JP4469200B2 - 電子装置及び携帯端末装置 - Google Patents

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Description

本発明は、アンテナを備える電子装置及び携帯端末装置に関し、筐体部間を連結するヒンジ部を通過させる配線部材とヒンジ部との容量結合の防止構造に関する。
携帯電話機には、複数の筐体をヒンジ部により連結し、折り畳み可能な筐体構造が普及している。携帯性を向上させるには、筐体の小型化及び薄型化が必要である。小型化及び薄型化を図ることによる機械的強度の低下を防止するため、筐体には従来のプラスチック製に代え、機械的強度に優れるマグネシウム合金等の金属が使用されている。
折畳み機能を持つ従来の携帯電話機について、図1ないし図3を参照して説明する。図1は折畳み機能を持つ携帯電話機の筐体構造モデルを示す図、図2は実際の携帯電話機の概要を示す図、図3はヒンジ部分の拡大断面図である。
この携帯電話機2は2つの筐体部4、6を備えており、筐体部4にはキーボード、筐体部6にはLCD表示器が設置されている。筐体部4は、ユーザが手に保持することから固定部、筐体部6は、筐体部4を固定して開閉することから可動部として構成される。
筐体部4はフロントケース8及びリアケース10で構成され、その内部にリジッドプリント基板12が設置され、リアケース10側にはアンテナ14が取り付けられている。また、筐体部6はフロントケース16及びリアケース18で構成され、その内部にリジッドプリント基板20が設置され、フロントケース16にはヒンジ部22が形成されて筐体部4と折畳み可能に連結されている。アンテナ14は筐体部4側のプリント基板12に接続されており、また、プリント基板12とプリント基板20との間にはフレキシブルプリント基板24が接続されており、このフレキシブルプリント基板24はヒンジ部22内にカール部26を設けてヒンジ部22を通過させる構成である。そして、筐体部4のフロントケース8、リアケース10及び筐体部6のリアケース18がプラスチックで成形されたものであるのに対し、筐体部6のフロントケース16には薄型化のために金属として例えばマグネシウム合金が使用され、ヒンジ部22はフロントケース16と一体に形成されている。
このような携帯電話機2等の携帯端末装置に関し、次のような先行技術文献が存在している。
特開2002−335314号公報 この特許文献1には、携帯端末装置に関し、ヒンジ部で絶縁配線を固定することによりアンテナ特性のばらつきを軽減する携帯端末装置が開示されている。この携帯端末装置は、第1の筐体と第2の筐体とをヒンジ部によって折り畳自在に構成している。それぞれの筐体に収納されている基板はヒンジ部を通過させるフレキシブル基板で接続され、第1および第2の筐体のいずれか一方から延長してフレキシブル基板を覆うようにヒンジ半円部が形成されており、その内面部にはフレキシブル基板の動きを制限するためのパッドが貼り付けられている。
ところで、図1ないし図3に示す携帯電話機2において、筐体部4、6を開閉すると、筐体部4、6の開閉角度θの大小によりフレキシブルプリント基板24に作用する張力Tが変化する。このため、ヒンジ部22内のカール部26のループ径Lが変化し、一定しない。開閉により張力Tが緩み、フレキシブルプリント基板24のカール部26のループ径Lが大きくなり、ヒンジ部22とフレキシブルプリント基板24の導体部との間隔dが近づき、金属で形成されたヒンジ部22とフレキシブルプリント基板24との間で容量結合を生じ、この容量結合が過大な高周波電流を生じさせ、アンテナ特性を劣化させる原因になる。
このような筐体部4、6間の開閉に伴うヒンジ部22内のカール部26の挙動について、図4及び図5を参照して説明する。図4及び図5はヒンジ部22及びその近傍を拡大して示し、図4は筐体部4、6間の開閉角度θが大きい場合のカール部26及びヒンジ部22の関係を示す図、図5は筐体部4、6間の開閉角度θが小さい場合のカール部26及びヒンジ部22の関係を示す図である。
開閉角度θにより、フレキシブルプリント基板24に作用する張力T1 (図4)、T2 (図5)が変化し、ループ径L1 の場合には、ヒンジ部22の内壁部とフレキシブルプリント基板24のカール部26の表面とが離れ、ループ径L2 の場合には、ヒンジ部22の内壁部とフレキシブルプリント基板24のカール部26の表面とが密着する。この場合、フレキシブルプリント基板24の導体部28とヒンジ部22との間隔dがd1 であるのに対し(図4)、フレキシブルプリント基板24に作用する張力TがT2 (<T1 )になると、ループ径LはL2 (>L1 )となり、ヒンジ部22の内壁部とカール部26の導体部28との間隔dはd2 (<d1 )となる(図5)。即ち、張力Tとループ径Lとの関係は反比例関係にあり、ループ径Lと既述の間隔dとの関係も反比例関係にある。このようなシミュレーションの結果では、例えば、d1 =0.2〔mm〕、d2 =0.05〔mm〕である。
このような間隔dの変化とアンテナ特性の解析結果について、図6を参照して説明する。図6はアンテナ特性として、既述の間隔dに対応する電圧定在波比(VSWR:voltage standing wave ratio )の変化を示している。このアンテナ特性において、条件1は図4に示す場合の電圧定在波比、条件2は図5に示す場合の電圧定在波比を示している。条件1(図4)では、ヒンジ部22とカール部26とが離れており、フレキシブルプリント基板24の導体部28とヒンジ部22との間隔d1 は十分な距離となっているので、アンテナ特性は良好である。これに対し、条件2(図5)では、ヒンジ部22とカール部26とが接触した状態を呈し、フレキシブルプリント基板24の導体部28とヒンジ部22との間隔d2 はその導体部28を覆う樹脂層30の層厚にすぎず、既述の通り、これによる容量結合によって過大な高周波電流を生じさせるため、アンテナ特性が劣化している。
この容量結合について、カール部26とヒンジ部22との接触面積をSm、フレキシブルプリント基板24の導体部28とヒンジ部22との距離をrとすると、接触部に寄生する静電容量Cは、
C=ε・Sm/r=ε・Sm/d ・・・(1)
となる。εは樹脂層30の誘電率である。この式(1)から明らかなように、接触面積Smが大きくなれば、静電容量Cが増大し、間隔dが小さくなれば、同様に静電容量Cが増大するから、容量結合が顕著になる。
このようなヒンジ部22とフレキシブルプリント基板24との容量結合によるアンテナ特性の劣化を防ぐため、フレキシブルプリント基板24とヒンジ部22との間に十分な間隔を確保する手段としては、例えば、図7に示すように、フレキシブルプリント基板24とヒンジ部22との間に介在する絶縁性スペーサ32等を設置することが必要となる。このような部材の設置は部品点数によるコスト増や組立コストの増加に繋がる。
特許文献1に開示された携帯端末装置においては、ヒンジ部の内面側にパッドを張り付け絶縁配線を固定することにより、アンテナ特性のばらつきの軽減が行われている。
このように、ヒンジ部と配線部材との間隔がアンテナ特性を悪化させることを改善しようとする課題については特許文献1にも開示されてはいるが、パッド等の絶縁性スペーサの設置がコストを増加させることを改善するという課題や、その解決手段についての示唆や開示はない。
そこで、本発明は、アンテナを備える電子装置及び携帯端末装置に関し、ヒンジ部を通過する配線部材とヒンジ部との間の容量結合を抑制することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明の電子装置は、複数の筐体部(42、44)を連結するとともに、前記筐体部間に跨がって設置される配線部材(フレキシブルプリント基板64)を通過させるヒンジ部(46)を備える電子装置(携帯電話機40、携帯型パーソナルコンピュータ88)であって、前記複数の筐体部の何れかにアンテナを設け、該アンテナが金属部分を含む前記ヒンジ部と隣接して設置され、前記ヒンジ部と容量結合を生じる前記配線部材と前記ヒンジ部の接触部(68)に前記配線部材又は前記ヒンジ部と一体に形成された突部(70、リブ80)を備え、前記配線部材と前記ヒンジ部とを前記突部により接触させる構成である。
斯かる構成とすれば、ヒンジ部と配線部材は、配線部材又はヒンジ部と一体に形成された突部によって接触させる構成としたので、両者の接触面積を縮小化でき、両者間の寄生容量が低下し、容量結合が抑制される。寄生する静電容量は、接触面積に比例し、間隔に反比例することから、その接触面積の縮小化により、静電容量を無視できる程度に小さくできる。また、突部以外の箇所では、ヒンジ部と配線部材との間隔が大きくなるので、この部分でも静電容量を無視できる程度に小さくすることができる。このように寄生する静電容量を低減すれば、容量結合を抑制でき、その結果、過大な高周波電流を生じさせることがなく、良好なアンテナ特性が得られる。
上記目的を達成するため、本発明の電子装置は、複数の筐体部を連結するとともに、前記筐体部間に跨がって設置される配線部材を通過させるヒンジ部を備える電子装置であって、前記複数の筐体部の何れかにアンテナを設け、該アンテナが金属部分を含む前記ヒンジ部と隣接して設置され、前記ヒンジ部と容量結合を生じる前記配線部材と前記ヒンジ部の接触部に前記配線部材又は前記ヒンジ部と一体に形成された凹部(84)を備え、前記配線部材と前記ヒンジ部との接触に前記凹部を介在させる構成としてもよい。斯かる構成とすれば、ヒンジ部と配線部材とは、配線部材又はヒンジ部と一体に形成された凹部を介在させて配線部材とヒンジ部とが接触するので、両者の接触面積を縮小化でき、両者間の容量結合を抑制でき、その結果、過大な高周波電流を生じさせることがなく、良好なアンテナ特性が得られる。
上記目的を達成するためには、前記突部は線状のリブ(80)で構成し、前記配線部材とを線接触させた構成としてもよい。
上記目的を達成するため、本発明の携帯端末装置は、複数の筐体部を連結するとともに、前記筐体部間に跨がって設置される配線部材を通過させるヒンジ部を備える携帯端末装置であって、前記複数の筐体部の何れかにアンテナを設け、該アンテナが金属部分を含む前記ヒンジ部と隣接して設置され、前記ヒンジ部と容量結合を生じる前記配線部材と前記ヒンジ部の接触部に前記配線部材又は前記ヒンジ部と一体に形成された突部を備え、前記配線部材と前記ヒンジ部とを前記突部により接触させる構成である。斯かる構成によれば、携帯端末装置においても、ヒンジ部と配線部材とは、配線部材又はヒンジ部と一体に形成された突部によって接触させる構成としたので、両者の接触面積を縮小化でき、両者間の容量結合を低下させ、その結果、過大な高周波電流を生じさせることがなく、アンテナ特性の劣化が防止される。
上記目的を達成するため、本発明の携帯端末装置は、複数の筐体部を連結するとともに、前記筐体部間に跨がって設置される配線部材を通過させるヒンジ部を備える携帯端末装置であって、前記複数の筐体部の何れかにアンテナを設け、該アンテナが金属部分を含む前記ヒンジ部と隣接して設置され、前記ヒンジ部と容量結合を生じる前記配線部材と前記ヒンジ部の接触部に前記配線部材又は前記ヒンジ部と一体に形成された凹部を備え、前記配線部材と前記ヒンジ部との接触に前記凹部を介在させる構成としてもよい。斯かる構成によれば、配線部材又はヒンジ部と一体に形成された凹部を介在させて配線部材とヒンジ部とが接触するので、ヒンジ部と配線部材との接触面積を縮小化でき、両者間の寄生結合を低下させ、その結果、過大な高周波電流を生じさせることがなく、アンテナ特性の劣化が防止される。
以上説明したように、本発明によれば、次のような効果が得られる。
(1) 本発明の電子装置によれば、配線部材を通過させるヒンジ部と配線部材との間の接触面積を縮小化でき、両者間の容量結合を抑制でき、良好なアンテナ特性が得られる。
(2) 本発明の携帯端末装置によれば、配線部材を通過させるヒンジ部と配線部材との間の接触面積を縮小化でき、両者間の容量結合を抑制でき、良好なアンテナ特性が得られ、電力損失の低減とともに、通信距離の増大等に寄与する。
第1の実施形態
本発明の第1の実施形態について、図8ないし図11を参照して説明する。図8は携帯電話機のヒンジ部の拡大断面を示す図、図9はフロントケースの一部及びヒンジ部の内面側を示した図、図10は配線部材を配置したヒンジ部等を示す図、図11はヒンジ部と配線部材との関係を示す一部断面図である。
この実施形態は、電子装置又は携帯端末装置の一態様として携帯電話機に関し、ヒンジ部の内壁部と配線部材との接触面積の狭小化を図るため、ヒンジ部側に一体に突部を形成し、この突部によって配線部材とヒンジ部とを接触させ、両者の接触面積を狭小にした構成である。ここで、突部とは、ヒンジ部の内壁部から突出する部分の総称であり、突起部、隆起部等を包含する。
この携帯電話機40は、2つの筐体部42、44を備えており、筐体部42にはキーボード、筐体部44にはLCD表示器が設置されている。筐体部42は、ユーザが手に保持することから固定部、筐体部44は、筐体部42を固定して開閉することから可動部として構成される。これら筐体部42、44は、ヒンジ部46によって連結されて開閉される。
筐体部42はフロントケース48及びリアケース50で構成され、その内部にリジッドプリント基板52が設置され、リアケース50側にはアンテナ54が取り付けられている。また、筐体部44はフロントケース56及びリアケース58で構成され、その内部にリジッドプリント基板60やLCD(liquid crystal display)表示器61が設置され、フロントケース56には既述のヒンジ部46が形成されて連結されている。アンテナ54は配線導体62を介してプリント基板52に接続されており、また、プリント基板52とプリント基板60との間には配線部材としてフレキシブルプリント基板64が接続されており、このフレキシブルプリント基板64はヒンジ部46内にカール部66を設けてヒンジ部46を通過させている。そして、筐体部42のフロントケース48、リアケース50及び筐体部44のリアケース58がプラスチックで成形されたものであるのに対し、筐体部44のフロントケース56には薄型化のために金属として例えば、マグネシウム合金が使用され、ヒンジ部46はフロントケース56と一体に形成されている。
また、筐体部44のフロントケース56及びヒンジ部46の具体例について、図9を参照して説明すると、ヒンジ部46はフロントケース56とともにマグネシウム合金等の金属で一体に形成された半円筒状の成形体である。このヒンジ部46の内面部には、通過させるフレキシブルプリント基板64のカール部66との接触の可能性がある範囲として接触部68が想定され、この接触部68の内面部に複数の突部70が規則的又は不規則的に形成されている。この実施形態では、3行6列に規則的に複数の突部70が形成されているが、このような規則的である必要はなく、散点的な配列形態でもよい。また、この突部70は例えば、球形である。このような複数の突部70は、ヒンジ部46及びフロントケース56を成形する成形型に突部70の成形凹部を形成しておけば、被成形材料である金属の成形によりヒンジ部46とともに一体に形成することができる。この複数の突部70は、印刷等により樹脂で形成し、又は、接着材等で付着させてもよい。
このような複数の突部70をヒンジ部46の内側に備えれば、例えば、図10に示すように、フレキシブルプリント基板64のカール部66が膨らんで接触したとしても、その接触する箇所は突部70の先端部に限定されることになる。このような突部70とフレキシブルプリント基板64のカール部66との接触状態について見ると、例えば、図11に示すように、カール部66のループ径Lが最大径を呈し、その外面部とヒンジ部46の内面部とは突部70の先端部で接触し、両者の接触面積は小さくなる。即ち、フレキシブルプリント基板64とヒンジ部46とは、接触状態にある突部70を除き、空間部72が形成され、突部70の高さに応じた間隔が生じることになる。この実施形態では、突部70が球形であることから、突部70とフレキシブルプリント基板64との接触部分は点にすぎず、フレキシブルプリント基板64とヒンジ部46との容量結合は無視できる程度となる。
既述の式(1)から明らかなように、接触面積Sは、従前の接触面積Smに比較し、無視できる程度に狭小(S<Sm、S≒0)であることから、接触点74が複数であったとしても、全体容量は従前の面接触に比較し、静電容量は無視できる程度に小さくなり、また、空間部72ではフレキシブルプリント基板64とヒンジ部46との間隔が大きくなることから、この部分でも静電容量は無視できる程度に小さくなるので、フレキシブルプリント基板64とヒンジ部46との容量結合は発生しない。なお、フレキシブルプリント基板64は、導体部76の表面を樹脂層78で覆った構成である。
このように接触面積の縮小化及び狭小化により、フレキシブルプリント基板64とヒンジ部46との容量結合が生じない結果、このようなヒンジ部46を用いた携帯電話機40によれば、図12に示すように、電圧定在波比(VSWR:voltage standing wave ratio )の増加はなく、良好なアンテナ特性が得られる。このアンテナ特性では、従前の構成で生じていた図6の条件2のようなアンテナ特性の劣化は生じない。このようなアンテナ特性によれば、電力損失がなく、優れた通信特性を得ることができる。
第2の実施形態
本発明の第2の実施形態について、図13ないし図15を参照して説明する。図13はフロントケースの一部及びヒンジ部の内面側を示した図、図14は配線部材を配置したヒンジ部等を示す図、図15はヒンジ部と配線部材との関係を示す一部断面図である。第1の実施形態と同一部分には同一符号を付してある。
この実施形態では、第1の実施形態でヒンジ部側に複数の突部を形成しているのに対し、その突部と配線部材との接触部分を線状化することにより、配線部材とヒンジ部との接触面積を狭小にした構成である。
この携帯電話機40において、筐体部44のフロントケース56のヒンジ部46の内面部には、ヒンジ部46の幅方向に複数の突部として、断面三角形状のリブ80が周面方向に一定の間隔で形成されている。リブ80の幅Wは、想定されるフレキシブルプリント基板64の幅に対応し、接触部68の幅より短く設定されている。各リブ80は、断面三角形状であることから、その頂部は線状である。
このような複数のリブ80をヒンジ部46の内側に備えれば、例えば、図14に示すように、フレキシブルプリント基板64のカール部66が膨らんで接触したとしても、その接触する箇所はリブ80の線状を成す先端部に限定されるので、図15に示すように、ヒンジ部46の内面部とカール部66とをリブ80の先端部で接触させ、両者の接触面積を小さくするとともに、この接触部分以外ではリブ80の高さに応じた距離によって空間部82が形成され、この空間部82によってヒンジ部46とカール部66とが離間することになる。この結果、フレキシブルプリント基板64とヒンジ部46との間の静電容量は無視できる程度に小さく、両者間に容量結合は生じない。
この実施形態においても、フレキシブルプリント基板64とヒンジ部46との容量結合が生じない結果、このようなヒンジ部46を用いた携帯電話機40によれば、図16に示すように、良好なアンテナ特性が得られる。このアンテナ特性では、従前の構成で生じていた図6の条件2のようなアンテナ特性の劣化は生じないことは既述の通りであり、このようなアンテナ特性によれば、電力損失がなく、優れた通信特性が得られる。
第3の実施形態
本発明の第3の実施形態について、図17を参照して説明する。図17はヒンジ部と配線部材との関係を示す一部断面図である。第1又は第2の実施形態と同一部分には同一符号を付してある。
この実施形態では、ヒンジ部の内面部に凹部を形成することにより、この凹部を介在させてヒンジ部と配線部材とを接触させることにより、ヒンジ部と配線部材との接触面積を狭小化した構成である。
ヒンジ部46の内面部に空間部を形成する複数の凹部84を規則的又は不規則的に形成し、この凹部84を介在させてヒンジ部46とフレキシブルプリント基板64とを接触させることにより、両者の接触面積の狭小化とともに、寄生静電容量の削減を図っている。この場合、凹部84と隣接する凹部84との間に突部86が形成されるので、凹部84と突部86とが交互に形成される結果、カール部66のループ径Lが大きくなったとき、この突部86とカール部66とが接触することになる。また、凹部84の形態は、円形又は矩形でもよく、ヒンジ部46とフレキシブルプリント基板64との距離を確保できる形態であれば、どのようなものでもよい。このような構成によれば、既述の実施形態と同様に、ヒンジ部46とフレキシブルプリント基板64との間隔を大きくし、接触面積の狭小化により、静電容量を小さくでき、静電容量による結合が防止される。この結果、優れたアンテナ特性が得られ、容量結合による劣化を防止することができる。
第4の実施形態
本発明の第4の実施形態について、図18を参照して説明する。図18は電子装置の一例である携帯型パーソナルコンピュータを示す斜視図である。
この実施形態は、本発明が携帯電話機以外でアンテナによる通信機能を備えた情報通信端末にも適用できることを示すものである。携帯型パーソナルコンピュータ88は、2つの筐体部90、92を備えており、筐体部90にはキーボード94、筐体部92にはLCD表示器96が設置されている。筐体部90に対し、筐体部92はヒンジ部46によって連結されて開閉される。また、筐体部92にはアンテナ98が取り付けられ、このアンテナ98は筐体部90に内蔵された送受信部と接続されている。
筐体部90のフロントケース100又は筐体部92のフロントケース102に金属として例えば、マグネシウム合金が使用され、ヒンジ部46はこれらフロントケース100又は102又は双方に一体に形成されている。そして、ヒンジ部46は、筐体部90、92の連結及び開閉部材であるとともに、既述のフレキシブルプリント基板64(図8)を通過させて防護する部材である。
そして、ヒンジ部46の内壁部には、第1の実施形態に係る突部70(図8〜図11)、第2の実施形態に係るリブ80(図13〜図15)、第3の実施形態に係る凹部84(図17)のいずれか又はこれらを組み合わせて形成すれば、既述したように、フレキシブルプリント基板64とヒンジ部46との容量結合を防止でき、良好なアンテナ特性を維持することができる。
次に、本発明の他の実施形態について、列挙して説明する。
(1) 上記実施形態では、電子装置又は携帯端末装置として携帯電話機40、携帯型パーソナルコンピュータ88を例示したが、本発明は、ヒンジ部を備えてフレキシブルプリント基板を通過させる機構を備えるPDA、ディジタルカメラ、無線機、ラジオ受信機、TV受像機等の各種の電子装置に利用できるものであり、実施形態の装置に限定されるものではない。配線部材としてフレキシブルプリント基板を例示したが、フレキシブルプリント基板以外のワイヤ等を用いてもよい。
(2) 上記実施形態では、突部70(第1の実施形態)、リブ80(第2の実施形態)、凹部84(第3の実施形態)について説明したが、ヒンジ部とフレキシブルプリント基板との接触面積を狭小にするには、凹部84の態様として、ヒンジ部46に複数の透孔を形成してもよい。同様に、アンテナ特性の劣化を防ぐことができる。
(3) 第2の実施形態について、湾曲したヒンジ部46の周面方向と直交方向に形成されたリブ80を例示したが、ヒンジ部46の周面方向と同方向、傾斜方向等いずれの形態でもよく、また、リブ80の連続した形態でもよく、又は不連続でもよい。
(4) ヒンジ部とフレキシブルプリント基板との接触面積を狭小にするため、第1の実施形態では突部70(図8〜図11)、第2の実施形態ではリブ80(図13〜図15)、第3の実施形態では凹部84(図17)を例示したが、例えば、携帯電話機のヒンジ部に関し、これらの実施形態の2以上を組み合わせて用いてもよく、同様に、フレキシブルプリント基板とヒンジ部との容量結合を防止でき、良好なアンテナ特性を維持することができる。
(5) 実施形態では、ヒンジ部とフレキシブルプリント基板との接触部の接触面積を減少させるため、ヒンジ部46側に一体に複数の突部又は凹部を形成した構成について示したが、斯かる突部又は凹部はフレキシブルプリント基板側に形成し、その突部とヒンジ部とを接触させる構成、両者の接触に凹部を介在させる構成とし、両者の接触面積を縮小化するようにしてもよい。
次に、以上述べた本発明の電子装置及び携帯端末装置の各実施形態から抽出される技術的思想を請求項の記載形式に準じて付記として列挙する。本発明に係る技術的思想は上位概念から下位概念まで、様々なレベルやバリエーションにより把握できるものであり、以下の付記に本発明が限定されるものではない。
(付記1) 複数の筐体部を連結するとともに、前記筐体部間に跨がって設置される配線部材を通過させるヒンジ部を備える電子装置であって、
前記配線部材と前記ヒンジ部の接触部に前記配線部材又は前記ヒンジ部と一体に形成された突部を備え、前記配線部材と前記ヒンジ部とを前記突部により接触させる構成としたことを特徴とする電子装置。
(付記2) 複数の筐体部を連結するとともに、前記筐体部間に跨がって設置される配線部材を通過させるヒンジ部を備える電子装置であって、
前記配線部材と前記ヒンジ部の接触部に前記配線部材又は前記ヒンジ部と一体に形成された凹部を備え、前記配線部材と前記ヒンジ部との接触に前記凹部を介在させる構成としたことを特徴とする電子装置。
(付記3) 前記突部は線状のリブで構成し、前記配線部材とを線接触させたことを特徴とする付記1記載の電子装置。
(付記4) 複数の筐体部を連結するとともに、前記筐体部間に跨がって設置される配線部材を通過させるヒンジ部を備える携帯端末装置であって、
前記配線部材と前記ヒンジ部の接触部に前記配線部材又は前記ヒンジ部と一体に形成された突部を備え、前記配線部材と前記ヒンジ部とを前記突部により接触させる構成としたことを特徴とする携帯端末装置。
(付記5) 複数の筐体部を連結するとともに、前記筐体部間に跨がって設置される配線部材を通過させるヒンジ部を備える携帯端末装置であって、
前記配線部材と前記ヒンジ部の接触部に前記配線部材又は前記ヒンジ部と一体に形成された凹部を備え、前記配線部材と前記ヒンジ部との接触に前記凹部を介在させる構成としたことを特徴とする携帯端末装置。
(付記6) 前記ヒンジ部は、金属であることを特徴とする付記1又は2記載の電子装置。
(付記7) 前記配線部材はフレキシブルプリント基板であることを特徴とする付記1又は2記載の電子装置。
(付記8) 前記突部は、前記ヒンジ部と一体成形されてなることを特徴とする付記1記載の電子装置。
(付記9) 前記凹部は、前記ヒンジ部と一体成形されてなることを特徴とする付記2記載の電子装置。
(付記10) 前記突部は線状のリブで構成し、前記配線部材とを線接触させたことを特徴とする付記4記載の携帯端末装置。
(付記11) 前記配線部材はフレキシブルプリント基板であることを特徴とする付記4又は5記載の携帯端末装置。
以上説明したように、本発明の最も好ましい実施形態等について説明したが、本発明は、上記記載に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載され、又は明細書に開示された発明の要旨に基づき、当業者において様々な変形や変更が可能であることは勿論であり、斯かる変形や変更が、本発明の範囲に含まれることは言うまでもない。
本発明は、配線部材を通過させるヒンジ部と配線部材との接触によるアンテナ特性が劣化するとの知見に基づき、配線部材とヒンジ部の接触部に配線部材又はヒンジ部と一体に突部又は凹部を形成し、この突部により又は凹部の介在により配線部材とヒンジ部とを接触させる構成であるから、その接触面積を縮小化して両者間の容量結合を抑制し、良好なアンテナ特性を実現し、電力損失の低減とともに、通信距離の増大等に寄与し、有用である。
従来の携帯電話機の概要を示す図である。 従来の携帯電話機を示す断面図である。 携帯電話機のヒンジ部分を拡大して示した断面図である。 ヒンジ部及びその近傍を拡大して示した図である。 ヒンジ部及びその近傍を拡大して示した図である。 ヒンジ部とフレキシブルプリント基板との間隔変化の電圧定在波比への影響を示す図である。 ヒンジ部とフレキシブルプリント基板との間隔維持を示す図である。 第1の実施形態に係る携帯電話機のヒンジ部分の拡大断面を示す図である。 フロントケースのヒンジ部分を示す斜視図である。 フロントケースのヒンジ部及びフレキシブルプリント基板を示す斜視図である。 フロントケースのヒンジ部とフレキシブルプリント基板との接触関係を示す図である。 第1の実施形態に係る携帯電話機のアンテナ特性を示す図である。 第2の実施形態に係る携帯電話機のフロントケースのヒンジ部分を示す斜視図である。 フロントケースのヒンジ部及びフレキシブルプリント基板を示す斜視図である。 フロントケースのヒンジ部とフレキシブルプリント基板との接触関係を示す図である。 第2の実施形態に係る携帯電話機のアンテナ特性を示す図である。 第3の実施形態に係る携帯電話機のフロントケースのヒンジ部とフレキシブルプリント基板との接触関係を示す図である。 第4の実施形態に係る携帯型パーソナルコンピュータを示す斜視図である。
符号の説明
40 携帯電話機
42、44 筐体部
46 ヒンジ部
64 フレキシブルプリント基板(配線部材)
68 接触部
70 突部
80 リブ
84 凹部
88 携帯型パーソナルコンピュータ

Claims (5)

  1. 複数の筐体部を連結するとともに、前記筐体部間に跨がって設置される配線部材を通過させるヒンジ部を備える電子装置であって、
    前記複数の筐体部の何れかにアンテナを設け、該アンテナが金属部分を含む前記ヒンジ部と隣接して設置され、前記ヒンジ部と容量結合を生じる前記配線部材と前記ヒンジ部の接触部に前記配線部材又は前記ヒンジ部と一体に形成された突部を備え、前記配線部材と前記ヒンジ部とを前記突部により接触させる構成としたことを特徴とする電子装置。
  2. 複数の筐体部を連結するとともに、前記筐体部間に跨がって設置される配線部材を通過させるヒンジ部を備える電子装置であって、
    前記複数の筐体部の何れかにアンテナを設け、該アンテナが金属部分を含む前記ヒンジ部と隣接して設置され、前記ヒンジ部と容量結合を生じる前記配線部材と前記ヒンジ部の接触部に前記配線部材又は前記ヒンジ部と一体に形成された凹部を備え、前記配線部材と前記ヒンジ部との接触に前記凹部を介在させる構成としたことを特徴とする電子装置。
  3. 前記突部は線状のリブで構成し、前記配線部材とを線接触させたことを特徴とする請求項1記載の電子装置。
  4. 複数の筐体部を連結するとともに、前記筐体部間に跨がって設置される配線部材を通過させるヒンジ部を備える携帯端末装置であって、
    前記複数の筐体部の何れかにアンテナを設け、該アンテナが金属部分を含む前記ヒンジ部と隣接して設置され、前記ヒンジ部と容量結合を生じる前記配線部材と前記ヒンジ部の接触部に前記配線部材又は前記ヒンジ部と一体に形成された突部を備え、前記配線部材と前記ヒンジ部とを前記突部により接触させる構成としたことを特徴とする携帯端末装置。
  5. 複数の筐体部を連結するとともに、前記筐体部間に跨がって設置される配線部材を通過させるヒンジ部を備える携帯端末装置であって、
    前記複数の筐体部の何れかにアンテナを設け、該アンテナが金属部分を含む前記ヒンジ部と隣接して設置され、前記ヒンジ部と容量結合を生じる前記配線部材と前記ヒンジ部の接触部に前記配線部材又は前記ヒンジ部と一体に形成された凹部を備え、前記配線部材と前記ヒンジ部との接触に前記凹部を介在させる構成としたことを特徴とする携帯端末装置。
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