JP4466365B2 - 車線逸脱防止装置 - Google Patents

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本発明は、自車両にヨーモーメントを付与することで自車両の走行車線からの逸脱を防止するようにした車線逸脱防止装置に関する。
従来、走行車線からの逸脱を防止するようにした車線逸脱防止装置として、種々のものが提案されている。例えば、各車輪に作用する制動力を制御し、自車両に、走行車線からの逸脱を防止する方向のヨーモーメントを付与することで自車両の車線逸脱を回避するようにしたものが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
特開2003−112540号公報
上述のように、制動力を制御し自車両にヨーモーメントを付与することで、自車両の走行車線からの逸脱を抑制することができる。
しかしながら、例えば、自車両の最大積載量または同等程度の重量物を後部荷室中央に積載した場合等、自車両の重心位置が変動した場合には、自車両の重心位置によって、制動力を制御することにより得られる減速度が異なることから、期待するヨー方向への挙動変動を実現することができず、逸脱防止を目的としてヨーモーメントを付与したとしても、その効果を十分発揮させることができない可能性がある。
そこで、この発明は、上記従来の未解決の問題に着目してなされたものであり、自車両の重心位置が変化した場合であっても、制動力制御により逸脱防止制御のためのヨーモーメントを付与することによる効果を十分得ることの可能な車線逸脱防止装置を提供することを目的としている。
上記目的を達成するために、本発明に係る車線逸脱防止装置は、各車輪に作用する制動力を制御し、自車両にヨーモーメントを付与することで、走行車線からの逸脱の防止を図る。
ここで、自車両の重心位置が変動すると、所定のヨーモーメントを発生させるために各車輪の制動力を制御したとしても、重心位置の変動に起因して期待しただけのヨー方向への挙動変動を実現することができない可能性がある。このため、重心位置検出手段で検出した重心位置に応じて制動力補正手段により各車輪の制動力を補正し、期待するだけのヨー方向への挙動変動を実現し得るように補正を行うことにより、重心位置の変化に関わらず、期待するヨー方向への挙動変動を実現することが可能となる。 また、自車両の逸脱方向とは逆側の車輪に逸脱防止用制動力を付与することで前記ヨーモーメントを付与し、制動力補正手段は、後輪側の前記逸脱防止用制動力を、前記重心位置検出手段で検出される重心位置が左輪側及び右輪側のうち前記逸脱防止用制動力を付与する車輪側に近いときほど小さくなるように補正している。このため、重心位置が左右方向に偏ることに起因して、期待するよりも大きなヨー方向への挙動変動が生じることを回避することが可能となる。
本発明に係る車線逸脱防止装置は、重心位置検出手段で検出した重心位置に応じて、制動力補正手段により、各車輪に作用する制動力を補正するようにしたから、重心位置の変動に関わらず、期待するヨー方向への挙動変動を実現することができ、車線逸脱を確実に防止することができる。
また、重心位置が左右方向に偏ることに起因して、期待するよりも大きなヨー方向への挙動変動が生じることを回避することができる。
以下、本発明の実施の形態を説明する。
図1は、本発明における車線逸脱防止装置を搭載した後輪駆動車両を示す概略構成図である。この後輪駆動車両は、自動変速機とコンベンショナルディファレンシャルギヤとを搭載し、前後輪とも左右輪の制動力を独立制御可能な制動装置を搭載している。
図1中、1はブレーキペダル、2はブースタ、3はマスタシリンダ、4はリザーバであって、通常は運転者によるブレーキペダル1の踏込み量に応じて、マスタシリンダ3で昇圧された制動流体圧を各車輪5FL〜5RRの各ホイールシリンダ6FL〜6RRに供給する。また、マスタシリンダ3と各ホイールシリンダ6FL〜6RRとの間には制動流体圧制御部7が介装されており、この制動流体圧制御部7によって、各ホイールシリンダ6FL〜6RRの制動流体圧を個別に制御することも可能となっている。
制動流体圧制御部7は、例えばアンチスキッド制御やトラクション制御に用いられる制動流体圧制御部を利用したものである。制動流体圧制御部7は、単独で各ホイールシリンダ6FL〜6RRの制動流体圧を制御することもできるが、後述する制駆動力コントロールユニット8から制動流体圧指令値が入力されたときには、その制動流体圧指令値に応じて制動流体圧を制御するようにもなっている。
また、この車両には、駆動トルクコントロールユニット12が設けられている。駆動トルクコントロールユニット12は、エンジン9の運転状態、自動変速機10の選択変速比及びスロットルバルブ11のスロットル開度を制御することにより、駆動輪である後輪5RL,5RRへの駆動トルクを制御する。駆動トルクコントロールユニット12は、燃料噴射量や点火時期を制御したり、同時にスロットル開度を制御したりすることで、エンジン9の運転状態を制御する。この駆動トルクコントロールユニット12は、制御に使用した駆動トルクTwの値を制駆動力コントロールユニット8に出力する。
なお、この駆動トルクコントロールユニット12は、単独で後輪5RL,5RRの駆動トルクを制御することもできるが、制駆動力コントロールユニット8から駆動トルク指令値が入力されたときには、その駆動トルク指令値に応じて駆動輪トルクを制御するようにもなっている。
また、この車両には、画像処理機能付きの撮像装置13が設けられている。撮像装置13は、自車両の車線逸脱傾向検出用に走行車線内の自車両の位置を検出するためのものである。この撮像装置13は、例えば、CCDカメラからなる単眼カメラを備えている。この撮像装置13は車両前部に設置されている。
撮像装置13は、自車両前方の撮像画像から例えば白線等のレーンマーカを検出し、その検出したレーンマーカに基づいて走行車線を検出する。さらに、撮像装置13は、その検出した走行車線に基づいて、自車両の走行車線と自車両の前後方向軸とのなす角(ヨー角)φ、走行車線中央からの横変位X及び走行車線曲率ρ等を算出する。この撮像装置13は、算出したこれらヨー角φ、横変位X及び走行車線曲率ρ等を制駆動力コントロールユニット8に出力する。
また、この車両には、ナビゲーション装置15が設けられている。ナビゲーション装置15は、自車両に発生する前後加速度Xg、横加速度Yg及び自車両に発生するヨーレートφ´を検出する。このナビゲーション装置15は、検出した前後加速度Xg、横加速度Yg及びヨーレートφ´を、道路情報と共に、制駆動力コントロールユニット8に出力する。
また、この車両には、マスタシリンダ3の出力圧、すなわちマスタシリンダ液圧Pmを検出するマスタシリンダ圧センサ17、アクセルペダルの踏込み量、すなわちアクセル開度Accを検出するアクセル開度センサ18、ステアリングホイール21の操舵角δを検出する操舵角センサ19、各車輪5FL〜5RRの回転速度、すなわち車輪速度Vwi(i=fl,fr,rl,rr)を検出する車輪速度センサ22FL〜22RR、方向指示器による方向指示操作を検出する方向指示スイッチ20、さらに、各車輪位置におけるサスペンションの変位量を検出するための車高センサ25FL〜25RRが設けられている。そして、これらセンサ等が検出した検出信号は制駆動力コントロールユニット8に出力される。
なお、検出された車両の走行状態データに方向性がある場合には、特に言及しない限り、右方向を正値、及び時計周りの方向を正値とする。
次に、制駆動力コントロールユニット8で行う演算処理手順について、図2を用いて説明する。この演算処理は、例えば10msec.毎の所定サンプリング時間ΔT毎にタイマ割込によって実行される。なお、この図2に示す処理内には通信処理を設けていないが演算処理によって得られた情報は随時記憶装置に更新記憶されると共に、必要な情報は随時記憶装置から読み出される。
まず、ステップS1において、各センサやコントローラ、コントロールユニットから各種データを読み込む。具体的には、ナビゲーション装置15が得た前後加速度Xg、横加速度Yg、ヨーレートφ´及び道路情報、各センサが検出した、各車輪速度Vwi、操舵角δ、アクセル開度Acc、マスタシリンダ液圧Pm及び方向スイッチ信号、駆動トルクコントロールユニット12からの駆動トルクTw、並びに撮像装置13からヨー角φ、横変位X及び走行車線曲率ρ、サスペンションの変位量Afl〜Arrを読み込む。
次いでステップS2に移行し、自車両の重心位置を算出する。この重心位置は次の手順で算出する。
ここで、図3に示すように、前輪の左右重心位置をG1、車両左側の前後重心位置をG2、後輪の左右重心位置をG3、車両右側の前後重心位置をG4とする。また、ホイールベースの長さをLとし、トレッドをTとする。なお、ここでは簡単のため前後のトレッドは同等とする。
自車両が静止しているときの車両重心が車両中央Gにあるものとした場合、自車両の前後左右の重心成分G1〜G4のx方向及びy方向の各成分は、それぞれ次式(1)〜(4)で算出される。なお、重心位置の位置座標の原点Oは、左後輪位置とし、前後方向をx軸、左右方向をy軸とする。
G1x=L、G1y=〔Afr/(Afl+Afr)〕×T……(1)
G2x=〔Arl/(Afl+Arl)〕×L、G2x=0……(2)
G3x=0、G3y=〔Arl/(Arr+Arl)〕×T……(3)
G4x=〔Arr/(Afr+Arr)〕×L、G4y=T……(4)
車両重心ΔGは、前輪の左右重心位置G1と後輪の左右重心位置G3とを結ぶ直線と、車両左側の前後重心位置G2と車両右側の前後重心位置G4とを結ぶ直線との交点で表される。なお、車両重心ΔGのx方向及びy方向の成分をそれぞれΔGx、ΔGyとする。なお、他の手段を用いて車両重心ΔGを算出するようにしてもよい。
次いで、ステップS3に移行し、走行速度Vを算出する。具体的には、ステップS1で読み込んだ車輪速度Vwiに基づいて、下記(5)式により走行速度Vを算出する。
V=(Vwfl+Vwfr)/2 ……(5)
なお、前輪駆動車両の場合には、次式(6)により算出する。
V=(Vwrl+Vwrr)/2 ……(6)
ここで、Vwfl,Vwfrは左右前輪それぞれの車輪速度であり、Vwrl,Vwrrは左右後輪それぞれの車輪速度である。すなわち、この(5)及び(6)式では、従動輪の車輪速の平均値として走行速度Vを算出する。
また、このように算出した走行速度Vは好ましくは通常走行時に用いる。例えば、ABS(Anti-lock Brake System)制御等が作動している場合には、そのABS制御内で推定している推定車体速度を走行速度Vとして用いるようにする。また、ナビゲーション装置15でナビゲーション情報に利用している値を走行速度Vとして用いても良い。
また、このとき、自動変速機10の出力軸の回転数から得られる走行速度Vat〔km/h〕と、車輪速度から得られる走行速度Vとを比較して走行速度の異常検出を行うようにしてもよい。この場合、自動変速機10から得られる走行速度Vatは、次式(7)から算出すればよい。なお、(7)式中、Wは、自動変速機10の出力軸回転数〔rpm〕、Rは、車輪半径/ディファレンシャルギア比〔m〕である。
Vat=(2π・R)・W・(60/1000) ……(7)
次いで、ステップS4に移行し、車線逸脱傾向の判定を行う。まず、逸脱推定値として将来の推定横変位xSを、次式(8)から算出する。
xS=Tt・V・(φ+Tt・V・ρ)+x0 ……(8)
なお、式(8)中、Ttは前方注視距離算出用の車頭時間(例えば1秒程度に設定される。)であって、車頭時間Ttに自車両の走行速度Vを乗じると、前方注視距離となる。つまり、車頭時間Tt後の走行車線中央からの横変位推定値が将来の推定横変位xSとなる。また、式(8)中のφは自車両の走行車線に対するヨー角、x0は現時点における走行車線中央からの横変位、ρは走行車線の曲率であって、これらはステップS1の処理で読み込まれる。また、Vは、ステップS3で算出した走行速度である。
次に、算出した推定横変位xSと逸脱判断しきい値xLとを比較する。なお、逸脱判断しきい値xLは、次式(9)から算出される。
xL=±(Lw−H)/2 ……(9)
なお、(9)式中のLwは走行車線の幅であり、Hは自車両の幅である。また、xS、xLは走行車線の中心位置から右側の値となるとき正値となり、走行車線の中心位置から左側の値になるとき負値になる。なお、撮像装置13で得た画像を処理して走行車線幅Lwを得る。また、走行車線幅Lwは、ナビゲーション装置15でナビゲーション情報に利用している値でもよい。
そして、推定横変位xSと逸脱判断しきい値xLとを比較して、車線を逸脱する傾向にあるかどうかを判定する。ここで、絶対値の推定横変位|xS|が絶対値の逸脱判断しきい値|xL|以上の場合(|xS|≧|xL|)、逸脱の可能性があると判定する。この場合、逸脱判断フラグFoutをONにする(Fout=ON)。また、絶対値の推定横変位|xS|が絶対値の逸脱判断しきい値|xL|未満の場合(|xS|<|xL|)、逸脱の可能性がないと判定する。この場合、逸脱判断フラグFoutをOFFにする(Fout=OFF)。
また、推定横変位xSに基づいて逸脱方向Doutを判定する。具体的には、推定横変位xSが正値の場合、自車両が車線中央から右方向に横変位しているとして、右方向を逸脱方向Doutにし(Dout=right)、推定横変位xSが負値の場合、自車両が車線中央から左方向に横変位しているとして、左方向を逸脱方向Doutにする(Dout=left)。
次いで、ステップS5において、運転者の車線変更の意図を判定する。具体的には、ステップS1で得た方向スイッチ信号及び操舵角δに基づいて、運転者の車線変更の意図を判定する。まず、方向スイッチ信号が示す方向(ウインカ点灯側)と、ステップS4で得た逸脱方向Doutが示す方向とが同じである場合、運転者が意識的に車線変更していると判定し、逸脱判断フラグFoutをOFFに変更する(Fout=OFF)。すなわち、逸脱しないとの判定結果に変更する。
また、方向スイッチ信号が示す方向(ウインカ点灯側)と、ステップS4で得た逸脱方向Doutが示す方向とが異なる場合、逸脱判断フラグFoutをONのままにする(Fout=ON)。すなわち、逸脱するとの判定結果を維持する。また、方向指示スイッチ20が操作されていない場合には、操舵角δに基づいて運転者の車線変更の意図を判定する。すなわち、運転者が逸脱方向に操舵している場合において、その操舵角δ及びその操舵角の変化量(単位時間当たりの変化量)Δδが設定値以上のときには、運転者が意識的に車線変更していると判定し、逸脱判断フラグFoutをOFFに変更する(Fout=OFF)。なお、ここでは、運転者の意図を操舵角及び操舵角の変化量で判断しているが、操舵トルクを用いて同様の手順で判断するようにしてもよい。
次いでステップS6に移行し、逸脱警報を発するかどうかを判断する。
具体的には、ステップS5で得た逸脱判断フラグFoutがONの場合、逸脱警報を発すると判断する。ここで、逸脱警報は、音や表示等で行う警報である。なお、逸脱警報を発するタイミングと、車線逸脱防止制御の一部である減速制御の介入タイミングとにずれを生じさせてもよい。具体的には、減速制御が開始される所定時間前に警報を発することが望ましい。また、警報がなくても減速制御により自動減速を行うと、運転者に減速度がかかるため、この減速制御自体が警報効果を持つことになる。
次いで、ステップS7に移行し、車線逸脱防止制御の一部として減速制御を行うかどうかの判断を行う。具体的には、ステップS4で算出した推定横変位の絶対値|xS|から逸脱判断しきい値の絶対値|xL|を減じた値がしきい値xA以上であるとき、減速制御による制御介入を行うと判断して減速制御作動フラグFgsを“ON”として設定し、そうでないときには減速制御による制御介入は行わないと判断して減速制御作動フラグFgsを“OFF”とする。
なお、しきい値xAは、撮像装置13で検出した走行車線の車線曲率ρに応じて設定され、図4の特性図に示すように、車線曲率ρが比較的小さい領域では、しきい値xAは比較的大きな所定値に維持され、車線曲率ρが比較的小さい領域から増加するとこれに反比例してしきい値xAは減少し、車線曲率ρが比較的大きい領域では、しきい値xAは比較的小さな所定値に維持される。これによって、車線曲率ρが大きいときほど、減速制御介入が行われやすくなるようにしている。
次に、ステップS8に移行し、車両に発生させる目標ヨーモーメントMsを算出する。ここでは、自車両の走行状態から推定される将来の推定横変位xSと、逸脱判断しきい値xLとから次式(10)にしたがって、目標ヨーモーメントMsを算出する。
Ms=K1×K2×(|xS|−xL) ……(10)
なお、式(10)中の、K1は車両諸元から決まる比例ゲイン、K2は自車両の走行速度Vに応じて変動する比例ゲインである。なお、逸脱判断フラグFoutが“OFF”のときには、目標ヨーモーメントMsは“0”に設定する。比例ゲインK2は、図5に示すように、走行速度Vが比較的小さい領域では比較的大きな所定値に維持され、走行速度Vが比較的小さい領域から増加するとこれに反比例して比例係数K2は減少し、走行速度Vが比較的大きな領域では比例係数K2は比較的小さな所定値に維持される。つまり走行速度Vが大きいときほど、より大きな目標ヨーモーメントMsを発生させ速やかに自車両の向きを変えるようにしている。
次いで、ステップS9に移行し、各車輪の目標制動液圧を算出する。すなわち、逸脱回避のための制動制御の必要の有無に基づいて最終的な制動液圧を算出する。具体的には次のように算出する。
まず、逸脱判断フラグFoutがOFFの場合(Fout=OFF)、すなわち逸脱しないとの判定結果を得た場合には、下記(11)式及び(12)式に示すように、各車輪の目標制動液圧Psi(i=fl,fr,rl,rr)をマスタシリンダ液圧Pm,Pmrにする。なお、Pmは、マスタシリンダ圧センサ17で検出されるマスタシリンダ液圧、Pmrは、マスタシリンダ液圧Pmから算出される、前後配分を考慮した後輪用マスタシリンダ液である。
Psfl=Psfr=Pm ……(11)
Psrl=Psrr=Pmr ……(12)
次に、逸脱判断フラグFoutがONの場合(Fout=ON)、すなわち逸脱するとの判定結果を得た場合、ステップS8で得た目標ヨーモーメントMsの大きさに応じて、前輪目標制動液圧差ΔPsf及び後輪目標制動液圧差ΔPsrを算出する。すなわち、目標ヨーモーメントの絶対値|Ms|がしきい値Ms1よりも小さいときには後輪左右輪の制動力に差を発生させ、しきい値Ms1以上である場合には、前後の左右輪の制動力に差を発生させる。具体的には、自車両が左に逸脱する場合には次式(13)〜(16)により目標制動液圧差ΔPsf,ΔPsrを算出し、自車両が右に逸脱する場合には次式(17)〜(20)により目標制動液圧差ΔPsf,ΔPsrを算出する。
自車両が左に逸脱し且つ|Ms|<Ms1の場合
ΔPsf=0 ……(13)
ΔPsr
=[2・Kbr・|Ms|/T]・[(L−ΔGx)/Gx]・[(T−ΔGy)/Gy]
……(14)
自車両が左に逸脱し且つ|Ms|≧Ms1の場合
ΔPsf
=[2・Kbf・(|Ms|−Ms1)/T]・(ΔGx/Gx)・[(T−ΔGy)/Gy]
……(15)
ΔPsr
=[2・Kbr・Ms1/T]・[(L−ΔGx)/Gx]・[(T−ΔGy)/Gy]
……(16)
自車両が右に逸脱し且つ|Ms|<Ms1の場合
ΔPsf=0 ……(17)
ΔPsr
=[2・Kbr・|Ms|/T]・[(L−ΔGx)/Gx]・[ΔGy/Gy]
……(18)
自車両が右に逸脱し且つ|Ms|≧Ms1の場合
ΔPsf
=[2・Kbf・(|Ms|−Ms1)/T]・[ΔGx/Gx]・[ΔGy/Gy]
……(19)
ΔPsr
=[2・Kbr・Ms1/T]・[(L−ΔGx)/Gx]・[ΔGy/Gy]
……(20)
なお、式(13)〜(20)中の、Tはトレッドを示す。なお、このトレッドTは、簡単のため前後輪で同じ値にしている。また、Kbf,Kbrは、制動力を制動液圧に換算するための前輪及び後輪についての換算係数であり、ブレーキ諸元により定まる。
このようにして、目標制動液圧差ΔPsf、ΔPsrを算出したならば、次に、自車両に減速度を発生させることを目的として、左右両輪に制動力を発生させるための目標制動液圧Pgを次式(21)で算出する。なお、この目標制動液圧Pgは、逸脱判断フラグFoutが“ON”であるときだけ設定する。
Pg=Kgv・Kgb・(|xS|−xL−xA) ……(21)
さらに、この目標制動液圧Pgから算出される前後配分を考慮した後輪用マスタシリンダ液圧Pgrを算出する。
なお、(21)式において、Kgvは、走行速度Vに応じて設定される比例ゲイン、Kgbは車両諸元から決まる比例ゲインである。比例ゲインKgvは、例えば図6に示す特性図にしたがって設定される。すなわち、自車両の走行速度Vが比較的小さい領域では、比例ゲインKgvは比較的小さな所定値に維持され、走行速度Vが比較的小さい領域から増加するとこれに比例して比例ゲインKgvも増加し、走行速度Vが比較的大きな領域では、比例ゲインKgvは比較的大きな所定値に維持される。つまり、走行速度Vが大きいときほどより大きな減速度を発生させ速やかに自車両を減速させるようにしている。
そして、走行車線における自車両の走行状況及び逸脱方向に基づき、車両を減速させる目的で左右両輪に制動力を発生させるかどうかを判断し、運転者による制動操作であるマスタシリンダ液圧Pmも考慮して、各輪の目標制動液圧Psiを算出する。
具体的には、逸脱判断フラグFoutがON(Fout=ON)であり、且つ減速制御作動フラグFgsがOFF(Fgs=OFF)である場合には、ヨーモーメントのみにより車線逸脱防止制御を行う。各車輪の目標制動液圧Psi(i=fl,fr,rl,rr)を、以上のように算出した目標制動液圧差ΔPsf,ΔPsrを用いて、次式(22)により算出する。
Psfl=Pm
Psfr=Pm+ΔPsf
Psrl=Pmr
Psrr=Pmr+ΔPsr ……(22)
また、逸脱判断フラグFoutがON(Fout=ON)であり、且つ減速制御作動フラグFgsがON(Fgs=ON)である場合には、次式(23)式により算出する。
Psfl=Pm+Pg/2
Psfr=Pm+ΔPsf+Pg/2
Psrl=Pmr+Pgr/2
Psrr=Pmr+ΔPsr+Pgr/2 ……(23)
そして、このようにして算出した各車輪の目標制動液圧Psi(i=fl,fr,rl,rr)を制動流体圧指令値として、制動流体圧制御部7に出力する。
次に、上記実施の形態の動作を説明する。
制駆動力コントロールユニット8では、図2に示す演算処理を所定周期で実行し、各種のコントローラやセンサからの検出信号に基づいて、現在の車両の重心位置、車体速度Vを算出すると共に(ステップS1〜S3)、自車両が走行車線から逸脱する傾向にあるかどうかを判断すると共に、方向指示器の操作状況や操舵角等に基づいて運転者の車線変更の意思を判断し、車線逸脱防止制御による制御介入を行う必要があるかどうかを判断する(ステップS4、S5)。
そして、運転者の意図的な車線変更でなく、且つ将来の推定横変位xSが横変位限界値xL以上となった場合に、自車両は走行車線から逸脱する傾向にあると判断されて逸脱判断フラグFoutがセットされ、将来の推定横変位xSと逸脱判断しきい値xLとの差に基づいて目標ヨーモーメントMsが算出される。また、これら推定横変位xSと逸脱判断しきい値xLとの差がしきい値xA以上であるときには自車両の減速を行う必要があると判断されて減速制御作動フラグFgsがセットされ、目標制動液圧Pg、Pgrが算出される。そして、目標ヨーモーメントMs及び目標制動液圧Pg、Pgrが達成されるように各車輪の制動力が制御される。これにより、例えば操舵入力が小さいときには、車両に車線逸脱を防止するヨーモーメントが発生して車線逸脱が防止されると共に、制動力によって車両の走行速度が減速されるため、より安全に車線の逸脱を防止することが可能となる。
ここで、例えば、自車両の車両中央に車両重心ΔGがある場合には、図3からGx=L/2、Gy=T/2であることから、(14)〜(16)式及び(18)〜(20)式において、ΔGx及びΔGyを含む項が“1”となることから、目標ヨーモーメントMsを所定の前後配分で分配した目標制動液圧差ΔPsf,ΔPsrが算出される。そして、これに応じて各車輪の制動力制御が行われ、目標ヨーモーメントMsに応じたヨーモーメントが発生されると共に減速度Pgが発生されることになる。
例えば、図7(a)に示すように、右側に車線逸脱する場合には、(13)〜(16)式にしたがって、左輪側に制動力が付与されることにより自車両の進路を左方向に向かせるヨーモーメントが発生され、逆に、左側に車線逸脱する場合には、(17)〜(20)式にしたがって、右輪側に制動力が付与されることによって、自車両の向きを右方向に向かせるヨーモーメントが発生され、車線逸脱を防止する方向に自車両が向くように制御されることになる。
一方、例えば、自車両の最大積載量と同等程度の重量物を車両後部の荷室中央に積載している場合には、車両後方の車体が沈むことから、サスペンションの変位量から算出される車両重心ΔGの位置が図7(b)に示すように、車両後方に移動する。
ここで、車両重心ΔGが車両後方に位置する状態で、図7(a)に示すように自車両の車両重心ΔGが車両中央Gに位置する場合と同様の制御量でヨーモーメントを発生させた場合、図7(b)に示すように、例えば、右側に車線逸脱する傾向にある状態では、左輪側にヨーモーメント発生用の制動力を発生させたとしても、車両重心が車両後方にあることから、車両重心が車両中央に位置する場合と同等の減速度を得ることができず、期待するだけのヨー方向への挙動変動を実現するには、前輪側は減速度が不足傾向となり、後輪側は減速度が増加傾向となる。このため、目標ヨーモーメントMsで期待するヨー方向への挙動変動を実現することができず、自車両の進路を十分左方向に向かせるまでに時間を要することになる。
同様に、左側に車線逸脱する傾向にある状態では、右輪側にヨーモーメント発生用の制動力を発生させたとしても、車両重心が車両後方にあることから、車両重心が車両中央に位置する場合に比較して前輪側は減速度が不足傾向、後輪側は減速度が増加傾向となり、期待するヨー方向への挙動変動を実現することができず、自車両の向きを十分右方向に向かせるまでに時間を要することになる。
しかしながら、前述のように、自車両が右方向に車線逸脱する場合には、目標制動液圧差ΔPsf,ΔPsrは、式(17)〜(20)に基づいて算出され、この場合、車両重心ΔGのx方向成分が、車両中央Gx位置から車両後方のΔGx位置に移動することから、後輪の目標制動液圧差ΔPsrが、車両重心が車両中央に位置する場合に比較してより大きな値に設定され、また、目標ヨーモーメントMsがそのしきい値Ms1以上であるときには、前輪の目標制動液圧差ΔPsfが弱められる。このため、図7(c)に示すように、車両重心が車両中央にある場合に比較して、後輪左側の制動力が強められ、また、目標ヨーモーメントMsがそのしきい値Ms1以上の場合には、前輪左側の制動力が弱められることから、後輪左側は減速度が強められ、また前輪左側は減速度が弱められることになって、車両に作用するヨーモーメントが強められることになる。このため、期待するだけのヨー方向への挙動変動が実現されることになって、車両重心ΔGの位置の変動に関わらず、自車両の進路を車線中央に向けることができ、車線逸脱を速やかに回避することができる。
逆に、車両重心ΔGが、車両中央Gよりも前方に位置する場合には、自車両が右方向に車線逸脱するときには、後輪の目標制動液圧差ΔPsrが、車両重心が車両中央に位置する場合に比較してより小さな値に設定される。ここで、車両重心が、車両中央から車両前方に移動すると、後輪の減速度が過多傾向となり車両に作用するヨーモーメントが大きくなりすぎる可能性があるが、車両重心が車両中央にある場合に比較して、後輪左側の減速度の強度を弱めることで、適度なヨーモーメントを得ることができる。
また、例えば、自車両の最大積載量と同等程度の重量物を車両中央の左寄りの位置に積載している場合には、車両左側の車体が沈み、サスペンションの変位量から算出される車両重心ΔGの位置が図8(b)に示すように、車両左方に移動する。
このため、例えば、自車両が右方向に車線逸脱する場合には、目標制動液圧差ΔPsf,ΔPsrは、式(17)〜(20)に基づいて算出され、車両重心ΔGのy方向成分が、車両中央Gy位置から車両左側のΔGy位置に移動する。このとき、後輪の目標制動液圧差ΔPsrは、車両重心が車両中央に位置する場合に比較してより小さな値に設定され、また、目標ヨーモーメントの絶対値|Ms|がしきい値Ms1以上である場合には、前輪の目標制動液圧差ΔPsfも、車両重心が車両中央に位置する場合に比較してより小さな値に設定される。
ここで、車両重心ΔGが車両左側に位置する状態で、図8(a)に示すように自車両の車両重心ΔGが車両中央Gに位置する場合と同様の制御量でヨーモーメントを発生させた場合、図8(b)に示すように、例えば、右側に車線逸脱する傾向にある状態では、左輪側にヨーモーメント発生用の制動力を発生させた場合、ヨーモーメント制御による左方向のヨーモーメントに対し、車両重心が左方向に偏っていることによりさらに左方向へのヨーモーメントが作用することになり、必要以上のヨーモーメントが発生し、自車両の向きが左方向に向きすぎる可能性がある。逆に、左側に車線逸脱する傾向にある状態では、右輪側にヨーモーメント発生用の制動力を発生させたとしても、車両重心が車両左側にあることから、右輪の減速度が不足傾向となり、自車両の向きを十分右方向に向かせることができない可能性がある。
しかしながら、上述のように、後輪の目標制動液圧差ΔPsrを、車両重心が車両中央に位置する場合に比較してより小さな値に設定し、また、目標ヨーモーメントの絶対値|Ms|がしきい値Ms1以上である場合には、前輪の目標制動液圧差ΔPsfを、車両重心が車両中央に位置する場合に比較してより小さな値に設定しているから、図8(c)に示すように、車両重心が車両中央にある場合に比較して、左輪の減速度の強度が弱められることから、左方向へのヨーモーメントが抑制されることになる。
逆に、自車両が左方向に車線逸脱する場合には、目標制動液圧差ΔPsf,ΔPsrは、式(13)〜(16)に基づいて算出され、後輪の目標制動液圧差ΔPsrは、車両重心が車両中央に位置する場合に比較してより大きな値に設定され、また、目標ヨーモーメントの絶対値|Ms|がしきい値Ms1以上である場合には、前輪の目標制動液圧差ΔPsfもより大きな値に設定される。このため、図8(c)に示すように、車両重心が車両中央にある場合に比較して、右輪の減速度の強度が強められ、より大きな右方向へのヨーモーメントが自車両に作用することになる。したがって、車両重心ΔGの位置の変動に関わらず、自車両の向きを車線中央に向けることの可能な過不足のない適度なヨーモーメントを自車両に作用させることができ、車線逸脱を的確に回避することができる。
逆に、車両重心ΔGが、車両中央Gよりも右側に位置する場合には、自車両が右方向に車線逸脱するときには、車両重心ΔGのy方向成分が、車両中央Gy位置から、より車両右側に移動することから、後輪の目標制動液圧差ΔPsrは、車両重心が車両中央に位置する場合に比較してより大きな値に設定され、また、目標ヨーモーメントの絶対値|Ms|がしきい値Ms1以上である場合には、前輪の目標制動液圧差ΔPsfも、車両重心が車両中央に位置する場合に比較してより大きな値に設定される。
このため、車両重心が車両中央にある場合に比較して、左輪の減速度の強度が強められ、より大きな左方向へのヨーモーメントが作用することになる。逆に、自車両が左方向に車線逸脱する場合には、後輪の目標制動液圧差ΔPsrは、車両重心が車両中央に位置する場合に比較してより小さな値に設定され、また、目標ヨーモーメントの絶対値|Ms|がしきい値Ms1以上である場合には、前輪の目標制動液圧差ΔPsfもより小さな値に設定される。
ここで、車両重心が車両中央から、より車両右側に位置する場合には、重心位置の偏りのため、車両が右側に逸脱傾向にある場合にはヨーモーメントが不足傾向となり、逆に左側に逸脱傾向にあるときにはヨーモーメントが過多傾向となる。しかしながら、上述のように、重心位置ΔGが右側にずれた場合には、重心の偏りを考慮して適度なヨーモーメントとなるように左右輪の制動力差を調整しているから、車両重心ΔGの位置の変動に関わらず、自車両の向きを車線中央に向けることの可能な過不足のない適度なヨーモーメントを作用させることができ、車線逸脱を的確に回避することができる。
また、例えば、自車両の最大積載量と同等程度の重量物を車両後部の荷室左側に積載している場合には、車両後左方の車体が沈み、サスペンションの変位量から算出される車両重心ΔGが図9(b)に示すように、車両後方に移動する。
このため、例えば、自車両が右方向に車線逸脱する場合には、車両重心ΔGのx方向成分が、車両中央Gx位置から車両後方のΔGx位置に移動し、また、車両重心ΔGのy方向成分が車両左側のΔGy位置に移動することから、式(17)〜(20)において、後輪の目標制動液圧差ΔPsrの、x方向成分ΔGxの項は大きくなり、また、y方向成分ΔGyの項が小さくなり、後輪の目標制動液圧差ΔPsrは、x方向成分ΔGx及びy方向成分ΔGyに応じて調整される。また、目標ヨーモーメントの絶対値|Ms|がそのしきい値Ms1以上であるときには、前輪の目標制動液圧差ΔPsfが、ΔGx、ΔGyに応じてより小さな値に設定される。
このため、図9(c)に示すように、車両重心ΔGの位置に応じて、車両重心が車両左方向に位置することによるヨーモーメント過多を抑制するために後左輪の制動力が抑制されつつ、車両重心が車両後方に位置することによる前輪の減速度不足を回避するために後左右輪の制動力が増加されることになり、また、目標ヨーモーメントの絶対値|Ms|がそのしきい値Ms1以上であるときには、車両重心が車両中央に位置する場合よりも小さな値に抑制された目標制動液圧差ΔPsfが前輪に作用することで、結果的に、車両重心が車両左方向に位置することによるヨーモーメント過多を抑制し、且つ車両重心が車両後方に位置することによる前輪の減速度不足を回避し得る制動力が各輪に作用することになって、過不足のないヨーモーメントが自車両に作用することになる。
逆に自車両が左方向に車線逸脱する場合には、式(13)〜(16)に示すように、後輪の目標制動液圧差ΔPsrの、x方向成分ΔGxの項、及びy方向成分ΔGyの項が共に大きくなることから、車両重心が車両中央に位置する場合に比較して、後右輪により大きな制動力が作用し、また、目標ヨーモーメントの絶対値|Ms|がそのしきい値Ms1以上であるときには、前輪の目標制動液圧差ΔPsfがx方向成分ΔGx及びy方向成分ΔGyの位置に応じて調整される。このため、図9(c)に示すように、車両重心が車両中央にある場合に比較して、後輪左側の減速度の強度が高められ、また、目標ヨーモーメントの絶対値|Ms|がそのしきい値Ms1以上の場合には、前輪左側の減速度の強度が、重心位置が車両後方にあることによる前輪の減速度の不足を回避しつつ且つ車両重心が車両左側にあることによるヨーモーメント不足を抑制するように調整されることから、重心位置が車両後方にあることによる前輪の減速度不足を回避しつつ且つ車両重心が車両左側にあることによるヨーモーメント不足を抑制し適度なヨーモーメントを自車両に作用させることができる。
このように、車線逸脱防止制御においてヨーモーメントを発生させる際に、車両の重心位置を検出し、その位置に応じてヨーモーメントを発生させるための制動力を調整し、車両の重心位置が車両後方にあるときほど後輪の目標制動液圧差ΔPsrが大きくなるように調整し、後輪側の減速度がより強くなるように調整しているから、重心位置が後方に移動するに伴い、ヨーモーメントが不足傾向となるのに応じて後輪の減速度をより強めることで、重心位置の前後方向の移動に関わらず自車両の向きを所望とする方向に確実に向けることができる。
また、車両の重心位置が、左右輪のうち制動力を与える側に位置するときほど、与える制動力をより小さくなるように調整しているから、重心位置の偏りに起因してヨーモーメント過多傾向となるときほど制動力をより小さくしてヨーモーメントを抑制することができ、逆にヨーモーメント不足傾向となるときほど与える制動力がより大きくなるようにしてより大きなヨーモーメントを作用させることができ、重心位置の左右方向の移動に関わらず適切なヨーモーメントを自車両に作用させ、自車両を所望とするヨー方向に確実に移動させることができる。
また、上記実施の形態においては、車両重心位置を、サスペンションの変位量から算出するようにしているから、現時点における車両重心位置を検出することができると共に、サスペンションの変位量から重心位置を算出しているから、寸法や重量の異なる他種の車両であっても容易に適用することができ、その分、コスト削減を図ることができると共に普及を促進することができる。
なお、上記実施の形態においては、上記(15)、(16)式及び(19)、(20)式に示すように、目標ヨーモーメントの絶対値|Ms|がそのしきい値Ms1よりも大きいときには、前輪側及び後輪側共に、左右輪の制動力に差を設けるようにした場合について説明したが、これに限るものではない。例えば、目標ヨーモーメントの絶対値|Ms|がそのしきい値Ms1よりも大きいときには、前輪側にのみ、左右輪の制動力に差を設け、後輪側の左右輪には制動力差を設けないようにした場合であっても適用することができる。この場合には、自車両が左に逸脱する場合には次式(24)、右に逸脱する場合には次式(25)に基づいて算出すればよい。
左に逸脱し且つ|Ms|≧Ms1の場合
ΔPsf
=[2・Kbf・|Ms|/T]・[ΔGx/Gx]・[(T−ΔGy)/Gy]
……(24)
右に逸脱し且つ|Ms|≧Ms1の場合
ΔPsf
=[2・Kbf・|Ms|/T]・[ΔGx/Gx]・[ΔGy/Gy] ……(25)
この場合には、重心位置が前後方向に変動すると、車両重心が前方に位置するときほど車両に作用するヨーモーメントが不足傾向となることから、車両重心が前方に位置するときほど前輪の目標制動液圧差ΔPsfを大きくする。また、重心位置が左右方向に変動した場合には、自車両が右に逸脱傾向にあり重心位置が左側に位置し自車両に作用するヨーモーメント過多となるときほど目標制動液圧差ΔPsfを小さくしてヨーモーメントを抑制する。また、自車両が左に逸脱傾向にあり重心位置が左側に位置し自車両に作用するヨーモーメントが不足傾向となるときほど目標制動液圧差ΔPsfを大きくして、より大きなヨーモーメントを作用させる。したがって、この場合も上記と同等の作用効果を得ることができる。
また、目標ヨーモーメントの絶対値|Ms|がそのしきい値Ms1よりも大きいときには、車線逸脱防止制御の制御介入の初期段階で、前後輪のうち重心が位置する側にのみ制動力差を設けるようにしてもよい。つまり、図2のステップS9の処理で、目標制動液圧差ΔPsf,ΔPsrを算出する際に、図10に示す手順で算出し、例えば、重心が位置する側を主制御輪とすると、重心位置が車両後方にずれている場合には、制御介入の初期段階では、主制御輪としての後輪側の左右輪にのみ制動力差を設け、前輪側には左右輪に制動力差を設けない(ステップS11)。つまり、後輪側の左右輪にのみ制動力差を設けることで目標ヨーモーメントMsを得る。
そして、制御介入後、予め設定した時間が経過した後は(ステップS12)、前輪側の制動力差を徐々に大きくし、逆に後輪側の制動力差を徐々に小さくし、前輪側及び後輪側に制動力差を設けることで目標ヨーモーメントMsを発生させる(ステップS13)。そして、前輪側の制動力差がその目標値に達した後は(ステップS14)、引き続き前輪側及び後輪側共に制動力差を設けて目標ヨーモーメントMsを発生させるようにしてもよく、また、前輪側の制動力差が目標値に達した後は、後輪側にのみ制動力差を設けるようにしてもよい(ステップS15)。そして、車線逸脱防止制御が終了するまでの間、前輪側にのみ制動力差を設け目標ヨーモーメントMsを発生させる(ステップS16)。
つまり、制御介入初期の時点で、重心が位置する主制御輪側例えば後輪側に強い制動力を付与することで、ヨーモーメントを発生すると共に、車両全体としてより強い減速度を得ることができ、自車両を効果的に減速させることができる。これと共に、自車両の重心位置を主制御輪側から他方の側、すなわち前輪側に移動させることができるから、制御介入開始後、所定時間が経過し、重心位置が主制御輪側から他方の側に移動した時点で、前輪側の制動力を増加させることで、車両全体としてより大きな減速度を得ることができ、自車両を効果的に減速させることができる。そして、自車両の重心位置が主制御輪とは逆側、つまり前輪側に移動している状態で、前輪側にのみ制動力差を設け、前輪の制動力を増加させることで、車両全体としてより大きな減速度を得ることができ、自車両を効果的に減速させることができる。つまり、自車両の向きを変えるヨーモーメントの発生と共に、自車両を減速させるための減速度をも効果的に発生させることができ、車線逸脱防止制御をより効果的に行うことができる。
また、上記実施の形態においては、車線逸脱防止方法としてヨーモーメントを発生させると共に、減速制御により減速度を発生させるようにした場合について説明したが、これに限るものではなく、ヨーモーメントのみを発生させることで車線逸脱防止を図るようにした場合であっても適用することができる。
なお、上記実施の形態において、図2のステップS2の処理が重心位置検出手段に対応し、ステップS8の処理で、式(13)〜(20)に基づいて、重心位置ΔGx、ΔGyに応じて前輪及び後輪の目標制動液圧差ΔPsf、ΔPsrを算出する処理が制動力補正手段に対応し、車高センサ25FL〜25RRが変位量検出手段に対応している。
本発明の車線逸脱防止装置の一例を示す概略構成図である。 制駆動力コントロールユニットで実行される演算処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。 車両の重心位置の算出方法を説明するための説明図である。 走行車線の曲率ρとしきい値xAとの対応を表す特性図である。 自車両の走行速度Vと比例係数K2との対応を表す特性図である。 自車両の走行速度Vと比例係数Kgvとの対応を表す特性図である。 本発明の動作説明に供する説明図である。 本発明の動作説明に供する説明図である。 本発明の動作説明に供する説明図である。 目標制動液圧差ΔPsf,ΔPsrの、その他の算出方法を説明するフローチャートである。
符号の説明
6FL〜6RR ホイールシリンダ
7 制動流体圧制御部
8 制駆動力コントロールユニット
9 エンジン
12 駆動トルクコントロールユニット
13 撮像装置
15 ナビゲーション装置
17 マスタシリンダ圧センサ
18 アクセル開度センサ
19 操舵角センサ
22FL〜22RR 車輪速度センサ
25FL〜25RR 車高センサ

Claims (8)

  1. 自車両の逸脱方向とは逆側の車輪に逸脱防止用制動力を付与して自車両にヨーモーメントを付与することにより、走行車線からの逸脱を防止するようにした車線逸脱防止装置において、
    自車両の重心位置を検出する重心位置検出手段と、
    当該重心位置検出手段で検出した自車両の重心位置に応じて、各車輪に作用する制動力を補正する制動力補正手段と、を備え
    前記制動力補正手段は、後輪側の前記逸脱防止用制動力を、前記重心位置検出手段で検出される重心位置が、左輪側及び右輪側のうち前記逸脱防止用制動力を付与する車輪側に近いときほど小さくなるように補正することを特徴とする車線逸脱防止装置。
  2. 記制動力補正手段は、後輪側の車輪に付与する前記逸脱防止用制動力を、前記重心位置検出手段で検出された重心位置が自車両の後方に位置するときほどより大きな値となるように補正することを特徴とする請求項1記載の車線逸脱防止装置。
  3. 前記制動力補正手段は、前記ヨーモーメントの付加開始から所定期間は、前輪及び後輪のうち前記重心位置検出手段で検出された重心位置に近い側の車輪にのみ前記逸脱防止用制動力を付与するように補正を行うことを特徴とする請求項2記載の車線逸脱防止装置。
  4. 自車両の逸脱方向とは逆側の車輪に逸脱防止用制動力を付与して自車両にヨーモーメントを付与することにより、走行車線からの逸脱を防止するようにした車線逸脱防止装置において、
    自車両の重心位置を検出する重心位置検出手段と、
    当該重心位置検出手段で検出した自車両の重心位置に応じて、各車輪に作用する制動力を補正する制動力補正手段と、を備え、
    前記制動力補正手段は、後輪側の車輪に付与する前記逸脱防止用制動力を、前記重心位置検出手段で検出された重心位置が自車両の後方に位置するときほどより大きな値となるように補正し、且つ前記ヨーモーメントの付加開始から所定期間は、前輪及び後輪のうち前記重心位置検出手段で検出された重心位置に近い側の車輪にのみ前記逸脱防止用制動力を付与するように補正を行い、
    記所定期間経過後、前輪及び後輪に前記逸脱防止用制動力を付与し且つ前記重心位置から遠い側の車輪の前記逸脱防止用制動力が徐々に増加するように補正を行うことを特徴とする車線逸脱防止装置。
  5. 前記制動力補正手段は、前記重心位置から遠い側の車輪に付与する前記逸脱防止用制動力がその目標値に達した後は、当該車輪にのみ前記逸脱防止用制動力を付与するように補正を行うことを特徴とする請求項4記載の車線逸脱防止装置。
  6. 記制動力補正手段は、後輪側の前記逸脱防止用制動力を、前記重心位置検出手段で検出される重心位置が、左輪側及び右輪側のうち前記逸脱防止用制動力を付与する車輪側に近いときほど小さくなるように補正することを特徴とする請求項4または請求項5記載の車線逸脱防止装置。
  7. 前記制動力補正手段は、前記逸脱防止用制動力を付与する車輪に対する制動力制御量が制御可能範囲を超えるときには、前記逸脱防止用制動力を付与する車輪とは左右逆側の車輪の駆動力を補正することを特徴とする請求項から請求項6の何れか1項に記載の車線逸脱防止装置。
  8. 前記重心位置検出手段は、各車輪位置におけるサスペンションの変位量を検出する変位量検出手段を備え、
    当該変位量検出手段で検出した各車輪位置における変位量から自車両の重心位置を算出することを特徴とする請求項1から請求項7の何れか1項に記載の車線逸脱防止装置。
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