JP4461956B2 - 磁気センサ - Google Patents

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Description

本発明は、ホール素子を用いた磁気センサに関するものである。
従来、この種のホール素子を用いた磁気センサとしては、例えば非特許文献1に記載の磁気センサがある。
周知のように、ホール素子を用いた磁気センサは、例えば振動・回転する機械等に取り付けられ、非接触で微小な位置変動やモータの回転態様等を検出する。このホール素子は半導体片にリード線を4本取り付けた構造の磁気検出用素子である。このホール素子に電流を流し、電流に対して直角な方向に磁界を加えると、電流と磁界の双方に対して直角方向に電位差を生ずる。この電位差をホール電圧と呼ぶ。
ホール素子を用いた磁気センサは、検出対象の位置変動や回転に伴う磁束密度(磁界)の変化をホール電圧として出力する。この磁束密度はホール電圧に比例して高くなるため、この特性を利用してホール電圧を測定することで磁束密度を推定することができる。
また通常、ホール素子を用いた磁気センサは、測定磁界(磁束密度)範囲が狭く、検出感度が低い。しかしながら、ホール素子を用いた磁気センサは、検出対象とする磁界に対して出力されるホール電圧がリニア(線形)に変化するという利点を持っているため、磁界(磁束密度)の連続測定に向き、導体に流れる電流値を測定する、いわゆる電流センサとしてその利便性に優れている。
また、ホール素子の検出感度を上げる方法としては、磁性薄膜をホール素子上に堆積して磁性薄膜の集磁効果を利用する方法が報告されている(非特許文献2)。
"トランジスタ技術",p107−p112(6,2003) Predrag M.Drljaca,etal,"High Sensitivity Hall Magnetic Sensors Using Planar Micro and Macro Flux Concentrators",TRANSDUCERS’01,EUROSENSORS XV,The 11th International Conference on Soild−State Sensors and Actuators,Munich,Germany,June 2001
このように、磁気センサとしてホール素子を用いることで、検出対象とする磁束密度(磁界)の変化をリニアに検出することはできる。
一方、近年は、ハイブリッド自動車や、燃料電池自動車等の開発が進み、大容量モータを搭載した自動車が開発されつつある。このため、大容量モータを駆動させるバッテリの充放電の制御を精度良く行う必要性が出てきた。そこで、磁束密度(磁界)の変化をリニアに測定できるといった特性を利用して、電流センサとしてホール素子を使うことが考えられている。なお、このようにホール素子を電流センサとして使う場合には、一様な磁界内においた導体に電流を流すと磁界が変化するといった特性を利用する。
またこの場合には、上記大容量モータを駆動させるために、極めて広い範囲での電流測定が求められる。具体的には、磁気センサとしてのダイナミックレンジを広くすることにより、略同一の測定箇所で、要求される最大電流(1000A付近)領域からエンジン停止時等の暗電流(0A付近)領域までを精度よく測定することが求められる。
そこで一般には、例えば図6(a)〜(c)に示すように、ヨーク(鉄心)101を用いて集磁効果を高めた高磁束密度測定用のホール素子102(図6(a))と、低磁束密度測定用のホール素子103(図6(b))との2つのホール素子を使って、導線104を流れる電流についてそれぞれ利用可能な磁束密度領域を測定する(図6(c))。ただしこの場合には、単体のホール素子を用いる場合と比べて、装置構造(測定構造)の変更、および測定工数の追加が余儀なくされる。また、ホール素子では通常、出力されるホール電圧の振幅の上限は電源電圧で決定され、下限は約0Vとなる。例えば5Vの電源電圧で使用される場合、出力レンジは0〜5Vの範囲までしか設定することができない。このため、低磁束密度側と高磁束密度側とで同じ精度が要求される場合、または低磁束密度側が高磁束密度側よりも高い精度が要求される場合などには、こうした出力レンジの制約から、要求される精度を達成することができないといった問題も生じる。
なおこの場合、低磁束密度領域では増幅器を使って、上記測定される出力信号の増幅率を変えるといった手法も考えられるが、これではノイズも一緒に増幅されることとなり、SN比(信号対雑音比)が悪化してしまうことにもなる。
また、非特許文献2に記載の磁気センサのように、ホール素子自体の感度を上げる場合であれ、磁性薄膜の飽和磁界の影響で、低磁束密度側での感度は確かに上がるものの、高磁束密度側での測定に限界がある。すなわち、低磁束密度から高磁束密度まで高精度に測定することは不可能である。
本発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、ホール素子を用いながらも、低磁束密度から高磁束密度まで高い精度での測定を可能とする磁気センサを提供することにある。
こうした目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、磁界の変化を電気信号に変換するホール素子を備え、ホール素子が測定対象とする導体に電流が流れることによる磁界の変化とホール素子を駆動する駆動電流との協働によって同ホール素子から出力される電気信号に基づいて前記磁界の変化を測定する磁気センサにおいて、前記ホール素子から出力される電気信号を監視し、該電気信号が前記ホール素子による測定範囲の限界を超えると判断されることに基づいて前記ホール素子を駆動する駆動電流を切り替える切り替え手段を備え、前記切り替え手段は、前記出力される電気信号を測定し、該測定した電気信号が前記ホール素子による測定範囲の限界を超えると判断されるとき、前記電気信号の増幅倍率をさらに切り替えるとともに、この増幅倍率の切り替えののち、前記出力される電気信号を再度測定し、該測定した電気信号が前記ホール素子による測定範囲の限界を超えると判断されるとき、前記駆動電流を切り替えることとする。
このような構成によれば、ホール素子から出力される電気信号(ホール電圧)に応じて該ホール素子自体の駆動電流が切り替えられることとなり、ホール素子を通じて測定される磁束密度(磁界)についても、例えば低磁束密度領域では、駆動電流を大きくして見かけ上の感度を高くし、ホール電圧を高くすることで必要な精度を確保することが可能となり、一方、例えば高磁束密度領域では、駆動電流を小さくして見かけ上の感度を低くし、測定可能領域を伸ばすことにより、高磁束密度領域での磁束密度についてもこれを高感度に検出することが可能となる。なおここで、低磁束密度領域とは、例えば0.1mT近辺の磁束密度領域であり、また高磁束密度領域とは、例えば300mT近辺の磁束密度領域である。
また、上記構成によれば、切り替え手段は、出力される電気信号を測定し、該測定した電気信号がホール素子による測定範囲の限界を超えると判断されるとき、電気信号の増幅倍率を切り替えることとしているため、電気信号の測定範囲の限界から0V付近までのフルレンジを有効に利用して、低磁束密度から高磁束密度までをリニア(線形)に検出することが可能となる。
加えて、上記構成によるように、切り替え手段は、増幅倍率を切り替えたのち、出力される電気信号を再度測定し、該測定した電気信号が前記ホール素子による測定範囲の限界を超えると判断されるとき、駆動電流を切り替えることとすれば、ホール素子による測定範囲の限界を監視しながら、リアルタイムに駆動電流を切り替えることができるようになる。またこれにより、上記電気信号がホール素子による測定範囲の限界を超えると判断される間、繰り返し、駆動電流を切り替えることも可能となる。
また、請求項に記載の発明によるように、前記切り替え手段は、前記駆動電流の切り替えに際し、大きい駆動電流から順次小さい駆動電流へと切り替えられることで、低磁束密度領域では、大きい駆動電流でホール素子を駆動することにより測定感度を上げることができるようになる。また、高磁束密度領域では小さい駆動電流でホール素子を駆動することで、高磁束密度まで測定可能領域を伸ばすことができるようになる。そしてこのように、駆動電流の切り替えを大きい駆動電流から順次小さい駆動電流へと切り替えることで、より高い測定感度を維持しつつ、低磁束密度領域から高磁束密度領域まで、対象とする磁束密度(磁界)の変化を測定することが可能となる。
また、請求項に記載の発明によるように、前記出力される電気信号のうち、同電気信号の前記ホール素子による測定範囲の限界との関係で飽和していない領域の最も大きい駆動電流での値が測定対象となる磁界の変化に対する測定値とされることで、たとえ磁気センサにノイズが混入される場合であれ、広い測定領域でより高感度のもとに磁束密度を測定することができるようになる。なおここで、飽和していない領域とは、傾きがある領域であって、出力される電気信号に比例して磁束密度が増加する領域のことをいう。
また、請求項に記載の発明によるように、前記出力される電気信号が前記ホール素子による測定範囲の限界以下であれば、該電気信号を測定対象とする磁界の変化に対する測定値とする。これにより、測定範囲の限界以下となる範囲(例えば0Vから電源電位まで)を有効に利用して、高い感度のもとに磁束密度を求めることができるようになる。
以下、この発明にかかる磁気センサの一実施の形態について、図面を参照して説明する。
この実施の形態にかかる磁気センサは、例えば燃料電池車等の車両に搭載されて、燃料電池や、バッテリと電気的に接続されている導体に流れる電流をホール素子による磁束密度の測定のもとに検出するセンサを想定している。ちなみに、こうして測定される磁束密度とホール電圧とは比例関係にあることから、上記導体を流れる電流に応じて磁束密度が変化すれば、そのときのホール素子を求めることで、この流れる電流量を検出することができる。
はじめに、図1〜図3を参照して、この実施の形態にかかる磁気センサの検出原理を説明する。
まず、図1はこの実施の形態にかかる磁気センサで測定される磁束密度とホール素子から出力されるホール電圧との関係を示したものである。なお、図1において、横軸は測定される磁束密度を示し、左縦軸は出力されるホール電圧を、さらに右縦軸は磁気センサによって測定されるホール電圧を400倍に増幅した出力電圧をそれぞれ示している。また、同図1中、4mA〜32mAとして示される4本の線分は、ホール素子の各駆動電流を示しており、電源電圧5.0Vを測定範囲の限界としている。ちなみに、ホール素子の駆動電流が大きいほど上記線分の傾きは急になり、一方、ホール素子の駆動電流が小さいほど上記線分の傾きはなだらかとなる。そして、上記各駆動電流は出力電圧(ホール電圧)が5.0Vを超えると次第に飽和領域に入り、最終的には傾きがゼロの一定値となる。
また、この図2は、こうした図1に基づく測定に際して、電源電圧5.0Vのフルスケールで磁束密度25mTまで測定したときの磁束密度とホール電圧との関係を示したものである。そしてこのうち、図2(a)は、大きい駆動電流(32mA)から小さい駆動電流(4mA)まで4段階に切り替えた場合の同磁束密度とホール電圧との関係を示し、また図2(b)は、駆動電流を4mAに固定して駆動電流を切り替えなかった場合の磁束密度とホール電圧の関係を示している。
ここで、図2を参照して、磁気センサの検出精度とノイズとの関係について説明する。例えば、上記磁気センサの測定系に2mVのノイズが存在したとすると、図2(b)に示すような4mAの定電流(駆動電流)で測定した場合、約4mT以下の磁束密度は、ノイズに埋もれて測定できないこととなる。そこで、8mAの定電流で測定することにすると、同じノイズレベルであったとしても約2mT以上の測定が可能となり、4mAの定電流測定に比べて、2mTから4mTまでの2mT分の磁束密度領域が測定可能となる。同様に、16mAの定電流測定では、1mT以上の測定が可能となり、32mAの定電流測定では0.5mT以上の測定が可能となる。
一方、上記駆動電流は、図2(a)に示す態様での切り替えが可能である。すなわち、32mAの駆動電流で測定してホール電圧を400倍に増幅した場合、約3mTで電源電圧5.0Vのフルレンジになる。そこで、ホール素子から出力されるホール電圧を測定して、この電圧が上記電圧5.0Vを超えると判断される場合には、駆動電流を16mA(1/2)にする。そして同時に、上記出力されるホール電圧の増幅倍率を半分の200倍にする。このような設定により、フルレンジ(5.0V)で約6mTまでの磁束密度の測定が可能となる。さらに、この駆動電流を16mAにした場合でも、その出力電圧が5.0Vを超えた場合には、駆動電流をさらに1/2にして8mAとする。そして同様に、ホール電圧の増幅倍率を半分の200倍にする。このような設定により、フルレンジで約12mTまでの磁束密度の測定が可能となる。さらに、この場合でもその出力電圧が5.0Vを超えた場合には、駆動電流をさらに1/2にして4mAとする。これにより、24mTまでの磁束密度の測定が可能となる。このように、駆動電流を順次切り替えることで、例えば2mVのノイズがあった場合であれ、3mTの磁束密度の測定に対して、約17%(0.5mT/3mT)の精度を保つことができるようになる。
これに対し、上述のように、すなわち図2(b)に示すように、4mAのみの駆動電流を4mAに固定して測定した場合には、3mTの磁束密度の測定に対して4mTまでノイズがのることになってしまい、約133%(4mT/3mT)まで測定精度が悪化して、事実上、測定値を信用することができないことになる。しかし上述のように、ホール素子の駆動電流を順次切り替えることによってこのような不都合を改善することが可能とする。
以上を総括するに、磁気センサのノイズレベルを2mVと仮定すると、駆動電流を4mAに固定して測定した場合、約4mT以下の磁束密度がノイズに埋もれて測定できないが、32mAに駆動電流を切り替えることにより、測定可能な磁束密度を約0.5mTにまで広げることができるようになる。
また上述のように、駆動電流の切り替えは、電流値の大きい方から設定する。すなわち、まずホール素子の駆動電流32mAに設定し、このとき出力電圧が5.0Vを超えると判断される場合には電流値を1/2に切り替える。このような駆動電流の切り替えを32mA〜4mAまでの間、出力電圧が5.0V以下になるまで続ける。そして、5.0V以下の電圧になったときの出力電圧(ホール電圧)から検出対象とする導体に流れる電流値を求める。これは、駆動電流ごとに、導体の電流値と出力電圧との関係を例えば予め不揮発性メモリ等の記憶媒体にプログラム、あるいはマップ化しておくことによって、これら駆動電流と出力電圧とに応じた同電流値の測定が可能となる。
次に、ノイズレベルではなく、電圧の分解能力(感度)が問題になるような高精度測定について、同様に電源電圧5.0Vのフルスケールで25mTまでの磁束密度を測定すると仮定したときの磁束密度をホール電圧との関係を図3を参照して説明する。この図3のうち、図3(a)は、より大きい駆動電流(32mA)からより小さい駆動電流(4mA)までの4段階に切り替えた場合の磁束密度とホール電圧との関係を示し、また図3(b)は、駆動電流を4mAに固定して駆動電流を切り替えなかった場合の磁束密度とホール電圧の関係を示している。なおここでは、出力される電圧の分解能力を10μVとする。通常、この種のホール素子を用いた場合、出力される電圧の分解能力(感度)は、10μV程度である。
まず、図3(b)に示すように、上記駆動電流の切り替えが無しの場合、高磁束密度領域である例えば磁束密度24mTのときのホール電圧は12mVとなり、この時の測定精度は0.08%(10μV/12mV)になる。しかし、低磁束密度領域である例えば磁束密度4mTでのホール電圧は2mVになり、このときの測定精度は0.5%(10μV/2mV)にまで悪化する。ここで、例えば0.5%の精度保証を求めるとすると、磁束密度4mTよりも低い磁束密度では精度保証できないことになる。
一方、駆動電流を切り替えた場合に0.5%の精度保証ができる磁束密度を図3(a)から求める。この0.5%に相当するホール電圧は2mVであり、駆動電流32mAでは0.5mTの磁束密度に相当する。すなわち、0.5mTまで0.5%の精度で測定が可能となり、4mTから0.5mTの磁束密度まで測定範囲を広げることができるようになる。
次に、図4を参照して、こうした原理に基づくこの実施の形態にかかる磁気センサの構成について説明する。
図4に示されるように、この磁気センサは、定電流駆動の回路であり、大きくは、抵抗素子Rh1〜Rh4から構成されるホール素子Hと、該ホール素子Hを通じて検出された電気信号を増幅も含めて所要に処理する出力回路10とを備えている。また、上記ホール素子Hから出力される電気信号(電圧)の増幅信号を監視しつつ、上述した駆動電流の切り替えを行う切り替え手段としての切り替え回路20およびスイッチング素子S1〜S4を併せて備えている。すなわち、上述のように、この磁気センサは、ホール素子Hを通じて検出される電気信号を監視して、該電気信号の増幅後の出力電圧が測定範囲の限界(電源電圧)を超えていれば、スイッチング素子S1〜S4を通じてホール素子Hの駆動電流を4段階に切り替えることが可能である。
一方、この磁気センサには、車載用バッテリ、あるいは燃料電池等から電源電圧Vcc(5.0V)が印加され、この電源電圧Vccに基づいてホール素子Hや演算増幅器OP、出力回路10、切り替え回路20等に給電が行われる。
ここで、上記ホール素子Hを構成する抵抗素子Rh1〜Rh4はブリッジ接続されており、検出対象とする導体を流れる電流に応じて磁束密度が変化すると、抵抗素子Rh1、Rh3の中点電位Vaと、抵抗素子Rh2、Rh4の中点電位Vbとが変化する。そして、この中点電位Va、Vbが出力回路10に出力される。この出力回路10に出力される中点電位Va、Vbの電位差がいわゆるホール電圧である。
また、上記切り替え回路20は、上記出力回路10を介してこの電気信号としてのホール電圧を監視し、該ホール電圧を増幅した後の電圧(出力電圧)が電源電圧5.0Vを超えていれば、上記スイッチング素子S1〜S4のオン/オフ操作を通じてホール素子Hの駆動電流を切り替える回路である。なお上述のように、これらスイッチング素子S1〜S4を通じた駆動電流の切り替えは、大きい駆動電流から順次小さい駆動電流へと切り替えられる態様で行われる。
また、上記スイッチング素子S1〜S4は、例えば、MOSトランジスタ等の素子が用いられ、各スイッチング素子S1〜S4には、各々抵抗値の異なる抵抗R1〜R4が直列に接続されている。なお、このスイッチング素子S1〜S4の切り替え方は任意であり、例えばスイッチング素子S1〜S4を択一的にオン操作してもよいし、複数のスイッチング素子をオン操作して全体として所望の駆動電流が得られるようにしてもよい。ただし、この実施の形態では便宜上、スイッチング素子S1が選択的にオン操作されることでホール素子Hの駆動電流が32mAに設定され、以下順に、スイッチング素子S2、S3、S4が選択的にオン操作されることで、同駆動電流が、16mA、8mA、4mAにそれぞれ設定されるものとする。
次に、図5を併せ参照して、上記磁気センサの電流測定処理について説明する。なお、この処理は電流値の測定要求がある度に実行される。
この処理に際しては、まず、スイッチング素子S1を選択的にオン操作して、上記駆動電流を32mAに設定し、磁束密度を測定する(ステップS101)。そして、切り替え回路20は、ホール素子Hから出力されるホール電圧を出力回路10を通じて例えば400倍に増幅して、その出力電圧が電源電圧(5.0V)を超えたか否かを判断する(ステップS102)。ここで、増幅後の出力電圧が電源電圧以下であると判断される場合(ステップS102がNO)には、駆動電流32mAの電流と検出された磁束密度(出力回路10の出力Vout)との関係から検出対象の電流値が算出される(ステップS103)。
一方、上記ステップS102において、増幅後の出力電圧が電源電圧を超えたと判断される場合には、次に、オン操作するスイッチング素子をスイッチング素子S2に切り替えて駆動電流を16mAに設定する(ステップS104)。また同時に、ホール電圧を出力回路10を通じて、例えば増幅倍率200倍に設定する。そして、再び磁束密度を測定して出力回路10を通じて出力される出力電圧が電源電圧(5.0V)を超えたか否かを判断する(ステップS105)。ここで、増幅後の出力電圧が電源電圧以下であると判断される場合(ステップS105がNO)には、駆動電流16mAの電流と検出された磁束密度との関係から検出対象の電流値が算出される(ステップS106)。
また一方、上記ステップS105において、増幅後の出力電圧が電源電圧を超えたと判断される場合には、次に、オン操作するスイッチング素子をスイッチング素子S3に切り替えて駆動電流を8mAに設定する(ステップS107)。また同時に、ホール電圧を出力回路10を通じて、例えば増幅倍率200倍に設定する。そして、再び磁束密度を測定して出力回路10を通じて出力される出力電圧が電源電圧(5.0V)を超えたか否かを判断する(ステップS108)。ここで、増幅後の出力電圧が電源電圧以下であると判断される場合(ステップS108がNO)には、駆動電流8mAの電流と検出された磁束密度との関係から検出対象の電流値が算出される(ステップS109)。
また、上記ステップS108において、増幅後の出力電圧が電源電圧を超えたと判断される場合には、次に、オン操作するスイッチング素子をスイッチング素子S4に切り替えて駆動電流を4mAに設定する(ステップS110)。また同時に、ホール電圧を出力回路10を通じて、例えば増幅倍率200倍に設定する。そして、再び磁束密度を測定して出力回路10を通じて出力される出力電圧が電源電圧(5.0V)を超えたか否かを判断する(ステップS111)。ここで、増幅後の出力電圧が電源電圧以下であると判断される場合(ステップS111がNO)には、駆動電流4mAの電流と検出された磁束密度との関係から検出対象の電流値を算出する(ステップS113)。
他方、増幅後の出力電圧が電源電圧を超えたと判断されると(ステップS111がYES)、この実施の形態の磁気センサではオーバースケールになる(ステップS112)として当該電流測定処理を終了する。
以上詳述したように、この実施の形態にかかる磁気センサによれば、以下に列記するような優れた効果が得られるようになる。
(1)切り替え回路20は、ホール素子Hから出力されるホール電圧を出力回路10を介して監視し、該ホール電圧が測定範囲の限界を超えると判断した場合には、スイッチング素子S1〜S4を操作してホール素子Hの駆動電流を切り替えるようにした。これにより、低磁束密度側では、ホール素子Hの駆動電流を大きくして見かけ上の感度を高くし、ホール電圧を高くすることで必要な精度を確保することができる。一方、高磁束密度側では、ホール素子Hの駆動電流を小さくして見かけ上の感度を低くし、測定可能領域を伸ばすことにより、高磁束密度での磁束密度を高感度に検出することができる。
(2)出力電圧が測定範囲の限界、すなわち電源電圧に達したときに、出力電圧の増幅倍率(ゲイン)の切り替えが行われることとした。このように、出力電圧の増幅倍率の切り替えを行うことで、電源電圧から0V付近までのフルレンジを有効に利用して、低磁束密度から高磁束密度までをリニアに測定することが可能となる。
(3)出力電圧の測定範囲の限界を監視しながらリアルタイムにスイッチング素子S1〜S4の切り替えができる。また、上記スイッチング素子S1〜S4を切り替えたのち、再び出力電圧の測定範囲の限界を監視することで、該出力電圧が測定範囲の限界を超える間、繰り返し、スイッチング素子S1〜S4を切り替えることも可能となる。
(4)スイッチング素子S1〜S4の切り替えを通じて、大きい駆動電流から順次小さい駆動電流へと切り替えられるようにしたことで、より高い測定感度を維持しつつ、低磁束密度から高磁束密度まで、対象とする磁束密度の変化を測定することができる。
(5)測定される出力電圧は、該出力電圧の測定範囲の限界との関係で飽和していない領域の最も大きい駆動電流での値が使用されることで、たとえ磁気センサにノイズが混入されたとしても、広い測定領域で高感度に磁束密度を測定することができる。なおここで、飽和していない領域とは、傾きがある領域であって、出力電圧が測定される磁束密度に比例して増加する領域である。
なお、この発明にかかる磁気センサは上記実施の形態に限定されるものではなく、同実施の形態を適宜変更した、例えば次のような形態として実施することもできる。
・上記実施の形態では、ホール素子Hの駆動電流の切り替えは、大きい駆動電流から小さい駆動電流まで4段階に行われるとしたが、このホール素子の駆動電流の切り替えは、4段階に限らない任意の段階に切り替えることとしてもよい。
・上記実施の形態では、ホール素子Hによる測定範囲の限界として電源電圧を例示したが、このホール素子Hによる測定範囲の限界としては、電源電圧に限らない任意の値を指標としてもよい。
この発明にかかる磁気センサの原理として、同磁気センサで測定される磁束密度と出力されるホール電圧との関係を示すグラフ。 同じく原理を示すグラフであって、ノイズレベルに関し、(a)は大きい駆動電流から小さい駆動電流まで4段階に切り替えた場合、(b)は駆動電流を固定して切り替えなかった場合の磁束密度とホール素子の関係を示すグラフ。 同じく原理を示すグラフであって、電圧の分解能力に関し、(a)は大きい駆動電流から小さい駆動電流まで4段階に切り替えた場合、(b)は駆動電流を固定して切り替えなかった場合の磁束密度とホール素子の関係を示すグラフ。 この発明にかかる磁気センサの一実施の形態についてその構成を示す回路図およびブロック図。 同実施の形態の磁気センサによる電流(磁束密度)の測定手順を示すフローチャート。 従来の磁気センサについて、(a)は高磁束密度測定用ホール素子の断面図、(b)は低磁束密度測定用ホール素子の断面図、(c)は、(a)と(b)とを用いて導線を流れる電流を測定する装置の構成を示す側面図。
符号の説明
10…出力回路、20…切り替え回路、H…ホール素子、OP…演算増幅器、R1〜R4…抵抗、Rh1〜Rh4…抵抗素子、S1〜S4…スイッチング素子。

Claims (4)

  1. 磁界の変化を電気信号に変換するホール素子を備え、ホール素子が測定対象とする導体に電流が流れることによる磁界の変化とホール素子を駆動する駆動電流との協働によって同ホール素子から出力される電気信号に基づいて前記磁界の変化を測定する磁気センサにおいて、
    前記ホール素子から出力される電気信号を監視し、該電気信号が前記ホール素子による測定範囲の限界を超えると判断されることに基づいて前記ホール素子を駆動する駆動電流を切り替える切り替え手段を備え
    前記切り替え手段は、前記出力される電気信号を測定し、該測定した電気信号が前記ホール素子による測定範囲の限界を超えると判断されるとき、前記電気信号の増幅倍率をさらに切り替えるとともに、この増幅倍率の切り替えののち、前記出力される電気信号を再度測定し、該測定した電気信号が前記ホール素子による測定範囲の限界を超えると判断されるとき、前記駆動電流を切り替える
    ことを特徴とする磁気センサ。
  2. 記切り替え手段は、前記駆動電流の切り替えに際し、大きい駆動電流から順次小さい駆動電流へと切り替えるものである
    請求項1に記載の磁気センサ。
  3. 記出力される電気信号のうち、同電気信号前記ホール素子による測定範囲の限界との関係で飽和していない領域の最も大きい駆動電流での値が測定対象となる磁界の変化に対する測定値とされる
    請求項2に記載の磁気センサ。
  4. 前記出力される電気信号が前記ホール素子による測定範囲の限界以下であれば、該電気信号を測定対象とする磁界の変化に対する測定値とする
    請求項1または2に記載の磁気センサ。
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