JP4468633B2 - 周波数変換装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、混合手段と局部発振手段とを備え、入力された信号の周波数を他の周波数に変換する周波数変換装置に関し、特に異なる周波数帯の入力信号をそれぞれ周波数変換するものに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、上記のような周波数変換装置は、例えばCATVのヘッドエンドにおいて使用されることがある。例えば、放送衛星や通信衛星のような静止衛星から送信された信号を、受信アンテナで受信し、受信アンテナに付属する周波数変換装置において、中間周波信号に変換して、ヘッドエンドに供給する。ヘッドエンドでは、この中間周波信号を同軸ケーブル等の伝送線路において伝送可能な周波数に再変換する。この再変換に上記のような周波数変換装置が使用される。
【0003】
このような周波数変換装置の1例が、特許文献1に示されている。
【0004】
【特許文献1】
特開2001−86477号公報(段落番号0038乃至0047、図5)
【0005】
特許文献1では、衛星放送受信用アンテナで受信された衛星放送信号を、受信用アンテナに付属するローノイズブロックコンバータにおいて周波数変換した衛星放送第1中間周波信号が、周波数変換装置であるダウンコンバータによって、CATVにおいて伝送可能な周波数帯域の衛星放送第2中間周波信号に周波数変換される。衛星放送第1中間周波信号は、複数のチャンネルからなり、これらチャンネルが第1及び第2群の2つの周波数帯域に分けられる。第1群のチャンネルは、これらチャンネル用に設けられたミキサに供給される。第1群のチャンネル用に設けられた局部発振器からの第1群用局部発振信号も、第1群用のミキサに供給される。第1群用のミキサは、第1群のチャンネルをCATVで伝送可能な周波数帯である第1群の出力周波数帯の信号に変換する。第2群のチャンネルは、これらチャンネル用に設けられたミキサに供給される。第2群のチャンネル用に設けられた局部発振器からの第2群用局部発振信号も第2群用のミキサに供給される。第2群用のミキサは、第2群のチャンネルをCATVで伝送可能な周波数帯である第2群の出力周波数帯の信号に変換する。これら第1及び第2群の出力周波数帯の信号は、合成され、CATVで伝送される。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記のようなダウンコンバータでは、第1群及び第2群のチャンネル専用に、ミキサと局部発振器を設けているので、回路構成が複雑になる。例えば、第1及び第2の出力信号の周波数帯を適切に選択すると、第1群及び第2群用の局部発振信号の周波数を逓倍関係とすることができ、1台の局部発振器と、1台の逓倍器を用いることによって、局部発振器の台数を減少させることは可能である。しかし、この場合でも、2台のミキサが必要であり、回路構成の複雑さは解消されていない。例えば、第1群と第2群のチャンネルの周波数変換を同時に行わずに、選択された一方の群のみを周波数変換するように構成すると、1台のミキサと1台の局部発振器とを使用することが可能となると考えられる。この場合、1台の局部発振器において、第1群及び第2群の局部発振信号を発振する必要がある。近年、局部発振器としては、電圧制御発振器を使用することが多いが、上記のように第1及び第2群の局部発振信号を電圧制御発振器に発振させようとする場合、大きく値が変化する制御電圧を制御電圧発生器が発生する必要があるが、制御電圧発生器が、このように広い範囲で制御電圧を発生することは、電源電圧等の関係上、無理がある。
【0007】
本発明は、1台の制御電圧発生器からの制御電圧であっても、大きく異なる周波数の局部発振信号を出力可能とした局部発振器を備えた周波数変換装置を提供することを目的とする。また、このような局部発振器を使用することによって、構成を簡略化し、コストを低減させた外部から供給される動作電圧によって動作する周波数変換装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明による周波数変換装置は、混合手段を有している。この混合手段は、入力端子に供給された第1の入力周波数帯の第1入力信号と、第1の局部発振周波数の第1局部発振信号とが入力されたとき、第1入力信号を、第1の入力周波数帯とは異なる第1の出力周波数帯の第1出力信号に周波数変換する。混合手段は、第1の入力周波数帯及び第1の出力周波数帯と異なり、入力端子に供給された第2の入力周波数帯の第2入力信号と、第2の局部発振周波数の第2局部発振信号とが入力されたとき、第2入力信号を、第1の入力周波数帯、第1の出力周波数帯及び第2の入力周波数帯とは異なる第2の出力周波数帯の第2出力信号に周波数変換する。第1及び第2入力信号としては、例えば放送衛星や通信衛星から送信された電波をアンテナで受信し、アンテナに付属する周波数変換装置によって、周波数変換された中間周波信号を使用することができる。この混合手段の入力側と入力端子との間に設けられた信号選択手段が、これに供給された第1及び第2入力信号のうち選択されたものを、前記混合手段に供給する。第1及び第2局部発振信号のうち一方である局部発振信号を、局部発振手段が混合手段に供給する。第1及び第2の局部発振周波数は、非逓倍の関係にあることが望ましい。局部発振手段は、電圧制御発振手段と制御電圧発生手段とを有している。電圧制御発振手段は、供給された制御電圧の値に応じて容量が変化する第1の可変容量素子を含み、この第1の可変容量素子の容量変化に応じて局部発振信号の周波数が変化する。制御電圧発生手段は、予め定められた範囲内の値の制御電圧を発生する。制御電圧発生手段としては、例えば分周手段、位相比較手段等を内蔵するPLL回路を使用することができる。これら2つの構成要素に加えて、第1の可変容量素子に別の容量素子を選択的に接続可能な容量付加手段が設けられている。この容量付加手段は、第1の可変容量素子に対して直列または並列に前記別の容量素子を接続した状態と、非接続の状態とに切り換えられるものが望ましい。電圧制御発振手段は、前記別の容量素子が第1の可変容量素子に接続されていない状態において、前記予め定められた範囲内の値の制御電圧によって、第1局部発振信号を発生可能であり、かつ前記別の容量素子が第1の可変容量素子に接続された状態において、前記予め定められた範囲内の値の制御電圧によって、第2局部発振信号を発生可能に構成されている。第3周波数帯用フィルタ手段が、前記第1及び第2の入力周波数帯とは異なり、かつ入力端子に供給された第3の周波数帯の第3入力信号を抽出した第3出力信号を出力する。前記混合手段からの前記第1または第2出力信号と、前記第3周波数帯用フィルタ手段から出力された前記第3出力信号とのうち選択したものを、第1の選択手段が、出力端子に供給する。前記第1及び第2の出力周波数帯は、前記第3の周波数帯内に存在し、前記出力端子は、第3の周波数帯内の信号を受信可能なチューナに接続される。前記第1及び第2入力信号は、第1の静止衛星から送信された信号に基づくものであり、前記第3入力信号は、第2の静止衛星から送信された信号に基づくものである。
【0009】
このように構成した周波数変換装置の局部発振手段は、電圧制御発振手段と、制御電圧発生手段とを備え、電圧制御発振手段の第1の容量可変素子に、別の容量素子を接続した状態と、非接続の状態とに切換が可能な容量付加手段を設けたことによって、制御電圧発生手段が発生可能な範囲内の値の制御電圧によって、第1及び第2局部発振信号のいずれも発生可能に構成してある。従って、1台の混合手段と1台の局部発振手段とによって、第1及び第2の入力信号を、第1及び第2出力信号に周波数変換することができ、コストを低減することができる。更に、このように構成した周波数変換装置では、ミキサは第1または第2出力信号を出力可能であり、第1及び第2出力信号は、第3の周波数帯内の周波数である。また、第1の選択手段が第3周波数帯用フィルタ手段を通過した第3の出力信号と、第1または第2の出力信号とのうち、選択したものを出力端子に供給するので、チューナには、全て第3周波数帯内の信号が供給される。従って、第1乃至第3の出力信号に対応する信号をチューナにおいて受信することができる。
【0010】
容量付加手段は、別の容量素子として第2の可変容量素子を含み、第2の可変容量素子への所定の電圧の供給または非供給を行うものに構成することができる。このように構成すると、周波数変換装置を小型化することができる上に、第2の可変容量素子が所望の容量とするための調整が、第2の可変容量素子に供給する電圧の調整によって行える。
【0013】
さらに、信号選択手段は、第1入力周波数帯の信号を通過させる第1入力周波数帯用フィルタ手段と、第2入力周波数帯の信号を通過させる第2入力周波数帯用フィルタ手段とを含み、供給された第1及び第2の入力信号のうち選択されたものを、第1及び第2入力周波数帯用フィルタ手段のうち対応するものを介して混合手段に供給する。信号選択手段と、容量付加手段とは、連動させることが望ましい。例えば第2入力周波数帯用フィルタ手段を第2入力信号が通過するとき、容量付加手段が、別の容量素子を第1の可変容量素子に付加する。第1乃至第3入力信号が供給される入力端子が設けられている。この入力端子を、前記信号選択手段と第3周波数帯用フィルタ手段とのうち一方に接続する第2の選択手段も設けられている。
【0014】
このように構成すると、第1または第2の出力信号をチューナで受信する場合には、第2の選択手段を操作することによって、第1乃至第2の入力信号が信号選択手段に供給される。信号選択手段の操作によって、第1または第2の入力信号のうち所望のものが対応するフィルタ手段を通過してミキサに供給され、第1または第2の出力信号に変換される。このとき、第1の選択手段の操作によって第1または第2の出力信号が出力端子に供給される。第3の入力信号をチューナで受信する場合には、第2の選択手段の操作によって第1乃至第3の入力信号が第3周波数帯用フィルタ手段に供給され、第3の入力信号が、このフィルタ手段を通過し、第3出力信号が抽出される。第3の出力信号は、第1の選択手段の操作によって、出力端子に供給される。このように、第1乃至第3の出力信号のうち所望のものをチューナにおいて受信することができる。
【0015】
混合手段からの第1または第2の出力信号を通過させる通過帯域を有する第4フィルタ手段を設けることもできる。このように構成すると、第1または第2出力信号のみを第4フィルタ手段によって抽出することができるので、不要なノイズが出力されることが防止できる。
【0016】
この第4フィルタ手段は、第1の出力信号を通過させる第5のフィルタ手段と、第2の出力信号を通過させる第6のフィルタ手段とを備えたものとすることができる。この場合、更に、第1または第2の出力信号のうち選択されたものを、第5及び第6フィルタ手段のうち対応するものを介して第1の選択手段に供給する第3の選択手段が第4フィルタ手段に設けられる。第3の選択手段は、第5及び第6フィルタ手段の出力信号の一方を選択して、第1の選択手段に供給する場合や、第5及び第6のフィルタ手段の入力側の一方を選択して、第1または第2の出力信号を選択されたフィルタ手段に供給する場合がある。このように第5及び第6のフィルタ手段を個別に設けると、これらフィルタの通過帯域を狭めることができるので、例えば第1または第2の局部発振信号の周波数が、第1または第2の出力信号の周波数に近い値であっても、確実に第1または第2の出力信号のみを通過させることができる。
【0017】
また、この周波数変換装置を構成する能動素子に供給する動作電圧を出力端子にチューナから供給することができる。この動作電圧よりも制御電圧の値は小さい。このように制御電圧が動作電圧よりも小さいと、制御電圧の変化だけでは第1及び第2の局部発振信号を発振できない可能性があるが、その場合、容量付加手段によって容量を付加することによって、両方の局部発振信号を出力可能としている。
【0018】
【発明の実施の形態】
本発明の1実施形態の周波数変換装置2は、図2に示すようなヘッドエンド3と共に使用されている。このヘッドエンド3は、通信衛星(図示せず)から送信されている複数の通信衛星信号を受信するアンテナ4を有している。このアンテナ4は、例えば東経124度の静止衛星Aと、東経128度の静止衛星Bからの電波を受信する。このアンテナ4には、ローノイズブロックコンバータ6が付属している。このローノイズブロックコンバータ6は、静止衛星Aからの垂直偏波の信号と水平偏波の信号並びに静止衛星Bの水平偏波の信号と垂直偏波の信号とを、それぞれ中間周波信号に変換する。
【0019】
中間周波信号は、図3(b)に示すように、第1の周波数帯、例えば静止衛星Aからの垂直偏波の信号に基づく288MHzから529MHzの第1の入力信号と、第2の周波数帯、例えば静止衛星Aからの水平偏波の信号に基づく573MHzから814MHzの第2の入力信号とを含んでいる。
【0020】
中間周波信号は、更に第3の入力信号を含んでいる。第3の入力信号は、図3(a)に示すように、第3の周波数帯、例えば1050MHz乃至2072MHz中の、例えば静止衛星Bからの垂直偏波の信号に基づく1050MHzから1550MHzの信号と、例えば静止衛星Bからの水平偏波の信号に基づく1572MHzから2072MHzの信号とからなる。
【0021】
2衛星受信用のローノイズブロックコンバータ6は、2つの出力端子6a、6bを有している。出力端子6aに第1と第2の入力信号が出力されている。出力端子6bに第3の入力信号の垂直偏波と水平偏波の信号が出力されている。出力端子6aの第1及び第2の入力信号と、出力端子6aの第3の入力信号を構成する垂直偏波及び水平偏波の信号とは、混合器8、10を介して混合増幅器12に供給され、ここで混合増幅される。即ち、第1乃至第3の入力信号の合成信号を混合増幅器12が出力する。この合成信号は、1本の伝送線路、例えば同軸ケーブル15を介して各家庭に伝送される。
【0022】
ヘッドエンド3には、この他に、放送衛星から送信されている衛星放送信号と、この放送衛星の近傍に打ち上げられている通信衛星からの衛星通信信号とを受信するアンテナ14を有している。このアンテナ14には、ローノイズブロックコンバータ16が付属している。このローノイズブロックコンバータ16は、受信された衛星放送信号と通信衛星信号とを中間周波信号に周波数変換する。
【0023】
衛星放送信号に基づく中間周波信号は、図3(c)に示すように1032MHzから1336MHzの周波数帯域を持つ。通信衛星信号に基づく中間周波信号は1595MHz乃至2071MHzの帯域を持つ。これら中間周波信号は、混合増幅器18に供給される。この混合増幅器18には、VHF及びUHFアンテナ20で受信された地上波テレビジョン放送信号(または他の共同受信施設のヘッドエンドから送信されたCATV信号)も供給されている。この信号は例えば76MHz乃至770MHzの周波数帯域を持っている。混合増幅器18は、これら中間周波信号と地上波信号とを混合増幅する。この合成信号は、伝送線路、例えば同軸ケーブル22を介して各家庭に伝送される。各家庭では、分波器24によって、VHF及びUHF地上波信号と、衛星放送信号及び衛星通信信号の中間周波信号とに分波し、テレビジョン受信機(図示せず)に供給される。
【0024】
このように重複する周波数帯域を持つ第1乃至第3の入力信号と、衛星放送信号及び通信衛星信号に基づく中間周波信号とを、別々の同軸ケーブル15、22によって、各家庭まで伝送している。
【0025】
同軸ケーブル15によって伝送された第1乃至第3の入力信号からなる合成信号は、図1に示すように周波数変換装置2の入力端子30に供給される。
【0026】
この入力端子30は、第2の選択手段、例えば切換スイッチ32の接触子32aに接続されている。切換スイッチ32は、接触子32aが接続される接点32b、32cを有している。切換スイッチ32は、上記のような機械的なもの、例えば高周波リレーを使用することもできるし、或いはPINダイオードやトランジスタ等の半導体スイッチング素子または高周波スイッチICを用いた電子切換スイッチを使用することもできる。
【0027】
切換スイッチ32の接点32bは、第3の周波数帯用フィルタ手段、例えば1050MH乃至2072MHzの信号を完全に通過させることができるように通過帯域が選択されたバンドパスフィルタ34の入力側に接続されている。バンドパスフィルタ34に代えて、1050MHz以上を通過させることができるハイパスフィルタを使用することもできる。
【0028】
切換スイッチ32の接点32cは、切換スイッチ36の接触子36aに接続されている。この切換スイッチ36は、接点36b、36cを有し、接点36bは、第1の周波数帯用フィルタ手段、例えば288MHz乃至529MHzの信号を通過させることができる通過帯域を有するバンドパスフィルタ38の入力側に接続されている。バンドパスフィルタ38に代えて、529MHz以下の信号を通過させるローパスフィルタを使用することもできる。接点36cは、第2の周波数帯用フィルタ手段、例えば573MHz乃至814MHzの信号を通過させることができる通過帯域を有するバンドパスフィルタ40の入力側に接続されている。バンドパスフィルタ40に代えて、573MHz以上を通過させるハイパスフィルタを使用することもできる。
【0029】
2つのバンドパスフィルタ38、40の出力側は、混合手段、例えばミキサ42の入力側に接続されている。切換スイッチ36の接触子36aが接点36bに接続されているとき、ミキサ42には、第1の入力信号が供給され、接触子36aが接点36cに接続されているとき、第2の入力信号がミキサ42に供給される。これら切換スイッチ36、バンドパスフィルタ38、40が信号選択手段を構成している。切換スイッチ36は、バンドパスフィルタ38、40の入力側に設けられているが、出力側に設けることもできるし、入力及び出力側にそれぞれ設けることもできる。
【0030】
ミキサ42には、局部発振手段、例えば局部発振回路44から局部発振信号が供給されている。局部発振回路44は、第1の局部発振周波数、例えば1005MHzの第1局部発振信号と、第2の局部発振周波数、例えば1257MHzの第2局部発振信号とのうち、選択されたものを発生する。局部発振回路44の構成については、後述する。
【0031】
ミキサ42に第1の入力信号が供給されているとき、ミキサ42には、後述するように第1の局部発振信号が供給される。ミキサ42は、第1の入力信号を、図3(b)に示すように、第3の周波数帯内の周波数帯である1293MHz乃至1534の第1の出力信号に周波数変換する。ミキサ42に第2の入力信号が供給されているとき、ミキサ42には、後述するように第2の局部発振信号が供給される。ミキサ42は、第2の入力信号を図3(b)に示すように、第3の周波数帯域内の周波数帯で1830MHz乃至2071MHzの第2の出力信号に周波数変換する。このミキサ42からの出力信号、即ち第1または第2の出力信号は、第4のフィルタ手段、例えば第5のフィルタ手段45aと、第6のフィルタ手段45bとに供給する。第5のフィルタ手段45aは、第1の出力信号を通過させるように通過帯域を選択したバンドパスフィルタで、第6のフィルタ手段は、第2の出力信号を通過させるように通過帯域を選択したバンドパスフィルタである。これらバンドパスフィルタ45a、45bの出力側は、第3の選択手段、例えば切換スイッチ47の接点47b、47cに接続されている。切換スイッチ47は、この他に接触子47aも有している。バンドパスフィルタ45a、45bの2つのフィルタを設けているのは、第2局部発振信号の発振周波数1257MHzと、第1の出力信号の下限周波数1293MHzとが比較的接近しているので、バンドパスフィルタ45a、45bの通過帯域を狭くすることによって、選択性を高めて、第2局部発振信号の影響が生じないようにするためである。第1または第2局部発振信号の周波数と、第1及び第2出力信号の周波数とが接近していない場合には、第4のフィルタ手段として、1つのバンドパスフィルタを使用することもできる。また1つのバンドパスフィルタに代えて、第1の出力信号の下限周波数以上の周波数の信号を通過させるハイパスフィルタを使用することもできる。
【0032】
切換スイッチ47の接触47aと、バンドパスフィルタ34の出力側とは、第1の選択手段、例えば切換スイッチ46の接点46b、46cに接続されている。切換スイッチ46は、これらの他に接触子46aを有し、この接触子46aは、出力端子48に接続されている。この出力端子48は、図2に示すようにチューナ、例えばCS(衛星通信)チューナ50に接続されている。このCSチューナ50は、第3の周波数帯内の信号を受信、復調することができるように構成されている。従って、第1、第2の出力信号及び第3の入力信号のいずれもCSチューナ50において受信可能である。
【0033】
局部発振回路44は、電圧制御発振手段、例えば電圧制御発振器52を有している。この電圧制御発振器52は、トランジスタ54を含み、そのコレクタは、抵抗器56を介して切換スイッチ58の接点58bに接続されている。切換スイッチ58は、更に接点58cを有し、この接点58cを空き接点とされている。接点58b、58cの一方に選択的に接続される接触子58aも切換スイッチ58は有している。この接触子58aには直流動作電圧、例えば+Vcc、具体的には+5Vが供給されている。従って、接触子58aが接点58bに接続されているときには、トランジスタ54に動作電圧が供給されるが、接触子58aが接点58cに接触しているときには、トランジスタ54には動作電圧が供給されず、電圧制御発振器52は、動作しない。
【0034】
トランジスタ54のベースと接点58bとの間にも抵抗器60が接続されている。またベースと基準電位点、例えば接地電位点との間に抵抗器62が接続されている。さらに、トランジスタ54のエミッタと接地電位点との間にも抵抗器64が接続されている。これら抵抗器56、60、62、64がトランジスタ54にバイアスを与えている。抵抗器64に並列にバイパスコンデンサ66が接続され、トランジスタ54のエミッタは高周波的には接地されている。
【0035】
トランジスタ54のベースとエミッタとの間には、発振用のコンデンサ68が接続されている。さらに、トランジスタ54のベースは、直流阻止コンデンサ70を介して発振用のインダクタ72の一端に接続されている。このインダクタ72の他端には、発振用の可変容量素子、例えば可変容量ダイオード74のアノードに接続されている。この可変容量ダイオード74のカソードは、抵抗器76を介して制御電圧発生手段、例えばPLL用IC78に接続されている。PLL用IC78から可変容量ダイオード74のカソードに印加される直流の制御電圧の値に応じて可変容量ダイオード74の容量が変化する。なお、可変容量ダイオード74のアノードが抵抗器80によって設置電位にバイアスされており、可変容量ダイオード74のカソードにはPLL用IC78からの制御電圧が印加される。PLL用IC78は、分周器や位相比較器を含む公知のものであるので詳細な説明は省略する。
【0036】
可変容量ダイオード74のカソードは、直流阻止コンデンサ82、抵抗器84を介して切換スイッチ86の接触子86aに接続されている。切換スイッチ86は、接点86bと接点86cとを有している。接点86bには、+Vccの直流電圧が供給されており、接点86cは接地電位点に接続されている。接触子86aが接点86cに接続されている状態では、可変容量ダイオード74には電圧が加えられていない状態となり、容量は最大となる。
【0037】
従って、トランジスタ54、発振用コンデンサ68、発振用インダクタ72、可変容量ダイオード74によってコルピッツ発振回路が構成されている。その発振周波数は、発振用コンデンサ68、発振用インダクタ72、可変容量ダイオード74の値によって決まり、概ね第1の局部発振周波数1005MHzである。
【0038】
この局部発振信号は、抵抗器88とコンデンサ91とを介してミキサ42に供給されている。また、局部発振信号の発振周波数を、第1の局部発振周波数に維持するために、この局部発振信号がコンデンサ90を介して制御電圧発生手段、例えばPLL用IC78に供給されている。PLL用IC78は、この局部発振信号を基に制御電圧を発生する。
【0039】
この制御電圧は、ほぼ零V(例えば0.4V)からPLL用IC78の動作電圧に近い電圧、例えば+5Vまでの範囲で発生可能である。
【0040】
ところで、局部発振回路44は、第1の局部発振信号だけではなく、周波数が1257MHzである第2局部発振信号も発生する必要がある。そのため、制御電圧の値を変化させる必要があるが、制御電圧の値をその最大値、例えば+5Vまで変化させたとしても、可変容量ダイオード74の容量は、1257MHzを発振するために必要な容量まで変化しない。
【0041】
そこで、可変容量ダイオード74のカソードには、上述した直流阻止コンデンサ82を介して別の容量素子、例えば可変容量ダイオード92のカソードが接続され、そのアノードは接地されている。さらに、可変容量ダイオード92のカソードは、上述した抵抗器84を介して切換スイッチ86の接触子86aにも接続されている。従って、接触子86aを接点86b側に切り換えると、可変容量ダイオード92には、+Vccの直流電圧が印加され、可変容量ダイオード92は所定の容量を発生する。この容量が可変容量ダイオード74に直列に接続され、可変容量ダイオード74、92の合成容量は、可変容量ダイオード74の容量よりも小さくなる。従って、可変容量ダイオード92が発生する容量を適切に選択すれば、局部発振回路44は、PLL用IC78からの零乃至5Vの制御電圧によって、第1局部発振周波数よりも高い1257MHzである第2局部発振信号を発振することが可能になる。
【0042】
出力端子48には、高周波阻止コイル94を介して制御信号検出回路96が設けられている。これは、CSチューナ50から供給される制御信号に基づいて、切換スイッチ32、36、46、47、58、86を切り換えるためのものである。この制御信号としては、この周波数変換装置2を動作させるためにCSチューナ50から供給される2つの異なる値、例えば+15Vと+11Vの直流電圧を使用することができる。さらに、この直流電圧に重畳されて、CSチューナ50から供給されるトーン信号も制御信号として使用することができる。
【0043】
例えば、直流電圧が+15Vであるか+11Vであるかに拘わらず、トーン信号が存在しないことを制御信号検出回路96が検出したとき、制御信号検出回路96は、切換スイッチ32の接触子32aを接点32bに切り換え、切換スイッチ46の接触子46aを接点46b側に切り換える。これによって、入力端子30に供給された合成信号はバンドパスフィルタ34に供給され、第3の入力信号のみがバンドパスフィルタ34を通過して、出力端子48に生じる。このとき、局部発振回路44からの不要放射を防止するために、制御信号検出回路96は、切換スイッチ58の接触子58aを接点58cに切り換えて、局部発振回路44を停止させている。
【0044】
トーン信号が存在することを制御信号検出回路96が検出すると、制御信号検出回路96が、切換スイッチ32の接触子32aを接点32cに切り換え、切換スイッチ46の接触子46aを接点46c側に切り換え、かつ切換スイッチ58の接触子58aを接点58bに切り換える。さらに、制御信号検出回路96が、直流電圧の値が+15Vであることを検出すると、切換スイッチ36の接触子36aが接点36bに切り換えられ、切換スイッチ47の接触子47aが接点47bに切り換えられ、切換スイッチ86の接触子86aが接点86cに切り換えられる。これによって、入力端子30に供給された合成信号は、バンドパスフィルタ38に供給される。バンドパスフィルタ38によって第1の入力信号が抽出されて、ミキサ42に供給される。このとき、局部発振回路44は、第1の局部発振信号をミキサ42に供給するので、第1の出力信号がミキサ42からバンドパスフィルタ45bを経て出力端子48に供給される。
【0045】
トーン信号が存在し、かつ直流電圧の値が+11Vであると、トーン信号が存在することにより、制御信号検出回路96は、切換スイッチ32、46、58を上述したように切り換える。さらに、直流電圧が+11Vであることにより、切換スイッチ36の接触子36aを接点36cに接触させ、切換スイッチ86の接触子86aを接点86bに切り換え、切換スイッチ47の接触子47aを接点47cに切り換える。これによって、入力端子30に供給された合成信号は、バンドパスフィルタ40に供給される。バンドパスフィルタ40によって第2の入力信号が抽出されて、ミキサ42に供給される。このとき、局部発振回路44は、第2の局部発振信号をミキサ42に供給するので、第2の出力信号がミキサ42からバンドパスフィルタ45aを経て出力端子48に供給される。
【0046】
なお、CSチューナ50からの+11Vまたは+15Vの直流電圧が、図示しない定電圧化回路によって+Vccに変換されて、周波数変換装置2の能動素子の動作電圧として使用されている。
【0047】
このように構成されているので、この周波数変換装置2では、第1及び第2の入力信号を、CSチューナ50において受信可能な第3の周波数帯内の第1及び第2の出力信号に周波数変換することができる。しかも、第1の入力信号を第1の出力信号に変換することも、第2の入力信号を第2の出力信号に変換することも、CSチューナ50からの制御信号に基づいて遠隔制御することができる。
【0048】
また、この第1及び第2の入力信号の第1及び第2の出力信号への周波数変換は、1台のミキサ42と1台の局部発振回路44において行うことができ、コストを低減することができる。この場合、第1及び第2の入力信号のいずれを周波数変換するかの切換のため、バンドパスフィルタ38、40の切換を行っているが、この切換もCSチューナ50からの制御信号に基づいて遠隔制御によって行っている。
【0049】
周波数変換装置2では、第1及び第2の局部発振信号を出力する必要がある。しかし、CSチューナ50からの+11Vまたは+15Vの電圧に基づいて生成した+Vccを用いて各能動素子を動作させているので、PLL用IC78が制御電圧として発生可能な最大電圧は+Vccである。そのため、可変容量ダイオード74のみを設けた局部発振回路44では、制御電圧を最大電圧としても、第2の局部発振信号を発生することは不可能であり、例えばインバータ回路等を設けてPLL用IC78の制御電圧を昇圧する必要が生じる。
【0050】
そこで、第2の局部発振信号を出力する場合には、可変容量ダイオード92を可変容量ダイオード74に直列に接続し、PLL用IC78の制御電圧によって第2の局部発振信号を出力可能として、インバータ等の昇圧回路を不要にして、コストとノイズとを低減させている。
【0051】
また、第1及び第2の入力信号の第1及び第2の出力信号への周波数変換と、周波数変換を必要としない第3の入力信号の周波数変換装置2の通過との切換を、CSチューナ50からの制御信号によって遠隔制御することができる。
【0052】
上記の実施の形態では、バンドパスフィルタ38、40、44を設けたが、場合によっては不要である。上記の実施の形態では、制御電圧発生用にPLL用IC78を使用したが、制御電圧発振器58の発振の安定度が高い場合には、PLL用IC78を使用せずに、値が不変の制御電圧発生回路を使用することもできる。上記の実施の形態では、別の容量素子として可変容量ダイオード92を使用したが、例えば容量が一定のコンデンサを使用することもできる。また、上記の実施の形態では、第1の局部発振周波数よりも第2の局部発振周波数の方が高い周波数であったので、可変容量ダイオード92を可変容量ダイオード74に直列に接続して、合成容量を小さくしたが、第1局部発振周波数よりも第2局部発振周波数が低い場合には、可変容量ダイオードを可変容量ダイオード74に並列に接続して、合成容量を大きくすることもできる。
【0053】
【発明の効果】
以上のように、本発明による周波数変換装置では、局部発振器が、1台の制御電圧発生器からの制御電圧であっても、大きく異なる周波数の局部発振信号を出力するので、構成を簡略化し、コストを低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の1実施形態による周波数変換装置のブロック図である。
【図2】図1の周波数変換装置を使用した受信システムのブロック図である。
【図3】図2の受信システムの各部の信号の周波数を示す図である。
【符号の説明】
2 周波数変換装置
42 ミキサ(混合手段)
44 局部発振回路(局部発振手段)
58 電圧制御発振器
74 可変容量ダイオード(第1の可変容量素子)
78 PLL用IC(制御電圧発生手段)
86 切換スイッチ(容量付加手段)
92 可変容量ダイオード(容量付加手段)

Claims (6)

  1. 入力端子に供給された第1の入力周波数帯の第1入力信号と、第1の局部発振周波数の第1局部発振信号とが入力されたとき、前記第1入力信号を前記第1の入力周波数帯と異なる第1の出力周波数帯の第1出力信号に周波数変換し、前記第1の入力周波数帯及び前記第1の出力周波数帯と異なり、かつ前記入力端子に供給された第2の入力周波数帯の第2入力信号と、第2の局部発振周波数の第2局部発振信号とが入力されたとき、前記第2入力信号を、前記第1の入力周波数帯、前記第1の出力周波数帯及び前記第2の入力周波数帯と異なる第2の出力周波数帯の第2出力信号に周波数変換する混合手段と、
    この混合手段の入力側と前記入力端子との間に設けられ、前記入力端子に供給された第1及び第2入力信号のうち選択されたものを、前記混合手段に供給する信号選択手段と、
    前記第1及び第2局部発振信号のうち一方である局部発振信号を、前記混合手段に供給する局部発振手段とを、具備し、
    前記局部発振手段は、
    供給された制御電圧の値に応じて容量が変化する第1の可変容量素子を含み、この第1の可変容量素子の容量変化に応じて前記局部発振信号の周波数を変化させる電圧制御発振手段と、
    予め定められた範囲内の値の前記制御電圧を発生する制御電圧発生手段と、
    前記第1の可変容量素子に別の容量素子を選択的に接続可能な容量付加手段とを、
    具備し、
    前記電圧制御発振手段は、前記別の容量素子が前記第1の可変容量素子に非接続な状態において、前記予め定められた範囲内の値の前記制御電圧によって、前記第1の局部発振信号を発生可能であり、かつ前記別の容量素子が前記第1の可変容量素子に接続状態において、前記予め定められた範囲内の値の前記制御電圧によって、前記第2局部発振信号を発生可能であり、
    前記第1及び第2の入力周波数帯とは異なり、前記入力端子に供給された第3の周波数帯の第3入力信号を抽出した第3出力信号を出力する第3周波数帯用フィルタ手段と、
    前記混合手段からの前記第1または第2出力信号と、前記第3周波数帯用フィルタ手段から出力された前記第3出力信号とのうち、選択したものを、出力端子に供給する第1の選択手段とを、
    有し、前記第1及び第2の出力周波数帯は、前記第3の周波数帯内に存在し、前記出力端子は、第3の周波数帯内の信号を受信可能なチューナに接続され、前記第1及び第2入力信号は、第1の静止衛星から送信された信号に基づくものであり、前記第3入力信号は、第2の静止衛星から送信された信号に基づくものである周波数変換装置。
  2. 請求項1記載の周波数変換装置において、前記容量付加手段が、前記別の容量素子として第2の可変容量素子を含み、この第2の可変容量素子への所定の電圧の供給または非供給を行う周波数変換装置。
  3. 請求項2記載の周波数変換装置において、
    前記信号選択手段が、前記第1入力周波数帯の信号を通過させる第1入力周波数帯用フィルタ手段と、前記第2入力周波数帯の信号を通過させる第2入力周波数帯用フィルタ手段とを含み、供給された第1及び第2の入力信号のうち選択されたものを、前記第1及び第2入力周波数帯用フィルタ手段のうち対応するものを介して前記混合手段に供給し、
    前記入力端子を前記信号選択手段と前記第3周波数帯用フィルタ手段とのうち一方に接続する第2の選択手段とを、
    含む周波数変換装置。
  4. 請求項3記載の周波数変換装置において、前記混合手段の前記第1または第2出力信号を通過させる通過帯域を有する第4のフィルタ手段を有する周波数変換装置。
  5. 請求項4記載の周波数変換装置において、前記第4のフィルタ手段には、前記第1出力信号を抽出する第5のフィルタ手段と、前記第2出力信号を抽出する第6のフィルタ手段と、前記第1または第2出力信号のうち選択されたものを、前記第5及び第6のフィルタ手段のうち対応するものを介して前記第1の選択手段に供給する第3の選択手段とが、設けられている周波数変換装置。
  6. 請求項1記載の周波数変換装置において、この周波数変換装置を構成する能動素子に供給する動作電圧が前記出力端子に前記チューナから供給され、この動作電圧よりも前記制御電圧の値が小さい周波数変換装置。
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