JP4469084B2 - プロテインチロシンホスファターゼの細胞内ドメインに対する抗体 - Google Patents

プロテインチロシンホスファターゼの細胞内ドメインに対する抗体 Download PDF

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Description

〔技術分野〕
本発明は、2種以上のプロテインチロシンホスファターゼ(Protein Tyrosine Phosphatase、以下、PTPと称する)の中の細胞内ドメインに対して特異性を有する抗体およびその調製方法に関する。さらに詳細には、PTP(例えば、LAR(白血球共通抗原類似分子)およびCD45)における細胞内ドメインに対して特異的であって、PTPの解析および定量、新規PTPの同定、検出および単離精製、ならびにインスリン抵抗性に関わる症状の治療、予防、緩和等のための処置や診断に適用可能な医薬の開発などに有用な抗体に関する。
〔背景技術〕
近年、動脈硬化発症メカニズムが徐々に明らかにされ、その危険因子が同定されつつある。特に高コレステロール血症、高血圧症、糖尿病および喫煙が動脈硬化の4大危険因子と認定され、その治療が積極的に行われている。これらの病態として臨床的に共通しているのが、インスリン抵抗性である。インスリン抵抗性とは細胞におけるインスリン感受性の低下とほぼ同義語であり、細胞での糖の取り込みにおけるインスリン作用が低下していることを指す。その原因としてはインスリン分泌自体の異常、標的細胞におけるインスリン受容体の異常、細胞内情報伝達系の異常および血行力学的に末梢循環障害に基づく糖の組織への供給減等がある。Reavenは1988年、このインスリン抵抗性を基盤として多くの病態が引き起こされることを報告し、また、インスリン抵抗性、耐糖能異常、高インスリン血症、高トリグリセライド血症、低HDLコレステロール血症、高血圧をマルチプルに持つ病態をシンドロームXと名付け、動脈硬化発症に深く関わっていることを提唱した(Reaven,G.M.et al.;Diabetes,37,1595−1607,1988)。
また、一般的に、インスリン抵抗性により細胞への糖の供給は低下し、膵臓におけるインスリン分泌を亢進させ、高インスリン血症を引き起こすことが知られており、臨床の場においてもインスリン抵抗性の問題が種々浮上している。例えば、インスリン抵抗性・高インスリン血症が糖尿病性腎症を促進し(Niskanen,L.et al.;Diabetes,41,736−741,1993)、糖尿病性網膜症の頻度が高くなる(Yip,J.et al.;Lancot,341,369−370,1993)という報告がある。さらに、インスリン抵抗性によってプラスミノーゲン活性化因子阻害剤1(PAI−1)の活性が上昇し、血液線溶系機能を低下させたり(Potter van Loon BJ et al.;Metab.Clin.Exp.,42,945−954,1993)、粥状動脈硬化の引き金になる(Sato,Y.et al.;Diabetes,38,91−96,1989)という文献等も報告されている。
糖尿病は有病率が全人口の5%を占め、日本人の約600万人が罹患している。糖尿病にはインスリン依存性糖尿病(IDDM)とインスリン非依存性糖尿病(NIDDM)がある。IDDMは糖尿病全体に対して約7%、NIDDMは約90%といわれ、特に、糖尿病の大多数を占めるNIDDMの発症は、インスリン抵抗性が重要な成因と考えられている。
現在までに、インスリンのシグナル伝達には細胞内蛋白質のチロシンリン酸化が重要な役割を演じていることが明らかとされている。インスリンレセプターは分子量約135kDaのαサブユニットと95kDaのβサブユニットの2つの糖タンパクサブユニットがジスルフィド結合によりヘテロテトラマーを形成し、α2β2構造をとる。αサブユニットはインスリン結合活性を有し、βサブユニットは自己リン酸化により活性化するプロテインチロシンキナーゼ(Protein Tyrosine Kinase:PTK)ドメインを有する。すなわち、インスリンがインスリンレセプターのα鎖に結合すると、インスリンレセプターβ鎖に存在するいくつかの特定のチロシン残基がレセプターのチロシンキナーゼ活性により自己リン酸化される。インスリンレセプターチロシンキナーゼは自己チロシンリン酸化によってそのチロシンキナーゼ活性がさらに上昇する。このようにして活性化されたインスリンレセプターチロシンキナーゼは、細胞内に存在するその基質であるIRS(insulin receptor substrate)をチロシンリン酸化し、このチロシンリン酸化IRS−1をAsh/Grb2やPI−3キナーゼが認識して結合することによりシグナルが伝達され、最終的にグルコースの取り込み、糖代謝や細胞増殖といったインスリンによる生物活性が発現することが明らかとされている(第9図参照、Goldstein,B.j.et al.;Receptor,3,1−15,1993,Kanai,F.et al.;Biochemical and Biophysical Research Communications,195(2),762−768,1993)。しかし、このインスリンのシグナル伝達において、活性化されたインスリンレセプターを不活化する酵素、すなわちチロシン脱リン酸化酵素であるPTPの研究はほとんど進展していない。
また、やはりチロシンリン酸化により巧みに制御されている、リンパ球の活性化、増殖、分化、細胞死など免疫系の基礎となる機構もその例外でない。これまでPTKからみたリンパ球のシグナル伝達の研究が主流であったが、最近PTPからの解析も進み、両面から検討することの重要性が明らかとなってきた。
PTPに関する研究が本格的に始まったのは、1988年にFischerのグループによりヒト胎盤由来細胞質型のPTPであるPTP1Bの遺伝子がクローニングされ、そのヌクレオチド配列が解明されてからである(Tonks,N.K.et al.;J.Biol.Chem.,263,6722−6730,1988,Charbonncau,H.et al.;Proc.Natl.Acad.Sci.USA,85,7182−7186,1988)。その結果、PTP1Bと相同性を示したのは既知のセリン/スレオニンホスファターゼではなく、造血系の膜貫通分子であるCD45の細胞質内領域の2カ所であった。さらに、CD45がPTP活性を有していることも明らかにされた(Tonks,N.K.et al.;Biochemistry,27,8695−8701,1988,Charbonneau,H.et al.;Proc.Natl.Acad.Sci.USA,85,7182−7186,1988)。
ヒトではPTP遺伝子は500個に及ぶと推定されており、現在までに80種以上のPTPがcDNA配列の相同性に基づいてクローニングされ、今なお次々と新しいPTPが報告されている(Streuli,M.et al.;J.Exp.Med.,168,1523−1530,1988,Krueger,N.X.et al.;FMBO J.,9,3241−3252,1990,Trowbridge,I.S.et al.;Biochim.Biophys.Acta,1095,46−56,1991)。このように、スーパーファミリーを形成しているPTPは大きく3つのファミリーに分類される。すなわち、PTP.DS−PTP(dual−specificity−PTP:二重特異性PTP)およびLMW−PTP(low molecular weight−PTP:低分子量PTP)の3群である。それぞれのファミリー間の1次構造の相同性はそれほど高くなく、特にPTPとLMW−PTPとは酵素活性中心以外は相同性は示さないが、クリスタログラフィーによる研究より、これらのファミリーに属する分子の3次構造は驚くほどの共通性を示すことが明らかにされた(Fauman,E.B.et al.;Trends Biochem.Sci.,21,413−417,1996)。更に、PTPは、(1)細胞膜貫通部分を持つ受容体型(あるいは膜型)PTP(LCA(白血球共通抗原(Leuko−cyte Common Antigen))すなわちCD45、LARならびにPTPα、β、γ、δ、ε、σ、μ、κ、η、ζ等)と、(2)細胞膜貫通部分を持たない細胞質型PTP(PTP1B、TC−PTP、PTP−MEG、PTPH1、STEP、PTP1C、FAP1、SHP1、SHP2、PEP、PTP−PEST等)とに大別される。
受容体型PTPの多くは、細胞内に2つのPTP相同部分(ドメイン1およびドメイン2、第1図(a)および(b)参照)を持っている。現在までに報告されている全てのPTPには、Ile/Val−His−Cys−Xaa−Ala−Gly−Xaa−Xaa−Arg−Ser/Thr−Gly(配列番号:2)というシステインを含む配列(signatu−re motif)がホスファターゼドメイン内に保存されている。PTP1Bのクリスタログラフィーによる研究から、この部位はPTP分子表面の小さな窪みを形成しており、システインは窪みの底に位置しリン酸との結合に直接関与していることが明らかにされた(Barford,D.et al.;Science,263,1397−1404,1994)。また、PTP1Bの酵素活性の中心の窪みにはセリンやスレオニンに結合しているリン酸は到達できないことから、窪みの深さがPTPとセリン/スレオニンホスファターゼの特異性を決定していることも示された。さらに、前記signature motifの酵素活性発現における重要性は、変異実験から明らかにされている(Streuli,M.et al,;EMBO J.,9,2399−2407,1990)。これらのことから、ドメイン1の保存されたCysが酵素活性発現に重要であり、またドメイン2は酵素の基質特異性を決めていると考えられている。
受容体型PTPは細胞内に2個または1個の酵素領域をもち、細胞外ドメインの特徴により、いくつかのグループに分けられる。細胞外にフィブロネクチンタイプIII型ドメインを1個有し、高度に糖鎖修飾されたCD45、Ig様ドメインとフィブロネクチンタイプIII型ドメインを有するLAR、PTPδ、PTPσ、N末端にMAM(meprin、A5抗原、PTPμ)ドメインを有するPTPμ、PTPκ、N末端に炭酸脱水酵素ドメインを有するPTPγ、PTPζ、細胞外ドメインの短いPTPα、PTPεがあり、以上のPTPはいずれも2個の酵素領域を持つ。一方、酵素領域が1個のものはいずれも細胞外ドメインがフィブロネクチンタイプIII型ドメインのみで構成され、PTPβ、CD148(PTPη、DEP−1等)がある。
細胞質型PTPは原則として酵素領域を1個有し、非酵素領域の特徴によりいくつかのグループに分けられている。SH2領城、PEST領域、band4.1領域を有するものがある。DS−PTPはチロシンのみならず、セリンあるいはスレオニン残基を脱リン酸化する酵素で、Cdc25、MAPキナーゼホスファターゼ、VH−1等がある。LMW−PTPは酵素領域のみから構成されており、分子量は約18kDaと報告されている。
PTP酵素群のうち、ヒト由来のLARは、受容体型PTPであるCD45のホスファターゼドメインをプローブとしてヒト胎盤ゲノムライブラリーによりクローニングされた、受容体型PTPである(Streuli M.et al.;J.Exp.Med.,168,1553−1562,1988)。CD45が血球系の細胞に特異的に発現しているのに対して、LARは血球系以外の細胞、特に肝臓や骨格筋などのインスリン感受性組織に発現している(Coldstein B.J.;Receptor,3,1−15,1993)。多くの受容体型PTPの中でLARはその細胞外ドメインが細胞接着分子と類似しているため、特に興味深い。その全構造は、Ig様ドメインとフィブロネクチンIII型ドメインよりなる150kDaの細胞外ドメインE−サブユニットと、膜貫通領域を持ち2つのホスファターゼドメインよりなる85kDaの細胞内ドメインであるP−サブユニット(ホスファターゼサブユニット、配列番号:1に示される)が細胞膜のすぐ外側で非共有結合していることが明らかとなっている(第1図参照)(Streuli M.et al.;EMBO J.,11,897−907,1992)。また、LARはPTPδやPTPσとともにサブファミリーを構成し、接着斑(インテグリンによる細胞外基質との接合部の周辺部分やadherens junction(カドヘリンによる細胞同士の接着部位)に存在する(Serra−Pages,C.et.al.;EMBO J.,14,2827−2838,1995、Pulido,R.et al.;Proc.Natl.Acad.Sci.USA,92,11686−11690,1995、Kypta,R.M.et al.;J.Cell Biol.,134,1519−1530,1996、Aicher,B.et al,;J.Cell Biol.,138,681−696,1997)。
現在までにLARの機能的な役割が数多く報告されている。例えば、LARが欠損した神経細胞ではニューロトロフィンへの反応性が減少すること(Yang,T.et al.;27th Annual Meeting of the Society for Neuroscience,New Orleans,Louisiana,USA,October 25−30,1997,Society for Neuroscience Abstracts,23,1−2,1997)、ショウジョウバエのLARホモログは、主に神経系で発現し、その欠損は運動神経の軸索が神経束から分離するタイミングを遅らせること(Krueger,N.X.et al.;Cell,84,611−622,1996)、LAR酵素ドメインの遺伝子破壊では乳腺発育の不良が認められること(Schaapveld,R.Q.et al.;Dev.Biol.,188,134−146,1997)、LAR活性の抑制によりアポリポプロテインBの分泌が減少すること(Phung,T.L.et al.;Biochemical and Biophysical Research Communications,237(2),367−371,1997)、また、LARの発現が欠損することにより前脳基底部のコリン作動性神経細胞のサイズが小さくなり、海馬歯状回でのコリン作動性神経支配が減少する(Yeo,T.T.et al.;J.Neurosci.Res.,47(3),348−360,1997)ことが報告されている。このように、LARは生体内で様々な役割を担っていることが徐々に明らかになってきているが、現在最も注目が集められている研究として、LARとインスリン受容体との関係がある(Hashimoto,N.et al.;J.Biol.Chem.,267(20),13811−13814,1992)。
1995年、肥満者の脂肪組織においてLARのチロシンホスファターゼ活性が異常に上昇しており、これがインスリン抵抗性の発症原因として、また、心臓血管疾患の危険因子として考えられ、注目されるべきであるとの発表が行われた(Ahmad,F.et al.;J.Clin.Invest.,95(6),2806−2812,1995)。以後、LARがインスリン受容体と密接に関与しているという報告が次々になされている(Mooney,R.A.et al.;Biochemical and Biophysical Research Communications,235(3),709−712,1997,Orr,S.R.et al;Biochemical Society Transactions,25(3),452S,1997,Ahmad,F.et al.;J.Clin.Investigation,100(2),449−458,1997,Ahmad,F.et al.;J.Biol.Chem.,272(1),448−457,1997,Norris,K.et al.;Febs Letters,415(3),243−248,1997,Li,P.M.et al.;Cellular Signalling,8(7),467−473,1996)。そして、これらの情報に基づき、最近Ahmad,F.らのグループはLARおよびPTP1Bがインスリン抵抗性の治療ターゲットとなり得るかもしれないと報告している(Ahmad,F.et al.;Metabolism,Clinical and Experimental,46(10),1140−1145,1997)。
次に、PTPのうちCD45は、白血球共通抗原(LCA)とも呼ばれ、成熟赤血球や血小板を除くすべての血液細胞(白血球)およびその前駆細胞において発現される細胞表面抗原である。CD45は分子量180〜220kDaの受容体型PTPであり、細胞内に2つの酵素領域を持ち、細胞外領域のN末端に近い3〜4個のエクソンのオルターナティブスプライシングにより、8〜9種類のアイソフォームが存在する(Saga,Y.et al.;Proc.Natl,Acad.Sci.USA,84,5364−5368,1987,Thmas,M.L.et al.;Proc.Natl.Acad.Sci.USA,84,5360−5363,1987,Trowbridge,I.S.et al.;Annu.Rev.Immunol.,12,85−116,1994)。スプライシングを受けるこれらのエクソンでコードされるアミノ酸配列は、セリン、スレオニンおよびプロリンに富み、αヘリックスやβ構造によるまとまった立体構造はとりにくく、また、O−グリコシレーションを受ける部位を多数含んでいる(Barclay,A.N.et al.;EMBO J.,6,1259−1267,1987)。従って、アイソフォームの変化により、細胞外領域の構造が大きく変わり得るという特徴をもっている。また、CD45の発現はリンパ球で高く、細胞種や細胞の活性化状態によって固有のアイソマーが可逆的に発現される(Thomas,M.L.et al.;Annu.Rev.Immunol.,7,339−369,1989,Charbonneau,H.et al.;Annu.Rev.Cell.Biol.,8,402−493,1992,Trowbridge,I.S.et al.;Annu.Rev.Immunol.,12,85−116,1994)。また、オルターナティブな構造と膜貫通部位に挟まれた領域の配列はシステインを多く含み、ジスルフィド結合によって安定化された構造を形成している(Thomas,M.L.et al.;Cell,41,83−93,1985,Trowbridge,I.S.et al.;J.Biol.Chem.,266,23517−23520,1991,Trowbridge,I.S.et al.;Biochim.Biophys.Acta,1095,46−56,1991)。
CD45の発現が消失したT細胞変異株では、その細胞が本来有していた抗原特異的応答能が顕著に低下することが知られており、T細胞レセプター(TCR)を介したT細胞の活性化と機能発現にCD45が極めて重要であることが示唆されている(Charbonneau,H.et al.;Annu.Rev.Immunol.,7,339−369,1989,Pingel,J.T.et al.;Cell,58,1055−1065,1989,Trowbridge,I.et al.;Annu.Rev.Immunol.,12,85−116,1994,Koretzky,G.A.et al.;Nature,346,66−68,1990,Koretzky,G.A.et al.;Proc.Natl.Acad.Sci.USA,88,2037−2041,1991,Weaver,C.T.et al.;Mol.Cell Biol.,11,4415−4422,1991)。また、TCR/CD3複合体を介したT細胞のシグナル伝達機構において、CD45はコ・レセプターであるCD4、CD8の細胞内ドメインに結合しているSrcファミリーのチロシンキナーゼ(PTK)であるLck(p56lckやFyn(p56fynT)の活性化に関与していることも示唆されている(Trowbridge,I.S.et al.;Annu.Rev.Immunol.,12,85−116,1994,Penninger,J.M.et al.;Immunol.Rev.,135,183−214,1993)。CD45はLckやFynのC末端に位置する負の調節部位のチロシン残基を脱リン酸化し、その結果、LckやFynが自己リン酸化して活性型となり、シグナルが伝達されると考えられている(Penninger,J.M.et al.;Immuno.Rev.,135,183−214,1993,Ledbetter,J.A.et al.;Curr.Opin.Immunol.,5,334−340,1993,Janeway,C.A.Jr.;Annu.Rev.Immunol.,10,645−674,1992,Cahir,McFarland,E.D..et al.;Proc.Natl.Acad.Sci.USA,90,1402−1406,1993,Hurley,T.R.et al.;Mol.Cell Biol.,13,1651−1656,1993,Sieb,M.et al.;EMBO J.,12,315−321,1993,Weiss,A.et al.;Cell,76,263−274,1994,Chan,A.C.et al.;Annu.Rev.Immunol.,12,555−592,1994)。インスリン反応性ミエローマ細胞のうち、CD45欠損株を用いた実験により、CD45発現株と比較して、インスリン刺激によるインスリン受容体の自己リン酸化、IRS−1のチロシンリン酸化、PI3キナーゼの活性化およびMAPキナーゼの活性化がすべて3倍に増強したという報告(Kulas,D.T.et al.;J.Biol,Chem.,271,755−760,1996)より、CD45はLARと同様インスリンの負の調節因子であると考えられる。さらに、CD45欠損細胞の反応性は、CD45の細胞内領域だけをもつ分子の発現により回復することが次の実験から明らかにされている。すなわち、CD45の細胞内領域だけを細菌、またはバキュウロウィルスの系で発現させてもチロシンホスファターゼの酵素活性が充分に観察されること(Ostergaard,H.L.et al.;Proc.Natl.Acad.Sci.USA,86,8959−8963,1989,Streuli,M.et al.;Proc.Natl.Acad.Sci.USA,86,8698−8702,1989)、また、CD45陰性T細胞クローンにCD45の細胞内領域をトランスフェクトするだけで抗原レセプターを介するシグナルが回復すること(Volarevic,S.et al.;Science,260,541−544,1993,Hovis,R.R.et al.;Science,260,544−546,1993,Desai,D.M.et al.;Cell,73,541−554,1993)などである。
一方、B細胞においても、初期シグナルの伝達のみならず、最終的な増殖、またはアポトーシスに至る過程も、CD45の発現によって調節されていることが、CD45を発現していない形質細胞種(Justement,L,B.et al.;Science,252,1839−1842,1991)、または未熟B細胞株から樹立したCD45陰性クローンを用いた実験(Ogimoto,M.et al.;Int.Immunol.,6,647−654,1994)から示された。これらの結果は、CD45が抗原レセプターを介するシグナル伝達に不可欠な役割を担っている分子であることを示唆している。
現在までのLARおよびCD45等のPTPに関する研究より、細胞内情報伝達系においてPTPがPTKと共役して極めて重要な役割を担っていることが明らかにされつつある。
1992年にStreuliらのグループによって、LARのE−サブユニットとP−サブユニットの結合が非共有結合のため解離し、E−サブユニットが細胞膜表面から外れることが明らかにされた(Streuli,M.et al.;EMBO J.,11,3,897−907,1992)。しかしながら、多くの研究者は、LARの細胞外ドメインであるE−サブユニットに対するポリクローナル抗体もしくはモノクローナル抗体を使用して様々な研究を行ってきたため、単独でもホスファターゼ活性を有するP−サブユニットは全く無視されていた。例えば、LARのホスファターゼ活性測定を意図したLAR抗体の使用において、P−サブユニットに対する抗体を用いなければ全体としてのホスファターゼ活性が測定できない。また、LARファミリーの細胞外ドメインにはmRNAのスプライシングの違いでいくつかのアイソフォームが存在しており(Krueger,N.X.et al.;Cell,84,611−622,1996、Mizuno,K.et al.;Mol.Cell Biol.,13,5513−5523,1993、Ogata,M.et al.;J.Immunol.,153,4478−4487,1994)、細胞外ドメインに対する抗体を用いると、各々のアイソフォームに対し、特異性が異なってしまう。本発明者らは、これらの状況に鑑み、PTPの細胞内ドメインに対する抗体の作製に着手した。
また、従来CD45抗体については、T200またはB220などの異なる分子量を有するCD45アイソフォームのいずれにも反応性を示す抗体と、特定の限定されたアイソフォームにのみ反応性を示す抗体を区別し、後者をCD45R(restricted)抗体として記述することが行われてきた(McMichael,A.J.;In Leucocyte Typing III.Oxford University Press,Oxford,1987)。しかし、CD45の細胞外ドメインの構造の多様性が明らかにされるに伴い、CD45R抗体の特異性を分類する必要が生じている。StreuliらはcDNAのトランスフェクタントを用いる方法によって、既に知られているヒトCD45抗体の分類を行い、オルターナティブエキソン4、5、6に依存する構造を認識する抗体をそれぞれCD45RA、CD45RB、CD45RCと記述することを提唱した(Streuli,M.et al.;J.Immunol.,141,3910−3914,1988)。同様の方法でJohnsonらもマウスのCD45抗体の分類を報告した(Johnson,P.et al.;J.Exp.Med.,169,1179−1184,1989)。
なお、既知のPTPに対する抗体としては、CD45の膜貫通(TM)領域からホスファターゼドメイン1の一部に至る196アミノ酸残基のペプチドを抗原として調製された抗体(Transduction Laboratories社製)およびPTPαのホスファターゼドメイン1(260アミノ酸残基)に対する抗体(Transduction Laboratories社製)が知られている。しかしながら、これらの抗体がLARや、その他PTPのホスファターゼドメインに対して如何なる免疫特異性を有するか否かは不明である。
〔発明の開示〕
本発明は、2種以上のPTPの細胞内ドメインに対して特異性を有する抗体、特に少なくとも1種以上の受容体型PTPの細胞内ドメインに対して特異性を有する抗体を提供することを目的とする。特に、本発明の抗体は、LARおよび/またはCD45、好ましくはLAR及びCD45の双方の細胞内ドメインに対して特異性を有する抗体を提供するものである。かかる抗体は、特にPTPのホスファターゼドメインに対して特異性を有するものが好ましい。
前記抗体は、配列番号:1で示される塩基配列によってコードされる、LARのP−サブユニットに相当するポリペプチドまたはその断片を抗原として調製されるものが好ましく、また免疫特異性の点からモノクローナル抗体であるとよい。
そして、係る抗体は、プロテインチロシンホスファターゼドメインとその他のタンパク質またはポリペプチドとを含む融合タンパク質を免疫原として用いることによって調製することができる。係る融合タンパク質を構成するプロテインチロシンホスファターゼドメインとしてはLARホスファターゼドメインが好ましく、その他のタンパク質またはポリペプチドとして、特にGST(グルタチオン−S−トランスフェラーゼ)が好適であるが、他にも、ポリヒスチジン(好ましくは6個のヒスチジン)、カルモジュリン結合ペプチド(CBP)、プロテインA等を用いてもよい。
尚、ポリヒスチジンを用いた場合、遺伝子組換え法にて発現させた融合タンパク質を単離精製するためには、ニッケルキレーティング樹脂への吸着を利用することができ、pH変動の他、EDTAまたはイミダゾール物質を添加することによって当該樹脂から解離することができる。CBPを用いた場合、発現させた融合タンパク質はカルモジュリンアフィニティー樹脂を用いてアフィニティークロマトグラフィーを行い、その後EGTAを加えることにより当該樹脂から解離することができる。また、プロテインAを用いた場合、発現させた融合タンパク質はIgGセファロース(例えば、IgGセファロース6FF)カラムを使用したアフィニティークロマトグラフィーを行い、その後pH変動によって当該樹脂から解離することができる。
さらに前記融合タンパク質を構成するタンパク質またはポリペプチド断片の別の例として、Xpress、Thioredoxin、cmyc、V5およびHA/cmyc等を挙げることができ、これらをエピトープとして認識することができる抗体を用いて、目的とするLARホスファターゼドメインとの融合タンパク質を発現した後に抗原−抗体アフィニティーカラムにより単離・精製することができる。
前記した、好ましい免疫原であるGSTとLARホスファターゼドメインとを含む融合タンパク質は、GSTをコードする遺伝子領域およびLARのホスファターゼドメインをコードする遺伝子領域を含む発現ベクターを形質転換またはトランスフェクトした大腸菌を、20〜30℃にて16〜24時間、特に好ましくは、23〜25℃にて18時間培養し、その培養液および/または菌体から融合タンパク質を単離することによって好適に製造することができる。さらにこうして得られた融合タンパク質は、グルタチオンを有する担体、例えば、グルタチオンセファロースビーズへのアフィニティーによって精製されたものであるとよく、当該グルタチオンセファロースビーズからの融合タンパク質の溶出は、界面活性剤の存在下に煮沸することによって実施すればよい。この界面活性剤としては、ドデシル硫酸ナトリウム、CHAPS(硫酸−3−[(3−コールアミドプロピル)ジメチルアンモニオ]−1−プロパン)、デオキシコール酸、ジギトニン、n−ドデシルマルトシド(1−O−n−ドデシル−β−D−グルコピラノシル(1−4)α−D−グルコピラノシド)、ノニデット(商品名)P40(エチルフェノールポリ(エチレングリコールエーテル)n)、n−オクチルグルコシド(1−O−n−オクチル−β−D−グルコピラノシド)、モノラウリル酸シュクロース、テシット(商品名、ドデシルポリ(エリレングリコールエーテル)n)、トリトン(商品名)X−100(オクチルフェノールポリ(エチレン−グリコールエーテル)n)、ツィーン(商品名)20(ポリ(オキシエチレン)n−ソルビタン−モノラウレートレート)、N−ドデシル−N,N−ジメチル−3−アンモニオ−1−プロパンスルフォネート[以上、いずれもnは1以上の整数を表す]等が挙げられる。融合タンパク質を溶出させる場合に、これらの界面活性剤を動物に投与しても問題にならない濃度、好ましくは、0.1%のドデシル硫酸ナトリウムの存在下、100℃にて5〜10分間煮沸する。こうして、目的の免疫原として好ましい精製された融合タンパク質を得ることができる。
このような融合タンパク質を免疫原として用いてモノクローナル抗体を取得する場合、抗体のスクリーニングにはプロテインチロシンホスファターゼドメイン、好ましくはLARホスファターゼドメインを用いてもよいが、免疫原として用いた融合タンパク質でスクリーニングを実施することが選択性の点で好ましい。
本発明のモノクローナル抗体として、マウス/マウスのハイブリドーマにより産生される、LARおよびCD45のホスファターゼサブユニットの細胞内ドメインに対して特異性を有するモノクローナル抗体が挙げられる。この抗体として、例えば、SDS−PAGE上の見かけの分子量が約146kDaであるモノクローナル抗体がある。かかる抗体は、インスリンのシグナル伝達機構のさらなる解明のためのツールとして、またインスリン抵抗性およびNIDDMに有用な診断方法を開発し、さらにインスリン抵抗性を基盤とするシンドロームXの種々の病態の予防、治療、診断等に応用できる。
本発明によってさらに、前記モノクローナル抗体を生産するハイブリドーマ細胞系が提供される。このハイブリドーマ細胞系として、本発明者によって1998年5月7日に日本国茨城県つくば市東1丁目1番3号に所在の工業技術院生命工学工業技術研究所に寄託された、受託番号がFERM BP−6344であるマウス/マウスハイブリドーマ細胞系YU2が挙げられる。
本発明の抗体は、天然産物由来または全体もしくは部分合成(化学合成、遺伝子組換えによる合成等)された、PTPタンパク質ならびに少なくともPTPの細胞内ドメインの一部(3アミノ酸残基以上、好ましくは5アミノ酸残基以上)を含む断片およびポリペプチド(以下、この断片およびポリペプチドを総称して「PTP由来分子」と称する)に対して特異的な免疫反応性を有する。
さらに本発明は、2種以上のプロテインチロシンホスファターゼサブユニットに対して特異性を有する抗体の調製方法であって、免疫原として前記したようなプロテインチロシンホスファターゼドメインとその他のタンパク質またはポリペプチド断片とを含む融合タンパク質、好ましくはGST−LARホスファターゼドメイン融合タンパク質を用いることを特徴とする方法を提供するものである。ここで、GST以外に使用可能な、融合タンパク質を構成するタンパク質またはポリペプチド断片、その融合タンパク質の精製方法は、前記したとおりである。
また、好ましい免疫原であるGSTとLARホスファターゼドメインとを含む融合タンパク質は、GSTをコードする遺伝子領域およびLARのホスファターゼドメインをコードする遺伝子領域を含む発現ベクターを形質転換またはトランスフェクトした大腸菌を、20〜30℃にて16〜24時間、特に好ましくは、23〜25℃にて18時間培養し、その培養液および/または菌体から融合タンパク質を単離することによって好適に製造することができる。さらにこうして得られた融合タンパク質は、グルタチオンを有する担体、例えば、グルタチオンセファロースビーズへのアフィニティーによって精製されたものであるとよく、当該グルタチオンセファロースビーズからの融合タンパク質の溶出は、界面活性剤の存在下に煮沸することによって実施すればよいことも前述のとおりであり、融合タンパク質を溶出させる場合に、これらの界面活性剤を動物に投与しても問題にならない濃度、好ましくは、0.1%のドデシル硫酸ナトリウムの存在下、100℃にて5〜10分間煮沸する。こうして、目的の免疫原として好ましい精製された融合タンパク質を得ることができる。
このような融合タンパク質を免疫原として用いてモノクローナル抗体を調製する方法において、抗体のスクリーニングには、プロテインチロシンホスファターゼドメイン、好ましくはLARホスファターゼドメインを用いてもよいが、免疫原として用いた融合タンパク質でスクリーニングを実施することが選択性の点で好ましい。
また、本発明によって、新規PTPを単離するための方法であって、PTPをスクリーニングする工程を含み、当該スクリーニング工程において如上の抗体が使用されることを特徴とする方法が提供される。前記スクリーニングとして、cDNAライブラリーの発現スクリーニングが企図される。
本発明の別の特徴において、PTPおよび/またはPTP由来分子の定量方法が提供される。この方法では、如上の抗体を使用して、被検試料中に含まれるPTPのタンパク質、および/または少なくともPTPの細胞内ドメインの一部を含む断片もしくはポリペプチドの量が測定される。この方法において、前記抗体が、イムノブロッティング、免疫沈降またはELISAのいずれかにおいて使用されることが好ましい。
本発明のさらなる特徴において、如上の抗体を用いて被検試料中に含まれるPTPのタンパク質、および/または少なくともPTPの細胞内ドメインの一部を含む断片もしくはポリペプチドを単離し、単離されたタンパク質、断片またはポリペプチドの活性を測定する工程を含むPTPおよび/またはPTP由来分子の活性を定量するための方法が提供される。この単離工程において、前記抗体を結合させた担体によるアフィニティークロマトグラフィーおよび/または免疫沈降が好適に用いられる。
さらに本発明は、PTPおよび/またはPTP由来分子を生産するための方法であって、如上の抗体を用いてPTPのタンパク質、および/または少なくともPTPの細胞内ドメインの一部を含む断片もしくはポリペプチドを単離する工程を含む方法を提供する。この単離工程において、前記抗体を結合させた担体によるアフィニティークロマトグラフィーおよび/または免疫沈降が好適に用いられる。
また、本発明でさらに企図されるのは、PTPおよび/またはPTP由来分子の組織内における存在を確認するための方法であり、この方法において、如上の抗体を用いて免疫組織学的検査が行われる。免疫組織学的検査には、例えば、標識抗体を用いたin situ免疫組織染色などの技術が採用され、PTPのタンパク質、および/または少なくともPTPの細胞内ドメインの一部を含む断片もしくはポリペプチドの検出を行う。
尚、本発明者らは、LARに対して特異的な免疫反応性を有するモノクローナル抗体が、甲状腺癌細胞を特異的に認識することを確認している。従って、本発明の上記抗体は、甲状腺癌の診断、治療等に有用であると考えられる。
〔発明を実施するための最良の形態〕
[実験例1]LAR変異体によるインスリンレセプターのチロシンリン酸化、ならびにLARとインスリンレセプターとの会合に関する検討
先ず、LARによるインスリンのシグナル伝達制御メカニズムを明らかにするために、LARのPTPドメインの触媒活性中心に存在するシステインをセリンに変換することにより作製した、変異型LARを用いるというストラテジーにより解析を進めた。
a.LAR、およびインスリンレセプターの発現ベクター
LAB発現ベクターとして、(a)LAR WT:ヒト野生型LAR(配列番号:3)、(b)LAR C/S:LAR−PTPドメイン1の活性中心にあるシステイン(配列番号:3のアミノ酸第1522位)を、配列番号:3のヌクレオチド第4983位のGをCに置換することによりセリンへと変換したもの、ならびに(c)LAR DC/S:LAR C/Sにおける変異に加えて、さらにLAR−PTPドメイン2のシステイン(配列番号:3のアミノ酸第1813位)を、配列番号:3のヌクレオチド第5856位のGをCに置換することによりセリンへと変換したものの3種(第1図(b)参照)を、pMT発現ベクターに組み込んだもの(Streuli M.et al.,EMBO J.,11,897−907,1992およびStreuli M.et al.,EMBO J.,9,2399−2407,1990を参照)を用いた。
一方、インスリンレセプターの発現ベクターは、(a)IR WT:野生型、および(b)IR K1018M:野生型のインスリンレセプターのATP結合部位の、第1018位のリジンをメチオニンに変換してチロシンキナーゼ活性を欠失させたインスリンレセプター変異型の2種類のcDNAを、SRαプロモーターの下流に組み込んだもの(Kanai F.et al.,Biochemical Biophysical Research Communication,195,762−768,1993を参照)を用いた。
b.COS−7細胞へのトランスフェクション
COS−7細胞を1.0×10細胞数/8mL/90φディッシュとなるように10%牛胎児血清添加 RPMI 1640培地(日水製薬株式会社)に播種して16時間培養を行った後、LAR C/SとIR WTの発現ベクターをDEAE−デキストラン法を用いてCOS−7細胞にコトランスフェクションした。用いたLAR C/Sは、前記▲1▼(b)に記載のとおりに変異させることにより、In vitroでチロシンホスファターゼ活性が完全に欠失していることが明らかにされている(Streuli M.et al.,EMBO J.,9,2399−2407,1990)ものである。
コトランスフェクションは、以下の手順に従って行った。先ず2%FCSを含有するRPMI 1640培養液(グルタミン0.3gおよびカナマイシン0.1gを含む、RPMI 1640培地(日水製薬株式会社)10.2g/L、10%NaHCOでpH7.4に調整)4mlに、40μlの10mMクロロキンを加えた。この溶液2mlに、LAR発現ベクター5μgおよびIR発現ベクター1μgを加え、残りの溶液2mlには16μlの100mg/ml DEAE−デキストランを加えた。次いで双方の溶液をよく撹拌混合した。こうして調製した発現ベクター溶液3.75mlを、1.0×10細胞数/8ml/ディッシュとなるように播種し、37℃、5%COインキュベーター内で16時間前培養しておいたCOS−7細胞に加えた。前培養と同様の条件で4時間培養した後に10%DMSO溶液で2分間処理し、PBS(137mM NaCl、2.7mM KCl、4.3mM NaHPO・12HO、1.4mM KHPO)で洗浄後、10%FCSを含有するRPMI 1640を8ml加え、37℃、5%COに調整したインキュベーター内で48時間培養した。
c.インスリン刺激と細胞溶解液調製
トランスフェクション終了後のCOS−7細胞を血清無添加RPMI 1640培養液中で16時間培養し、10−7Mインスリン(生化学工業社製)で一定時間、すなわち、0、1、5、15および30分間の刺激を行った。但し0分刺激とは、インスリン刺激を行ったが、氷上に放置し、37℃でインキュベートしなかったものである。インシュリン刺激開始より各時間経過後に、培養液をすべて吸い取り、直ちにPBS w/Inh.(チロシンホスファターゼインヒビター含有PBS:1mM バナジウム酸ナトリウム、5mM フッ化ナトリウム、5mM ピロリン酸ナトリウム、5mM EDTA・2Na、137mM NaCl、2.7mM KCl、4.3mM NaHPO・12HO、1.4mM KHPO)を5ml加えた。PBS w/Inh.で細胞全体を洗浄してから液体を吸引除去し、細胞に溶解用バッファー(1% Nonidet P−40、150mM NaCl、50mM Tris−HCl(pH7.4)、5mM EDTA、10mM ヨードアセタミド、10mMフッ化ナトリウム、10mM ピロリン酸ナトリウム、0.4mM バナジウム酸ナトリウム、0.1mM 酸化フェニルアルシン、1mM ベンズアミジン、1mM フッ化フェニルメチルスルホニル)を1ml加え、セルスクレイパーを用いて細胞を集めた。この細胞懸濁液を1.5mlチューブに移し4℃で30分間インキュベートすることにより、細胞を完全に溶解させた。インキュベート後の液体を12,000rpm、4℃にて10分間遠心分離して得られた上清を、細胞溶解液として以下の実験に用いた。
d.免疫沈降
前節c.で得られた細胞溶解液につき、抗LAR E−サブユニット抗体(7.5μgの11.1Aと7.5μgの753.Aとの混合物(Streuli M.et al.,EMBO J.,11,897−907,1992参照)を用いた免疫沈降を行った。前記細胞溶解液1mlに対してモックとしてMOPC 21(マウスIgGlκ:Sigma社製)を15μg加え、4℃で1時間インキュベート後、γ−bind(GammaBind Plus Sepharose:Pharmacia Biotech社製)20μlを加え、さらに4℃で1時間インキュベートすることにより前吸収を行った。4℃、12,000rpmにて10分間遠心分離を行い、上清950μlを別のチューブに移した。抗LAR E−サブユニット抗体を15μg加え、4℃で1時間インキュベート後、γ−bindを20μl加え、さらに4℃で1時間インキュベートした。12,000rpm、4℃にて10分間遠心分離後、沈査を1ml溶解用バッファーで2回、PBS w/Inh.で1回洗浄し、20μlのSDSサンプルバッファーに懸濁した。これを沸騰水中で5分加熱し、電気泳動用の検体とした。
e.イムノブロッティング
上記検体を7.5% SDS−ポリアクリルアミドゲルを用いて電気泳動した後、トランスファー装置を用いて400mAで4時間ニトロセルロース膜(Schlcicher & Schuell)に転写した。この膜を3%ウシ血清アルブミン溶液中において室温で30分間以上インキュベートすることによりブロッキングを行った。充分量のTBS−T(Tween 20含有TBS:10mM Tris−HCl(pH7.4)、150mM NaCl、0.1% Tween20)で10分間、2回以上洗浄後、TBS−Tで50,000倍に希釈した抗リン酸化チロシン抗体(4G10、UBI社)、抗LAR E−サブユニット抗体または抗インスリンレセプターβ鎖抗体(UBI社)を加え、室温において1時間振盪した。充分量のTBS−Tで5分間、3回以上洗浄後、HRP標識抗マウスIgG抗体(西洋ワサビペルオキシダーゼ標識抗マウスIgG:Santa Cruz Biotechnology社製)1.5mlを含むTBS−T溶液を15ml加え、室温において1時間振盪した。充分量のTBS−Tで5分間、3回以上洗浄後、発光試薬セット(和光純薬工業株式会社製)を用いてケミルミネッセンス法により、各抗体と結合する蛋白質のバンドを検出した。
f.結果
このように、LAR C/SとIR WTをCOS−7細胞にコトランスフェクションし、インスリンで一定時間刺激した後に作製した細胞溶解液を抗LAR E−サブユニット抗体で免疫沈降後、抗リン酸化チロシン抗体でイムノブロッティングを行ったところ、インスリン刺激1分でインスリンレセプターβ鎖のチロシンリン酸化および85kDa蛋白質のチロシンリン酸化が認められた。これらのチロシンリン酸化は、インスリン刺激後30分においても持続して認められた(第2図A参照)。
また、抗LAR E−サブユニット抗体(第2図B)、抗インスリンレセプターβ鎖抗体(第2図C)および抗リン酸化チロシン抗体(第2図A)を用いたイムノブロッティングの結果、LARとインスリンレセプターがインスリンレセプターのチロシンリン酸化の有無により会合することも明らかとなった。
[実施例2]種々のLARによるインスリンレセプターのチロシン脱リン酸化の検討(1)
次に、LAR WT、LAR C/SおよびLAR DC/SとIR WTを用いて同様にCOS−7細胞にコトランスフェクションし、インスリンで5分間刺激後、抗LAR E−サブユニット抗体で免疫沈降し、沈降物について各種抗体を用いたイムノブロッティングを行った。その結果、インスリンレセプターとLAR WTをコトランスフェクションしたものはLAR C/SやLAR DC/Sをコトランスフェクションしたものと比べると、インスリンレセプターβ鎖や85kDa蛋白質のチロシンリン酸化はほとんど検出されなかった(第3図A参照)。
また、この実験においてLAR(第3図C)やインスリンレセプター(第3図D)の発現量は、それぞれのトランスフェクタントにおいてほぼ同一であったことより、LAR WTはインスリンレセプターβ鎖や85kDa蛋白質のリン酸化チロシンを脱リン酸化することが示された。
また、抗LAR E−サブユニット抗体による免疫沈降物を抗インスリンレセプターβ鎮抗体でイムノブロッティングしたところ、LAR DC/SをコトランスフェクションしたものではLAR WTやLAR C/Sをコトランスフェクションしたものに比較すると、インスリンレセプターβ鎖のバンドが明らかに弱かった(第3図B)。
この結果は、LAR WTやLAR C/Sに比べて、LAR DC/Sとインスリンレセプターの会合が弱いことを示すものである。LAR C/SとLAR DC/Sの違いは、ホスファターゼドメイン2の1813番目のアミノ酸のみであることから、チロシンホスファターゼ活性を示さず基質との結合に関与すると推測されてきたこのドメイン2が、LARとインスリンレセプターとの結合に機能していることが明らかとなった。
[実験例3]種々のLARによるインスリンレセプターのチロシン脱リン酸化の検討(2)
さらに、インスリンレセプターのチロシン脱リン酸化がLARに結合したもののみであるのか、またはインスリンレセプター全てで確認されるのかを検討するために、このコトランスフェクタントの細胞溶解液を電気泳動後、抗リン酸化チロシン抗体でイムノブロッティングを行った。その結果、LAR WTを導入したもののみ、インスリンレセプターのチロシン脱リン酸化が顕著に認められた(第4図参照)。
[実験例4]LAR C/S存在下でのインスリンレセプターのチロシンリン酸化の検討
次に、85kDa蛋白質のチロシンリン酸化がインスリンレセプターのチロシンキナーゼ活性によるものであるかを明らかにするため、LAR C/SとTR WTまたはインスリンレセプターのチロシンキナーゼ活性を欠失させたIR K1018M(IR MT)をCOS−7細胞にコトランスフェクションした。5分間インスリン刺激を行った後、抗LAR E−サブユニット抗体で免疫沈降し、抗リン酸化チロシン抗体でイムノブロッティングを行った(第5図照)。その結果、IR WTとコトランスフェクションしたものではインスリン刺激によりインスリンレセプターβ鎖および85kDa蛋白質のチロシンリン酸化が認められたが、IR K1018Mとコトランスフェクションしたものではこれらのリン酸化が全く認められなかった。
以上の結果より、インスリンがインスリンレセプターに結合するとインスリンレセプターのβ鎖の速やかなチロシンリン酸化が起こり、さらにインスリンレセプターチロシンキナーゼが85kDa蛋白質のチロシンリン酸化を引き起こすことが明らかとなった。
従って、この85kDa蛋白質は、インスリンレセプターと結合していることが確認されたLARのP−サブユニットである可能性が考えられた。
[実施例1]抗チロシンホスファターゼP−サブユニット抗体の作製
以下の手順に従って、抗チロシンホスファターゼP−サブユニットの抗体を作製した。
a.免疫原の調製
免疫原として、グルタチオン−S−トランスフェラーゼ−LAR融合蛋白質(GST−LAR)を用いることとした。LAR P−サブユニットの細胞膜貫通部分の終点より細胞質側すべてにあたる607アミノ酸に相当するcDNA(配列番号:1、3467塩基対)をpGEX−2Tベクター(Pharmacia Biotech社製)のBamHI/EcoRIサイトに組み込んだ発現ベクターを用いて、常法に従いE.coli AD202を形質転換した。この大腸菌をLB(Amp.+)寒天培地(アガー7.5gを含む後述のLB(Amp.+)培地)で一晩培養した後、シングルコロニーをLB(Amp.+)培地(トリプトン10g/L、酵母エキス5g/L、NaCl 5g/L、5N NaOH 0.2ml/L、アンピシリンを50μg/ml含有)50mlに接種し、さらに一晩培養した。これをLB(Amp.+)培地500mlに接種し、37℃で600nmにおける吸光度が約1.0になるまで培養し、1M IPTG(イソプロピル−β−D(−)−チオガラクトピラノシド、和光純薬工業社製)50μlを加え、25℃で一晩培養した。この培養物を3,000rpm、4℃で15分間遠心分離し、沈澱した菌体をNETN(0.5% Nonidet P−40、1mM EDTA、20mM Tris−HCl pH8.0、100mM NaCl)50mlに懸濁させた。その後、1分間超音波処理、氷上1分間の操作を2回繰り返し、14,000rpm、4℃で20分間遠心分離して上清を得た。この大腸菌溶解液10mlにグルタチオンセファロースビーズ懸濁液(Glutathione Sepharose 4B(Pharmacia Biotech社製)をNETNで3回洗浄し、50%NETN懸濁液として調製)を100μl加え、室温で30分間インキュベートした。得られた懸濁液を3,000rpm、4℃で5分間遠心分離し、上清を取り除いた。沈殿したグルタチオンセファロースビーズをNETNで2回、PBSで1回洗浄し、SDS sampleバッファー(125mM Tris−HCl pH6.8、0.1% ドデシル硫酸ナトリウム、5% 2−メルカプトエタノール)を100μl加え、沸騰水中で10分間加熱してGST−LAR融合蛋白質を溶出した。ビーズを除いた溶出液を、Centricon−10(アミコン社製)に移し、3,000rpm、45分間、4℃で遠心濃縮した。緩衝化を目的として1mlのPBSを加え、ふたたび3,000rpm、45分間、4℃で遠心濃縮した。この緩衝化の操作をさらに2回繰り返して得られたものを、免疫用の抗原溶液とした。抗原蛋白質の精製および濃縮は、SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動で確認した。
一方、最終免疫では静脈内投与を行うため、上記とは異なる方法で抗原溶液を調製した。GST−LAR融合蛋白質を発現している前記大腸菌溶解液とグルタチオンセファロースビーズをインキュベートし、遠心分離後、沈殿したビーズをNETNで2回、PBSで3回洗浄した。次いでGSH溶出バッファー(20mM グルタチオン、1M Tris−HCl、pH9.6)を100μl加え、10分間室温で軽く撹拌してGST−LARを溶出させた。3,000rpm、4℃で5分間遠心分離して上清を回収する操作を計3回行い、全溶出液を生理食塩水中4℃で2日間透析したものを、静脈内投与用抗原溶液とした。
b.免疫処置
6週齢の雌性Balb/cマウス8匹に対し、プリスタン(2,6,10,14−テトラメチルペンタデカン、Sigma社製)を0.5ml/匹で腹腔内投与した。2週間後、腹腔内免疫用抗原溶液をフロイント完全アジュバンド(GIBCO社製)と1:1で混和しエマルジョン化したものを、GST−LAR融合蛋白質が約10μg/匹となるよう腹腔内投与した。以後、ほぼ2週間ごとに4回、腹腔内免疫用抗原溶液とフロイント不完全アジュバント(GIBCO社製)との1:1混和物をGST−LARが約30〜70μg/匹となるよう調製し、腹腔内投与した。4回目の免疫の4日後に眼底静脈より採血し、血清中の抗体価をELISA法により測定した。
c.ELISA
静脈内免疫用抗原と同様の方法で調製したGST−LARおよびGSTのみの蛋白質溶液を、それぞれ精製水に対して4℃で一晩透析した。これを、PBSで0.5μg/mlに調製し、50μl/ウェルでELISAプレート(Falcon 3911 MicroTest・TM Flexible Assay Plate)に1時間吸着させた。洗浄用バッファー(0.05% Tween20を含むPBS)で5回洗浄後、5%スキムミルク(2.5gのスキムミルクを50mlのPBSに溶解して調製)でブロッキングを行った。これを洗浄後、前節bで得られた血清を血清希釈用バッファー(0.25% BSAを含むPBS)で16,000倍に希釈し、50μl/ウェルずつ加え、湿箱中1時間インキュベートした。プレートを洗浄後、1000倍希釈HRP標識抗マウスIgG抗体を50μl/ウェルずつ加え1時間インキュベートした。洗浄用バッファーで4回、PBSで1回洗浄後、o−フェニレンジアミン(和光純薬工業社製)をクエン酸緩衝液(5.6325gクエン酸一水和物、18.35g NaHPO−12HOを精製水に溶解し、500mlとして調製)に1mg/mlの濃度で溶解させた基質溶液を50μl/ウェルとなるように加え、30分間反応させた後、50μlの10%HSOを加え反応を停止した。このうち50μlを測定用96ウェルプレート(住友ベークライト社製)に移して450nmの吸光度を測定した。
d.細胞融合
上記ELISAの結果よりGST−LARに対する抗体価の上昇が認められたマウス2匹に静脈内投与により最終免疫を行い、その3日後に脾臓を摘出して、常法により脾細胞を調製した。
細胞融合のためのparent cellは、事前に20μg/mlの8−アザグアニンを含む培地で選択し、ヒポキサンチン・グアニン・ホスホリボシルトランスフェラーゼ(HGPRT)欠損株であることを確認したBalb/cマウス由来ミエローマ細胞株NS1を用いた。2×10細胞数のNS1細胞と1×10細胞数の脾細胞に対し、ClonaCell(商標名)−HY Hybridoma Cloning Kit(StemCell Technologies Inc.)を用いて細胞融合およびクローニングを行った。
クローニングされたハイブリドーマ培養上清のスクリーニングは、静脈内免疫用抗原と同様の方法で調製したGST、GST−LARまたはGST−CD45(Furukawa,T.et.al.;Proc.Natl.Acad.Sci.USA,91,10928−10932,1994)の蛋白質溶液0.5μg/mlを結合させたプレートにて、ハイブリドーマ培養上清50μlについて前節cにおけるELISA法に準じて行った。このELISA法において、GSTを結合させたウェルには免疫反応を示さず、GST−LARまたはGST−CD45を結合させたウェルに免疫反応性を示すハイブリドーマを選択した。なお、クローニングされたハイブリドーマの継代培養は、10%ウシ胎児血清(GIBCO社製)を含有するRPMT 1640培養液(日水製薬社製)で行った。
このように、HAT選択されたハイブリドーマの培養上清をELISA法によりスクリーニングしたところ、抗体産生能、増殖能とも安定したクローンYU2が得られた。
このハイブリドーマ細胞YU2は、1998年5月7日に日本国茨城県つくば市東1丁目1番3号に所在の工業技術院生命工学工業技術研究所に寄託し、その受託番号はFERM BP−6344である。
e.モノクローナル抗体のタイピング
上記dで得られたハイブリドーマ細胞YU2の培養上清0.5mlを4.5mlのTBS−Tで希釈し、希釈液のうち3mlについてMouse monoclonal antibody isotyping kit(Amersham International plc.製)を用いて、アイソタイプを調べた。その結果、抗体のアイソタイプはIgG1κであることが判った。
f.モノクローナル抗体の調製と精製
6週齢の雌性Balb/cマウスに対し、0.5ml/匹のプリスタンを腹腔内投与し、その10日後に、上記dのクローニングで得られたハイブリドーマ細胞YU2を、1匹あたり2.5×10〜1.3×10細胞数/0.5ml/匹で腹腔内へ注入した。10日後ごろから、マウスの腹部肥大を認めたため、20ゲージの注射針を用いて数回にわたり腹水を採取した。採取した腹水は、1,000rpm、4℃にて5分間遠心分離し、上清と沈殿物とに分けた。上清は、37℃で30分間処理した後、4℃に一晩静置した。12,000rpm、4℃にて10分間遠心分離し、得られた上清1.5mlよりアフィニティーカラムHiTrap ProteinG(Pharmacia Biotech社製)を用いてモノクローナル抗体YU2を精製した。得られた抗体溶液の280nmにおける吸光度を測定し、マウスIgGの分子吸光係数より抗体濃度を算出した。
さらに、このモノクローナル抗体YU2につき、SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動上の移動度からそれぞれの見かけの分子量を明らかにした。この結果を第6図に示す。第6図に明らかなように、モノクローナル抗体YU2は、約48kDaのH鎖と約25kDaのL鎖を含み、約146kDaの分子量を有していた。
[実施例2]モノクローナル抗体の特異性の検討(1)
実験例1.aおよびbに記載した通り、LAR WTの発現ベクターをCOS−7細胞にトランスフェクションした。その細胞溶解液について、実施例1で得られた精製モノクローナル抗体を用いて免疫沈降後、イムノブロッティングを行った。抗LAR E−サブユニット抗体(前記)、抗CD45抗体(Santa Cruz Biotechnology社製、35−Z6)およびモノクローナル抗体YU2はすべてIgG1サブクラスに属するので、免疫沈降の対照としてMOPC21を用いた。
係るCOS−7細胞へのLAR強制発現系を用いた解析により、抗LAR E−サブユニット抗体で免疫沈降後、モノクローナル抗体YU2は、LAR P−サブユニットに相当する85kDaとプレカーサーに相当する約200kDaの蛋白質を認識した(第7図B参照)。
さらに、LARをトランスフェクションしたCOS−7細胞の細胞抽出液をこれらの抗体(IgG1、IgG2bまたはYU2)により免疫沈降後、LAR E−サブユニットを認識する抗体でイムノブロッティングを行ったところ、YU2の抗体で免疫沈降したもののみLAR E−サブユニットに相当する150kDaと、プレカーサーに相当する約200kDaの蛋白質が検出された(第7図A)。
以上の結果より、モノクローナル抗体YU2は、LARのP−サブユニットの免疫沈降およびイムノブロッティングに利用可能であることが明らかとなった。
一方、YU2はGST−CD45(Furukawa T.,et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,91,10928−10932,1994)を抗原としたELISAでも反応性を示したことから、LARとCD45との共通抗原(おそらく、双方に保存されているPTPドメイン内の配列)をエピトープとして認識していることが推察された。
[実施例3]モノクローナル抗体特異性の検討(2)
モノクローナル抗体YU2の特異性をさらに調べるために、実験例1に記載したと同様の手順に従ってCOS−7細胞にCD45を強制発現させ、その細胞抽出液をYU2を用いてイムノブロッティング解析を行ったところ、約200kDaと約180kDaの位置にバンドが確認された(第8図参照)。
市販の抗CD45抗体によるリプローブでも、同じ位置にバンドが検出されたので、これらのバンドはCD45であることが明らかとなった。
以上実施例2および3の結果より、ELISA法によるハイブリドーマのスクリーニングにおいてLARおよびCD45の細胞内ドメインの双方に反応性を示すクローンとしてピックアップされたYU2は、イムノブロッティングでもCD45を認識できることが確認された。
LARとCD45のアミノ酸配列の細胞内ドメインの相同性を第9図に示す。図中、双方のアミノ酸配列間で、「*」は同一アミノ酸を示し、「・」は類似アミノ酸を示す。LARとCD45の細胞内ドメインのうちホスファターゼドメイン1以降C末端までのアミノ酸配列を比較すると、39.4%の相同性を有していることが明らかになっている。なかでも、ドメイン1内のチロシンホスファターゼ活性を担うコンセンサス配列周辺にあたる12アミノ酸(Val−Val−His−Cys−Ser−Ala−Gly−Val−Gly−Arg−Thr−Gly、配列番号:4(配列番号:1のアミノ酸第245〜256位))は、完全に一致している(第9図中、白抜き文字部分)。ポリペプチドが抗原決定基となりうるには、8〜10アミノ酸程度が必要といわれていることから、YU2が配列番号:4で示される12アミノ酸を含むホスファターゼのコンセンサス配列をエピトープとして認識することも考えられる。
第9図において、LARおよびCD45の細胞内ドメインの、他の既知のPTP(すなわち、PTPα、β、γ、δ、ε、σ、μ、κ、η、ζ等)とのコンセンサス配列部分8箇所に囲みを付した。この8筒所のコンセンサス配列は、ドメイン1およびドメイン2における、4種の配列(第11図、(1)〜(4))の反復であり、かかる4種の配列の詳細は以下の通りである。
(1)Phe−Trp−(Arg/Glu/Leu)−Met−(Val/Ile/Cys)−Trp (配列番号:5)
(2)Lys−Cys−(Ala/Asp)−(Gln/Glu/Lys)−Tyr−Trp−Pro (配列番号:6)
(3)Trp−Pro−Asp−(His/Phe)−Gly−Val
(配列番号:7)
(4)Pro−Xaa−(Ile/Val)−(Ile/Val)−His−CCys−Xaa−Ala−Gly−Xaa−Gly−Arg−(Thr/Ser)−Gly (配列番号:8)
配列番号:4で示されるLARとCD45との前記同一配列は、ドメイン1の上記コンセンサス配列(4)に含まれている。このようなPTPのコンセンサス配列をエピトープとして認識しうる本発明の抗体は、PTPの解析および定量、新規PTPの同定、検出および単離精製などに有効に利用できるものと考えられる。
また、第10図に示すように、インスリンがインスリンレセプターα鎖に結合すると、インスリンレセプターのβ鎖が自己リン酸化されチロシンキナーゼ活性が上昇する。このチロシンキナーゼの働きにより、最終的にグルコースの取り込み、糖代謝や細胞増殖といったインスリン作用が発現する。本出願人らは、この活性化されたインスリンレセプターは、LARによってチロシン脱リン酸化を受けて不活性化状態に戻ることを明らかにした(1998年6月5日出願の国際出願、PCT/JP98/02542)。さらに、(1)インスリンレセプターチロシンキナーゼはLARの細胞内ドメインをチロシンリン酸化すること、(2)かかるリン酸化がLARの基質特異性の決定か、ホスファターゼ活性の上昇に関与していること、および(3)リン酸化チロシンをLARが自己脱リン酸化することによりその酵素活性を制御していることなどの可能性が示唆され、LARの酵素活性の促進がインスリン抵抗性の原因となりうることを分子レベルで例証している。本発明の抗体によって、このようにLARやCD45のみならず他のPTPが関与する、リン酸化・脱リン酸化等が関わるシグナル伝達機構や種々の制御機構を解明することが可能となる。
〔産業上の利用可能性〕
本発明によって提供される、PTPの細胞内ドメインに対する抗体は、LARまたは、CD45とLARの双方の細胞内ドメインに結合することができる。
これら本発明の抗体は、PTPのホスファターゼドメインのコンセンサス配列を認識すると考えられるため、PTPの解析および定量、新規PTPの同定および検出、ならびにクローニング等による新規ホスファターゼの取得に有用である。そして、これらの抗体は、インスリンのシグナル伝達機構や種々の制御機構を解明する極めて有用なツールになり得る。また、インスリン抵抗性およびNIDDMに有用な診断方法を開発し、さらにはインスリン抵抗性を基盤とするシンドロームXの種々の病態の予防、治療等の処置および診断、そして動脈硬化および心疾患発症の予防および診断に応用できる。
【配列表】
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【図面の簡単な説明】
第1図は、LARのサブユニット構造を示す模式図(a)、および実験例にて調製したLARの膜内ホスファターゼドメイン構造の変異体を示す模式図(b)である。
第2図は、LAR C/Sとインスリンレセプター(IR)の野生型とをコトランスフェクトしたCOS細胞において、インスリン刺激により誘導されるチロシンリン酸化の時間経過を示すイムノブロットを表す図である。
第3図は、LARの野生型または変異体とインスリンレセプターの野生型とをコトランスフェクトしたCOS細胞における、リン酸化−説リン酸化を示すイムノブロットを表す図である。
第4図は、LARの野生型または変異体によるインスリンレセプターβ鎖の脱リン酸化を示すイムノブロットを表す図である。
第5図は、インスリンレセプターの野生型または変異型とLAR C/SとをコトランスフェクトしたCOS細胞におけるチロシンリン酸化を示すイムノブロットを表す図である。
第6図は、本発明の抗体YU2の分子量を示す、SDS−ポリアクリルアミドゲルを表す図である。
第7図は、本発明の抗体YU2のLARに対する免疫特異性を示すイムノブロットを表す図である。
第8図は、本発明の抗体YU2を用いた、CD45についてのイムノブロッティングによる分析結果を示す図である。
第9図は、LARとCD45の細胞内ドメインのアミノ酸配列の相同性を示す図である。
第10図は、インスリンレセプターおよびLARが関与する、リン酸化および脱リン酸化によって制御されるインスリンのシグナル伝達のカスケードを示す模式図である。

Claims (17)

  1. 配列番号:1に示す塩基配列によってコードされるLARの細胞内ドメインと、CD45の細胞内ドメインとの両方に対して特異性を有するモノクローナル抗体。
  2. プロテインチロシンホスファターゼのホスファターゼドメインに対して特異性を有する請求項1に記載のモノクローナル抗体。
  3. 配列番号:1に示す塩基配列によってコードされるポリペプチドを用いて調製される請求項1または2に記載のモノクローナル抗体。
  4. 免疫原としてGST−LARホスファターゼドメイン融合タンパク質を用いることによって調製されるモノクローナル抗体であって、LARホスファターゼドメインが配列番号:1に示す塩基配列によってコードされる請求項1又は2に記載のモノクローナル抗体。
  5. 前記GST−LARホスファターゼドメイン融合タンパク質が、GSTをコードする遺伝子領域およびLARのホスファターゼドメインをコードする遺伝子領域を含む発現ベクターを形質転換またはトランスフェクトした大腸菌を20〜30℃にて16〜24時間培養し、その培養液および/または菌体から融合タンパク質を単離することによって製造されるものである請求項4に記載のモノクローナル抗体。
  6. 前記GST−LARホスファターゼドメイン融合タンパク質が、さらにグルタチオンを有する担体へのアフィニティーによって精製されるものであって、該担体からの融合タンパク質の溶出が、界面活性剤の存在下に煮沸によって実施されるものである請求項5に記載のモノクローナル抗体。
  7. 前記GST−LARホスファターゼドメイン融合タンパク質を免疫として調製されるモノクローナル抗体が、該融合タンパク質を用いてスクリーニングされるものである請求項4乃至6のいずれか1項に記載のモノクローナル抗体。
  8. 請求項1乃至7のいずれかに記載のモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマ細胞系。
  9. 請求項1乃至7のいずれかに記載のモノクローナル抗体の調製方法であって、
    免疫として配列番号:1に示す塩基配列によってコードされるGST−LARホスファターゼドメイン融合タンパク質を用いて非ヒト動物を免疫する工程と、
    免疫された前記動物からの抗体産生細胞より得られるハイブリドーマ細胞系を調製する工程と、
    前記ハイブリドーマ細胞系からモノクローナル抗体を産生する工程と、
    前記融合タンパク質を用いてモノクローナル抗体をスクリーニングする工程と、
    を有する方法。
  10. 新規プロテインチロシンホスファターゼを単離するための方法であって、
    プロテインチロシンホスファターゼをスクリーニングする工程を含み、
    該プロテインチロシンホスファターゼのスクリーニング工程において請求項1乃至7のいずれかに記載のモノクローナル抗体が使用されることを特徴とする方法。
  11. 前記スクリーニングが、cDNAライブラリーの発現スクリーニングである請求項10に記載の方法。
  12. プロテインチロシンホスファターゼの定量方法であって、
    請求項1乃至7に記載のモノクローナル抗体を使用して、被験試料中に含まれるプロテインチロシンホスファターゼタンパク質を測定する工程を有する定量方法。
  13. 前記モノクローナル抗体がイムノブロッティング、免疫沈降またはELISAのいずれかにおいて使用される、請求項12に記載の定量方法。
  14. プロテインチロシンホスファターゼの定量方法であって、
    請求項1乃至7に記載のモノクローナル抗体を使用して、被験試料中に含まれるプロテインチロシンホスファターゼタンパク質を単離する工程と、
    単離されたプロテインチロシンホスファターゼタンパク質を定量する工程と、
    を有する定量方法。
  15. プロテインチロシンホスファターゼの調製方法であって、
    請求項1乃至7に記載のモノクローナル抗体を使用して、被験試料中に含まれるプロテインチロシンホスファターゼタンパク質を単離する工程を含む方法。
  16. 前記単離工程において、前記モノクローナル抗体を結合させた担体によるアフィニティクロマトグラフィーおよび/または免疫沈降が用いられる請求項14または15に記載の方法。
  17. プロテインチロシンホスファターゼの組織内における存在を確認するための方法であって、
    請求項1乃至7のいずれかに記載のモノクローナル抗体を用いて免疫組織学的検査を行い、プロテインチロシンホスファターゼタンパク質を検出する工程を含む方法。
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