH),3.08(s, 3H, N-CH), 5.08(m, 2H, =
CH),5.90(m, 1H, -CH=),6.33(d, 1H, Ar-H), 6.57(d,
1H, Ar-H),6.75(d, 1H, Ar-H),7.08(t, 1H, Ar-H), 7.
32(m, 3H, Ar-H),7.61(d, 2H, Ar-H),7.74(m, 2H, Ar-
H), 8.29(d, 2H, Ar-H).
【0099】実施例15(KD−F0020を用いた吸
光スペクトルの測定) 一般式(V)中のR、R、R10及びR13が水素
原子で、R11及びR 12がメチル基である6−(9−
アクリジニル)−2,2−ジメチル−2,3−ジヒドロ
−1H−ペリミジンをテトラヒドロフラン中1.8×1
−4Mの濃度に溶解し、水分濃度0〜10%における
吸収スペクトルを測定した。結果を図37に示す。
【0100】実施例16(KD−F0020を用いた蛍
光スペクトルの測定) 一般式(V)中のR、R、R10及びR13が水素
原子で、R11及びR 12がメチル基である6−(9−
アクリジニル)−2,2−ジメチル−2,3−ジヒドロ
−1H−ペリミジンをテトラヒドロフラン中1.8×1
−4Mの濃度に溶解し、436nmの光源で励起し、0
〜10%の間で水分を変化させた時の蛍光スペクトルの
変化を測定した。結果を図40に示す。
【0101】実施例17(KD−F0021を用いた吸
光スペクトルの測定) 一般式(V)中のR及びR13が水素原子で、R
10、R11及びR 12がメチル基である6−(9−
アクリジニル)−1,2,2,3−テトラメチル−2,
3−ジヒドロ−1H−ペリミジンをテトラヒドロフラン
中6×10−5Mの濃度に溶解し、水分濃度0〜10%
における吸収スペクトルを測定した。結果を図38に示
す。
【0102】実施例18(KD−F0021を用いた蛍
光スペクトルの測定) 一般式(V)中のR及びR13が水素原子で、R
10、R11及びR 12がメチル基である6−(9−
アクリジニル)−1,2,2,3−テトラメチル−2,
3−ジヒドロ−1H−ペリミジンをテトラヒドロフラン
中6×10−5Mの濃度に溶解し、429nmの光源で励
起し、0〜10%の間で水分を変化させた時の蛍光スペ
クトルの変化を測定した。結果を図41に示す。
【0103】実施例19(KD−F0022を用いた吸
光スペクトルの測定) 一般式(V)中のR及びR13が水素原子で、R
10及びR11がメチル基で、R12が3−ブテニル
基ある6−(9−アクリジニル)−2−(3−ブテニ
ル)−1,2,3−トリメチル−2,3−ジヒドロ−1
H−ペリミジンをテトラヒドロフラン中6×10−5
の濃度に溶解し、水分濃度0〜5%における吸収スペク
トルを測定した。結果を図39に示す。
【0104】実施例20(KD−F0022を用いた蛍
光スペクトルの測定) 一般式(V)中のR及びR13が水素原子で、R
10、R11及びR 12がメチル基である6−(9−
アクリジニル)−2−(3−ブテニル)−1,2,3−
トリメチル−2,3−ジヒドロ−1H−ペリミジンをテ
トラヒドロフラン中6×10−5Mの濃度に溶解し、4
29nmの光源で励起し、0〜5%の間で水分を変化させ
た時の蛍光スペクトルの変化を測定した。結果を図42
に示す。
【0105】実施例21(KD−F0021を用いた吸
光スペクトルの測定) KD−F0021を酢酸エチル中6×10−5Mの濃度
に溶解し、水分濃度0〜10%における吸収スペクトル
を測定した。結果を図44に示す。
【0106】実施例22(KD−F0021を用いた蛍
光スペクトルの測定) KD−F0021を酢酸エチル中6×10−5Mの濃度
に溶解し、426nmの光源で励起し、0〜10%の間で
水分を変化させた時の蛍光スペクトルの変化を測定し
た。結果を図45に示す。
【0107】実施例23(KD−F0021を用いた吸
光スペクトルの測定) KD−F0021をジクロロメタン中6×10−5Mの
濃度に溶解し、水分濃度0〜5%における吸収スペクト
ルを測定した。結果を図46に示す。
【0108】実施例24(KD−F0021を用いた蛍
光スペクトルの測定) KD−F0021をジクロロメタン中6×10−5Mの
濃度に溶解し、433nmの光源で励起し、0〜5%の間
で水分を変化させた時の蛍光スペクトルの変化を測定し
た。結果を図47に示す。
【0109】
【発明の効果】本発明のアクリジン骨格を有する化合物
は簡便で精度の高い微量水分測定方法に有用である。ま
た、本発明のアクリジン骨格を有する化合物からなる化
学センサーは固定化することができ、固体状態で化学セ
ンサーとして使用することができる。さらに、本発明の
化学センサーは繰り返してまた連続して使用することが
できるので、簡便かつ安価であるのみならず、微量水分
の連続的な計測が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、励起されて分極化される色素分子が極
性溶媒で励起された状態を模式的に示したものである。
【図2】図2は、分極化している分子の基底状態と励起
状態のようすを示したものである。
【図3】図3は、基底状態で分極していない分子の基底
状態と励起状態のようすを示したものである。
【図4】図4は、様々な溶媒中におけるKD−F001
0の吸光スペクトル変化を示したものである。図4中の
1はTHFを、2は酢酸エチルを、3はアセトニリル
を、4はジクロロメタンを、5はジエチルエーテルをそ
れぞれ示している。
【図5】図5は、様々な溶媒中におけるKD−F001
0の蛍光スペクトル変化を示したものである。図5中の
1はTHFを、2は酢酸エチルを、3はアセトニリル
を、4はジクロロメタンを、5はジエチルエーテルをそ
れぞれ示している。
【図6】図6は、蛍光スペクトルの強度と溶媒の極性を
示す値のひとつであるE(30)の値(kcal/m
ol)との関係をグラフとして示したものである。
【図7】図7は、最大蛍光波長と溶媒の極性を示す値の
ひとつであるE(30)の値(kcal/mol)と
の関係をグラフとして示したものである。
【図8】図8は、THF中の種々の濃度の水分含量につ
いてのKD−F0010の吸光スペクトルを示したもの
である。図8中の1は水の含有量が0wt%であること
を、2は水の含有量が0.25wt%であることを、3
は水の含有量が0.5wt%であることを、4は水の含
有量が0.75wt%であることを、5は水の含有量が
1.0wt%であることを、7は水分含有量が3.00
wt%であることを、9は水分含有量が5.00wt%
であることをそれぞれ示している。
【図9】図9は、THF中の種々の濃度のエチルアルコ
ール含量についてのKD−F0010の吸光スペクトル
を示したものである。図9中の1はエチルアルコールの
含有量が0wt%であることを、2はエチルアルコール
の含有量が0.25wt%であることを、3はエチルア
ルコールの含有量が0.5wt%であることを、4はエ
チルアルコールの含有量が0.75wt%であること
を、5はエチルアルコールの含有量が1.0wt%であ
ることをそれぞれ示している。
【図10】図10は、酢酸エチル中の種々の濃度の水分
含量についてのKD−F0010の吸光スペクトルを示
したものである。図10中の1は水の含有量が0wt%
であることを、2は水の含有量が0.25wt%である
ことを、3は水の含有量が0.5wt%であることを、
4は水の含有量が0.75wt%であることを、5は水
の含有量が1.0wt%であることを、7は水分含有量
が3.00wt%であることを、9は水分含有量が5.
00wt%であることをそれぞれ示している。
【図11】図11は、ジクロロメタン中の種々の濃度の
水分含量についてのKD−F0010の吸光スペクトル
を示したものである。図11中の1は水の含有量が0w
t%であることを、2は水の含有量が0.25wt%で
あることを、3は水の含有量が0.5wt%であること
を、4は水の含有量が0.75wt%であることを、5
は水の含有量が1.0wt%であることを、7は水分含
有量が3.00wt%であることを、9は水分含有量が
5.00wt%であることをそれぞれ示している。
【図12】図12は、アセトニトリル中の種々の濃度の
水分含量についてのKD−F0010の吸光スペクトル
を示したものである。図12中の1は水の含有量が0w
t%であることを、2は水の含有量が0.25wt%で
あることを、3は水の含有量が0.5wt%であること
を、4は水の含有量が0.75wt%であることを、5
は水の含有量が1.0wt%であることを、7は水分含
有量が3.00wt%であることを、9は水分含有量が
5.00wt%であることをそれぞれ示している。
【図13】図13は、THF中の種々の濃度の水分含量
についてのKD−F0010の蛍光スペクトルを示した
ものである。
【図14】図14は、THF中の種々の濃度のエチルア
ルコール含量についてのKD−F0010の蛍光スペク
トルを示したものである。
【図15】図15は、酢酸エチル中の種々の濃度の水分
含量についてのKD−F0010の蛍光スペクトルを示
したものである。
【図16】図16は、DMF中の種々の濃度の水分含量
についてのKD−F0010の蛍光スペクトルを示した
ものである。
【図17】図17は、ジエチルエーテル中の種々の濃度
の水分含量についてのKD−F0010の蛍光スペクト
ルを示したものである。
【図18】図18は、ジクロロメタン中の種々の濃度の
水分含量についてのKD−F0010の蛍光スペクトル
を示したものである。
【図19】図19は、アセトニトリル中の種々の濃度の
水分含量についてのKD−F0010の蛍光スペクトル
を示したものである。
【図20】図20は、KD−F0010を用いたTHF
中における各種の水分濃度についての相対蛍光強度と最
大蛍光波長を示したものである。図の黒四角印は相対蛍
光強度(図の左側のスケール)を示し、黒菱形は最大蛍
光波長(図の右側のスケール)を示す。
【図21】図21は、KD−F0010を用いた酢酸エ
チル中における各種の水分濃度についての相対蛍光強度
と最大蛍光波長を示したものである。図の黒四角印は相
対蛍光強度(図の左側のスケール)を示し、黒菱形は最
大蛍光波長(図の右側のスケール)を示す。
【図22】図22は、KD−F0010を用いたTHF
中における各種の水分濃度についての相対蛍光強度と最
大蛍光波長を示したものである。図の黒四角印は相対蛍
光強度(図の左側のスケール)を示し、黒菱形は最大蛍
光波長(図の右側のスケール)を示す。
【図23】図23は、KD−F0010を用いたDMF
中における各種の水分濃度についての相対蛍光強度と最
大蛍光波長を示したものである。図の黒四角印は相対蛍
光強度(図の左側のスケール)を示し、黒菱形は最大蛍
光波長(図の右側のスケール)を示す。
【図24】図24は、KD−F0010を用いたジエチ
ルエーテル中における各種の水分濃度についての相対蛍
光強度と最大蛍光波長を示したものである。図の黒四角
印は相対蛍光強度(図の左側のスケール)を示し、黒菱
形は最大蛍光波長(図の右側のスケール)を示す。
【図25】図25は、KD−F0010を用いたジクロ
ロメタン中における各種の水分濃度についての相対蛍光
強度と最大蛍光波長を示したものである。図の黒四角印
は相対蛍光強度(図の左側のスケール)を示し、黒菱形
は最大蛍光波長(図の右側のスケール)を示す。
【図26】図26は、KD−F0010を用いたアセト
ニトリル中における各種の水分濃度についての相対蛍光
強度と最大蛍光波長を示したものである。図の黒四角印
は相対蛍光強度(図の左側のスケール)を示し、黒菱形
は最大蛍光波長(図の右側のスケール)を示す。
【図27】図27は、E(30)の値(kcal/m
ol)と1%での蛍光強度の減少の関係を示したもので
ある。図27中の、1はTHFを、2は酢酸エチルを、
3はアセトニリルを、4はジクロロメタンを、5はジエ
チルエーテルをそれぞれ示している。
【図28】図28は、E(30)の値と0%と1%の
間での最大蛍光波長の変化の関係を示したものである。
図28中の、1はTHFを、2は酢酸エチルを、3はア
セトニリルを、4はジクロロメタンを、5はジエチルエ
ーテルをそれぞれ示している。
【図29】図29は、種々の水分含有量におけるTHF
中でのKD−F0011の吸光スペクトルを示したもの
である。
【図30】図30は、404nmで励起した場合の種々
の水分含有量(0.00v/v%〜5.00v/v%)
におけるTHF中でのKD−F0011の蛍光スペクト
ルを示したものである。
【図31】図31は、THF中でのKD−F0011の
蛍光スペクトルの相対蛍光強度と最大蛍光波長を示した
ものである。図31の黒丸印は相対蛍光強度を示し、黒
四角印は最大蛍光波長を示す。
【図32】図32は、PEGDMA膜に固定化されたK
D−F0011の各種溶媒における吸光スペクトルを示
したものである。
【図33】図33は、種々の水分含有量を有するTHF
における、404nmで励起したPEGDMA膜に固定
化されたKD−F0011の蛍光スペクトルを示したも
のである。
【図34】図34は、KD−F0011と固定化された
KD−F0011における各種水分含有量の場合の蛍光
波長の変動を示したものである。図34の黒四角印は固
定化されていないKD−F0011を示し、黒丸印は固
定化されたKD−F0011を示す。
【図35】図35は、KD−F0011と固定化された
KD−F0011における各種水分含有量の場合の相対
蛍光強度の変動を示したものである。図35の黒四角印
は固定化されていないKD−F0011を示し、黒丸印
は固定化されたKD−F0011を示す。
【図36】図36は、固定化されたKD−F0011を
用いて水及びアルコールについて同様な検出、定量を試
みてみた結果を示すものである。図36の黒四角印は水
の場合を示し、黒丸印はメタノールの場合を示し、黒三
角印はエタノールの場合を示す。
【図37】図37は、THF中の種々の水分濃度(0〜
10%)におけるKD−F0020の吸光スペクトルを
示したものである。
【図38】図38は、THF中の種々の水分濃度(0〜
10%)におけるKD−F0021の吸光スペクトルを
示したものである。
【図39】図39は、THF中の種々の水分濃度(0〜
5%)におけるKD−F0022の吸光スペクトルを示
したものである。
【図40】図40は、THF中の種々の水分濃度(0〜
10%)におけるKD−F0020の蛍光スペクトルを
示したものである。
【図41】図41は、THF中の種々の水分濃度(0〜
10%)におけるKD−F0021の蛍光スペクトルを
示したものである。
【図42】図42は、THF中の種々の水分濃度(0〜
5%)におけるKD−F0022の蛍光スペクトルを示
したものである。
【図43】図43は、本発明の種々の機能性色素につい
ての水分濃度と相対蛍光強度の関係を示したものであ
る。図43中の1はKD−F0020(励起波長436
nm、蛍光波長522nm)、2はKD−F0021
(励起波長429nm、蛍光波長598nm)、3はK
D−F0022(励起波長432nm、蛍光波長592
nm)、4はKD−F0010(励起波長398nm、
蛍光波長532nm)についてのものである。
【図44】図44は、酢酸エチル中の種々の水分濃度
(0〜10%)におけるKD−F0021の吸光スペク
トルを示したものである。
【図45】図45は、酢酸エチル中の種々の水分濃度
(0〜10%)におけるKD−F0021の蛍光スペク
トルを示したものである。
【図46】図46は、ジクロロメタン中の種々の水分濃
度(0〜5%)におけるKD−F0021の吸光スペク
トルを示したものである。
【図47】図47は、ジクロロメタン中の種々の水分濃
度(0〜5%)におけるKD−F0021の蛍光スペク
トルを示したものである。
【図48】図48は、種々の溶媒中の水分濃度と相対蛍
光強度の関係を示す。図48中の1はジクロロメタン、
2は酢酸エチル、3はTHFの場合をそれぞれ示してい
る。
【図49】図49は、水によるKD−F0021の消光
のStern-Volmerプロットを示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G01N 31/22 122 G01N 31/22 122

Claims (34)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電子供与基となりうる含窒素化合物部分
    と電子受容基としてのアクリジン部分とから成るアクリ
    ジン誘導体を用いて媒体中の微量水分を検出又は定量す
    る方法。
  2. 【請求項2】 一般式(I) 【化1】 (式中、Rは電子供与基となりうる含窒素化合物部分を
    示し、Rは水素原子又は有機残基を示す。)で示され
    るアクリジン誘導体を用いる請求項1に記載の方法。
  3. 【請求項3】 一般式(I)におけるRが、一般式(I
    I) 【化2】 (式中、R、R及びRはそれぞれ独立して水素原
    子又は有機残基を示す。)で示される基である請求項2
    に記載の方法。
  4. 【請求項4】 R、R、R及びRがそれぞれ独
    立して水素原子又は置換基を有していてもよい炭化水素
    基である請求項3に記載の方法。
  5. 【請求項5】 R、R、R及びRが、それぞれ
    独立して水素原子、アルキル基又はアルケニル基である
    請求項3又は4に記載の方法。
  6. 【請求項6】 R、R、R又はRのいずれか1
    個又は2個が、高分子量の基である請求項3又は4に記
    載の方法。
  7. 【請求項7】 Rがアルキル基、アルケニル基又は高
    分子骨格に懸垂された基である請求項3〜6のいずれか
    に記載の方法。
  8. 【請求項8】 高分子骨格に懸垂された基における高分
    子骨格が炭素−炭素多重結合の付加重合により誘導され
    る重合体である請求項7に記載の方法。
  9. 【請求項9】 炭素−炭素多重結合の付加重合により誘
    導される重合体が、アクリル酸又はメタクリル酸の誘導
    体との共重合体である請求項8に記載の方法。
  10. 【請求項10】 Rがメチル基で、R及びRが水
    素原子で、Rがメチル基、5−ヘキセニル基又はポリ
    (エチレングリコール)ジメタクリレートとの共重合体
    に懸垂された基である請求項3〜9のいずれかに記載の
    方法。
  11. 【請求項11】 一般式(I)におけるRが、一般式
    (III) 【化3】 (式中、R、R10、R11、R12及びR13はそ
    れぞれ独立して水素原子又は有機残基を示す。)で示さ
    れる基である請求項2に記載の方法。
  12. 【請求項12】 R、R10、R11、R12及びR
    13が、それぞれ独立して水素原子又は置換基を有して
    もよい炭化水素基である請求項11に記載の方法。
  13. 【請求項13】 R、R、R10、R11、R12
    及びR13が、それぞれ独立して水素原子、アルキル基
    又はアルケニル基である請求項11又は12に記載の方
    法。
  14. 【請求項14】 R、R10及びR11がアルキル基
    で、R12がアルキル基又はアルケニル基で、R及び
    13が水素原子である請求項11〜13のいずれかに
    記載の方法。
  15. 【請求項15】 媒体が有機溶媒である請求項1〜14
    のいずれかに記載の方法。
  16. 【請求項16】 媒体中の水分の量が50重量%以下で
    ある請求項1〜15のいずれかに記載の方法。
  17. 【請求項17】 蛍光強度の測定による請求項1〜16
    のいずれかに記載の方法。
  18. 【請求項18】 請求項1〜14のいずれかに記載され
    たアクリジン誘導体を含有してなる媒体中の微量水分を
    検出又は定量するための組成物。
  19. 【請求項19】 請求項1〜17のいずれかに記載の媒
    体中の微量水分を検出又は定量する方法を行うための装
    置。
  20. 【請求項20】 一般式(IV) 【化4】 (式中、Rは低級アルキル基を示し、Rは置換基を
    有してもよい不飽和炭化水素基又は高分子骨格に懸垂さ
    れた基を示し、R、Rはそれぞれ独立して水素原子
    又は置換基を有してもよい炭化水素基を示す。)で表さ
    れるアクリジン誘導体。
  21. 【請求項21】 R及びRが水素原子である請求項
    20に記載のアクリジン誘導体。
  22. 【請求項22】 不飽和炭化水素基の不飽和結合が、重
    合性の不飽和結合である請求項20又は21に記載のア
    クリジン誘導体。
  23. 【請求項23】 R及びRが水素原子で、Rがメ
    チル基で、Rがアルケニル基である請求項20〜22
    のいずれかに記載のアクリジン誘導体。
  24. 【請求項24】 Rが5−ヘキセニル基である請求項
    23に記載のアクリジン誘導体。
  25. 【請求項25】 固定化された請求項20〜24のいず
    れかに記載のアクリジン誘導体。
  26. 【請求項26】 Rの高分子骨格に懸垂された基にお
    ける高分子骨格が、炭素−炭素多重結合の付加重合によ
    り誘導される重合体である請求項20〜25のいずれか
    に記載のアクリジン誘導体。
  27. 【請求項27】 炭素−炭素多重結合の付加重合により
    誘導される重合体が、アクリル酸又はメタクリル酸の誘
    導体との共重合体である請求項26に記載のアクリジン
    誘導体。
  28. 【請求項28】 アクリル酸又はメタクリル酸の誘導体
    が、ポリ(エチレングリコール)ジメタクリレートであ
    る請求項27に記載のアクリジン誘導体。
  29. 【請求項29】 一般式(V) 【化5】 (式中、R、R、R10、R11、R12及びR
    13はそれぞれ独立して水素原子又は有機残基を示
    す。)で表されるアクリジン誘導体。
  30. 【請求項30】 R、R、R10、R11、R12
    及びR13が、それぞれ独立して水素原子又は置換基を
    有してもよい炭化水素基である請求項29に記載のアク
    リジン誘導体。
  31. 【請求項31】 R、R10及びR11がそれぞれ独
    立して低級アルキル基で、R12が低級アルキル基、ア
    ルケニル基又は高分子骨格に懸垂された基で、R及び
    13が水素原子である請求項29又は30に記載のア
    クリジン誘導体。
  32. 【請求項32】 R、R10及びR11がメチル基
    で、R12がメチル基又は3−ブテニル基で、R及び
    13が水素原子である請求項29〜31のいずれかに
    記載のアクリジン誘導体。
  33. 【請求項33】 請求項20〜32に記載のアクリジン
    誘導体からなる化学センサー。
  34. 【請求項34】 化学センサーが媒体中の微量水分の検
    出又は定量するためのものである請求項33に記載の化
    学センサー。
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KR100810007B1 (ko) 2007-01-03 2008-03-07 이화여자대학교 산학협력단 인산염 선택성을 갖는 아크리딘-아연(ⅱ) 복합체, 이의제조 방법 및 이를 이용한 인산염 검출방법
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JP2014010053A (ja) * 2012-06-29 2014-01-20 National Institute For Materials Science 水検出用試薬、および、非プロトン性極性溶媒中の水の濃度を定量的に測定する方法
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