JP4464859B2 - 低降伏比鋼板を用いた大入熱溶接継手及び溶接方法 - Google Patents

低降伏比鋼板を用いた大入熱溶接継手及び溶接方法 Download PDF

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Description

本発明は、低降伏比鋼板を用い、良好なHAZ靭性を有する大入熱溶接継手及び溶接方法に関するものである。
近年、中高層ビル、橋梁などの大型建築構造物に使用される溶接用鋼材の材質特性に対する要望は厳しさを増している。さらにそのような構造物を建造する際、溶接の効率化を促進するため、フラックス−銅バッキング溶接法、エレクトロガス溶接法、エレクトロスラグ溶接法などに代表されるような大入熱溶接法の適用が希望されており、鋼材自身の靭性と同様に、溶接熱影響部(HAZ)の靭性への要求も厳しさを増している。また、大型建築構造物は、耐震性が要求されるため鋼材自身の低降伏比(YP/TS)特性及び高い引張強さの鋼が必要とされている。
一般に溶接入熱が大きくなるとHAZ部の組織が粗大化し靭性が低下することが知られている。これに対し、大入熱溶接時の鋼材のHAZ靭性を向上する方法として、種々の方法が提案されている。
微細なTi窒化物を鋼中に確保することによって、HAZのオーステナイト粒を小さくし、靭性を向上させる方法、Ti窒化物とMnSとの複合析出物をフェライトの変態核として活用し、HAZの靭性を向上させる方法が提案されている。
また、溶接ボンド部近傍の靭性を改善する方法として、Ti酸化物を含有した鋼が厚板、形鋼などの様々な分野で使用されている(特許文献1、特許文献2)。Ti酸化物を含有した鋼は大入熱溶接部靭性向上に非常に有効である。この原理は、鋼の融点においても安定なTi酸化物をサイトとして、溶接後の温度低下途中にTi窒化物、MnS等が析出し、さらにそれらをサイトとして微細フェライトが生成し、その結果靭性に有害な粗大フェライトの生成が抑制され、靭性の劣化が防止できるというものである。
さらに、特許文献3、4においては、溶接金属中にBを含有させ、溶接中の高温を利用して溶接金属中のBをHAZ部に拡散させ、溶接金属に近いHAZ部の有害な固溶NをBNとして固定するとともに、BNが微細なフェライトの核として作用することでHAZ部の靭性の向上を図っている。
特開昭61−79745号公報 特開昭62−103344号公報 特開2003−138339号公報 特開2003−211268号公報
特許文献3に記載のものは、鋼板のC含有量上限を0.15%とし、特許文献4に記載のものもその実施例における鋼板のC含有量は0.08%以下となっている。一方、高強度低降伏比鋼板においては、鋼板中のC濃度を0.15%以上とすることによって、高強度と低降伏比の両立を図ることがある。このように母材中に高濃度のCが存在する場合、HAZ部では母材中のCが溶接熱影響を受けてセメンタイトに析出し、脆性亀裂の発生点となって靭性を劣化させる原因となるが、特許文献3、4に記載の方法ではこの問題に対処することができない。また、母材中のC含有量が高い場合には、溶接金属中のBがHAZ部に拡散してHAZ部の焼入性を増大させる結果、特にHAZ部の硬さが過剰に上昇し、靭性劣化を招く原因となる。
本発明は、C濃度が高い低降伏比鋼板を用いた場合であっても、良好なHAZ靭性を有する大入熱溶接継手及び溶接方法を提供することを目的とする。
鋼板中のC濃度が高い値であっても、溶接金属中のC濃度が低い値であった場合、溶接入熱70kJ/cm以上の大入熱で溶接を行うと、溶接時の高温によって鋼板HAZ部中の炭素は低炭素の溶接金属中に拡散する。そのため、溶接後においてHAZ部の炭素が低減し、その結果としてHAZ部の靭性が向上することが明らかとなった。鋼板中のC濃度をCb、溶接金属中のC濃度をCwとしたときに、Cb−Cwの値を0.06%以上とすると炭素拡散の効果を十分に発揮することができる。
本発明は上記知見に基づいてなされたものであり、その要旨とするところは以下のとおりである。
(1)質量%で、C:0.14〜0.20%、Si:0.05〜0.25%、Mn:0.4〜2.0%を含有し、P:0.02%以下、S:0.02%以下であり、残部Fe及び不可避不純物からなる鋼板を、
C:0.04〜0.11%、Si:0.10〜0.80%、Mn:0.4〜2.8%を含有し、P:0.02%以下、S:0.02%以下であり、残部Fe及び不可避不純物からなる溶接金属によって接合してなり、
前記鋼板中のC濃度をCb、溶接金属中のC濃度をCwとしたときに、Cb−Cwの値が0.06%以上であることを特徴とする低降伏比鋼板を用いた大入熱溶接継手。
(2)前記鋼板はさらに質量%で、Ni:0.1〜1.0%、V:0.01〜0.1%、Mo:0.05〜0.6%、Al:0.005〜0.04%、Ti:0.005〜0.03%、Nb:0.005〜0.05%、B:0.0005〜0.003%、Ca:0.0005〜0.003%、Mg:0.0003〜0.002%の1種又は2種以上を含有することを特徴とする上記(1)に記載の低降伏比鋼板を用いた大入熱溶接継手。
(3)前記溶接金属はさらに質量%で、Ni:0.1〜3.0%、V:0.01〜0.6%、Mo:0.01〜1.0%、Al:0.003〜0.05%、Ti:0.001〜0.05%、Nb:0.01〜0.1%、B:0.0001〜0.007%の1種又は2種以上を含有することを特徴とする上記(2)に記載の低降伏比鋼板を用いた大入熱溶接継手。
(4)質量%で、C:0.14〜0.20%、Si:0.05〜0.25%、Mn:0.4〜2.0%を含有し、P:0.02%以下、S:0.02%以下であり、残部Fe及び不可避不純物からなる鋼板を、70kJ/cm以上の入熱で溶接して接合し、
その接合部の溶接金属の含有成分を、C:0.04〜0.11%、Si:0.10〜0.80%、Mn:0.4〜2.8%を含有し、P:0.02%以下、S:0.02%以下であり、残部Fe及び不可避不純物で、かつ、
前記鋼板中のC濃度をCb、溶接金属中のC濃度をCwとしたときに、Cb−Cwの値が0.06%以上であることを特徴とする低降伏比鋼板を用いた大入熱溶接継手の溶接方法。
(5)前記鋼板はさらに質量%で、Ni:0.1〜1.0%、V:0.01〜0.1%、Mo:0.05〜0.6%、Al:0.005〜0.04%、Ti:0.005〜0.03%、Nb:0.005〜0.05%、B:0.0005〜0.003%、Ca:0.0005〜0.003%、Mg:0.0003〜0.002%の1種又は2種以上を含有することを特徴とする上記(4)に記載の低降伏比鋼板を用いた大入熱溶接継手の溶接方法。
(6)前記溶接金属はさらに質量%で、Ni:0.1〜3.0%、V:0.01〜0.6%、Mo:0.01〜1.0%、Al:0.003〜0.05%、Ti:0.001〜0.05%、Nb:0.01〜0.1%、B:0.0001〜0.007%の1種又は2種以上を含有することを特徴とする上記(5)に記載の低降伏比鋼板を用いた大入熱溶接継手の溶接方法。
本発明は、溶接金属中のC濃度を鋼板中のC濃度より0.06%以上低い値とし、溶接中の高温を利用して炭素をHAZ部から溶接金属中に拡散させることによってHAZ部を低炭化し、C濃度が高い低降伏比鋼板を用いた場合であっても、良好なHAZ靭性を有する大入熱溶接継手及び溶接方法を実現することができる。
まず、本発明の溶接継手及び溶接方法に用いる母材としての鋼板及び溶接金属それぞれについて、C濃度の限定理由について説明する。
鋼板中のC濃度(Cb)は鋼の強度を向上させるとともに低降伏比を得るために必要な元素である。鋼板中のC濃度が0.14質量%未満では十分な母材強度が得られず、また降伏比が過剰となるので、下限を0.14質量%とした。また、C濃度が0.20質量%を超えると、溶接中におけるHAZ部から溶接金属への拡散によっても十分にHAZ部C濃度を低減することができず、HAZにおいて有害な脆化相である粗大なセメンタイトが生成し、また固溶Cの作用により硬さが課題となってHAZ靭性が悪化するので、上限を0.20質量%とした。
鋼板中のC濃度が高い値であっても、溶接金属中のC濃度が低い値であった場合、溶接入熱70kJ/cm以上の大入熱で溶接を行うと、溶接時の高温によって鋼板HAZ部中の炭素は低炭素の溶接金属中に拡散する。そのため、溶接後においてHAZ部の炭素が低減し、その結果としてHAZ部の靭性が向上する。
溶接継手における溶接金属中のC濃度(Cw)については、Cが0.04質量%未満では溶接材料のコストが過大となり、また溶接金属の強度が不足するので、下限を0.04質量%とした。また、Cが0.11質量%を超えると母材とのC濃度の差が十分でなく、溶接金属に近いHAZ部から溶接金属へのCの拡散が十分生じない上に、有害な脆化相である粗大なセメンタイトが生成し、また固溶Cの作用により硬さが過大となって溶接金属靭性が劣化するので、上限を0.11質量%とした。
鋼板HAZ部の含有炭素を溶接金属中に拡散させ、それによってHAZ靭性を改善するためには、鋼板C濃度に比較して溶接金属C濃度が十分に低い値であることが必要である。本発明においては、鋼板中のC濃度(Cb)と溶接金属中のC濃度(Cw)の関係について、Cb−Cwの値が0.06%以上であることを特徴とする。Cb−Cwの値が0.06%以上であれば、溶接金属のC濃度がHAZのC濃度に比較して十分に低くなり、溶接金属に近いHAZ部から溶接金属へのCの拡散量が十分であり、HAZにおいて粗大なセメンタイトを形成することなく、また固溶Cがマトリックスの靭性を劣化させることがないからである。
次に、本発明の溶接継手及び溶接方法に用いる母材としての鋼板におけるC以外の成分限定理由について説明する。
Siは母材の強度確保、脱酸などに必要な成分であり、0.05%以上添加するが、HAZの硬化により靭性が低下するのを防止するため上限を0.25%とした。
Mnは母材の強度、靭性の確保に有効な成分として0.4%以上の添加が必要であるが、溶接部の靭性、割れ性などの許容できる範囲で上限を2.0%とした。
Pは含有量が少ないほど望ましいが、これを工業的に低減させるためには多大なコストがかかることから、0.02%を上限とした。
Sは含有量が少ないほど望ましいが、これを工業的に低減させるためには多大なコストがかかることから、0.02%を上限とした。
本発明の鋼板は、さらに下記の元素を含有させることとしても良い。
Niは鋼材の強度および靭性を向上させるために有効であり、0.1%以上必要であるが、Ni量の増加は製造コストを上昇させるので、1.0%を上限とした。
V、MoはNbと同様に鋼の強度及び靭性を向上させる効果を有するため、必要に応じてそれぞれ0.01%、0.05%以上含有させるがHAZ部においては過剰な添加は靭性を著しく低下させるため、それぞれ0.1%、0.6%を上限とした。
Alは重要な脱酸元素であり、下限値を0.005%とした。また、Alが多量に存在すると、鋳片の表面品位が劣化するため、上限を0.04%とした。
TiはNと結合してTi窒化物を形成させるために0.005%以上添加する。しかし、固溶Ti量が増加するとHAZ靭性が低下するため、0.03%を上限とした。
Nbは焼入れ性を向上させることにより鋼の強度および靭性を向上させるために有効な元素であり、0.005%以上必要であるが、HAZ部においては過剰な添加は靭性を著しく低下させるため0.05%を上限とした。
Bは鋼の焼入性を改善すると共に、強度を向上させる元素であるが、0.0005%未満では充分な効果が得られず、一方、0.003%を超えると靭性を低下させるので、Bは0.0005〜0.003%とした。
CaはCa系酸化物を生成させるために0.0005%以上の添加が必要である。しかしながら、過剰の添加は粗大介在物を生成させるため、0.003%を上限とした。
MgはCaと複合して脱酸に使用することで酸化物個数を増加させる元素であり、必要に応じて0.0003%以上含有させる。しかしながら、過剰の添加は粗大介在物を生成させるため、Mgは0.002%以下とした。
本発明に用いる鋼板は、降伏強度(あるいは0.2%耐力)が400MPa以上であると好ましい。また、降伏比が80%以下であると好ましい。これら降伏強度及び降伏比を満足する鋼板において、本発明の効果が特に顕著となるためである。
次に、本発明の溶接継手における溶接金属、及び本発明の溶接方法で用いる溶接金属におけるC以外の成分限定理由について説明する。
Siは溶接金属の酸素固定、強度向上作用を有し、その含有量が0.10%を下回ると固定されなかった溶接金属の酸素がBと結合し、Bの効果が得られなくなり、また十分な溶接金属強度も得られないので、下限は0.10%とした。また、0.80%を超えると溶接金属の強度が過剰となって靭性が劣化するので、上限は0.80%とした。
Mnは溶接金属の強度向上作用を有し、その含有量が0.4%を下回ると十分な溶接金属強度が得られないので、下限は0.4%とした。また、2.8%を超えると溶接金属の強度が過剰となって靭性が劣化するので、上限は2.8%とした。
Pは含有量が少ないほど望ましいが、これを工業的に低減させるためには多大なコストがかかることから、0.02%を上限とした。
Sは含有量が少ないほど望ましいが、これを工業的に低減させるためには多大なコストがかかることから、0.02%を上限とした。
本発明で用いる溶接金属は、さらに下記の元素を含有させることとしても良い。
溶接金属中にNiを0.1%含有させることにより、溶接金属にCを熱力学的に安定的に固溶させ、母材から溶接金属へのCの拡散を促進することができるので好ましい。一方、Niを3.0質量%超含有させると溶接金属のコストが過大となるため、上限を3.0質量%とした。
Vは微量で効果的に溶接金属の強度を向上させることができるが、その含有量が0.01%を下回ると十分な効果が得られないので、下限を0.01%とした。また、0.6%を超えると溶接金属の強度が過剰となって靭性が劣化するので、上限は0.6%とした。
Moは溶接金属の焼入性を向上し、大入熱溶接時の溶接金属の靭性を効果的に改善することができるが、その含有量が0.01%を下回ると十分な効果が得られないので、下限を0.01%とした。また、1.0%を超えると溶接金属の強度が過剰となって靭性が劣化するので、上限は1.0%とした。
AlもSiと同様に溶接金属の酸素固定作用を有し、0.003%以上で効果を発揮する。しかしながら、0.05%を超えると溶接金属の強度が過剰となって靭性が劣化するので、上限は0.05%とした。
Tiは酸化物を形成して強度、靭性の向上のために有効な微細な結晶粒のアシキュラーフェライトを生成するための核生成サイトとなる。その効果を発揮するためには溶接金属中に0.001%以上含有される必要があるが、0.05%を超えて溶接金属中に含有されると酸化物あるいは窒化物として固定されなかったTiがフェライトマトリックス中に固溶し、靭性を劣化させるので、その上限を0.05%とした。
NbもVと同様に微量で効果的に溶接金属の強度を向上させることができるが、その含有量が0.01%を下回ると十分な効果が得られないので、下限を0.01%とした。また、0.1%を超えると溶接金属の強度が過剰となって靭性が劣化するので、上限は0.6%とした。
Bは微量でも溶接金属中のオーステナイト粒界に偏析し、靭性に有害な粗大な初析フェライトの形成を抑制するので、0.0001%以上含有する必要がある。しかしながら0.007%以上含有されると過剰なBがフェライトマトリックス中に固溶し、靭性を劣化させるので、その含有量の上限は0.007%とした。
本発明の溶接継手及び溶接方法においては、溶接時の入熱が70kJ/cm以上において特に顕著な効果を発揮することができる。溶接入熱が70kJ/cm以上であれば、Cが拡散する高温(概ね800℃以上)における滞留時間が長くなり、溶接金属に近いHAZから溶接金属へのCの拡散を十分に確保することができるからである。また、溶接入熱が70kJ/cm以上の場合において、従来方法では低降伏比鋼板の溶接HAZ部靭性劣化が激しく、本発明の効果が顕著に認められるからである。
表1、2に示す化学成分を有し板厚50mmの鋼板を用い、表3、4に示す入熱条件で1パスのエレクトロスラグ溶接あるいは多パスのサブマージアーク溶接を行い、溶接継手を形成した。溶接継手の溶接金属は表3、4に示す化学成分を有する。またその他の条件に関し、エレクストロスラグ溶接ワイヤについてはJIS Z 3353 YES 62に準拠し、エレクトロスラグ溶接フラックスについてはJIS Z 3353 FS−FG3に準拠し、サブマージアーク溶接ワイヤについてはJIS Z 3351 YS−M1に準拠し、サブマージアーク溶接フラックスについてはJIS Z 3352 FS−BT1に準拠した条件を用いている。
鋼板の製造方法は、転炉溶製し、RH真空脱ガス装置を用いて真空脱ガス処理を行うに際して脱酸を行っている。連続鋳造により280mm厚の鋳片に鋳造した後、1150℃で加熱し、圧延を経て水冷、室温まで冷却し、板厚50mmの鋼板として製造した。
溶接継手の溶接金属含有成分を表3、4に示す化学成分とするため、溶接に使用した溶接材料中の化学成分は、表2に示す溶接金属化学成分に対して、希釈の影響を考慮して所定量を添加した。なお、サブマージアーク溶接の場合は焼成型フラックス中に所定の合金粉末を添加することによっても容易に溶接金属の化学成分を調整することができる。
表3には母材特性、及びボンド部の靭性評価結果を示す。母材特性の計測は板厚中心にて代表的に評価した。ボンド靭性評価のためのシャルピー吸収エネルギーは、フュージョンライン部位で試験温度0℃にて6本の試験を行い、その平均値である。
Figure 0004464859
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表1、3、5の試験番号S1〜S19が本発明例である。鋼板の化学成分、溶接金属の化学成分、Cb−Cwの値がいずれも本発明範囲内にある。鋼板C濃度はいずれも0.14%以上であり、その結果降伏比が80%以下であって低降伏比を実現している。鋼板C濃度が高濃度であって、かつ溶接入熱が83〜900kJ/cmと大入熱の溶接を行ったにもかかわらず、ボンド部の吸収エネルギーは72J以上と良好なHAZ部靭性を実現している。Cb−Cwの値を本発明範囲内として溶接中に鋼板HAZ部から溶接金属へのC拡散を促した結果として、HAZ部靭性が向上したものである。
表2、4、6の試験番号S20〜S40が比較例である。表2、4のアンダーラインは本発明範囲外であることを示す。
S20は鋼板C濃度が本発明の下限よりも低いため、鋼板が低降伏比を実現していない。S21は鋼板C濃度が高すぎ、S22は鋼板Si濃度が低すぎ、S23は鋼板Si濃度が高すぎ、S24は鋼板Mn濃度が低すぎ、S25は鋼板Mn濃度が高すぎ、いずれもボンド靭性が低すぎるという結果となった。
S26はCb−Cwの値が本発明の範囲から外れ、S27は低入熱であるため、いずれも溶接時のC拡散が十分でなく、ボンド靭性が低すぎるという結果となった。
S28は鋼板Niが高すぎ、S29は鋼板Vが高すぎ、S30は鋼板Crが高すぎ、S31は鋼板Moが高すぎ、S32は鋼板Alが高すぎ、S33は鋼板Tiが高すぎ、S34は鋼板Nbが高すぎ、S35は鋼板Bが高すぎ、S36は鋼板Caが高すぎ、S37は鋼板Mgが高すぎ、いずれもボンド靭性が低すぎるという結果となった。
S38は、C濃度0.17%で低降伏比の鋼板を入熱量894kJ/cmで大入熱溶接するに際し、溶接金属として特に低炭素化の配慮をしていない従来の溶接方法を採用したものである。HAZ部からのC拡散の効果が得られないため、ボンド靭性が低すぎるという結果であった。
S39は、特許文献3に記載の従来例を示したものである。鋼板C濃度が低く、溶接中に溶接金属からHAZ部にBを拡散させており、ボンド靭性は十分であったものの、鋼板C濃度が低すぎるために鋼板の低降伏比を実現できていない。
S40は、鋼板C濃度を高くして低降伏比とした鋼板を用い、特許文献3に記載の方法を適用したものである。溶接金属中のBがボンド部に拡散し、ボンド部は高炭素であるために硬度が過剰に上昇し、靭性が劣化するという結果となった。

Claims (6)

  1. 質量%で、C:0.14〜0.20%、Si:0.05〜0.25%、Mn:0.4〜2.0%を含有し、P:0.02%以下、S:0.02%以下であり、残部Fe及び不可避不純物からなる鋼板を、
    C:0.04〜0.11%、Si:0.10〜0.80%、Mn:0.4〜2.8%を含有し、P:0.02%以下、S:0.02%以下であり、残部Fe及び不可避不純物からなる溶接金属によって接合してなり、
    前記鋼板中のC濃度をCb、溶接金属中のC濃度をCwとしたときに、Cb−Cwの値が0.06%以上であることを特徴とする低降伏比鋼板を用いた大入熱溶接継手。
  2. 前記鋼板はさらに質量%で、Ni:0.1〜1.0%、V:0.01〜0.1%、Mo:0.05〜0.6%、Al:0.005〜0.04%、Ti:0.005〜0.03%、Nb:0.005〜0.05%、B:0.0005〜0.003%、Ca:0.0005〜0.003%、Mg:0.0003〜0.002%の1種又は2種以上を含有することを特徴とする請求項1に記載の低降伏比鋼板を用いた大入熱溶接継手。
  3. 前記溶接金属はさらに質量%で、Ni:0.1〜3.0%、V:0.01〜0.6%、Mo:0.01〜1.0%、Al:0.003〜0.05%、Ti:0.001〜0.05%、Nb:0.01〜0.1%、B:0.0001〜0.007%の1種又は2種以上を含有することを特徴とする請求項2に記載の低降伏比鋼板を用いた大入熱溶接継手。
  4. 質量%で、C:0.14〜0.20%、Si:0.05〜0.25%、Mn:0.4〜2.0%を含有し、P:0.02%以下、S:0.02%以下であり、残部Fe及び不可避不純物からなる鋼板を、70kJ/cm以上の入熱で溶接して接合し、
    その接合部の溶接金属の含有成分を、C:0.04〜0.11%、Si:0.10〜0.80%、Mn:0.4〜2.8%を含有し、P:0.02%以下、S:0.02%以下であり、残部Fe及び不可避不純物で、かつ、
    前記鋼板中のC濃度をCb、溶接金属中のC濃度をCwとしたときに、Cb−Cwの値が0.06%以上であることを特徴とする低降伏比鋼板を用いた大入熱溶接継手の溶接方法。
  5. 前記鋼板はさらに質量%で、Ni:0.1〜1.0%、V:0.01〜0.1%、Mo:0.05〜0.6%、Al:0.005〜0.04%、Ti:0.005〜0.03%、Nb:0.005〜0.05%、B:0.0005〜0.003%、Ca:0.0005〜0.003%、Mg:0.0003〜0.002%の1種又は2種以上を含有することを特徴とする請求項4に記載の低降伏比鋼板を用いた大入熱溶接継手の溶接方法。
  6. 前記溶接金属はさらに質量%で、Ni:0.1〜3.0%、V:0.01〜0.6%、Mo:0.01〜1.0%、Al:0.003〜0.05%、Ti:0.001〜0.05%、Nb:0.01〜0.1%、B:0.0001〜0.007%の1種又は2種以上を含有することを特徴とする請求項5に記載の低降伏比鋼板を用いた大入熱溶接継手の溶接方法。
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