JP4472132B2 - ビット誤り率測定方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はビット誤り率測定方法に関し、特に8PSK/TCM(8 Phase Shift Keying/Trellis Coded Modulation)符号・復号による通信方式におけるビット誤り率測定方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、8PSK/TCM復号回路におけるビット誤り率(BER:Bit Error Rate)測定は既知のデータを送信し、受信したデータと比較することでビット誤り率を測定するビット誤り率測定器等を用いて試験的に行っている。通信中のビット誤り率測定を可能にする方法としてはビット誤り率測定用に固定データを付加する方法もある。
【0003】
一般的な8PSK/TCM符号回路の構成を図3に示す。8PSK/TCM符号回路は復調回路(DEM部)1と、A/D変換器2,3と、ブランチメトリック・セクタ番号ROM4と、TCM復号回路5とから構成されている。
【0004】
復調回路1は乗算回路1a,1bと、90°移相器1cと、キャリア再生回路1dとからなり、受信信号を同期検波してI及びQの2信号を出力する。A/D変換器2,3は復調回路1の復調信号を量子化して軟判定用6ビット幅データとする。
【0005】
ブランチメトリック・セクタ番号ROM4は軟判定用6ビット幅データを4つの3ビット幅ブランチメトリック及び3ビット幅セクタ番号に変換する。TCM復号回路5はこれら変換されたブランチメトリクス及びセクタ番号から受信データを復号する。
【0006】
また、符号回路の構成を図4に示す。符号回路は差動符号回路16と、畳み込み符号回路17と、位相曖昧訂正符号回路18とから構成されている。ENCDAT[0]は差動符号回路16を介して畳み込み符号回路17で符号化され、ENCC0,ENCC1となる。
【0007】
一方、ENCDAT[1]は位相曖昧訂正符号回路18で処理され、ENCC2となる。ENCC0,ENCC1,ENCC2は図5に示す符号マッピングにしたがってマッピングされ、送信信号となる。
【0008】
受信側では受信信号が復調回路1で同期検波され、IとQの2信号となる。IとQの2信号は各々A/D変換器2,3で量子化され、ブランチメトリック・セクタ番号ROM4ヘ入力するための軟判定用6ビット幅データとなる。
【0009】
軟判定用の6ビット幅データはブランチメトリック/セクタ番号ROM4によって4つの3ビット幅ブランチメトリックと3ビット幅セクタ番号とに変換される。ここで、ブランチメトリクスとは受信信号の位相から推定される送信マッピングデータの推定値である4つのブランチメトリックB00,B01,B10,B11を各々の推定値の確からしさで表したデータである。また、セクタ番号は受信信号がIQ平面のどこで受信されたかを表すデータである。
【0010】
TCM復号回路5はビタビ復号アルゴリズムを用い、ブランチメトリクスから受信データのLSB(Least Significant Bit)を求め、差動復号後にDECDAT[0]とする。
【0011】
次に、TCM復号回路5は受信データのMSB(Most Significant Bit)であるDECDAT[1]を求めるため、復号されたDECDAT[0]を再エンコードし、送信データのとり得る可能な値を絞り込む。
【0012】
この段階では位相曖昧を含むため、送信データのMSBがとり得る値は複数個あるが、セクタ番号を参照することによって最も可能性の高い値を選択し、受信MSBとして判定する。
【0013】
上述したTCM符号復号処理については、“US PATENT NOS 5,233,630 and 5,469,452”に記載されている。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
上述した従来のビット誤り率測定器を使用する方法では、ビット誤り率を測定する間、通信を中断することになる。また、ビット誤り率測定用に固定データを付加する方法では、通信の中断という問題は解決するが、データを付加する分送受信するデータ量が増えてしまうという問題がある。
【0015】
そこで、本発明の目的は上記の問題点を解消し、測定器あるいは付加ビットを使用することなくかつ通信回線にも支障なく、実際的なビット誤り率測定を行うことができるビット誤り率測定方法を提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明によるビット誤り率測定方法は、PSK/TCM(Phase Shift Keying/Trellis Coded Modulation)復号回路において、誤り訂正前後のデータを比較してビット誤り率を測定する際に、比較するに適した特定のビットをビット誤り率検出に用いるようにし
正転及び反転のビット誤り率を測定してそれらのビット誤り率の測定結果の良い方を選択することで、前記ビット誤り率検出で検出されたビット誤り率に含まれる180゜の位相曖昧を除去するようにしたことを特徴とする。
【0017】
すなわち、本発明のビット誤り率測定回路は、受信信号を復調する復調回路と、復調信号を量子化するA/D(アナログ/ディジタル)変換器と、量子化した信号をブランチメトリック及びセクタ番号に変換するブランチメトリック・セクタ番号ROM(リードオンリメモリ)と、TCM復号回路とを有する8PSK/TCM復号回路に用いられるものである。
【0018】
本発明のビット誤り率測定回路は、この8PSK/TCM復号回路において、TCM復号後データを差動符号回路を介して再符号化するための畳み込み符号回路と、セクタ番号を硬判定データとして扱うために位相を22.50°回転させる位相回転回路と、TCM復号後のデータと位相とを合わせるための遅延回路と、誤り訂正前後のデータで発生する不一致データを検出する排他的論理和器と、一定時間に発生する誤りの個数を計数するカウンタと、この検出に含まれる180゜の位相曖昧を除去するためのセレクタと、隣接位相曖昧を補正してビット誤り率を表示するビット誤り率表示回路とを有している。
【0019】
本発明のビット誤り率測定回路では、8PSK/TCM復号回路において、ビット誤り率を求めるために適する特定のビットが存在することに注目し、このビットを誤り訂正の前後で比較することによって、測定器あるいは付加ビットを使用せず、通信回線にも支障なくビット誤り率を測定することが可能である。
【0020】
また、8PSK/TCM符号・復号過程で行うマッピングの性質上、誤り訂正前後のデータを比較するだけでは、ビット誤り率の測定結果に180゜及び隣接位相曖昧を含むことになる。
【0021】
本発明では、180゜の位相曖昧について正転及び反転のビット誤り率を測定し、これらのビット誤り率の測定結果の良い方をセレクタで選択採用することで除去する。
【0022】
また、隣接位相曖昧についてはノイズによるデータのバラツキを正規分布と考え、セレクタで選択採用したビット誤り率の値に0.5を係数として乗ずることで除去する。これによって、通信中の実際的なビット誤り率を得ることが可能となる。
【0023】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の一実施例について図面を参照して説明する。図1は本発明の一実施例によるビット誤り率測定回路の構成を示すブロック図である。図1において、本発明の一実施例によるビット誤り率測定回路は図3に示す従来の8PSK/TCM復号回路に、差動符号回路6と、畳み込み符号回路7と、インバータ8と、セレクタ9と、22.5°位相回転回路10と、遅延回路11と、排他的論理和器12と、カウンタ13と、タイムベース14と、ビット誤り率(BER)表示回路15とを備えて構成されている。尚、8PSK/TCM復号回路の動作については上述した通りなので、その説明は省略する。
【0024】
差動符号回路6及び畳み込み符号回路7は上記のTCM復号過程で差動復号された出力を再符号化する。22.5°位相回転回路10はセクタ番号を硬判定データとするために、セクタ番号の位相を22.5°回転させる。遅延回路11は硬判定データとしたセクタ番号を誤り訂正後のデータと比較するために位相を合わせる。排他的論理和器12は誤り訂正前後で発生する不一致データを検出する。
【0025】
カウンタ13はタイムベース14からのクロック信号を基に一定時間に発生する誤りの個数を計数する。セレクタ9は上記の誤り検出に含まれる180゜の位相曖昧を除去する。ビット誤り率表示回路15は隣接位相曖昧を除去し、実際的なビット誤り率を表示する。
【0026】
図2は本発明の一実施例において22.5゜位相回転した符号マッピングを示す図である。これら図1及び図2を参照して本発明の一実施例によるビット誤り率測定方法について説明する。
【0027】
上述したように処理され、TCM復号信号となったTCM復号回路5の出力のうち、DECDAT[1]はTCM符号化の性質上誤り訂正を含まないので、DECDAT[0]を誤り訂正後のデータとして用いる。
【0028】
DECDAT[0]はTCM復号の過程で差動復号されるので、差動符号回路6を介して畳み込み符号回路7で再符号化し、比較データとする。他方、誤り訂正前のデータとしては受信信号の位相情報を表すセクタ番号を利用する。
【0029】
22.5゜位相回転回路10はセクタ番号を硬判定データとするために、セクタ番号の位相を22.5°回転させる。以降、この回転したセクタ番号を本来のセクタ番号と区別するため、セクタ番号θとする。
【0030】
セクタ番号θのMSB(Most Significant Bit)には、上述したDECDAT[1]と同様の理由で誤り訂正が含まれないため、比較データには使えない。また、セクタ番号θのLSB(Least Significant Bit)もセクタ番号θの2,3,6,7の場合に符号マッピングのLSBと不一致なので、比較データには使えない。
【0031】
したがって、セクタ番号θのセンタビットを比較データとして取出し、遅延回路11で誤り訂正後のデータと位相を合わせる。排他的論理器12で誤り訂正前後で発生する不一致データを検出し、カウンタ13で一定時間に発生する誤りの個数を計数する。
【0032】
この誤り検出は180゜の位相曖昧を含むが、正転及び反転各々のビット誤り率を測定し、これらのビット誤り率の測定結果の良い方をセレクタ9によって選択採用する。また、誤り検出には隣接位相曖昧も含むが、ノイズによるデータのバラツキは正規分布すると考え、ビット誤り率表示回路15では採用したビット誤り率に0.5を係数としてかけ、実際のビット誤り率とする。
【0033】
尚、本発明の一実施例では8PSK/TCM符号・復号方式に関するビット誤り率測定方法として説明しているが、16PSK/TCM符号・復号方式についても、ビット誤り率を検出するのに適した特定のビットが存在し、そのビットを利用することで、実際的なビット誤り率を測定するこどできる。この場合、16PSK/TCM符号・復号方式においても、上述した8PSK/TCM符号・復号方式と同様に、セクタ番号を2進数に変換した値及び符号マッピングという二種類の4ビット信号があり、これら二種類の4ビット信号がどの位相においても一致する事が比較に適する条件となるので、4ビット中の下位2ビット目がビット誤り率を検出するのに適した特定のビットとなる。
【0034】
このように、測定器あるいは付加ビットを使用せず、通信回線にも支障なく、ビット誤り率の測定が可能となる。これによって、通信中の、あるいは測定器のない小規模な局の回線品質管理を容易に行うことができる。また、ビット誤り率が低く、測定に時間がかかる場合でも、回線運用状態での測定が可能となるので、問題なく実施することができる。
【0035】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、PSK/TCM復号回路において、誤り訂正前後のデータを比較してビット誤り率を測定する際に、比較するに適した特定のビットをビット誤り率検出に用いることによって、測定器あるいは付加ビットを使用することなくかつ通信回線にも支障なく、実際的なビット誤り率測定を行うことができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例によるビット誤り率測定回路の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の一実施例において22.5゜位相回転した符号マッピングを示す図である。
【図3】従来例による8PSK/TCM符号回路の構成を示すブロック図である。
【図4】従来例による復号回路の構成を示すブロック図である。
【図5】従来の8PSK符号マッピングを示す図である。
【符号の説明】
1 復調回路
2,3 A/D変換器
4 ブランチメトリック・セクタ番号ROM
5 TCM復号回路
6 差動符号回路
7 畳み込み符号回路
8 インバータ
9 セレクタ
10 22.5°位相回転回路
11 遅延回路
12 排他的論理和器
13 カウンタ
14 タイムベース
15 ビット誤り率表示回路

Claims (2)

  1. PSK/TCM(Phase Shift Keying/Trellis Coded Modulation)復号回路において、誤り訂正前後のデータを比較してビット誤り率を測定する際に、比較するに適した特定のビットをビット誤り率検出に用いるようにし、
    正転及び反転のビット誤り率を測定してそれらのビット誤り率の測定結果の良い方を選択することで、前記ビット誤り率検出で検出されたビット誤り率に含まれる180゜の位相曖昧を除去するようにしたことを特徴とするビット誤り率測定方法。
  2. 前記180゜の位相曖昧が除去されたビット誤り率に予め設定された係数を乗算して当該ビット誤り率に含まれる隣接位相曖昧を除去するようにしたことを特徴とする請求項1記載のビット誤り率測定方法。
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