JP4463411B2 - 酸化物超伝導デバイス用ペルチェ素子 - Google Patents

酸化物超伝導デバイス用ペルチェ素子 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、酸化物超伝導デバイス用ペルチェ素子に関し、より具体的にはペルチェ効果を利用して酸化物超伝導デバイスを低温度に保持し制御するための酸化物超伝導デバイス用ペルチェ素子に関する。
【0002】
【従来の技術】
超伝導現象は、物質が低温で電気抵抗が0(ゼロ)となる現象であるが、超伝導現象を示す物質、すなわち超伝導材料としては金属、合金、金属間化合物、酸化物系の超伝導材料などがある。特に酸化物超伝導材料では超伝導転移温度Tcが液体窒素の沸点より高いものが見い出された。例えばYBa2Cu37-δではTc≒92K、Bi2Sr2Ca2Cu310ではTc≒107K、HgBa2Ca2Cu38+δでTc≒135Kという温度である。
【0003】
超伝導状態では、電気抵抗が0になるほかに、マイスナー効果、磁束量子化、ピン止め効果、ジョセフソン効果などの特異な特性が働く。これらの特性を利用する機器として、超伝導エネルギー貯蔵、超伝導磁石、超伝導送電、超伝導トランジスターなどの超伝導エレクトロニクス素子、超伝導マイクロ波デバイス、超伝導スイッチなどの超伝導デバイスが研究されている。
【0004】
それらいずれの利用に際しても、超伝導状態を得るにはそのような超伝導材料を低温に保持し制御する必要があり、例えばHgBa2Ca2Cu38+δでも135K(−138℃)以下というような低温に保持し制御する必要がある。従来、そのような低温に制御する手段としては液体窒素や液体ヘリウム等の冷媒に浸漬しての冷却や冷凍機を使った冷却などが用いられてきた。しかし、冷媒での浸漬冷却は、冷媒が液体である温度でしか温度を一定に保つことができないため、使用温度が制限され、超伝導デバイスで発揮できる特性は限定的になってしまう。一方、冷凍機冷却では温度は任意に設定できるが、精密な温度制御が難しく、また可動部があるため耐久性や振動、騒音、電磁ノイズの問題もあった。このため、これらに代わる、温度制御性が良好で、且つ、振動等の問題がない冷却手段の開発が強く望まれている。
【0005】
その1つとしてペルチェ素子を利用する方法が考えられ、これに関連する幾つかの提案がなされている。例えば、特開昭64−42185号では、長期間の自動運転も可能な信頼性のある冷却方法による超伝導体装置を提供するとし、少なくとも電気回路の一部に超伝導物質を含む装置において、該超伝導物質からなる回路の少なくとも一部分をペルチェ効果を利用した熱電冷却装置によって超伝導遷移温度以下の温度に保持し、作動させるというものである。実施例では、p型素子としてBi0.5Sb1.5Te3が用いられ、n型素子としてBi0.88Sb0.12及びBi2Te2.7Se0.3が用いられている。
【0006】
特開平1−112316号は、演算素子あるいは記憶素子に超伝導素子を用いたコンピュータに関するもので、超伝導素子をペルチェ素子の吸熱部上に熱的に接合し、かつペルチェ素子の放熱部を冷却する蒸発器、および該蒸発器と冷凍サイクルを構成する凝縮器、膨張弁、圧縮器および該圧縮器駆動用のモータを備えるというものである。これによれば、その冷却に液体ヘリウムや液体窒素などを用いる場合のような問題がなく、小型化が可能であるとしているが、ペルチェ素子の構成材料としてどのような材料を用いるかは記載されていない。
【0007】
特開平6−350146号では、超伝導素子とペルチェ素子を一体的にして不活性ガス雰囲気にて封印した超伝導装置において、超伝導現象を示す被冷却体と、通電によってペルチェ効果を呈する冷却素子を一体的に不活性雰囲気でパッケージした外囲器をさらに真空雰囲気でパッケージするとし、これにより冷却素子によって冷却された外囲器を外部から熱的に遮断することで、超伝導装置の冷却効率を向上させ、さらに外部の水分が外囲器上へ結露することを防止するというものである。ここでも、冷却素子の構成材料としてどのような材料を用いるかは記載されていない。
【0008】
ところで、ペルチェ素子、すなわちペルチェ効果を利用する冷却素子は、相異なる二種の金属やp型半導体とn型半導体等の相異なる熱電変換材料を熱的に並列に置き、両素子を電気的に直列に接続し、電極を通して外部から電流を通す閉回路を形成することで構成される。電極間に電流を流すと、ペルチェ効果により接合点に熱の吸収が起こって冷却される。図1はペルチェ素子を原理的に説明する図である。
【0009】
図1中、1はn型熱電変換材料、2はp型熱電変換材料、3は吸熱側電極(吸熱接点)、4、5は発熱側電極(発熱接点)であり、Tcは低温側温度、Thは高温側温度を示し、Sは絶縁空間である。吸熱接点はn型熱電変換材料1とp型熱電変換材料2に共通に設け、発熱接点はn型熱電変換材料1とp型熱電変換材料2とに別個に設けられている。この態様のペルチェ素子において発熱側の両電極間に電流を流すと、低温側接合部3と高温側接合部4との間に温度差ΔT=Th−Tcが発生する。これにより低温側接合部3(すなわち低温接点側)が冷却され、その面に配置された被冷却体を冷却することができる。
【0010】
ペルチェ素子用の熱電変換材料には高い熱電性能が要求される。性能指数(Z)は、次の式(1)で表される。
【数1】
Figure 0004463411
ここでαはゼーベック係数、ρは電気抵抗率、κは熱伝導率を示す。性能指数が高くなるためには、ゼーベック係数は大きく、電気抵抗率は小さく、熱伝導率は小さいことが必要である。超伝導体に超伝導現象を生起させる低温を得るためには、低温域でもこれらの性能が優れていることが必要である。またペルチェ素子を適用する場合には、その吸熱接点が超伝導デバイスの被冷却面と熱的に良い接合がされていることが必要である。特に、この接合は、実用化に際して非常に重要である。
【0011】
熱電性能が優れた材料としてBiTe系、PbTe系、CoSb系、SiGe系、Fe−Si系などがある。このなかで、室温付近以下で最も優れた性能を示すBiTe系材料がペルチェ素子用材料として使用されている。例えば特開昭64−42185号の実施例ではBiTe系やBiSb系等の非酸化物系の材料が試みられている。
【0012】
但し、そのようなペルチェ素子の吸熱接点を超伝導デバイスの被冷却面に接合させるには、超伝導デバイスとペルチェ素子を別個に作り、超伝導デバイスの被冷却部とペルチェ素子間にグリース等の接合材を介して圧着することにより熱接触を得るようにしている。図2はその態様例を示す図である。基板上に超伝導デバイスを配置して構成し、一方冷却素子を別個に構成する。そして超伝導デバイスの基板面と冷却素子の吸熱側電極(図1でいえば低温側接合部3)の間に接合材を配置して熱圧着させる。
【0013】
しかし、Bi−Te系(Bi2Te3等)の材料は、熱膨張係数が13×10-6/Kと高い。このため、素子に生じた温度差により熱膨張の差が生じ、反りによる被冷却部分との間に空隙が生じ易く、その空隙が熱抵抗成分になるという欠点がある。そのため温度制御性や負荷追従性が悪いという問題があった。さらに、上記のような材料は熱接合性が悪いため、温度制御性や追従性が悪く、冷却効率もよくない。また、超伝導デバイスの被冷却部との間の熱膨張係数の違いにより、その被冷却部とペルチェ素子間の熱接合が熱サイクルに対して劣化しやすいという問題もある。被冷却体が酸化物超伝導デバイスの場合には、特に問題である。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者等は、酸化物系の熱電変換材料について鋭意実験、研究を続け、In23系のn型酸化物熱電変換材料、ACoxOy(式中、AはLi、Na又はKであり、xは1≦x≦2、yは2≦y≦4である)等の酸化コバルト系のp型酸化物熱電変換材料その他一連の成果を先に得ている。これら酸化物系の熱電変換材料は、例えば77K(−196℃)以下というような低温においても高い熱電特性を有する優れた材料である。
本発明は、酸化物超伝導デバイス用ペルチェ素子の構成材料として、それらn型酸化物熱電材料とp型酸化物熱電材料を用いることにより、非酸化物系材料で構成したペルチェ素子における上記のような諸問題を一挙に解決してなる酸化物超伝導デバイス用ペルチェ素子を提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明は、n型熱電変換材料とp型熱電変換材料を(電極を介さず)交互に連結してなる酸化物超伝導デバイス用ペルチェ素子であって、n型熱電変換材料としてn型酸化物熱電材料を用いるとともに、p型熱電変換材料としてp型酸化物熱電材料を使用し、且つ、その吸熱もしくは放熱接点側を酸化物超伝導デバイスの被冷却部に当接して熱接合してなることを特徴とする酸化物超伝導デバイス用ペルチェ素子を提供する。
【0016】
また、本発明は、n型酸化物熱電変換材料とp型酸化物熱電変換材料を交互に連結してなる酸化物超伝導デバイス用ペルチェ素子のn型酸化物熱電変換材料とp型酸化物熱電材料の連結部が、電極を介して交互に連結してなることを特徴とする酸化物超伝導デバイス用ペルチェ素子を提供する。さらに、本発明は、n型酸化物熱電変換材料とp型酸化物熱電変換材料を交互に連結してなる酸化物超伝導デバイス用ペルチェ素子であって、n型酸化物熱電変換材料とp型酸化物熱電材料の連結部が、電極を介さず直接交互に連結してなることを特徴とする酸化物超伝導デバイス用ペルチェ素子を提供する。
【0017】
【発明の実施の形態】
本発明のペルチェ素子は、酸化物超伝導デバイスに対して適用され、酸化物超伝導デバイスを低温度に保持し制御するものである。酸化物超伝導デバイスを構成する酸化物超伝導体としては、酸化物であって、超伝導特性を示す材料であればいずれも使用される。その典型例としては、La2-XSrXCuO4(x≒0.15)、YBa2Cu27-δ、Bi2Sr2Ca2Cu310、Tl2Ba2Ca2Cu310、HgBaCa2Cu38+δなどが挙げられる。
【0018】
本発明のペルチェ素子は、構成材料として酸化物超伝導体を用いた超伝導デバイスに対して適用される。本発明のペルチェ素子においては、n型、p型、共に酸化物熱電変換材料、すなわちn型酸化物熱電変換材料とp型酸化物熱電変換材料を用いることが非常に重要である。これにより、酸化物超伝導デバイスの被冷却部に対して容易且つ強固に熱接合することができる。すなわち、酸化物超伝導デバイスの被冷却部も温度制御素子の吸熱接点側も共に酸化物であり、これらは熱膨張率あるいは熱収縮率が同等あるいは近似しているので、両者を容易且つ強固に接合することができる。
【0019】
例えば、p型熱電変換材料である(Na0.95Ag0.05)xCoO4の熱膨張率、n型熱電変換材料であるIn23の熱膨張率は、共に約8×10-6/K(室温)である。そして絶縁材料として使われるAl23の熱膨張率も約8×10-6/K(室温)であるので、これらでペルチェ素子を構成することにより、温度変化に対して熱収縮、熱膨張の差による応力発生を抑えることができる。また、それらは例えばBiTe系の材料の熱膨張率に対して半分強であり、このため温度変化によるペルチェ素子モジュールの変形も起こらないか、非常に小さく、熱的な接合性を良好に保つことができる。さらには、温度サイクルに対して高い安定性と信頼性を得ることができる。
【0020】
電極材料としては、n型、p型の各酸化物熱電変換材料や基板材料の熱膨張係数が近似した材料を用いるが、その例としてはCu−CuO複合材、SiN材などが挙げられる。また、酸化物超伝導デバイスの基板材料としては、酸化物超伝導デバイスに対応した材料が用いられるが、その一例として好ましくはアルミナもしくはサファイア等を用いることができる。この場合、ペルチェ素子モジュールの絶縁材料と超伝導デバイスの基板とを兼用させることができ、これにより熱抵抗も大幅に低減できる。
このように、本発明によれば、酸化物超伝導デバイス用ペルチェ素子の構成材料としてn型、p型、共に酸化物熱電変換材料を用いることにより、酸化物超伝導デバイスに対して温度制御性や追従性を良好にするとともに、高い安定性と信頼性を得ることができる。
【0021】
図3は、本発明における酸化物超伝導デバイスの被冷却面に対するペルチェ素子(冷却素子、低温制御素子)の接合態様例を示す図である。基板上に超伝導デバイスを構成するとともに、ペルチェ素子を構成する。そして、その基板面にペルチェ素子の吸熱側電極(吸熱接点)を当接させ、例えば300℃以上の温度で熱処理(熱接合)させることにより接合する。これにより、超伝導デバイスとペルチェ素子とをグリースを介さずに接合する。これにより、接合部の熱抵抗成分を大幅に低減できる。熱的に良好な接合となるため、冷却効率や負荷追従性もよく、信頼性の高い接合を得ることができる。従来の材料(BiTe系)は300℃以上では劣化するため、このような接合は不可能であった。
【0022】
本発明のペルチェ素子を構成するp型酸化物熱電変換材料、n型酸化物熱電変換材料としては、酸化物熱電変換材料であれば特に限定はないが、好ましくは、例えば本発明者等により開発された下記(1)〜(11)のような酸化物熱電変換材料を用いることができる。(1)〜(5)はp型酸化物熱電変換材料、(6)〜(11)はn型酸化物熱電変換材料である。これら酸化物熱電変換材料は液体窒素温度(−196℃)から800℃以上というような広い範囲にわたって有効な熱電特性を有する。
【0023】
(1)元素組成式ACoxOy(式中、AはLi、Na又はKであり、xは1≦x≦2、yは2≦y≦4である)で表わされる物質からなる酸化物熱電変換材料、および、元素組成式(AZ1-Z)CoxOy〔式中、AはLi、Na又はK、BはMg、Ca、Sr、Ba、Sc、Y、Bi又はTeであり、zは0<z<1の範囲であり、xは1≦x≦2、yは2≦y≦4である〕で表わされる物質からなる酸化物熱電変換材料(特開平9−321346号)。
(2)元素組成式Na(CoZ1-ZXY(式中、xは1≦x≦2、yは2≦y≦4、zは0<z<1であり、AはMn、Fe又はCuである)で表わされる物質からなることを特徴とする熱電変換材料(特開平10−256612号)。
(3)元素組成式NaP1-P(CoZ1-ZXY(式中、xは1≦x≦2、yは2≦y≦4、pは0<p<1、zは0<z<1であり、AはMn、Fe又はCuであり、BはCa、Sr、Ba、Bi又はYである)で表わされる物質からなることを特徴とする熱電変換材料(特開平10−256612号)。
(4)元素組成式(NaP1-P)(CoZ1-Z)xOy〔式中、xは1≦x≦2、yは2≦y≦4、pは0<p≦1、zは0<z≦1であり(pとzが共に1の場合を除く)、B又はA若しくはB及びAは、それぞれ、Ag、Li、ランタノイド、Ti、Mo、W、Zr、V、Crから選ばれた1種又は2種以上の元素を示す〕で表される物質からなる酸化物熱電変換材料(特開平11−266038号)。
(5)元素組成式(NaP1-P)(CoZ1-Z-qCuq)xOy〔ただし式中、xは1≦x≦2、yは2≦y≦4、pは0<p≦1であり、z及びqは、0<z<1、0<q<1、z≦1−qであり(pが1で且つzが1−qの場合を除く)、B又はA若しくはB及びAは、それぞれ、Ag、Li、ランタノイド、Ti、Mo、W、Zr、V、Crから選ばれた1種又は2種以上の元素を示す〕で表される物質からなる酸化物熱電変換材料(特開平11−266038号)。
【0024】
(6)In23を主体とするn型酸化物熱電変換材料であって、基本酸化物In23に対してZr、Sn、Ti、Ce、V、Hf、Os及びIrから選ばれた少なくとも1種の4価の元素をドープしてなることを特徴とするn型酸化物熱電変換材料。これらの4価元素のうちZr、Sn及びTiから選ばれた少なくとも1種の元素をドープしてなる材料は特に優れた熱電特性を有する。この材料は「In23を主体とし、式(In1-XX23で表されるn型酸化物熱電変換材料(式中、AはZr、Sn及びTiから選ばれた少なくとも1種の元素であり、x=0.00005〜0.1である)」として示すことができる。
【0025】
(7)In23を主体とし、Zr、Sn、Ti、Ce、V、Hf、Os及びIrから選ばれた少なくとも1種の4価の元素をドープしてなるn型酸化物熱電変換材料であって、基本酸化物In23に対してZr、Sn、Ti、Ce、V、Hf、Os及びIrから選ばれた少なくとも1種の4価の元素をドープした酸化物を還元し得る雰囲気中でアニール処理してなることを特徴とするn型酸化物熱電変換材料。
【0026】
(8)In23を主体とし、式(In1-XX23で表されるn型酸化物熱電変換材料であって、In23を主体とし、式(In1-XX23で表される酸化物を還元し得る雰囲気中でアニール処理してなることを特徴とするn型酸化物熱電変換材料(式中、AはZr、Sn及びTiから選ばれた少なくとも1種の元素であり、x=0.00005〜0.1である)。
【0027】
(9)In23を主体とし、Zr、Sn、Ti、Ce、V、Hf、Os及びIrから選ばれた少なくとも1種の4価の元素をドープしてなるn型酸化物熱電変換材料であって、In23又は焼成によりIn23を生成する材料とZr、Sn、Ti、Ce、V、Hf、Os及びIrから選ばれた少なくとも1種の4価の元素を含む材料からなる原料混合物を還元し得る雰囲気中で焼成してなることを特徴とするn型酸化物熱電変換材料。
【0028】
(10)In23を主体とし、式(In1-XX23で表されるn型酸化物熱電変換材料であって、In23又は焼成によりIn23を生成する材料とZr、Sn及びTiから選ばれた少なくとも1種の4価の元素を含む材料からなる原料混合物を還元し得る雰囲気中で焼成してなることを特徴とするn型酸化物熱電変換材料(式中、AはZr、Sn及びTiから選ばれた少なくとも1種の元素であり、x=0.00005〜0.1である)。
【0029】
(11)In23からなるn型酸化物熱電変換材料であって、In23又は焼成によりIn23を生成する材料を還元し得る雰囲気中で焼成してなることを特徴とするn型酸化物熱電変換材料。
【0030】
上記(6)〜(11)のn型酸化物熱電変換材料は、特願2000−244833(出願日:平成12年8月11日、優先日:平成11年8月18日)に係るもので、これらの材料は各種酸化物を製造する場合と同様にして製造することができる。すなわち、In23又は焼成によりIn23を生成する材料とドープ用の元素を含む材料を原料とし、これらを粉末等として均一に混合し、空気等のガス雰囲気中で焼成することにより得られる。焼成温度は、特に限定されないが、900〜1200℃の範囲であるのが好ましい。なお、この場合、原料を混合した後、焼成する前に、空気等の雰囲気中で仮焼してもよい。
【0031】
本発明で使用するn型酸化物熱電変換材料は、主構成元素が少ないので製造しやすく、材料自体の製造上のメリットも大きい。また、ドープ元素がZr、Tiである場合、構成元素がIn、Zr、Ti及び酸素であり、毒性元素を含んでいないため安全である。さらに、ドープ元素がZr、Sn、Tiである場合、希少元素、貴金属等を含んでいないことから比較的安価であり、産業利用上のメリットが非常に大きい。
【0032】
In23の原料としては、焼成によりIn23を生成し得る原料であれば特に限定はなく、その例としては例えば金属(In)、インジウム酸〔In(OH)3、In23・xH2O〕、ハロゲン化物(InBr、InCl2、InBr2、InI2、InF3、InBr3等)、硝酸塩〔In(NO33・3H2O〕などが用いられる。In23の原料としては、酸化物(In23)自体を用いてもよく、焼成により4価の元素がドープされる。In23にドープするZr源としては、例えば金属(Zr)、酸化物(ZrO2等 )、有機酸塩〔Zr(CH3CO24〕、ハロゲン化物(ZrCl3、ZrCl4)、オキシハロゲン化物(ZrOCl2・8H2O等)などが用いられる。
【0033】
Sn源としては、例えば金属(Sn)、酸化物(SnO2)、錫酸(SnO2・xH2O)、水酸化物〔Sn(OH)4〕、硝酸塩〔Sn(NO34〕、硫酸塩〔Sn(SO44〕、ハロゲン化物(SnCl4、SnI4等)などが用いられる。Ti源としては、例えば金属(Ti)、酸化物(Ti23、TiO2等)、水酸化物〔Ti(OH)3等〕、硫酸塩〔Ti(SO42〕、ハロゲン化物(TiCl4、TiI4等)などが用いられる。他の4価の元素源としては、単体、酸化物、その他、In23に対してドープし得る形のものであれば用いられる。
【0034】
熱電変換材料は▲1▼ゼーベック係数(絶対数)が高い(大きい)方がよく、▲2▼電気抵抗率は低い(小さい)方がよく、▲3▼熱伝導率は低い(小さい)方がよく、▲4▼パワーファクターと▲5▼性能指数は高い(大きい)方がよいが、基本酸化物In23に対して4価の元素をドープしたn型酸化物熱電変換材料は、基本酸化物In23に対して、▲2▼電気抵抗率と▲3▼熱伝導率が改善され、特に▲2▼電気抵抗率が格段に改善され、この結果、▲4▼パワーファクターと▲5▼性能指数が大きく改善される。なお、▲1▼ゼーベック係数はIn23に対して小さくなるが、本発明に係る基本酸化物In23に対して4価の元素をドープしたn型酸化物熱電変換材料では、特に▲2▼電気抵抗率が格段に改善され、併せて▲3▼熱伝導率も改善されることから、熱電変換材料として特に重要な性能である▲4▼パワーファクターと▲5▼性能指数が大きく改善される。
【0035】
このn型酸化物熱電変換材料は、焼成後、還元し得る雰囲気中で熱処理することにより、すなわち還元し得る雰囲気中でアニール処理(annealing)することにより、その熱電性能、特に電気抵抗率をさらに改善することができ、これに伴いパワーファクター及び性能指数をさらに改善することができる。アニール処理の温度は、特に限定されないが、600〜1150℃の範囲であるのが好ましい。例えば、ドープ元素がCeの場合、還元し得る雰囲気中でのアニール処理前は、その熱電材料としての特性は基本酸化物In23と同等ないしほぼ同等であるが、還元し得る雰囲気中でアニール処理することにより基本酸化物In23に対してその熱電材料としての熱電性能が格段に改善される。また、これら還元し得る雰囲気中でのアニール処理、または還元し得る雰囲気中での焼成は酸化インジウム(In23)自体についてもその性能の改善に有効である。
【0036】
上記還元し得る雰囲気中でのアニール処理は、例えば上記のような高温度に保持した炉中に該材料を置き、還元し得るガスを炉中に流通させることにより行うことができる。還元し得るガスとしては、該材料を還元し得るガスであれば特に限定されないが、好ましくは窒素又は窒素を含むガスが用いられる。還元し得るガスは、上記のように流通させるに代えて、密閉ガス雰囲気としてもよい。すなわち、焼成炉等の密閉した還元し得るガスの雰囲気中に該材料を置き、該ガス雰囲気を上記のような温度に保持して処理してもよい。このほか、還元し得る雰囲気中でのアニール処理は、真空炉中に該材料を置き熱処理することで行ってもよい。
【0037】
また、上記のように焼成した後に還元し得る雰囲気中でアニール処理するのに代えて、大気中での焼成を経ずに還元し得る雰囲気中で焼成してもよい。この場合、In23又は焼成によりIn23を生成する材料とZr、Sn、Ti、Ce、V、Hf、OsおよびIrから選ばれた少なくとも1種の4価の元素を含む材料からなる原料混合物を還元し得る雰囲気中で焼成する。酸化インジウム(In23)自体について適用する場合には、In23又は焼成によりIn23を生成する材料を還元し得る雰囲気中で焼成する。この焼成温度は、特に限定されないが、上記アニール処理の温度と同様の温度、すなわち600〜1150℃の範囲であるのが好ましい。
【0038】
上記「焼成によりIn23を生成する材料」としては酸素を含む材料が用いられるが、焼成する前に空気等の酸化雰囲気中で仮焼する場合には、この段階でIn23が生成するので、その材料として酸素を含まない材料も用いることができる。Zr、Sn、Ti、Ce、V、Hf、OsおよびIrから選ばれた少なくとも1種の4価の元素を含む材料のそれら元素は、仮焼、焼成時にIn23にドープされる。
【0039】
この場合にも、上記焼成後の材料を還元し得る雰囲気中で熱処理して得られるn型酸化物熱電変換材料と同等ないしほぼ同等のn型酸化物熱電変換材料が得られる。還元し得る雰囲気を形成するガスとしては、該材料を還元し得るガスであれば特に限定されないが、好ましくは窒素又は窒素を含むガスが用いられる。該ガスによる雰囲気の形成は、流通させるに代えて、密閉還元ガス雰囲気としてもよい。この場合の熱処理、すなわち大気中での焼成を経ずに還元し得る雰囲気中で焼成する場合についても、前記のように真空炉中に該材料を置き熱処理することで行ってもよい。
【0040】
上記n型酸化物熱電変換材料は、液体窒素温度(−196℃)というような低温から800℃以上という広い温度範囲で有効な熱電性能を備えている。
【0041】
図4〜6は上記n型酸化物熱電変換材料の1例〔(In0.995Ti0.00523 の窒素アニール品〕についての熱電特性を示す図である。図4のとおり、n型酸化物熱電変換材料のゼーベック係数は80Kで−10×10-6(V/K)の値を示し、以降温度上昇とともに大きくなり、700K以上にわたる広い温度範囲で有効な値を有している〔なお、ゼーベック係数の符号が−(マイナス)であるのはn型であるからである〕。パワーファクターについては、80Kで25×10-6(W/m・K2)の値を示し、以降温度上昇とともに大きくなり、700K以上にわたる広い温度範囲で有効な値を有している。図5のとおり、n型酸化物熱電変換材料のパワーファクターは、780℃(1053K)で230×10-6(W/m・K2)という優れた値を示している。図6のとおり、性能指数についてもパワーファクターの場合とほぼ同様に優れた値を示している。
【0042】
図7は前記p型酸化物熱電変換材料の1例(Na1.6Co24 焼成品)についての熱電特性を示す図である。図7のとおり、p型酸化物熱電変換材料のゼーベック係数は80K(−193℃)で50×10-6(V/K)の値を示し、以降温度上昇とともに大きくなり、700K以上にわたる広い温度範囲で有効な値を有している。パワーファクターについては、80Kで570×10-6(W/m・K2)の値を示し、以降温度上昇とともにある程度の上下変化はあるが、700K以上にわたる広い温度範囲で有効な値を有している。図8は上記p型酸化物熱電変換材料(Na1.6Co24 焼成品)と同系統の材料(NaCo24 にAg、La、Ce等をドープしたももの焼成品:特開平11−266038号)の熱電特性を示す図である。p型酸化物熱電変換材料の性能指数は、常温域から温度上昇とともに大きくなり、740℃(1013K)で400×10-6(K-1)という優れた値を示している。
【0043】
これらのp型酸化物熱電変換材料及びn型酸化物熱電変換材料は、ペルチェ素子の熱電変換材料に要求される条件を満たす材料である。すなわち、(1)これらはゼーベック係数の絶対値が大きく、77K(−196℃)以下、あるいは、それより高温である酸化物超伝導材料における125K以下というような低温でも係数が大きい、(2)電気抵抗が低い、(3)それら酸化物熱電変換材料は熱伝導率が悪いので、発熱接点側からの熱が吸熱接点側へ伝わり難いという特性を有するので本発明のペルチェ素子として非常に有効である。
【0044】
このため、本発明のペルチェ素子は、例えば超伝導エネルギー貯蔵、超伝導磁石、超伝導送電、超伝導トランジスターなどの超伝導エレクトロニクス素子、超伝導マイクロ波デバイス、超伝導スイッチなどの超伝導デバイス、その他酸化物超伝導材料を利用する各種機器を低温度に保持し制御するため、すなわちそれらの低温制御用として適用することができる。
【0045】
【実施例】
以下、実施例を基に本発明をさらに詳しく説明するが、本発明がこれら実施例に限定されないことはもちろんである。n型酸化物熱電変換材料及びp型酸化物熱電変換材料として特定の材料を例示しているが、前記各種酸化物材料が使用することができるものである。
【0046】
《実施例1》
本例は、高熱電性能で熱膨張率の低いペルチェ素子を作製し、超電導デバイスと接合する例である。図9〜10は本例を説明する図である。図9のとおり、超伝導デバイスを基板上に作製した。基板としてはサファイヤ、MgO、LaAlO3等が用いられるが、本例ではサファイヤを用い、この基板上に塗布法によりYBa2Cu37-δからなる超伝導膜を作製した。製膜はPVD法やCVD法なども使用される。次いで、超伝導膜上に電極を製膜し、エッチングにより、超伝導膜と電極を所定のパターンに形成した後、電極接合用にTi/Niを形成した。一方、p型酸化物熱電変換材料としてNaCoO系焼成品(Na1.6Co23)を用い、n型酸化物熱電変換材料としてIn23の窒素アニール品を用いた。Cu−CuO複合材(銅と酸化銅との複合材)は(その複合比に応じて)熱膨張率を6〜17×10-6/Kの範囲で任意に設定できる導電性の材料である。本例では熱膨張率を8×10-6/KにしたCu−CuO複合材を電極とし、これを介してペルチェ素子を作製した。なお、電極としては、ZrO2−WC、Si34−TiN等のセラミック複合材を用いることもできる。
【0047】
電極に対する各熱電変換材料の接合は、それら両者間に導電性接着剤を介在させて行うが、本例では接着剤として電極及び各熱電変換材料と熱膨張係数が揃ったCu−CuOペーストを用いた。該ペーストを電極と各熱電変換材料間に塗布し、電極と各熱電変換材料を接合させた後、窒素雰囲気中で温度約200℃で1時間熱処理して接着した。
次に、図10のとおり、上記超伝導デバイスとペルチェ素子を接合した。まず、超伝導デバイスの基板面及びペルチェ素子モジュールの電極面を研磨した。これは密着接合を良好に行うためである。その後、超伝導デバイスをペルチェ素子の冷却面に接合した。その際、熱接触をよくするために、接合面に熱伝導グリースを塗布してもよい。
【0048】
本例の場合、ペルチェ素子モジュールを構成するp型酸化物熱電変換材料及びn型酸化物熱電変換材料の熱膨張率が約8ppm/Kであり、例えばBi−Te系(Bi2Te3等)の約13ppm/Kに比べてはるかに小さい。このため、ペルチェ素子モジュールに生じる反りを大幅に低減できる。その結果、冷却時(温度差が発生したとき)でも熱接触が良好であり、高い冷却効率と付加追従性を有する。また、熱サイクルに対してペルチェ素子モジュールの劣化を大幅に抑えることができる。さらに、従来のように、金属電極と非酸化物系の熱電変換材料の接合では剥離が生じ易かったが、本例では各材料の熱膨張率を同程度にしてあるのでそのような剥離が起こらない。
【0049】
《実施例2》
本例は、導電性接着材を用いることなくペルチェ素子を作製し、超伝導デバイスと接合する例である。図11は本例を説明する図である。実施例1と同様にして超伝導デバイスをサファイア基板上に作製した。一方、p型酸化物熱電変換材料としてNaCoO系材料(Na1.6Co23)を、n型酸化物熱電変換材料として(In0.995Ti0.00523材料の窒素アニール品を用い、ZrO2−WC電極を介してペルチェ素子モジュールを加圧成形により作製した。成形方法は型枠内の下部に電極材を置き、この上に間隔を置いて両熱電変換材料を当接させ、上方から加圧して成形した。次いで該成形品を窒素雰囲気中で温度約800℃で1時間熱処理して熱電変換材料と電極を一体焼結した。
【0050】
このような高温での熱処理は、BiTe系などのような融点の低い熱電変換材料やSiGe系などのような高温で不安定な熱電変換材料では不可能であるが、本例のように酸化物熱電変換材料は、高温でも安定であるため、高温での焼結ができ、これにより強固に接合することが可能である。超伝導デバイスとペルチェ素子モジュールの接合は実施例1と同様にして行った。なお、この場合、熱接着をよくするために両者の接着面に熱伝導グリースを塗ってもよい。
【0051】
本例の場合、熱電変換材料と電極材料とを接着剤を介さずに行うことができる。その結果、接合工程を簡略化でき、接合力の向上が図れる。また、ペルチェ素子モジュールを構成するp型酸化物熱電変換材料及びn型酸化物熱電変換材料の熱膨張率が約8ppm/Kと、例えばBi−Te系(Bi2Te3等)のそれ(約13ppm/K)に比べてはるかに小さいため、ペルチェ素子モジュールに生じる反りを大幅に低減できる。その結果、冷却時(温度差が発生したとき)でも熱接触が良好であり、高い冷却効率と付加追従性を有する。また、熱サイクルに対してペルチェ素子モジュールの劣化を大幅に抑えることができる。さらに、従来のように、金属電極と非酸化物系の熱電変換材料の接合では剥離が生じ易かったが、本実施例では各材料の熱膨張率を同程度にしてあるのでそのような剥離が起こらない。
【0052】
《実施例3》
本例は、電極を介さずにn型酸化物熱電変換材料とp型酸化物熱電変換材料を交互に連結する例である。図12は本例を説明する図である。n、p酸化物熱電材料として実施例2の材料を使用した。但し、電極材料は用いず、np材料を直接接するように成形し、その接合部に接するように超伝導デバイス基板を設置し、熱処理を施して一体化成形した。
【0053】
表1は、実施例1〜3で作製したペルチェ素子の冷却性能を比較したものである。熱伝達の指標として熱抵抗がある。超伝導デバイスの被冷却部分と熱電材料の吸熱部分の熱抵抗が大きいと熱伝達が悪くなり、負荷追従性や冷却効率が悪くなる。この熱抵抗は(1)超伝導デバイスの基板の熱抵抗、(2)超伝導デバイス基板とペルチェ素子絶縁板間の熱抵抗、電極と熱電材料の接着剤部分の熱抵抗に分解できる。
【0054】
超伝導デバイス基板はアルミナ製(厚さ2mm)、ペルチェ素子絶縁基板はアルミナ製(厚さ2mm)ペルチェ素子電極はCu−CuO複合材(厚さ0.5mm)とした。表1中の値は100mm2当たりの熱抵抗(室温)であり、これら(1)〜(5)を基に得られた値である。比較例はBi2Te3を用いたペルチェ素子の場合である。表1のとおり、本実施例によれば、ペルチェ素子冷却部と超伝導デバイス間の熱抵抗を大幅に下げることができ、これにより、冷却効率の向上はもちろん、温度制御性や負荷抵抗を向上させることができる。
【0055】
【表 1】
Figure 0004463411
【0056】
《実施例4》
本例は、ペルチェ素子で温度制御した超伝導デバイスの使用例(操作例)である。図13は超伝導デバイス、温度制御用ペルチェ素子、冷凍機の関係を示す図である。冷凍機の低温側ステージに当接させて温度制御用のペルチェ素子を配置し、該ペルチェ素子の他端を超伝導デバイスに当接させてなる。超伝導デバイスはペルチェ素子を介して温度制御される。これにより、冷凍機の低温側の温度に変動が生じても、ペルチェ素子により超伝導デバイスの温度を一定の低温に維持することができる。この変形例として、冷凍機に代えて液体窒素等の冷媒を使用してもよく、ペルチェ素子モジュールとしてはペルチェ素子を多段に組み込んだペルチェ素子モジュールを使用してもよい。
【0057】
【発明の効果】
本発明の酸化物超伝導デバイス用ペルチェ素子によれば、n型酸化物熱電変換材料とp型酸化物熱電変換材料を用いることで、酸化物超伝導体デバイスとの接合を良好にすることができるだけでなく、温度制御性や追従性を良好にし、冷却効率を上げることができる。また、酸化物超伝導デバイスの被冷却部と低温制御素子間の熱接合部の熱サイクルに対する劣化を防止することができるなど実用上も非常に有効である。
【図面の簡単な説明】
【図1】ペルチェ素子を原理的に説明する図。
【図2】従来における超伝導デバイスの被冷却面に対するペルチェ素子の接合態様例を示す図。
【図3】本発明における酸化物超伝導デバイスの被冷却面に対するペルチェ素子(冷却素子、低温制御素子)の接合態様例を示す図。
【図4】n型酸化物熱電変換材料の特性を示す図。
【図5】n型酸化物熱電変換材料の特性を示す図。
【図6】n型酸化物熱電変換材料の特性を示す図。
【図7】p型酸化物熱電変換材料の特性を示す図。
【図8】p型酸化物熱電変換材料の特性を示す図。
【図9】実施例1を説明する図。
【図10】実施例1を説明する図。
【図11】実施例2を説明する図。
【図12】実施例3を説明する図。
【図13】実施例4を説明する図。
【符号の説明】
1 n型熱電変換材料
2 p型熱電変換材料
3 吸熱側電極(吸熱接点)
4、5 発熱側電極(発熱接点)
Tc 低温側温度
Th 高温側温度
S 絶縁空間

Claims (13)

  1. n型熱電変換材料とp型熱電変換材料を交互に連結してなる酸化物超伝導デバイス用ペルチェ素子であって、n型熱電変換材料としてn型酸化物熱電材料を用いるとともに、p型熱電変換材料としてp型酸化物熱電材料を使用し、且つ、その吸熱もしくは放熱接点側を酸化物超伝導デバイスの被冷却部に当接して熱接合してなる酸化物超伝導デバイス用ペルチェ素子において、
    上記n型酸化物熱電変換材料が、In23を主体とし、式(In1-XX23で表されるn型酸化物熱電変換材料であって、In23を主体とし、式(In1-XX23で表される酸化物を還元し得る雰囲気中でアニール処理してなるn型酸化物熱電変換材料(ただし、式中、AはZr、Sn及びTiから選ばれた少なくとも1種の元素であり、x=0.00005〜0.1である)であることを特徴とする酸化物超伝導デバイス用ペルチェ素子。
  2. 請求項1に記載のn型酸化物熱電変換材料とp型酸化物熱電変換材料を交互に連結してなる酸化物超伝導デバイス用ペルチェ素子において、前記n型酸化物熱電変換材料とp型酸化物熱電材料の連結部が、電極を介して交互に連結してなることを特徴とする酸化物超伝導デバイス用ペルチェ素子。
  3. 請求項1に記載のn型酸化物熱電変換材料とp型酸化物熱電変換材料を交互に連結してなる酸化物超伝導デバイス用ペルチェ素子において、前記n型酸化物熱電変換材料とp型酸化物熱電材料の連結部が、電極を介さず直接交互に連結してなることを特徴とする酸化物超伝導デバイス用ペルチェ素子。
  4. n型熱電変換材料とp型熱電変換材料を交互に連結してなる酸化物超伝導デバイス用ペルチェ素子であって、n型熱電変換材料としてn型酸化物熱電材料を用いるとともに、p型熱電変換材料としてp型酸化物熱電材料を使用し、且つ、その吸熱もしくは放熱接点側を酸化物超伝導デバイスの被冷却部に当接して熱接合してなる酸化物超伝導デバイス用ペルチェ素子において、
    上記n型酸化物熱電変換材料が、In23を主体とし、式(In1-XX23で表されるn型酸化物熱電変換材料であって、In23又は焼成によりIn23を生成する材料とZr、Sn及びTiから選ばれた少なくとも1種の4価の元素を含む材料からなる原料混合物を還元し得る雰囲気中で焼成してなるn型酸化物熱電変換材料(ただし、式中、AはZr、Sn及びTiから選ばれた少なくとも1種の元素であり、x=0.00005〜0.1である)であることを特徴とする酸化物超伝導デバイス用ペルチェ素子。
  5. 請求項4に記載のn型酸化物熱電変換材料とp型酸化物熱電変換材料を交互に連結してなる酸化物超伝導デバイス用ペルチェ素子において、前記n型酸化物熱電変換材料とp型酸化物熱電材料の連結部が、電極を介して交互に連結してなることを特徴とする酸化物超伝導デバイス用ペルチェ素子。
  6. 請求項4に記載のn型酸化物熱電変換材料とp型酸化物熱電変換材料を交互に連結してなる酸化物超伝導デバイス用ペルチェ素子において、前記n型酸化物熱電変換材料とp型酸化物熱電材料の連結部が、電極を介さず直接交互に連結してなることを特徴とする酸化物超伝導デバイス用ペルチェ素子。
  7. n型熱電変換材料とp型熱電変換材料を交互に連結してなる酸化物超伝導デバイス用ペルチェ素子であって、n型熱電変換材料としてn型酸化物熱電材料を用いるとともに、p型熱電変換材料としてp型酸化物熱電材料を使用し、且つ、その吸熱もしくは放熱接点側を酸化物超伝導デバイスの被冷却部に当接して熱接合してなる酸化物超伝導デバイス用ペルチェ素子において、
    上記n型酸化物熱電変換材料が、In23からなるn型酸化物熱電変換材料であって、In23又は焼成によりIn23を生成する材料を還元し得る雰囲気中で焼成してなるn型酸化物熱電変換材料であることを特徴とする酸化物超伝導デバイス用ペルチェ素子。
  8. 求項7に記載のn型酸化物熱電変換材料とp型酸化物熱電変換材料を交互に連結してなる酸化物超伝導デバイス用ペルチェ素子において、前記n型酸化物熱電変換材料とp型酸化物熱電材料の連結部が、電極を介して交互に連結してなることを特徴とする酸化物超伝導デバイス用ペルチェ素子。
  9. 請求項7に記載のn型酸化物熱電変換材料とp型酸化物熱電変換材料を交互に連結してなる酸化物超伝導デバイス用ペルチェ素子において、前記n型酸化物熱電変換材料とp型酸化物熱電材料の連結部が、電極を介さず直接交互に連結してなることを特徴とする酸化物超伝導デバイス用ペルチェ素子。
  10. 上記p型酸化物熱電変換材料が、元素組成式ACoxOy(ただし、式中、AはLi、Na又はKであり、xは1≦x≦2、yは2≦y≦4である)で表される物質からなるp型酸化物熱電変換材料、または、元素組成式(AZ1-Z)CoxOy〔ただし、式中、AはLi、Na又はK、BはMg、Ca、Sr、Ba、Sc、Y、Bi又はTeであり、zは0<z<1の範囲であり、xは1≦x≦2、yは2≦y≦4である〕で表される物質からなるp型酸化物熱電変換材料であることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の酸化物超伝導デバイス用ペルチェ素子。
  11. 上記p型酸化物熱電変換材料が、元素組成式ACoxOy(ただし、式中、AはLi、Na又はKであり、xは1≦x≦2、yは2≦y≦4である)で表される物質からなるp型酸化物熱電変換材料、または、元素組成式(AZ1-Z)CoxOy〔ただし、式中、AはLi、Na又はK、BはMg、Ca、Sr、Ba、Sc、Y、Bi又はTeであり、zは0<z<1の範囲であり、xは1≦x≦2、yは2≦y≦4である〕で表される物質からなるp型酸化物熱電変換材料であって、それら元素組成式のCoサイトにMn、Fe又はCuを含むp型酸化物熱電変換材料であることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の酸化物超伝導デバイス用ペルチェ素子。
  12. 上記p型酸化物熱電変換材料が、元素組成式(NaP1-P)(CoZ1-Z)xOyで表わされる物質からなるp型酸化物熱電変換材料〔ただし、式中、xは1≦x≦2、yは2≦y≦4、pは0<p≦1、zは0<z≦1であり(pとzが共に1の場合を除く)、B又はA若しくはB及びAは、それぞれ、Ag、Li、ランタノイド、Ti、Mo、W、Zr、V、Crから選ばれた1種又は2種以上の元素を示す〕であることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の酸化物超伝導デバイス用ペルチェ素子。
  13. 上記p型酸化物熱電変換材料が、元素組成式(NaP1-P)(CoZ1-Z-qCuq)xOyで表される物質からなるp型酸化物熱電変換材料〔ただし、式中、xは1≦x≦2、yは2≦y≦4、pは0<p≦1であり、z及びqは、0<z<1、0<q<1、z≦1−qであり(pが1で且つzが1−qの場合を除く)、B又はA若しくはB及びAは、それぞれ、Ag、Li、ランタノイド、Ti、Mo、W、Zr、V、Crから選ばれた1種又は2種以上の元素を示す〕であることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の酸化物超伝導デバイス用ペルチェ素子。
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