JP4470107B2 - 衝撃吸収式ステアリング装置 - Google Patents
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Description
一方、二次衝突時に相対的に大きな衝撃吸収荷重を発生させる場合には、第1および第2の金属球保持筒を、アウタおよびインナコラムに対して軸方向に移動させるようにしている。これにより、第1および第2の金属球保持筒の金属球が、アウタコラムの内周面およびインナコラムの外周面に塑性溝を形成して衝撃吸収荷重を発生させる。
本発明は、かかる背景のもとでなされたもので、衝撃吸収荷重を変更することができ、且つコンパクトな衝撃吸収式ステアリング装置を提供することを目的とする。
図1は、本発明の一実施の形態に係る衝撃吸収式ステアリング装置の模式的な断面側面図である。図1を参照して、衝撃吸収式ステアリング装置1(以下では、単にステアリング装置1ともいう)は、例えばステアリングホイール等の操舵部材2に一体回転可能に連結されたアッパーシャフト3と、このアッパーシャフト3と同軸上に嵌合されたロアーシャフト4と、このロアーシャフト4の端部に自在継手5を介して連結された中間軸6と、この中間軸6と自在継手7を介して連結されたピニオン軸8と、ピニオン軸8の先端のピニオン9と噛み合うラック10を有して車両の左右方向に延びるラック軸11とを備えている。
操舵部材2が回転操作されてアッパーシャフト3およびロアーシャフト4が回転されると、この回転がピニオン9およびラック10によって、車両の左右方向に沿ってのラック軸11の直線移動に変換され、転舵輪が転舵される。
ステアリングシャフト12は、ステアリングコラム13によって回転自在に支持されている。ステアリングコラム13は、外筒としてのアッパーコラムチューブ14と、内筒としてのロアーコラムチューブ15とを備えている。
アッパーコラムチューブ14には、ブレークアウェイブラケット16が固定されている。ブレークアウェイブラケット16は、一対のカプセル17および固定部材としての一対のボルト18(図1において、一方のカプセル17およびボルト18のみを図示)を介して、車体側部材19に取り付けられている。より具体的には、ブレークアウェイブラケット16に一対のカプセル17が取り付けられており、これら一対のカプセル17は、対応するボルト18によって車体側部材19に取り付けられている。
なお、以下では、「右」または「左」というときは、車両の前方からステアリング装置1を見た場合の右または左をいい、「前」または「後」というときは、車両に関する前または後をいう。
図2を参照して、ブレークアウェイブラケット16の周辺において、この装置は、アッパーコラムチューブ14を中心とする左右対称形に形成されている。なお、図2では、アッパーコラムチューブ14の左側方部分を分解した状態を示している。
このブレークアウェイブラケット16は、アッパーコラムチューブ14の上方に配置されており、アッパーコラムチューブ14を受ける受け部21と、一対のフランジ22とを備えている。
一対のフランジ22は、受け部21の左右方向RLの一対の端部からそれぞれ延設されている。一方のフランジ22は、受け部21の右端部からアッパーコラムチューブ14の右側方へ延び、他方のフランジ22は、受け部21の左端部からアッパーコラムチューブ14の左側方へ延びている。一対のフランジ22はそれぞれ、ステアリングシャフト12の軸方向Sに平行に延びている。
各第1の開口25の縁部のうち、左右方向RLの一端には、下向きに延びる突出片27(図5(A)参照)が設けられている。また、図6に示すように、各第2の開口26の縁部の左右方向RLの一対の端部には、下向きに延びる突出片28,29がそれぞれ設けられている。
ブレークアウェイブラケット16には、上記一対のカプセル17、一対の第1のリテーナ32、一対の第2のリテーナ33、一対の衝撃吸収プレート34、駆動手段としての一対の電磁ソレノイド35および一対のピン部材36が取り付けられている。
各主体部39は、対応する取付座30の切欠き31よりも幅広に形成され、対応する取付座30に受けられている。各嵌合部40は、対応する取付座30の切欠き31を挿通している。
また、一対のボルト18の軸部が、対応する第1の挟持部37の挿通孔41および第2の挟持部38の挿通孔42、ならびに対応する取付座30の切欠き31を挿通しており、さらに車体側部材19にねじ込まれて固定されている。これら一対のボルト18と車体側部材19とによって、各カプセル17および対応する取付座30(フランジ22)が締結されている。
各第1のリテーナ32は、側面視においてU字形形状をなすように横向きに配置され、対応するフランジ22の第1の開口25を挿通している。
各フランジ22に関して、第1および第2のリテーナ32,33の各凹部47は、軸方向Sに並んでいる。
各衝撃吸収プレート34において、真直部48と対応する第1および第2の屈曲部49,50との境界部は、対応する第1および第2のリテーナ32,33の凹部47に嵌め込まれている。
各ハウジング52は、対応するフランジ22の下方に配置され、その上面が対応するフランジ22の下面に固定されている。各ハウジング52と対応する突出片27とは、左右方向RLに相対向して、対応する第1のリテーナ32(第1の屈曲部49)を挟んでいる。
また、ステアリング装置1には、各電磁ソレノイド35を駆動制御するための制御部56が設けられている。制御部56は、各電磁ソレノイド35に接続されると共に、シートベルト装着検出手段としてのシートベルトセンサ57に接続されている。シートベルトセンサ57は、運転席のシートベルトの装着の有無を検出するようになっている。このシートベルトセンサ57としては、例えば、座席に組み込まれた重量センサとシートベルトの着脱部に設けられたスイッチとを組み合わせた構成等を示すことができる。
図2および図6を参照して、一対のピン部材36は、電磁ソレノイド35のロッド53と同様に、二次衝突時にブレークアウェイブラケット16と軸方向Sに一体移動して、対応する衝撃吸収プレート34を扱き変形させるためのものである。各ピン部材36は、左右方向RLに延びる棒状に形成され、対応するフランジ22の突出片28,29の間に配置され、これら突出片28,29に例えば溶接により固定されている。これにより、各ピン部材36は両端支持されている。なお、各ピン部材36は、対応する突出片28,29に回転自在に支持されていても良い。
以上がステアリング装置1の概略構成である。次に、ステアリング装置1の動作について説明する。
図5(A)を参照して、運転席のシートベルトが装着されてない場合、前述したように、各電磁ソレノイド35のロッド53は、第1の位置P1にある。このとき、各ロッド53の周面は、対応する衝撃吸収プレート34の第1の屈曲部49のU字状の湾曲内側の面に対向している。同様に、図6に示すように、各ピン部材36の周面は、対応する衝撃吸収プレート34の第2の屈曲部50のU字状の湾曲内側の面に対向している。
そして、運転者からの衝撃力が所定の値を超えている場合、図7に示すように、ブレークアウェイブラケット16は、各カプセル17との係合を解除され(図7において、一方のカプセル17のみ図示)、各カプセル17および車体側部材19に対して、軸方向S(ロア側)に相対移動する。また、アッパーコラムチューブ14およびアッパーシャフト3は、ブレークアウェイブラケット16と一体移動し、ステアリングコラム13およびステアリングシャフト12が軸方向に収縮する。
これにより、各衝撃吸収プレート34の第1の屈曲部49は、対応する電磁ソレノイドのロッド53に係合すると共に、対応する第1のリテーナ32のタブ43,44の凹部47に係合する。その結果、各衝撃吸収プレート34は、第1の屈曲部49が軸方向Sに変遷するように扱き変形されて、衝撃吸収荷重を発生する。
すなわち、各衝撃吸収プレート34の第1および第2の屈曲部49,50が扱き変形されることで、相対的に大きな衝撃吸収荷重が発生する。シートベルトが装着されていない状態で二次衝突が生じると、比較的大きな衝撃荷重が運転者から操舵部材に作用するが、これに対応して大きな衝撃吸収荷重を発生することができる。
この状態で二次衝突が発生し、運転者から操舵部材に与えられた衝撃力が所定の値を超えている場合、上記シートベルトを装着していない場合と同様に、ブレークアウェイブラケット16は、図10に示すように、各カプセル17との係合を解除され、各カプセル17および車体側部材19に対して白抜き矢符方向に相対移動する。
さらに、各ボルト18によって、対応する衝撃吸収プレート34の一端を固定しているので、カプセル17を取り付けるための部材と衝撃吸収プレート34を固定するための部材とを兼用することができ、部品点数を低減して装置をよりコンパクトにすることができる。
また、各衝撃吸収プレート34は、対応する第1および第2のリテーナ32,33の凹部47によって左右方向RLに挟まれているので、二次衝突時、これらの溝部47にガイドされて、対応する第1および第2の屈曲部49,50が確実に軸方向Sに変遷される。
13 ステアリングコラム
16 ブレークアウェイブラケット
17 カプセル
18 ボルト(固定部材)
19 車体側部材
21 受け部
22 フランジ
25 第1の開口(開口)
30 取付座
31 切欠き
34 衝撃吸収プレート
35 電磁ソレノイド(駆動手段)
37 第1の挟持部(一対の挟持部の一方)
38 第2の挟持部(一対の挟持部の他方)
41 (第1の挟持部の)挿通孔
42 (第2の挟持部の)挿通孔
49 第1の屈曲部
53 ロッド(扱き部材)
57 シートベルトセンサ(シートベルト装着検出手段)
S 軸方向(移動方向)
Claims (4)
- ステアリングコラムを固定した受け部および受け部からステアリングコラムの側方へ延びるフランジを含むブレークアウェイブラケットと、
車体側部材に取り付けられ、ブレークアウェイブラケットのフランジを二次衝突時に車体側部材から離脱可能に保持するカプセルと、
車体側部材に固定され、ブレークアウェイブラケットのフランジと対向して二次衝突時のステアリングコラムの移動方向に延び、中途に屈曲部を有する衝撃吸収プレートと、
ブレークアウェイブラケットのフランジに保持され、二次衝突時にブレークアウェイブラケットと一体移動して衝撃吸収プレートを扱くための扱き部材と、
二次衝突時の扱き部材による衝撃吸収プレートの扱き量を可変するために扱き部材を駆動する駆動手段とを備え、
上記ブレークアウェイブラケットのフランジは、上記屈曲部が嵌まる開口を含み、上記扱き部材は屈曲部の屈曲の内側に配置されることを特徴とする衝撃吸収式ステアリング装置。 - 請求項1において、シートベルトの装着の有無を検出するシートベルト装着検出手段を備え、上記駆動手段はシートベルト装着検出手段により検出された信号に応じてオンオフされる電磁ソレノイドを含むことを特徴とする衝撃吸収式ステアリング装置。
- 請求項1または2において、上記カプセルを車体側部材に取り付けるための固定部材を備え、固定部材によって衝撃吸収プレートの一端が固定されることを特徴とする衝撃吸収式ステアリング装置。
- 請求項3において、上記ブレークアウェイブラケットのフランジは切欠きを有する取付座を含み、
カプセルは取付座を挟持する一対の挟持部を含み、各挟持部に挿通孔が形成され、
上記固定部材は、カプセルの各挟持部の挿通孔および取付座の切欠きを挿通して車体側部材に固定されることを特徴とする衝撃吸収式ステアリング装置。
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