第1の発明は、ガスメータを経由した後の配管に接続される複数のガス器具の使用状況を監視するとともに、複数の相手先と電話回線以外の通信回線を用いて直接送受信が可能な無線モジュールを搭載したガス器具監視装置であって、ガスメータには、ガス流量を計測する流量計測手段と、異常時にガス流路を遮断するガス遮断弁と、前記流量計測手段の計測結果に基づき所定の処理を行って流量情報として出力する制御回路と、複数の相手先と情報の送受信を行うメータ無線モジュールと、相手先に応じて通信周波数帯を切り替える通信切替手段と、駆動用の電池電源とを備え、前記メータ無線モジュールは、前記制御回路と一体的に構成して前記ガスメータ内に収納し、少なくとも基地局との通信周波数帯と複数のガス器具との通信周波数帯を有し、前記複数のガス器具には器具の動作開始を検出してガスメータに器具情報として送信する器具情報送信器を備え、前記器具情報送信器は、ガス器具制御装置から信号を受けることなく器具の動作開始を検出する器具検出手段と、前記器具検出手段からの器具動作開始信号をガスメータに所定の通信周波数帯で送信する器具無線モジュールと、駆動用電池とをケースに収納して着脱自在かつ任意の場所に設置可能な形態とし、前記制御回路には、前記器具情報送信器から送信される器具情報と前記流量情報に基づいて、器具別の連続動作時間を監視する連続使用時間監視手段と、器具別に連続使用可能な時間を予め設定して記憶した器具別連続使用時間憶手段とを有し、前記連続使用時間監視手段で監視される連続動作時間が前記器具別連続使用時間憶手段の記憶値に達したとき、前記ガス遮断弁を作動させガスの供給を停止すると共に、メータ無線モジュールを用いて連続使用時間経過情報を少なくとも基地局に送信するようにしたことを特徴とするものである。
そして、電話回線以外の無線通信手段を用いて基地局との通信が可能な無線モジュールと、複数のガス器具からの器具情報を受信可能な無線モジュールとを、ガスメータ内の制御回路基板に一体的に組み込んだ形態としているため、ガスメータを設置するだけで基地局と電話回線を用いることなく通信が可能となり、回線の混雑状況に影響を受けず基地局からの各種指令をスムーズに伝達することができ、ガスメータを経由した後の配管に接続された複数のガス器具からの使用情報を含む器具情報を取得することができ、従来のように電話回線の混雑でセンターとの通信ができないという不具合を解消することができると共に、家庭内で使用するガス器具の種類、使用形態に関する情報をリアルタイムにかつ確
実に取得することができる。
また、取得したガス器具情報別にその使用有無情報も同時に取得できるため、流量計測手段で求められる流量値をガス器具情報に対応させて監視することができ、ガス事業者は得られた情報を活用して、保安、料金等の分野で種々のサービスを提供することができる。
さらに、取得したガス器具情報別に実際に燃焼を伴う連続動作時間を監視することができ、予め設定したガス器具別の監視時間と比較することで、用途の異なるガス器具別に適切な連続使用時間を判断することができ、かつその判断結果を基地局など必要な相手先に報知することができるため、消し忘れなどによる長時間の異常な使用状況に伴う危険な状態を確実に防止しつつ、暖房使用等長時間にわたって使用される器具の誤遮断を防止することができる。
第2の発明は、メータ無線モジュールは、基地局との通信用無線モジュールとガス器具との通信用無線モジュールとは異なる通信周波数帯を用いて通信を行い、ガス器具との通信用無線モジュールは特定小電力無線通信周波数帯を有するエリア通信無線モジュールとし、基地局との通信用無線モジュールは広域通信周波数帯を有する広域通信無線モジュールとしたことを特徴とするものである。
そして、基地局とキャリアダイレクトで通信可能な広域通信無線モジュールと、特定小電力無線通信周波数帯を用いて所定の範囲内で通信可能なエリア通信無線モジュールを制御回路基板と一体的に構成し、基地局と電話回線以外の通信回線で情報の伝達を行い、複数のガス器具と特定小電力無線通信周波数帯で情報の伝達を行うようにしているため、家庭内で使用するガス器具の種類、使用形態に関する情報をリアルタイムにかつ確実に取得することができ、この取得情報に基づくガス流量の器具別管理を精度よく行うことが可能になると共に、器具別管理結果をメータ無線モジュールを切り替えるだけで基地局に直接送信することができ、合理的な通信手段を構築することも可能となる。
第3の発明は、エリア通信無線モジュールは、ガス器具との通信以外に特定の端末装置との通信も可能とし、連続使用時間経過情報が発信されたとき特定の端末装置にも送信するようにしたことを特徴とするものである。
そして、ガスメータに内蔵したエリア通信無線モジュールを用いてテレビや携帯電話等の特定端末装置とも通信できるようにすることで、連続使用時間経過情報を送信することが可能となり、テレビや携帯電話の画面上に連続使用時間が経過してガス遮断弁が作動したことを表示することができ、需要家への注意の喚起を促すことができる。
第4の発明は、器具検出手段は、ガス器具の点火用放電ノイズを検出する放電ノイズ検出手段と、放電ノイズ検出手段からの信号を器具動作開始信号に変換して器具無線モジュールに出力する動作開始信号変換手段を備えたことを特徴とするものである。
そして、ガス器具の器具情報として、ガス器具制御装置から信号を受けることなく、ガス器具が動作開始時に作動する点火器の放電動作に伴って発生する放電ノイズを検出し、この放電ノイズから器具の点火動作が開始したことを知らせる動作開始信号に変換して器具無線モジュールに出力するようにしているため、ガス器具制御装置とは無関係に器具検出手段を構成することができ、既存のガス器具に対しても何ら変更することなく取り付けが可能となり、放電ノイズの検出が可能な場所にセットするだけで器具の使用開始を検出することができるものである。
第5の発明は、器具無線モジュールは、器具検出手段からの動作開始信号が正常か否かを判断する動作開始信号判定手段と、器具を特定するための固有の識別コードを設定または変更する識別コード変更手段と、動作開始信号判定手段の判定結果が正常な場合に動作開始信号と共に識別コードを付与した器具情報をガスメータに送信する器具情報送信手段を備えたことを特徴とするものである。
そして、家庭内で使用するガス器具の種類別に固有の識別コードを付与し、この識別コードと共に動作開始信号を送信することで、どの器具が使い始めたかを確実に知らせることができると共に、器具別の識別コードを任意に変更または設定することが可能な識別コード変更手段を有しているため、買い替え等で器具が変更された場合でも識別コードを変更するだけで対応が可能となり、また、使い回しも可能であり、極めて有効な器具情報送信手段を提供できるものである。
第6の発明は、連続使用時間監視手段は、器具情報送信器から器具情報が送信されたときどのガス器具が使用されたかを判定する器具判定手段と、そのときの流量情報に基づいて増大側流量変化から減少側流量変化を検出する流量変化検出手段と、その間の時間を計測する動作時間計測手段を備えたことを特徴とするものである。
そして、器具情報送信器から送信される器具情報に対応した流量情報、つまり器具の使用に伴う流量の増加から器具の使用停止に伴う流量の減少までの時間を計測し、この時間を器具の連続動作時間として器具別に監視することで、実際に燃焼を伴う器具の連続使用時間を精度よく監視することができる。
第7の発明は、器具別連続使用時間憶手段は、ガス器具の種類によって異なる連続使用可能時間を流量等に対応させた複数段の動作時間テーブルで記憶した連続使用可能時間記憶テーブルと、連続使用時間監視手段で監視される連続動作時間と記憶テーブルの記憶値を比較する比較手段とを備え、連続動作時間が記憶値を超えたとき広域通信無線モジュールあるいは/及びエリア通信無線モジュールに信号を出力するようにしたことを特徴とするものである。
そして、ガス器具の種類別に流量等に対応させた連続使用可能時間を複数段の動作時間テーブルとして記憶し、この記憶値と実際の動作時間を比較することで、器具別の器具別の細かな器具監視を行うことができ、かつガスメータに内蔵の広域通信無線モジュールとエリア通信無線モジュールを使って必要な場所に連続使用時間経過情報を送信することが可能となる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の形態1におけるガスメータと基地局及び需要家宅との通信形態の全体構成図、図2は同ガス器具監視装置における家庭内の各種ガス器具との通信形態を示す図、図3は同ガス器具監視装置における器具無線モジュールの構成図、図4は同ガス器具監視装置における器具検出手段の制御ブロック図、図5は同ガス器具監視装置における器具無線モジュールを給湯器へ取り付けた図、図6は同ガス器具監視装置の外観及び構成部品を示す図、図7は同ガス器具監視装置の内部構成図、図8は同ガス器具監視装置の制御回路基板の構成ブロック図である。
図1において、まずガスメータ2を経由した後の配管に接続される複数のガス器具及びガスメータ2が保有する通信機能について説明する。
各家庭のガス供給管1の入口部分にガスメータ2が設置され、このガスメータ2を経由した後のガス配管3から分岐して家庭で使用する種々のガス器具が設置された場所まで配管されガスが供給される。例えば、屋外にはガス給湯器4が設置され、このガス給湯器4で生成される湯が水配管を介して台所の給湯栓5、浴槽やシャワー装置が設置された風呂6、リビング等に設置された床暖房7に供給され、種々の使用形態を形成している。
また、屋内にあっては、台所に設置されたガステーブル8、リビングや寝室等に設置されたガスファンヒータ9にガスが供給され、必要に応じて適宜使用される。
そして、設置されたガス器具が使用されガスの消費が発生するとガスメータ2でその使用量が計測され、そのデータが所定期間毎に累積記憶されている。このガスメータ2に記憶されたデータはガス事業者15からの定期的なデータ要求指令に基づいて所定の情報処理を行った後、ガス料金やガス使用量あるいはガス事業者15が提供する割引サービス等の情報として需要家13及びガス事業者15に送信される。
この送信手段としては、図6に示すようにガスメータ2に内蔵された制御装置を構成する制御回路基板10に一体的に組み込まれた無線モジュール11を用いて行い、この無線モジュール11はコネクタ10dで着脱自在に制御回路基板10にオンボードされ、無線モジュール11を搭載せず通信機能を有しないガスメータと無線モジュール11を搭載した通信機能を有するガスメータを任意に選択できる構成とし、ガスメータ2の共通化を図り、通信機能の有無に関係なく使用できるようにしている。
また、無線モジュール11を着脱自在な構成とすることで、通信機能を有する場合であっても通信規格を取得した無線モジュールを搭載すれば、ガスメータ本体で通信機としての規格を取得する必要がなく、ガスメータを変更する場合等において規制を受けることなく比較的自由に変更が可能となる。
そして、図8に示すように無線モジュール11は、基地局14と通信するために電話回線とは異なる、例えば200MHzの通信周波数帯を有する広域通信無線モジュール11aと、需要家宅13内のテレビ12a、パソコンあるいは携帯電話12b等の特定の端末装置12や隣接するガスメータさらには家庭内に設置された複数のガス器具と通信するために、例えば429MHzの特定小電力無線通信周波数帯を有するエリア通信無線モジュール11bで構成し、流量信号やセンサ信号に基づいてガス使用量の算出あるいは地震、ガス漏れ等の異常検知を行う制御回路10aからのデータ、さらには基地局14を介してガス事業者15から送信される各種情報、さらには隣接するガスメータから送信される各種情報、さらには複数のガス器具から送信される器具情報を受信すると、その受信データに応じて、例えばガス料金、ガス使用量あるいは地震、ガス漏れ等の異常発生に伴うガス遮断弁の作動、隣接するガスメータから脈動現象の発生を知らせる情報に対応した計測モードの変更、さらには器具別のガス供給管理等、需要家に報知すべき内容の場合はエリア通信無線モジュール11bを用いて需要家宅13内のテレビ12aあるいは携帯電話12b等の特定の端末装置12にデータを送信し、ガス器具から器具情報が送信された場合はその情報を受信し制御回路10aに入力する。
そして、図9に示すように特定の端末装置12にもガスメータ2に内蔵してあるエリア通信無線モジュール11bと同一の通信周波数帯を有する無線モジュール11cを内蔵あるいは一体的に取り付けることで、ガスメータ2から送信されるデータを受信することができ、このデータをテレビ12aあるいは携帯電話12bの画面を通じて表示することで、ガスメータから直接需要家に対して情報の伝達を行うことができ、従来のように、ガスメータ2からガス事業者15にデータを送信し、ガス事業者15でデータ処理を行った情
報、例えば料金通知等の葉書を郵送等で需要家に送付するという情報伝達方法を採用する必要がなくなるため、通知作業に要する工数を削減でき、かつ通知用葉書等の郵送費用の発生もなくなり、通知業務の合理化を実現することでガス料金の低減に寄与するものである。
また、ガスメータ2から特定の端末装置12に各種情報を送信した場合は、エリア通信無線モジュール11bから広域通信無線モジュール11aに報知完了信号を送り、広域通信無線モジュール11aはこの報知完了信号を基地局14に送信し、ガス事業者15に需要家への情報伝達が完了したことを通知する。なお、この場合、特定の端末装置12からの応答信号を受信して報知完了信号を送信することが好ましく、より確実に需要家への情報伝達を行うことができ、合理的な情報伝達システムを構築することができる。
次に、制御回路10aに内蔵されたガス流量を計測し所定の処理を行って流量情報として出力する流量計測処理手段について簡単に説明すると、ガスメータ2には図6、図7に示すように、ガス入口2aとガス出口2bを有し、その間のガス流路内に異常時にガスを遮断する遮断弁2cとガス流量を計測する一対の超音波センサ17が設けられ、その下流側にガス圧を検出する圧力センサ2dが配置されている。また、超音波センサ17からの信号でガス流量を算出する制御回路10aを搭載した制御回路基板10がガスメータ2の表示部2eに液晶表示器10eを臨ますように配置され、さらに、制御回路10aを駆動させるための電池2fが収納されている。また、遮断弁2cが作動した後の復帰動作を手動で行う手段として復帰ボタン2gが配置されている。
そして、ガス流量を計測する流量計測部17と制御回路10aは、例えば図11に示すように、ガス流路に一対の超音波センサを配置し流路を流れる流量に応じて変化する伝播時間を計測することで流量を測定するものがある。以下、その構成を説明すると、超音波を送信または受信する第1送受信器17Aと受信または送信する第2送受信器17Bが流れ方向に配置され、制御回路10aを構成する切換手段を有する計測制御部18によって送受信の切り換えが可能になっており、ガス等の流体の流れ状態を検出している。この第1送受信器17Aと第2送受信器17Bの信号を処理して流量を計測するもので、具体的には、まず計測制御部18により第1送受信器17Aを駆動し、第2送受信器17Bに向け、すなわち上流から下流に超音波を送信する。そして第2送受信器17Bで受信した信号を計測制御部18に設けた増幅手段により増幅し、この増幅された信号は基準信号と比較され、基準信号以上の信号が検出された後、計測制御部18に設けた繰り返し手段により上記の送受信を所定の回数を繰り返し、それぞれの時間値を計測制御部18に設けたタイマカウンタのような計時手段で計測する。
次に、切換手段を有する計測制御部18で第1送受信器17Aと第2送受信器17Bの送受信を切換えて、第2送受信器17Bから第1送受信器17A、すなわち下流から上流に向かって超音波信号を送信し、この送信を前述のように繰り返し、それぞれの時間値を計測する。そして、第1送受信器17Aと第2送受信器17Bとの超音波の伝搬時間差から流路16の大きさや流体の流れ状態を考慮して信号処理手段19で流量値を求める。求められた流量データは情報記憶手段10bで累積され、所定期間毎の累積データとして記憶される。
また、流量計測部17が配置された流路16内には異常時等にガスの流れを遮断する遮断弁2cが設けられ、信号処理手段19で求められる流量値が異常に多い場合や通常考えられる使用時間を超えて流量値が検出されるような場合に異常と判断して遮断弁2cを作動させてガス流路16を遮断する。
また、感震装置21から地震や衝撃信号、圧力センサ2dから異常なガス圧の信号が入
力されると、制御回路10aを介して遮断弁2cを作動させてガス流路16を遮断すると共に、センターに通報する。
次に、ガスメータ2に内蔵した無線モジュール11を用いた情報伝達の一例を説明すると、まずガス事業者15からの検針指示が基地局14を介して広域通信周波数帯(200MHz)で送信された場合、ガスメータ2に内蔵してある広域通信無線モジュール11aが受信し、その検針指示情報が同一基板に搭載してある制御回路10aに送られる。制御回路10aには流量計測手段で計測された流量データが所定期間毎に累積され、その累積データ、あるいは料金データに変換した情報が情報記憶手段10bに記憶されており、ガス事業者15からの検針指示情報が入力されると制御回路10aは情報記憶手段10bの流量累積データ、あるいは料金データに変換した情報を通信切替手段10cを介してエリア通信無線モジュール11b及び広域通信無線モジュール11aに送り、広域通信無線モジュール11aは広域通信周波数帯(200MHz)で基地局14に送信し、基地局14から専用回線を用いてガス事業者15に検針情報が伝達される。また、エリア通信無線モジュール11bは特定小電力無線通信周波数帯(429MHz)でテレビ12a等の特定の端末装置12に一体的に取り付けた無線モジュール11cに送信し、画面上に例えば、図10(a)に示すような料金情報や使用量を表示する。そして、特定端末装置12への送信が完了すると、上記した如く、報知完了信号をガス事業者15に送信し、需要家への情報伝達が完了したことを通知する。
また、地震や衝撃等で遮断弁2cが作動した場合において原因究明がなされ、ガス事業者15からの復帰指示が基地局14を介して広域通信周波数帯(200MHz)で送信された場合、ガスメータ2に内蔵してある広域通信無線モジュール11aが受信し、その復帰指示情報が同一基板に搭載してある制御回路10aに送られる。制御回路10aは復帰指示情報が入力されると、情報記憶手段10bに記憶されている復帰作業に関する情報を通信切替手段10cを介してエリア通信無線モジュール11bに送り、エリア通信無線モジュール11bは特定小電力無線通信周波数帯(429MHz)でテレビ12a等の表示端末装置12に一体的に取り付けた無線モジュール11cに送信し、画面上に例えば、図10(b)に示すような復帰作業の手順を表示する。そして、表示端末装置12への送信が完了すると、上記した如く、報知完了信号をガス事業者15に送信し、需要家への情報伝達が完了したことを通知する。
以上のように、制御回路10aには伝達する情報に応じて通信する相手先に対応して通信周波数帯の異なる無線モジュールを選択すべく通信切替手段10cを有しており、例えば、ガス事業者15からの検針指令の場合は、広域通信無線モジュール11aで受信した情報によりガス事業者15と特定端末装置12に情報記憶手段10bの記憶情報を伝達する必要があり、この場合は、例えば200MHzの通信周波数帯を有する広域通信無線モジュール11aと、例えば429MHzの特定小電力無線通信周波数帯を有するエリア通信無線モジュール11bを選択し、ガス事業者15からの復帰指示の場合は、表示端末装置12に情報記憶手段10bの記憶情報を伝達するだけでよく、この場合は、例えば429MHzの特定小電力無線通信周波数帯を有するエリア通信無線モジュール11bを選択すればよい。
なお、広域通信無線モジュール11aとエリア通信無線モジュール11bはそれぞれ別々に設けてもよく、共通の無線モジュールとし通信周波数帯を広域通信周波数帯と特定小電力無線通信周波数帯で切替えるようにしてもよいもので、前者の場合、通信切替手段10cは広域通信無線モジュール11aとエリア通信無線モジュール11bを選択する必要があり、同時通信が可能というメリットがある反面、設置スペース大やコスト高というデメリットを有している。後者の場合、通信切替手段10cは通信相手先に応じて通信周波数帯を切替える必要があり、設置スペース小やコスト安というメリットがある反面、同時
通信ができず交互通信になるというデメリットを有している。
次に、以上のような通信機能を有するガスメータにおいて、家庭内に設置されている複数のガス器具の種類やガス器具が使用されたか否かの動作開始情報さらにはガス器具の使用形態、例えば給湯器を用いて床暖房が使用されているか等の情報、いわゆる器具判別情報の取得手段について説明する。
従来の器具判別情報の取得手段は特許文献1あるいは特許文献2に開示されているように流量情報あるいは音響情報を用いたもので、確実性が低い及び複雑な装置を必要とするものであった。本実施の形態ではこの従来の課題を解決し、簡単な構成でかつ確実性の高い器具判別手段を提供するものである。
具体的には、図3に示すように、ガスメータ2に内蔵のエリア通信無線モジュール11bと同一の通信周波数帯を有する器具無線モジュール11dと、ガス器具の動作開始時に必ず実行される点火動作において点火器の高圧放電動作に伴う放電ノイズの発生を検出し器具の動作開始信号に変換して器具無線モジュール11dに出力する器具検出手段22と、駆動用電池電源23を備え、器具無線モジュール11dと器具検出手段22を器具無線モジュール基板24上に一体化して構成し、ケース25に収納して器具情報送信器26として構成する。
そして、この器具情報送信器26をガス器具の内部に収納するか、または外装の適所に取り付ける。このとき、点火器の放電ノイズを検出できる位置にセットすることが必要となる。例えば、図5に示すように、給湯器4の場合であれば器具内部の側面に器具情報送信器26を取り付けるだけで、点火器4aの放電ノイズを検出することができ、給湯器4の制御装置に接続して信号を受け取らなくても給湯器4の動作開始を検出することができる。つまり、器具情報送信器26を点火器4aの放電ノイズの影響を受ける場所に置くだけで器具の動作開始を検出できるものである。よって、任意の場所にセットすることができ、かつ着脱自在に収納することができるため、器具情報の送信が必要でないガス器具に対しては取り外すことができ、買い替え等の場合も容易にセットすることができるものである。
また、ガス器具の点火方式は器具の種類に関係なくほとんど高圧放電タイプであるため、この放電ノイズを検出する器具検出手段22で給湯器4以外のガスファンヒータ9やガス調理器8の着火動作、つまりほとんどのガス器具の動作開始を検出することができる。
さらに、図4の制御ブロック図を用いて詳細に説明すると、給湯器4が着火動作を開始すると点火器4aが作動し高電圧出力側に接続された電極間で放電が開始し、供給されたガスに点火して燃焼が開始する。このとき、電極間の放電現象に伴って周囲に放電ノイズが放射される。この放電ノイズを放電ノイズ検出手段22aで検出し、検出した場合は動作開始信号変換手段22bで所定の動作開始信号に変換し、器具無線モジュール11dの動作開始信号判定手段11eに入力して正常な動作開始信号であるか否かを判定する。この判定結果が正常な場合は器具情報送信手段11fに信号を送り、識別コード変更手段27で設定された給湯器4の固有の識別コードを付与し器具情報としてガスメータ2のエリア通信無線モジュール11bに送信する。この一連の動作によりガス器具の制御装置からの信号を受けることなく器具の動作開始を検出することができ、その信号をガスメータ2に送信することができる。また、放電ノイズ検出手段22aで短時間に複数回の放電ノイズを検出するような場合は着火ミスにより複数回の着火動作が行われていると判断し、そのときの流量データを加味して動作開始信号を出力しないようにすることもできる。
なお、本実施の形態では給湯器4を例にとって説明したが、その他のガス器具において
も同様の検出が可能なことは言うまでもない。
そして、このようにして取得した器具情報と超音波センサによる瞬時流量計測機能を用いてガス漏れ等の保安機能以外に、器具判別機能を利用して各種サービスの提供を行うことができる。その一例として、使用器具や用途に応じてガス料金の割引率を設定する場合について説明する。
上記器具情報送信手段11fから送信される器具情報に基づいて使用ガス器具あるいは用途を特定し、器具別或いは用途別に使用量を求め、予め定めた割引率を適用してガス料金を算出することで、ガス利用の促進と需要家へのサービス提供を行うものである。
その具体的手段の一例として、使用するガス器具の種類を特定する器具信号を設定し登録する器具信号登録手段29と、使用するガス器具の用途別に使用形態を特定する用途別信号登録手段30と、この器具信号登録手段29及び用途別信号登録手段30の登録情報より予め定めた分類毎に家庭内の使用ガス器具を分類する器具分類手段31とを有する器具判別手段32が設けられている。
ここで、器具信号登録手段29は、例えば下表(表1)のように、器具の種類に応じて信号を設定登録する。
また、用途別信号登録手段30は、例えば下表(表2)のように、器具の用途別に使用形態を特定する信号を設定登録する。
また、器具分類手段31は、ガス事業者がガス器具の種類及び使用形態等からガス料金の割引対象分野を予め設定し分類したものに、上記(表1)及び(表2)で得られる情報より家庭内で使用するガス器具を当てはめ分類するもので、例えば下表(表3)のように、給湯器を用いて床暖房を行っている場合は割引Aとし、ガスファンヒータ等で温風暖房を行っている場合は割引Bとし、それ以外は標準として分類し、家庭内で使用しているガス器具を設定登録する。
そして、器具信号登録手段29、用途別信号登録手段30、器具分類手段31で構成される器具判別手段32からの登録信号に基づいてガス器具の使用状況に応じたガス使用量を監視する情報記憶手段10bを有している。この情報記憶手段10bは、流量計測部17の信号処理手段19で求められるガス流量値を入力し、器具分類手段31で分類された分野に該当するガス器具の登録情報と共に管理され、ガス事業者15から定期的に要求される検針指示情報を無線モジュール11、詳細には広域通信無線モジュール11aが受信すると、情報記憶手段10bの所定期間毎の累積流量データや割引率を反映した料金データ等の情報を取り出し、無線モジュール11、詳細には広域通信無線モジュール11aとエリア通信無線モジュール11bから基地局14と表示端末装置12に送信し、基地局14から専用回線を用いてガス事業者15に通知すると共に、表示端末装置12の画面を用いて需要家に所定期間のガス料金情報を通知する。
また、上記情報記憶手段10bで行う器具判別について説明すると、使用するガス器具、例えば給湯器4から送信される器具情報をガスメータ2に内蔵のエリア通信無線モジュール11bが受信すると、その情報を使用形態判別手段28に出力する。使用形態判別手段28では器具別に動作開始信号の発生パターンによって使用形態を特定する使用形態判定パターンを有しており、入力される動作開始信号の入力パターンと比較して使用形態を特定するようにしている。例えば、給湯器4から器具情報が入力されると、識別コードにより給湯器4が動作を開始したことを判定し、所定時間経過してから所定の間隔で動作開始信号が入力されるようなパターンの場合は床暖房が使用されていると判断し、動作開始信号が入力されてから所定時間内に頻繁に動作開始信号が入力されるようなパターンの場合は給湯使用であると判断する、というように器具から送信される器具情報の入力パターンによって使用形態を判断するようにしている。
なお、上記使用形態の判断において、器具情報の入力パターンに加え、そのときの流量データを加味して判断するようにすれば、より精度よく使用形態を判断することができ、さらに使用形態判別手段28の使用形態判定パターンも学習しながら更新することで、各家庭に対応した適切な判定パターンを形成することができ、より精度よく使用形態を判断することができる。
なお、本実施の形態では情報記憶手段10bは、分類された項目毎にガス器具の使用登録が有るか否かの情報と、トータルのガスの使用量を所定期間毎に管理するようにし、例えば冬場の暖房期間中は表3に示すように、床暖房と温風暖房の使用器具が登録された状態でガス使用量が管理され、夏場は割引対象分野の使用登録器具がない状態でガス使用量が管理されることになるが、これ以外にも、例えば、情報記憶手段10bに器具判別手段32で分類されたガス器具毎にガス使用量を求める機能を付加することで、より細かな分類が可能となり、多様なサービスの提供ができ、保安面においても充実させることができる。
また、本実施の形態では器具判別手段24の分類項目として、料金割引サービスを対象としたが、これに限定されるものではなく、保安サービス等 、ガス事業者等が必要と考えるサービスを対象に器具別の監視方法を採用することができるものである。
次に、ガス器具から送信される器具情報を用いた別の実施の形態について説明すると、器具情報を用いて器具別の連続動作時間を監視し、予め定めた時間が経過するとガス遮断弁2cを作動させガスの供給を遮断すると共に、連続使用時間経過情報を基地局14あるいは特定の端末装置12に通報して、ガス器具の消し忘れ等による異常なガスの供給を停止し、その状況を報知することで、異常使用が発生したことをガス事業者14あるいは需要家13に知らせるようにしたものである。
具体的手段として、器具情報送信器26の器具情報送信手段11fから送信される器具情報をエリア通信無線モジュール11bが受信すると、制御回路10aの連続使用時間監視手段10fがどのガス器具から送信された動作開始信号であるかを器具判定手段33で判断し、そのときに流量計測手段17が計測する瞬時流量値から流量が増大側に変化する時点から流量が減少側に変化する時点までを流量変化検出手段34で検出し、その間の時間を動作時間計測手段35で計測し、その結果を器具別動作時間格納手段36に送る。器具別動作時間格納手段36は流量計測手段17で計測される流量から、例えば平均流量値を求め、器具別及び流量別の動作時間として確定し、器具別動作時間確定手段37に送る。
そして、器具別連続使用時間記憶手段10gの器具別連続使用時間記憶テーブル38に予め記憶してある器具別及び流量別の連続使用時間と比較手段39で比較し、器具別連続動作時間が連続使用時間記憶値を経過すると、ガス遮断弁2cに作動信号を送って遮断動作を実行すると共に、広域通信無線モジュール11aおよびエリア通信無線モジュール11bに信号を送って基地局14および特定の端末装置12に連続使用時間経過情報を送信するようにしている。
これにより、取得したガス器具情報別に実際に燃焼を伴う連続動作時間を監視することができ、予め設定したガス器具別の監視時間と比較することで、用途の異なるガス器具別に適切な連続使用時間を判断することができ、かつその判断結果を基地局など必要な相手先に報知することができるため、消し忘れなどによる長時間の異常な使用状況に伴う危険な状態を確実に防止しつつ、暖房使用等長時間にわたって使用される器具の誤遮断を防止することができる。