JP4471052B2 - 貿易取引の決済支援装置、方法及び記録媒体 - Google Patents

貿易取引の決済支援装置、方法及び記録媒体 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は貿易取引の決済支援装置、方法及び記録媒体に係り、特に、貿易取引の決済を支援する貿易取引の決済支援装置、該貿易取引の決済支援装置に適用可能な貿易取引の決済支援方法、及びコンピュータを前記貿易取引の決済支援装置として機能させるためのプログラムが記録された記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】
貿易取引は、一般に輸出者(シッパーともいう)からの物品の売込活動、又は輸入者(バイヤーともいう)から輸出者への引合いによって両者の交渉が開始され、品質・数量・価格・納期等の諸条件について両者が合意して売買契約が締結されることによって開始される。売買契約が締結されると、輸出者は、インボイス(請求書)、パッキング・リスト(梱包リスト)、証明書(例えば原産地証明書等)、ドック・レシート(貨物の受取証)、船荷証券又はエア・ウエイ・ビル(Air Way Bill)、保険証券等の各種の貿易書類の作成を手配し、貿易書類の取り纏めを行う。
【0003】
そして輸出者は、これらの貿易書類の内容を照合した上で取り纏めて輸入者へ直接、又は輸出地銀行及び輸入地銀行を介して輸入者へ送付する。輸入者は、受領した各種の貿易書類に記載されている内容を照合した後に通関業者に渡し、通関業者は、渡された貿易書類を保険会社、船会社、税関等に提示する。これにより輸入物品の引き取りが可能となり、輸入物品が倉庫又は工場又は最終需要家に搬入されることになる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、貿易取引の分野でも、貿易取引の迅速化・貿易取引業務の効率化を目的として、インターネット等のコンピュータネットワーク上で売買契約を締結することが行われるようになってきており、更に、貿易EDI:例えば公知のボレロ(Bolero International Limited)等を利用して、貿易取引の関係者間の貿易書類の授受をコンピュータネットワークを介して行うことも検討されている。しかしながら、貿易取引の決済については旧来の手法で行われているのが実情であり、貿易取引の迅速化、業務の効率化の障害となっている。
【0005】
例えば貿易取引における決済方法の1つである信用状(以下、L/Cという)を用いた決済方法では、輸入者が支払い能力を有していることがL/Cによって保証されているので、輸出者側は、輸入者から代金を回収できない可能性がある等のリスク(代金回収リスク)から解放され、輸出者から銀行を経由して輸入者に渡される貿易書類の内容が事前に銀行等によって確認されることで、輸入者側は、受け取った貿易書類の内容が整合していないことで輸入物品の受け取りができない可能性がある等のリスク(物品受取リスク)から解放される、という利点がある。しかしながら、L/Cを用いた決済では事務処理が非常に煩雑であり、貿易取引の迅速化、業務の効率化が阻害されるという問題があった。
【0006】
本発明は上記事実を考慮して成されたもので、輸出者及び輸入者のリスクを軽減し、貿易取引の決済を迅速かつ効率的に行うことを可能とする貿易取引の決済支援装置、方法及び記録媒体を得ることが目的である。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために請求項1記載の発明に係る貿易取引の決済支援装置は、少なくとも輸出者及び輸入者がクライアント・コンピュータを各々所持している環境において、各クライアント・コンピュータと通信可能なサーバ・コンピュータによって実現される貿易取引の決済支援装置であって、情報を記憶するための記憶手段と、輸出者よりクライアント・コンピュータを介して受信した電子貿易書類を前記記憶手段に記憶させ、該電子貿易書類の更新及び記憶手段からの取り出しを禁止すると共に、輸入者よりクライアント・コンピュータを介し、電子貿易書類の閲覧が指示されると、閲覧が指示された電子貿易書類の内容を表す情報を前記クライアント・コンピュータへ出力する電子貿易書類管理手段と、代金の決済が完了したことを検知すると、前記電子貿易書類管理手段による電子貿易書類の取り出し禁止を解除し、前記記憶手段に記憶されている電子貿易書類を取り出して前記輸入者へ送信する送信手段と、を含んで構成されている。
【0008】
請求項1記載の発明は、少なくとも輸出者及び輸入者がクライアント・コンピュータを各々所持している環境において、各クライアント・コンピュータと通信可能なサーバ・コンピュータによって実現される。また請求項1記載の発明は、情報を記憶するための記憶手段を備えており、電子貿易書類管理手段は、輸出者よりクライアント・コンピュータを介して受信した電子貿易書類を記憶手段に記憶させ、該電子貿易書類の更新及び記憶手段からの取り出しを禁止する。これにより、記憶手段に記憶(保管)されている電子貿易書類の内容が、無関係な他者によって書き替えられることがないので、記憶手段に記憶されている電子貿易書類を貿易書類の原本として扱うことが可能となる。
【0009】
なお、本発明に係る電子貿易書類は、輸入者が輸入物品を受け取るために必要な貿易書類を表す情報であり、例えば船荷証券又はエア・ウェイ・ビル、保険証券、インボイス、パッキング・リスト、シッピング・インストラクション、証明書、ブッキング依頼書、ドック・レシート、保険依頼書等の貿易書類の少なくとも何れかを表す情報が挙げられる。
【0010】
なお、輸出者より受信する電子貿易書類は、例えば輸入された物品の受け取りも可能な証券性を有する情報であるので、所定の登録・認証機関(電子認証を行うと共に書類のオリジナリティ(完全性及び真正性)を確保し、書類の所有権の管理も行う貿易EDI:例えば公知のボレロ(Bolero International Limited)や今後実用化されるTEDI等)経由で受信することが望ましい。これにより、電子貿易書類を安全かつ確実に受信できると共に、第三者機関である所定の登録・認証機関に対して電子貿易書類の所有権の管理(詳しくは所有権の登録や移転の管理)を依頼することも可能となるので、電子貿易書類の送受信に伴う所有権の移転等の管理を公正に行うことができる。
【0011】
また、電子貿易書類管理手段は、輸入者よりクライアント・コンピュータを介し、電子貿易書類の閲覧が指示されると、閲覧が指示された電子貿易書類の内容を表す情報をクライアント・コンピュータへ出力する。これにより、輸入者は、本発明に係る貿易取引の決済支援装置に対し、クライアント・コンピュータを介して電子貿易書類の閲覧を指示することで、電子貿易書類の内容を表す情報を受け取ることができ、該情報がクライアント・コンピュータに設けられた出力装置によって出力されることで、代金の決済を行う前に電子貿易書類の内容を閲覧し、売買契約書通りの品物が詰まれているかを確認することができるので、輸入者の物品受取リスクを軽減することができる。
【0012】
また、請求項1記載の発明に係る送信手段は、代金の決済が完了したことを検知すると、電子貿易書類管理手段による電子貿易書類の取り出し禁止を解除し、記憶手段に記憶されている電子貿易書類を取り出して輸入者へ送信する。これにより、代金の決済が行われる前に電子貿易書類が輸入者へ渡されることがないので、輸出者の代金回収リスクを軽減することができる。
【0013】
このように、請求項1記載の発明では、先にも述べたように、記憶手段に記憶されている電子貿易書類を貿易書類の原本として扱うことができるので、決済が完了する迄の間、輸出者が貿易書類(紙に記録され、原本であること又は原本と相違ないことを証明する署名が記された貿易書類)を保管したり、保管している貿易書類を適切な時期に輸入者に引き渡したり等の煩雑な事務処理を行う必要がなくなる。従って、請求項1記載の発明によれば、輸出者及び輸入者のリスクを軽減し、貿易取引の決済を迅速かつ効率的に行うことが可能となる。
【0014】
なお、請求項1記載の発明において、電子貿易書類管理手段は、例えば請求項2に記載したように、閲覧が指示された電子貿易書類を記憶手段から読み出し、読み出した電子貿易書類を、該電子貿易書類の内容を確認可能でかつ原本でないことを容易に認識可能な情報に加工し、加工後の情報を電子貿易書類の内容を表す情報として出力することが好ましい。電子貿易書類の内容を確認可能でかつ原本でないことを容易に認識可能な情報としては、例えば原本でないことを表す文字(例えば「複写」や「控え」、「コピー」等)を貿易書類に重ね合わせた文面を表す情報や、貿易書類の一部にモザイクをかけたり一部を隠蔽した文面を表す情報、電子透かし技術を利用し原本でないことを表す情報を電子貿易書類に埋め込んだ情報等が挙げられる。
【0015】
これにより、閲覧が指示された際に上記の情報を出力することにより、輸入者が、電子貿易書類を閲覧することで入手した情報に基づき、決済を行うことなく輸入物品の受け取りを行う等の不正を行うことを防止することができ、輸出者の代金回収リスクを確実に軽減することができる。
【0016】
請求項3記載の発明は、請求項1記載の発明において、輸出者よりクライアント・コンピュータを介して電子貿易書類を受信した場合に、電子貿易書類を受信したことを輸入者に通知する第1通知手段を更に備えたことを特徴としている。
【0017】
請求項3記載の発明では、輸出者より電子貿易書類を受信すると、電子貿易書類を受信したことが第1通知手段によって輸入者に通知されるので、輸出者が輸入者に対して代金の決済を要求する等の事務処理を行う必要がなくなり、輸出者の事務処理を更に軽減できると共に、輸入者による決済をより迅速に開始させることが可能となる。
【0018】
請求項4記載の発明は、請求項1記載の発明において、サーバ・コンピュータは、決済機関が所持しているクライアント・コンピュータと通信可能とされており、送信手段は、代金の決済が完了したことが決済機関より前記クライアント・コンピュータを介して通知されたか否かに基づいて、代金の決済が完了したか否かを判定することを特徴としている。
【0019】
請求項4記載の発明では、決済機関のクライアント・コンピュータを介して代金の決済が完了したことが通知されるので、代金の決済が完了したことを早期に認識することができ、代金の決済が完了した後の輸入者への電子貿易書類の送信を迅速に行うことができる。
【0020】
請求項5記載の発明は、請求項1記載の発明において、代金の決済が完了したことを検知すると、代金の決済が完了したことを輸出者に通知する第2通知手段を備えたことを特徴としている。
【0021】
請求項5記載の発明では、代金の決済が完了したことを検知すると、第2通知手段は、代金の決済が完了したことを輸出者に通知するので、輸入者が輸出者に対して代金の決済を行ったことを通知する等の事務処理を行う必要がなくなり、輸入者による事務処理を更に軽減することができる。
【0022】
請求項6記載の発明に係る貿易取引の決済支援方法は、少なくとも輸出者及び輸入者がクライアント・コンピュータを各々所持している環境において、各クライアント・コンピュータと通信可能なサーバ・コンピュータによって実現される貿易取引の決済支援方法であって、輸出者よりクライアント・コンピュータを介して受信した電子貿易書類を、情報を記憶するための記憶手段に記憶させ、該電子貿易書類の更新及び記憶手段からの取り出しを禁止すると共に、輸入者よりクライアント・コンピュータを介し、電子貿易書類の閲覧が指示されると、閲覧が指示された電子貿易書類の内容を表す情報を前記クライアント・コンピュータへ出力し、代金の決済が完了したことを検知すると、電子貿易書類の取り出し禁止を解除し、前記記憶手段に記憶されている電子貿易書類を取り出して前記輸入者へ送信するので、請求項1記載の発明と同様に、輸出者及び輸入者のリスクを軽減し、貿易取引の決済を迅速かつ効率的に行うことが可能となる。
【0023】
請求項7記載の発明に係る記録媒体は、少なくとも輸出者及び輸入者がクライアント・コンピュータを各々所持している環境において、各クライアント・コンピュータと通信可能なサーバ・コンピュータに所定の処理を実行させるためのプログラムが記録された記録媒体であって、前記所定の処理は、輸出者よりクライアント・コンピュータを介して受信した電子貿易書類を、情報を記憶するための記憶手段に記憶させ、該電子貿易書類の更新及び記憶手段からの取り出しを禁止すると共に、輸入者よりクライアント・コンピュータを介し、電子貿易書類の閲覧が指示されると、閲覧が指示された電子貿易書類の内容を表す情報を前記クライアント・コンピュータへ出力する第1のステップ、代金の決済が完了したことを検知すると、電子貿易書類の取り出し禁止を解除し、前記記憶手段に記憶されている電子貿易書類を取り出して前記輸入者へ送信する第2のステップを含むことを特徴としている。
【0024】
請求項7記載の発明に係る記録媒体には、上記第1及び第2のステップを含む処理、すなわちコンピュータを、請求項1に記載の貿易取引の決済支援装置として機能させるためのプログラムが記録されているので、サーバ・コンピュータが前記記録媒体に記録されたプログラムを読み出して実行することにより、請求項1記載の発明と同様に、輸出者及び輸入者のリスクを軽減し、貿易取引の決済を迅速かつ効率的に行うことが可能となる。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施形態の一例を詳細に説明する。図1には本実施形態に係るコンピュータシステム10が示されている。
【0026】
コンピュータシステム10は、貿易取引の関係者である輸出者及び輸入者が各々所持しているクライアント・コンピュータ12(以下、単にクライアント12と称する)、輸出者と輸入者の間の貿易取引の決済業務を支援するサービスを提供する機関であるe−ドキュメンツ・エスクロー(e-Documents Escrow:以下「e-Docu Es」と称する)に設置されたサーバ・コンピュータ14(以下、単にサーバ14と称する)と、金融機関の決済部門に設置されたコンピュータ16と、所定の登録・認証機関に設置されたコンピュータ18と、所定の認証機関に設置されたコンピュータ20と、これらのコンピュータを相互に接続するインターネット22と、を含んで構成されている。
【0027】
なお、本実施形態において、e-Docu Esは金融機関の一部門として金融機関に設けられており、e-Docu Esのサーバ14は金融機関の決済部門のコンピュータ16と直接接続されているが、e-Docu Esは金融機関と独立した機関であっても良い。
【0028】
貿易取引の関係者が各々所持しているクライアント12は、例えばパーソナル・コンピュータ(PC)等で構成することができる。以下、輸出者が所持しているクライアント12を例にその構成を説明する。すなわち、クライアント12は、CPU12A、ROM12B、RAM12C、入出力ポート12Dを備え、これらはアドレスバス、データバス、制御バス等のバス12Eを介して互いに接続されている。
【0029】
入出力ポート12Dには、各種の入出力機器として、CRT又はLCDから成るディスプレイ26、マウス28、キーボード30、ハードディスク装置(HDD)32、プリンタ34、CD−ROM36からの情報の読み出しを行うCD−ROMドライブ38及び通信制御装置(例えばモデム又はルータ)40が各々接続されている。なお、ディスプレイ26及びプリンタ34は本発明に係る出力装置に対応している。通信制御装置40はインターネット22に接続されており、クライアント12は、コンピュータシステム10を構成する他のコンピュータとインターネット22を介して通信可能とされている。なお、クライアント12には、例えばCD−ROM36等から読み出されたブラウザ(閲覧ソフト)がHDD32に予めインストールされている。
【0030】
また、e-Docu Esに設置されたサーバ14は、例えばワークステーション等で構成することができる。サーバ14はCPU14A、ROM14B、RAM14C、入出力ポート14Dを備え、これらはアドレスバス、データバス、制御バス等のバス14Eを介して互いに接続されている。入出力ポート14Dには、各種の入出力機器として、インターネット22に接続されると共に金融機関の決済部門のコンピュータ16に接続された通信制御装置(例えばモデム又はルータ)42、ディスプレイ44、マウス46、キーボード48、本発明の記憶手段としてのHDD50、CD−ROM52からの情報の読み出しを行うCD−ROMドライブ54が各々接続されている。
【0031】
e-Docu Esは輸出者と輸入者の間の貿易取引の決済業務の支援、具体的には、貿易取引に関係する各種の書類(貿易書類)を電子化した電子貿易書類を決済時に引渡したり、決済完了を確認する等の処理(本発明に係る決済支援処理:詳細は後述)をサーバ14によって代行するサービスを提供することで、貿易取引の決済業務における輸出者及び輸入者のリスクを軽減し、かつ輸出者及び輸入者の煩雑な事務処理を削減する機関である。サーバ14には、決済支援処理をサーバ14によって実行するための決済支援プログラムがHDD50にインストールされている。サーバ14は本発明のサーバ・コンピュータに対応しており、サーバ14のCPU14Aが決済支援プログラムを実行することで、本発明の貿易取引の決済支援装置として機能することが可能となる。
【0032】
決済支援プログラムをサーバ14にインストール(移入)するには幾つかの方法があるが、例えば決済支援プログラムをセットアッププログラムと共にCD−ROM52に記録しておき、CD−ROM52をサーバ14のCD−ROMドライブ54にセットし、CPU14Aに対して前記セットアッププログラムの実行を指示すれば、CD−ROM52から決済支援プログラムが順に読み出され、読み出された決済支援プログラムがHDD50に順に書き込まれることで、決済支援プログラムのインストールが行われる。上記の態様において、CD−ROM52は本発明の記録媒体に対応している。
【0033】
また、e-Docu Esを利用して貿易取引の決済業務を行う輸出者及び輸入者は、e-Docu Esの利用規約を認知した上で、e-Docu Esに対して予め利用者としての登録を申請する。登録の申請を受けたe-Docu Esでは、申請者に登録ID及びパスワードを付与し、付与した登録ID及びパスワードを申請者に通知する。また、サーバ14のHDD50には利用者情報データベース(DB)が記憶されており、e-Docu Esは新規に登録IDを付与した利用者に関する情報(登録ID、パスワード、利用者名、種別(輸出者/輸入者)、連絡先等)を利用者情報DBに登録する。
【0034】
また、本実施形態に係る所定の登録・認証機関は、貿易取引の関係者間での電子貿易書類の送受信において、安全性・確実性・書類のオリジナリティを確保し、かつ書類の所有権等の管理を行うために設立された第三者機関であり、例えば公知のボレロ(Bolero International Limited)が挙げられる。
【0035】
本実施形態では、e-Docu Esを利用して貿易取引の決済業務を行う輸出者及び輸入者が所定の登録・認証機関にも加盟している。電子貿易書類の送付に際し、電子貿易書類の送付元(例えば輸出者又はe-Docu Es)が電子貿易書類の宛先(例えばe-Docu Es又は輸入者)を指定して所定の登録・認証機関のコンピュータ18へ電子貿易書類を送信すると、送信した電子貿易書類は所定の登録・認証機関を経由し、指定した宛先に送付される。このとき、所定の登録・認証機関のコンピュータ18が電子認証(本人確認を電子的に行うこと)、暗号化、電子貿易書類のオリジナリティーのチェック等の処理を行うことにより、安全性・確実性・電子貿易書類のオリジナリティが確保される。これにより、電子貿易書類の受信側では受信した電子貿易書類を正規の貿易書類(原本)として取り扱うことが可能となる。
【0036】
また、所定の登録・認証機関のコンピュータ18は、特定の電子貿易書類の所有権を有する関係者の登録が指示されると、登録が指示された関係者を前記特定の電子貿易書類の所有権者として記憶する。そして、特定の電子貿易書類の所有権者である特定の関係者が、宛先として他の関係者を指定して所定の登録・認証機関へ前記特定の電子貿易書類を送信するに際し、特定の電子貿易書類の所有権を前記他の関係者へ移転することを所定の登録・認証機関へ依頼すると、所定の登録・認証機関のコンピュータ18は、特定の電子貿易書類の所有権者を前記他の関係者に書き替えることで所有権の移転を管理する。これにより、電子貿易書類の送受に伴う所有権の移転等の管理を公正に行うことができる。
【0037】
更に本実施形態では、e-Docu Esを利用して貿易取引の決済業務を行う輸出者及び輸入者が所定の認証機関(電子認証等を行う公知の機関)にも加盟しており、e-Docu Es及び貿易取引の関係者の間で電子貿易書類以外の情報を送受信する場合には所定の認証機関が利用される。電子貿易書類以外の情報の送付に際し、情報の送付元が宛先を指定して所定の認証機関のコンピュータ20へ情報を送信すると、送信した情報は所定の認証機関を経由し、指定した宛先に送付される。このとき、所定の認証機関のコンピュータ20が電子認証や暗号化等の処理を行うことにより、電子貿易書類以外の情報についても安全かつ確実に送受信することができる。
【0038】
なお本実施形態では、電子貿易書類の送受にのみ所定の登録・認証機関を利用しているが、全ての情報の送受に所定の登録・認証機関を利用してもよいことは言うまでもない。また、インターネット22に代えて他のコンピュータネットワークを用いてもよい。
【0039】
次に本実施形態の作用を説明する。輸出者と輸入者の間で貿易取引の売買契約が締結される(売買契約の締結に至る事務処理はインターネット22等を利用して電子的に行ってもよいし、郵便や電話、ファクシミリ等の通信手段を利用して行ってもよい)と、輸出者は、インボイス、パッキング・リスト、証明書、ドック・レシート、船荷証券又はエア・ウエイ・ビル、保険証券等の各種の貿易書類を電子化した貿易書類作成を関係者(例えば通関業者(フォワーダともいう)、船会社又は航空貨物取扱業者、保険会社等)に手配し、これらの貿易書類を取り纏めると共に、個々の電子貿易書類の内容を照合して内容の整合がとれているか否かの確認を行い、必要に応じて貿易書類の修正を関係者に依頼することで、貿易書類の内容を確定させる。
【0040】
また、輸入者との協議の結果、貿易取引の決済にe-Docu Esによる決済業務支援サービスを利用することで合意した場合、輸出者は、特定の貿易取引について、e-Docu Esの決済業務支援サービスを利用するための申し込みをe-Docu Esに対して行う。すなわち、輸出者の事務処理担当者はクライアント12のHDD32に記憶されているブラウザを起動し、サーバ14のHDD50に記憶されているe-Docu EsのホームページのURL(Uniform Resouce Locator)を設定することでe-Docu Esをアクセスする。
【0041】
e-Docu Esのサーバ14では、外部から何らかのアクセスがあると図2に示す決済支援処理がCPU14Aによって実行される。この決済支援処理では、まずステップ100において外部からのアクセスの内容を判定し、判定結果に応じて分岐する。外部からのアクセスがウェブページ(ホームページ)のアクセスであれば、ステップ100からステップ102へ移行し、e-Docu Esのホームページである登録ID入力要求画面(ウェブページ)をHDD50から読み出し、インターネット18を介してアクセス元(この場合は輸出者)のクライアント12へ配信する。
【0042】
これにより、アクセス元(この場合は輸出者)のクライアント12のディスプレイ26には、ブラウザによって登録ID入力要求画面が表示される。この登録ID入力要求画面には、e-Docu Esの利用者がe-Docu Esより通知された登録ID及びパスワードを入力するための入力欄が各々設けられており、登録ID及びパスワードの入力を利用者に要請するメッセージが表示されている。次のステップ104ではアクセス元のクライアント12から登録ID及びパスワードを受信したか否か判定し、判定が肯定される迄待機する。
【0043】
輸出者の事務処理担当者がクライアント12のキーボード30を操作し、e-Docu Esより通知された登録ID及びパスワードを入力すると、入力した登録ID及びパスワードがインターネット18を介してサーバ14へ送信され、サーバ14が登録ID及びパスワードを受信することで、前述のステップ104の判定が肯定されてステップ106へ移行する。
【0044】
ステップ106ではアクセス元のクライアント12から受信した登録ID及びパスワードが、HDD50に記憶されている利用者情報DBに登録されているか否か判定する。この判定が否定された場合は、今回のアクセスが正規の利用者からのアクセスでないと判断できるので、エラーメッセージを表示したエラー画面をインターネット18を介してアクセス元のクライアント12に配信し(ステップ108)、決済支援処理を終了する。上記処理により、正規の利用者以外の他者がe-Docu Esのサービスを不正に利用したり、サーバ14のHDD50に記憶されている各種の情報の改ざん等を行うことが防止される。
【0045】
一方、受信した登録ID及びパスワードが利用者情報DBに登録されていた場合には、今回のアクセスが正規の利用者からのアクセスであると判断できるので、ステップ110へ移行し、メニュー画面(ウェブページ)をHDD50から読み出し、インターネット18を介してアクセス元(この場合は輸出者)のクライアント12へ配信する。これにより、クライアント12のディスプレイ26には、ブラウザによってメニュー画面が表示される。
【0046】
このメニュー画面には、e-Docu Esが提供するサービスの名称が一覧表示されており、希望するサービスの選択を利用者に要請するメッセージも表示されている。次のステップ112では何れかのサービス(実行すべき処理)が選択されたか否か判定し、判定が肯定される迄待機する。
【0047】
例えば利用者がクライアント12のマウス28を操作し、メニュー画面上の利用したいサービス(e-Docu Esに実行を依頼する処理)の名称が表示されている箇所をクリックする等により特定のサービスを選択すると、選択結果を表す情報がインターネット18を介してサーバ14へ送信され、サーバ14が選択結果を表す情報を受信することで、ステップ112の判定が肯定される。次のステップ114,116では選択された処理の内容を判定しており、ステップ118又はステップ120又はステップ122で判定結果に応じた処理が行われる。
【0048】
なお、e-Docu Esから利用者へ配信されるメニュー画面、及び利用者が特定のサービスを選択することによって配信される各種の画面には、詳しくは事務処理担当者用と役職者用の二種類の画面があり、ディスプレイ26に表示された事務処理担当者者用の画面を参照して事務処理担当者が行った各種の操作は、ディスプレイ26に表示された役職者用の画面を参照して操作内容を確認した役職者の承認を経た後に、処理(例えば情報の送信等)が実行されるようになっている。
【0049】
特定の貿易取引について、e-Docu Esの決済業務支援サービスを利用するための申し込みをe-Docu Esに対して行う場合、輸出者の事務処理担当者は、前述のメニュー画面上の対応する箇所(例えば「利用申込」と表記された箇所)をクリックする。決済支援処理(図2)のステップ114は選択された処理が「利用申込」か否かを判定しており、上記の操作が行われるとステップ114の判定が肯定され、ステップ118で利用申込処理処理が行われる。
【0050】
図3に示すように、利用申込処理では、まずステップ150において、利用者によって入力された登録IDをキーにして現在の利用者に関する情報を利用者情報DBから抽出し、現在の利用者(利用申込者)の種別が輸出者か否か判定する。判定が否定された場合にはステップ152へ移行し、エラーメッセージを表示したエラー画面をインターネット18を介してアクセス元のクライアント12に配信し、処理を終了する。
【0051】
一方、ステップ150の判定が肯定された場合にはステップ154へ移行し、利用情報入力画面(ウェブページ)をHDD50から読み出し、インターネット18を介してアクセス元(すなわち輸出者)のクライアント12へ配信する。これにより、輸出者のクライアント12のディスプレイ26には、ブラウザによって利用情報入力画面が表示される。
【0052】
この利用情報入力画面には、決済業務支援サービスを利用する特定の貿易取引における輸入者名、該輸入者へ電子メールを送信する際のメールアドレス、特定の貿易取引における決済金額及び売買契約の契約番号等の複数種の情報から成る利用情報を入力するための複数の入力欄が設けられており、利用情報の入力を輸出者に要請するメッセージも表示されている。次のステップ156では利用情報を受信したか否か判定し、判定が肯定される迄待機する。
【0053】
輸出者の事務処理担当者がクライアント12のキーボード30等を操作して利用情報を入力すると、入力した利用情報がインターネット18を介してサーバ14へ送信され(図5(1)も参照)、サーバ14が利用情報を受信することで、ステップ156の判定が肯定されてステップ158へ移行する。ステップ158では受信した利用情報をHDD50に記憶する。
【0054】
ステップ160では、決済業務支援サービスの利用が申し込まれた特定の貿易取引に対して利用番号(この利用番号は後述するように閲覧用パスワードとしても機能する)を設定する。またステップ162では、輸出者から預かる電子貿易書類を保管するための記憶領域をHDD50の記憶空間上に確保し、確保した記憶領域をステップ160で設定した利用番号と対応付ける。またステップ162では、先のステップ158でHDD50に記憶した利用情報も同時に利用番号と対応付ける。そして、次のステップ164では、ステップ160で設定した利用番号を輸出者に通知する情報を、インターネット18を介して輸出者のクライアント12へ送信し(図5(2)も参照)、利用申込処理を終了する。
【0055】
e-Docu Esのサーバ14から利用番号が通知されることで、輸出者の事務処理担当者は、特定の貿易取引について決済業務支援サービスの利用が受付けされたことを認識することができる。そして、HDD32に記憶されている電子貿易書類をe-Docu Esに預けるために、輸出者の事務処理担当者は、HDD32に記憶されている電子貿易書類を、貿易書類の原本として、通知された利用番号と共にe-Docu Esのサーバ14に送信するよう所定の登録・認証機関に依頼する(図5(3)も参照)。
【0056】
これにより、電子貿易書類及び利用番号は、輸出者のクライアント12から所定の登録・認証機関のコンピュータ18を経由してe-Docu Esのサーバ14で受信され(図5(4)も参照)、電子貿易書類の所有権も同時に輸出者からe-Docu Esへ移転される。
【0057】
所定の登録・認証機関経由で輸出者から電子貿易書類を受信すると、e-Docu Esのサーバ14では、決済支援処理のステップ100において、外部からのアクセスの内容が外部からの情報受信であると判断してステップ126へ移行する。そして、ステップ126では受信した情報の内容を判定し、情報の内容に応じて処理を分岐する。受信した情報が電子貿易書類の場合にはステップ126からステップ128へ移行し、電子貿易書類と共に受信した利用番号に基づいて、HDD50に設けられている対応する記憶領域を特定(認識)する。
【0058】
次のステップ130では、受信した電子貿易書類をステップ128で特定したHDD50の記憶領域に記憶させる(図5(5)参照)と共に、記憶した電子貿易書類の内容の更新及び取り出しを禁止(ロック)する。これにより、輸出者から受信した電子貿易書類は、内容が更新されたり取り出されたりすることなくe-Docu Esのサーバ14のHDD50に保管される。またステップ130では、電子貿易書類を受領したことを輸出者に通知する情報を輸出者のクライアント12に送信する(図5(6)も参照)。これにより、輸出者の事務処理担当者は、先に送信した電子貿易書類がe-Docu Esに正常に受領されたことを認識することができる。
【0059】
ステップ132では、電子貿易書類と共に受信した利用番号をキーにして、対応する利用情報をHDD50から読み出し、読み出した利用情報に輸入者名が設定されている輸入者に対し、(1)電子貿易書類がe-Docu Esに到着したこと、(2)決済と引き換えに電子貿易書類を貿易書類の原本として送信すること、(3)電子貿易書類を閲覧するための閲覧用パスワード(利用番号)、(4)書類のオリジナリティを確認するための認証コード、(5)有効期間(決済の期日迄の日数)等の事項を通知するための電子メールを作成する。そしてステップ134では、作成した電子メールを、輸入者のメールアドレスを指定して送信し(図5(7)も参照)、決済支援処理を終了する。なお、ステップ132,134は本発明の第1通知手段に対応している。
【0060】
e-Docu Esのサーバ14から送信された電子メールは、インターネット22を介して輸入者のクライアント12に受信される。輸入者の事務担当者はe-Docu Esから電子メールを受信したことを検知すると、受信した電子メールの内容を確認することで、前述の通知事項(1)〜(5)等を各々認識する。そして、貿易取引の決済の実施に先立ち、e-Docu Esに到着して保管されている電子貿易書類の内容を確認するために、輸入者のクライアント12を操作してe-Docu Esのホームページにアクセスする。
【0061】
これにより、先にも説明したように、e-Docu Esのサーバ14において、決済支援処理のステップ102以降の処理が実行されることで、輸入者のクライアント12のディスプレイ26に登録ID入力要求画面が表示され、輸入者の事務処理担当者がクライアント12のキーボード30を操作し、e-Docu Esより通知された登録ID及びパスワードを入力することで、ディスプレイ26にメニュー画面が表示される。
【0062】
例えば利用者がクライアント12のマウス28を操作し、メニュー画面上の利用したいサービス(e-Docu Esに実行を依頼する処理)の名称が表示されている箇所をクリックする等により特定のサービスを選択すると、選択結果を表す情報がインターネット18を介してサーバ14へ送信され、サーバ14が選択結果を表す情報を受信することで、ステップ112の判定が肯定される。次のステップ114,116では選択された処理の内容を判定しており、ステップ118又はステップ120又はステップ122で判定結果に応じた処理が行われる。
【0063】
特定の貿易取引の電子貿易書類を閲覧する場合、輸入者の事務処理担当者は、前述のメニュー画面上の対応する箇所(例えば「電子貿易書類閲覧」と表記された箇所)をクリックする。決済支援処理(図2)のステップ116は選択された処理が「電子貿易書類閲覧」か否かを判定しており、上記の操作が行われるとステップ116の判定が肯定され、ステップ120へ移行して電子貿易書類閲覧処理が行われる。なお、ステップ116の判定が否定された場合はステップ122でその他の処理が行われる。
【0064】
図4に示すように、電子貿易書類閲覧処理では、まずステップ170において、利用者によって入力された登録IDをキーにして現在の利用者に関する情報を利用者情報DBから抽出し、現在の利用者(閲覧要求者)の種別が輸入者か否か判定する。判定が否定された場合にはステップ178へ移行し、エラーメッセージを表示したエラー画面をインターネット18を介してアクセス元のクライアント12に配信し、処理を終了する。
【0065】
一方、ステップ170の判定が肯定された場合にはステップ172へ移行し、パスワード入力画面(ウェブページ)をHDD50から読み出し、インターネット18を介してアクセス元の輸入者のクライアント12へ配信する。これにより、輸入者のクライアント12のディスプレイ26には、ブラウザによってパスワード入力画面が表示される。このパスワード入力画面には、電子貿易書類を閲覧するための閲覧用パスワード(利用番号)等を入力するための入力欄が設けられており、閲覧用パスワードの入力を輸入者に要請するメッセージも表示されている。次のステップ174では利用情報を受信したか否か判定し、判定が肯定される迄待機する。
【0066】
輸入者の事務処理担当者がクライアント12のキーボード30等を操作して閲覧用パスワードを入力すると、入力した閲覧用パスワードがインターネット18を介してサーバ14へ送信され(図5(8)も参照)、サーバ14が閲覧用パスワードを受信することで、ステップ174の判定が肯定されてステップ176へ移行する。ステップ176では受信した閲覧用パスワードが登録されているか(すなわちHDD50に記憶されている何れかの電子貿易書類と対応付けされているか)否か判定する。判定が否定された場合にはステップ178へ移行し、エラー画面を配信して処理を終了する。
【0067】
一方、ステップ176の判定が肯定された場合にはステップ180へ移行し、受信した閲覧用パスワードに基づいて、HDD50に記憶されている電子貿易書類の中から閲覧対象の電子貿易書類を特定する。ステップ182では閲覧対象の電子貿易書類の読み出しを行い、次のステップ183では、ステップ182で読み出した電子貿易書類を、該電子貿易書類の内容を確認可能でかつ原本でないことを容易に認識可能な情報へ加工する。そしてステップ184では、加工した情報に基づいて、閲覧対象の電子貿易書類の内容を閲覧者が閲覧するための貿易書類閲覧画面を生成し、生成した貿易書類閲覧画面をインターネット18を介して輸入者のクライアント12へ配信する(図5(9)も参照)。
【0068】
なお、電子貿易書類の内容を確認可能でかつ原本でないことを容易に認識可能な情報としては、例えば電子貿易書類が表す貿易書類の各頁に、原本でないことを第三者が容易に認識できる文字(例えば「複写」や「控え」、「コピー」等)を重ね合わせた文面を表す情報や、原本でないことを第三者が容易に認識できるように、電子貿易書類が表す貿易書類の各頁の一部を修正(例えばモザイクをかけたり隠蔽する等)した文面を表す情報、電子透かし技術を利用し原本でないことを表す情報を電子貿易書類に埋め込んだ情報等が挙げられる。
【0069】
これにより、輸入者のクライアント12のディスプレイ26には、ブラウザによって貿易書類閲覧画面が表示され、閲覧対象の電子貿易書類の内容を輸入者がディスプレイ26上で参照・確認することが可能となる。このように、輸入者は、貿易取引の決済を行う前に電子貿易書類の内容を確認することができるので、輸入者の物品受取リスクを軽減することができる。なお、上述した電子貿易書類閲覧処理は、先に説明した利用申込処理及びステップ128〜ステップ134の処理と共に、本発明の電子貿易書類管理手段に対応している。
【0070】
電子貿易書類の内容を確認した輸入者の事務処理担当者は、先にe-Docu Esから電子メールによって通知された有効期間内に、金融機関の決済部門に対して貿易取引の決済の実行を指図する(図5(10)も参照)。なお、輸入者からの決済実行の指図は、決済金額や売買契約の契約番号、利用番号(閲覧用パスワード)等の情報を添えて行われる。
【0071】
これにより、金融機関の決済部門は、輸入者からの指図に従い貿易取引の決済を実行する(図5(11)も参照)。そして、金融機関の決済部門の事務処理担当者はコンピュータ16を操作し、決済が完了したことを表す情報を、決済内容を表す情報(決済金額や契約番号等)、完了した決済に対応する貿易取引を特定するための情報(利用番号等)と共にe-Docu Esのサーバ14に送信することで、e-Docu Esに対して決済の完了を通知する(図5(12)も参照)。
【0072】
金融機関の決済部門のコンピュータ16から決済の完了が通知されると、e-Docu Esのサーバ14では、決済支援処理のステップ100において、外部からのアクセスの内容が外部からの情報受信であると判断してステップ126へ移行する。そして、決済完了の通知を受信した場合にはステップ126からステップ138へ移行する。
【0073】
ステップ138では、決済完了の通知と共に受信した利用番号をキーにして、対応する利用情報をHDD50から読み出し、決済完了の通知と共に受信した決済金額や契約番号等の決済内容を表す情報を、HDD50から読み出した利用情報と照合し、次のステップ140において、完了が通知された決済の内容が利用情報と整合しているか否か判定する。
【0074】
ステップ140の判定が否定された場合にはステップ142へ移行し、通知された決済内容が輸出者から受信した利用情報と整合していない旨を金融機関の決済部門に通知する等のエラー処理を行い、決済支援処理を終了する。
【0075】
一方、ステップ140の判定が肯定された場合にはステップ144へ移行し、決済完了の通知と共に受信した利用番号をキーにして、完了した決済に対応する電子貿易書類を特定し、該電子貿易書類に対する内容の更新及び取り出しの禁止(ロック)を解除した後にHDD50から読み出し、読み出した電子貿易書類を、貿易書類の原本として輸入者のクライアント12に送信するよう所定の登録・認証機関に依頼する(図5(13)も参照)。なお、このステップ144は、受信した情報の内容を判定することで決済が完了したか否かを判定しているステップ126と共に、本発明の送信手段に対応している。
【0076】
これにより、電子貿易書類は、e-Docu Esのサーバ14から所定の登録・認証機関のコンピュータ18を経由して輸入者のクライアント12で受信され(図5(14)も参照)、電子貿易書類の所有権も同時にe-Docu Esから輸入者へ移転される。所定の登録・認証機関経由でe-Docu Esから電子貿易書類を受信した輸入者は、受信した電子貿易書類に基づいて、輸入物品の引き取りを行うことができる。このように、e-Docu Esに保管されている電子貿易書類は、決済が完了した後に輸入者へ送信されるので、輸出者の代金回収リスクが軽減される。
【0077】
次のステップ146では、決済の完了、及び輸入者への電子貿易書類の送信が完了したことを輸出者へ通知し(図5(15)も参照)、決済支援処理を終了する。これにより貿易取引の決済業務が完了する。なお、このステップ146は本発明の第2通知手段に対応している。
【0078】
以上説明したように、本実施形態では、輸出者の代金回収リスク及び輸入者の物品受取リスクを軽減することができると共に、決済が完了する迄の間の電子貿易書類の保管や決済が完了したか否かの確認等の処理はe-Docu Esが代行するので、貿易取引の決済に係る輸出者及び輸入者の煩雑な事務処理が軽減され、貿易取引の決済を迅速かつ効率的に行うことができる。
【0079】
なお、上記では輸入者と通関業者、船会社又は航空貨物取扱業者、保険会社等の関係者間の貿易書類の受け渡しを従来通り紙で行い、内容が確定した貿易書類のうち輸入者が輸入物品を受け取るのに必要な貿易書類を電子化し、電子化後の情報(電子貿易書類)をe-Docu Esに預ける場合を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、輸入者との間で貿易書類の受け渡しを行う通関業者、船会社又は航空貨物取扱業者、保険会社等の関係者にクライアント・コンピュータ12を各々設け、貿易書類を電子化した電子貿易書類を関係者間で受け渡すようにしてもよい。
【0080】
また、上記では輸出者及び輸入者が各々クライアント12を所持している場合を例に説明したが、これに限定されるものではなく、例えばクライアント12に代えて、複数台のクライアント・コンピュータとサーバ・コンピュータが相互に接続されて成るローカル・エリア・ネットワーク(LAN)が設置されていてもよい。LANのサーバ・コンピュータは、特にe-Docu Esのサーバ14と大量の情報を送受信する等の場合に有効であり、サーバ14から必要な情報をダウンロードして記憶しておき、LANのクライアント・コンピュータに提供するように構成することができる。
【0081】
また、上記では本発明に係る記録媒体としてCD−ROM52を例に挙げたが、これに限定されるものではなく、MO等の他の情報記憶媒体を用いて本発明に係る記録媒体を構成しても良いことは言うまでもない。
【0082】
【発明の効果】
以上説明したように本発明は、輸出者より受信した電子貿易書類を記憶手段に記憶させ、該電子貿易書類の更新及び記憶手段からの取り出しを禁止すると共に、輸入者より電子貿易書類の閲覧が指示されると、閲覧が指示された電子貿易書類の内容を表す情報を出力し、代金の決済が完了したことを検知すると、電子貿易書類の取り出し禁止を解除し、電子貿易書類を取り出して輸入者へ送信するようにしたので、輸出者及び輸入者のリスクを軽減し、貿易取引の決済を迅速かつ効率的に行うことが可能となる、という優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本実施形態に係るコンピュータシステムの概略構成を示すブロック図である。
【図2】 コンピュータシステムのサーバで実行される決済支援処理の内容を示すフローチャートである。
【図3】 利用申込処理の内容を示すフローチャートである。
【図4】 電子貿易書類閲覧処理の内容を示すフローチャートである。
【図5】 本実施形態に係る決済支援処理の流れを示す概念図である。
【符号の説明】
10 コンピュータシステム
12 クライアント
14 サーバ
50 HDD
52 CD−ROM

Claims (7)

  1. 少なくとも輸出者及び輸入者がクライアント・コンピュータを各々所持している環境において、各クライアント・コンピュータと通信可能なサーバ・コンピュータによって実現される貿易取引の決済支援装置であって、
    情報を記憶するための記憶手段と、
    輸出者よりクライアント・コンピュータを介して受信した電子貿易書類を前記記憶手段に記憶させ、該電子貿易書類の更新及び記憶手段からの取り出しを禁止すると共に、輸入者よりクライアント・コンピュータを介し、電子貿易書類の閲覧が指示されると、閲覧が指示された電子貿易書類の内容を表す情報を前記クライアント・コンピュータへ出力する電子貿易書類管理手段と、
    代金の決済が完了したことを検知すると、前記電子貿易書類管理手段による電子貿易書類の取り出し禁止を解除し、前記記憶手段に記憶されている電子貿易書類を取り出して前記輸入者へ送信する送信手段と、
    を含む貿易取引の決済支援装置。
  2. 前記電子貿易書類管理手段は、閲覧が指示された電子貿易書類を前記記憶手段から読み出し、読み出した電子貿易書類を、該電子貿易書類の内容を確認可能でかつ原本でないことを容易に認識可能な情報に加工し、加工後の情報を前記電子貿易書類の内容を表す情報として出力することを特徴とする請求項1記載の貿易取引の決済支援装置。
  3. 輸出者よりクライアント・コンピュータを介して電子貿易書類を受信した場合に、電子貿易書類を受信したことを輸入者に通知する第1通知手段を更に備えたことを特徴とする請求項1記載の貿易取引の決済支援装置。
  4. 前記サーバ・コンピュータは、決済機関が所持しているクライアント・コンピュータと通信可能とされており、
    前記送信手段は、代金の決済が完了したことが決済機関より前記クライアント・コンピュータを介して通知されたか否かに基づいて、代金の決済が完了したか否かを判定することを特徴とする請求項1記載の貿易取引の決済支援装置。
  5. 代金の決済が完了したことを検知すると、代金の決済が完了したことを輸出者に通知する第2通知手段を備えたことを特徴とする請求項1記載の貿易取引の決済支援装置。
  6. 少なくとも輸出者及び輸入者がクライアント・コンピュータを各々所持している環境において、各クライアント・コンピュータと通信可能なサーバ・コンピュータによって実現される貿易取引の決済支援方法であって、
    輸出者よりクライアント・コンピュータを介して受信した電子貿易書類を、情報を記憶するための記憶手段に記憶させ、該電子貿易書類の更新及び記憶手段からの取り出しを禁止すると共に、輸入者よりクライアント・コンピュータを介し、電子貿易書類の閲覧が指示されると、閲覧が指示された電子貿易書類の内容を表す情報を前記クライアント・コンピュータへ出力し、
    代金の決済が完了したことを検知すると、電子貿易書類の取り出し禁止を解除し、前記記憶手段に記憶されている電子貿易書類を取り出して前記輸入者へ送信する
    貿易取引の決済支援方法。
  7. 少なくとも輸出者及び輸入者がクライアント・コンピュータを各々所持している環境において、各クライアント・コンピュータと通信可能なサーバ・コンピュータに所定の処理を実行させるためのプログラムが記録された記録媒体であって、
    前記所定の処理は、
    輸出者よりクライアント・コンピュータを介して受信した電子貿易書類を、情報を記憶するための記憶手段に記憶させ、該電子貿易書類の更新及び記憶手段からの取り出しを禁止すると共に、輸入者よりクライアント・コンピュータを介し、電子貿易書類の閲覧が指示されると、閲覧が指示された電子貿易書類の内容を表す情報を前記クライアント・コンピュータへ出力する第1のステップ、
    代金の決済が完了したことを検知すると、電子貿易書類の取り出し禁止を解除し、前記記憶手段に記憶されている電子貿易書類を取り出して前記輸入者へ送信する第2のステップ
    を含むことを特徴とする記録媒体。
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