JP2004225660A - 耐雷風力発電設備 - Google Patents

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JP2004225660A JP2003017077A JP2003017077A JP2004225660A JP 2004225660 A JP2004225660 A JP 2004225660A JP 2003017077 A JP2003017077 A JP 2003017077A JP 2003017077 A JP2003017077 A JP 2003017077A JP 2004225660 A JP2004225660 A JP 2004225660A
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Yoshio Watanabe
好夫 渡邉
Shigeaki Enomoto
重朗 榎本
Shunichi Yanagawa
俊一 柳川
Kazunari Hanatani
一成 花谷
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Tohoku Electric Power Co Inc
Shoden Corp
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Tohoku Electric Power Co Inc
Shoden Corp
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Abstract

【課題】直撃雷に見舞われる頻度が多い風力発電設備の雷害に対する総合的な対策手法を施し、運用効率を向上させた耐雷風力発電設備を提供する。
【解決手段】支持鉄塔部100と、支持鉄塔部100上に取り付けられる頂部収容箱200と、頂部収容箱200に取り付けられる回転翼300と、を備える風力発電設備において、頂部収容箱200に取り付けられる絶縁部1と、風力発電設備から電気的に絶縁された状態でこの絶縁部1上に固定される避雷針500と、避雷針500と基礎接地部(鉄塔支持部100の下部)に接続される絶縁高耐電圧専用線2と、を備える耐雷風力発電設備1000を提供する。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、直撃雷に見舞われる頻度が高い風力発電設備において、雷電流の排流手段や接地対策等を改善した耐雷風力発電設備に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、クリーンエネルギーである風力発電の有効性等が認知され、需要が高まりつつある。
風車構造を採用した風力発電設備は、周辺に高い造営物・木等がなく、平坦で風通しが良いという風況に恵まれた地形を有する場所に設置される。このような風力発電設備は、その性質上強風にも耐え得るように金属材料を用いた堅牢な構造が採用される。このため、雷雲が発生すると風力発電設備は、巨大な避雷針として機能して落雷を被ることが極めて多く、雷害対策が重要である。
【0003】
このような風力発電設備における現状の雷害対策について、風力発電設備の概略構造とともに図を参照しつつ説明する。図13は従来技術の風力発電設備の構造図である。
図13で示すように、風力発電設備1000’は、支持鉄塔部100と、頂部収容箱200と、回転翼300と、風向風速計400と、避雷針500と、基礎600と、を備えている。
【0004】
支持鉄塔部100は、高さが例えば数十mに達する。このような大型の支持鉄塔部100を一体に形成することは、製造技術や輸送の観点から好ましくなく、実際は複数(図13に示す従来技術では3本)の鋼管101,102,103を搬入し、これら鋼管101,102,103の開口周縁のフランジ部に設けられた挿通孔にボルトおよびナットを用いて連結部104,105を形成することで構成している。このような構造は、殆どの支持鉄塔部で採用されている。
【0005】
頂部収容箱200は、支持鉄塔部100の回転支持部(YAW回転機構部)106に取り付けられて風向きに応じて回転するように構成され、その内部には図示しない増速機・発電機等が収容されている。
回転翼300は、風力に応じて回転し、その回転が図示しない増速機・発電機に伝達されて発電に用いられる。
【0006】
風向風速計400は、頂部収容箱200の上に設備されている。風向風速計400は風向・風速に関するデータを出力し、このデータは風に対する制御(例えば支持鉄塔部100に対する頂部収容箱200の方位を決定する回転制御)に用いられる。この風に対する制御も、風力発電設備における様々な制御のうちの一つである。
【0007】
避雷針500は、風向風速計400の保護のため、この風向風速計400の付近に設備されている。現状では、避雷針500は頂部収容箱200に電気的に直接接続され、頂部収容箱200および支持鉄塔部100を介し、支持鉄塔部100に電気的に接続された導線が、大地に埋設された接地極(図示せず)に接続されて接地を行っている。この避雷針500の設備が従来技術の主要な雷害対策である。
基礎600は通常鉄筋コンクリート構造の杭基礎・直接基礎などであり、堅牢な構造を有している。支持鉄塔部100はこの基礎600上に設けられる。
従来技術の風力発電設備1000’および雷害対策はこのようなものである。
【0008】
また、風力発電設備の雷害対策に係る他の従来技術として、例えば、風力発電の雷保護システム(特許文献1)、風力発電装置(特許文献2)、または、風力発電装置の防雷用イオン放散器(特許文献3)などが知られている。
【0009】
【特許文献1】
特開2000−265938号公報([0016]〜[0020],図2)
【特許文献2】
特開2001−123934号公報([0014],図1)
【特許文献3】
特開2002−141192号公報([0007]〜[0009],図1)
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
このように風力発電設備の雷害に対し従来技術でも種々の対策が検討されているが、実雷のエネルギーを考慮した十分な対策ではなく、現状では雷害の問題が解決されるものではなかった。
このような従来技術の風力発電設備では、多数の問題点が知見されている。これらの問題点について説明する。
【0011】
第1の問題点は、避雷針についてである。
避雷針は建築基準法により、高さ20mを超える建物に設置することが義務づけられている。従来技術における風力発電設備1000’に設置されている避雷針500は、頂部収容箱200の上に設置され、風力発電設備1000’の制御の要とされている風向風速計500への落雷を防止する。
【0012】
しかし、上述したように避雷針500は頂部収容箱200に電気的に続されており、避雷針500への落雷による雷電流が頂部収容箱200の表面を流れることになる。仮に、作業員が頂部収容箱200の内部でメンテナンス作業中であって頂部収容箱200に接触しているようなとき、落雷による雷電流が頂部収容箱200に流れたならば、その作業員は危険に晒される虞があり、このような事象の発生防止が急務であった。
【0013】
従来技術ではこの他にも当たり前のように構造物に避雷針を直接接地していた。例えば、特許文献2(特開2001−123934号公報)に記載された発明でも早期ストリーマ発進型避雷針13がナセル11に接続され、避雷導線18をナセル11および風車タワー10を通して接地するという構成を採用していたが、絶縁を完全に行うことを示唆するものではなかった。そこで、避雷針の電気的な回路を完全に独立させ、雷電流を安全かつ効果的に大地に導くことが要請されている。
【0014】
また、第2の問題点は、回転支持部の保護についてである。
回転翼300が回転する場合、図13でも示すように、一本の翼301が避雷針500よりも高い位置に存在するときがあり、このときにこの翼301に落雷を被ることがある。最近の翼301には避雷対策を施したものがあるが、いずれにしても翼301に落雷した雷電流は、翼301→ロータヘッド302→回転支持部303→頂部収容箱200→回転支持部106→支持鉄塔部100を通じて大地へ流れることになる。
【0015】
この場合、雷電流の約85%が回転支持部303の図示しない軸受け部を通過すること、および、この軸受け部を流れた雷電流のほぼ100%が、そのまま支持鉄塔部100に流れることも知見されている。
このような回転支持部303,106への雷電流の集中的な流入が、問題を引き起こすことがある。
【0016】
例えば、回転翼300の回転支持部303で用いられている軸受け部(図示せず)に雷電流が流れ、また、電圧が発生するため、軸受け部が焼き付け等の損傷を被ることがあった。これは、特に冬場の雷のように継続時間の長い雷電流が流れた場合に、損傷に至ることが多い。
また、ロータヘッド302に対して翼301の角度を調節できるように図示しない回転支持部が設けられており、上記理由から回転支持部の軸受け部が損傷することがあった。
このような軸受け部の損傷は、回転翼300が円滑に回転しなくなるため軸受け部の交換を余儀なくされる。この交換作業は、例えば数十mの高所にある位置の回転翼300を取り外し、さらに、軸受け部を交換するという大変手間を要する作業であるため、軸受け部の交換を可能な限り回避したいという要請があった。
【0017】
同様に、支持鉄塔部100に対し頂部収容箱200を回動自在にする回転支持部106の軸受け部(図示せず)にも雷電流が流れ、また、電圧が発生するため、軸受け部が損傷することがあった。
このような軸受け部の損傷は、頂部収容箱200が円滑に回転制御されなくなるため軸受け部の交換を余儀なくされる。この交換作業は、重量物である頂部収容箱200を数十mの高所で取り外し、さらに、軸受け部を交換するという大変手間を要する作業であるため、軸受け部の交換を可能な限り回避したいという要請があった。
【0018】
なお、特許文献1(特開2000−265938号公報)に記載された発明では、羽根1の雷電流をスパークギャップ17を通過させて大地へ流すというものであったが、ロータ軸2と図示されていない軸受けとの間が電気的に導通状態の場合には、スパークギャップ17で放電に至るような電位差が発生せずに排流できない場合があった。
また、電界誘導法が知られているが、回転支持部の軸と軸受けとの間が電気的に導通状態の場合は電界誘導ができず、排流できない場合があった。
また、特許文献3(特開2002−141192号公報)に記載の発明では、落雷自体を回避するものであるが、落雷が起きた場合の対策を施したものではなかった。
【0019】
なお、翼301→ロータヘッド302→回転支持部303→頂部収容箱200内部の増速機および発電機へという経路で雷電流が流れるが、発電機へ流れる電流は雷電流の約3%であるため、上記したような回転支持部の対策を優先的に行うことでこの経路で流れる雷電流を低減させることができる。
このように回転支持部の軸受け等に雷電流が集中して流れるような事態を回避し、他の排流経路となる電気的な回路を形成し、雷電流を効率よく通過させることが要請されている。
【0020】
また、第3の問題点は、支持鉄塔部内の連結部についてである。
図13で示す支持鉄塔部100の鋼管101,102,103には通常は塗料が塗られて絶縁層で覆われていることが多い。このような鋼管101,102,103をボルトで締結する場合、接触個所も絶縁層を介して接触することとなる。したがって、支持鉄塔部100を流れる雷電流が効率的に流れず、連結部104,105で絶縁破壊が起こるおそれがあった。
このため、支持鉄塔部100を雷電流が効率的に流れるようにしたいという要請があった。
【0021】
また、第4の問題点は、内部にある信号処理装置・電源装置の破損についてである。
風力発電設備1000’では、方位制御など各種制御が行われており、このような制御に用いられる制御用の信号処理装置にはコンピュータ等の電子機器が使用されていることが多い(以下このような信号処理装置等を単に制御装置という)。
【0022】
風力発電設備1000’はその構造上、地上から頂部収容箱200までの上下方向に各種導線(電源供給用・発電電力送電用などの電力用ケーブルおよび制御用・通信用などの信号用ケーブル)が敷設されている。これらは支持鉄塔部100では雷電流の流れる方向に沿って敷設されていることになり、落雷時には導線には誘導電圧が発生する。
【0023】
このような誘導電圧の発生によって上部・下部に設置されている制御装置に規格外の電流が流れることとなり、このような誘導電圧による異常電流が流れて制御装置が機器障害さらには破損に至ることもある。
光ケーブルを使用した場合においても、光信号と電気信号の変換器(メディアコンバータ)用の電源供給が必要で電源用ケーブルが敷設される点については変わりがなく、メタルケーブルと同様な対策が必要となる。
【0024】
また、従来技術では風力発電設備1000’の支持鉄塔部100の内部は同電位であるとみなされているため、保安装置が設置されていなかった。しかしながら、従来技術では保安装置が必要か否かについて考慮されたことすらなく、この点で制御装置の機器破壊対策を講じる必要があった。
【0025】
また、風力発電設備ではない場合、例えば、発変電設備に敷設されている各種設備装置に接続される導線(電源用ケーブル・制御用ケーブル・通信用ケーブル・電力用ケーブル等)にシールドを施しているが、このシールドは従来技術では片端接地であった。
しかしながら、このような片側接地によるシールドは、当然に地面上に水平に設置されている設備装置を想定した接地方法であった。
【0026】
これに対し、風力発電設備1000’は地面上に垂直に存在するような設備であり、雷電流により各部位に発生する電圧の様相も異なる。本発明者による試験で雷電流が流れる場合、電磁誘導と静電誘導とによる複合的な異常電圧が発生することが確認されている。このため、片側接地によるシールドでは不十分であった。
以上説明したように、内部の制御装置に対する雷害対策が不十分であり、このような落雷による制御装置の機器障害・破損を防止したいという要請があった。
【0027】
また、第5の問題点は、接地抵抗値の低減についてである。
図13で示す避雷針500への落雷、翼301への落雷のいずれにおいても落雷した雷電流は接地を介して大地へ流入する。従来の接地は基礎600の基礎接地部およびこの基礎接地部に接続された環状接地電極、銅板接地電極、棒状接地電極などの接地極によるものが多い。
【0028】
しかしながら、これら接地極は、支持鉄塔部内にある電源装置用の接地として存在し、通常使用時において所定の接地抵抗値を満足すればいいという理由から基礎の直近に埋設されていることがほとんどであり、落雷時における接地抵抗値の低減という観点からすると効果的かつ効率的ではない。
このように雷害対策を念頭において接地抵抗値を極力低減したいという要請があった。
【0029】
また、第6の問題点は、大地を通じて流れた雷電流の他の風力発電設備への逆流(逆閃絡現象)の防止についてである。
風力発電設備1000’の接地とは、内部に設けられた制御装置または電源装置の共通接地線を接地することにより雷電流を大地に逃がして除去しているものである。
風力発電では、風況に恵まれた個所が多くないため、通常、同一地域に複数の風力発電設備が設置されることが多い。この場合、それぞれの風力発電設備に個別に接地され、様々な場所に接地ポイントが設けられることになる。
【0030】
このように多数個所の風力発電設備の一つに落雷があった場合、この風力発電設備の接地極への雷電流流入により、接地抵抗と電流との積による大地電位上昇が生じる。この場合に各接地ポイントが同一な電位でない場合には、高電位の接地ポイントから他地域の低電位の接地ポイントへと電流が流れ、低電位接地ポイントでは、共通接地線から地面方向への通常の電流の流れとは逆に、地面から制御装置または電源装置の共通接地端へと電流が流れる逆閃絡現象が発生する。逆流電流レベルによって制御装置・電源装置を破損させたりあるいは動作不能状態を引き起こすおそれがあった。
【0031】
また、二個所の風力発電設備がメタルケーブルで結ばれている場合は、遠方側との間に電位差が生じ、保安装置の動作又は絶縁破壊により、雷電流は外部へと分流していく逆閃絡現象も生じることが確認されている。
このように、多数の風力発電設備を同一地域に建設する場合は特別な配慮も必要であった。
【0032】
本発明は上記したような問題点を解消するためになされたものであり、その目的は、直撃雷に見舞われる頻度が多く、弱耐電圧化されている風力発電設備の雷害に対する総合的な対策手法を施し、運用効率を上げることができるような耐雷風力発電設備を提供することにある。
【0033】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の耐雷風力発電設備は、支持鉄塔部と、支持鉄塔部上に取り付けられる頂部収容箱と、頂部収容箱に取り付けられる回転翼と、を備える風力発電設備において、
頂部収容箱に取り付けられる絶縁部と、風力発電設備から電気的に絶縁された状態でこの絶縁部上に固定される避雷針と、避雷針と接地部とに接続される絶縁高耐電圧専用線と、を備えることを特徴とする。
【0034】
また、請求項2に記載の耐雷風力発電設備は、支持鉄塔部と、支持鉄塔部上に取り付けられる頂部収容箱と、頂部収容箱に取り付けられる回転翼と、を備える風力発電設備において、
回転翼の翼とロータヘッドとの間に設けられる回転支持部の近傍に排流設備を設け、落雷により翼からロータヘッドへ流れる雷電流を、排流設備を介して排流経路へ流すことを特徴とする。
【0035】
また、請求項3に記載の耐雷風力発電設備は、支持鉄塔部と、支持鉄塔部上に取り付けられる頂部収容箱と、頂部収容箱に取り付けられる回転翼と、を備える風力発電設備において、
回転翼のロータヘッドと頂部収容箱との間に設けられる回転支持部の近傍に排流設備を設け、落雷によりロータヘッドから頂部収容箱へ流れる雷電流を、排流設備を介して排流経路へ流すことを特徴とする。
【0036】
また、請求項4に記載の耐雷風力発電設備は、支持鉄塔部と、支持鉄塔部上に取り付けられる頂部収容箱と、頂部収容箱に取り付けられる回転翼と、を備える風力発電設備において、
頂部収容箱と支持鉄塔部との間に設けられる回転支持部の近傍に排流設備を設け、落雷により頂部収容箱から支持鉄塔部へ流れる雷電流を、排流設備を介して排流経路に流すことを特徴とする。
【0037】
また、請求項5に記載の耐雷風力発電設備は、支持鉄塔部と、支持鉄塔部上に取り付けられる頂部収容箱と、頂部収容箱に取り付けられる回転翼と、を備える風力発電設備において、
支持鉄塔部は複数本の鋼管が連結されて構成され、隣接する二本の鋼管が連結される連結部で二本の鋼管が複数の導体を用いて電気的に接続されることを特徴とする。
【0038】
また、請求項6に記載の耐雷風力発電設備は、支持鉄塔部と、支持鉄塔部上に取り付けられる頂部収容箱と、頂部収容箱に取り付けられる回転翼と、を備える風力発電設備において、
頂部収容箱と支持鉄塔部との間にシールド用シールドケーブルを敷設し、このシールド用シールドケーブルのシールド部と支持鉄塔部とが電気的に接続されるとともにこのシールド部と頂部収容箱とが電気的に接続され、また、このシールド用シールドケーブルの芯線部と信号用シールドケーブルのシールド部が電気的に接続されることを特徴とする。
【0039】
また、請求項7に記載の耐雷風力発電設備は、支持鉄塔部と、支持鉄塔部上に取り付けられる頂部収容箱と、風向風速計を落雷から保護する避雷針と、を備える風力発電設備において、
支持鉄塔部と電気的に接続されて基礎接地部として機能する基礎を備え、この基礎の等価半径および新規に設ける接地極の等価半径以上離隔した場所に接地極を複数箇所埋設して合成接地抵抗を低減することを特徴とする。
【0040】
また、請求項8に記載の耐雷風力発電設備は、支持鉄塔部と、支持鉄塔部上に取り付けられる頂部収容箱と、頂部収容箱に取り付けられる回転翼と、を備える風力発電設備において、
支持鉄塔部に接続する接地極は、少なくとも1ヶ所以上設けられた低抵抗接地極に接地されることを特徴とする。
【0041】
【発明の実施の形態】
続いて、前記第1〜第6の問題点を解決するための耐雷風力発電設備の実施形態について説明する。
まず、図1は本実施形態の耐雷風力発電設備の概略構造図である。この図1に示した耐雷風力発電設備は、主に第1の問題点(避雷針に関する問題点)に係る雷害対策を講じたものである。
【0042】
なお、この耐雷風力発電設備1000は、図13を用いて説明した従来技術とほぼ同じ構成を有しており、支持鉄塔部100と、頂部収容箱200と、回転翼300と、風向風速計400と、避雷針500と、基礎600と、を備えているが、避雷針500と頂部収容箱200との間に絶縁部1が介在する点が新規な点である。この絶縁部1は、例えばFRP(Fiber Reinforced Plastics)で構成されており、頂部収容箱200の上部に頑丈に固定されている。
【0043】
この絶縁部1の絶縁区間は、その設備の立地条件にもよるが、100kA級の落雷を考慮し、耐電圧性能を有した絶縁区間とする。この絶縁部1に避雷針500が耐雷風力発電設備1000から電気的に絶縁された状態で取り付けられる。この場合に、避雷針500の保護角の中に風向風速計400が含まれるようになされる。
【0044】
そして、避雷針500は絶縁高耐電圧専用線2の芯線2aの一端と電気的に接続され、また、他方が接地部(具体的には支持鉄塔部100の最下部)に接続される。絶縁高耐電圧専用線2は、高インパルス耐電圧性能を有した構造とし、人身に対する安全を確保している。このように構成することで、避雷針500を流れる雷電流は電気的に独立した回路を流れることとなる。
【0045】
さらに絶縁高耐電圧専用線2はシールドが施されており、このシールド部の一端と頂部収容箱200とが導線3により接続され、また、このシールドの他端と接地部(具体的には支持鉄塔部100の最下部)とが導線3により接続される。このシールド部により雷電流が絶縁高耐電圧専用線2を流れるような場合でも、誘導電圧等を抑制し、他の制御装置・電源装置への影響を防止することができ、第4の問題点(制御装置・電源装置の破損)の解決にも寄与する。
【0046】
以上説明したように、避雷針500を頂部収容箱200に電気的な回路をもって接続するという従来技術の常識を改め、頂部収容箱200の上部にある避雷針500を絶縁部1を介在させて絶縁し、高耐電圧専用線2を用いて接地し、頂部収容箱200および支持鉄塔部100と電気的に独立した回路を設けることで、頂部収容箱200の表面を通過する雷電流によって作業員が危険にさらされるような事象の発生が回避できる。
【0047】
続いて、前記第2の問題点を解決するための耐雷風力発電設備について図を参照しつつ一括して説明する。図2は耐雷風力発電設備の回転翼と頂部収容箱との間の回転支持部近傍に設けられた排流設備の概略構造図である。図3は回転翼のA矢視図である。図4は頂部収容箱のB矢視図である。図5は頂部収容箱と支持鉄塔部との間の回転支持部近傍に設けられた排流設備の概略構造図であり、図5(a)は回転支持部を含む排流設備の全体構造図、図5(b)は排流設備の拡大構造図である。図6は他の排流設備の説明図である。
【0048】
この図2〜図6に係る耐雷風力発電設備は、主に第2の問題点(回転支持部の保護)に係る雷害対策を講じたものである。
具体的には、図2で示すように回転翼300と頂部収容箱200との間にある回転支持部303の近傍に排流設備10を設ける。この排流設備10は詳しくは第1の排流設備と第2の排流設備を包含するものである。
【0049】
まず、第1の排流設備は、図2で示すように、回転翼300の翼301とロータヘッド302との間に設けられる回転支持部である軸受け部304の近傍に設けられ、落雷により翼301からロータヘッド302へ流れる雷電流を、この排流設備を介して排流経路へ流すというものである。
図2で示すように、翼301とローターヘッド302との間には回転支持部となる軸受け部304が設けられている。翼301はレバー305(図2参照)を操作することで翼301を回動させることができる。軸受け部304により翼301はロータヘッド302に対し円滑に回動する。
【0050】
この翼301には、電極として導電物で構成されたブラシ11が、翼301の回転位置に影響されずに、常時接触している。このブラシ11はブラシ台12を介してブラシ取り付け金具13によりロータヘッド302に固着されている(図2,図3参照)。このブラシ11はブラシ取り付け金具13がいわば板ばねとして作用するため常時圧接しているが、保守容易な構造のため、経年変化による取替も容易である。
【0051】
このブラシ11は、ブラシ台12を介して排流用導線14に接続されている。この排流用導線14は、円環板15に接続され、その後は後述する第2の排流設備と同じ経路を取る。
このような構成を採用したため、落雷により翼301に雷電流が流れたとしても、翼301→ブラシ11→ブラシ台12→排流用導線14→円環板15と雷電流が流れるため、軸受け部304に流れる雷電流を減らし、軸受け部304が破損に至る事態を防止することができる。
【0052】
また、第2の排流設備は、ローターヘッド302と頂部収容箱200との間に設けられる回転支持部303の近傍に設けられ、落雷により翼301・ロータヘッド302から頂部収容箱へ200へ流れる雷電流を、排流経路へ導く。
図2,図3で示すように、ローターヘッド302と頂部収容箱200との間に回転支持部303が設けられている。円環板15は、この回転支持部303が挿通された状態でロータヘッド302に固着される。この円環板15は銅又はステンレス等の良導体で形成されている。
【0053】
この円環板15には、図2,図4で示すように、電極として導電物で構成されたブラシ16が、回転翼300の回転に影響されずに、常時接触している。このブラシ16はブラシ台17を介してブラシ取り付け金具18により頂部収容箱200に固着されている。このブラシ16はブラシ取り付け金具18がいわば板ばねとして作用するため常時圧接しているが、保守容易な構造のため、経年変化による取替も容易である。
このブラシ16は排流用導線19に接続されている。この排流用導線19は、頂部収容箱200に接続されている。
このような第2の排流設備により雷電流は、翼301→ブラシ11→ブラシ台12→排流用導線14→円環板15→ブラシ16→ブラシ台17→排流用導線19→頂部収容箱200の経路で流れるため、回転支持部303の図示しない軸受け部に流れる雷電流を減らし、この軸受け部が破損する事態を防止する。
【0054】
このような第1,第2の排流設備を含む排流設備10を設け、ローターヘッド302と頂部収容箱200とを導電物で構成された電極(ブラシ11,16)を接触させる構造とすることで、軸受け部304・回転支持部303の中の図示しない軸受け部の損傷を防止する。
【0055】
また、第3の排流設備20は、図5(a)で示すように、頂部収容箱200の踊り場201と支持鉄塔部100の鋼管101との間に設けられる回転支持部106の近傍に設けられ、落雷により翼301・ロータヘッド302を介して頂部収容箱200から支持鉄塔部100へ流れる雷電流の経路の一部となる。
【0056】
回転支持部106は、詳しくは図5(b)で示すように、頂部収容箱200の踊り場201と支持鉄塔部100との間に設けられた軸受け部106aと歯車部106bを備えている。円環筒21は、この支持鉄塔部100の鋼管101内周に固着される。この円環筒21は銅またはステンレス等の良導体で形成されている。
【0057】
この円環筒21には、電極として導電物で構成されたブラシ22が、頂部収容箱200の回転に影響されずに常時接触している。このブラシ22はブラシ台23を介してブラシ取り付け金具24により頂部収容箱200の踊り場201に固着されている。このブラシ22はブラシ取り付け金具24がいわば板ばねとして作用するため常時圧接しているが、保守容易な構造のため、経年変化による取替も容易である。
【0058】
排流用導線25は頂部収容箱200の踊場201に直接電気的に接続された状態で固定される。なお、踊り場201の上側は作業員がいるような場合も考慮して絶縁シート等により絶縁されている。
雷電流は、頂部収容箱200→踊り場201→排流用導線25→ブラシ台23→ブラシ22→円環筒21→支持鉄塔部100の鋼管101という経路を取る。このため、回転支持部106の軸受け部106aに流れる雷電流を減らし、この軸受け部106aが破損する事態を防止する。
【0059】
発明者の実験によれば、上述したような第1〜第3の排流設備を採用した場合、ブラシの接触面積が軸表面の約23%である場合に、約50%の雷電流が排流設備を通じて排流されるため、効率的に排流できることが確認されている。
このように回転翼300,頂部収容箱200および支持鉄塔部100を流れる雷電流は、導電物で構成された電極を接触させて排流設備10,20を流れるため、回転支持部(軸受け部)の損傷を防止し、雷電流を安全かつ速やかに排流することができる。
【0060】
なお、この第3の排流設備に代えて、図6で示すように、頂部収容箱200に直接に排流用導線30を接続し、頂部収容箱200→排流用導線30→支持鉄塔部100へと雷電流を排流するような排流経路としても良いが、上記した第1〜第3の排流設備による排流が、実験的に最も好ましいことが確認されている。しかしながら、これら構成は実状に応じて適宜選択される。
また、第1〜第3の排流設備において、電極はブラシ11,16,22に限定されるものではなく、他の形状、材質の電極を採用しても良い。
【0061】
以上説明したような耐雷風力発電設備によれば、回転支持部付近に複数電極による電気的な回路である排流設備を設け、雷電流を効率よく通過させることで回転支持部分に与える損傷や、スパークなどによる異常な電圧の発生を限りなく低減することができる。
【0062】
続いて、前記第3の問題点(支持鉄塔部内の連結部に関する問題点)を解決するための耐雷風力発電設備について、図を参照しつつ一括して説明する。図7は支持鉄塔部の連結部に設けられた排流設備の説明図であり、図7(a)は連結部位置説明図、図7(b)は排流設備構造の説明図である。
【0063】
具体的には、図7(a)で示すように鋼管101,102の間に設けられた連結部104、および、鋼管102,103の間に設けられた連結部105に排流設備40を設ける。
排流設備40は、詳しくは、図7(b)で示すように、鋼管101(102)に電気的に接続された端子部41と、鋼管102(103)に電気的に接続された端子部42と、を電気的に接続する排流用導線43とを備えている。
【0064】
このように鋼管101,102の連結部104に複数の排流設備40が設けられ、また、鋼管102,103の連結部105に複数の排流設備40が設けられるため、塗装された鋼管101,102,103の継ぎ目でも、排流設備40を通過して雷電流が効率良く通過するようになる。なお、鋼管101,102,103が塗装されていない場合でもこのような排流設備40を設けて効率的に雷電流を流すことができる。また、排流用導体43は通常被覆絶縁導線が使用されるが、裸導線でも良い。
このように塗装された鋼管101,102,103の連結部104,105に複数の排流設備40を設け、雷電流を効率よく通過させることで、鋼管の継ぎ目での絶縁破壊を防止することができる。
【0065】
続いて、前記第4の問題点(制御装置・電源装置の破損)を解決するための耐雷風力発電設備について、図を参照しつつ一括して説明する。図8は支持鉄塔部内に敷設された電力系・信号処理系の配線の説明図である。
【0066】
図8で示すように支持鉄塔部100内の配線に雷害対策を講じるものであり、具体的には、まず、
(1)頂部収容箱200と支持鉄塔部100との間にシールド用シールドケーブル50が敷設される。シールド用シールドケーブル50は、1重または多重のシールドが施されており、このシールド部が頂部収容箱200と支持鉄塔部100とにそれぞれ電気的に接続される。
【0067】
従来の問題点として、支持鉄塔部100自体を接地導体として用いると、風力発電設備1000は地面上に垂直に存在するため支持鉄塔部100のインピーダンスによりその上側では電位が上昇して感電等のおそれがあるという問題があり、また、専用接地線として従来のIV線を用いるとIV線には高い誘導電圧が発生するという問題があった。そこで本発明のように専用接地線としてシールド用シールドケーブル50を採用し、そのシールド部を介して接地するようにした。
【0068】
これにより、頂部収容箱200と支持鉄塔部100とが等電位化され、雷撃時に電位上昇を効率的に抑制する。また、シールド用シールドケーブル50のシールド部を雷電流が流れてもシールド用シールドケーブル50の芯線部は電磁誘導・静電誘導に影響されにくい。
【0069】
(2)頂部収容箱200の制御装置202と支持鉄塔部100の下部に設置されている制御装置107とを結ぶ各種の信号用シールドケーブル60(制御用ケーブル・通信用ケーブル)のシールド部に、シールド用シールドケーブル50の芯線部を接続する。さらに、シールド用シールドケーブル50の芯線部(信号用シールドケーブル60のシールド部)を片端(図8では頂部収容箱200側)のみ接地する。
ここで、制御装置202,107は、風向・風速検出信号の処理や頂部収容箱200の回転制御、遠隔監視のための信号処理等を行うものである。
【0070】
従来技術では、単に信号用シールドケーブル60のシールド部を支持鉄塔部100および頂部収容箱200に上下で両側接地するのみであり、落雷における電位上昇により上下の両側接地個所で電位が異なるときには信号用シールドケーブル60のシールド部に過大な電流が流れて電磁誘導および静電誘導による誘導電圧の影響を受けることとなる。
【0071】
しかし、本実施形態では上記(2)の処理により、頂部収容箱200における電位上昇を可能な限り抑制するとともに、信号用シールドケーブル60のシールド部をケーブル50の芯線部を介して頂部収容箱200に接続することにより、誘導電圧を抑制している。
【0072】
(3)また、シールド用シールドケーブル50、信号用シールドケーブル60および電力用ケーブル70を所定距離離間させ、さらに支持鉄塔部100の内周面から離している。
これにより、それぞれ他のケーブルからの電磁誘導・静電誘導による誘導電圧を減少させる。
【0073】
(4)信号用シールドケーブル60および電力用ケーブル70に発生する誘導電圧の対策として、信号用シールドケーブル60および電力用ケーブル70の芯線と接地との間に適正な保安装置108,110,203,205を設置することで、制御装置107,202や電源装置109,204の内部装置を保護している。
【0074】
上記のように支持鉄塔部100に流れる雷サージ電流によって支持鉄塔部100内に敷設された信号用シールドケーブル60および電力用ケーブル70の芯線と接地との間、および、頂部収容箱200内に敷設された信号用シールドケーブル60および電力用ケーブル70の芯線と接地との間に誘導電圧が発生するが、上下間を結ぶ信号用シールドケーブル60の芯線の両端に保安装置108,203を設け、また、上下間を結ぶ電力用ケーブル70の芯線の両端に保安装置110,205を設けたため、前記誘導電圧により制御装置107,202や電源装置109,204に過電圧が印加されるのを防止することができる。
【0075】
なお、本実施形態ではガスアレスタとバリスタとを直列に接続した保安装置108,203を採用し、支持鉄塔部100から信号用シールドケーブル60の芯線に電流が殆ど流れないことも知見された。このような構造の保安装置108,203を、敷設される信号用シールドケーブル60の芯線に全て設置することが望ましい。
また、保安装置108,203の大電流耐量化も効果的である。さらに遠方にある他の設備にも保安装置の設置が望ましい。
【0076】
続いて、前記第5の問題点(接地抵抗の低減)を解決するための耐雷風力発電設備について、図を参照しつつ一括して説明する。図9は接地部の説明図、図10は接地抵抗の傾向の説明図である。
【0077】
図9で示すように、内部にある制御装置107・電源装置109の接地は、基礎600の配筋601に接続される。この配筋601は基礎接地部81により接地される。この配筋601(または支持鉄塔部100の下部)には複数の接地極82が接地接続導体83により接続されている。接地部80はこのように構成されている。
【0078】
発明者は、模型モデルを用いた実験および現地試験により、
(a)雷電流が流れた場合の大地電位上昇電圧は、接地抵抗値と電流値との積である点、
(b)基礎600の周辺では電位傾度が大きい点、
(c)大地電位上昇による他の風力発電設備への波及電圧は、距離が離れるにつれて指数関数的に減少する点、
(d)接地抵抗を効果的に低減して大地電位の上昇を抑えるには、接地極埋設個所を基礎600から所定の離間距離にわたり離す必要がある点、
を確認した。
【0079】
例えば、上記(c)について図9の基礎600から接地極82までの距離を離間距離とすると、図10(a)で示すように離間距離が増大するにつれて雷電流が流れたときの波及電圧が減少していき、所定の離間距離aだけ離れた後は離間距離に拘わらず波及電圧は一定となる。このため、上記(d)を考慮すると、図10(b)で示すように所定距離aまで離間すれば接地抵抗を低くすることができる。なお、aの値はその土地固有の値であるため、その土地で計測により求められる値となる。
【0080】
風力発電設備の基礎600についてはその性質上規模も大きく、配筋601なども数多く配置されており、頑丈なものとなっている。そのため、接地抵抗値も低く維持されている。
そこで、接地としてさらに効果的に作用するように、上記(1)〜(4)の確認点を考慮し、
(イ)支持鉄塔部100の基礎600の配筋601を基礎接地部81により接地し、
(ロ)その基礎600の等価半径および新規に設ける接地極82の等価半径以上で水平方向または垂直方向に離隔した場所に接地極82を複数箇所設ける、
ことで合成接地抵抗を低減する。ここでいう接地極82は、例えば、銅板接地、接地棒打設接地、埋設導体接地などによる。
これにより落雷時の電位上昇を抑制し、風力発電設備および周囲設備への影響を低減することが可能になる。
【0081】
続いて、前記第6の問題点(逆閃絡現象の防止)を解決するための耐雷風力発電設備について図を参照しつつ一括して説明する。図11は、複数の耐雷風力発電設備がある場合の接地についての説明図である。
【0082】
複数の耐雷風力発電設備1000がある場合には、各風力発電設備の配筋601(基礎接地部81)を、1ヶ所(図11では1ヶ所のみである)以上設けた低抵抗接地極90に接地接続導体91により集中的に接地する。この低接地抵抗極90は、例えばボーリング接地などによって設備されたものである。この場合、周辺地域の中で最も接地抵抗が低い個所を選んで接地されているたため、電流は電位が高い他の方向へは流れず、落雷時に雷電流が逆流するような逆閃絡現象が防止される。
これにより、ある耐雷風力発電設備1000に落雷したときでも、他の耐雷力発電設備1000および周囲設備への影響を低減する。
【0083】
【実施例】
続いて、このような耐雷風力発電設備の実施例について図を参照しつつ説明する。
図12は、本実施例の耐雷風力発電設備の実施例の構成図、図13は全体の風力発電設備回路の回路図である。
本実施例の耐雷風力発電設備は、図12に示すように、上記した全ての雷害対策を施したものである。
【0084】
図12において、発電機206は電源装置204に接続され、この電源装置204に接続される電力用ケーブル70は、支持鉄塔部100の内部のキャビネットケース111に引き込まれる。キャビネットケース111の中には電源装置109の具体例である電源機器109a,耐雷トランス109bが配置され、保安装置110が設けられる。また、このキャビネットケース111は接地されている。耐雷トランス109bは変電所2000にある電源設備2001と接続される。この電源設備2001にも保安装置2003が設けられる。
【0085】
また、頂部収容部200の前記制御装置202は、実際には風向風速計400内部のデータ送信装置であり、このデータ送信装置が信号用シールドケーブル60に接続される。この信号用シールドケーブル60は、キャビネットケース111に引き込まれる。キャビネットケース111の中には、制御装置107の具体例である制御部107a,監視装置107bが配置され、保安装置108が設けられる。監視装置107bは変電所2000にある監視装置2002と接続される。この監視装置2002にも保安装置2004が設けられる。
【0086】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、直撃雷に見舞われる頻度が高い風力発電設備の機器の誤動作、破壊を防止することができ、運用効率を上げることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態の耐雷風力発電設備の概略構造図である。
【図2】本発明の実施形態の耐雷風力発電設備の回転翼と頂部収容箱との間の回転支持部近傍に設けられた排流設備の概略構造図である。
【図3】回転翼のA矢視図である。
【図4】頂部収容箱のB矢視図である。
【図5】本発明の実施形態の耐雷風力発電設備の頂部収容箱と支持鉄塔部との間の回転支持部近傍に設けられた排流設備の概略構造図である。
【図6】他の排流設備の説明図である。
【図7】支持鉄塔部の連結部に設けられた排流設備の説明図である。
【図8】支持鉄塔部内に敷設された電力系・信号処理系の配線の説明図である。
【図9】接地部の説明図である。
【図10】接地抵抗の傾向の説明図である。
【図11】複数の耐雷風力発電設備がある場合に接地についての説明図である。
【図12】本発明の実施例の風力発電設備の実施例の構成図である。
【図13】従来技術の風力発電設備の構造図である。
【符号の説明】
1:絶縁部
2:絶縁高耐電圧専用線
2a:芯線
3:導線
10:排流設備
11:ブラシ
12:ブラシ台
13:ブラシ取り付け金具
14:排流用導線
15:円環板
16:ブラシ
17:ブラシ台
18:ブラシ取り付け金具
19:排流用導線
20:排流設備
21:円環筒
22:ブラシ
23:ブラシ台
24:ブラシ取り付け金具
25:排流用導線
30:排流用導線
40:排流設備
41:端子部
42:端子部
43:排流用導線
50:シールド用シールドケーブル
60:信号用シールドケーブル
61:芯線
70:電力用ケーブル
80:接地部
81:接地極
82:接地接続導体
83:基礎接地部
90:低抵抗接地極
91:接地接続導体
100:支持鉄塔部
101:鋼管
102:鋼管
103:鋼管
104:連結部
105:連結部
106:回転支持部
106a:軸受け部
106b:歯車部
107:制御装置
107a:制御部
107b:監視装置
108:保安装置
109:電源装置
109a:電源盤
109b:耐雷トランス
110:保安装置
111:キャビネットケース
200:頂部収容箱
201:踊り場
202:制御装置
203:保安装置
204:電源装置
205:保安装置
206:発電機
300:回転翼
301:翼
302:ロータヘッド
303:回転支持部
304:軸受け部
305:レバー
400:風向風速計
500:避雷針
600:基礎
601:配筋
1000:耐雷風力発電設備
2000:変電所
2001:電源設備
2002:監視装置
2003:保安装置
2004:保安装置

Claims (8)

  1. 支持鉄塔部と、
    支持鉄塔部上に取り付けられる頂部収容箱と、
    頂部収容箱に取り付けられる回転翼と、
    を備える風力発電設備において、
    頂部収容箱に取り付けられる絶縁部と、
    風力発電設備から電気的に絶縁された状態でこの絶縁部上に固定される避雷針と、
    避雷針と接地部とに接続される絶縁高耐電圧専用線と、
    を備えることを特徴とする耐雷風力発電設備。
  2. 支持鉄塔部と、
    支持鉄塔部上に取り付けられる頂部収容箱と、
    頂部収容箱に取り付けられる回転翼と、
    を備える風力発電設備において、
    回転翼の翼とロータヘッドとの間に設けられる回転支持部の近傍に排流設備を設け、落雷により翼からロータヘッドへ流れる雷電流を、排流設備を介して排流経路へ流すことを特徴とする耐雷風力発電設備。
  3. 支持鉄塔部と、
    支持鉄塔部上に取り付けられる頂部収容箱と、
    頂部収容箱に取り付けられる回転翼と、
    を備える風力発電設備において、
    回転翼のロータヘッドと頂部収容箱との間に設けられる回転支持部の近傍に排流設備を設け、落雷によりロータヘッドから頂部収容箱へ流れる雷電流を、排流設備を介して排流経路へ流すことを特徴とする耐雷風力発電設備。
  4. 支持鉄塔部と、
    支持鉄塔部上に取り付けられる頂部収容箱と、
    頂部収容箱に取り付けられる回転翼と、
    を備える風力発電設備において、
    頂部収容箱と支持鉄塔部との間に設けられる回転支持部の近傍に排流設備を設け、落雷により頂部収容箱から支持鉄塔部へ流れる雷電流を、排流設備を介して排流経路に流すことを特徴とする耐雷風力発電設備。
  5. 支持鉄塔部と、
    支持鉄塔部上に取り付けられる頂部収容箱と、
    頂部収容箱に取り付けられる回転翼と、
    を備える風力発電設備において、
    支持鉄塔部は複数本の鋼管が連結されて構成され、隣接する二本の鋼管が連結される連結部で二本の鋼管が複数の導体を用いて電気的に接続されることを特徴とする耐雷風力発電設備。
  6. 支持鉄塔部と、
    支持鉄塔部上に取り付けられる頂部収容箱と、
    頂部収容箱に取り付けられる回転翼と、
    を備える風力発電設備において、
    頂部収容箱と支持鉄塔部との間にシールド用シールドケーブルを敷設し、このシールド用シールドケーブルのシールド部と支持鉄塔部とが電気的に接続されるとともにこのシールド部と頂部収容箱とが電気的に接続され、また、このシールド用シールドケーブルの芯線部と信号用シールドケーブルのシールド部が電気的に接続されることを特徴とする耐雷風力発電設備。
  7. 支持鉄塔部と、
    支持鉄塔部上に取り付けられる頂部収容箱と、
    風向風速計を落雷から保護する避雷針と、
    を備える風力発電設備において、
    支持鉄塔部と電気的に接続されて基礎接地部として機能する基礎を備え、
    この基礎の等価半径および新規に設ける接地極の等価半径以上離隔した場所に接地極を複数箇所埋設して合成接地抵抗を低減することを特徴とする耐雷風力発電設備。
  8. 支持鉄塔部と、
    支持鉄塔部上に取り付けられる頂部収容箱と、
    頂部収容箱に取り付けられる回転翼と、
    を備える風力発電設備において、
    支持鉄塔部に接続する接地極は、少なくとも1ヶ所以上設けられた低抵抗接地極に接地されることを特徴とする耐雷風力発電設備。
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