JP4470720B2 - タイヤ表面ゴム厚さ測定装置 - Google Patents

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本発明は、タイヤ表面ゴム厚さ測定装置に関し、更に詳しくは、トレッド面からベルトまでのゴム厚さを容易に測定することができるタイヤ表面ゴム厚さ測定装置に関する。
従来、渦電流式センサーを使用して、タイヤのトレッド部におけるベルトまでのゴム厚さを測定する技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。更生タイヤを製造する工程において、バフ加工後におけるトレッド部の表面からベルトまでのゴム厚さを測定するのに好ましく使用することができる。また、摩耗後のトレッド面からベルトまでのゴム厚さを測定し、その厚さと予め取得しておいた摩耗前のトレッド面からベルトまでのゴム厚さとを用いて、トレッド面の摩耗量を容易に得ることができる。
しかしながら、渦電流の影響によりベルトを構成するスチールコードが加熱され、しかも数メガHzの交流電源が必要になるため、装置が高価になるという問題があった。
特開平8−304009号公報
本発明の目的は、装置コストを低減し、かつ加熱の問題もなくトレッド面からベルトまでのゴム厚さを容易に測定することが可能なタイヤ表面ゴム厚さ測定装置を提供することにある。
上記目的を達成する本発明のタイヤ表面ゴム厚さ測定装置は、タイヤのトレッド部に埋設されるスチールコードを配列したベルトに対面してトレッド面側に配置される磁石と、該磁石と前記ベルトとの間に作用する磁力により前記磁石が前記ベルトに吸引される引力を測定する引力測定手段と、該引力測定手段により測定した引力のデータに基づいて前記トレッド面から前記ベルトまでのゴム厚さを求める演算処理手段と、前記ベルトを脱磁する脱磁手段とを具備することを特徴とする。
上述した本発明によれば、磁石とベルトとの間に作用する磁力を利用してトレッド面からベルトまでのゴム厚さを求めるようにしたので、トレッド面からベルトまでのゴム厚さを容易に測定することができる一方、ベルトを構成するスチールコードが加熱される問題もなく、また数メガHzの交流電源が必要になることもないため、装置コストを低減することができる。
以下、本発明の実施の形態について添付の図面を参照しながら詳細に説明する。
図1,2は本発明のタイヤ表面ゴム厚さ測定装置の一実施形態を示し、このタイヤ表面ゴム厚さ測定装置1Aは、タイヤTのトレッド部2のゴム層2Aに埋設されるスチールコードを配列したベルト3に対面してトレッド面4側に配置される磁石5と、この磁石5とベルト3との間に作用する磁力により磁石5がベルト3に吸引される引力を測定する引力測定手段6を備えている。また、後述する、ベルト3を脱磁する脱磁手段20を備えている。
磁石5は永久磁石から構成されている。引力測定手段6が支持体7に取り付けられ、その引力測定手段6の下側に磁石5が支持体7の下面7aから所定の距離n(mm)をあけるようにして取り付けられている。
引力測定手段6は、磁石5とベルト3との間に作用する磁力により磁石5がベルト3に吸引された時の引力を測定できるものであれば、いずれの手段を用いてもよく、例えば、ロードセルや、歪みゲージを用いたもの、圧電素子を利用したものなどを好ましく挙げることができる。また、吸引される時の引力をバネなどの変位として測定するようにした手段であってもよい。
引力測定手段6にパソコン8が接続されている。パソコン8は、演算処理手段(CPU)9、表示部10、メモリ11、キーボード12を備えている。演算処理手段9は、予めインストールされたプログラムに従って、引力測定手段6から入力された引力のデータに基づいてトレッド面4からベルト3までの距離(ゴム厚さ)を算出するようになっている。
即ち、磁石5がベルト3に吸引される引力は、図3に示すように、トレッド面に対面する磁石5の磁極面5aからベルト3までの距離rの二乗に反比例する関係にあり、磁石5とベルト3の磁力と引力が分かると、磁極面5aからベルト3までの距離rを求めることができる。
トレッド面4からベルト3までの距離(ゴム厚さ)をs(mm)とすると、距離sは磁石5の磁極面5aからベルト3までの距離r(mm)から距離n(mm)を引くことで算出される。
キーボード12から予め磁石5の磁力、ベルト3の磁力、距離n等の各データがインプットされ、メモリ11に記憶されており、演算処理手段9は、引力測定手段6から引力の測定信号が入力されると、メモリ11に記憶された各データを用いてトレッド面4からベルト3までの距離sを算出する。
また、メモリ11には、タイヤ新品時の摩耗前のトレッド面4からベルト3までの距離(ゴム厚さ)q(mm)のデータが記憶されており、演算処理手段9は、この予めインプットされた距離qのデータと算出された距離sのデータとの差(q−s)を演算し、トレッド面3の摩耗量を算出できるようになっている。距離qのデータは、各タイヤ毎のデータであってもよく、また摩耗前のトレッド面4からベルト3までの距離(ゴム厚さ)が同じ種類のタイヤ毎のデータであってもよい。算出された距離sのデータ及び摩耗量のデータは、表示部10に表示されると共に、メモリ11に記憶されるようになっている。
以下、 図4を参照しながら、上述した装置によるタイヤ表面ゴム厚さ測定方法について説明する。
図1に示すように、支持体7の下面7aをトレッド面4に当接させる。これにより、スチールコードを配列したベルト3に対面してトレッド面4側に磁石5が配置される(ステップ1)。磁石5が配置されると、磁石5とベルト3との間に作用する磁力により磁石5がベルト3に吸引され、その吸引された引力が引力測定手段6で測定される(ステップ2)。
引力測定手段6から引力の測定信号が演算処理手段9に入力され、その引力の値に基づいてトレッド面4からベルト3までの距離sを演算処理手段9が算出し、距離sを求める(ステップ3)。
次いで、測定開始時にトレッド面4の摩耗量の測定が選択されている場合には、演算処理手段9が求められた距離sのデータと予め取得してインプットされた摩耗前のトレッド面からベルト3までの距離qとの差(q−s)を演算し、トレッド面4の摩耗量を算出する(ステップ4)。算出された距離sと摩耗量のデータは、表示部10に表示され、かつメモリ11に記憶される(ステップ5)。
測定開始時にトレッド面4の摩耗量の測定が選択されていない場合には、ステップ3からステップ5に飛び、算出された距離sのデータが表示部10に表示され、かつメモリ11に記憶される。
上述した本発明によれば、磁石5とベルト3との間に作用する磁力を利用してトレッド面4からベルト3までの距離を求めるようにしたので、トレッド面4からベルト3までの距離sであるゴム厚さの測定を容易に行いながら、ベルトを構成するスチールコードが加熱される問題もなく、また数メガHzの交流電源が必要になることもないため、装置コストを低く抑えることができる。
また、求められた距離sのデータと予め取得した摩耗前のトレッド面からベルト3までの距離qのデータからトレッド面の摩耗量も容易に測定することができる。
図5,6は、本発明のタイヤ表面ゴム厚さ測定装置の他の実施形態を示す。このタイヤ表面ゴム厚さ測定装置1Bは、トレッド面4を1周にわたって測定する際に使用され、上述したタイヤ表面ゴム厚さ測定装置1Aにおいて、更に支持体7の下端部に車輪(移動手段)13が設置され、支持体7に装着した磁石5と引力測定手段6を含む装置本体18がトレッド面4上をトレッド面4に沿って移動可能になっている。
また、ロータリーエンコーダ(パルス発生手段)14が1つの車輪13に対面して支持体7に取り付けられている。支持体7に面する車輪13の側面には周方向に一定の間隔で複数の検知用突起(不図示)が突設され、この検知用突起がロータリーエンコーダ14の検知部(不図示)の近傍を通過する毎にパルス信号を発生するようになっている。ロータリーエンコーダ14はパソコン8に接続されている。
演算処理手段9は引力測定手段6から連続的に入力される測定信号を、ロータリーエンコーダ14からパルス信号が入力される毎にサンプリングし、各サンプリング位置での距離sを算出するようになっている。なお、ここで用いられる距離nは、磁石5の下端からトレッド面4までの距離である。
更に、トレッド面4の摩耗量を測定する場合には、タイヤ1周分の得られた距離sのデータ群のフィルター処理を行う。これは、トレッド面4に形成される溝などに車輪13が入った状態で測定された正確でないデータを排除するものである。このフィルター処理は、必ずしも行う必要はないが、データ精度を高める上で行うのが好ましい。フィルター処理に代えて、平均処理(ある位置のデータを含む連続した複数のデータの平均値をある位置のデータとする処理)を行うようにしてもよい。
フィルター処理後、演算処理手段9は、各サンプリング位置で得られた距離sのデータにおいて差(q−s)を演算し、トレッド面4の摩耗量を各位置でそれぞれ算出するが、更に各サンプリング位置での摩耗量の差が予めメモリ11に入力された設定閾値より大きい値が予め設定した所定数連続して発生しているか否か判定する。発生していると判定した場合には、フラットスポット(部分的にトレッド面4がフラット状に摩耗した部分)の発生があると判断し、フラットスポットの発生あることを表示部10に表示するようになっている。
上述したタイヤ表面ゴム厚さ測定装置1Bは、タイヤを回転可能に支持するタイヤ回転支持装置にタイヤを取り付けてタイヤ表面ゴム厚さを測定したり、あるいは車両にタイヤを取り付けた状態でタイヤ表面ゴム厚さを測定することができる。
タイヤ回転支持装置にタイヤを取り付けてタイヤ表面ゴム厚さを測定する場合には、先ず、タイヤ回転支持装置に取り付けたタイヤTのトレッド面4に、図5に示すように車輪13を当接させる。これにより、スチールコードを配列したベルト3に対面してトレッド面4側に磁石5が配置される(図7のステップ101)。好ましくは、トレッド面4の測定開始位置に印を付し、その位置に磁石5を配置するのがよい。これにより、ロータリーエンコーダ14から出力されるパルス信号を用いて、得られた各距離s及び各摩耗量のデータの測定位置を容易に知ることができる。
磁石5が配置されると、磁石5とベルト3との間に作用する磁力により磁石5がベルト3に吸引され、その吸引された引力が引力測定手段6で測定される。タイヤ回転支持装置によりタイヤTを1回転させることにより、装置本体18をトレッド面4に沿って1周移動させ、引力測定手段6によりトレッド面4を1周にわたって磁石5がベルト3に吸引される引力を連続的に測定する(図7のステップ102)。
演算処理手段9では、引力測定手段6から連続して逐次入力される引力の測定信号をロータリーエンコーダ14からパルス信号が入力される毎にサンプリングし、各サンプリング位置でトレッド面4からベルト3までの距離sを算出し、タイヤ1周にわたってトレッド面4の各位置での距離sを求める(図7のステップ103)。
次いで、測定開始時にトレッド面4の摩耗量の測定が選択されている場合には、タイヤ1周分の得られた距離sのデータ群のフィルター処理を行い、得られたフィルター処理後の距離sの各データと予め取得してインプットされた摩耗前のトレッド面からベルト3までの距離qとの差(q−s)を演算し、タイヤ1周にわたって各位置でのトレッド面4の摩耗量の値を算出する(図7のステップ104)。算出された距離sと摩耗量のデータは、表示部10に表示され、かつメモリ11に記憶される(図7のステップ105)。
また、演算処理手段9では、各位置でのトレッド面4の摩耗量の値が算出されると、各摩耗量の値の差が予めメモリ11に入力された設定閾値より大きい値が予め設定した所定数連続して発生しているか否か判定する(図7のステップ106)。
発生していると判定した場合には、フラットスポットの発生があると判断し、フラットスポットの発生があることを表示部10に表示させる。(図7のステップ107)。
車両にタイヤを取り付けた状態でタイヤ表面ゴム厚さを測定する場合には、図8に示すように、測定するタイヤTのサイドウォール面T1に反射テープ30を少なくとも1つ、好ましくは所定の間隔(フラットスポットの発生位置を容易に検知するため)で貼り付け、フォトセンサーなどにより反射テープ30の通過を検知してタイヤTが1回転したことを分かるようにする。後は、図7に示す工程と同様の工程で行われる。
図5,6に示す実施形態では、上述した効果に加えて、トレッド面4からベルト3までの距離sをタイヤ1周にわたって容易に測定することができる。また、フラットスポットの発生の有無も容易に検知することが可能になる。
図9,10は本発明のタイヤ表面ゴム厚さ測定装置の更に他の実施形態を示す。このタイヤ表面ゴム厚さ測定装置1Cは、上述したタイヤ表面ゴム厚さ測定装置1Bにおいて、磁石5に電磁石5Xを用いたものである。電磁石5Xには電源15と電磁石5Xのコイルに流れる電流を検知する電流検出手段16が接続され、電流検出手段16がパソコン8に接続されている。
電磁石5Xのコイルを流れる電流の大きさと電磁石5Xの磁力とは比例関係にある。そこで、電流検出手段15で検出された電流値に基づき、演算処理手段9がメモリ11に予め記憶させた電流値に対応する磁力のデータテーブルから電磁石5Xの磁力の値を求め、それを使ってトレッド面4からベルト3までの距離sを算出するようになっている。
この図9,10に示す実施形態では、上述した図5,6に示す実施形態で述べた効果に加えて、必要に応じて磁力の大きさを調整することができる利点がある。
本発明において、磁石5は、その磁束密度が300mT以上、トレッド面4に対面する磁石5の磁極面5aの面積が1cm2 以上となるものを使用するのが、測定の際に十分な引力を得る上で好ましい。磁束密度は、より好ましくは、400mT以上がよい。磁束密度の上限値は特に限定されるものではないが、実際に入手可能な範囲としては、600mT程度である。また、磁極面5aの面積の上限値は、測定精度を損なわないために500cm2 以下にするのがよい。
上述した各タイヤ表面ゴム厚さ測定装置1A,1B,1Cは、ベルト3を脱磁する脱磁手段20を備えているが、それは磁石5を用いて測定するため、測定終了後にベルト3が着磁する可能性があり、そこで、測定が完了した後、脱磁手段20によりベルト3を脱磁するのである。
他方、スチールコードを配列したベルト3は、使用環境によっては、着磁している場合がある。着磁していると、予めメモリ11に記憶させたベルト3の磁力のデータと相違するため、正確な測定ができない。そこで、磁石5を配置する前に脱磁手段20によりベルト3を脱磁することができる
また、通常、ベルト面の磁力変動は数mT×10-1と非常に小さいため、上述した測定では影響がないと考えられるが、それを排除するためにも、磁石5を配置する前に脱磁手段20によりベルト3を脱磁するようにしてもよい。
脱磁手段20としては、従来公知のものが使用でき、例えば、交流減衰脱磁法を用いたものを好ましく挙げることができる。脱磁手段20をタイヤTのトレッド面4に対面して配置し、タイヤTを回転させる一方、脱磁手段20のコイルに交流電流を流して交流磁場を発生さえ、その交流磁場を次第に減衰させることにより、ベルト3を脱磁する。
また、上述した実施形態では、トレッド面4からベルト3までの距離sを測定した引力から演算により求めるようにしたが、予め実験により距離と引力の関係を示すデータを各種取得し、それをテーブルにしてメモリ11に記憶させ、そのデータテーブルを参照して測定された引力から対応する距離rを得、その距離rから距離sを算出するようにしてもよい。
また、図5,9に示す実施形態では、トレッド面4をタイヤ周方向に沿って測定する例を示したが、タイヤ幅方向に装置本体18を移動させ、タイヤ幅方向におけるトレッド面4からベルト3までの距離(ゴム厚さ)s及び摩耗量を測定するようにしてもよい。
本発明のタイヤ表面ゴム厚さ測定装置の一実施形態を示す正面説明図である。 図1の装置のブロック図である。 引力と距離の関係を示すグラフ図である。 本発明のタイヤ表面ゴム厚さ測定装置の一実施形態における測定方法を示すフロー図である。 本発明のタイヤ表面ゴム厚さ測定装置の他の実施形態を示す正面説明図である。 図5の装置のブロック図である。 本発明のタイヤ表面ゴム厚さ測定装置の他の実施形態における測定方法を示すフロー図である。 車両にタイヤを取り付けた状態で表面ゴム厚さを測定する場合のタイヤの説明図である。 本発明のタイヤ表面ゴム厚さ測定装置の更に他の実施形態を示す正面説明図である。 図9の装置のブロック図である。
符号の説明
1A,1B,1C タイヤ表面ゴム厚さ測定装置
2 トレッド部
3 ベルト
4 トレッド面
5 磁石
5X 電磁石
5a 磁極面
6 引力測定手段
9 演算処理手段
13 車輪(移動手段)
14 ロータリーエンコーダ(パルス発生手段)
18 装置本体
20 脱磁手段
T タイヤ
r 距離
s 距離(ゴム厚さ)

Claims (6)

  1. タイヤのトレッド部に埋設されるスチールコードを配列したベルトに対面してトレッド面側に配置される磁石と、該磁石と前記ベルトとの間に作用する磁力により前記磁石が前記ベルトに吸引される引力を測定する引力測定手段と、該引力測定手段により測定した引力のデータに基づいて前記トレッド面から前記ベルトまでのゴム厚さを求める演算処理手段と、前記ベルトを脱磁する脱磁手段とを具備するタイヤ表面ゴム厚さ測定装置。
  2. 前記演算処理手段は、前記求められたゴム厚さのデータと予めインプットされた摩耗前のトレッド面から前記ベルトまでのゴム厚さのデータとからトレッド面の摩耗量を算出する請求項1に記載のタイヤ表面ゴム厚さ測定装置。
  3. 前記磁石と前記引力測定手段を含む装置本体を前記トレッド面上で移動可能な移動手段を具備する請求項1または2に記載のタイヤ表面ゴム厚さ測定装置。
  4. 前記磁石は、磁束密度が300mT以上で、かつ前記トレッド面に対面する磁極面の面積が1cm 2 以上である請求項1,2または3に記載のタイヤ表面ゴム厚さ測定装置。
  5. 前記磁石が永久磁石である請求項1,2,3または4に記載のタイヤ表面ゴム厚さ測定装置。
  6. 前記磁石が電磁石である請求項1,2,3または4に記載のタイヤ表面ゴム厚さ測定装置。
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