JP4471886B2 - 虫取り器 - Google Patents
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Description
しかしながら、近年は健康や環境等の観点から殺虫剤の使用を躊躇する傾向にある。その一方で、上記した害虫類の発生をそのまま放置しておくこともできない。
従来から小型のハエ類の物理的な捕獲手段として両面が粘着面となっているハエ取り紙が広く使用されているが、これらは粘着面が露出しているのでハエ取り紙を交換しない限り、捕獲されたハエが見えてしまい、見栄えが悪い上に、周囲のものに付着し易いので、人の出入りが多いキッチン等には使用しづらい。さらには、上から吊り下げて使用するので、使用場所も限定されてしまう。
ゴキブリは通常走行により移動するが、ハエ類は通常飛翔により移動する。従って、上記した従来の粘着式ゴキブリ取り器をそのままハエ類を捕獲するために使用しても捕獲できないが、例えば、以下の特許文献には一部構造を改変したハエ捕獲器が提案されている。
それ故、本発明は、上記課題を解決するために、小型のハエ類を物理的に効率良く捕獲するのに適した新規且つ有用な虫取り器を提供することを目的とする。
(1)小型ハエ類を効率良く捕獲できる。
(2)捕獲したハエ類が外から見えないので、見栄えが良い。
(3)一枚の厚紙シート上に粘着剤等を施して一体に形成しているので、製造が容易で、しかも嵩張らず輸送効率がよい。
(4)使用時には簡単に組み立てられ、使用後は簡単に折り畳んで燃えるゴミとして廃棄処分できる。
上記の(3)、(4)は、本発明の虫取り器の製造及び取扱いの際に得られる効果であり、メーカーやユーザにとっては喜ばしい有利な効果である。
この虫取り器1は、図1に示すように、断面が三角形タイプのものである。
図2は、所定形状に打ち抜いた厚紙シートの展開図、即ち展開品2の表面と裏面を示す。符号3は横長の略四角形の厚紙シートを示し、この厚紙シート3は通常の厚紙で構成されている。符号5は縦方向に延びる縦折り曲げ線を示し、互いに等間隔をおいて2本形成されている。符号7は横方向に延びる横折り曲げ線を示し、中間部分より下の領域に形成されている。
符号9は舌辺を示し、この舌辺9は厚紙シート3の右側端部に一体に形成されている。舌辺9は上端部と横折り曲げ線7との略中間位置に配置されている。
符号11は切込みを示し、この切込み11は縦折り曲げ線5に平行に、舌辺9と同じ略中間位置に配置されている。
符号15は誘引領域を示し、この誘引領域15は粘着領域13に隣接してその下側に平行して帯状に虫誘引剤が塗布されて形成されている。誘引領域15は横折り曲げ線7を挟んで形成されている。虫誘引剤の成分は、慣用されているハエ用誘引剤のものでよく、誘引フェロモン、揮発性誘引剤、食餌誘引剤等、各種のものを使用できるが、ここでは水を吸収すると誘引効果が増大するものを使用している。
なお、大きさは、一例であるが、厚紙シート3の縦辺が10.5cm、横辺が28cmで、横折り曲げ線の位置が下から2cm程度である。
図3に示すように、所定形状に打ち抜かれた厚紙シート3を組立てる。先ず、横折り曲げ線7を誘引領域15がある面側が谷になるように、即ち内面側に折り曲げて折返し部17を形成し、次いで、縦折り曲げ線5を粘着領域13および誘引領域15がある面側が谷になるように折り曲げていき、最後に切込み11に舌辺9を差し込むことで縦辺どうしを合わせると組立が完成して、図1に示す筒状の虫取り器1となる。折返し部17の折返し角度(θ)は、0°を超え90°未満になっている。
筒状体19の内面上には周方向に粘着領域13と誘引領域15がそれぞれ周方向に帯状に互いに隣接して存在している。帯状部は、舌辺9が切込み11に差し込まれた付近では切れているが、略全周方向に延びて形成されている。
小型のハエ類は、筒状体19の上端の開口部から、誘引領域15の虫誘引剤に引き寄せられて筒状体19の内部に飛翔しながら侵入し、筒状体19の内部で飛翔を止める場合には、習性に従って側部である筒状体19の内面に足をかけて止まるが、内面には周方向に帯状の粘着領域13が形成されているので、ハエ類はどこに止まっても粘着剤により付着されてしまう。従って、ハエ類を効率良く捕獲することができる。また、ハエ類は内面に付着されているので外側からは見え難い。
また、ハエは湿り気を好むことから、この実施の形態では水を吸収すると誘引効果を増大させる性質の虫誘引剤を使用し、誘引領域15を水で湿らせて使用しているが、下端の折返し部17に虫誘引剤が施されているので、水が溜り易く、即ち水分が長く残り易く、増大した誘引効果を長時間にわたって保持できる。
使用後は、図4に示すように、矢印に示す方向に厚紙シート3を折り曲げることで虫取り器1を折畳む。折畳むと平坦なシート状となり、嵩張らない上に粘着領域13は内側に隠れるので捕獲されたハエ類も隠れる。折畳んだ後は、そのまま、燃えるゴミとして廃棄できる。
例えば、断面が多角形の筒状体で虫取り器を構成した場合には、筒状体を横に倒して使用してもよい。横に倒して使用すれば、ゴキブリ等の走行性害虫も捕獲できる。従って、ユーザーは本発明の虫取り器を用意しておくことで、小型のハエ類だけでなく家庭内での種々の害虫防除に利用できる。
但し、断面が三角形が最も好ましい。内面に付着されて捕獲されたハエ類が外側から見え難く、また、切込みを形成せずとも簡単に好適な折返し角度の折返し部を形成できるからである。
また、筒状体を上から吊るして、即ち既存のハエ取り紙と同様にして使用することもでき、テーブルの上に並べた料理類にハエ類がたかるのを防止できる。
2004年6月、キッチンで捕獲した野生の小型のハエ類をハエ類飼育ケージで繁殖させ、そのうちの200個体を、縦1m、横1m、高さ1mの試験ケージ内に放すと共に、本発明品と比較品1と比較品2の虫取り器をその試験ケージ内に設置した。また、ハエ類が餓死しないように、試験ケージ内には、餌としてラット用飼育餌を水に浸したものを置いた。
本発明品:第1の実施の形態に記載されたもの
比較品1:誘引剤が塗布されていないことを除いては上記した本発明品と同じ
比較品2:口が狭い透明なガラス瓶(高さ15cm)に水と本発明品で使用したものと同じ誘引剤を入れたもの。ガラス瓶を立てて設置した。
本発明品と比較品1はハエ類が粘着領域に付着されることで捕獲される。比較品2はハエ類が水中に落下することで捕獲される。
2週間経過後に、それぞれの虫取り器を取り出して捕獲された個体数を計測したところ、以下の通りであり、本発明品の優位的な効果が実証された。
本発明品:94個体
比較品1:61個体
比較品2:30個体
2004年8月、実施例1で使用したものと同じ本発明品の虫取り器をキッチン内の任意の三箇所(A,B,C)にそれぞれ2個ずつ設置し、6ヶ月経過後に、それぞれの虫取り器を取り出して捕獲された個体数を計測したところ、以下の通りであり、本発明品の優位的な効果が実地試験でも実証された。
A:24個体、B:46個体、C:19個体
2004年6月、実施例1で使用したものと同じ本発明品の虫取り器をベランダの鉢植え箇所(鉢植え:12個)に5個設置、5ヶ月経過後に、それぞれの虫取り器を取り出して捕獲された個体数を計測したところ、総捕獲数は94個体であり、本発明品の優位的な効果が実地試験でも実証された。
3‥‥厚紙シート 5‥‥縦折り曲げ線
7‥‥横折り曲げ線 9‥‥舌辺
11‥‥切込み 13‥‥粘着領域
15‥‥誘引領域 17‥‥折返し部
19‥‥筒状体
21‥‥虫取り器 23‥‥筒状体
25‥‥折返し部 27‥‥折返し面
29‥‥切込み
Claims (4)
- 一枚の横長の厚紙シートが曲げられて構成され、断面が円または多角形の筒状体と、
前記筒状体の内面の周方向に帯状に施された虫取り用粘着剤と、前記虫取り用粘着剤に隣接して前記筒状体の内面の周方向に帯状に施された虫誘引剤とを備えたことを特徴とする、小型のハエ類の捕獲に適した虫取り器。 - 請求項1に記載した虫取り器において、筒状体の一方の端部には内面側に折返されてなる折返し部が設けられており、前記折返し部に虫誘引剤が施されていることを特徴とする虫取り器。
- 請求項1または2に記載した虫取り器において、筒状体の断面が三角形または四角形であることを特徴とする虫取り器。
- 所定形状の横長の厚紙シートと、前記厚紙シートの一面上に虫取り用粘着剤が横長の帯状に施されてなる粘着領域と、前記粘着領域に隣接して虫誘引剤が横長の帯状に施されてなる誘引領域とを備えたシート状虫取り器であって、使用時には、前記厚紙シートを粘着領域等がある面が内面となりしかも粘着領域が周方向に帯状になるように曲げ、さらに前記厚紙シートの対向する両側の縦辺を合わせることで、請求項1から3のいずれかに記載の筒状の虫取り器に組立てることを特徴とする、小型のハエ類の捕獲に適した虫取り器。
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