JP4462875B2 - カチオン性ルテニウム担持ヒドロキシアパタイト - Google Patents

カチオン性ルテニウム担持ヒドロキシアパタイト Download PDF

Info

Publication number
JP4462875B2
JP4462875B2 JP2003306915A JP2003306915A JP4462875B2 JP 4462875 B2 JP4462875 B2 JP 4462875B2 JP 2003306915 A JP2003306915 A JP 2003306915A JP 2003306915 A JP2003306915 A JP 2003306915A JP 4462875 B2 JP4462875 B2 JP 4462875B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
reaction
catalyst
hydroxyapatite
hap
ruthenium
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2003306915A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2005075675A (ja
Inventor
清臣 金田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
NE Chemcat Corp
Original Assignee
NE Chemcat Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by NE Chemcat Corp filed Critical NE Chemcat Corp
Priority to JP2003306915A priority Critical patent/JP4462875B2/ja
Publication of JP2005075675A publication Critical patent/JP2005075675A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4462875B2 publication Critical patent/JP4462875B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02PCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
    • Y02P20/00Technologies relating to chemical industry
    • Y02P20/50Improvements relating to the production of bulk chemicals
    • Y02P20/52Improvements relating to the production of bulk chemicals using catalysts, e.g. selective catalysts

Landscapes

  • Catalysts (AREA)
  • Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)
  • Low-Molecular Organic Synthesis Reactions Using Catalysts (AREA)
  • Heterocyclic Carbon Compounds Containing A Hetero Ring Having Nitrogen And Oxygen As The Only Ring Hetero Atoms (AREA)

Description

本発明は炭素−炭素結合生成反応に用いる不均一系ルイス酸触媒、該触媒となるカチオン性ルテニウム担持ヒドロキシアパタイト、および、その製造方法に関する。
従来、有機合成、とりわけファインケミカルの分野では、炭素−炭素結合形成反応に各種ルイス酸触媒が用いられてきた(非特許文献1、非特許文献2)。しかし、AlCl3、TiCl4、HF−BF3等の従来のルイス酸触媒は水に対して極めて不安定であり、さらにベンゼンや分子中にハロゲン原子を含む無水有機溶媒を用いる必要があるので、その取扱いが不便であり、環境面でも問題があった。
近年、上記問題を解決した反応プロセスとして、水溶液中でも反応が進行するルイス酸触媒の開発が望まれていた。このため、最近では、水系媒体中で使用可能なルイス酸触媒系(特許文献1、特許文献2)が提案されている。しかし、これらの触媒は水溶性であるために、反応後の生成物と触媒の分離が煩雑であり、触媒の分離回収と再利用が困難であった。
また、均一系の貴金属錯体を用いるルイス酸触媒(非特許文献3、非特許文献4)は、従来の卑金属系ルイス酸触媒には無い高い触媒活性と高い反応選択性を有するものではあったが、高価な触媒金属や配位子を反応後に反応混合物から回収することが困難であったために、実際には用途が限定されていた。
これら貴金属錯体が有する問題を解決する為に、有機溶媒に可溶な錯体触媒系を不溶性マトリックスに固定化し、前記触媒金属や配位子を反応後に反応混合物から容易に回収するための努力がなされてきた。
しかし、これらのハイブリッド触媒はその製造において多段階の工程を要したり、得られた触媒の触媒活性は元の均一系錯体触媒より劣っていたり、貴金属活性成分がマトリックスから溶出してしまったりする等、前記触媒の有する問題は解決されていなかった。
本発明者らは、これまで、ヒドロキシアパタイトが貴金属触媒活性中心に対する潜在的に優れたマクロ配位子となることを見出し、これを用いるハイブリッド触媒の開発を追求してきた。例えば、ヒドロキシアパタイトにイオン交換法で担持させた安定な単核ルテニウムハライド錯体が高活性な酸化触媒となり、かつ、優れた再使用性を示すことを報告した(特許文献3、非特許文献5)。
最近、このようなルテニウムハライド錯体をp−トルエンスルホン酸銀と処理してなる系がニトリルとカルボニル化合物とのアルドール反応の触媒となること(非特許文献6、非特許文献7)を見出したが、炭素−炭素結合生成反応により広範囲に適用される高活性なルイス酸触媒は得られていなかった。
特開平11−244705号公報 特開2000−042404号公報 特開2001−246262号公報 M.Santell,J.-M.Pons,"Lewis Acids and Selectivity in Organic Synthesis",CRS Press, Boca Raton,FL,1995 "Lewis Acids in Organic Synthesis", H.Yamamoto,Ed.,Wiley-VCH,WeinHeim 2000 B.Bosnich,Aldrichimica Act, 1998,31,76 S.-I.Murahashi,and H.Takaya, Acc.Chem.Res. 2000,33,225 K.Yamaguchi et al., J.Am.Chem.Soc., 2000,122,7144 ケミカルエンジニアリング、2002年第47巻第9号第676〜682頁 化学と工業、2002年第55巻第11号第1233〜1236頁
本発明は、前記貴金属錯体触媒の有する高い触媒活性と高い反応選択性を保持し、水に対して安定であり水を含む反応溶媒に不溶である触媒であって、生成物からの分離回収と再利用が容易な不均一系ルイス酸触媒、該触媒となるヒドロキシアパタイトおよびその製造方法を提供することを目的とする。
上記の課題を解決するために、本発明は、一般式:
Ca10-Z(HPO4)Z(PO4)6-Z(OH)2-Z・nH2
[式中、Zは0〜1の数であり、nは0〜2.5の数である]
で表されるヒドロキシアパタイトにカチオン性ルテニウムを担持してなるカチオン性ルテニウム担持ヒドロキシアパタイトを提供する。
また、本発明は該カチオン性ルテニウム担持ヒドロキシアパタイトからなる不均一系ルイス酸触媒、該触媒を用いてα,β−不飽和カルボニル化合物と共役ジエンからディールスアルダー反応により環状付加体を得る方法、該触媒を用いてシリルエノールエーテルとカルボニル化合物からムカイヤマ−アルドール反応によりβ−ヒドロキシカルボニル化合物を得る方法、および、該触媒を用いてイソニトリルとカルボニル化合物からオキサゾリン誘導体を得る方法を提供する。
さらに、(A)上記式で表されるヒドロキシアパタイトを三ハロゲン化ルテニウム(III)で処理して一ハロゲン化ルテニウム担持ヒドロキシアパタイトを得る工程と、(B)(A)工程で得られた一ハロゲン化ルテニウム担持ヒドロキシアパタイトを脱ハロゲン化剤と反応させる工程とを有する前記カチオン性ルテニウム担持ヒドロキシアパタイトの製造方法を提供する。
本発明のカチオン性ルテニウム担持ヒドロキシアパタイトからなる触媒は、貴金属錯体触媒の有する高い触媒活性と高い反応選択性を保持し、水に対して安定であり水を含む反応溶媒に不溶である触媒であって、生成物からの分離回収と再利用が容易なルイス酸触媒として、特にアルドール反応、ムカイヤマ−アルドール反応、ディールスアルダー反応、アリル位置換反応、マンニッヒ反応、ストレッカー反応、付加環化反応、クネーベネーゲル反応、パーキン反応等の炭素−炭素結合形成反応に高い触媒活性を示すものである。
また、本発明の製造方法は、上記カチオン性ルテニウム担持ヒドロキシアパタイトの製造に有用なものである。
本発明のカチオン性ルテニウム担持ヒドロキシアパタイトは、上記一般式で表されるヒドロキシアパタイトを、三ハロゲン化ルテニウム(III)で処理することにより得られる一ハロゲン化ルテニウム担持ヒドロキシアパタイトを、脱ハロゲン化剤と反応させることにより得られる。
〔ヒドロキシアパタイト〕
出発原料となるヒドロキシアパタイトは、例えば、蒸発乾固法、固相反応法、水熱合成法、沈殿反応法、加水分解法等の公知の方法、好ましくは、水熱合成法、沈殿反応法、加水分解法、より好ましくは、沈殿反応法により製造することができる。
例えば、以下のような方法が挙げられる。まず始めに、リン酸水素アンモニウム水溶液にアンモニア水を添加してpHを11に調整する。この溶液にアンモニア水でpHを予め11に調整した1.00〜2.00モル当量、好ましくは1.30〜1.80モル当量、より好ましくは1.50モル当量または1.67モル当量の硝酸カルシウムを含む硝酸カルシウム水溶液を添加し、通常0〜100℃、好ましくは20〜95℃、より好ましくは70〜90℃で、通常10〜600分間、好ましくは10〜200分間、より好ましくは10〜60分間、その状態を保持した後、生じた沈殿を濾過、洗浄、乾燥することによりヒドロキシアパタイトが得られる。例えば、硝酸カルシウムを1.50モル当量用いた場合、上記式においてZ=0のヒドロキシアパタイト:Ca10(PO4)6(OH)2・nH2Oが、また、硝酸カルシウムを1.67モル当量用いた場合、Z=1のヒドロキシアパタイト:Ca9(HPO4)(PO4)5(OH)・nH2Oが得られる。
上記式中、Zは0〜1の数であることが必要であり、好ましくは0〜0.5の数、より好ましくは0である。Zが1を超えると、Ca欠損型の結晶構造となり好ましくない。nは0〜2.5の数であることが必要であり、好ましくは0〜2.0、より好ましくは0〜1.0の数である。nが2.5を超えると、取り扱い中に脱水による結晶構造の変化が起こり好ましくない。
上記ヒドロキシアパタイトとしては、特に限定されないが、好ましくはBET比表面積が10〜150m2/g、より好ましくは20〜100m2/g、特に好ましくは30〜80m2/gのものが挙げられる。その結晶子サイズは、特に限定されないが、好ましくは1〜200nm、より好ましくは5〜100nm、特に好ましくは10〜80nmである。
〔カチオン性ルテニウム担持ヒドロキシアパタイト〕
本発明のカチオン性ルテニウム担持ヒドロキシアパタイトは、
(A)上記式で表されるヒドロキシアパタイトを三ハロゲン化ルテニウム(III)で処理して一ハロゲン化ルテニウム担持ヒドロキシアパタイトを得る工程と、
(B)(A)工程で得られた一ハロゲン化ルテニウム担持ヒドロキシアパタイトを脱ハロゲン化剤と反応させる工程、
とを有する方法により製造することができる。
<(A)工程>
(A)工程は、具体的には、上記式で表されるヒドロキシアパタイトのスラリーに、三ハロゲン化ルテニウム(III)(RuX3)溶液を添加し、攪拌することにより、ルテニウムが前記ヒドロキシアパタイトに担持され、一ハロゲン化ルテニウム担持ヒドロキシアパタイト(XRu/HAP)の粉末を得る工程である。
前記三ハロゲン化ルテニウム(RuX3)としては、例えば、三塩化ルテニウム(X=Cl)、三臭化ルテニウム(X=Br)、三ヨウ化ルテニウム(X=I)等、好ましくは三塩化ルテニウムが使用できる。(A)工程の反応温度は、特に限定されないが、通常0〜100℃、好ましくは10〜60℃、より好ましくは20〜40℃である。また、反応時間は特に限定されないが、通常1〜60時間、典型的には4〜40時間、より典型的には6〜30時間である。
前記ヒドロキシアパタイトヘのルテニウムの担持量は、特に限定されないが、通常1.0μmol/g〜2mmol/g、好ましくは10μmol/g 〜1.5mmol/g、より好ましくは20μmol/g〜1.2mmol/gである。
ここで、XRu/HAPの存在状態は、以下の方法で確認される。即ち、XRu/HAPの元素分析を行うことにより、ルテニウム1原子に対してハロゲン1原子が残っていることを確認し、さらに、光電子分光スペクトル(XPS)、エネルギー分散型X線分析装置(EDX)およびX線吸収微細構造分析[XAFS、広域X線吸収微細構造(EXAFS)とX線吸収端近傍構造(XANES)とを含む。以下、同じである。]のRu−K端スペクトルによるデータ解析を行うことにより、Ru3+イオンがヒドロキシアパタイトのCa2+イオンと置換され、四つの酸素原子と一つのハロゲン原子に囲まれた単核のRu3+カチオン種が生成していることが確認される。
<(B)工程>
(B)工程は、具体的には、(A)工程で得られた一ハロゲン化ルテニウム担持ヒドロキシアパタイト(XRu/HAP)を、担持されているルテニウムに対して1〜1.2倍モル、好ましくは1.1倍モルの脱ハロゲン化剤の水溶液に添加してスラリー化させ、空気中または不活性雰囲気下で攪拌することにより、カチオン性ルテニウム担持ヒドロキシアパタイト(Ru+/HAP)を得る工程である。
前記脱ハロゲン化剤としては、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム等のアルカリ金属、タリウム、銀等の弱配位性アニオンの塩等が用いられ、好ましくは、ナトリウム、カリウムまたは銀の弱配位性アニオン塩、より好ましくは、ナトリウムまたは銀の弱配位性アニオン塩が用いられる。前記弱配位性アニオン塩としては、例えば、テトラフルオロホウ酸塩(−BF4)、ヘキサフルオロリン酸塩(−PF6)、ヘキサフルオロアンチモン酸塩(−SbF6)、p−トルエンスルホン酸塩、トリフルオロ酢酸塩、トリフルオロメタンスルホン酸塩(−OTf)等、慣用のものが使用でき、好ましくは、ヘキサフルオロアンチモン酸塩、トリフルオロメタンスルホン酸塩、より好ましくは、トリフルオロメタンスルホン酸塩が使用できる。
前記脱ハロゲン化剤として銀の弱配位性アニオン塩を使用する場合、ハロゲン原子引き抜きの結果として、水に不溶のハロゲン化銀が生成する。該ハロゲン化銀は、カチオン性ルテニウム担持ヒドロキシアパタイトとの混合状態で得られるので、これらの分離は困難であるが、ルイス酸触媒として使用する場合には、分離することなく混合状態のまま使用することができる。
前記脱ハロゲン化剤としてアルカリ金属の弱配位性アニオン塩を使用する場合、前記ハロゲンイオン引き抜きの速度は、タリウムや銀の弱配位性アニオン塩、特に銀の弱配位性アニオン塩に比べて遅くなるが、生成するアルカリ金属ハロゲン化物は水に可溶であり、濾過・洗浄によって目的とするカチオン性ルテニウム担持ヒドロキシアパタイトを容易に単離することができる。
(B)工程の反応温度は、特に限定されないが、通常0〜100℃、好ましくは10〜80℃、より好ましくは20〜40℃である。また、反応時間は、一ハロゲン化ルテニウム担持ヒドロキシアパタイト(XRu/HAP)中のハロゲンイオンが脱ハロゲン化剤により置換されるまでに要する時間であり、通常1〜40時間、典型的には2〜20時間、より典型的には4〜12時間である。
反応系の雰囲気としては、特に限定されないが、例えば空気中で取り扱うと、得られるカチオン性ルテニウム担持ヒドロキシアパタイトが触媒として一部不活性化する場合があるので、高い触媒活性を保持する点から、好ましくは、窒素、アルゴン、ヘリウム等の不活性ガス、より好ましくは、窒素またはアルゴンの雰囲気で取り扱うことが望ましい。
<カチオン性ルテニウム担持ヒドロキシアパタイトの特徴>
上記で得られたカチオン性ルテニウム担持ヒドロキシアパタイト(Ru+/HAP)の構造は、元素分析、XPS、XANES等を組み合わせて用いることにより同定することができる。その推定構造を、図2に示す。前記同定の方法は、具体的には、以下の方法による。まず、アルカリ金属の弱配位性アニオン塩の処理で得られたカチオン性ルテニウム担持ヒドロキシアパタイトの元素分析およびXPSを用いて測定、データ解析を行うことにより、カチオン性ルテニウム担持ヒドロキシアパタイトにハロゲンイオンが含まれていないことが確認される。そして、カチオン性ルテニウム担持ヒドロキシアパタイトのルテニウムのK−端XANESスペクトルを用いて測定およびデータ解析を行うことにより、該スペクトルは元のXRu/HAPと類似のスペクトルを示すことが確認される。このことから、ルテニウムがRu3+の酸化状態で存在すると考えられる。
したがって、ルテニウムがRu3+の状態およびハロゲンイオンが引き抜かれた状態にあることから、ルテニウムはモノカチオン状態で担持されていると推定される。
本発明のカチオン性ルテニウム担持ヒドロキシアパタイトは、不均一系ルイス酸触媒として用いた場合(以下、「本発明の触媒」という)、従来にない優れた触媒活性と反応選択性を示す。
以下、前記カチオン性ルテニウム担持ヒドロキシアパタイトの不均一系ルイス酸触媒としての特長について詳しく説明する。
<不均一系ルイス酸触媒としての特徴>
本発明のカチオン性ルテニウム担持ヒドロキシアパタイトは、通常用いられる反応溶媒、特に水溶媒に不溶であり、該反応溶媒中で安定である。その上、さらに、該ヒドロキシアパタイトを不均一系ルイス酸触媒として用いる場合、従来の均一系錯体触媒を用いるルイス酸触媒で知られていた炭素−炭素結合生成反応に対し、それらと同等もしくはそれ以上の高い触媒活性を示す。
本発明の触媒は、例えば、アルドール反応、ムカイヤマ−アルドール反応、ディールスアルダー反応、アリル位置換反応、マンニッヒ反応、ストレッカー反応、付加環化反応、クネーベネーゲル反応またはパーキン反応用であり、特に、水溶媒中でのアルドール反応、ムカイヤマ−アルドール反応、クネーベネーゲル反応、または、非水溶媒中でのディールスアルダー反応用として、高い触媒活性を示す。
特に、前記(B)工程で、脱ハロゲン化剤としてヘキサフルオロアンチモン酸銀(AgSbF6)を用いた場合(以下、「Ru+/HAP−(I)」という)には、ディールスアルダー反応に高い触媒活性を示す。また、該脱ハロゲン化剤としてトリフルオロメタンスルホン酸銀(AgOTf)を用いた場合(以下、「Ru+/HAP−(II)」という)には、アルドール反応、ムカイヤマ−アルドール反応、付加環化反応、クネーベネーゲル反応等に高い触媒活性を示す。
上述した本発明の触媒を用いた反応の反応様式の代表例を図1に示す。図1において、スキーム1はディールスアルダー反応の反応様式であり、スキーム2はアルドール反応の反応様式であり、スキーム3はイソニトリル付加環化反応の反応様式であり、スキーム4はムカイヤマ−アルドール反応の反応様式である。なお、本発明の触媒が適用できる反応は、これらの代表例に限定されるものではない。
共役ジエンとオレフィンから、1,4−付加体の環状モノエンを与えるディールスアルダー反応は、一般に、水溶媒中では著しく進行しやすいが、有機溶媒中では極めて反応速度が遅いことが知られている(S.Otto & J.B.F.N.Engberts,Pure Appl.Chem.,Vol.72,No.7,1365〜1372(2000))。一方、本発明のカチオン性ルテニウム担持ヒドロキシアパタイトは、有機溶媒中でのディールスアルダー反応の促進に極めて有効な不均一系ルイス酸触媒となる。
前記有機溶媒としては、例えば、エーテル、ケトン、エステル、ニトリル、ニトロ化物、含ハロゲン化物等の極性溶媒、トルエン、キシレン、メタノール、エタノール等が挙げられ、エーテル、ケトン、エステル、ニトリル、ニトロ化物、含ハロゲン化物等の極性溶媒が好ましく、ニトロメタンが特に好ましい。また、本発明の触媒を用いると、ディールスアルダー反応の立体選択性が高く、高選択的にendo付加体(選択率:90〜100%)が得られる。
従来公知である均一系ルイス酸触媒、例えば、[RuIII(salen)(NO)H2O]+SbF6 -錯体や、Al、Ti、B等の伝統的なルイス酸触媒は、ディールスアルダー反応の基質となるオレフィン(以下、「ジエノフィル」という)としてα,β−不飽和カルボニル化合物を用いる場合には、触媒活性が低かった。
一方、本発明の触媒、特にRu+/HAP−(I)によるディールスアルダー反応は、ジエノフィルとしてα,β−不飽和カルボニル化合物を用いた場合でも、ほぼ定量的な転化率で環状付加体を与える。本発明のカチオン性ルテニウム担持ヒドロキシアパタイト触媒を用いるディールスアルダー反応では、1:1のモル比で仕込んだ基質のジエンとジエノフィルの反応が終了した後、再び1:1のモル比のジエンとジエノフィルを仕込むとさらに反応が進行し、再び環状付加体を1回目と同様な収率で得ることができる。同様にして、3回目以上繰返しても、ほとんど活性が低下することなく前記反応を継続することができる。
また、本発明の触媒、特にRu+/HAP−(II)の存在下、イソニトリルとカルボニル化合物とを室温(22〜28℃)で反応させると、付加環化反応により、生成物としてオキサゾリン誘導体が高収率(80〜100%)で得られる。その具体例としては、例えば、イソシアノアセテートとベンズアルデヒドを前記触媒存在下で反応させると、オキサゾリン誘導体が高収率(90〜100%)、かつ、高い立体選択性(トランス:シス=9:1)で得られる。
さらに、本発明の触媒、特にRu+/HAP−(II)は、水溶媒中でのニトリルとカルボニル化合物とのアルドール反応に有効であり、対応するα,β−不飽和ニトリルを高収率(90〜100%)で与える。
ジシアノメタンと脂環式α,β−不飽和カルボニル化合物とのアルドール付加反応は既に公知(ケミカルエンジニアリング、2002年第47巻第9号第676〜682頁)であるが、本発明の触媒を用いるアルドール反応は、上記の例より幅広い基質に対して適用可能である。
前記アルドール反応においてドナーとなる化合物としては、特に限定されず、一般にシアノメチレン基を有する化合物が広く適用できるが、対応するα,β−不飽和ニトリルが高収率で得られる点から、好ましくは、α−シアノメチルアセテート、α−シアノエチルアセテート、α−シアノアセトアミド、α−シアノアセトニトリルであり、より好ましくは、α−シアノエチルアセテート、α−シアノアセトアミドである。
前記アルドール反応においてアクセプターとなる化合物としては、特に限定されず、一般に、脂肪族、脂環式、芳香族等の各種のカルボニル化合物が広く適用できるが、好ましくは、ベンズアルデヒド、シンナムアルデヒド、n−ブチルアルデヒド、3−シクロヘキセンカルボキシアルデヒド、フェニルメチルケトン、フェニルエチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、シクロヘプタノン、シクロオクタノン、シクロノナノン、シクロデカノン、シクロウンデカノン、シクロドデカノンが挙げられ、より好ましくは、ベンズアルデヒド、シンナムアルデヒド、n−ブチルアルデヒド、3−シクロヘキセンカルボキシアルデヒド、フェニルメチルケトンが挙げられる。
水溶媒中での反応では、基質であるニトリル類、カルボニル化合物および反応生成物であるα,β−不飽和ニトリルのいずれもが水に不溶であり、そして、本発明の触媒も水に不溶であるにもかかわらず、攪拌による懸濁状態で十分に高い触媒活性とほぼ定量的な転化率が得られる。
また、本発明の触媒を用いるアルドール反応で、カルボニル化合物としてα,β−不飽和カルボニル化合物を用いた場合には、1,4−付加体を全く生成せず、選択的に1,2−付加体のみを生成する。このことは、従来公知の均一系錯体触媒、例えばRuII2(PPh3)4を用いた場合に、主として1,4−付加体を生成する(S.-I. Murahashi et al., J. Am. Chem. Soc., 1995,117,12436)のと対照的である。
本発明の触媒、特にRu+/HAP−(II)は、前述のとおり、シリルエノールエーテルとカルボニル化合物からケイ素−酸素結合の加水分解を経て、β−ヒドロキシカルボニル化合物を与えるムカイヤマ−アルドール反応にも、特に有効である。
前記シリルエノールエーテルは、α位にC−H結合を有するカルボニル化合物から、ハイドロシランとの脱水素シリル化反応により容易に合成できる。また、前記カルボニル化合物は、特に限定されず、例えば、脂肪族、脂環式、芳香族等のケトンやアルデヒド、好ましくは、脂肪族、脂環式、芳香族等のアルデヒド、より好ましくは、芳香族のアルデヒドを用いることができる。
特にホルムアルデヒド等の水溶性のカルボニル化合物は、従来のTiCl4、SnCl3等のルイス酸触媒では煩雑な操作によって無水状態としなければ使用することができなかったが、本発明の触媒系では系中に水が存在していても、全く影響されることなく高収率(80〜100%)で目的物を得ることができる。
さらに、本発明の触媒は水溶媒中で極めて安定であり、従来の貴金属錯体触媒のように貴金属活性成分が系中に溶出しないので、反応終了後の濾液を検出感度0.03ppmの誘導結合プラズマ(ICP)分析法により分析してもルテニウムは全く検出されない。したがって、回収された触媒は、触媒活性の低下を生じることなく、繰返し使用することが可能である。
本発明の触媒は基質1モルに対して通常0.01〜20モル%、好ましくは0.1〜10モル%、より好ましくは0.5〜5モル%の範囲で用いられる。
また、以上で得られた本発明の触媒の前駆体(ClRu/HAP)、本発明の触媒(Ru+/HAP−(I)および−(II))および本発明の触媒へのニトリルの付加中間体(エチルシアノアセテート(3a)で処理されたRu+/HAP−(II))の推定構造を、元素分析、XPS、XANES等を組み合わせて用いることにより同定し、その推定構造を図2に示す。
以下、実施例を用いて本発明を説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。なお、本実施例中および表中において、「室温」とは「22〜28℃」を意味する。
〔ヒドロキシアパタイトの合成〕
<合成例>
リン酸水素二アンモニウム(NH42HPO440mmolを水150mLに溶解し、そこへ30%アンモニア水溶液を加えてpHが11となるように調整した。次いで、この溶液を25℃で激しく攪拌しながら、予め30%アンモニア水溶液でpHが11となるように調整した硝酸カルシウム4水和物66.7mmolの水溶液を滴下した。滴下終了後も攪拌を継続し、30分かけて90℃まで昇温し、そのままの状態で20分間保持した。その後、90分かけて25℃まで放冷した。得られた結晶を濾過し、それを脱イオン水により濾液の電導度が20μS以下となるまで洗浄した後、110℃で16時間保持することにより乾燥させて、式:Ca10(PO4)6(OH)2で表されるヒドロキシアパタイト(HAP−0)を得た。
該ヒドロキシアパタイトのBET比表面積は45m2/gであり、格子面間隔d=2.81の結晶子径は30nmであった。
〔カチオン性ルテニウム担持ヒドロキシアパタイト触媒の製造〕
<実施例1>
0.0134Mの塩化ルテニウム水和物RuCl3・nH2Oの脱イオン水溶液75mLに、ヒドロキシアパタイト(以下、「HAP」という)粉末0.9gを添加し、得られたスラリーを25℃で24時間攪拌した。次いで、前記スラリーを濾過し、固体を脱イオン水で洗浄した後、真空下で乾燥することにより、暗褐色の塩化ルテニウム担持HAP粉末(ClRu/HAP、Ru含有量:0.97mmol/g)を得た。
このClRu/HAP粉末1.0gに脱イオン水75mLを加え、攪拌してスラリー化し、これにトリフルオロメタンスルホン酸ナトリウム(NaOTf)0.20gの含まれた脱イオン水溶液7.5mLを添加し、室温でアルゴン気流中、16時間攪拌保持した。次いで、濾過し、脱イオン水で洗浄し、真空乾燥することにより、カチオン性ルテニウム担持HAP触媒(即ち「Ru+(OTf)-/HAP」であり、以下「Ru+/HAP」という)1.1gを得た。
このRu+/HAPの粉末法蛍光X線分析による分析では、バックグラウンド以上の塩素の存在は確認されなかった。また、Ru+/HAP粉末の光電子分光スペクトルには、元のClRu/HAPに認められたCl-に帰属されるピークは検知されなかった。一方、Ru−K端XANESスペクトルは元のClRu/HAPに類似しており、ルテニウムがRu3+の酸化状態で存在することを示した。
3−重み付けしたルテニウムのK−端のEXAFSのフーリエ変換では、隣接したRu−Ruサイトの存在に帰属される3.5Å付近のピークは検知されなかった。Ru+/HAPの逆フーリエ変換は、元のClRu/HAP中のRu−Cl結合(2.32Å)が、NaOTfによる処理によって、弱く結合した水配位子に帰属されるRu−O結合(2.10Å)に置換されたことを示した。
このように、Ru+/HAPはHAPの表面にカチオン性のルテニウムリン酸塩錯体が形成されて生成したものと推察される。
〔Ru+/HAP−(I)触媒を用いるディールスアルダー反応〕
<実施例2−1>
パイレックス製反応器にClRu/HAP粉末をRuとして0.5mmol取り、系内をアルゴン置換しながら水40mLを加え、攪拌してスラリー化した。これにヘキサフルオロアンチモン酸銀(AgSbF6)0.196gの脱イオン水溶液4mLを添加し、室温で、アルゴン気流下、攪拌を継続した。
前記攪拌を5時間継続した後、溶媒を除去し、固体を真空乾燥した。次いで、アルゴン雰囲気下で、溶媒であるニトロメタン50mLを添加し、さらにジエンとしてシクロペンタジエン(1a)10mmolを、ジエノフィルとしてメチルビニルケトン(2a)12mmolを添加した。得られた混合物を室温で攪拌し、反応の進行状況を反応液のガスクロマトグラフ分析でモニターした。以下、特に断らない限り、転化率および収率はガスクロマトグラフ分析の結果を示す。
前記攪拌の開始から4時間後、基質(シクロペンタジエンおよびメチルビニルケトン)がなくなり、5−アセチル−2−ノルボルネン(エンド:エキソ=90:10)が92%の収率で得られた。以上の一連の反応を「反応サイクルA」とする。なお、エンド:エキソの比率は1HNMRスペクトルで同定した。
反応終了後、触媒を単離することなく反応混合物にシクロペンタジエン(1a)10mmolおよびメチルビニルケトン(2a)12mmolを追加添加したところ更に反応が進行し、第1回目の反応サイクルAとほぼ同じ時間で反応が終了した。前記反応サイクルAを更に3回繰り返しても、環状付加体の収率は低下せず、毎回92%以上の収率であった。
上記と同様の反応は、実施例1で単離されたRu+/HAP触媒でも進行した。一方、ハロゲンイオンを引き抜く前のClRu/HAP、HAP、AgSbF6もしくはAgClのみ、または、HAPとAgSbF6もしくはHAPとAgClの組み合わせを用いた場合には、このような反応は進行しなかった。
得られた結果を表1に示す。
<実施例2−2>
弱配位性アニオン塩としてヘキサフルオロアンチモン酸銀(AgSbF6)0.196gの脱イオン水溶液4mLの代わりにトリフルオロメタンスルホン酸銀(AgOTf)0.146gの脱イオン水溶液4mLを添加した以外は、実施例2−1と同様にして反応を行った。
得られた結果を表1に示す。
<実施例3>
ジエノフィルとしてメチルビニルケトン(2a)の代わりにメチルアクリレート(2b)を添加し、5時間反応させた以外は、実施例2−1と同様にして反応を行った。
得られた結果を表1に示す。
<実施例4>
ジエノフィルとしてメチルビニルケトン(2a)の代わりにナフトキノン(2c)を添加し、4時間反応させた以外は、実施例2−1と同様にして反応を行った。
得られた結果を表1に示す。
<実施例5>
ジエンとしてシクロペンタジエン(1a)の代わりにシクロヘキサジエン(1b)を、ジエノフィルとしてメチルビニルケトン(2a)の代わりにベンゾキノン(2d)を添加し、6時間反応させた以外は、実施例2−1と同様にして反応を行った。
得られた結果を表1に示す。
<実施例6>
ジエンとしてシクロペンタジエン(1a)の代わりに2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン(1c)を、ジエノフィルとして(2a)の代わりにベンゾキノン(2d)を添加し、6時間反応させた以外は、実施例2−1と同様にして反応を行った。
得られた結果を表1に示す。
<実施例7>
ジエンとしてシクロペンタジエン(1a)の代わりに2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン(1c)を、ジエノフィルとしてメチルビニルケトン(2a)の代わりに無水マレイン酸(2e)を添加し、6時間反応させた以外は、実施例2−1と同様にして反応を行った。
得られた結果を表1に示す。
〔Ru+/HAP−(II)触媒を用いるアルドール反応〕
<実施例8−1>
パイレックス製反応器にClRu/HAP粉末をRuとして0.05mmol取り、系内をアルゴン置換しながら水40mLを加え、攪拌してスラリー化した。これにトリフルオロメタンスルホン酸銀(AgOTf)14.6mgの脱イオン水溶液0.4mLを添加し、室温で、アルゴン気流下、攪拌を継続した。
前記攪拌を5時間継続した後、溶媒を除去し、固体を真空乾燥した。次いで、アルゴン雰囲気下で水5mLを添加し、さらにニトリルとしてエチルシアノアセテート(3a)1mmolを、カルボニル化合物としてベンズアルデヒド1.2mmolを添加した。得られた混合物を室温で攪拌し、反応の進行状況を反応液のガスクロマトグラフィー分析でモニターした。
前記攪拌の開始から4時間後、基質(エチルアセテートおよびベンズアルデヒド)がなくなり、(E)−エチル−2−シアノ−3−フェニル−2−プロペノエート(4a)が99%以上の収率で得られた。以上の一連の反応を「反応サイクルB」とする。得られた結果を表2に示す。
第1回目の反応終了後、得られた反応混合物を遠心分離機にかけ、触媒粒子を沈降させ、上澄液をデカンテーションで除いた。前記の沈降させた残渣触媒に再び水と前記基質を添加して、反応サイクルBを第1回目と同じ条件で行った。
2回目、3回目の(E)−エチル−2−シアノ−3−フェニル−2−プロペノエート(4a)の収率はいずれの場合も97%であった。このように、毎回ほぼ定量的に反応が進行し、触媒活性の低下は確認されなかった。
<実施例8−2>
弱配位性アニオン塩としてトリフルオロメタンスルホン酸銀(AgOTf)14.6mgの脱イオン水溶液0.4mLの代わりにヘキサフルオロアンチモン酸銀(AgSbF6)19.6mgの脱イオン水溶液0.4mLを添加した以外は、実施例8−1と同様にして反応を行った。
得られた結果を表2に示す。
<実施例9>
ニトリルとしてエチルシアノアセテート(3a)の代わりにシアノアセトアミド(3b)を添加して、4時間反応させた以外は、実施例8−1と同様にして反応を行った。
その結果、対応するα,β−不飽和ニトリル生成物(4b)が得られた。得られた結果を表2に示す。
<実施例10>
カルボニル化合物としてベンズアルデヒドの代わりにシンナムアルデヒドを添加して、50℃で8時間反応させた以外は、実施例8−1と同様にして反応を行った。
その結果、対応するα,β−不飽和ニトリル生成物(4c)が得られた。得られた結果を表2に示す。
<実施例11>
カルボニル化合物としてベンズアルデヒドの代わりにn−ブチルアルデヒドを添加して、50℃で3時間反応させた以外は、実施例8−1と同様にして反応を行った。
その結果、対応するα,β−不飽和ニトリル生成物(4d)が得られた。得られた結果を表2に示す。
<実施例12>
カルボニル化合物としてベンズアルデヒドの代わりに3−シクロヘキセンカルボキシアルデヒドを添加して、50℃で5時間反応させた以外は、実施例8−1と同様にして反応を行った。
その結果、対応するα,β−不飽和ニトリル生成物(4e)が得られた。得られた結果を表2に示す。
<実施例13>
ニトリルとしてエチルシアノアセテート(3a)の代わりにジシアノメタン(3c)を添加して、80℃で6時間反応させた以外は、実施例8−1と同様にして反応を行った。
その結果、対応するα,β−不飽和ニトリル生成物(4f)が得られた。得られた結果を表2に示す。
<実施例14>
ニトリルとしてエチルシアノアセテート(3a)の代わりにジシアノメタン(3c)を、カルボニル化合物としてベンズアルデヒドの代わりにシクロヘキサノンを添加して、80℃で3時間反応させた以外は、実施例8−1と同様にして反応を行った。
その結果、対応するα,β−不飽和ニトリル生成物(4g)が得られた。得られた結果を表2に示す。
<実施例15>
ニトリルとしてエチルシアノアセテート(3a)の代わりにジシアノメタン(3c)を、カルボニル化合物としてベンズアルデヒドの代わりにシクロペンタノンを添加して、80℃で5時間反応させた以外は実施例8−1と同様にして反応を行った。
その結果、対応するα,β−不飽和ニトリル生成物(4h)が得られた。得られた結果を表2に示す。
<実施例16>
ニトリルとしてエチルシアノアセテート(3a)の代わりにジシアノメタン(3c)を、カルボニル化合物としてベンズアルデヒドの代わりに2−シクロペンテノン(5a)を添加して、80℃で8時間反応させた以外は、実施例8−1と同様にして反応を行った。
その結果、対応するα,β−不飽和ニトリル生成物が90%の収率で得られた。
<実施例17>
ニトリルとしてエチルシアノアセテート(3a)の代わりにジシアノメタン(3c)を、カルボニル化合物としてベンズアルデヒドの代わりに2−シクロヘキセノン(5b)を添加して、80℃で8時間反応させた以外は、実施例8−1と同様にして反応を行った。
その結果、対応するα,β−不飽和ニトリル生成物が89%の収率で得られた。
<実施例18>
パイレックス製反応器にClRu/HAP粉末をRuとして2mmol取り、系内をアルゴン置換しながら水4Lを加え、攪拌してスラリー化した。これにトリフルオロメタンスルホン酸銀(AgOTf)0.59gの脱イオン水40mL溶液を添加し、室温で、アルゴン気流下、攪拌を継続した。
前記攪拌を5時間継続した後、溶媒を除去し、固体を真空乾燥した。次いで、アルゴン雰囲気下で水500mLを添加し、さらにニトリルとしてエチルシアノアセテート(3a)100mmolを、カルボニル化合物としてベンズアルデヒド120mmolを添加した。得られた混合物を50℃で攪拌し、24時間反応させ、生成物(E)−エチル−2−シアノ−3−フェニル−2−プロペノエート(4a)が18.9g(収率:94%)得られた。
反応後の濾液をICPで分析したところ、Ruは検出限界(0.03ppm)以下であった。この濾液をジエチルエーテル300mLで3回抽出し、有機層を減圧下で濃縮することにより、純粋な(E)−エチル−2−シアノ−3−フェニル−2−プロペノエート(4a)が18.1g(単離収率:90%)得られた。
〔Ru+/HAP−(II)触媒を用いるカルボニルとイソニトリルの付加環化反応〕
<実施例19>
溶媒として水の代わりにTHF5mlを、ニトリルとしてエチルシアノアセテート(3a)の代わりにメチルイソシアノアセテート(6)1mmolを添加して、12時間反応させた以外は、実施例8−1と同様にして反応を行った。その結果、4−(メトキシカルボニル)−5−フェニル−2−オキサゾリン(7)(トランス:シス=9:1)が90%の収率で得られた。
なお、トランス:シスの比は1HNMRスペクトルにて決定した。
〔Ru+/HAP−(II)触媒を用いるムカイヤマ−アルドール反応〕
<実施例20>
パイレックス製反応器にClRu/HAP粉末をRuとして0.05mmol取り、系内をアルゴン置換しながら水40mLを加え、攪拌してスラリー化した。これにトリフルオロメタンスルホン酸銀(AgOTf)14.6mgの脱イオン水0.4mL溶液を添加し、室温で、アルゴン気流下、攪拌を継続した。
前記攪拌を5時間継続した後、溶媒を除去し、固体を真空乾燥した。次いで、アルゴン雰囲気下で、溶媒であるジニトロメタン5mLを添加し、さらにベンズアルデヒド1mmolと1−メトキシ−1−トリメチルシロキシプロペン(8a)1.2mmolを添加した。得られた混合物をアルゴン気流下、室温で攪拌し、反応の進行状況を反応液のガスクロマトグラフ分析でモニターした。
前記攪拌の開始から20時間後、トリフルオロ酢酸0.1mLと脱イオン水0.1mLを添加した。更に30分間攪拌させ、反応混合物として、2−フェニル−2−ヒドロキシ−1−メチルプロピオン酸メチル(9a)が90%の収率で得られた。
<実施例21>
1−メトキシ−1−トリメチルシロキシプロペンの代わりに1−メトキシ−1−トリメチルシロキシエチレン(8b)1.2mmolを添加した以外は、実施例20と同様にして反応を行った。その結果、対応するβ−ヒドロキシカルボニル化合物(9b)が89%の収率で得られた。
<データ解析>
ルテニウム担持ヒドロキシアパタイト、カチオン性ルテニウム担持ヒドロキシアパタイト、および、カチオン性ルテニウム担持ヒドロキシアパタイトに対するα−シアノアセテート付加体のRu−K端EXAFS分析ならびにX線吸収スペクトルの測定は、西播磨の放射光研究施設JASRIのSpring-8のビームライン01B1にSi(III)モノクロメーターを付けて行った。
上記で得られたデータの解析は公知の方法(T.Tanaka et al., J.Chem.Soc., Faraday Trans. 1988,84,2987)に従って行った。
本発明の触媒の前駆体(ClRu/HAP)のk3−重み付けされたRu−K端EXAFS実験データのフーリエ変換(FT)を示すグラフを図3に、逆フーリエ変換(逆FT)を示すグラフ(点線は、4〜12Å-1の範囲のカーブフィッティング懸架を示す)を図4に示す。
本発明の触媒(Ru+/HAP−(I))のk3−重み付けされたRu−K端EXAFS実験データのフーリエ変換(FT)を示すグラフを図5に、逆フーリエ変換(逆FT)を示すグラフ(点線は、4〜12Å-1の範囲のカーブフィッティング懸架を示す)を図6に示す。
本発明の触媒へのニトリルの付加中間体(エチルシアノアセテート(3a)で処理されたRu+/HAP−(II))のk3−重み付けされたRu−K端EXAFS実験データのフーリエ変換(FT)を示すグラフを図7に、逆フーリエ変換(逆FT)を示すグラフ(点線は、4〜12Å-1の範囲のカーブフィッティング懸架を示す)を図8に示す。
なお、以上において、逆フーリエ変換(逆FT)はそれぞれ、図4の0.8〜2.8Å、図6の0.8〜2.9Åおよび図8の0.8〜2.8Åの領域において行った。
さらに、カーブフィッティング分析の結果を表3に示す。図3〜8および表3の結果に基づいて、(A)ルテニウム担持ヒドロキシアパタイト、(B)カチオン性ルテニウム担持ヒドロキシアパタイト、および、(C)カチオン性ルテニウム担持ヒドロキシアパタイトに対するα−シアノアセテート付加体の構造ならびに原子間の結合距離等を、それぞれ図2のように推定した。
Figure 0004462875
Figure 0004462875
(表3)ClRu/HAP、Ru+/HAPおよびエチルシアノアセテート(3a)で処理されたRu+/HAPのカーブフィッティング分析
Figure 0004462875

*)Δσ:ClRu/HAPとそれ以外の試料とのDebye-Waller因子の差異
本発明の触媒を用いた代表的な反応の反応様式(スキーム1はディールスアルダー反応の反応様式であり、スキーム2はアルドール反応の反応様式であり、スキーム3はイソニトリル付加環化反応の反応様式であり、スキーム4はムカイヤマ−アルドール反応の反応様式である)である。 本発明の触媒の前駆体(ClRu/HAP)、本発明の触媒(Ru+/HAP−(I)および−(II))および本発明の触媒へのニトリルの付加中間体(エチルシアノアセテート(3a)で処理されたRu+/HAP−(II))の推定構造である。 本発明の触媒の前駆体(ClRu/HAP)のk3−重み付けされたRu−K端EXAFS実験データのフーリエ変換(FT)を示すグラフである。 本発明の触媒の前駆体(ClRu/HAP)のk3−重み付けされたRu−K端EXAFS実験データの逆フーリエ変換(逆FT)を示すグラフ(点線は、4〜12Å-1の範囲のカーブフィッティング懸架を示す)である。 本発明の触媒(Ru+/HAP−(I))のk3−重み付けされたRu−K端EXAFS実験データのフーリエ変換(FT)を示すグラフである。 本発明の触媒(Ru+/HAP−(I))のk3−重み付けされたRu−K端EXAFS実験データの逆フーリエ変換(逆FT)を示すグラフ(点線は、4〜12Å-1の範囲のカーブフィッティング懸架を示す)である。 本発明の触媒へのニトリルの付加中間体(エチルシアノアセテート(3a)で処理されたRu+/HAP−(II))のk3−重み付けされたRu−K端EXAFS実験データのフーリエ変換(FT)を示すグラフである。 本発明の触媒へのニトリルの付加中間体(エチルシアノアセテート(3a)で処理されたRu+/HAP−(II))のk3−重み付けされたRu−K端EXAFS実験データの逆フーリエ変換(逆FT)を示すグラフ(点線は、4〜12Å-1の範囲のカーブフィッティング懸架を示す)である。

Claims (6)

  1. 一般式:
    Ca10-Z(HPO4)Z(PO4)6-Z(OH)2-Z・nH2
    [式中、Zは0〜1の数であり、nは0〜2.5の数である]
    で表されるヒドロキシアパタイトにカチオン性ルテニウムを担持してなるカチオン性ルテニウム担持ヒドロキシアパタイトからなる、シリルエノールエーテルとカルボニル化合物とのムカイヤマ−アルドール反応またはイソニトリルとカルボニル化合物との付加環化反応用の不均一系ルイス酸触媒
  2. 前記カチオン性ルテニウムのヒドロキシアパタイトへの担持量が1.0μmol/g〜2.0mmol/gである、請求項1に記載の不均一系ルイス酸触媒
  3. 請求項1または2に記載の触媒を用いて、シリルエノールエーテルとカルボニル化合物からムカイヤマ−アルドール反応によりβ−ヒドロキシカルボニル化合物を製造する方法。
  4. 上記カルボニル化合物が脂肪族、脂環式、若しくは芳香族のケトン若しくはアルデヒドである、請求項3の方法。
  5. 請求項1または2に記載の触媒を用いて、イソニトリルとカルボニル化合物から付加環化反応によりオキサゾリン誘導体を製造する方法。
  6. イソシアノアセテートとベンズアルデヒドとからオキサゾリン誘導体を製造する、請求項5に記載の方法。
JP2003306915A 2003-08-29 2003-08-29 カチオン性ルテニウム担持ヒドロキシアパタイト Expired - Fee Related JP4462875B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003306915A JP4462875B2 (ja) 2003-08-29 2003-08-29 カチオン性ルテニウム担持ヒドロキシアパタイト

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003306915A JP4462875B2 (ja) 2003-08-29 2003-08-29 カチオン性ルテニウム担持ヒドロキシアパタイト

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2005075675A JP2005075675A (ja) 2005-03-24
JP4462875B2 true JP4462875B2 (ja) 2010-05-12

Family

ID=34409864

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2003306915A Expired - Fee Related JP4462875B2 (ja) 2003-08-29 2003-08-29 カチオン性ルテニウム担持ヒドロキシアパタイト

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4462875B2 (ja)

Families Citing this family (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN103221369B (zh) * 2010-11-22 2015-07-22 三菱瓦斯化学株式会社 金刚烷多元醇的制造方法
JP5791439B2 (ja) * 2011-05-20 2015-10-07 国立大学法人秋田大学 排気ガス浄化用触媒及び担体
JP6743618B2 (ja) * 2016-09-21 2020-08-19 Jsr株式会社 感放射線性樹脂組成物、レジストパターン形成方法、感放射線性酸発生剤、化合物及び化合物の製造方法
CN110833841A (zh) * 2019-11-12 2020-02-25 上海纳米技术及应用国家工程研究中心有限公司 微纳化单分散磷化钌催化剂及其制备方法和应用

Also Published As

Publication number Publication date
JP2005075675A (ja) 2005-03-24

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Fürstner et al. New developments in the chemistry of low‐valent titanium
Chen et al. Direct imine formation by oxidative coupling of alcohols and amines using supported manganese oxides under an air atmosphere
Aschwanden et al. A simple preparation of an efficient heterogeneous gold catalyst for aerobic amine oxidation
Ishikawa et al. Selective hydrosilylation of alkynes with a nanoporous gold catalyst
JP4297716B2 (ja) C−c結合の形成方法
Zhou et al. Catalytic reactions of carbene precursors on bulk gold metal
EP2130583A1 (en) Method for producing carbonyl compound
Belokon’ et al. Mechanistic investigation of the asymmetric addition of trimethylsilyl cyanide to aldehydes catalysed by dinuclear chiral (salen) titanium complexes
Fountoulaki et al. Titania‐Supported Gold Nanoparticles Catalyze the Selective Oxidation of Amines into Nitroso Compounds in the Presence of Hydrogen Peroxide
Maaten et al. Cu-modified hydroxy-apatite as catalyst for Glaser–Hay CC homo-coupling reaction of terminal alkynes
Martínez et al. Microwave-promoted solventless Mizoroki–Heck reactions catalysed by Pd nanoparticles supported on laponite clay
JP4462875B2 (ja) カチオン性ルテニウム担持ヒドロキシアパタイト
CN116943710B (zh) 一种金属负载型催化剂及制备方法和在Diels-Alder反应中的应用
Panziera et al. MVS-derived palladium nanoparticles deposited on polydimethylphosphazene as recyclable catalysts for Heck-type reactions: Preparation, structural study, and catalytic activity
Jun et al. Pd3Pb Nanosponges for Selective Conversion of Furfural to Furfuryl Alcohol under Mild Condition
Sayahi et al. Electrochemical synthesis of three‐dimensional flower‐like Ni/Co–BTC bimetallic organic framework as heterogeneous catalyst for solvent‐free and green synthesis of substituted chromeno [4, 3–b] quinolones
Tyagi et al. N‐Substituted Iminopyridine Arene–Ruthenium Complexes for the Regioselective Catalytic Hydration of Terminal Alkynes
RU2711579C1 (ru) Родийсодержащие гетерогенные катализаторы для процессов получения пропаналя и диэтилкетона гидроформилированием этилена
JP6157592B2 (ja) ジケトナト−ロジウム(i)−カルボニル錯体を調製するためのプロセス
Fish et al. Synthesis, structural elucidation and stereochemistry of five-coordinate organoarsenic catecholates
JP5014775B2 (ja) ヘテロポリオキソメタレート化合物およびその製造方法
EP2726202B1 (en) Method for the preparation of palladium(i) tri-tert-butylphosphine bromide dimer
Hague et al. [(PPh3) Ag (CB11H6Y6)](Y= H, Br): highly active, selective and recyclable Lewis acids for a hetero-Diels–Alder reactionElectronic supplementary information (ESI) available: Fig. S1: extended solid state structure apparent in 1. Figs. S2 and S3: bar charts showing isolated yield of product III using supported catalysts 3–5 in the absence and presence of water. See http: www/rsc. org/suppdata/cc/b1/b106719b
Dey et al. Immobilizing a homogeneous manganese catalyst into MOF pores for α-alkylation of methylene ketones with alcohols
De Koning et al. Bis (1, 4-dihydro-1-pyridyl) zinc and bis (1, 4-dihydro-1-pyridyl) magnesium complexes; reducing properties of the 1, 4-dihydropyridyl group bound to zinc or magnesium

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20060530

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20090616

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20090805

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20091002

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20100216

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20100216

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130226

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4462875

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140226

Year of fee payment: 4

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees