JP4463774B2 - 無線中継システムおよび無線中継方法 - Google Patents

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Description

本発明は、ひとつの基地局装置が複数の端末局装置と同時に空間多重して通信を行うマルチユーザMIMO(Multiple Input Multiple Output)通信の手法を利用した無線中継システムおよび無線中継方法に関する。
近年、2.4GHz帯または5GHz帯を用いた高速無線アクセスシステムとして、IEEE802.11g規格、IEEE802.11a規格などの普及が目覚しい。これらのシステムでは、マルチパスフェージング環境での特性を安定化させるための技術である直交周波数分割多重(OFDM:Orthogonal Frequency Division Multiplexing)変調方式を用い、最大で54Mbpsの伝送速度を実現している。ただし、ここでの伝送速度とは物理レイヤ上での伝送速度であり、実際にはMAC(Medium Access Control)レイヤでの伝送効率が50〜70%程度であるため、実際のスループットの上限値は30Mbps程度である。一方で、有線LANの世界ではEthernetの100Base−Tインタフェースをはじめ、各家庭にも光ファイバを用いたFTTH(Fiber to the home)が普及し、また100Mbpsの高速回線の提供が普及しており、無線LANの世界においても更なる伝送速度の高速化が求められている。そのための技術としては、MIMO技術が有力である。このMIMO技術とは、送信局装置側において複数の送信アンテナから同一チャネル上で異なる独立な信号を空間多重して送信し、受信局装置側において同じく複数のアンテナを用いて信号を受信し、各送信アンテナ/受信アンテナ間の伝達関数行列を求め、この行列を用いて送信局装置側の各アンテナから送信した独立な信号を受信局装置側で推定し、データを再生するものである。
このMIMO通信技術の適用においては、比較的通信条件が良い環境、すなわち信号対雑音比(SNR:Signal to Noise Ratio)が高い環境には効果的であるが、例えば基地局装置から遠く離れた端末局装置に対してはあまり効果的な空間多重が期待できない。例えばホットスポットサービスの様に、比較的広範囲のサービスエリアに対するサービス提供を考えると、ひとつひとつのセルをMIMO通信を効率的に行える程度に縮小し、多数の基地局装置を設置してサービスエリア全体をカバーすることが好ましい。しかし、この場合には各基地局装置は、有線のネットワークに接続している必要があるため、それぞれの基地局装置に対し有線ネットワークの拡張工事を行う必要がある。基地局装置の設置工事としては、壁や天井への取り付け工事、AC電源の確保も必要であるが、比較的簡易に行えるこれらの工事に比べ、有線ネットワークの拡張工事は工事費も含め簡単ではない。さらには、ホットスポットサービスをCDショップや本屋等で行う場合には、現場が時折模様替えを行ったりして、基地局装置の設置場所もあまり目立たない場所に移動する必要に迫られることは少なくない。
この様な状況に柔軟に対応できる対策として、有線ネットワークに接続された1台の基地局装置(本明細書では便宜上、エントランス基地局装置と呼ぶ)の周りに中継用の基地局装置(本明細書では便宜上、サテライト基地局装置と呼ぶ)を複数配置し、無線を介してサテライト基地局装置経由でその配下の全ての端末局装置を収容する方法が提案されている。実際、無線LANの標準規格であるIEEE802.11系のシステムでは、SISO(Single Input Single Output)通信ではあるが、LAN間接続モード(WDS:Wireless Distribution System)が定義されている。この様な機能を実装した無線LANシステムは多数存在し、例えば非特許文献1として、以下のURLに挙げられるようなシステムが存在する。
一方、MIMO通信の究極の形態として、ひとつの基地局装置が複数の端末局装置と同時に空間多重して通信を行うマルチユーザMIMO通信がある。従来のMIMO通信の技術は、基地局装置と通信する端末局装置は時分割で基地局装置で接続され、常に1対1の通信であった。通常、これをシングルユーザMIMO通信と呼ぶ。このシングルユーザMIMO通信では、端末局装置は比較的少数のアンテナを小さな筐体の中に備え、各アンテナ間の相関は非常に強い状況である。この様な状態では、時空間資源を十分に有効活用することはできない。一般には、アンテナ間の距離を離し、アンテナ間の相関を低くすることで高次の空間多重を実現し、且つ、各サブチャネル(MIMO伝送において各信号系列の伝送に用いられる仮想チャネル)のSNRを高く保つことが可能である。
マルチユーザMIMO通信は、ひとつひとつの端末においては空間多重するMIMOチャネル数を少なくする一方、複数の異なる端末と同時に同一周波数チャネルで空間多重を行う。図2に、マルチユーザMIMOシステムの構成例を示す。図2において、101は基地局装置、102〜104は端末局装置#1〜#3を示す。実際にひとつの基地局装置が収容する端末局装置数は多数であるが、その中の数局装置を選び出し(図では端末局装置#1〜#3:102〜104)通信を行う。各端末局装置は基地局装置と比較して送受信アンテナ数が一般的に少ない。例えば基地局装置から端末局装置方向への通信(ダウンリンク)を行う場合を考える。基地局装置101は多数のアンテナを用いて、複数の指向性ビームを形成する。例えば、各端末局装置102〜104に対してそれぞれ3つのMIMOチャネルを割り当て、全体としては9系統の信号系列を送信する場合を考える。その際、端末局装置102に対して送信する信号は、端末局装置103および端末局装置104方向には指向性利得が極端に低くなるように調整し、この結果として端末局装置103および端末局装置104への干渉を抑制する。同様に、端末局装置103に対して送信する信号は、端末局装置102および端末局装置104方向には指向性利得が極端に低くなるように調整する。同様の処理を端末局装置104にも施す。この様に指向性制御を行う理由は、例えば端末局装置102においては、端末局装置103および端末局装置104で受信した信号の情報を知る術がないため、端末間での協調的な受信処理ができない。つまり、アンテナが3本しかない端末局装置102のみの受信処理において、9系統の全ての信号系列を信号分離することは非常に厳しい。そこで、各端末局装置には他の端末局装置宛の信号が受信されないように、送信側で干渉分離を事前に行う。
次に、指向性ビームの形成方法について、以下に説明を加える。例えば図2において、基地局装置101の第jアンテナと端末局装置102の第1受信アンテナとの間の伝達関数をh1jと表記することにする。基地局装置101のj=1〜9の全てのアンテナに関する伝達関数を用い、行ベクトルhを(h11,h12,h13,…,h18,h19)と表記する。同様に端末局装置102の第2受信アンテナ、第3受信アンテナと基地局装置101の伝達関数をh2jおよびh3jとし、対応する行ベクトルhおよびhを(h21,h22,h23,…,h28,h29)、(h31,h32,h33,…,h38,h39)とする。端末局装置103、端末局装置104の受信アンテナも同様に、行ベクトルh〜hを(h41,h42,h43,…,h48,h49)〜(h91,h92,h93,…,h98,h99)とする。加えて、基地局装置101が送信する9系統の信号をt〜tと表記し、これを成分とする列ベクトルをTx[all]=(t,t,t,…,t,t)と表記する。ここで、右肩のTの文字はベクトル、行列の転置を表す。また同様に、端末局装置102〜104の9本のアンテナでの受信信号をr〜rと表記し、これを成分とする列ベクトルをRx[all]=(r,r,r,…,r,r)と表記する。最後に、行ベクトルh〜hを第1から第9行成分とする行列を、全体伝達関数行列H[all]と表記する。この様に表記した場合、システム全体としては以下の関係式が成り立つ。
Figure 0004463774
ここで、受信側において効率的に信号分離を行えるように、送信局装置側では送信指向性制御を行う。ここでは9行9列の送信ウエイト行列Wを導入し、(式1)を以下のように書き換える。
Figure 0004463774
さらに、送信ウエイト行列Wを列ベクトルw〜wに分解し、W=(w,w,w,…,w,w)と表記すると、以下のように表すことができる。
Figure 0004463774
ここで、例えば6つの行ベクトルh〜hと3つの列ベクトルw〜wの乗算(各成分同士を乗算したものの総和、複素ベクトルの場合は内積とは異なる)が全てゼロになるようにw〜wを選ぶことを考える。同様に、行ベクトルh〜hおよびh〜hと列ベクトルw〜wの積、行ベクトルh〜hと列ベクトルw〜wの積の全てがゼロになるように選ぶことにする。すると、(式3)に示す9行9列の行列は、3行3列の9個の部分行列を用いて表記すると以下のように表すことができる。
Figure 0004463774
ここで、部分行列H[1]、H[2]、H[3]は3行3列の行列であり、またこの数式において「0」と示した部分行列は成分が全てゼロの3行3列の行列である。この様な条件を満たす変換行列Wを選択することで、(式4)は以下の3つの関係式に分解できる。
Figure 0004463774
Figure 0004463774
Figure 0004463774
ここで、Tx[1]=(t,t,t)、Tx[2]=(t,t,t)、Tx[3]=(t,t,t)、Rx[1]=(r,r,r)、Rx[2]=(r,r,r)、Rx[3]=(r,r,r)とした。この様にして、3つのシングルユーザMIMO通信とみなすことができるようになる。以上がマルチユーザMIMOシステムの概要である。
"無線LAN中継機能"、「online」、「平成18年01月17日検索」、インターネット<URL:http://www.aterm.jp/manual/guide/wireless_cmx/list/7850/m01_m29.html>
まず、エントランス基地局装置とサテライト基地局装置の間の無線中継伝送を考える。サテライト基地局装置は、通常の基地局装置機能に加えて、中継用のサテライト基地局装置機能を併せ持つ。通常の基地局装置では、同時に使用する周波数チャネルは1つのみであり、このことから1台のサテライト基地局装置は装置内に一組の送受信機しか存在しないケースが多い。この場合、中継機能と配下の端末との通信を両立するためには、中継に用いる通信と配下の端末との通信を同一の周波数チャネルで行う必要がある。この場合、近似的にはサテライト基地局装置と端末間の通信、サテライト基地局装置とエントランス基地局装置間の中継通信は、それぞれ同一のデータを2度伝送することになり、同程度の帯域を必要とする。この結果、システム全体としてのスループットは中継を行わない場合に比較して半減する。つまり、サテライト基地局装置と端末局装置の伝送速度を高速化するために全サービスエリアを分割する手法は、中継に伴う帯域のロスというハンディを避けては通れない状況である。つまりこの条件下では、エリア分割によりサテライト基地局装置と端末局装置の伝送速度が2倍以上にならなければメリットはないといえる。そもそもこの状況は中継における帯域がまるまるロスとみなされていたためであり、この中継の伝送効率を高めることがひとつの課題となっている。
一方、マルチユーザMIMO通信においては、(式3)に示した送信ウエイト行列の算出が必須である。一般の端末局装置の場合には、端末局装置の場所移動や周囲の動きにより、伝搬チャネルは時間的に変動する。シングルユーザMIMO通信の場合にも固有モード伝送のために送信指向性制御を行うことがあるが、1台の送信局装置と1台の受信局装置間のMIMOチャネルのみを考慮して最適化を行えばよかった。例えばシングルユーザMIMO通信では、送信ウエイト行列としてはMIMOチャネルに関する伝達関数行列を対角化するユニタリー行列などが用いられるが、その伝達関数行列のサイズ(行列の行数、列数)は比較的小さく、行列演算も比較的演算量が少なくて済んだ。
しかしながら、マルチユーザMIMO通信においては、同時に空間多重される端末数の増加に伴い行列のサイズが増大し、行列の対角化をはじめとする各種演算処理の計算量が指数関数的に増大する。一方で、ある端末局装置が静止している場合でも、他の端末局装置に動きがあると、再度、全体での送信ウエイト行列の最適化を行う必要がある。これは、ある端末局装置に対する信号送信が他の端末局装置に対して干渉とならないような指向性制御を行う場合、ひとつの端末局装置に動きがあると、他の端末局装置の送信指向性を全て調整しなおす必要があるからである。
また、多数の端末局装置がひとつのサテライト基地局装置の配下にある場合、同時に空間多重できる端末はそれらの全体の端末の中の一部であり、少数である。通信時には、多数の端末から同時に空間多重するのに適した端末の組み合わせを選択する必要があるが、ある端末局装置への送信信号が他の端末局装置に対してどの程度干渉となるかがシステム全体の特性を左右するため、同時に空間多重する端末局装置の組み合わせの選び方が重要である。しかし、その組み合わせの最適解はチャネルの時変動と共に変わるため、逐次、組み合わせの最適化処理を行わなければならない。例えば全体でN局装置の端末局装置があり、その中からM局装置を選択して空間多重をする場合、その組み合わせは通りとなる。この膨大な組み合わせに対し、それぞれ送信指向性制御の送信ウエイト行列を求め、初めて特性の優劣が評価できるのであるが、前述の様に送信ウエイト行列の演算は容易ではない。したがって、上記の様に逐次環境が激しく変動する環境では、マルチユーザMIMOにおいて求められる送信指向性制御の負荷は非常に大きくなる。そしてマルチユーザMIMO通信の運用中における処理・演算量の削減は必須の課題となっている。
図9は従来技術におけるマルチユーザMIMO通信の送信フローを示す図である。
従来技術におけるマルチユーザMIMO通信の送信フローを説明すると、まず送信タイミングが来ると(S301)、送信データのある端末局装置を把握し(S302)、これらの端末局装置と基地局装置との間の伝達関数行列を取得する(S303)。この伝達関数行列に関する情報をもとに、マルチユーザMIMO通信として空間多重可能な端末局装置を検索し、グループ化する(S304)。このグループに対し、お互いの信号が干渉とならないように送信ウエイト行列を算出し(S305)、この送信ウエイト行列を用いて信号を送信する(S306)。なお、ここでのグループ化手法や送信ウエイト算出手法は従来から用いられている手法のうち如何なるものを選んでも良い。ただし、限られた時間内に処理を完了できることや、ハードウエアとしての回路規模が膨大になると実装不可能になることがあるため、実際にマルチユーザMIMO技術を搭載した装置の開発は現状では殆ど行われていないようである。
そこでこの発明は、マルチユーザMIMO通信の運用中における処理・演算量の削減することができる無線中継システムおよび無線中継方法を提供することを目的としている。
上記目的を達成するために、本発明は、有線ネットワークに接続されたひとつの基地局装置すなわちエントランス基地局装置と、該エントランス基地局装置と無線回線を介して接続された中継局装置すなわちサテライト基地局装置と、さらに該サテライト基地局装置と無線回線で接続された端末局装置により構成された無線中継システムにおいて、前記エントランス基地局装置は、複数の前記サテライト基地局装置のうちの何れか複数のサテライト基地局装置の属するグループを、前記サテライト基地局装置の組み合わせを変更して複数特定し、それらグループそれぞれについて、グループに属する各サテライト基地局装置間の干渉を送信ウエイト行列または受信ウエイト行列を用いて排除して得られた部分伝達関数の固有値から求まる当該グループのチャネル容量のグループ内総和を求めて、前記特定した複数のグループの中から、チャネル容量のグループ内総和の大きな所定の数のグループを事前設定グループとして選択し、当該選択した事前設定グループに対して、それぞれ事前に、送信ウエイト行列およびまたは受信ウエイト行列、伝送モード、送信電力、並びにサテライト基地局装置単位のMIMO(Multiple Input Multiple Output)空間多重数を算出し、これらをデータテーブルに格納して記憶する手段と、アップリンクまたはダウンリンクの送信タイミングにおいて、送受信すべきデータの通信相手となるサテライト基地局装置を抽出し、当該サテライト基地局装置の全てまたは一部によって構成される前記事前設定グループを選択する手段と、当該事前設定グループに属するサテライト基地局装置に対して、当該事前設定グループについて前記データテーブルに格納されている送信ウエイト行列または受信ウエイト行列、伝送モード、送信電力、ならびにサテライト基地局装置単位のMIMO空間多重数の設定情報を利用することにより、同時に、空間多重によるマルチユーザMIMO通信を行うMIMO通信手段と、を備え、前記サテライト基地局装置は、前記エントランス基地局装置より無線回線を介して受信したデータの全てまたは一部を、自基地局装置の配下の端末局装置に対して転送する手段と、前記端末局装置より受信したデータの全てまたは一部を前記エントランス基地局装置に転送する手段と、他のサテライト基地局装置との間で同時に空間多重を行いながら前記エントランス基地局装置との間で通信を行うマルチユーザMIMO通信手段とを備えることを特徴とする無線中継システムである。
また本発明は、上述の無線中継システムにおいて、前記エントランス基地局装置および前記サテライト基地局装置はそれぞれ固定設置されていることを特徴とする。
また本発明は、上述の無線中継システムにおいて、前記エントランス基地局装置が、前記サテライト基地局装置の設置後ないしは所定の間隔で定期的に、該サテライト基地局装置の備える複数のアンテナと前記エントランス基地局装置との間のアップリンク及びダウンリンクの伝達関数行列をそれぞれ取得する手段と、複数存在する前記サテライト基地局装置との間でマルチユーザ通信を行う際に必用となる各サテライト基地局装置の信号間の干渉を抑制するための送信指向性制御のための送信ウエイト行列および受信指向性制御のための受信ウエイト行列を、前記サテライト基地局装置の所定の組み合わせ毎に取得する手段と、を備えることを特徴とする。
また本発明は、上述の無線中継システムにおいて、前記エントランス基地局装置が、前記サテライト基地局装置の設置後ないしは所定の間隔で定期的に、前記エントランス基地局装置が希望のタイミングで各サテライト基地局装置からの信号を受信できるように、各サテライト基地局装置の信号の送信タイミングを前後させる調整量を取得する手段を備え、前記サテライト基地局装置は、前記エントランス基地局装置の指示する前記送信タイミングの調整量を記憶する手段と、前記エントランス基地局装置から信号送信の指示があった場合には、基準となる送信タイミングに前記調整量を付加したタイミングでデータを送信する手段と、を備えることを特徴とする。
また本発明は、上述の無線中継システムにおいて、前記エントランス基地局装置が、マルチキャスト用のデータを前記サテライト基地局装置に対して送信する手段と、前記サテライト基地局装置がマルチキャスト用のデータを中継送信するタイミングを指示する手段と、前記サテライト基地局装置がマルチキャスト用のデータを中継送信する伝送モードを指示する手段と、を備え、前記サテライト基地局装置が、前記エントランス基地局装置が送信したマルチキャスト用のデータを受信する手段と、前記エントランス基地局装置の指示する中継送信のタイミング及び伝送モードを用い受信したデータのMACヘッダを変更することなしに中継送信する手段とを備えることを特徴とする。
また本発明は、有線ネットワークに接続されたひとつの基地局装置すなわちエントランス基地局装置と、該エントランス基地局装置と無線回線を介して接続された中継局装置すなわちサテライト基地局装置と、さらに該サテライト基地局装置と無線回線で接続された端末局装置により構成された無線中継システムの無線中継方法であって、前記エントランス基地局装置は、複数の前記サテライト基地局装置のうちの何れか複数のサテライト基地局装置の属するグループを、前記サテライト基地局装置の組み合わせを変更して複数特定し、それらグループそれぞれについて、グループに属する各サテライト基地局装置間の干渉を送信ウエイト行列または受信ウエイト行列を用いて排除して得られた部分伝達関数の固有値から求まる当該グループのチャネル容量のグループ内総和を求めて、前記特定した複数のグループの中から、チャネル容量のグループ内総和の大きな所定の数のグループを事前設定グループとして選択し、当該選択した事前設定グループに対して、それぞれ事前に、送信ウエイト行列およびまたは受信ウエイト行列、伝送モード、送信電力、並びにサテライト基地局装置単位のMIMO(Multiple Input Multiple Output)空間多重数を算出し、これらをデータテーブルに格納して記憶し、前記エントランス基地局装置は、アップリンクまたはダウンリンクの送信タイミングにおいて、送受信すべきデータの通信相手となるサテライト基地局装置を抽出し、当該サテライト基地局装置の全てまたは一部によって構成される前記事前設定グループを選択し、前記エントランス基地局装置は、当該事前設定グループに属するサテライト基地局装置に対して、当該事前設定グループについて前記データテーブルに格納されている送信ウエイト行列または受信ウエイト行列、伝送モード、送信電力、ならびにサテライト基地局装置単位のMIMO空間多重数の設定情報を利用することにより、同時に、空間多重によるマルチユーザMIMO通信を行い、前記サテライト基地局装置は、前記エントランス基地局装置より無線回線を介して受信したデータの全てまたは一部を、自基地局装置の配下の端末局装置に対して転送し、前記サテライト基地局装置は、前記端末局装置より受信したデータの全てまたは一部を前記エントランス基地局装置に転送し、前記サテライト基地局装置は、他のサテライト基地局装置との間で同時に空間多重を行いながら前記エントランス基地局装置との間でマルチユーザMIMO通信を行うことを特徴とする無線中継方法である。
また本発明は、上述の無線中継方法において、前記エントランス基地局装置および前記サテライト基地局装置はそれぞれ固定設置されていることを特徴とする。
また本発明は、上述の無線中継方法において、前記エントランス基地局装置は、前記サテライト基地局装置の設置後ないしは所定の間隔で定期的に、該サテライト基地局装置の備える複数のアンテナと前記エントランス基地局装置との間のアップリンク及びダウンリンクの伝達関数行列をそれぞれ取得し、前記エントランス基地局装置は、複数存在する前記サテライト基地局装置との間でマルチユーザ通信を行う際に必用となる各サテライト基地局装置の信号間の干渉を抑制するための送信指向性制御のための送信ウエイト行列および受信指向性制御のための受信ウエイト行列を、前記サテライト基地局装置の所定の組み合わせ毎に取得することを特徴とする。
また本発明は、上述の無線中継方法において、前記エントランス基地局装置は、前記サテライト基地局装置の設置後ないしは所定の間隔で定期的に、前記エントランス基地局装置が希望のタイミングで各サテライト基地局装置からの信号を受信できるように、各サテライト基地局装置の信号の送信タイミングを前後させる調整量を取得し、前記サテライト基地局装置は、前記エントランス基地局装置の指示する前記送信タイミングの調整量を記憶し、前記サテライト基地局装置は、前記エントランス基地局装置から信号送信の指示があった場合には、基準となる送信タイミングに前記調整量を付加したタイミングでデータを送信することを特徴とする。
また本発明は、上述の無線中継方法において、前記エントランス基地局装置は、マルチキャスト用のデータを前記サテライト基地局装置に対して送信し、前記エントランス基地局装置は、前記サテライト基地局装置がマルチキャスト用のデータを中継送信するタイミングを指示し、前記エントランス基地局装置は、前記サテライト基地局装置がマルチキャスト用のデータを中継送信する伝送モードを指示し、前記サテライト基地局装置は、前記エントランス基地局装置が送信したマルチキャスト用のデータを受信し、前記サテライト基地局装置は、前記エントランス基地局装置の指示する中継送信のタイミング及び伝送モードを用い受信したデータのMACヘッダを変更することなしに中継送信することを特徴とする。
本発明によれば、有線ネットワークに接続された1台のエントランス基地局装置と端末局装置との間の通信を、サテライト基地局装置を介して中継通信を行う際に、エントランス基地局装置とサテライト基地局装置の間の通信において、複数のサテライト基地局装置との間で同時に空間多重を行いながら通信することで中継による帯域のロスを最小化することが可能となり、また、マルチユーザMIMO通信の運用中における処理・演算量を削減することができる。
以下、本発明の一実施形態による無線中継システムを図面を参照して説明する。図1は同実施形態による無線中継システムの構成を示す図である。この図において、符号1はエントランス基地局装置、2−1〜2−5はサテライト基地局装置、3−1〜3−6は端末局装置、4−1〜4−6はサテライト基地局装置およびエントランス基地局装置1のカバーエリア(無線通信接続を行うことのできる範囲)を表している。エントランス基地局装置1には有線ネットワークが接続され、その他のサテライト基地局装置2−1〜2−5には有線ネットワークは接続されていない。このため、端末局装置3−1〜3−5が有線ネットワークに接続するためには、各端末局装置と各サテライト基地局装置間の通信(細点線矢印)に加えて、サテライト基地局装置とエントランス基地局装置1との間の中継通信(太実線矢印)が必須となる。エントランス基地局装置1及びサテライト基地局装置2−1〜2−5はそれぞれ固定的に設置され、移動することはないものとする。また、屋内であれば天井や壁の上部など、周りの人の影響を受けにくい位置に配置され、エントランス基地局装置1とサテライト基地局装置2−1〜2−5の間のMIMOチャネルの変動は非常に小さく抑えられている。
ここで、少なくともエントランス基地局装置1はマルチユーザMIMO通信機能を備え、サテライト基地局装置2−1〜2−5との通信において送信指向制御及びまたは受信指向性制御を行い、マルチユーザMIMO通信を行う。この中継通信においては、エントランス基地局装置1はマルチユーザMIMO通信における基地局装置の役割を果たし、サテライト基地局装置2−1〜2−5はマルチユーザMIMO通信における端末局装置の役割を果たす。上記(式5)〜(式7)にも示したが、マルチユーザMIMO通信における端末局装置(ないしは端末局装置の位置づけとなるサテライト基地局装置2−1〜2−5)にとっては単なるシングルユーザMIMO通信の様に扱うこともあり、必ずしもマルチユーザMIMO通信機能を備える必要はない。ただし、本実施形態においては後述するマルチユーザMIMO通信の付随機能を備えているものとする。以上の様に中継を行うことで全体のサービスエリアは分割されたエリア4−1〜4−6に帰着され、各カバーエリアにおいてはMIMO通信や比較的高速のSISO通信など、安定した特性での通信が可能となる。
エントランス基地局装置1は、中継機能の他に通常の端末局装置との通信を行う機能を備えていても構わず、図においてはカバーエリア4−6内に位置する端末局装置3−6と通信することも可能である。以上が、本発明実施例における無線中継システムの概要である。この無線中継システムには、以下に列挙する付加機能を備えることで、更にシステムとしての効率を高めることができる。これらの付加機能は、無線中継システムにおいてサテライト基地局装置の様に固定的に配置され、且つ、多くの端末のトラヒックを集約することで変動の少ない比較的大容量のデータを定常的に扱うという特徴から来るものである。
<送受信指向性制御の学習機能について>
本実施形態による無線中継システムは、エントランス基地局装置1やサテライト基地局装置2−1〜2−5は位置変動がなく、且つ、設置場所の特徴から人の移動等によるチャネル変動の影響を受けにくいシステムであるとする。このような場合、システム設定時に、一旦、精度の高い送受信ウエイト行列の最適解を求めておくと、実際のサービス運用中においても先に求めた送受信ウエイト行列が最適解、ないしはその近似解となっている確率が非常に高い。この様に、事前に様々なパラメータを最適化することで、非常に効率的なマルチユーザMIMO通信を行うことが可能となる。以下に、最適化可能なパラメータの実施例を示す。
(1)送受信指向性制御における送信ウエイト行列/受信ウエイト行列
エントランス基地局装置1は、ダウンリンクで送信する際に利用する送信ウエイト行列、及び受信時の受信ウエイト行列について、通信に先駆けて、ないしは定期的に最適解の取得処理を行う。この送信ウエイト行列/受信ウエイト行列最適解は、一般には通信を行うサテライト基地局装置の組み合わせ毎に異なる。定常的なトラヒックが各サテライト基地局装置に存在するのであれば、常にサテライト基地局装置の固定的な組み合わせを用いればよいが、実際にはトラヒックの時間変動などから、送信タイミングにおいて送受信すべきデータのないサテライト基地局装置との通信は行わない。この場合には、そのサテライト基地局装置に対して干渉を排除する必要がないので、別の送信ウエイト行列/受信ウエイト行列を用いるのが好ましい。そこで、様々な組み合わせパターンに対して、個別に送信ウエイト行列/受信ウエイト行列の最適解を求めておく。なお、送受信ウエイト行列の最適解ないしは準最適解の取得方法とは一義に決まるものではなく、この分野において利用される様々な方式が利用できる。例えば、『Quentin H. Spencer, A. Lee Swindlehurst and Martin Haardt, “Zero-Forcing Methods for Downlink Spatial Multiplexing in Multiuser MIMO Channels”, IEEE TRANSACTIONS ON SIGNAL PROCESSING, VOL. 52, NO. 2, FEBRUARY 2004』の文献に示すよう方法をはじめ、様々な方法が適用できる。
これらの方法は、初期値を出発点として、最小二乗誤差を小さくするような繰り返し処理(イタラティブアプローチ)を用いることが多いが、その初期値として先に求めた解を利用すると収束速度が速くなる。特に、最適解として空間多重する各信号系列の推定SNRを最大にする方法に加えて、推定干渉量とノイズの和に対する受信信号強度に相当するSNIR(Signal to Noise Interference Ratio)を最大化するMMSE(Minimum Mean Square Error)法を用いることも可能である。
その他、繰り返し処理を行わない方法として、以下の様な手法も選択可能である。
図2はマルチユーザMIMOシステムの構成例を示す図である。
例として図2に示した条件における送信ウエイトの取得方法を示す。まず図2より、基地局装置101は端末局装置102に対する送信ウエイトベクトルw〜wを決定し、順次、端末局装置103に対する送信ウエイトベクトルw〜w、端末局装置104に対する送信ウエイトベクトルw〜wを決定する。
まず第1ステップとして、伝達関数行列H[all]の6つの行ベクトルh〜hにより構成される6次元部分空間の6つの基底ベクトルe〜eを求める。次に第2ステップとして、端末局装置102に対する送信ウエイトベクトルw〜wを求める。まず、行ベクトルh〜hから、e〜eにより構成される6次元部分空間の成分をキャンセルする。具体的には以下の式で表すことができる。
Figure 0004463774
ここで、(式8)においてjは1〜3の整数であり、(式8)のΣ(i)は4≦i≦9の整数iに対する総和を意味する。この様にして求めたベクトルh’〜h’に対し、適当な直交化処理を行う。適当な直交処理としては、行ベクトルh’〜h’を成分とする行列の固有ベクトル(固有値の絶対値の大きい方から選択)を用いることが好ましいが、その他の方法であっても構わない。この様にして求める3次元空間の3つの基底ベクトルe〜eを求める。さらに、この基底ベクトルの複素共役ベクトルの転置ベクトル、すなわちエルミート共役なベクトルを求めることで、w=e 、w=e 、w=e として送信ウエイトベクトル(列ベクトル)が求まる。
以上の処理により、端末局装置102に対する送信ウエイトベクトルw〜wを決定する。第3ステップとしては同様の処理を端末局装置103および端末局装置104に対しても施し、その結果として全ての送信ウエイトベクトルw〜wが求まる。なお、エントランス基地局装置1において、アップリンクの信号受信時の受信ウエイト行列も同様の手法で求められる。例えば(式4)の転置行列を取ると下記の式になる。
Figure 0004463774
ここで(式9)の行列における右上の「T」の文字は、行列の転置を表す。エントランス基地局装置1にとって、マルチユーザMIMO通信のアップリンクに相当する伝達関数行列をH[all]Tと置くと、(式9)の右辺が複数のブロック化された部分伝達関数行列となり、つまりエントランス基地局装置1の受信ウエイト行列はWとなる。この受信ウエイト行列Wは、伝達関数行列H[all]の送信ウエイト行列であるから、これまでに示した手法と同様の手法で取得することが可能である。なお補足であるが、一般にアップリンクの伝達関数行列とダウンリンクの伝達関数は近似的にはそれぞれ転置行列の関係になっている。ただし実際には、送信側のパワーアンプ及び周波数変換器や受信側のローノイズアンプ及び周波数変換器の影響で若干ずれた値になるが、その補正を行うことで一方から他方を求めることも可能である。求めた伝達関数行列に対して直接(式9)の解となるWを求めても良いし、または伝達関数行列を転置して上述の手法によりWを求めることによっても受信ウエイト行列を求めることは可能である。またOFDM変調方式を用いたシステムにおいては、ここまでの説明における送信ウエイト行列/受信ウエイト行列の最適化を全てのサブキャリアにおいて個別に実施する必要がある。
(2)伝送モードと送信電力、及びサテライト基地局装置単位のMIMO空間多重数
例えばIEEE802.11系の無線LANの様に、BPSK〜64QAM(さらには256QAMなど)までの変調モードに加え、誤り訂正の符号化率としてR=1/2、2/3、3/4等(さらには5/6や7/8など)を組み合わせて、様々な伝送モードを選択可能である。無線LANの一般端末のように、時間的に変動がある場合には、適応的に変調モードを切り替えて最適な通信を行うことができる。しかしサテライト基地局装置のようにチャネル変動の少ない場所に固定的に設置される場合には、最適な伝送モードの変動も小さい。また、複数のサテライト基地局装置と同時に空間多重を行う際に、各サテライト基地局装置の空間多重数の最適値の変動も小さい。そこで、上記(1)で仮定した送信ウエイト行列または受信ウエイト行列を用い、各サテライト基地局装置間の干渉を排除する形で得られた部分伝達関数、すなわち(式4)ないしは(式9)のH[1]〜H[3]等の行列に対して固有値を求め、それらの固有値に対して注水定理を用いて空間多重する信号系列の数と伝送モードの最適値を定める。この設定を継続的に利用することにより、処理の負荷を大幅に軽減することができる。
なお、複数の伝送モードを適応的に変更しながら通信する通常の無線通信においては、伝送モードおよび空間多重数は送信局装置側が判断することになり、送信時に選択した伝送モードおよび空間多重数を受信局側に通知する必要がある。しかし、ここでは実際のデータ通信に先駆けて空間多重する信号系列の数と伝送モードの最適値を求め、これを継続的に利用するため、送信のたびに選択した伝送モードおよび空間多重数を受信局側に通知せずに済ませることもできる。
(3)グループ化
多数のサテライト基地局装置を設置する場合には、全てのサテライト基地局装置に対して同時に空間多重を行うことは出来ない。したがってサテライト基地局装置のグループ分けを行い、このグループを単位に同時に空間多重を行う。この空間多重においては、サテライト基地局装置のグループは常に唯一固定のグループに属している必用はなく、複数の異なるグループに属していて構わない。
このグループ化の処理を行うにあたり、グループの組み合わせの選択肢は膨大な数に上るが、実際に用いる組み合わせの数はその一部とする。運用開始前に、全ての選択肢ないしはグループに所属するサテライト基地局装置数の上限・下限を設定したり、空間的なサテライト基地局装置の配置から同一方向のサテライト基地局装置同士の同一グループ所属を排除するなどの条件をもとに候補を絞り込み、さらにあるグループを仮定した場合に、各サテライト基地局装置間の干渉を排除する形で得られた部分伝達関数の固有値から求まるチャネル容量のグループ全体での総和を評価する。この値が大きな方から所定の数のグループを選択する。この選択結果において、あるサテライト基地局装置が所属するグループの数が所定の数以上に達しない場合には、このサテライト基地局装置が所属するグループの中からチャネル容量が大きい方から所定の数のグループを追加する。この様にして選択された各グループに対し、送信ウエイト行列/受信ウエイト行列、伝送モード、送信電力、サテライト基地局装置単位のMIMO空間多重数を算出し、データテーブルとして蓄積しておく。運用中においては、アップリンクまたはダウンリンクの送信タイミングにおいて、送信すべきデータの存在するサテライト基地局装置を抽出し、それらのサテライト基地局装置の全てまたは一部によって構成されるグループを選択し、そのグループに所属するサテライト基地局装置に対して空間多重を行いマルチユーザMIMO通信を行う。
(4)サテライト基地局装置のアップリンク送信タイミング
マルチユーザMIMOの課題のひとつに、アップリンクにおけるサテライト基地局装置(端末局装置)のシンボルタイミングのずれによるシンボル間干渉がある。近年の無線LANシステムがOFDM変調方式を採用しているように、マルチユーザMIMO通信を行うシステムにおいてもOFDM変調方式の適用が予想されるが、その場合にはアップリンクのエントランス基地局装置1において行う受信指向性制御においては、サブキャリア毎に受信ウエイト行列が異なる。つまり、単一の受信ウエイト行列では全サブキャリアにおけるサテライト基地局装置毎の信号分離は出来ない。
FFT処理によりサブキャリア毎の信号に分離することができれば、サブキャリア毎に異なる受信ウエイト行列を用いることによってサテライト基地局装置毎の信号分離が可能となる。しかし、シンボルタイミングがサテライト基地局装置毎にガードインターバルにより吸収できないほどに異なっている場合、シンボル間干渉により特性が劣化する。したがって、ガードインターバルにより十分に吸収できる範囲に各サテライト基地局装置の送信タイミングを調整する。具体的な調整の方法は、エントランス基地局装置が各サテライト基地局装置に対して信号の送信タイミングを個別に指示し、そのタイミングに合わせて各サテライト基地局装置が信号送信を送信し、エントランス基地局装置が信号受信タイミングと希望するタイミングの誤差を測定し、遅れている場合にはその遅れに比例した時間だけ送信タイミングを早めるように指示し、受信タイミングが早すぎる場合にはその早さ比例した時間だけ送信タイミングを遅らせるように指示する。許容できる範囲のタイミング誤差に収まるまでこの処理を続け、許容できる範囲に収まったところで送信タイミングの調整量を確定させる。以降、マルチユーザMIMO通信のアップリンクにおいてサテライト基地局装置が送信を行う際には、ここで取得した送信タイミングの調整量を用いることとする。
(5)固定プリアンブルパターンの対応づけ
シングルユーザMIMO通信においては、空間多重する各信号系列には異なるパターンのチャネル推定用プリアンブルを用いる。マルチユーザMIMO通信においても、各信号系列の信号分離を行う際に、この様なチャネル推定用プリアンブルを用いることになるが、実際に自局装置宛の信号系列にどのプリアンブルパターンが付与されているかを判断する必要がある。事前に上記の学習を実施すると共に、自局装置宛のプリアンブルパターンを固定的に割り付け、以降の通信では全て同一のプリアンブルを利用することで、通信毎のプリアンブルの対応付け処理を省略することが可能となる。
<中継通信のカプセル化機能について>
(1)RTS/CTS送信機能
IEEE802.11系の無線LANにおいては、CSMA(Carrier Sense Multiple Access)方式を採用すると共に、隠れ端末問題の回避を主なる目的として、実際に信号の受信がなくてもあたかもキャリアセンスでビジー状態であるかのように振舞うことを約束するRTS/CTS(Request to Send / Clear to Send)信号を送受信する。これらの信号は一種の帯域予約信号であり、通信の送信に先立って送信及びまたは受信をすると、これらの信号の中に規定されていた時間だけは他局装置は送信を禁止するというものである。マルチユーザMIMO通信において行う送信指向性制御においては、指向性ビームを形成して信号送信を行うため、場所によっては隠れユーザ端末が生じる。この様な隠れ端末が中継通信中に信号送信を行うと中継通信の特性が劣化するため、この様な隠れ端末を排除する工夫が求められる。そこで、中継通信に先駆けて、帯域使用の予約のための信号を事前に送受信することで、一般の端末局装置に対する送信を禁止する。なお、この予約信号を利用することで、各サテライト基地局装置は中継通信と一般の配下の端末との時間を明確に分離することが可能となる。この場合、サテライト基地局装置は中継時には信号受信時の受信ビームを固定することで効率的に干渉信号を除去することも可能である。
(2)特殊パラメータ設定
基地局装置(エントランス基地局装置またはサテライト基地局装置)と端末局装置の間の通信は、既存の標準仕様準拠の無線装置として動作することになるが、エントランス基地局装置1とサテライト基地局装置間の中継通信は、上記の帯域予約信号により任意の仕様での通信であっても既存の標準仕様との共存に矛盾をきたさない。つまり、パラメータの一部を変更した通信や、フレームフォーマット等を任意の仕様にチューンすることが可能である。例えば、マルチユーザMIMO通信のアップリンクでのタイミング誤差を吸収するために、ガードインターバル長を長く拡張することも可能である。また、中継すべきデータを個々のパケット単位で伝送するのではなく、複数個を束ねて送信することが出来る。例えば、Ethernetを用いた通信であれば、Source AddressとDestination Addressが全く異なる複数のパケットを混在させる形で連結させることが出来る。この場合、複数のパケットを終端することなく、中継用のMACフレームのペイロード内に、各パケットの切れ目が分かる形で収容し、MACフレームのヘッダには無線区間の送信局装置と受信局装置(エントランス基地局装置およびサテライト基地局装置)の識別子が含まれる様にする。この様にすることで、中継通信の最適化を図ることができる。
<マルチキャスト同時転送機能について>
(1)全サテライト基地局装置のマルチキャストデータの中継同報
サテライト基地局装置のタイミング同期が図られていれば、エントランス基地局装置1から受信したマルチキャストデータを、エントランス基地局装置に指示されたタイミングで、一斉にサテライト基地局装置が直前に受信したマルチキャストデータを同時に送信する。この際、中継同報するマルチキャストデータの信号の内容は変更を行わない。例えば、IEEE802.11系の無線LANにおいては、送信局装置と宛先局装置の識別アドレス情報を送信データに付与するため、中継であっても送信する基地局装置が変わると異なるパターンのデータとなっていた。また、変調モードを中継時に変更すれば、その変更により信号の内容が変わることもある。しかし、全く受信した信号をそのまま中継送信することで、同時に送信されるデータの内容は完全に一致し、それらを受信する端末局装置は伝搬遅延の差に依存した受信タイミングのずれ及び伝搬チャネルによる歪みを除き、ほぼ同一の内容を受信することになる。これはあたかも同一局装置からの信号をマルチパス環境で受信することに相当し、OFDM変調方式を採用すれば、このタイミングのズレを簡単に補償することができる。この結果としてダイバシチ利得を期待することができる。
上記の付加機能について、実際の処理を図を用いて説明する。
図3は本無線中継システムの実施形態による学習処理フローを示す図である。
図3より、例えば、新規サテライト基地局装置の設置が行われると(S1)、以下の一連の学習処理を実施する。まず、新規に追加したサテライト基地局装置とエントランス基地局装置1との間の伝達関数行列を取得する(S2)。その他の全てのサテライト基地局装置に対する伝達関数行列は取得済みであるものとする。したがって、全てのサテライト基地局装置とエントランス基地局装置1の間の伝達関数行列情報は取得済みとなる。これらの情報を用い、マルチユーザMIMO通信において、お互いの信号が干渉とならずに効率的に空間多重できるサテライト基地局装置の組み合わせを検索する(S3)。組み合わせ、すなわちグループ化を行うと、各グループに対する空間多重の送受信ウエイト行列を演算により求める。さらに、その送受信ウエイト行列を用いた場合に各サテライト基地局装置との通信がどの様な品質になるかを推定し、最適伝送モードを決定する(S5)。ここでの最適伝送モードとは、各サテライト基地局装置とエントランス基地局装置との間の空間多重数の最適値を含めたものである。以上のデータは、データベースとして構築し(S6)、実際にマルチユーザMIMO通信を行う際に参照する。以上が事前に行う学習処理である。なお、処理ステップS3〜ステップS5については全てを実施せずに、部分的に実施することも可能である。また、ステップS3で様々なグループを想定し、それぞれに対してステップS4からステップS6を実施し、その中でシステム全体の容量をランキングし、その後の通信時のグループ選択の優先度に反映することもできる。また、以上の処理は新規サテライト基地局装置の設置が行われた場合の処理として説明していたが、若干ながら時間と共に変動する可能性もあるため、ある程度、定期的にサテライト基地局装置とエントランス基地局装置との間の伝達関数行列を取得および更新し(S2)、最新の伝達関数行列を元に、データベースを逐次アップデートすることも可能である。この処理は、定期的に行っても良いし、各サテライト基地局装置の配下の端末局装置のトラヒックが少ない場合を選んで行っても良い。
図4は本発明の一実施例によるダウンリンクにおけるデータ送信処理フローを示す図である。
次に本発明実施例におけるデータ送信処理について順を追って説明する。図9の場合と異なり、既に本発明の実施例ではマルチユーザMIMO通信に必要となる情報がデータベース化されているので、これを利用して送信処理を行う。まずエントランス基地局装置1において、送信タイミングを判断すると(S11)、ダウンリンクにおいて送信データのあるサテライト基地局装置を把握する(S12)。次にデータベースを参照し、該当するサテライト基地局装置に関する情報を収集する(S13)。この中で、空間多重を行うグループを決定し(S14)、データベースより送信ウエイト行列を決定する(S15)。さらに、データベースより送信に用いる各信号系列の伝送モードおよび空間多重数を決定し(S16)、先ほどの送信ウエイト行列を用いて信号を送信する(S17)。
図5は本発明の一実施例によるアップリンクにおけるエントランス基地局装置の受信フローを示す図である。
なお本図に示す実施例とは別に、エントランス基地局装置とサテライト基地局装置の間ではポーリング等の手法により、アップリンクでの送信データの有無、及びその情報量について情報交換を行っているものと仮定する。
エントランス基地局装置内部でアップリンクにおけるデータの受信処理が判断されると(ステップS21)、アップリンクにおいて送信データの存在するサテライト基地局装置を把握する(S22)。送信すべきデータが存在するサテライト基地局装置が複数ある場合には、それらのサテライト基地局装置に関する情報を図3のステップS3で構築したデータベースから取得する(S23)。この情報をもとにグループ化を行い(S24)、さらに受信ウエイト行列を決定する(S25)。その後、各サテライト基地局装置に対して送信指示メッセージ(制御情報)を送信する(S26)。この中で、伝送モード、空間多重数、遅延調整量等の指示を行なっても良いし、事前の学習処理の中でこれらの情報を設定している場合には指示の省略も可能である。その後、ステップS25で求めた受信ウエイトを用いて受信の処理を行う(S27)。その後、サテライト基地局装置毎に個別の信号検出処理を行い(S28)、受信信号を出力する(S29)。
図6は本発明の一実施例によるサテライト基地局装置のアップリンクにおける送信処理フローを示す図である。図5のステップS26によりエントランス基地局装置が送信の指示を行なった信号を受信すると(S31)、指示された伝送モード、空間多重数、遅延調整量に対応した送信タイミングを把握し(S32)、送信データを生成する(S33)。先の信号の受信タイミングから指示された時間だけ遅延させたタイミングで、前記伝送モード、空間多重数を用いてデータを送信する(S34)。なお、通常のマルチユーザMIMO通信(従来技術)であれば、伝送モード、空間多重数、遅延調整量等の情報はエントランス基地局装置からの送信指示信号内に収容されているが、本発明においては、事前の学習処理の中でこれらの情報を設定することで省略することも可能である。
なお、以上の説明ではステップS15にて送受信ウエイト行列をデータベースを参照して決めていたが、ここで再度、送受信ウエイト行列を求めなおしても良い。その場合、最適な送受信ウエイト行列をMMSEなどの手法で求める場合、繰り返し演算の初期値としてこのデータベースの値を用いると収束性は高まり効率的である。なお、この場合には、先ほどの図3の処理フローにおける説明の中で、サテライト基地局装置の伝達関数情報を更新する毎にステップS3〜S6を実施するかのように説明したが、サテライト基地局装置の伝達関数情報を更新してもステップS3〜S6は実施しないとすることも可能である。この更新された伝達関数情報は、この最適な送受信ウエイト行列を求めなおす際に利用されることになる。
<中継転送処理について>
図7は従来技術における中継転送処理フローを示す図である。
図8は本実施形態によるサテライト基地局装置のマルチキャストデータの中継転送処理フローを示す図である。
次に図7を用いて従来のサテライト基地局装置におけるマルチキャストデータの中継転送処理のフローを順を追って説明する。
代表的な無線LANシステムであるIEEE802.11系のシステム(従来技術)によれば、マルチキャスト通信を含めて、送信されるデータには送信局装置の識別アドレスと受信局装置の識別アドレスがMACヘッダに収容される。従って図7に示すようにサテライト基地局装置がデータの中継転送処理を行う場合には、まず信号を受信すると(S311)、受信した信号のMACフレーム内に収容された転送先のアドレス(下りデータの場合)ないしはエントランス基地局装置1のアドレス(上りデータの場合)として、無線中継の宛先局装置の識別アドレスを取得する(S312)。この情報を基に次の無線リンクにおける受信局装置識別アドレスとして自局装置のアドレスを設定する(S314)。このようにしてMACフレームヘッダ情報を決定すると共に、受信したデータのMACフレームのペイロード部に収容されたユーザデータを付与し、更には誤り検出用の符号などを付与することで新規のMACフレームを再構成する(S315)。このようにして生成したMACフレームは、PLCPヘッダと呼ばれるPHYフレームのヘッダ情報等を付与し、選択された伝送モードで送信される(S316)
次に図8を用いて本実施形態によるサテライト基地局装置におけるマルチキャストデータの中継転送処理のフローを順を追って説明する。
本実施形態によるサテライト基地局装置は、図8に示すように、まずエントランス基地局装置1より中継すべき信号を受信すると(S311)、MACヘッダを参照することで受信したデータがマルチキャストデータか否かを判断する(S318)。ここでマルチキャストデータであれば、受信した信号のMACフレームをそのままコピーし(S319)、エントランス基地局装置1より指定された伝送モードで且つ規定されたタイミングで送信を行う(S320)。処理S318においてマルチキャストデータでないと判定した場合(Noの場合)には、従来技術の中継と同様の中継を行う。なおS320における指定された伝送モードとは、必ずしもデータごとに個別に伝送モードを指定する必要はなく、一旦、エントランス基地局装置1とサテライト基地局装置との間のネゴシエーションで決定しておけば、その伝送モードを毎回利用してもよい。または、マルチキャストデータの要求品質に合わせて伝送モードを決定することも可能であり、この場合には、伝送モードをマルチキャストデータ毎に規定しても構わない。重要なことは、全てのサテライト基地局装置が同一の伝送モードを用いることであり、これにより、従来であればS312からS315の中でMACフレームの内容に変更があったり、処理S316でPLCPヘッダに変更が加えられたりしていたのに対し、本発明では全てのサテライト基地局装置が全く同一内容の信号を送信することになるので、全サテライト基地局装置による同時同報が可能となる。OFDM変調方式を用いる場合には、各サテライト基地局装置からの信号の微妙な受信タイミングのずれは、通常通信のマルチパスによる遅延波の様にみなすことが可能となり、配下の端末の受信特性が相乗的に向上する。
以上の実施形態を説明するための図中においては、アンテナの本数など、各種パラメータを特定の条件に仮定して説明を行ったが、当然ながらその他の一般的なパラメータによって実施可能である。すなわち、以上述べた実施形態は全て本発明を例示的に示すものであって限定的に示すものではなく、本発明は他の種々の変形態様及び変更態様で実施することが出来る。従って本発明の範囲は特許請求の範囲及びその均等範囲によってのみ規定されるものである。
以上詳細に説明した様に、本発明によれば、有線ネットワークに接続された1台のエントランス基地局装置と端末局装置との間の通信を、サテライト基地局装置を介して中継通信を行う際に、エントランス基地局装置とサテライト基地局装置の間の通信において、複数のサテライト基地局装置との間で同時に空間多重を行いながら通信することで中継による帯域のロスを最小化することが可能となり、また、マルチユーザMIMO通信の運用中における処理・演算量を削減することができる。
上述の各装置は内部に、コンピュータシステムを有していることも可能である。そして、上述した処理の過程は、プログラムの形式でコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記憶されており、このプログラムをコンピュータが読み出して実行することによって、上記処理を行うことも可能である。ここでコンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、DVD−ROM、半導体メモリ等をいう。また、このコンピュータプログラムを通信回線によってコンピュータに配信し、この配信を受けたコンピュータが当該プログラムを実行するようにしても良い。
また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良い。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であっても良い。
無線中継システムの構成を示す図である。 マルチユーザMIMOシステムの構成例を示す図である。 学習処理フローを示す図である。 データ送信処理フローを示す図である。 アップリンクにおけるエントランス基地局装置の受信フローを示す図である。 サテライト基地局装置のアップリンクにおける送信処理フローを示す図である。 従来技術における中継転送処理フローを示す図である。 本実施形態によるサテライト基地局装置のマルチキャストデータの中継転送処理フローを示す図である。 従来技術におけるマルチユーザMIMO通信の送信フローを示す図である。
符号の説明
1・・・エントランス基地局装置
2−1〜2−5・・・サテライト基地局装置
3−1〜3−6・・・端末局装置
4−1〜4−5・・・サテライト基地局装置
4−6・・・エントランス基地局装置のカバーエリア
101・・・基地局装置
102〜104・・・端末局装置

Claims (10)

  1. 有線ネットワークに接続されたひとつの基地局装置すなわちエントランス基地局装置と、該エントランス基地局装置と無線回線を介して接続された中継局装置すなわちサテライト基地局装置と、さらに該サテライト基地局装置と無線回線で接続された端末局装置により構成された無線中継システムにおいて、
    前記エントランス基地局装置は、
    複数の前記サテライト基地局装置のうちの何れか複数のサテライト基地局装置の属するグループを、前記サテライト基地局装置の組み合わせを変更して複数特定し、それらグループそれぞれについて、グループに属する各サテライト基地局装置間の干渉を送信ウエイト行列または受信ウエイト行列を用いて排除して得られた部分伝達関数の固有値から求まる当該グループのチャネル容量のグループ内総和を求めて、前記特定した複数のグループの中から、チャネル容量のグループ内総和の大きな所定の数のグループを事前設定グループとして選択し、当該選択した事前設定グループに対して、それぞれ事前に、送信ウエイト行列およびまたは受信ウエイト行列、伝送モード、送信電力、並びにサテライト基地局装置単位のMIMO(Multiple Input Multiple Output)空間多重数を算出し、これらをデータテーブルに格納して記憶する手段と、
    アップリンクまたはダウンリンクの送信タイミングにおいて、送受信すべきデータの通信相手となるサテライト基地局装置を抽出し、当該サテライト基地局装置の全てまたは一部によって構成される前記事前設定グループを選択する手段と、
    当該事前設定グループに属するサテライト基地局装置に対して、当該事前設定グループについて前記データテーブルに格納されている送信ウエイト行列または受信ウエイト行列、伝送モード、送信電力、ならびにサテライト基地局装置単位のMIMO空間多重数の設定情報を利用することにより、同時に、空間多重によるマルチユーザMIMO通信を行うMIMO通信手段と、を備え、
    前記サテライト基地局装置は、
    前記エントランス基地局装置より無線回線を介して受信したデータの全てまたは一部を、自基地局装置の配下の端末局装置に対して転送する手段と、
    前記端末局装置より受信したデータの全てまたは一部を前記エントランス基地局装置に転送する手段と、
    他のサテライト基地局装置との間で同時に空間多重を行いながら前記エントランス基地局装置との間で通信を行うマルチユーザMIMO通信手段とを備える
    ことを特徴とする無線中継システム。
  2. 前記エントランス基地局装置および前記サテライト基地局装置はそれぞれ固定設置されていることを特徴とする請求項1に記載の無線中継システム。
  3. 前記エントランス基地局装置は、
    前記サテライト基地局装置の設置後ないしは所定の間隔で定期的に、該サテライト基地局装置の備える複数のアンテナと前記エントランス基地局装置との間のアップリンク及びダウンリンクの伝達関数行列をそれぞれ取得する手段と、
    複数存在する前記サテライト基地局装置との間でマルチユーザ通信を行う際に必用となる各サテライト基地局装置の信号間の干渉を抑制するための送信指向性制御のための送信ウエイト行列および受信指向性制御のための受信ウエイト行列を、前記サテライト基地局装置の所定の組み合わせ毎に取得する手段と、
    を備えることを特徴とする請求項2に記載の無線中継システム。
  4. 前記エントランス基地局装置は、
    前記サテライト基地局装置の設置後ないしは所定の間隔で定期的に、前記エントランス基地局装置が希望のタイミングで各サテライト基地局装置からの信号を受信できるように、各サテライト基地局装置の信号の送信タイミングを前後させる調整量を取得する手段を備え、
    前記サテライト基地局装置は、
    前記エントランス基地局装置の指示する前記送信タイミングの調整量を記憶する手段と、
    前記エントランス基地局装置から信号送信の指示があった場合には、基準となる送信タイミングに前記調整量を付加したタイミングでデータを送信する手段と、
    を備えることを特徴とする請求項3に記載の無線中継システム。
  5. 前記エントランス基地局装置は、
    マルチキャスト用のデータを前記サテライト基地局装置に対して送信する手段と、
    前記サテライト基地局装置がマルチキャスト用のデータを中継送信するタイミングを指示する手段と、
    前記サテライト基地局装置がマルチキャスト用のデータを中継送信する伝送モードを指示する手段と、を備え、
    前記サテライト基地局装置は、
    前記エントランス基地局装置が送信したマルチキャスト用のデータを受信する手段と、
    前記エントランス基地局装置の指示する中継送信のタイミング及び伝送モードを用い受信したデータのMACヘッダを変更することなしに中継送信する手段と
    を備えることを特徴とする請求項1から請求項4に記載の無線中継システム。
  6. 有線ネットワークに接続されたひとつの基地局装置すなわちエントランス基地局装置と、該エントランス基地局装置と無線回線を介して接続された中継局装置すなわちサテライト基地局装置と、さらに該サテライト基地局装置と無線回線で接続された端末局装置により構成された無線中継システムの無線中継方法であって、
    前記エントランス基地局装置は、複数の前記サテライト基地局装置のうちの何れか複数のサテライト基地局装置の属するグループを、前記サテライト基地局装置の組み合わせを変更して複数特定し、それらグループそれぞれについて、グループに属する各サテライト基地局装置間の干渉を送信ウエイト行列または受信ウエイト行列を用いて排除して得られた部分伝達関数の固有値から求まる当該グループのチャネル容量のグループ内総和を求めて、前記特定した複数のグループの中から、チャネル容量のグループ内総和の大きな所定の数のグループを事前設定グループとして選択し、当該選択した事前設定グループに対して、それぞれ事前に、送信ウエイト行列およびまたは受信ウエイト行列、伝送モード、送信電力、並びにサテライト基地局装置単位のMIMO(Multiple Input Multiple Output)空間多重数を算出し、これらをデータテーブルに格納して記憶し、
    前記エントランス基地局装置は、アップリンクまたはダウンリンクの送信タイミングにおいて、送受信すべきデータの通信相手となるサテライト基地局装置を抽出し、当該サテライト基地局装置の全てまたは一部によって構成される前記事前設定グループを選択し、
    前記エントランス基地局装置は、当該事前設定グループに属するサテライト基地局装置に対して、当該事前設定グループについて前記データテーブルに格納されている送信ウエイト行列または受信ウエイト行列、伝送モード、送信電力、ならびにサテライト基地局装置単位のMIMO空間多重数の設定情報を利用することにより、同時に、空間多重によるマルチユーザMIMO通信を行い、
    前記サテライト基地局装置は、前記エントランス基地局装置より無線回線を介して受信したデータの全てまたは一部を、自基地局装置の配下の端末局装置に対して転送し、
    前記サテライト基地局装置は、前記端末局装置より受信したデータの全てまたは一部を前記エントランス基地局装置に転送し、
    前記サテライト基地局装置は、他のサテライト基地局装置との間で同時に空間多重を行いながら前記エントランス基地局装置との間でマルチユーザMIMO通信を行う
    ことを特徴とする無線中継方法。
  7. 前記エントランス基地局装置および前記サテライト基地局装置はそれぞれ固定設置されていることを特徴とする請求項6に記載の無線中継方法。
  8. 前記エントランス基地局装置は、前記サテライト基地局装置の設置後ないしは所定の間隔で定期的に、該サテライト基地局装置の備える複数のアンテナと前記エントランス基地局装置との間のアップリンク及びダウンリンクの伝達関数行列をそれぞれ取得し、
    前記エントランス基地局装置は、複数存在する前記サテライト基地局装置との間でマルチユーザ通信を行う際に必用となる各サテライト基地局装置の信号間の干渉を抑制するための送信指向性制御のための送信ウエイト行列および受信指向性制御のための受信ウエイト行列を、前記サテライト基地局装置の所定の組み合わせ毎に取得する
    ことを特徴とする請求項7に記載の無線中継方法。
  9. 前記エントランス基地局装置は、前記サテライト基地局装置の設置後ないしは所定の間隔で定期的に、前記エントランス基地局装置が希望のタイミングで各サテライト基地局装置からの信号を受信できるように、各サテライト基地局装置の信号の送信タイミングを前後させる調整量を取得し、
    前記サテライト基地局装置は、前記エントランス基地局装置の指示する前記送信タイミングの調整量を記憶し、
    前記サテライト基地局装置は、前記エントランス基地局装置から信号送信の指示があった場合には、基準となる送信タイミングに前記調整量を付加したタイミングでデータを送信する
    ことを特徴とする請求項8に記載の無線中継方法。
  10. 前記エントランス基地局装置は、マルチキャスト用のデータを前記サテライト基地局装置に対して送信し、
    前記エントランス基地局装置は、前記サテライト基地局装置がマルチキャスト用のデータを中継送信するタイミングを指示し、
    前記エントランス基地局装置は、前記サテライト基地局装置がマルチキャスト用のデータを中継送信する伝送モードを指示し、
    前記サテライト基地局装置は、前記エントランス基地局装置が送信したマルチキャスト用のデータを受信し、
    前記サテライト基地局装置は、前記エントランス基地局装置の指示する中継送信のタイミング及び伝送モードを用い受信したデータのMACヘッダを変更することなしに中継送信する
    ことを特徴とする請求項6から請求項9に記載の無線中継方法。
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