JP4471113B2 - 塔状構築物の避雷設備 - Google Patents
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Description
さらに、高層のビル建築物では建築高さが高いことから側壁部分に対して保護角法が適用できず、回転球体法も実用的とはならないため、建物の側面にメッシュ導体を配し、メッシュ導体で覆われた内側を保護範囲とするメッシュ法により避雷システムが構成されているが、高層ビル建築物では側壁がメタルカーテンウオールなどで構成されることが多く、これらすべてのメタルカーテンウオールを電気的に接続し、かつ建築物の鉄骨と電気的に接続して、メタルカーテンウオールを受雷部とすることができる。また躯体の鉄骨も避雷設備中の導体として構成でき、その避雷設備を設ける上で有利なものとなっていた。
ところで、2003年に建築物等の避雷設備に関わる規格が改訂された(JIS A 4201 2003)。これにより煙突などの鉄筋コンクリート造塔状構築物の避雷設備を計画する上で、従来と異なる方法で計画する必要があった。
まず、図示のように避雷設備aを縦の導体bを主体とする垂直メッシュとして計画すると、その縦の導体bが引き下げ導線の役割をも兼用することとなり、保護レベルに応じたピッチで設置することとなる。塔状構築物における避雷設備での引き下げ導線は、(1)複数の電流経路を並列に形成する、(2)電流経路の長さを最小に保つ、(3)間隔を被保護物の外周に沿って等間隔にして引き下げることが好ましい。各保護レベルに応じた引き下げ導線の平均間隔を表3に示す。この表3に示されているように、保護レベル2とした場合引き下げ導線の間隔は15mとされるが、上述したように垂直メッシュとして間隔が保護レベル2のときに10m以下となるため、避雷設備aの主体とした縦の導体bは10m以下の間隔とし、上述した引き下げ導線での構成を満すようにする。
そして、この横の導体cの材料である導線は、各段ごとの縦の導体bとの交叉部分となる位置で、図5に示すように縦に通る導体bに取り付けられた導線接続端子dに取り付けて、確実に縦の導体bと電気的に接合させることになる。
このように塔状構築物に設置する避雷設備が縦の導体と横の導体との組み合わせたものとなるため、その避雷設備の構成が複雑になり、また、縦の導体に対する横の導体の接続作業も煩雑になるという問題がある。
そこで、本発明は上記事情に鑑み、上記水平環状導体を設けることなく塔状構築物に対する避雷システムが計画できるようにすることを課題とし、簡易な構成で取付作業が容易な塔状構築物用の避雷設備を得ることを目的とする。
また、本発明において、上記他方の導体方向は、塔状構築物の外周面高さ方向に対して上記一方の導体方向とは逆方向に傾斜した方向であり、この傾斜した他方の導体方向の導体を、塔状構築物の外周面を回る螺旋状にすることが可能である。
請求項1の発明によれば、傾斜した導体方向に沿って少なくとも一本の導体を有して、その導体を塔状構築物の外周面を回る螺旋状にして塔状構築物の上端部から接地部までに配置しているので、仮にこの螺旋状にした導体が受雷しても、直接雷電流を地盤面に伝えることができるようになる。よって、水平環状導体としての横の導体を塔状構築物に対して水平にかつ複数段にして配置する必要がなくなって避雷設備の構造が簡単なものとなり、この避雷設備を設置する作業が容易になる。
これに比べて、一本の導線からなる導体を塔状構築物の上端部から接地部までに配置しているので、電気抵抗が小さく適正に地盤面へと雷電流を伝えることができる。さらに導線接続端子のボルト緩みによる導線の外れも生じないものとなる。
請求項2の発明により、他方の導体方向に位置する導体で垂直メッシュを構成することが容易であり、避雷設備の取付が簡単になる。
請求項3の発明により、一方の導体方向の導体と他方の導体方向の導体とがそれぞれ互いに逆方向に傾斜した状態で螺旋状に配置されているので、一方の導体方向の導体に用いる導線と他方の導体方向に用いる導線との合計長さが、従来の避雷設備における縦の導体に用いる導線と横の導体に用いる導線との合計長さより短くなり、素材コストを低減することができるという利点がある。
図6は鉄筋コンクリート造塔状構築物(図示せず)に設置した避雷設備1を示していて、この避雷設備1は塔状構築物の上端部から接地部までに亘る外周面で、第一の導体方向Aと第二の導体方向Bとの二方向が交叉する交叉パターンで複数の導体を配置してなるものである。そして、前記第一の導体方向Aの導体2と第二の導体方向Bの導体3とはそれぞれ従来の避雷設備と同じように規格を満たす導線から作製されているものであり、交叉部分Cそれぞれで電気的に接続されている。
また、第二の導体方向Bは塔状構築物の外周面高さ方向に沿った方向であって、この第二の導体方向Bに沿う6本の導体3を有していて、その導体3それぞれが直線状のラインを描くようにして、塔状構築物の上端部から接地部までに配置されている。
なお、この実施の形態において、第一の導体方向Aに沿って螺旋状となる導体2を一本としたが、複数本の導体2を用意し、これらを第一の導体方向Aに沿って回るスパイラル形態にしてもよい。この場合は、第一の導体方向Aに沿う導体2は構築物外周面の周方向に同一の間隔を取って螺旋状となるようにする。
この実施の形態での避雷設備1にあっては第一の導体方向Aに沿う導体2相互の最短間隔を、従来の水平環状導体に対して設定されていた垂直方向での間隔とすればよい。また、第二の導体方向Bに沿う導体4相互の最短間隔を、保護レベルで設定されたメッシュ法幅とすればよい。
この点を図8に示す従来構成の避雷設備の展開と図9に示す上記形態での避雷設備の展開とに基づいて説明する。
なお、共に煙突径16.000mφの周長さが50.240m(l=16.000×π=50.240m)、高さが100.000mの煙突の外周面を展開したパターンで示した。保護レベルを2とした。
さらに従来避雷設備での水平環状導体間距離を20.000mとした。また、上記実施の形態で水平環状導体間距離に対応する距離も20.000mとし、メッシュ法幅を10.000mとして配置した導体4の避雷設備上部での位置を、周方向に12.560mの間隔をおいて並ぶものとした。
・まず、縦の導体の長さ合計L1を求める。
L1=100.000m×6本
=600.000m
・つぎに横の導体の長さ合計L2を求める。
L2=50.240m×5本
=251.200m
・そして、導体総長さΣL(=L1+L2)を求める。
ΣL=600.000m+251.200m
=851.200m
よって、このように導体総長さは851.200mとなる。
・螺旋状導体の一本の長さLを求めるために、初めに、その螺旋状導体を直線状に伸ばしたときの水平方向での長さLxを求める(図9参照)。
Lx=100.000/66.110×50.240
=76.000m
そして、三平方の定理を利用して螺旋状導体一本の長さLを求める。
L=√(76.0002+100.0002)
=125.600m
・つぎに螺旋状導体の導体総長さL3を求める。
L3=125.600m×6本
=753.600m
・また、煙突頂部リング状導体の長さL4を求める。
L4=50.240m×1本
=50.240m
・そして、導体総長さΣL(=L3+L4)を求める。
ΣL=753.600m+50.240m
=803.840m
よって、導体総長さは803.840mとなる。
2、3、4…導体
A…第一の導体方向
B…第二の導体方向
C…交叉部分
Claims (3)
- 煙突などの塔状構築物の上端部から接地部までに亘る外周面で、第一の導体方向と第二の導体方向との二方向が交叉する交叉パターンで複数の導体が配置され、交叉部分における第一の導体方向の導体と第二の導体方向の導体とを電気的に接続してなる避雷設備であって、
第一の導体方向と第二の導体方向との少なくとも一方の導体方向が前記外周面高さ方向に対して傾斜し、この傾斜した導体方向に沿って連続した導体を少なくとも一本有して、該導体を塔状構築物の外周面を回る螺旋状にして塔状構築物の上端部から接地部までに配置し、
かつ、他方の導体方向の導体それぞれを、塔状構築物の上端部から接地部までに配置したことを特徴とする塔状構築物の避雷設備。 - 上記他方の導体方向は、塔状構築物の外周面高さ方向に沿った方向である請求項1に記載の塔状構築物の避雷設備。
- 上記他方の導体方向は、塔状構築物の外周面高さ方向に対して上記一方の導体方向とは逆方向に傾斜した方向であり、この傾斜した他方の導体方向の導体を、塔状構築物の外周面を回る螺旋状にした請求項1に記載の塔状構築物の避雷設備。
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