以下、本発明に係るカードコネクタの一実施形態を図面に基づいて説明する。
図10(A)〜(C)は、本実施形態に装着されるカードを示し、(A)は表面図、(B)は側面図、(C)は裏面図である。カード1は「トランスフラッシュ(登録商標)」や「マイクロSDカード(登録商標)」として周知のものであり、カード1の先端一側に誤挿入防止用の切欠き2が設けられ、この切欠き2より手前側の側面部に係合溝3が設けられている。またカード1の先端側裏面には複数本(8本)の接続端子4が並設されている。
図4は、本実施形態にカードが挿入された場合の挿入初期の状態を示す外観斜視図、図5は、本実施形態にカードが挿入されていない場合の内部構造を示す平面図である。
本実施形態は、図4,図5に示すように、前記カード1を挿入するカード挿入口10が前側面の左側に片寄せて開口した箱状(直方体状)のハウジング11を備えている。ハウジング11は、樹脂製(絶縁性)のハウジング本体20と、このハウジング本体20に上方から被着する金属板製(導電性)のカバー30と、から構成されている。ハウジング11の底面部,右側面部,後側面部,カード挿入口10より右側の前側面部が、ハウジング本体20に一体成形した底板部21,右側壁部22,後側壁部23,前側壁部24により樹脂で形成され、ハウジング11の天面部,右側面部のカバー部,左側面部が、カバー30に一体成形した天板部31,右側面カバー部32,左側壁部33により金属で形成されている。
ハウジング本体20にカバー30を位置決めするための手段として、ハウジング本体20の右側壁部22外側面及び底板部21左側端面には、カバー30の板厚寸法と略同じ寸法で突出する位置決め用突起25が設けられ、カバー30の右側面カバー部32及び左側壁部33には、ハウジング本体20側の位置決め用突起25に上方から嵌合する下向きに開放した位置決め用切欠き34が設けられている。またハウジング本体20にカバー30を固定するための手段として、ハウジング本体20の右側壁部22外側面及び底板部21左側端面には、カバー30の板厚寸法と略同じ寸法で突出する係合爪26が設けられ、カバー30の右側面カバー部32及び前記左側壁部33には、ハウジング本体20側の係合爪26を嵌込む係合孔35が設けられている。カバー30には図示しないプリント配線基板に対する半田付け用の脚部36が複数設けられ、この脚部36の下面がハウジング本体20の底板部21裏面(下面)に略面一に露出されている。
本実施形態は、図5に示すように、カード1の各接続端子4と電気的に接続する複数本(8本)のコンタクト40を、ハウジング11内に並設して備えている。各コンタクト40は、金属薄板を打抜き加工及び曲げ加工して、側面視の形状が略「へ」の字形に形成された細幅の板バネからなり、前部がハウジング本体20の底板部21に圧入又はインサート成形により固定支持され、後部がハウジング本体20の底板部21の上に上下方向に弾性変位可能に突出されている。各コンタクト40の前端部には、前記プリント配線基板に対する半田付け用の脚部41が設けられ、この脚部41の下面もハウジング本体20の底板部21裏面に略面一に露出されている。また各コンタクト40の後端部には、カード1の接続端子4に接触させる山形の接点部42が設けられている。
本実施形態は、図5に示すように、ハウジング11内の右側部に配置され、カード挿入口10からハウジング11内に挿入されたカード1と共に前後方向に移動する樹脂製(絶縁性)のスライド部材50を備えている。スライド部材50は、底面がハウジング本体20の底板部21表面(上面)に摺動自在に支持され、右側面がハウジング本体20の右側壁部22内面に摺動自在に支持され、上面がカバー30の天板部31内面に摺動自在に支持されて、左右方向の移動が規制され、前後方向の移動のみが許容されている。カバー30の左側壁部33と対向するスライド部材50の左側面には、カード1の切欠き2に嵌込む張出し部51が設けられると共に、この張出し部51の後端部(スライド部材50の後端部)から左側に向かって垂直に突出させてカード1の先端面を当接させるカード受止め部52が設けられている。
スライド部材50は、プッシュ/プッシュ型のイジェクト機構を構成するもので、スライド部材50はこれとハウジング本体20の後側壁部23間に設けられたコイルバネ60により前方(カード排出方向)に向かって常時付勢されている。またスライド部材50の上面にはハート型のカム溝70が設けられており、両端部を一方向に直角に折曲げた細長い金属棒からなり、一端側折曲げ部をハウジング本体20の右側壁部22に回転自在に軸着したカムピン71の他端側折曲げ部が、スライド部材50のカム溝70に摺動自在に嵌込まれている。このカムピン71は、カバー30の天板部31の一部で形成された板バネ37(図4参照)により常時下方に付勢され、ハウジング本体20の右側壁部22に設けられた軸受け孔にカムピン71の一端側折曲げ部が挿入保持されると共に、スライド部材50のカム溝70底面にカムピン71の他端側折曲げ部先端が摺動自在に押当てられている。さらにスライド部材50にはハーフロックバネ80が設けられている。このハーフロックバネ80は、後部をスライド部材50に固定支持し、前部を左右方向に弾性変位可能とした片持ち支持の板バネからなり、スライド部材50の張出し部51より手前側に延出するハーフロックバネ80の前端部にカード1の係合溝3に嵌込む山形の係合部81が設けられている。
而して、プッシュ/プッシュ型のイジェクト機構は、カード挿入口10を通してハウジング11内に挿入されるカード1にハーフロックバネ80等でなる係合部材により係合され、カード1と共にカード挿抜方向に移動可能なスライド部材50と、スライド部材50を常時カード排出方向に付勢するコイルバネ60等でなる付勢部材と、1回目のカード1の押込み操作により付勢部材に抗してスライド部材50をカード1の装着位置に保持するロック機能、及び2回目のカード1の押込み操作によりロックを解除するロック解除機能を有するハート型のカム溝70及びカムピン71等でなるカム機構と、から構成されている。このプッシュ/プッシュ型のイジェクト機構は、カード1が挿入されていない場合、図5に示すように、スライド部材50がカード排出方向の移動終端位置である初期位置に保持され、カムピン71の他端側折曲げ部がカム溝70の一端側起点部70aに嵌込む初期状態に保持されている。
本実施形態は、図1〜図3に示すようなカード検出スイッチ機構を備えている。図1は、本実施形態に備えるカード検出機構の平面説明図、図2は、本実施形態に備えるカード検出機構の斜視説明図である。また図3(A)〜(D)は、本実施形態に備えるカード検出スイッチ機構の動作説明図であり、(A)は可動接点と相手方接点が接触していないスイッチOFF状態を示し、(B)は可動接点の摺動接点部が相手方接点の第1の相手方接点部に接触した時のスイッチON状態を示し、(C)は可動接点の突合せ接点部が相手方接点の第2の相手方接点部に接触する直前のスイッチON状態を示し、(D)可動接点の摺動接点部と突合せ接点部が相手方接点の第1の相手方接点部と第2の相手方接点部に接触したスイッチON状態を示す。図1〜図3、図5に示すように、カード検出スイッチ機構90は、ハウジング11のハウジング本体20に取付けられ、カード挿入に伴うスライド部材50の移動によりスライド部材50の移動方向とは垂直方向の左右方向に変位する可動接点91と、ハウジング11のハウジング本体20に取付けられ、可動接点91の変位に伴い該可動接点91が接離する相手方接点92と、から構成されている。
ハウジング本体20の後部右側部には、ハウジング本体20の右側壁部22を部分的に切欠いて形成した接点収容空間27が設けられると共に、この接点収容空間27の前後中間部には、ハウジング本体20の右側壁部22内面と面一の内面を有し、かつハウジング本体20の右側壁部22よりも厚さ寸法が薄い接点係止壁28が立設されている。
可動接点91は、ハウジング本体20の後部右側の角部に沿うように長さ方向に沿ってL形に曲げられた金属製(導電性)の板バネからなり、ハウジング本体20の後側壁部23の右端部に固定支持される固定片部91aと、固定片部91aから延設され、下面がハウジング本体20の底板部21裏面に略面一に露出されるプリント配線基板に対する半田付け用の脚部91bと、固定片部91aから曲り部91cを介して接点係止壁28より後側の接点収容空間27後部に左右方向に弾性変位可能に延出される片持ち支持の可動接片部91dと、可動接片部91dの先端部に該部を長さ方向に沿って「く」の字形に曲げることで設けられ、先端側の斜辺先端部が接点係止壁28の外側(右側)に延設される山形先端部91eと、山形先端部91eの先端側斜辺の下縁先端部から真下に向かって突出される摺動接点部91fと、山形先端部91eの先端側斜辺の先端面中央部から先端側斜辺の傾斜に沿って突出される突合せ接点部91gと、を有し、図1の実線,図3(A),図5に示すように、スライド部材50が初期位置にある時、可動接片部91dの弾性により山形先端部91eの先端側斜辺先端部を接点係止壁28の後部外面に設けられた接点係止面28aに押当てて係止させることにより、可動接片部91dをプリロード荷重が生じる初期位置に保持し、山形先端部91eの頂部を接点収容空間27後部からハウジング11内右側部のスライド部材50移動領域に突出保持すると共に、摺動接点部91fと突合せ接点部91gを相手方接点92に対して離反保持するように構成している。なお、摺動接点部91fと突合せ接点部91gの先端形状はそれぞれ半円状に盛上げられた形状に形成されている。
相手方接点92は、中間部で90度捻られた金属製(導電性)の板バネからなり、ハウジング本体20の接点収容空間27より前側の右側壁部22に固定支持される垂直な固定片部92aと、固定片部92aから延設され、下面がハウジング本体20の底板部21裏面に略面一に露出されるプリント配線基板に対する半田付け用の脚部92bと、固定片部92aから捻り部92cを介して接点係止壁28より前側の接点収容空間27前部に水平に延出される長さ方向に沿ってZ曲げされた片持ち支持の可動接片部92dと、可動接片部92dの先端部に連設され、接点係止壁28の外側(右側)に配置される略L字状の相手方接点部92eと、相手方接点部92eの水平側片部によって形成される第1の相手方接点部92fと、相手方接点部92eの水平側片部の外側部(右側部)から垂直に立設する垂直片部によって形成される第2の相手方接点部92gと、を有し、図1の実線,図3(A),図5に示すように、スライド部材50が初期位置にあり、可動接点91の可動接片部91dが初期位置にある時、第1の相手方接点部92fを摺動接点部91fの横外側(右側)に、摺動接点部91fと突合せ接点部91gの変位方向に沿って略水平に配置すると共に、第2の相手方接点部92gを突合せ接点部91gの横外側(右側)に、摺動接点部91fと突合せ接点部91gの変位方向に対して垂直に配置するように構成している。なお、第1の相手方接点部92fは全体的に基端側から先端側に向かって緩やかな下り傾斜が付けられると共に、摺動接点部91fの接触・摺動面となる第1の相手方接点部92fの表面(上面)は台形状に盛上げられている。
なお、スライド部材50には、この後部右側の角部を斜めに落とし(面取り)、スライド部材50の初期位置から後側への移動時に、可動接点91の可動接片部91dの山形先端部91e頂点部を外側(右側)に押圧しながら接触・摺動し、可動接点91の可動接片部91dの山形先端部91eを該可動接片部91dの外側(右側)への弾性変位を伴ってスライド部材50の右側面の上に乗上げさせるための傾斜ガイド面53が設けられている。
上記のように構成された本実施形態は、例えば携帯電話機等の電子機器筺体に内蔵されるプリント配線基板に表面実装され、カバー30の各脚部36と各コンタクト40の脚部41とカード検出スイッチ機構90の各接点91,92の脚部91b,92bとがプリント配線基板の配線パターンに半田付けされて固着され、電気的に接続された状態で使用される。カバー30の脚部36の全て又はいくつかはアースに電気接続され、人からの静電気をカバー30を通じてアースに逃がし、プリント配線基板に実装される各種電子部品等の静電破壊を防止するようになっている。
次に本実施形態にカード1が挿入された場合の動作について説明する。
図6は、本実施形態にカードが挿入された場合の挿入初期の状態の内部構造を示す平面図、図7は、本実施形態にカードが挿入されて最押込み位置まで押込まれた状態の内部構造を示す平面図、図8は、本実施形態にカードが挿入されて装着された状態の内部構造を示す平面図である。
カード1がこの裏面を下にして幅の小さい先端部からカード挿入口10を通してハウジング11の内部に正規挿入されると、カード1はこの切欠き部2にスライド部材50の張出し部51が嵌込みながらスライド部材50とカバー30の左側面部33間に嵌込み、カード1の先端面がスライド部材50のカード受止め部52に当接する。この挿入初期において、カード1の切欠き部2がハーフロックバネ80の係合部81を通過する際、ハーフロックバネ80の係合部81は右側への弾性変位を伴ってカード1の切欠き部2と係合溝3間の側面部に乗上がり、スライド部材50の受止め部52がカード1の先端面との当接によりカード1を受止めるのと略同時に、カード1の係合溝3がハーフロックバネ80の係合部81に対向し、ハーフロックバネ80の係合部81がハーフロックバネ80の左側への弾性復帰を伴ってカード1の係合溝3に嵌込む。これにより、カード1とスライド部材50とがカード挿抜方向(前後方向)で係合され、カード1にハーフロックが掛けられる(図6参照)。
カード1が上記挿入初期の状態からさらにハウジング11内の後側(奥側)に挿入されると、カード1はこの先端面でスライド部材50の受止め部52を後側へ押圧し、スライド部材50がコイルバネ60の付勢力に抗してカード1の挿入に伴い初期位置からハウジング11内の後側へと押込まれる。その後、カード1は先端面がハウジング本体20の後側壁部23に突当たる最押込み位置まで押込まれ、スライド部材50もコイルバネ60の付勢力に抗してカード1の押込みに伴い後端面がハウジング本体20の後側壁部23に突当たるカード挿入方向の移動終端位置である最押込み位置まで押込まれる(図7参照)。
上記のようにカード1が最押込み位置に押込まれた状態で、カード1の押込み力を解除すると、スライド部材50がコイルバネ60の付勢力により最押込み位置から前側へ押戻され、これに伴ってカード1も最押込み位置から前側へ押戻される。このスライド部材50の初期位置からの一連の動作により、カムピン71の他端側折曲げ部がカム溝70の一端側起点部70aから往路70bを通過して他端側係止部70cに導入係止され、スライド部材50の前側への移動が最押込み位置より少し手前のカード装着位置で規制され、スライド部材50がハウジング本体20に対してロックされる。これにより、スライド部材50とカード挿抜方向で係合しているカード1はカード装着位置に保持され、カード1の各接続端子4に各コンタクト40の接点部42が接触し、カード1の各接続端子4と各コンタクト40が電気的に接続され、カード装着状態となり、電子機器とカード1間で信号の送受が行えるようになる(図8参照)。
また上記のカード挿入装着時、スライド部材50は、初期位置から後側へ移動する過程において、スイッチOFF状態のカード検出スイッチ機構90の可動接点91における初期位置にある可動接片部91dの山形先端部91e頂点部をスライド部材50の傾斜ガイド面53により外側(右側)に押圧しながら初期位置の可動接片部91dをそれ自体の弾性に抗して外側(右側)に撓ませて変位させ、カード装着位置を通過する直前において、山形先端部91eをスライド部材50の右側面の上に乗上がらせ、以降最押込み位置を経てカード装着位置に達する移動範囲において、山形先端部91e頂点部をスライド部材50の右側面により外側に押圧しながら可動接片部91dをそれ自体の弾性に抗して外側に撓ませて変位させ、カード装着位置において、山形先端部91e頂点部をハウジング本体20にロックされたスライド部材50の右側面により外側に押圧保持し、可動接片部91dをそれ自体の弾性に抗して外側に撓ませたままで変位保持する(カード検出スイッチ機構90のスイッチON状態を保持する)。
そして、カード検出スイッチ機構90は、上記のようにカード挿入に伴うスライド部材50の初期位置からカード装着位置への移動による可動接点91における可動接片部91dの初期位置からの外側(右側)への変位により、図3(A)に示すスイッチOFF状態から図3(B),図3(C)に示すスイッチON状態を経て図3(D)に示すスイッチON状態となる。
図3(A)では、スライド部材50が初期位置にあって、可動接点91の可動接片部91dはプリロード荷重が生じる初期位置に保持されている。これにより、可動接点91の摺動接点部91fと突合せ接点部91gは相手方接点92に対して離反保持される。したがって、カード検出スイッチ機構90は可動接点91とその相手方接点92が接触していないスイッチOFF状態である。
図3(B)では、スライド部材50が初期位置から後側へ移動し、可動接点91の可動接片部91dは山形先端部91eの頂点部がスライド部材50の傾斜ガイド面53により外側に押圧されて初期位置から外側(矢印のa方向)に変位している。これにより、可動接点91の摺動接点部91fが初期位置から外側(矢印のa方向)に変位し、摺動接点部91f先端部が相手方接点92の第1の相手方接点部92f先端部に接触する。この時点で、カード検出スイッチ機構90は可動接点91とその相手方接点92が摺動接点部91fと第1の相手方接点部92fとの接触により導通し、スイッチON状態となる。
図3(C)では、スライド部材50が初期位置からさらに後側へ移動し、可動接点91の可動接片部91dは山形先端部91e頂点部がスライド部材50の傾斜ガイド面53によりさらに外側に押圧されて図3(B)よりさらに外側(矢印のa方向)に変位している。これにより、可動接点91の摺動接点部91fが図3(B)よりさらに外側(矢印のa方向)に変位し、摺動接点部91f先端部が相手方接点92の第1の相手方接点部92fを下方に押圧しながら第1の相手方接点部92fの表面(上面)に乗上って摺動し、ワイピングを生じ、摺動接点部91fと第1の相手方接点部92fとの接触面がセルフクリーニング効果を受ける。このように、摺動接点部91fと第1の相手方接点部92fは摺動接触方式で接触するため、接触の安定性、高信頼性を得ることができる。
この際、相手方接点92の中間部には90度の捻り部92cが設けられ、第1の相手方接点部92fと第2の相手方接点部92gが垂直な固定片部92aに捻り部92c及び水平な可動接片部92dを介して連設支持されているため、第1の相手方接点部92fと第2の相手方接点部92g(相手方接点部92e)は水平な可動接片部92dの捻り部92cとの連設部である水平な可動接片部92dの基端部を起点にして一体に摺動接点部91fによる押圧方向(矢印のb方向)に変位(下側に移動)する。
図3(D)では、スライド部材50が初期位置からさらに後側へ移動し、可動接点91の可動接片部91dは山形先端部91e頂点部がスライド部材50の傾斜ガイド面53から右側面の上に乗上がり、スライド部材50の右側面により外側に押圧されて図3(C)よりさらに外側(矢印のa方向)に変位している。これにより、可動接点91の摺動接点部91fが図3(C)よりさらに外側(矢印のa方向)に変位し、摺動接点部91f先端部が相手方接点92の第1の相手方接点部92fの表面(上面)の上でさらに摺動する。その後、摺動接点部91fが第1の相手方接点部92fと接触したままで可動接点91の突合せ接点部91gが略45度の角度を持って相手方接点92の第2の相手方接点部92gを外側(矢印のa方向)に押圧しながら突合せ接触する。つまり突合せ接点部91gと第2の相手方接点部92gが突合せ接触方式で接触する。この時点で、カード検出スイッチ機構90は可動接点91とその相手方接点92が、摺動接触方式で接触する接点部91f,92fと突合わ接触方式で接触する接点部91g,92gの2点で接触するため、接触の安定性、高信頼性を得ることができる。
この際、相手方接点92の中間部には90度の捻り部92cが設けられ、第1の相手方接点部92fと第2の相手方接点部92gが垂直な固定片部92aに捻り部92c及び水平な可動接片部92dを介して連設支持されているため、第1の相手方接点部92fと第2の相手方接点部92g(相手方接点部92e)は捻り部92cの固定片部92aとの連設部である捻り部92cの基端部を起点にして一体に突合せ接点部91gによる押圧方向(矢印のa方向)に変位(外側に移動)する。この際、突合せ接点部91gが略45度の角度を持って第2の相手方接点部92gに接触しているため、接触後に第2の相手方接点部92gの上で摺動し、ワイピングを生じ、突合わ接触方式で接触する突合せ接点部91gと第2の相手方接点部92gとの接触面がセルフクリーニング効果を受ける。このため、接触の安定性、高信頼性を得ることができる。しかも第1の相手方接点部92fと第2の相手方接点部92gは略L字状の相手方接点部92eを形成しているため、突合せ接点部91gが第2の相手方接点部92gを押圧する力が第1の相手方接点部92fにこれを摺動接点部91fに押付ける力として作用し、摺動接触方式で接触している接点部91f,92fの接触圧が増大する。このため、接触の安定性、高信頼性を得ることができる。
その後、スライド部材50がカード装着位置に達し、可動接点91の可動接片部91dは山形先端部91e頂点部がハウジング本体20にロックされたスライド部材50の右側面により外側に押圧保持され、可動接片部91d自体の弾性に抗して外側に撓ませたままで変位保持される。これにより、カード検出スイッチ機構90は可動接点91とその相手方接点92が、摺動接触方式で接触する接点部91f,92fと突合わ接触方式で接触する接点部91g,92gの2点で接触し、導通した図3(D)の状態に保持され、スイッチON状態に保持される。したがって、カード1の装着を検出することができる。
一方、上記のカード装着状態でカード1の押込み操作を行うことにより、カード1とスライド部材50が共に再び最押込み位置へ押込まれる。このスライド部材50の動作により、カムピン71の他端側折曲げ部が、カム溝70の係止部70cから離脱して復路70dに導入され、スライド部材50のカード装着位置でのロックが解除される。この時点でカード1の押込み力を解除することにより、スライド部材50はコイルバネ60の付勢力により最押込み位置から前方へ押戻されて初期位置へと復帰し、スライド部材50とカード挿抜方向で係合されているカード1が排出(イジェクト)されて挿入初期の位置に保持される。この挿入初期の位置まで排出されたカード1は、カード挿入口10からハウジング11の外側に突出している端部を指で摘んで引っ張ることにより、ハーフロックバネ80の係合部81がハーフロックバネ80の右側への弾性変位を伴ってカード1の係合溝3から抜出してカード1の切欠き部2と係合溝3との間の側面に乗上がり、カード1のハーフロックが解除され、ハウジング11内からカード挿入口10を通して抜去ることができる。
また上記のカードイジェクト時、カード検出スイッチ機構90はスライド部材50のカード装着位置から初期位置への復帰移動により、上記のカード挿入装着時とは逆に、図3(D)に示すスイッチON状態から図3(C),図3(B)に示すスイッチON状態を経て図3(A)に示すスイッチOFF状態となる。
上記のように本実施形態は、カード検出スイッチ機構90の可動接点91とその相手方接点92が、突合わ接触方式で接触するだけでなく、ワイピングを生じ、かつ十分なワイピング量を確保できる摺動接触方式でも接触するため、摺動接触方式で接触する接点部表面がセルフクリーニングを受ける。また可動接点91とその相手方接点92は最終的に摺動接触方式で接触する接点部と突合わ接触方式で接触する接点部の2点で接触する。このため、接触信頼性の高いカード検出スイッチ機構90となっている。
また、可動接点91の摺動接点部91fが相手方接点92の第1の相手方接点部92fを押圧しながら接触・摺動する際、相手方接点92の第1の相手方接点部92fと第2の相手方接点部92gは可動接点91の摺動接点部91fの押圧方向に変位する。その後、可動接点91の摺動接点部91fが相手方接点92の第1の相手方接点部92fと接触したままで可動接点91の突合せ接点部91gが相手方接点92の第2の相手方接点部92gを押圧しながら突合せ接触する際、相手方接点92の第1の相手方接点部92fと第2の相手方接点部92gは、可動接点91の摺動接点部91fが相手方接点92の第1の相手方接点部92fに接触・摺動する際とは異なる押圧方向に変位するため、摺動接触方式で接触する接点部91f,92fの接触圧が増大する。
したがって、本実施形態は、カード検出スイッチ機構90の可動接点91とその相手方接点92が、摺動接触方式で接触する接点部91f,92fと突合せ接触方式で接触する接点部91g,92gの2点で接触し、しかも摺動接触方式で接触する接点部91f,92fの接触圧が増大するため、接触信頼性の高いカード検出スイッチ機構90となり、カード検出スイッチ機構90の接触信頼性を向上したものになっている。
図9(A)〜(C)はカード検出スイッチ機構の可動接点の接点形状の模式図を示す。図9(A)は、上記の本実施形態に備える可動接点91の摺動接点部91fと突合せ接点部91gの接点形状の模式図を示し、図9(B)は、他の実施形態としての可動接点91'の摺動接点部91f'と突合せ接点部91g'の接点形状の模式図を示し、可動接点91'の摺動接点部91f'と突合せ接点部91g'は、円形の一部で形成されている。図9(C)は、さらに他の実施形態としての可動接点91''の摺動接点部91f''と突合せ接点部91g''の接点形状の模式図を示し、可動接点91''の摺動接点部91f''と突合せ接点部91g''は、楕円形の一部で形成されている。図9(B)(C)の可動接点91',91''の摺動接点部91f',91f''と突合せ接点部91g',91g''においても、図9(A)の可動接点91の摺動接点部91fと突合せ接点部91gと同様に相手方接点92の第1の相手方接点部92fと第2の相手方接点部92gと接触できることが理解できる。したがって、カード検出スイッチ機構の可動接点の接点形状は、スライド部材の移動方向とは垂直方向の互いに直交する2方向に張出す形状であれば、その2方向に張出す部分を摺動接点部と突合せ接点部として用いることができるものである。なお、各他の実施形態における可動接点の摺動接点部と突合せ接点部の接点形状以外の構造は本実施形態と同じ構造である。
以上、各実施形態は本発明の好適な実施形態の一例を示したが、本発明はそれに限定されることなく、その要旨を逸脱しない範囲内で種々変形実施することができる。